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令和4年度 第1回 経営所得安定対策小委員会 議事録(令和4年11⽉25⽇開催)

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開会

  • 小川経営安定対策室課長補佐
    それでは、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会経営所得安定対策小委員会を開会させていただきます。
    委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただき誠にありがとうございます。
    まず開催に際しまして、松本農産政策部長より挨拶をお願いします。

挨拶

  • 松本農産政策部長
    農産政策部長の松本でございます。経営所得安定対策小委員会開会に当たりまして、一言御挨拶させていただきたいと思っております。
    本日は、御多忙中のところ本会合に出席いただきまして誠にありがとうございます。
    本日は御審議いただく議題としましては、畑作物の直接支払交付金、こちらのゲタ対策についての数量単価の改定の件でございます。本対策につきましては平成19年度、こちらから制度を導入いたしたところでございます。3年ごとに単価の改定を行っているところでございまして、本日御審議いただく内容につきましては、次期令和5年度から6、7年度、3か年につきましての数量単価の改定に関するものでございます。
    交付単価につきましては、法律に基づきまして算定するものであり、後ほど説明をいたしますが、今回は単価が上がったもの、また下がったもの、あるところでございます。詳細につきましてはこの後、担当から説明をいたすところでございます。
    また、本日の議題とは直接関係するものではございませんが、対象品目につきましての状況につきましての御説明の時間を取らせていただきたいと思っております。それぞれ抱えております課題につきまして、それは生産面、流通面、消費面、この関係につきましての説明として、先日閣議決定をし、正に本日国会で御審議いただいているところでございます第2次補正予算の内容とも絡めましたところで、参考資料として準備をしておりますので、併せて説明をさせていただきたいと思っております。
    本日の委員会につきましては、御意見は今後開催されます食糧部会、こちらに対しまして平澤座長より御報告いただく予定となっているところでございます。各委員の皆様方から忌憚のない御意見、また闊達な御議論を賜りますようお願いしまして、冒頭の挨拶とさせていただきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    それでは、恐れ入りますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御退出くださいますようよろしくお願いいたします。

(報道関係者 退出)

  • 小川経営安定対策室課長補佐
    それでは、本小委員会の委員の皆様方の御紹介をさせていただきます。
    まず、本小委員会の座長として御指名いただいている株式会社農林中金総合研究所理事研究員の平澤明彦委員でございます。
  • 平澤座長
    よろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    続きまして、委員名簿に従いまして各委員の御紹介をさせていただきます。
    まず臨時委員から御紹介いたします。
    有限会社山形川西産直センター代表取締役社長、山形県農業法人協会会長の平田勝越委員でございます。ウェブからの参加でございます。
    次に、こちらもウェブからの参加ですが、有限会社アグリ山﨑国際事業部長の山﨑美穂委員でございます。
  • 山﨑委員
    よろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    次に、専門委員を御紹介いたします。
    北海道農業協同組合中央会代表理事会長、常呂町農業協同組合会長理事の小野寺俊幸委員でございます。
  • 小野寺委員
    小野寺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    次に、ウェブからの参加ですが、敷島製パン株式会社常務取締役上席執行役員、開発本部長の根本力委員でございます。
  • 根本委員
    根本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    互明商事株式会社代表取締役社長、全国穀物商協同組合連合会理事長の林英伸委員でございます。
  • 林委員
    林です。よろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    株式会社若狭の恵代表取締役の前野恭慶委員でございます。
  • 前野委員
    前野です。よろしくお願いします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    上州百姓「米達磨」代表の山口あきら委員でございます。
  • 山口委員
    山口です。よろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構本部企画戦略本部農業経営戦略部フードチェーンユニット長の山本淳子委員でございます。
  • 山本委員
    山本です。よろしくお願いいたします。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    以上9名で本日は御審議をお願いいたします。
    また、本日の会議につきましては公開とさせていただきます。
    議事録につきましては、会議終了後に整理し、委員の皆様に御確認いただきました後に公開させていただきますので、よろしく御了承願います。
    また、本日の経営所得安定対策小委員会では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため適宜換気を実施しますので、あらかじめ御承知おきください。また、会場に御出席の皆様におかれましても、会場におけるマスク着用の御協力をお願い申し上げます。
    会場に御出席の皆様におかれましては、御発言の際に事務局がマイクをお持ちいたします。こちらは御使用の度にアルコール消毒をさせていただきます。ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、常にこちらの音声が聞こえる状態にしていただき、御発言の際にはマイクをオンの状態にしていただき、御発言が終わりましたらオフの状態にしていただきますようお願いいたします。動作の不具合等が発生した際には、事務方に合図等をしていただければと存じます。
    次に、議事に入ります前に配布資料の確認をお願いいたします。ウェブの方は電子メールでお送りしましたファイルを御覧ください。上から順に座席表、資料一覧、議事次第、設置規程、委員名簿、資料として、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価の改定について、最後に参考資料として、ゲタ対象品目の現状と課題について、以上となります。資料の不足などがございましたらお申出いただきますようお願いいたします。よろしいですか。
    それでは、この後の議事進行につきましては、平澤座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 平澤座長
    御紹介にあずかりました平澤でございます。座長を本日務めさせていただきますけれども、私、参加するのは初めてでございますので、少しだけ自己紹介させていただきます。
    私は、直接支払制度の研究者ということで専門委員を昨年拝任いたしました。研究ですけれども、ここ十数年、主にヨーロッパであるとかアメリカの農業政策を調べております。欧米では直接支払、こちらの補助金が非常に盛んでありますので、そういった制度にはなじみがあるということでございます。それと日本との比較研究も少しやったことがございます。それに加えて食料安全保障、こちらの方の政策についてもヨーロッパと日本の研究を少しやっておりまして、実はそこでも直接支払制度が非常に重要な役割を果たしているというようなところでございます。
    そういうわけで、実はふだんは制度とか統計データばかり相手にしておりまして、現場の実情にはその分なじみが薄いということになります。ですから本日は、委員の皆様から産地なり実需の実情についていろいろとお話を伺えるのではないかということで、大変楽しみにしているところであります。どうぞよろしくお願いいたします。

議事

  • 平澤座長
    それでは、時間も決まっておりますので、早速議事の方を進めていきたいと思います。
    委員の皆様それから事務局におかれましても、円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。
    それでは、まず資料に配布された資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。

(1)畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価の改定について

  • 村山経営安定対策室長
    経営安定対策室長の村山でございます。本日はよろしくお願いいたします。
    私からは、畑作物の直接支払交付金の数量単価の改定についての資料を御説明させていただきます。
    1ページでございます。ゲタ対策の概要でございますけれども、ゲタ対策は、担い手経営安定法に基づきまして、諸外国との生産条件の格差により不利がある農産物、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたねを対象としておりますけれども、交付単価のイメージにありますとおり、標準的な生産費と標準的な販売価格の差額分、ここに相当する交付金を交付するというものでございます。対象者は認定農業者、集落営農、認定新規就農者、いわゆる担い手としておりまして、支払方法については数量払を基本としておりますけれども、その先払いとして面積払を支払う仕組みとしております。
    2ページ目をお開きください。交付単価の算定方法でございます。真ん中に記載の算定式のとおりでございまして、10アール当たりの生産費、単収、販売価格、この三つの統計データ等に基づきまして機械的に算定するということとしております。制度導入以来、原則3年ごとに改定しておりまして、今回は、令和5年産から7年産に適用される交付単価ということになります。下の囲みにありますとおり、今回の改定では、これに加えまして交付単価に含まれる消費税負担分への対応をしたいと考えておりまして、詳しくは次のページ以降で御説明いたします。
    3ページをお開きください。まず消費税に係る手続ということでございます。消費税は生産や流通などの各取引の中で課税をされるということで、最終的には購入した消費者が負担するという整理となっております。課税事業者、これは基準期間における課税売上げが1,000万円を超える事業者ということになりますけれども、売上げで預かった消費税から仕入れ等で支払った消費税を差し引いた額を納付するということになります。逆に、支払った消費税が預かった消費税を上回っているという場合には、この差額分について還付を受けることができるということでございます。
    下の図で還付の場合の仕組みでございます。生産者のところを中心として見ますと、右の農産物の売上げ1,000万円で預かった消費税が80万円というもの、左側の農機具などの仕入れに2,000万円で支払った消費税が200万円だったという場合に、この差額120万円部分が申告により還付を受けることができるという仕組みでございます。
    次に4ページをお開きください。現行の交付単価でございますけれども、ここは算定上、消費税負担分というのが含まれております。左のイメージ図でございますけれども、生産コストとして、ここでは1,300万円と置いておりますが、物財費などで1,000万円、これに対しての消費税が100万円が入っていると、一方、販売価格、540万円と置いておりますけれども、販売収入500万円に対しての消費税40万円が入っているとしております。ゲタの交付金につきましては生産コストと販売価格の差額、ここでは760万円の部分になりますけれども、ここを補塡するということになりますので、ここには消費税負担分、今60万円置いていますが、ここが含まれているということになります。
    次に、右の課税事業者の場合というところでございます。金額は左の倍にしておりますけれども、仕入れで支払った消費税200万円、売上げで預かった消費税80万円というところについて、消費税の手続を行いますと120万円の還付が受けられるということになります。この場合ですと、交付金に含まれる消費税負担分120万円という部分が重複しているということになります。こうしたことから今回は課税事業者、免税事業者、それぞれ別々の交付単価を設定させていただきたいと考えております。課税事業者の場合には、生産費、販売価格から消費税相当額を除いた数値というものを使って算定した交付単価を適用したいと考えております。
    5ページ目をお開きください。こうした考え方で算定しました令和5年から7年産に適用する交付単価を記載してございます。上の欄が現行の平均交付単価で、真ん中の欄が新しい免税事業者向けの平均交付単価、下の段が課税事業者向けの平均交付単価ということで整理してございます。左から、小麦からてん菜については数字としては下がっておると、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたねについては、数字としては上がってきているということでございます。
    具体的にどのような数字を使って算定したかということで、小麦の場合を例に御説明したいと思いますので、飛んで8ページをお開きください。ここでは作物についての生産費、単収、販売価格の推移を整理してございます。今回ここのページは小麦でございますけれども、まず左の図、生産費でございますが、3年平均の値を使用しております。赤線、赤字の部分ですが、ここが現在の単価算定に用いた数字、また、青線、青字の部分が今回の新たな算定に用いた数字ということでございます。青字に括弧書きを置いていますけれども、ここは課税事業者向け、つまり消費税の相当額を除いた額ということになります。
    真ん中の単収でございますが、いわゆる7中5の平均値を使用しております。グラフの白抜き部分が最高値、最低値ということになりますので、ここは算定には用いず、色付きの5年分のデータを使ったものということでございます。
    右側、販売価格でございますが、こちらもいわゆる5中3の平均値を使用してございます。これも最高値、最低値の白抜きを除いた色付きの3年分のデータを使用しているということでございます。
    このように小麦につきましては生産費がまず増加していると、一方、近年豊作が多いということで単収が上昇、かつ販売価格も大きく高値になっているということでございまして、算定式に当てはめると単価が下がるということでございます。
    注4に書いてございますけれども、麦につきましてはTPP、日米貿易協定の発効に伴いまして、麦のマークアップが段階的に下がるということでございます。これによる国産麦の販売価格が低下するということでございますので、今回もこの部分については単価に上乗せをするという措置を取らせていただいております。
    9ページ以降、各品目についても同様にデータの整理などを行っておりますが、こちらについてはお時間のあるときに御覧いただきたいと思います。
    以上のような考え方、数値で算定しますと、先ほど御説明しました5ページ目のような単価の数字が出てくるということでございます。
    最後に6ページ、7ページでございます。ゲタ対策の対象農産物につきましては、地域間であるとか農業者の間で品質格差がどうしても出てくるということでございまして、5ページの平均交付単価を基準として、品質に応じた区分別の単価というものを設定させていただいております。実際の農業者の皆様に交付するときには、こちらの区分別の単価で計算するということになっておりまして、これによって需要に応じた生産であるとか、生産のインセンティブにつながるものと考えております。各品目の品質区分であるとか、それぞれの価格差については、これまでどおりの値としております。
    単価以外で現行と変更のある点が2点ございます。5番のでん粉原料用ばれいしょの基準でん粉含有率というところでございますが、前回の改定から10年間平均というのを取ることにしておりまして、現行19.7%でございますけれども、今回19.6%に変更となっております。
    あと7番のなたねでございます。上位区分の方にペノカのしずく、これは新品種ということでございますけれども、これを追加したいと考えております。エルシン酸を含まないほか搾りかすを飼料用にも利用できる、いわゆるダブルロー品種と呼ばれるものでございまして、これを追加したいと考えております。
    交付単価の改定につきまして、私からの説明は以上でございます。
  • 東野穀物課長
    穀物課長でございます。
    続きまして、参考資料に基づきまして、ゲタ対象品目の現状と課題についてということで御説明をさせていただきます。
    今、御説明させていただきましたようにゲタの単価につきましては、決められた式に当てはめまして機械的に計算をするということでございます。これによりますと、小麦、大麦、大豆などいろいろなものが下がるということでございますが、食料安全保障なんかも議論されております中で、ただ単に下げて終わるということではなくて、それぞれの品目ごとに現状と課題を分析して、しっかり伸ばすものは伸ばしていくと、そういう政策を取っていくということでございます。
    1ページ目につきましては小麦でございます。小麦につきましては、日本ではなかなかうどん用の品種以外は難しいと言われておりまして、またその品質も輸入の小麦と比べるとなかなか低いということが、ずっと言われていたわけでありますが、近年になりまして非常に品質あるいは単収の高い品種の開発・普及が進んだということでございます。令和3年産は、天候にも恵まれたということもございまして、私どもが2030年に目標にしていました108万トンという国産小麦の生産量を上回る110万トンというのが、令和3年産、収穫できたということでございます。
    それから左上の図にありますように、うどん用のきたほなみ、あるいはパン用の春よ恋といった、品質的に輸入の小麦とほとんど変わらない銘柄も増えてきているということで、外国産から国産への切替えが高まっているという状況でございます。
    一方、右上のグラフにございますように、近年、生産者の急速な規模拡大によりまして、農地の分散によります労働時間の下げ止まり、あるいは営農技術の励行が不十分だといったような事例も増えてきているということでございます。
    右下のグラフのところでございますが、あとは産地それから年産ごとに生産量・品質の変動が大きくて、安定供給をしていくという、そういう体制の確立が急務だというふうに認識をしております。
    2ページ目は、そのためにどういうことをやっていくかということでございますが、ここは大麦それから大豆と大体一緒でございますので、最後の大豆のところでまとめて御紹介をしたいと思います。
    3ページ目は大麦、はだか麦でございます。これも小麦と大体似ておるんですけれども、近年作柄が高位安定化しております一方で、用途が限定的だということで、豊作が続きましたので在庫が積み上がっているという状況でございます。
    一方、近年、焼酎用を中心に外国産から国産への切替えが進んでいるということでございます。また、産地・年産ごとに生産量・品質の変動が大きく、こちらも安定供給体制の確立が急務になっているということでございますし、また、生産者の規模拡大が急速に進んだということで労働時間の下げ止まり、営農技術の励行が不十分だというこういう課題は、小麦と共通でございます。
    5ページ目をお願いいたします。大豆でございます。国産大豆の自給率は、これは油用も含めますと7%ということで低いままということでございますが、実需者からは旺盛なニーズがございます。今後も需要は堅調に伸びる見込みとなってございます。私ども、豆腐屋さん、納豆屋さんといった実需の方に、令和8年度の需要見込みをアンケート調査をしてございますが、今に比べまして26%国産を増やしたいという結果が出ております。それから国産大豆は小麦・大麦以上に年産ごとの生産量の変動が大きいということで、安定供給体制の確立が急務だということでございます。それから、国産大豆につきましても、急速な規模拡大によりまして労働負担が大きくなっていると、適期作業の逸失が発生しているということでございます。それから、これまでも新品種というのが開発はされてきておりますけれども、まだまだ昭和に育成された品種、平成の早い時期に育成された品種というのが、作付面積の上位を占めていて、品種の更新が遅れているという状況でございます。
    これらの小麦、大麦、大豆の課題に対する対応方針でございますが、6ページのところで生産、流通、それから消費、それぞれの課題に応じた対策というのを、今回措置をさせていただいているということでございます。
    まず生産対策のところでございますが、生産性を上げてそれから品質を高位安定化させるということで、生産者の方に生産コストの削減、それから収量を上げていただくといった技術対策をやっていただく。あるいはスマート農業の技術、いろいろなものができてきております。これの導入あるいは拡大をお願いをするようにしたいと思っております。それから機械なんかもしっかり入れていただきたいということでございます。それから新品種の開発により生産性を上げるための新品種の開発経費を、支援することにしております。
    それから流通対策のところでございますが、今申し上げた生産のところで、排水対策ですとかいろいろな技術をやっても、近年集中豪雨ですとか台風も大型化してきて、生産現場だけではなかなか対応が難しいという状況もございます。このために国産大豆を安定的に供給するために、豊作のときに保管をして不作のときに供給をするという調整保管の機能を果たすストックセンターの整備を、支援をさせていただきたいと思っております。これは産地に産地倉庫として整備していただいても結構ですし、流通段階、問屋さんなんかで整備をしていただいても結構です。あるいは豆腐屋さん、納豆屋さんといった実需の段階で整備をしていただく場合にも、それぞれ2分の1建設費を負担したいと思っております。また、既存の倉庫の改修なんかにも使っていただけるようにしたいと考えております。それから不作が続いた場合でも実需者に安定供給を可能にするために、国産大豆の産地と実需者が連携して取り組む長期保管のモデルづくり、これは1年だけではなくて2年、3年と保管しながら回転させながら安定供給するためのソフト事業、モデルづくりを支援したいと思っております。
    それから消費対策のところでございますが、産地と連携した輸入の原材料から国産への切替え、あるいは国産を100%使っているんだけれども、その国産を更に増やしていきたいと、そういう食品製造事業者の方々に対して施設・設備の導入、新商品の開発費、新商品のPR費などを支援したいと思っております。この中で、一定期間、新商品を開発した後、市場に販売した後も、原料の一定部分を補助をするというようなことも含めて、国産の小麦、大麦、大豆を使っていただけるようにしたいと考えております。なかなか農水省はこれまで生産対策として農家、産地には手厚く支援をしておったわけでございますが、今回、国産の小麦、大麦、大豆を伸ばしていくということで、こういう食品製造事業者の方々のところにも施設・設備なんかも併せて支援するということで、予算措置をしたところでございます。
    それから7ページでありますが、てん菜であります。てん菜の1トン当たりの生産費は、直播栽培が最近増加をしてきておりまして労働時間が短縮できているということでございますが、まだまだ労働時間全体に占める育苗・定植作業の割合が高いということで、依然としてほかの畑作品目に比べて投下労働時間が長いという状況でございます。このため、春先の労働負担が軽減されます直播栽培の更なる拡大、物財費の低減などによりまして、一層のコスト低減を図っていく必要があると考えております。また、国内の砂糖の消費量が近年減少傾向で推移をする中、てん菜の生産は堅調でありまして、てん菜糖の在庫量が増大しているという状況でございます。
    8ページをお願いいたします。このような課題に対応するということで生産対策としましては、労働費の低減と生産の省力化を図るために、移植栽培から直播栽培への変更に必要となる農業機械の導入を支援する。それから物財費の低減と環境に配慮した生産体制を確立するため、化学農薬や化学肥料の投入量を低減した栽培技術や品種の導入を促すという取組を支援したいと考えております。それから需要に応じた生産を図るため、てん菜の一部を需要のある加工用ばれいしょ、あるいは豆類などに転換する取組を支援をしてまいりたいと考えております。
    また、消費対策としましては、輸入の加糖調製品からの需要奪還に向けまして、令和4年度からの原料原産地表示の本格施行を契機とした国産砂糖への切替えなどを促す取組を、支援したいと考えております。
    9ページはでん粉原料用ばれいしょでございます。北海道におけますばれいしょ生産につきましては、ほかの輪作作物に比べまして労働負荷が高い、あるいは種ばれいしょが不足しているといったことを背景に、他作物への転換が進みまして、でん粉原料用を含むばれいしょ全体の作付面積が減少傾向で推移をしております。ばれいしょでん粉は、片栗粉のほか加工食品などでの需要拡大が期待できるものの、作付面積の減少に伴いまして、でん粉工場における原料芋の集荷量が減少しており、需要に応えられていないということでございます。このため、ばれいしょ増産に不可欠な種ばれいしょの安定供給体制の構築とともに、ばれいしょ生産に係る労働負荷の軽減によりまして、でん粉原料用を含むばれいしょ生産拡大を図っていくという必要があると思っております。
    10ページでございます。このため生産対策としましては、ばれいしょ、種ばれいしょの安定供給体制を構築するということで、新たな種ばれいしょ産地の育成、労力を軽減する種ばれいしょの新たな貯蔵システム、ICTを活用した技術の導入実証、種ばれいしょの病害発生を低減させるための取組、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の開発・普及などを支援したいと考えております。また、基幹作業の省力化を図るために、植付機、収穫機などの省力機械の導入を支援していきたいと考えております。
    また、消費対策としましては、実需と連携した生産・流通体系を構築するため、ばれいしょの種子生産から実需者への原料供給までの一気通貫した生産体系を有する産地モデルの育成を支援したいと考えております。
    最後、そばとなたねでございます。11ページをお願いいたします。そばの需要量は年間13万トンから14万トン程度でございます。このうち3万トンから4万トンが国産のそばで供給されております。国産そばは作柄の年次変動が非常に大きく、これに伴いまして価格も大きく変動するということで、安定供給を図っていく必要がございます。また、油用のなたねでございますが、供給量は輸入・国産合わせて年間200万トン前後でございますが、このほとんどを輸入に依存していて、国産は僅か3,000トンから4,000トン程度でございます。これまで国産なたねはシングルローの品種、油かすの用途が価格の低い肥料利用に限られる品種が主流でございましたが、今後国産なたねの需要の拡大を図るために、生産をシングルロー品種からダブルローの品種、油かすを餌として供給可能な品種に切り替えていくという必要があるということでございます。
    12ページでございます。生産対策としましては、省力化のための機械導入を支援していきたいと思っております。また、生産対策、なたねにつきましては、シングルローからダブルローへの転換時に品質を確保するために、交雑防止対策などダブルロー品種の安定供給に必要な取組を支援したいと思っております。
    さらに、流通対策としましては、実需者と結び付いた供給体制を強化するため、複数年の契約取引の拡大を支援していきたいと思っております。
    今御紹介しましたそれぞれの事業につきましては、14ページ以降に御紹介しておりますので御覧いただきたいと思います。
    説明は以上でございます。
  • 平澤座長
    御説明ありがとうございました。
    それでは、質疑応答に入りたいと思います。
    ただいま事務局から御説明のありましたゲタ対策の数量単価の改定でございますけれども、こちらが本日調査・審議する事項となっております。そこで、まずは今回の数量単価への御意見や皆さんのお考えをおっしゃっていただきたいと思っております。それに加えて本日は委員の皆様、生産、流通、実需者などなど、様々な立場の方々に集まっていただいておりますので、生産振興などを含めてそれぞれのお立場から幅広い御意見を頂戴できればと思っております。また、簡単で構いませんので、それぞれ御発言の前に一言自己紹介もお願いできましたらと思います。
    それでは、本日会場にお越しの方は挙手、あるいはウェブで御参加の方は画面上で手を挙げていただくか、あるいはウェブの会議システムの挙手機能を御使用ください。
    どなたからでも結構ですけれども、いかがでしょうか。
    では、早速ありがとうございます。山本様、お願いいたします。
  • 山本委員
    農研機構の山本です。よろしくお願いいたします。私は農研機構ということで研究機関から参りました研究者で、実需とか実際に生産されている方と少し立場が違いますので、最初に技術的なところを御質問させていただきたいと思いまして挙手しましたところです。
    機械的に式に当てはめて今回算出されているということなんですが、その根拠となる数字の部分で、特に収量のところで作物統計を使っているのと生産費統計を使っているのとがあるという部分が、どういう事情があってそういうふうにされているのかというところを教えていただきたいなと思いました。特に大豆については、生産費統計でいくと割と収量が堅調に推移しているというふうに書かれているんですが、ちょっと実感とは少し違うというか、作物統計などで見ると必ずしもそういう傾向ではないんじゃないかなというふうに思いましたので、その辺りの御事情が分かれば教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  • 平澤座長
    よろしいですかね。
    それで今日、委員の皆様が何人もおられますので、少しほかの委員の皆様からも御意見なり御質問を伺って、それから事務局から回答していただくということにいたしたいと思います。
    ほかの委員の方、どなたかおられますか。よろしいですか。まだ説明を受けたばかりなのでということもあるかもしれませんけれども、では、少し時間を稼ぐ意味もありますので、まず最初の山本委員からの質問について事務局から回答をお願いいたします。
  • 村山経営安定対策室長
    単収データの根拠ということでございますけれども、単価改定に当たりまして、基本的には作物統計にあります平均単収という項目がございますけれども、それを使用するというのを基本としております。その上で、ゲタの制度を始めた当時、どういうデータを使うかということを検討したところ、例えば、でん粉原料用ばれいしょやなたねについては、当時作物統計になかったというので生産費統計を使っています。大豆についても、当時どのデータを使うかという整理の中で、生産実態をより良く反映しているものとして、生産費統計を使うという整理をしてございまして、統計を毎回改定の際に変えていくということではなくて、継続性の観点から同じデータを使わせていただいているということでございます。
  • 平澤座長
    山本委員、よろしいですか。
  • 山本委員
    ありがとうございます。
  • 平澤座長
    では、継続性のためという視点が入っているということですね。
    それでは、どうでしょうか。ほかの委員の皆様、特になければ、では、私の方から皆様に順番に振らせていただいてよろしいでしょうかね。
    それでは、最初に小野寺委員、お願いできますでしょうか。
  • 小野寺委員
    それでは、北海道の中央会の小野寺と申します。
    私も畑作物を作っておる一農家でございまして、オホーツクで農業をやってございます。今回この所得安定対策の小委員会にお招きを頂きましたけれども、日頃から北海道農業に対する農畜産物に多大な御理解と御支援を頂いて、こういった計数等の反映をされていただいていることに対しまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
    今回説明のありました数量支払の単価改定については、一定のルールに基づいて判定されたものであるということで、このことにつきましては何度も東野課長等から御説明を頂いておりまして、北海道の方々も一定のこのルールに基づいた部分についての異論はございません。ありがとうございました。
    ただいま、そしてこれらの改定では、一定のルールに基づいた評価はあるわけでありますけれども、今回は生産者の方々にとっては食料の安全保障ということで、この観点からして生産者の方々の生産意欲が喚起できるようなそういう対策を、どう取っていただけるかということに対して、非常に期待等を持っておったわけであります。一定のルールの中で算定単価が下がる品目もございましたし、また上がるものもあったという中でありますけれども、一つ課税業者向けの交付単価は消費税分を除いて算定するということになりまして、その分の単価が下落したということに対して生産者の方々が、非常に食料安全保障の問題の中でこのようなことは今始まったことではないという説明も受けておったわけでありますけれども、今回初めてこういった現実にさらされたということに対しては、非常に生産意欲に影響する部分があるんではないかというふうに思ってございます。その部分をそれぞれお願いをいたしたいと思いますが、今回は麦、大豆等に対する生産流通対策が講じられたということでは、非常に私どもも評価をさせていただかなければならないのかなというふうに思ってございます。ただ、生産現場では、これらのメニューが本当に現場が活用しやすいメニューになっているのかどうかということが一番心配でございます。この辺の部分について、それぞれ地域ごとによるポイントの採択があるというふうに聞いてございまして、これらの多くの生産者がこれらのポイントをきちっとできるのかどうか、この辺が大変私ども生産者としては、この対策を誰でもがみんなが等しくこのメニューを使えるように、是非その活用の方法を我々としても注視していきたいと思いますし、そのようなことに対してしかるべき対策を講じていただけるように、是非お願いをいたしたいというふうに思ってございます。
    また、次に、海外農畜産物の輸入が今後安定的に行われるかは、このようなウクライナ情勢、ロシア情勢によってかなり不透明な状況にあるということでありまして、食料の安全保障の強化に向けて、国内農畜産物の増産と円滑な流通によって安定した供給体制を構築していくことが、何よりも必要だということを我々も認識をいたしておりますので、この部分に対する一つ現在の流通体系でありますとか制度の検証を通じて安定的な生産流通、そしてまた消費する仕組みの構築といったものを、是非増産に必要な支援措置として講ずることを、是非お願いをいたしておきたいというふうに思ってございます。
    また、現在報道等で我々に、この審議中であります基本法の検証部会が立ち上がったというふうに聞いてございますけれども、この検証部会、その中で食料・農業・農村基本法の検証が行われておりますが、国家の根底を成す食料の安全保障の確立に向けては、我々農業界の果たす役割は非常に大きいものというふうに認識をさせていただいておりますが、この部分について今後ともしかるべき御指導を賜りますればというふうに思ってございます。
    何といっても食料の安全保障の基軸となる農畜産物の安定的な生産を持続していけるというふうに考えてございますので、これらについては、政府を始め実需者や消費者を含めての全ての関係者の方々に、御理解と御協力を頂けますようお願いをいたしたいということで、私の発言とさせていただきますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  • 平澤座長
    ありがとうございました。
    では、挙手されている方は引き続きおられないようなので、それでは、次、林委員からお願いできますでしょうか。
  • 林委員
    穀物の問屋をやっております互明商事の林と申します。
    このゲタの改定に関しては、これはもうルールなんで、この方式に従ってやっていただければいいというのが私の意見です。
    私の会社で取扱いの半分ぐらいは大豆なんですけれども、これは輸入品と国産の両方やっておりまして、つい先日も国産大豆の情報交換会というのがありましたけれども、いろいろなコネを、私どもは大豆を扱って買って売っているという立場なんで、まず球がない限り勝負ができないんで、なるべくいっぱい作っていただくのが私どもにとっても皆さんにとってもいいかなと思っております。
    先ほども国産大豆の人気が高まってきたとかおっしゃるんですけれども、これは僕が度々皆さんに言うんですけれども、私どものお客さんの豆腐屋さんなり納豆屋さん、みそ屋さん、皆さん全て国産で全部賄えれば国産でやりたいというのが本音であって、足りないからたまたま輸入に頼っているという現状があるんです。しかし、ここへ来て急速な資源高と円安のおかげで、部分的には単価が国産と輸入物がひっくり返っている。下手すりゃ輸入物が高いという現状の中で、もうちょっと国産をたくさん使いたいという方が出てくるのは、これは当たり前のことなんで、単価的にも、もしかすれば国産の方が安いという世界がずっと定着するかもしれないし、これは為替とかシカゴの相場とかいろいろな相場があってのことなんで、どうなるか、これは私も予測としては言えませんけれども、現実今の段階でも逆転現象が起きている部分がある。そう考えると、国産をもう少し、皆さん私どものお客さんは使いたいけれども、今までも使ったり使わなかったり、年によって値段が高くなりゃ使わないし、安くなると使うという構図が、毎年毎年繰り返されてきています。できればいろいろなお金を流通とかそういうところにも出していただくのは有り難いんですけれども、大豆に関して言えば、できれば備蓄を国の方で備蓄をやっていただければ有り難いと思います。これは僕ら問屋とかはみんな思っていることなんで、使っているお客さんもというか、ユーザーさんもそういうふうに思っている方が多いと思いますんで、その辺も一つ検討していただければと思います。
    以上です。
  • 平澤座長
    ありがとうございました。
    では、続いて前野委員、お願いできますでしょうか。
  • 前野委員
    私は福井県の小浜市の方からやってきました株式会社若狭の恵の前野といいます。
    私どもは生産者で、水稲を中心で他はほとんどやっていません。理由としては、湿害が多く、地域によって土の性質が違うことで、畑作に向いていないからです。大豆、麦についても圃場が乾かないというような状態が続いて、水稲にしか向かないという圃場があります。今のところの圃場対策や生産対策などでいろいろ政策として出していただいていますが、この辺をもう少し、生産地域や圃場条件等も考慮していただければありがたいです。弊社の転作についても、ほとんどが飼料米に転作しかできないことで、150ヘクタールのうち、大麦については2ヘクタールぐらいしか手が付けられないという状態です。この現状での取組をどのようにしたらいいのかが、我々の生産者の問題であるかなと思います。
    それと、今の単価の改定につきましては、仕方がないと思います。ただ消費税の部分はちょっと痛いかなと思いますが、税金なので、単価の改定についてはご提案どおりで結構かと思っております。
    いろいろな対策については手厚く、生産者が作付けをしないとできないことなので、その辺の対策さえしっかりしていただければ問題はないかなというふうに思っております。
    以上です。
  • 平澤座長
    ありがとうございます。
    これで今3名の委員から質問、御意見ありましたので、この辺で事務局から回答をお願いいたします。
  • 東野穀物課長
    ありがとうございます。
    小野寺委員からは、今回の対策の中身について現場で使いやすいメニューにしてほしいというようなお話も頂きました。似たような事業は2年前からやっておりまして、水田では実績を積んでおりますので、毎年毎年、現場の意見を聞きながら使いやすいように改善はしてきているというところでございますが、畑地については今回初めてということでございます。また、こういう小麦、大豆の生産力を強化していくというのは、1年で済む話でもございませんので、少し長い目で対応していかないといけないと思っております。今回初めて畑地でも対策をするということでございますが、現場の御意見を伺いながら年々改善をしていくということも必要かなと思っております。
    その際に、ポイント付けをして費用対効果の高いところから採択をしていくということでございますが、これも長い目で見て対策をしていくということでございます。1年で全ての畑地帯を採択ということはできないわけでございますが、少し時間を掛けて皆様に御協力をお願いしていくということかなと思っております。
    また、生産だけではなくて流通・消費対策も併せてということでございます。おっしゃるとおりでございまして、需要のところが伸びていかないと、生産のところだけ対策をしても在庫としてたまっていくということでございますので、今回、最終的な食品製造事業者の方向けの施設整備なんかも用意をしてございます。また、そういう方々は安定供給を一番望まれているということで、そういう保管施設なども併せて整備をお願いしたいということで、生産対策、流通対策、消費対策、三位一体で、国産の小麦、大豆をしっかり増やしていきたいと思っております。
    それから林委員からは、本当は全部国産大豆で賄いたいんだけれども、できないから輸入のものを使っているんだということで、国産大豆をしっかり増やしてほしいという御要望も頂きました。しっかり産地対策も今回措置しておりますので、増やしていきたいと思っております。
    また、備蓄につきまして国家備蓄なんかも考えてほしいということでございました。安定供給というのは必ず必要になってくるわけでございますが、その際、誰がどのように保管するのがよいのかということにつきましては、今後検討をしていきたいというふうに考えております。
    また、前野委員からは、なかなか飼料用米、お米しかできない田んぼがあるんだということでございます。確かに水はけが悪くて粘土質の田んぼ、なかなか大豆、小麦はできない、そういう田んぼがあるというのは承知をしております。土地改良で汎用化水田の整備なんかもやっておりますけれども、まだまだ十分できないところもあります。本当は大豆とかを作っていただきたいんですけれども、なかなかそういうことができないところ、残っているところは、飼料用米ですとかそういうことも活用していただきながら、需給調整に取り組んでいただきたいと思っております。
  • 平澤座長
    ということですけれども、皆さん、今の回答でよろしいでしょうか。
    それでは次、山口委員、よろしくお願いいたします。
  • 山口委員
    皆さん、こんにちは。群馬県の藤岡市より参りました山口あきらと申します。よろしくお願いいたします。
    農林水産省の皆様には、7年前に新規就農をいたしました頃から農業女子プロジェクトで大変お世話になっております。いつもありがとうございます。私どもの農園の紹介から今回のお話につなげていきたいと思いますので、お時間を頂戴いたします。
    私たち上州百姓「米達磨」という農園は、群馬県藤岡市という所で夫婦2人で営んでいる農園でございます。面積8町弱、お米、麦、大豆を全て有機栽培をいたしております。全量直売をしている関係で、常日頃から直接使っていただく加工業者の皆様ともお話をしたりですとか、直接消費者の方とお話をする機会が多々ありまして、我々農家のことをいつも応援くださっている方たちの思いを背負って、今日はこちらに伺わせていただいております。
    私たちは三ない農業といいますか、移住をして群馬県に御縁を頂いて就農をしました。新規就農ということでもともと農家ではない、サラリーマン家庭で育った私たちが就農をし、夫は民俗学、私は土木工学を専攻して、全くお門違いの専門から農家になり、今年で11年目になります。ようやく、何もないところから土地を買って農家になるというところから始まりまして、11年目でやっと経営が整い、基盤が整ってきたかなというところで、今回こうした委員会にお招きを頂きまして、本当に心よりお礼を申し上げます。
    ゲタ対策は、我々も麦と大豆を栽培している関係でいつもお世話になっております。そして11年目でいよいよ、このインボイス制度というものが導入されることが決まりまして、来年から周りの家族経営の農家はどうするかというところで、すごく揺れているところでもあります。そこへ来て今回この消費税の話が出まして、このインボイス制度で仕方なく課税事業者になる農家が多くいるという現状を、しっかりと見ていただいて丁寧な説明を頂けると、現場の農家にはかなり大きな変化になると思いますので、その辺りは少しお心添えを頂けますとうれしいです。
    我々は今40代ですけれども、30代のときに新規就農をし、40代になってやっと経営基盤が整ってきたということで、是非次の世代も巻き込んで新しい農家を増やしていきたいと、地域で活動をしているところです。北関東ですので輪作という、米・大豆を夏に栽培をして、これから麦の栽培に入りますけれども、二毛作ができるという特徴を生かして、是非土地利用型の農業をする若者をどんどん増やしていきたいと思っております。その際に今回のようなゲタ対策など支援を頂けますと、次の世代も、野菜はやりやすくて、新規就農して余りお金が掛からなくて野菜という方が多いんですけれども、そういう方にもこういうゲタ対策があるよですとか、国はいろいろな支援をしてくれるから、是非土地利用型の農業を、是非有機農業をやろうという声が掛けやすくなってくると思います。
    みどりの食料システム戦略というのを打ち出していただいています関係で、私ども有機農家、特に我々若い世代は、国と一緒になってこの思いを未来につないでいきたいという熱い思いを持っている者が、たくさんおりますので、全ての政策に対して有機に関わる部分を増やしていただきたいと思います。有機の視点を入れていただいて、特に土地利用型、耕作放棄地の対策には土地利用型が一番効果的かと思っておりますので、補助金の件ですとか面積要件ですとか、その辺りは少し緩和していただきながら、いよいよ始めたい、少しずつでも始めたいという若い思いのある世代にも届くような支援策を、是非御検討いただきたいと思います。
    お米が余っているというお話をよく聞きますが、日本といえばお米ということで、是非日本の強みは何だろう、我が国の強みは何だろうというところをもう一度踏まえまして、お米ばかり悪者になるのではなくて、是非お米も盛り上げながら、お米、麦、大豆という輪作ができるという土地柄、日本の土地というものを、そこに価値があるということを見いだして様々な政策を考えていただけると幸いです。
    先ほどお話がありました大豆の件ですけれども、新しい品種がなかなか作付面積が増えないというようなお話がございました。我々も4品種、大豆を栽培しております。そのうち3品種は在来品種と言われる昔ながらの品種でございます。どちらかというと作りやすいのは奨励品種で、多収で加工もしやすいというようなところがございますけれども、実際に加工業者さんと直接おつながりする際は、どちらかというとその地域ごとの特徴ある大豆を使った商品開発をする方が、付加価値が付きやすいというようなお話を伺います。新しい品種は収量が良いが、味が余り特徴がないというか、当たり障りがない味になりやすいということで、お豆腐は特に大豆の味が顕著に出るものですから、是非そういった在来品種ですとか昔ながらの品種も多収できるような生産技術の確立についても、研究を進められるように御支援いただけますと、我々生産者としては、昔ながらの品種を大事に種をつないでいきたいと思っておりますので、御支援いただけますと幸いです。
    最後になりますが、現場の声を聞いてくださるという心強いお言葉を、先ほど東野課長よりお伺いいたしました。是非現場の声、大きい企業様の声はよく届いてくるかと思いますが、我々個人農家、そして新規就農したばかりで地域との関わりがまだないような農家も多々おります。是非そういった若者の声を、そして新規就農したばかりの声を拾い上げるような機会を頂けますと、より良い農業・農村の未来へとつないでいく中で、私たちの声も政策に反映されているという力強い応援にもなるかと思いますので、御検討いただけますと幸いです。どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
  • 平澤座長
    山口委員から、現場の実践に基づいた非常に詳細で含蓄のあるお言葉を頂いたと思います。
    もう少しお話を伺ってから回答の方に移りたいと思います。
    それでは、会場の方の委員は一通り済みましたので、続いてあとウェブの方で参加されている委員からお願いいたしたいと思います。
    それではまず、平田委員、お願いできますでしょうか。
  • 平田委員
    平田でございます。お世話さまでございます。
    山形で和牛の繁殖とそれから稲作をやっております。それと集荷販売を少々やらせていただいております。稲作においては、御存じのとおり転作率がずっと上がってきておりますので、当然のことながら畑作物の重要性といいますか、そこでの収益が農家収入に大きく影響するというふうになってきておりますので、重要度がすごく増しているなというふうに思っているところであります。交付単価についての議論については皆さんと意見が一緒で、しっかり計算をされた単価であるということを前提に、異論のないことを申しあげたいというふうに思います。
    先ほどの御説明の中で、各主要品種等も規模の拡大が非常に急速であって、規模の拡大による労働時間の削減の効果が下げ止まってきているというような指摘があったと思います。産地によって担い手の高齢化みたいなやつは、もう肌身にしみて感じるようになってきています。うちの地元は稲作の単作地帯で生産条件としては非常に恵まれた地域ですので、例えば山間地なんかよりも高齢化とか離農に踏み切っちゃう人が出てくるタイミングが、少し遅かったように思うんですけれども、そういう恵まれた地域でも離農なりの動きが非常に顕著になってきております。ちょっとにわかには信じられないなと思ったのですが、本当なのかどうか、基幹的就農人口の中での60歳以上の比率を、何かの講演で出てきた資料で見たんですが、70歳以上も53%だかで60歳以上だと80%に上るという数値が出ていた資料を見ました。産地での担い手不足が表面に出てきて規模拡大が急速に進み、その拡大によるメリットのところが、拡大が進み過ぎて止まりつつあるということだとすると、すごく問題は深刻だなというふうに、先ほどの説明をお聞きして思ったところです。
    考えられる対策とすると、人の問題ですから、どうにかして担い手を連れてくるという意味では、外国人材の利用というのが今まであったと思います。それから自動運転のような作業の自動化の研究のところ、これも進んでいると思う。更に言うと、生産技術そのもの若しくは、流通の段階でのやり方そのものを革新するというようなことの部分が要るんだろうというふうに思います。先ほどの対策の御説明の中で、例えばてん菜での直播への移行とか、ばれいしょでの貯蔵システムの更新みたいな話が出ておって、技術革新のところで言うところの対策が盛り込まれているということについては、非常にいいなというふうに思いました。
    自動化については、産地によってなかなか物は出てきているんだけれども、社会実装が進まないということについては、もどかしく感じています。物すごく高い、農機具が。ロボット農機が物すごく高い、物すごく高いから売れない、売れないから値段が下がっていかないというような悪循環になっているような気がして、せっかくの技術が産地に実装されていかないことが非常にもったいないなというふうに思っています。何らかの対応が必要かなというふうに思います。
    人材については、ちょっとこれは出口が非常に見えないなというふうに思います。ここ数年来、5年なのか10年なのか分かりませんけれども、労働市場みたいなものがすごく農業に限定された労働市場じゃなくなっておって、他産業との競争をしなくちゃいけない時代に急速に入ってきたように思います。結果的に他産業並みの収入が必要、これは会社の、会社のというか経営の生産力の問題なんですけれども、もっと問題なのは、他産業並みの休みが要るというふうになっているように思います。これは農繁期においても普通の休みを労働者の方に準備をするということをしようとすれば、農閑期の労働力がどうしても余っちゃうんです。なので非常に難しい時代になってきておって、昔ながらの考えからすると、正社員を雇って会社の柱に育っていってほしいというふうに思いながら私はやってきたんですけれども、そういう考えだけでは乗り切れない状況に入りつつあるのだろうかというふうに感じているところです。
    いずれにしても産地の生産力を、先ほど冒頭に委員からの御発言がありましたけれども、産地の生産意欲を潰さないようにするには、かなり大胆な対策が要るのではないかなというふうに危惧の念を持っているところです。
    以上です。
  • 平澤座長
    ありがとうございました。
    あと残りお2人のところになっていますので、一応ここで事務局の方から回答をお願いいたします。
  • 東野穀物課長
    山口委員は、みどり戦略に沿って米、麦、大豆に有機で取り組んでいただいているということでございますが、持続可能な農業というのが非常に大事だと思っております。現場の声も聞いてほしいという御意見も頂きました。我々、特に麦と大豆の有機については知見も足りておりませんので、是非ともまた機会を見つけて現場にも行かせていただいていろいろ教えていただきたい。その際にいろいろ現場の声もお聞かせいただきたいと思っております。
    それから大豆の品種については4分の3が在来品種ということで、風味もあっていいものなんだということでございます。私、10年ほど前にもこのゲタの担当をしておりまして、そのときに実は大豆だけは在来品種はゲタを払わないというのが、もともとのこれは大昔の大豆交付金制度時代から、在来品種は駄目だということになっていたわけですが、10年前に担当したときに財務省の担当に掛け合って、在来品種もゲタを払ってほしいということで相当議論をしました。最後は向こうが音を上げて、「今回認めますけれども、10年後に東野さん、後悔しますよ」と、「こんな在来品種をゲタの対象にしたら、私の主張が正しかったか、東野さんの主張が正しかったか、また検証しましょうね」という話になったんですけれども、心強い御意見を頂いて、今は胸を張って「正しかった」と言えるんじゃないかなと思っております。
    それから平田委員からは労働力の問題、大変難しい深刻な問題提起を頂きました。基幹的農業従事者、70歳以上が約6割、60歳以上が約8割というのは、そのとおりでございます。今後この労働力をどうやって確保していくのかというのは、非常に深刻な問題だというふうに受け止めております。自動化、スマート化というようなことも取り組んでいるわけでございますが、なかなか機械もまだまだ高いよという御指摘も頂きました。それから夫婦共稼ぎというのが当たり前になってきて、農繁期だけパートで来ていただける近所の方というのもなかなか見つからないというようなお話も頂いております。この問題も今、基本法の検証部会、それから基本法の検証をやっております中で、どうやって今後日本の農業を持続可能にしていくのか、担い手、労働力の問題も含めて検討をしていきたいというふうに思っております。
  • 平澤座長
    いかがでしょうか。山口委員、平田委員、よろしいですか。
    それでは、あとお2人となりました。まず山﨑委員からお願いできますでしょうか。
  • 山﨑委員
    よろしくお願いいたします。有限会社アグリ山﨑の山﨑美穂と申します。よろしくお願いいたします。今日は詳細な説明をありがとうございました。
    私は茨城県で米、麦、大豆を栽培しています。主力は米でして、国内外に販売しています。今回説明いただいた数量単価の改定についてには異議はございません。
    私からは2点ほど御意見させていただきたいと思います。
    品質区分別単価の設定をするということで、良い品質を作ろうと生産意欲が湧くので、よいのではないかと思います。
    また、御説明のあった作物の中で国産へのシフト、切替えを支援していくという点についても、大いにお願いしたいと思います。というのは、有機栽培で使用できるなたね油かす肥料というのはとても値段が高く、油かすを価格の高い飼料として利用可能な品種に切り替えていくという点に、大いに期待したいと思います。
    以上です。ありがとうございました。
  • 平澤座長
    ありがとうございました。
    それでは、大変お待たせいたしました。根本委員、お願いできますか。
  • 根本委員
    敷島パンの根本でございます。自己紹介というよりも、敷島パン、Pascoの活動を、ちょっとだけまず説明させていただこうと思います。
    弊社では、2008年から食料自給率向上への貢献をしたいという思いがありまして、国産小麦あるいは国産の原材料を積極的に使っていこうという活動をしています。2008年というのは御存じの方も多いと思いますが、今非常に小麦の価格が、外麦の価格が非常に高い状況でありますけれども、その前に非常に小麦の価格が高騰したのは2008年というところであります。世の中が非常に変化したときでありますが、そのとき以来活動をしております。当時は国産小麦の当社の小麦の使用率の中でいけば、ほとんどゼロみたいなところでありましたが、2030年に使用率を当社では20%に持っていこうという活動をしております。実は今14%ぐらいまで来てはおりますが、ここから先が大変というふうに感じているところであります。
    まず交付金のことに関しましては、私が余り多くを語る立場ではございませんが、生産者の方のモチベーションが上がるという仕組みであればいいなと、そんなふうに思っているところであります。
    それで私からは2点ほどお話しさせていただこうかと思います。
    1つ目は、今日の資料の中にストックセンターの整備というのがありまして、これは大変実は喜んでいます。今日御説明いただきました小麦の現状と課題という参考資料の中にも、右下のところに、豊凶変動が非常に大きいと、安定供給体制の確立が急務だというふうに書いてございます。平成22年のときに今90万トンから100万トンぐらいできているんですが、57万トンと、こういうときがありました。北海道に台風が三つも上陸するなんていうときだったと思いますけれども、これ以後、私どもからは安定供給体制が必要と、是非在庫ができるような仕組みでないと、なかなか我々としても国産小麦は使いにくいということをお願いしてまいりました。その中で今回ストックセンターの整備ということが明確に記載されていまして、大変実は喜んでおります。
    ここでちょっと質問なんですけれども、このストック、いわゆる在庫と言っているものはどこが持つんだろうなと、いわゆる製粉会社なのか、あるいは農協さんなのか、どういうイメージなのかなということを一つお伺いしたいと同時に、小麦の生産量の目安というのはちゃんと国ではお持ちなわけなので、どれぐらいの量、何万トンあるいは何か月分とかそういうような具体的な数字を、ストックセンターの整備に対して支援をすることに対して作っていただけると有り難いなというふうに思っています。これが質問の一つ目です。
    それからもう一つは、先ほど御説明いただいた生産対策、流通対策、消費対策の中で生産対策のときに最後に、新品種に対する支援もしていきたいというようなことがありました。実はそこも非常に僕は大切というか、そこをお願いしたい。これは要望のところなんですけれども、昨今の気候変動への対応というのは、これはいろいろな多面的にあるわけですけれども、その中で小麦に対しても気候変動への対応というのが非常に大きな課題でありまして、小麦の生産者の方の中では湿害でありますとか、穂発芽耐性でありますとか、こういうものの耐性がある品種の開発が本当に急務だというふうに、生産者の方とお話をしていると本当に強く感じます。なので、先ほど御説明の中で生産対策の中で、たしか最後に、新品種に対する支援というふうにお話があったと思いますが、文言としてここに書いていないので是非書いていただいて、新しい品種の開発に対する支援を是非強力に進めていただきたいし、また、そういう品種が出たときには、優良品種への登録を素早く認めていただけるような仕組みを作っていただきたいなと、そうすることが生産者のために非常に大きな支援にもなるし、我々もそれを十分に使っていけるんだろうと、そんなふうに思っているところであります。
    私からは以上です。
  • 平澤座長
    ありがとうございました。
    事務局から回答をお願いいたします。
  • 東野穀物課長
    ありがとうございます。
    山﨑委員からは、単価、単純に60キロ幾らということではなくて、品質区分ごとに単価を設定して、いいものを作ればたくさんの単価が出るというのは非常にいいことだということ、それからなたねの油かすを使えるダブルローのところを優遇するというようなことで、インセンティブを高めてやってほしいということでございました。しっかり生産者の高品質なものへの取組のインセンティブになるように、引き続き努めてまいりたいと思っております。
    それから根本委員からは、国産の小麦、国産の原料をたくさん使っていただいております。ありがとうございます。御質問がありましたストックセンターの整備ということですが、これは私どもの方でどこで整備しないといけないというのは、余り決めない方がいいかなと思っておりまして、産地で農協の倉庫として持っていただくというのも支援対象にいたしますし、それから製粉のところで持っていただくというようなものも同じように対象にしたいと思っています。小麦の場合は粉になりますので、製粉から先で小麦の粒でストックするというのはちょっとないのかもしれませんが、大豆については、その先の豆腐屋さんですとか納豆屋さんでストックするというようなこともあるのかなと思っております。いずれの段階での整備でも、同じように2分の1の支援をさせていただきたいというふうに思っております。
    それから、どのぐらいが適正なのかというのは、これはなかなか難しいところでございます。今のところ何か月分というのははっきりお示しすることはできませんけれども、この仕組み、まずはそういう倉庫を造るということで、これが軌道に乗ってきたら、大体どのくらいが適正な在庫量なのかというのも併せて検討していきたいというふうに思っております。
    それから品種開発、気候変動への対応ということで、国産小麦は今まで要らないと言われていたところから、今やもうちょっと作ってほしいというような引き合いがあるところまで持ってこられたのも、一つは品種開発の成果だと思っております。引き続きしっかり品種開発、支援をしていきたいと思っております。
  • 平澤座長
    いかがでしょうか。根本委員、よろしいですか。
  • 根本委員
    ごめんなさい、根本ですけれども、この資料のところに文言として入れていただくということは可能ですか、品種開発への支援ということですけれども。
  • 東野穀物課長
    参考資料の方ですよね。
  • 根本委員
    はい。
  • 東野穀物課長
    参考資料の2ページの所で、小麦の所だと思いますが、2ページの生産対策の一番下の所に、「新品種の開発により生産性の向上を図るため、新品種の開発経費を支援」ということで、10億円措置しているというのは入っているんですが、これ以外にということでしょうか。
  • 根本委員
    すみません。そういうことなんですね。承知しました。
  • 平澤座長
    ということで、これで全ての委員からの御発言が終わりました。活発な御意見どうもありがとうございました。皆様から、それから審議事項も含めまして貴重な御意見を頂いたと思います。皆様からの御意見なりコメントなりのところは、国産の需要は幸い期待があるということで、いかに安定供給していくかということで、生産の意欲をいかに引き出すかということ、それから流通なりのところをどうやっていくかということで、豊凶変動がありますので保管なりをどうしていくのかといったようなことにまつわるお話が多かったのと、あとは労働力の不足なり気候変動なりということが、産地でももう喫緊の課題として出てきているということで認識されているということだったかと思います。
    それと私からも、この機会なので一つだけ質問がございます。先ほど内外価格差がもうないんじゃないかというようなお話が出ていたんですけれども、どうでしょうか。畑作全般に、特に麦と大豆のところで内外価格差の動向なり、あるいは、普通この種のことは喜んでいると元に戻ってしまうことが多いんですけれども、その辺の見込み等ももしありましたら頂ければと思います。
  • 東野穀物課長
    小麦と大豆についてで申し上げますと、小麦の価格は近年非常に上昇してきております。ただ、これは農水省の仕組みではないんですけれども、民間の取決めで、小麦の引取りのときに、輸入の小麦が上がったり下がったり価格がした分は、国産の小麦の引取り価格に上乗せしたり引いたりして調整するというルールで取引されていますので、実は輸入の小麦が上がった分、国産の小麦の価格も上がっているという状況であります。
    それから大豆につきましては、輸入の大豆は主に2種類ありまして、一つは油を搾るための、これはGM大豆、遺伝子組換えをされた油用の比較的安い大豆、それから豆腐ですとか納豆ですとか煮豆なんかに使われているいわゆる食用大豆と呼ばれているのは、ほとんどが遺伝子組換えでないnon-GMの大豆であります。国産と競合するのは主にnon-GMの大豆でありますが、ここは非常に値段が上がってきていて、私どものデータでは昨年産はほぼ拮抗するぐらいまで価格的には迫ってきていると、今、林委員のお話では今年はもう逆転、一部で逆転をしているということですので、価格的には今は国産と輸入のnon-GM大豆は、ほぼ同じぐらいになっているというふうに認識をしております。
  • 平澤座長
    どうもありがとうございます。
    ということで、皆様の意見は大体出そろったということだと思うので、私からも一言申し上げておきたいと思います。
    今日、冒頭から何度か皆様も言及されているように、今、食料安全保障上の懸念が高まっているわけです。国際情勢がどうなるか、あるいは日本が相対的に経済的な地位も下がっているし、気候変動もありということで、とにかく先行き不透明なわけです。そうしますと、今の紛争がどうとかそういうことだけではなくて、長期的にどうしていくかということになっているんだと思います。それで基本法の見直しもしているということですけれども、そうしますと、不測の事態が生じて輸入に大きな支障があれば、これは国内生産に頼らざるを得ないということなんです。ところが、農水省の食料自給力指標を見ますと、国内の生産基盤が弱った結果、国民が必要とする最低限の食料生産が、いざというときにどうもだんだん難しくなってきているという情勢であります。
    国民のカロリーを担うのは、正にゲタの制度の対象である土地利用型作物であります。ここが何かあったときには命綱ということになります。日本は人口1人当たりの農地が少ないですし、山国で生産条件が不利ですので、その国内外の格差を埋めていく必要があります。ですからゲタの役割は食料安全保障の非常に重要な役割を持っていると思うんです。そこの土地利用型農業が今、正にかなり厳しくなってきているということであります。ですからゲタは非常に優れた制度ではあると思うのですけれども、是非、食料安全保障ということを踏まえてゲタだけに留まらず、新たな直接支払制度も含めて御検討いただけたらというのが、私からのお願いであります。
    加えて、さっきみどり戦略の話も出ましたけれども、今後は環境対策、それから気候変動ということで、欧米の流れもそういった形で環境に対応していく形の農業政策ということでありますし、公的資金、税金の使い道ということでも、そういった分野を拡充していくという流れに世界的になっていると思いますので、是非そちらの方向で、もしかするとこれはゲタにとどまらないのかもしれないですけれども、食料安全保障と環境対応あるいは気候対応の2本立てで、直接支払制度を是非拡充していく方向で御検討いただけたらと思う次第であります。
    私からは以上でございます。
    それでは、以上の審議を受けまして最後に皆様の決といいますか、結論を出したいと思いますけれども、まず皆さん問題なしということでしたので、ゲタ対策の数量単価等の改定、こちらの審議内容そのものにつきましては、皆さん肯定的な評価を頂いたということでよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

  • 平澤座長
    特に異議はございませんですね。ありがとうございます。
    それでは、異論なしということでありますので、本日の内容をもう一度整理をいたしまして、後ほど食糧部会に報告させていただきたいと思います。報告の仕方に関しましては、座長に一任いただきたくお願いできればと思います。よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

(2)その他

  • 平澤座長
    ありがとうございます。
    それから、最後になりますけれども、その前にもう一つ、議事の方にその他というのがございますけれども、こちらの方は何か事務局からございますか。大丈夫ですか。よろしいですね。
    それでは、最後は御案内ですけれども、本日の議事につきましては議事録として整理いたしまして公開することとなりますので、後日、事務局から確認の御連絡をさせていただきます。
    それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。本日は活発な御審議を頂き、どうもありがとうございました。
  • 小川経営安定対策室課長補佐
    平澤座長、委員の皆様、ありがとうございました。
    それでは、以上で本日の議事は全て終了となります。
    これをもちまして、経営所得安定対策小委員会を閉会いたしたいと思います。
    本日は、お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございました。

お問合せ先

農産局穀物課経営安定対策室

担当者:ゲタ班
代表:03-3502-8111(内線5138)
ダイヤルイン:03-3502-5601

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