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農林水産省

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令和6年度農業保険部会(令和6年5月30日)

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1.日時及び場所

令和6年5月30日(木曜日) 10時00分~12時00分
農林水産省第2特別会議室

2.議事

農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方について

3.概要

10時00分 開会

〇大橋課長補佐
それでは、定刻になりましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会農業保険部会を開会いたします。本部会の事務局を担当しております、農林水産省経営局保険課の大橋と申します。よろしくお願いします。農林水産省では、節電対策や地球温暖化防止に資するため、クールビズの取り組みを実施しております。本日の部会においても、軽装にて開催させていただきますので、あらかじめご了承ください。
それでは本日の出席者のご紹介をさせていただきます。部会長の小針委員でございます。

〇小針部会長
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
それから、ここからはWEB参加という形になりますけれども、椛木委員でございます。

〇椛木委員
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
内藤委員でございます。

〇内藤委員
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
山波委員でございます。

〇山波委員
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
続きまして、臨時委員のご紹介です。石橋委員でございます。

〇石橋委員
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
佐藤委員でございます。

〇佐藤委員
よろしくお願いします。今日、カメラオンにできないのですけれど失礼いたします。

〇大橋課長補佐
古谷委員でございます。

〇古谷委員
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
柳瀬委員でございます。

〇柳瀬委員
よろしくお願いいたします。

〇大橋課長補佐
よろしくお願いします。それから、出席いただく委員の中で、恩田委員ですが、オンラインですけども、所用で10分ほど遅れて参加というようなことを事前にご連絡いただいております。また、ご参加いただいた時にご紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
本日はWebの併用開催となっておりまして、リモート参加の委員8名も含め、当部会の委員、それから臨時委員合わせて9名の方にご出席いただいております。所属委員の3分の1以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、本部会が成立しておりますことをご報告させていただきます。
次に、農林水産省の出席者をご紹介させていただきます。まず、勝野経営局担当審議官でございます。

〇勝野審議官
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
白石保険課長でございます。

〇白石保険課長
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
御村農業経営収入保険室長でございます。

〇御村農業経営収入保険室長
よろしくお願いします。

〇大橋課長補佐
次に議事の運営でございますが、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項によりまして、審議会は公開が原則となっております。本日の会議につきましては、これまでと同様、公開ということになります。議事録等につきましても公開することになっておりますので、ご了承いただければと思います。
また、議事の中でご発言される際は、挙手等の合図をしていただけると助かります。よろしくお願いします。それから、回線のトラブル等で声が聞こえづらくなった場合は、事務局員から連絡を携帯電話だとか固定電話の方にさせていただいて、電話にて議事を進行させていただくことも、考えておりますので、その際はよろしくお願いいたします。
それでは、これ以降の当部会の運営につきましては、小針部会長にお願いすることといたします。よろしくお願いします。

〇小針部会長
はい。皆さんおはようございます。部会長の小針でございます。
今回も、委員各位のご協力をいただきながら、円滑な議事の進行に努めて参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
初めに、農林水産省から勝野審議官よりご挨拶をいただきたいと思います。 勝野審議官よろしくお願いいたします。

〇勝野審議官
経営局の審議官をしております、勝野と申します。委員の皆様におかれましては、日頃から農政の推進にご理解、ご協力をいただいておりますことに、まず、感謝を申し上げたいと思いますし、ご多忙のところ、ご出席を賜りましたことについても御礼を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございます。令和6年度食料・農業・農村政策審議会農業保険部会の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げたいというふうに思います。
まず、昨日ですね、農政の憲法と言われます食料・農業・農村基本法が改正をされたということで、その翌日という記念すべき日といえるかと思います。収入保険の部分は、条文改正はなかったのですが、令和元年に制度開始をいたしまして、現在6年目の収入保険の期間に入っております。導入後ですね、令和2年、3年と、皆様も記憶に新しい新型コロナウイルスや米価下落ということで、農業経営に広範囲かつ大きな被害が生じました。また、昨年は大雨の被害ですとか、夏の高温被害、この場でも、前回議論させていただいたと思うのですけれども、非常に大きな被害が全国的にあったということです。また、今年は1月1日に能登半島地震という大きな地震があって、災害が起こったということで、本当に毎年のように自然災害が発生しているということでございます。
農林水産省としましては、関係機関等と協力をいたしまして、こうした被害からの復旧に取り組んできておりますが、やはり農業経営の安定の面では、セーフティネットの対策というのは大変重要だというふうに、改めて我々も認識をしております。様々な被害があると、収入保険に入っていれば良かったというふうな声を多数いただくという状況です。あらかじめの対策ということで、収入保険というのは皆様の、農家の方の幅広い品目、そしてリスクを対象にしているということで、農業経営の安定に貢献をしてきたのではないかと自負をしております。
また、加入者は、10万経営体に近づいてきております。今後は安定的な制度運営を行いながら、より効果的、効率的な仕組みにしていくということが課題となっております。これまでも様々な見直しを行ってきたところですけれども、今後とも、データや現場のニーズ、そういったことを踏まえて、不断の改善を行っていきたいというふうに考えておりますので、皆様方には、どうぞご意見をいろいろと賜ればというふうに思います。
本日は、すでにご案内の通り、この収入保険につきまして、本日付で農林水産大臣から諮問がなされております、保険料標準率の算定方式の考え方につきまして、委員の皆様にご審議をいただくことになっております。収入保険の適切な運営のため、忌憚のないご意見を賜り、ご審議の上、答申をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

〇小針部会長
勝野審議官、ありがとうございました。それでは、カメラなどによる撮影は、これ以降はご遠慮いただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、次第の3、議事に移りたいと思います。本日付けで農林水産大臣から諮問がございました、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方について、審議を始めたいと思います。その前に、料率見直しのスケジュール、収入保険制度の概要を事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

〇白石保険課長
保険課長の白石でございます。本日はよろしくお願いします。
まず資料4につきまして、料率見直しのスケジュールについて簡単に、冒頭、お話をさせていただきます。収入保険、その他農業共済についてですけども、農業保険法に基づきまして、3年ごとに保険料標準率の算定方式についても、改定するということでございまして、3年ごとにそれぞれ審議会の皆さんにおかれて、標準率算定方式の考え方について審議を行うという形になってございます。
今年度につきましては、下の表にございますように、本日ご審議いただく収入保険、また、秋以降にご審議いただくと思いますけれども、果樹共済と畑作物共済という、その3つの改定の時期に来ておりますので、それについてご審議をいただくといったことでございまして、本日は、収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方についてご審議をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

〇御村農業経営収入保険室長
続きまして、私の方から、収入保険制度の概要ということで、制度の実施状況等のご説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
資料5のですね、1ページ目をご覧いただけますでしょうか。収入保険の仕組みでございます。皆様ご存知かと思いますけれども、収入保険の特徴といたしまして、まず品目の枠にとらわれずに対象にするということと、自然災害による収入減少だけでなく、価格下落などの幅広いリスクを対象にすること、それから個別の農業経営者ごとの収入全体を見て、補塡を行うといったところに大きな特徴がございます。制度としましては、平成31年、令和元年から開始をしてございます。加入者に対しまして、保険期間の収入が基準収入の9割を下回った場合に、その差額の9割までを補塡する制度でございます。対象者といたしましては、青色申告を行っていらっしゃる方、個人法人、いずれも対象になります。それから右側の図に書いてございます、基本的にはこのオレンジの部分で保険方式がメインでございますけれども、掛け捨ての保険料を負担する保険方式と別に、任意でございますが、掛け捨てでない積立方式による支援というのもさせていただいておりまして、それがこの黄色の部分でございます。
それでは、次のページに移らせていただきます。この2ページ目でございますけれども、加入状況でございます。先ほど審議官の方からも触れさせていただきましたが、上の表の一番右のところでございます、令和6年加入者の方、まだ途中でございまして法人の方々は、これからも加入ができるというところで、途中の段階でございますけれども、今、9万3,000経営体を超える加入をいただいてございます。これは6年の加入全体となりますと、もう少し数字も伸びてくるかと思っております。我々としましては、加入者の方々に入っていただく取り組みをしてきたのですけれども、9万を超えて、当初考えておりました10万に近づいておりまして、一定の保険基盤が確保できたのではないかと考えております。それから下の方に、営農類型別の加入状況を書いてございますけれども、センサスからくる青色申告者の割合との比較で言いますと、営農類型別には、特に偏りもなく、バランスよく加入いただいているのかなというように考えております。
それから3ページ目でございます。収入保険の制度は、法律上も、本制度上、他の農業共済、それからナラシ対策、野菜価格安定制度といった、他の類似の収入下落を補塡する制度との関係では、農業保険かこういった類似の制度か、いずれかを選んでいただくという選択制をとってございます。ですので、収入保険に他の制度から移ってこられるということになって、順調に移行が進んできておりまして、ただ、近年をみますと少し移行が鈍化しているかなという状況にございます。
それから次のページでございます。4ページ目でございますが、これまでの収入保険制度の支払い状況でございます。上の表がお支払いをした経営体数、それから下の表が支払額でございますけれども、令和元年の制度導入以降、新型コロナウイルス、それから米価下落という、非常に広範で全国的に大きな影響が出るような災害といいますか、リスク要因がございました結果、令和2年、それから3年については、お支払いをした経営体数、それから金額の方でも非常に大きな支払いとなってございます。特に積立方式は、9割から下の部分ということで、浅い影響についてお支払いする部分でございますので、例えば令和3年のお支払い経営体というのは半分を超えて、50%を超えるお支払いになってございます。我々としましてはですね、そういった予測できないような大きな事態に対応しまして、しっかりとしたお支払いをさせていただいたという意味で、かなり農業経営の安定には貢献ができたかなということでございますが、一方で、支払い額が少し増大してきたというような状況にございます。
次のページでございます。これまでの収入保険の見直しについて、まとめさせていただいておりますけど、まず1枚目につきましては、これまでの現場のニーズを踏まえまして、基本的にはできるだけ入っていただきやすくなるような、利便性が上がるような見直しをしてきました。1つ目は、令和2年からでございますが、補償範囲の選択ですね。こちらはもともと選ぶことができたのですけども、令和2年からは、下の方にカットすることができる、補償の下限を入れることができるようにしまして、さらに補償範囲を選択しやすくしております。それから同じく令和2年からは分割支払いをより柔軟にしていただく見直しをしましたし、令和3年からは、事務費の負担軽減ということで、大口割引を入れております。それから令和4年からは、インターネットの申請を可能にするとか、自動継続の特約を作るとか、そういった利便性の向上に資するような取り組みをしてきました。
それから次のページでございます。これは令和6年、この1月からの保険期間の加入者の方にお選びいただけるような仕組みでございますけれども、大きく3つございます。1番上には気象災害の特例でございます。収入保険は基準収入を設定する際に、基本的には過去5年の収入実績の平均を用いて設定をすることになってございます。過去に災害によって収入が大きく下落した場合については、将来的な今後の基準収入設定の際に基準収入が少し目減りをしてしまうといった問題がございましたので、この特例を使っていただきますと、過去に被災をした年の基準収入の実績を補正することができる仕組みになっておりまして、それによって、今後の基準収入の設定を上方修正することができるといったところでございます。
2つ目でございますが、冒頭に申し上げたとおり、収入保険の制度では積立方式を選ぶことができまして、掛け捨てではない部分ですとか、国からの支援が加入者1に対して3の支援があるというところで、手厚い制度ではございますけれども、最初に積み立てをしていただくときに、どうしても積立金の金額が大きくなるということもございましたので、加入者の一部の方からは、やはり最初の負担が結構重いというお話をいただいておりましたので、今回、保険方式で9割までを対象とする制度を作りました。積み立てなしだとこれまでは、最大8割までしかカバーできなかったのですけれども、これによって積み立てを選んでいただかない場合でも9割まで保険方式でカバーできるようになったということでございます。
最後に青色申告ですね、基本的には過去5年の実績が必要なのですけれども、これまでも2年分で最短で入るということが出来るとしていたのですが、6年からは、過去1年分の青色申告実績でも加入ができるといったことを、見直しさせていただいたところでございます。
それから、次の7ページに移らせていただきます。ここは令和7年の加入者の方から適用を考えている見直しでございます。収入保険も令和元年から4年間データを積み重ねてきまして、4年分のデータが集まってきましたので、そちらの方を我々としましても少し分析をしてみました。その結果、運用をよりよい形に改善をしたいと考えております。内容でございますけれども、収入保険は、最初に基準収入を設定する際に、通常で、この上の四角の丸1でございますが、過去5年間の収入の実績の平均を使うということでございますけれども、丸2,丸3に書いてある通り、単位面積当たりの収入が上昇傾向にあるときは、収入上昇特例、それから経営規模を拡大される場合は、規模拡大特例がございまして、そうした特例を適用することによって、基準収入の算定を5年間平均ではなく、特例の計算式を用いて算定をすることで、過去5年だと少し低く出てしまうという方に対して、少し上方に補正をするということをさせていただいております。資料の真ん中のところでございますが、過去4年のデータを見てみますと、このバーにございますが、特例なしの方が水色、それから収入上昇特例を適用された方が緑色、規模拡大特例を適用した方が黄色ということでございます。積立方式、保険方式いずれも、通常の特例なしの方と比較しますと、特例を適用した方につきましては、金額ベースの被害率が少し高いという状況にございます。我々としましては、見込み収入をなるべく実態を反映した形で設定できますように、工夫はしてきたつもりではありますけれども、結果を見てみますと少し改善の余地があり、そうすることが、加入者の皆様の全体としても、良いことではないかというように考えております。今考えておりますのは、そういった趣旨ということでございますが、具体的に右下に書いてございます通り、特例を適用した場合、基準収入が実態と比べまして、少し高く出ているかなということがございますので、特例の計算式を一部補正するという部分の改善をしたいと思っております。具体的には収入上昇特例というものは、今伸び率を使った計算式をしているのですけれども、それを過去の収入実績のトレンドの直線回帰式によって、設定をするということにしたいと思っておりまして、また規模拡大特例の方につきましては、算定に用いる面積当たりの収入を、過去のデータを踏まえて、一部抑制をするといった取り組みをすることで、より実態に近い基準収入設定が可能になるのではないかと考えてございます。収入保険も、今後もこういった過去のデータを踏まえまして、必要な改善というのは、不断の取り組みが必要だと考えております。
それから最後になりますけれども、8ページ目をご覧いただけますでしょうか。最近の災害における対応の事例を書かせていただいております。最近、災害が非常に頻発している状況でございますけれども、収入保険は幅広い品目が対象にできること、それから幅広いリスクを対象にしているという特性がございますので、これらの災害に対して、ある程度効果的な対応ができたのではないかというふうに考えております。
例えば令和2年に豪雨災害がございました。全国各地で豪雨災害がありまして、結構幅広い農産物に被害が出たというところがございました。もともと農業共済の制度ございますけれども、どうしても葉物だとか、野菜については、技術的に対象にできないというところがございましたが、収入保険の場合は品目の制限なく対象にできますので、そういった方についても、ネギですとか、スイートコーンとか書いてございますけれども、いろいろな対象作物を作っていらっしゃる方を幅広く支援することができたと思います。
それから令和5年の異常高温がございました。こちらも基本的には等級の低下だとか、品質の低下といった部分がございまして、既存のセーフティネット制度ではなかなか対象にできないというところございましたけれども、収入保険の場合、幅広いリスクをカバーしておりますので、結果的に収入が減少したものについては、しっかり補塡をさせていただくことができたと考えております。
それから、令和6年の能登半島地震でございますが、こちらの発災が元旦だったということもありまして、多くの作物がまだ作付けができていない状態でございました。その後、やはりどうしても圃場の復旧が間に合わないだとか、水が持ってこられないといった事態がございまして、作付けができないということも発生をしております。収入保険の場合、作付け前であっても、加入いただいている場合は対応できますので、そういった意味でも貢献ができるのではないかと考えてございます。こちら収入保険の最近の対応の事例のご紹介でございました。雑駁ではございますが、こちらからの説明は以上でございます。

〇小針部会長
続きまして、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

〇大橋課長補佐
説明に入る前に、先ほどご紹介させていただいた恩田委員がご参加いただいているようなので、ご紹介させていただきます。恩田委員よろしくお願いします。

〇恩田委員
よろしくお願いします。遅れてすみませんでした。

〇大橋課長補佐
よろしくお願いします。
それでは議事の方に戻ります。資料6になります。先ほどの審議官のご挨拶にもあったように、本日付けで保険部会の方に諮問がされております。次のページに、タイトルにあるように本日お諮りさせていただくのは、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方でございます。令和7年1月1日以降に保険期間が開始する、収入保険の保険関係に適用する保険料標準率を次により算定するということで、1から始まり、3に至るまでの、これらの各率を、このようなやり方によって算定しますよというようなことをお諮りさせていただきます。正式な諮問文は、こちらになるのですけれども、その諮問文、補足の説明も含めて、もう少しかみ砕いた資料をご用意させていただいておりますので、次の資料7の方で説明をさせていただきます。
資料の1ページ目。この資料の立て付けは真ん中の縦線から左側の部分が、先ほど正式な諮問文ということでご紹介させていただいた、資料6の諮問の内容が、1字1句左側に書かれております。それの補足をする説明が右側、真ん中の縦線より右側の部分に補足させていただくと、そういった資料の構成になっております。繰り返す部分もありますが、左側の諮問文、令和7年1月1日以降に、保険期間が開始する収入保険の保険関係に適用する保険料標準率は次により算定します。
次のページ、左側の諮問文を読み上げさせていただきますと、1番の保険料標準率は、保険限度額区分ごと補償の下限の割合ごとに、過去一定年間の基礎被害率の平均値に安全率を加えて算定します。それから(2)、各年の基礎被害率は、保険限度額区分ごと、補償の下限の割合ごとに、各年の実績金額被害率を基礎として、必要に応じて修正を行ったものを用います。という諮問文でございます。今ご覧になっていただいている、諮問文、所要のワードのところにアンダーラインが引かれている部分があります。アンダーラインが引かれている部分を補足している説明が右側にありますので、それぞれ紹介させていただきます。まず、保険料標準率です。保険料標準率とは保険料率の基礎となる率です。これを基に全国連合会が設定した危険段階区分別保険料率、これを加入者の保険料率として適用させていただきます。危険段階区分別保険料というのは、加入いただく方の過去の受け取った保険金、その実態に応じて、多く保険金を受け取っている人は保険料率が大きく、少ない保険金の受け取り、或いは保険金を全く受け取ってないという方は少ない保険料率が適用されるように、また後ほども紹介させていただく部分もありますけれども、全部で21段階、危険段階区分を設けて、保険金の受取実績に応じて、実際の保険料率は適用され、それらの危険段階別保険料率の大もとになる、標準になる、それが保険料標準率ということでございます。2つ目の白丸、3つ目の白丸になるのですけれども、その保険料標準率は、そもそもの収入保険は、保険金が支払われる発動ラインとか、先ほども資料5の説明の中で触れた、補償の下限の部分、そういった割合については、複数の割合から加入者が選択いただけることになっているのですけれども、その割合ごとに計算される保険金額や保険金は変わってくるので、これらの割合ごとに保険料標準率は設定が必要になってきます。なので、この保険限度額区分ごと、補償の下限の割合ごとに保険料標準率が設定されるということになります。選択できる割合は、発動ラインの割合が2つ目の丸、補償の下限の割合は3つ目の丸に書かれている数字の中から、加入いただく方に選んでいただけるという格好をとっております。それから保険料標準率の計算式、これは4つ目の白丸ですけれども、各年の基礎被害率の平均値、これに安全率をプラスさせていただきます。次の白丸にも関わってくるのですけれども、各年の基礎被害率は、過去一定年間として、直近10年間のデータを使わせていただいております。
次のページで、その10年分のデータを使うのですけれども、収入保険は、先ほどの説明からもあるように、令和元年からスタートして4年分の実績は固まっていて、その10年分データが必要って言っている中で、4年しか実績ないじゃないかというようなお話があるのですけれども、収入保険制度発足前に、そもそも制度発足当時の料率をどの程度にするかのために、たくさんの農家の方にご協力をいただいて、農家ごとの収入のデータだとかを調査させていただいたものがあります。そのデータを用いて、平成30年以前は、その保険料標準率の算定の元となる基礎被害率のデータを使わせていただいているところでございます。下の丸のところ、各年の実績金額被害率、これは次の通り算定するということで、支払われた保険金を保険金額で割ると、補償されている金額の中で、どれだけ保険金が支払われたかというその率を、各年の実績金額被害率として算定して、その平均が基本となって保険料標準率が算定されます。
それでは次のページ。過去10年間の平均にプラスする安全率ですけれども、そのご紹介でございます。その安全率、3行目に書いてあるように、計算式は各年基礎被害率、使うデータは平均を計算するときの10年分のデータと全く同じものを使っております。各年の基礎被害率の標準偏差、平均に対してどれだけそれぞれの年の被害率が乖離しているかという程度を表している標準偏差に一定の係数を乗じております。下の※印の一番最後に書いてあるように、収入保険の場合の一定の係数というのは、括弧書きで書いてある、0.9という係数を用いております。標準偏差をそのまま安全率としてのっけるというよりは、将来の赤字の発生確率を見越して、その標準偏差をどの程度圧縮するのかということを、一定の係数を用いて反映しております。下の左側の表のところに、安全率の算出に用いる係数0.9の算出という表があります。その左からの2列目に、保険料標準率が今後長期的に見込まれる被害率の平均を下回る確率丸の2ですけれども、設定する保険料標準率が、今後長期的に見てどれぐらいの赤字の発生だったら耐えられるのかということを勘案して、安全率を計算するということでございます。
例えば、その表の中の農作物共済が一番上の列ですけども、20%という発生確率を用いています。農作物共済は昭和22年から始まって、もう何十年も運営されておりまして、それなりに積立金も積まっているということもあり、この20%の赤字発生確率ということは、5年に1回の赤字、それであっても十分耐えられるでしょうということで20%。その左側にある算定に用いているデータの年数、農作物共済の場合は20年を用いておりますので、この20年と20%、これを数学の統計学的な考え方に基づくt分布表に当てはめて計算すると、その一定の係数というのは0.2なので、標準偏差を0.2まで圧縮してもまあ大丈夫でしょうというような見方となっております。
一方、収入保険、その表の中の一番下でございますけども、赤字の発生確率1%というようなことで置いております。収入保険は、始まって間もないというようなことだとか、2年、3年で支払いが若干重なったというようなところもあって、農作物共済などよりは、赤字の発生確率を1%、100年に一度ぐらいでも耐えられるということで少し緩めまして、それと使うデータの年数10年を、t分布表に当てはめて計算すると、一定の係数は0.9ということで、共済よりはこの圧縮は薄めで、収入保険は安全率を計算しているというところでございます。
それから次のページ、各年の被害率は、諮問文の中に書いてあるように、必要に応じて修正を行うとありますが、この必要に応じて修正を行うというのは2つ要素としてあります。1つは発動ラインの割合、補償の下限の割合ごとに、保険料標準率は設定するというお話はさせていただいたところですが、その発動のラインの割合、補償の下限の割合によっては、加入いただいている方が少ない割合もございます。その場合、その少ないデータを用いて保険料標準率を算定ということになってしまいますと、大きく振れてしまうというようなことになって、適当な保険料標準率の算定に繋がらないということになってしまうものですから、一番加入の多い、発動ラインが80%、補償の下限はなしのデータを用いて、その加入者が発動ライン90%の下限70%を選んだと仮定した上で、保険金額や保険金を計算し直して、その計算し直した金額を用いて被害率を調整し、該当する割合の保険料標準率の算定をしております。また、もう一つ、令和7年以降の加入者に適用される制度の見直しを反映して、被害率を補正というお話がありますが、これも先ほど資料5で、令和7年の加入者から基準収入の設定方法の特例の計算式の運用改善を図るというお話をさせていただきました。令和7年以降、それを措置することによって被害率は抑制されてくるのですけれども、過去の10年間の実績については、まだ運用改善される前のデータなので、その効果を反映して抑制されているような状況ではありませんので、これも将来いただく保険料に応じるように、令和7年から適用される特例の運用改善、これを過去の被害率にも反映した上で、調整し直した上で、保険料標準率を算定しているという補正もさせていただいております。
ここまでが全体の農業者の方にご負担いただく保険料、その計算の基になる保険料標準率ということになりますが、ここから先、2ページにつきましては、全体でいただいた保険料を、保険金の支払いの責任に応じて、政府と全国連合会でどの割合で分けていくのかと、いったようなものの説明になってきます。全体の保険料標準率は、今までの説明でおしまいです。あとはそれを責任に応じてどう振り分けるのかというのが、この後2ページにわたる説明となります。
今、ご覧になっていただいているページですけれども、政府と全国連合会の責任の分担ということの説明からさせていただきますが、右側の下の緑色や白で色塗られた正方形の図があると思いますが、中ほどに赤い太い線で、通常標準被害率なるラインで、上下を区分しております。この通常標準被害率とは、通常起こりうる災害のラインということで考えていただければ結構かと思います。通常、起こりうる災害のラインよりも下の部分につきましては、全国連合会1の緑色にあるように、実施主体である全国連合会が、保険金支払いの責任をすべて負っていただくというようなことになるのですが、この赤い通常の災害ラインを超える、異常の災害が起こったら、95%、ほとんどを政府が支払責任を負うと、こういった責任の分担という形になっております。その時の、この通常標準被害率という、通常の災害ライン、この計算式は右側の2つ目の丸にありますように、各年の基礎被害率の平均値、これに各年の基礎被害率の標準偏差をプラスして、通常の災害ラインを決めております。使用する各年の基礎被害率は、先ほど説明させていただいた保険料標準率のものと同じですけれども、下の図にもあるように、令和2年とか令和3年、こちらにつきましては、コロナとか米価下落、こういったことを要因として、多額の保険金が支払われた異常年でございますので、通常災害ラインを決めるのに、この異常値を含むと適当じゃないと判断をしまして、この2年3年については除いた、残り8年で、先ほどの算定式に基づいて、通常の災害のラインを決定させていただいております。
次のページ、この通常の災害ライン、このページ上では赤い太線から黒い点線に変わっているのですけれども、この通常標準被害率、通常の災害のラインより下の部分と上の部分、これで各年の基礎被害率を分割した上で、まず下の部分、通常標準被害率より下の被害率を使って、保険料標準率と同じように10年分の平均に安全率をプラスして、通常標準被害率以下の部分の責任に応じた保険料標準率、通常保険料標準率を算定します。
全体の保険料標準率と、この通常災害ラインより下の通常保険料標準率が決まれば、あと残り差し引きで、その通常災害ラインよりも上の部分に必要な保険料標準率が決まってくると、異常保険料標準率と呼んでいるものでございます。
ただ、もう1つ仕掛けがありまして、右側の3つ目の白丸になるのですけれども、こうやって全体から通常を差し引いたものを、そのまま異常保険料標準率として使うことではなくて、実は2分の1カット措置というものを講じております。2分の1カット措置とは、前回の保険料改定のときにもご説明させていただいたのですけれども、引き続いて措置しているものでございます。令和3年12月に行政改革推進会議から、国の積立金が微増傾向にあるという指摘があったことを踏まえまして、その積立金の増加を抑制する観点から、本来は、異常保険料標準率は先ほどの差引で算定された率で保険料をいただくのが適当なのですけれども、積立金を抑制していくという観点から、本来必要なものの水準から半分カットした上で、異常保険料標準率を設定します。この半分カットされた異常保険料標準率と、先ほど計算した通常保険料標準率を合わせて、最終的な保険料標準率にさせていただくということでございます。
それでは次のページにいきまして、ここから参考でございます。今回用いている10年分の基礎被害率、例えば一番加入の多い、保険限度額区分が80、その中の補償の下限がなしを選ばれているパターン、これが平成25年の被害率1.570からR4年の2.382で80%下限なしの保険料標準率を算定する時に使っている10年分の被害率でございます。表頭のところ、R1からR4につきまして※印が付されておりますけれども、その※印の解説、表の下のところに触れておりますが、先ほども被害率の修正というところでご説明申し上げましたが、R7年から運用改善をする予定であります、特例の運用改善を反映した被害率にさせていただいております。本来だともう少し被害率は高めなのですけれども、特例の運用改善を反映して、調整した被害率、これを使って保険料標準率を計算しているということでございます。
それから、諮問事項ではございませんけども、今しがたご説明させていただいた保険料標準率の算定方式の考え方に基づいて、新しい保険料標準率どうなるかと計算した結果が、今ご覧なっていただいているものであります。複数の割合があるので、代表としてご紹介させていただきますと、また80%の下限なしとなっている列の右側に目を移していただきますと、右から2つ目に、2.744%という数字があろうかと思います。これが80%下限なしをご選択いただく方の保険料標準率となります。今の現行の保険料標準率は、さらにその右側2.357%となりますので、若干増えるという形になっております。令和2年や令和3年の支払いなどの影響もあって、被害率は特例の運用改善を勘案して抑制はしているのですけれども、若干上がってしまう、そういったような状況になっております。以上が保険料標準率の算定方式の考え方でございます。

〇小針部会長
ただいま事務局から諮問事項についての説明がございました。それでは本件についてご意見、ご質問をお願いいたします。佐藤委員お願いいたします。

〇佐藤委員
はい。ありがとうございます。
資料5のスライド番号で8ページ、最近の災害における収入保険の対応ということで、実際に保険金これぐらい払いましたという事例が載っているページですね。お手元に資料をお持ちかどうかわからないのですけれど、この支払いがあった原因について、この方々は保険料がどれぐらいの水準をお支払いなのかなというのが、気になったので教えていただきたいのですけれども。料率で言われると何かあまりイメージが掴めなくて、もし、お分かりになればよろしくお願いします。

〇御村農業経営収入保険室長
事務局でございます。この事例なのですけれども、今手元に具体的な保険料の水準というのはないので、詳細につきましてはまた改めまして回答させていただきます。ただ、ご負担としましてざっくり申し上げますと、基準収入という形でここ書かせておりまして、この基準収入に、ご自身がどれだけをその補償対象にするかというのはあるのですけれども、もしこれが全体ということですと、ここに保険料率を掛けていくのが基本的な負担になります。先ほど申し上げた通り、危険段階とかによっても変わってくるのですけれども、一番標準的な例ですと、今の保険料の標準率は大体2.4%弱でございますので、この基準収入にそれを掛けたもの、それから保険料に関しましては国庫の補助が入りますので、それも半分ぐらいですから、1%ちょっとというのが大きなイメージでございます。これに事務費ですとか、ちょっといくつか実態に合わせると、少し数字が変わることございますが、一番標準的なイメージで申し上げるとそういった感じでございます。

〇佐藤委員
わかりました。ありがとうございます。

〇小針部会長
古谷委員お願いいたします。

〇古谷委員
はい。ありがとうございます。
詳細なご説明ありがとうございました。収入保険が始まって、6年ということで、安定的な運営に向けて、改善の努力をされていることがよくわかりました。
個人的な話になりますが、今回10年目になりますので、今までのこの部会での印象をお伝えしておきます。まず初めに、農作物共済についてはいろいろなメニューが用意されているということにまず驚いたことと、それに関して、農業者の方は自分に一番適した保険を選ぶのにものすごく苦労するのではないかという印象を持ちました。細かすぎて、わかりにくい。どれが一番いいのか判断に迷うのではないかと思いました。そうした中、収入保険ができまして、これはすごくシンプルでわかりやすいので、この保険については、加入者はどんどん増えていくのではないかと私も感じておりましたし、実際今日ご報告をいただいたように、加入者がたくさん増えているということでございます。
何が言いたいかといいますと、今後運用改善をされていく中で、せっかくいいものがありますので、農作物共済のような、運用改善するつもりが、少しわかりにくくなってしまうというようなことは、ご留意いただけたらいいのかなというふうに思いました。よろしくお願いいたします。以上です。

〇御村農業経営収入保険室長
ご意見ありがとうございます。
ご指摘の通りだと思っておりますので、どうしても収入保険もいろいろな特例ですとか、新しいタイプとか作ると難しくなっていきますので、我々の方でもなるべくわかりやすい資料作成も努めますし、運用していただいております共済団体の皆様の方からも、加入者の方に丁寧にご説明をいただきたいと思っております。ご意見ありがとうございます。

〇小針部会長
その他ご意見ご質問ある方は挙手にてお願いいたします。
石橋委員お願いします。

〇石橋委員
ありがとうございます。丁寧に説明していただきまして、非常にわかりやすかったです。
一番最後のページの参考資料2では、二つ目の丸に、「長期間、保険金の受け取りがない加入者については、今回、保険料標準率が改定されても保険料率が下がる方向で検討」ということが記載されています。これはこれから検討ということなのかもしれないので、決まってないかもしれないですけれども、この長期間という考え方がどれぐらいのことを考えていらっしゃるか。あと、このように適用するならば、そこまで影響はないのかもしれないですが、保険料率が上がるところについては、下げた人の分のファンドが足りなくならないように上げるのかなと思うのですけれども、この辺もしわかったら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。


〇御村農業経営収入保険室長
ご意見ありがとうございます。こちらの参考資料につきましては、後程またもう一度ご説明をさせていただきます。段取りがわかりにくくて申し訳ございません。
ただ今のご意見に関しましては、ここに書いてございます通り、今日お諮りした算定方法にご了承いただきましたら、この後は私どもの方で保険料標準率の設定をいたしまして、それを基に全国連合会で、改めてこの危険段階別の保険料を設定いただくので、これから検討ということでございます。
ご意見に関しましては、もちろん全体としてのいただく保険料は変えなくて、ご負担いただくウエイトを変えていくということでございますので、全体として標準率は今お諮りしている方法によれば上がる方向でございますが、下の方の長期間受け取りがない方については、上がらないようにしたいとは思っておりますけれども、全体としては保険料収入が変わらないように、これまでの受け取りが多い方については、少し多く負担をいただくということでございます。それから、長期間がどれだけかという部分については、今後調整をしていきたいと思っております。以上でございます。

〇石橋委員
はい。わかりました。どうもありがとうございました。

〇小針部会長
参考資料2のところはまた後で、資料の説明とともに、また改めてということでよろしいですよね。
資料6と資料7の、今回の諮問に関してのご意見ご質問があれば、まずその点からお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

〇柳瀬委員
よろしいでしょうか。

〇小針部会長
お願いいたします。

〇柳瀬委員
どうもご説明ありがとうございました。事前にも伺っていましたので、よくあらためて理解できました。2点ほど確認があるのですが、まず今回の料率に関する主な変更点は、一つが令和7年以降の加入者に適用される制度の見直しに関して少しフェアな形で微調整しましょうという点。もう一つは、ここ数年非常に大きな災害が多く、全体的に事故率が上がってきており、料率を上げていかざるをえないところがあるといった全体的なトレンドの部分。三つ目は、「2分の1カット条項」がまだ使えそうだということで、これはむしろ保険料を下げる方向への調整。概ね,こういう理解でよろしいでしょうか。まず、全体感としての料率に関する理解の確認をさせてください。

〇御村農業経営収入保険室長
ありがとうございます。ご指摘の通りだと思います。
ご指摘いただいた通り、全体の算定方式はご説明させていただいた通り、基本的には前回と同様でございまして、先ほどご指摘いただいた通りで7年から運用する特例の見直しの効果を反映した点が異なるということです。あとは料率もご指摘いただいた通り、令和2年、3年初め、過去被害率が高かったことがありますので、計算方法は変えないのですが、全体として計算した結果が上昇傾向にあるということでございますし、三つ目に、2分の1カットも継続でやらせていただきたいということでございます。

〇柳瀬委員
理解できました。特にこれに関して何か追加のコメントはありませんが、今後は自然災害が不可逆的な形で、減ることはなく増えていく方向にあるとお考えですか。そうであるならば,自然災害リスクの上昇トレンドというのは、料率の設定・改訂の議論においても,今後は,ある程度,考えなくてはいけないという方針なのでしょうか。また,「2分の1カット条項」は、農業再保険勘定において、少しお金が余っているからそれを還元しましょうというお話だと思います。そうであるならば、積立金が枯渇してきた場合には,料率の引き下げのために使えなくなります。そうすると、仮に,自然災害リスクが増加トレンドであるならば,事故率の上昇により,継続的に料率が上昇するトレンドを緩和させるために使える「2分の1カット条項」というツールが、将来的に使えなくなる可能性もやはり視野に入れていく必要があるのでしょうか。こうした問題意識から,将来の料率に関して、微増トレンドで対応可能なのか、微増だとなかなか収支的に難しくなってくるのか、その辺りのシミュレーションはされているのでしょうか。

〇御村農業経営収入保険室長
ありがとうございます。自然災害が多発していくことに関しては、なかなか先を見通しにくいですが、最近多発化している傾向にあると考えておりますので、そういったこともあるかもしれません。ただ、収入保険は非常にリスクのカバー範囲が広く、価格下落も大きなリスク要因になってございます。収入保険の場合はその結果に対してお支払いする部分があるので、要因の解析がなかなか難しいですけれども、被害の届け等を見ますと、価格下落の影響もかなり大きいので、自然災害もそうですが、価格のトレンドというのも非常に大きなファクターだと思っておりますので、そのまま右肩上がりで上がるかどうかは、少し判断が難しいかなと思っております。
また、収入保険ができて以降は、新型コロナウイルスや大規模な米価下落といった非常に広範で全国的な影響がでるような被害がございました。このようなことが、今後どのくらいの頻度で起きるのかっていうのもあるので、今後についてはよく状況を見ていく必要があるかなと思っております。
それから2分の1カットに関しましては、委員ご指摘の通りでございまして、今ある積立金の額を見ながら今後の判断をしていく必要がありますので、ずっと未来永劫できるものではないと考えております。
すみません、なかなかストレートにお答えできてないかもしれませんけれども。

〇白石保険課長
補足で。2分の1カット措置のところについては共済も同じだと思いますけれども、資料に書いてある通り、令和3年に行政改革推進会議から、積立金が増えてかなりの量があるので、有効に使うようにと政府全体の方針もございましたので、現時点ではそれを有効に加入する農業者の負担が減るように、できるだけ使うということですが、ご指摘のようにずっとできると思っておりませんので、また改めてその都度、この算定の方式を考えていき、その時点の積立金の状況なども考慮しながら、ご議論させていただきたいと思っております。

〇小針部会長
よろしいでしょうか。

〇柳瀬委員
大丈夫です。

〇小針部会長
それでは保険料標準率の算定方式以外でも何か、収入保険の制度・運営に関することなど、ご意見ご質問がありましたら、挙手にてお願いいたします。
佐藤委員お願いいたします。

〇佐藤委員
ありがとうございます。
収入保険の枠にとどまらない話になってくるかもしれませんけれども、価格下落とともに資材価格、コストの上昇が今すごく着目されていて、価格転嫁制度を作るっていうようなことも検討されているようですけれど、やはり売り上げですよね。この売り上げに対しての補塡だけで、セーフティネットになりうるのかどうかは真剣に議論されるべきではないかと思っていて、私はアメリカの酪農政策を研究分野の一つにしているのですけれども、そこでは農水省の方々もご存知だと思うのですけれど、収入保険型の制度を当初作っていたのを、飼料価格の高騰を受けて発動要件を乳価と飼料価格の差額で、マージンと向こうでは呼んでいますが、その水準によって支払額が変わってくるようなコスト面の上昇を含んだ保険制度が作られています。日本の収入保険制度は対象の品目を限っていないため、コストをどこで見るかという問題もかなり難しいと思いますが、これを入れないと、セーフティネットとしては機能しないのではないかと懸念いたします。
もう1点は、前回も申し上げているのですけれども、最後にご説明いただいた危険段階別保険料、一度保険金の支払いを受けてしまうと次から保険料が上がってしまうという制度ですが、これも自然災害は不可抗力だと思うので、これで保険金を受け取ったら、保険料率が次から上がるというのは、説明されるときにいつも自動車事故の保険で説明されているのですけれども、これは性格が違うのではと毎回思うので、今回も申し添えさせていただきます。以上です。

〇御村農業経営収入保険室長
ご意見ありがとうございます。
1点目でございます。コストの上昇も見ていくかでございますけれども、ご指摘は非常に私どもよくわかりますけれども、収入保険での対応でまずお話をさせていただきますと、収入保険は統計データとか、一律の基準ではなく、個々の経営ごとに収入を確認して、お支払いをするというところに大きな特徴がございます。コストに関しましては、把握が難しいということもありますけれども、まず適正な水準というのが、経営ごとにどこまでの水準が妥当なのかというのが非常に難しい部分があると考えております。例えば、非常に過剰な投資をした場合でも保険金が出るということになりますと、制度としてなかなか難しい部分がございますので、コストまで見ていくのは難しいかと思いますし、あとはその所得、コストと収入両方見た場合、所得をどこまで直接的な保険の対象にするかという議論もあるかと思っております。
農林水産省といたしましては、コスト高の状況に関しましては、委員にご指摘いただいた適正な価格の形成というのもありますけれども、基本的にはコスト高に対して、飼料や肥料、燃料と、個別の対策を講じてきているところでございます。
それから所得の確保に向けましては、重要な課題でございますが、効率化の取り組みですとか、輸出もそうですし、いろんな政策を導入しまして、所得の向上に向けて取り組むということで、現状取り組んでいるところでございます。
それから二つ目でございますが、危険段階別の部分ですね、自然災害と加入者の方の自己責任は難しい不可抗力ではないかとご指摘だったかと思いますけれども、委員のご指摘の通り台風ですとか大規模な価格下落ですとか、なかなか個々の加入者の方では回避しがたいリスクというのは、存在すると思っておりますし、そもそもそういったものに対抗するための制度でございますので、ご指摘の通りかと思います。ただ、個別に見ていきますと、やはり今まで4年間、制度を運営してきましたけれども、4年間4回連続で補塡を受けていらっしゃる方もいれば、4年間で全く受けていない方もいらっしゃって、中身の分析はまだこれからもっとデータも貯めてからしていかないといけないと思っておりますけれども、現状で判断しうる限りでは、特定の品目とか、その特定の地域とか、かなり偏った出方をしているわけではないと考えていまして、同じような被害に関しても県全体への影響で見ますと、やはり大きく違うと思っております。例えばですが、価格下落への対応というところにも、市場に普通に出荷していらっしゃる方と、ご自身で契約栽培等されまして、固定の価格で取引されている方では、大きく異なりますし、自然災害に関しましては、例えば大雨被害等々ございますが、経営の中でいろんな品目で或いは地域的に分散をして生産をされている方もいらっしゃいますので、そうした経営と、かなり同じ品目で、同一地域で生産されている方では、影響も大きく異なると考えております。
不可抗力の部分も当然否めないですが、結果として、かなり保険金を受け取ってきた方と、ここまで全く受け取ってない方というのは、保険料の負担もある程度の差異をつけるというのは、私どもとしては妥当なのではないかなというふうには考えてございます。以上でございます。

〇佐藤委員
ご説明ありがとうございます。そうはおっしゃるのですが、例えば栽培圃場なんかを自由に選べるわけではないと思うのですが、例えば水害を受けやすいような地域に圃場がある場合、そこはもうやめろと言っているのと等しいのではないかというように、いろんな見方があると思いますが、そういう見方もできるのではないかと思うので、ご検討いただければと思います。

〇勝野審議官
貴重なご意見ありがとうございます。審議官をしております勝野です。
今のご指摘、生産をされている農家さんの立場になれば、そのようなご意見があるのも当然かなと思うのですけれども、すべて収入保険でカバーするということではなくて、私ども、様々な災害が起きたときに、いろんな対策を総合的に、複合的に組み合わせて、対策を講じていて、九州で毎年大雨が起きて、大変な地域があるということも承知をしております。毎年水害が起きてしまうという地域もあろうかと思います。
そういったところで、毎回被害が起こることが、経験的に分かっているところは、やはり水害を防ぐ、様々な工事を行うとか、或いは作物も水害を避けられる時期に作れるものを選ぶとか、そういった対策、対応というのも必要になっていくと思われ、そのようなことに対する様々な支援も、農水省としては講じております。そこは個別に対応していくということで、もちろん収入保険もうまく組み合わせながら、対策を講じていくということも重要かなと思います。そこはご理解をいただけたらなと思います。貴重なご意見ありがとうございます。

〇佐藤委員
ご説明、了解いたしました。ありがとうございます。

〇小針部会長
山波委員、お願いいたします。

〇山波委員
山波です。よろしくお願いします。先ほどからご丁寧な説明ありがとうございました。
私はこの生産者という立場でこの会議に出席させてもらっていますので、そういった観点からお話をさせていただきたいと思うのですが、まず一つ、この収入保険制度、できてもうすぐ10万経営体に到達しようとしているということは、それだけ需要があるということですので、大変素晴らしい制度を作り上げてくださって、大変感謝しております。
その上で、それだけ加入者が多くなってくるということは、この資料5の4ページのところで、支払経営体数、支払額等が載っているところがありますけれども、ここのパーセンテージを見ても、通常の保険では考えにくいような数字になっていると。民間の保険でしたらこれは運用できるのかなっていう、私は素人なのでわかりませんけれども、ただパッと数字を見て、これだけの被害を被った、売り上げが減少した経営体、そして、その経営体を応援した支払額があるということが、これからも、これが続かないとは限らないわけであって、それ自体が保険として機能するのかどうかということが、私が最も危惧しているところです。でも生産者にとってはそれだけ、リスクのある事業であるということがこのような数字からも、明らかになっているのではないかなというふうに考えております。
今は基本計画が改定を迎えている中で、適正な価格というところを、農業生産における安定的な経営という観点のところでも触れていただいておりますけれども、残るのはやはり農業というもの自体が、事業として成り立つのか成り立たないのかという、根幹の部分がこういうところに数字で表れてきているのではないかなと、一生産者として感じております。
その上で、本当に収入が減少をした中で、この資料5の8ページ、最後のページになりますけれども、収入保険の対応ということで実際の例を挙げていただいております。保険金をこの売り上げに対してこの額をお支払いした実績があるということで、これがもしなかったら、その経営体はもうなくなっているのではないかなと思いますけれども、大変ありがたい中で、一つちょっとお聞きしたいのですが、この保険金を支払うにあたって、申告が出ないとお支払いできないと思うのですけれども、それはお支払いするまでタイムラグがあると思うのですが、そこまでで何か、農水省さんの方で経営体に対して、この収入保険に加入していることで、お支払いするまでに、例えばどこか公的なお金を無利子で、すぐにつなぎとして出せるとか、そういったようなことで何か応援していただけるようなことがあるのかどうかということをお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いします。

〇御村農業経営収入保険室長
ありがとうございます。まず2点目の方からお答えしたいと思います。こういったケースで委員ご指摘の通り、私どもの支払いとしましては、申告が終わった後に請求をいただいて、それからお支払いということになります。ですが、その前に被害に遭われた方は、資金が必要な場合はつなぎ融資、或いはつなぎ資金と呼んでいるのですけれども、無利子でお貸しする実質的な前払いの制度がございますので、そちらは活用をいただいているところでございます。
それから1点目の方でございます。大変ご心配をいただいております。
資料にもありますように、収入保険を作って元年からデータがある4年までというのは非常に大きな災害が続いた、或いは被害が続いた年であったと思っております。新型コロナウイルスは非常に未曾有の事態でございましたし、米価下落も非常に大きなものでして、全国的な影響がございました。
令和4年についても収入保険は過去の5年間の収入も使うということもございますので、米価下落の影響も令和4年も続いているという状況でございました。
令和5年の影響ですが、まだお支払いの途中ということなので言えないですけれども、今までのところ、令和4年よりさらに被害が下がるのではないかと見ております。被害についてもかなり大きな特殊な事例が続いたタイミングでもありましたので、少し長く影響を見ていく必要があるかなというように考えてございます。
ご指摘いただいたように、こういった支払いをしておりますので、収支の方はこれまでのところ少し債務といいますか、かさんでいる状態ではございますけれども、今回お諮りいたします算定方法により、標準率を設定しますと、今後の被害はなかなか見通しづらい状況ではございますけれども、通常の被害であれば黒字といいますか、収支上は改善をしていくと見込んでおりますので、長期的な運営を少し見ていく必要があるかというふうには考えてございます。

〇山波委員
ありがとうございました。
一生産者として、是非ともすばらしい制度なので、大事な国民の税金を使いながらの事業だと思いますので、また長期的に運用できるようによろしくお願いします。以上です。

〇小針部会長
柳瀬委員お願いいたします。

〇柳瀬委員
保険制度としての持続可能性という観点から、いろいろ議論が出たと思います。それを伺って、農水省の方々にお聞きしたいのですけれども、先ほど自然災害が、例えばこの先不可逆的に自然災害による損害というものは増えていったとしても、価格下落、価格変動の部分もあるので平準化される部分もあるのではないか、という趣旨のお話をされたと思います。もしそうであるならば、そうした可能性に関する分析やシミュレーションはされているのでしょうか。例えば,日本は国土が狭いですから、大きな自然災害が発生した場合には全国的に被害が発生することも考えられます。つまり,地理的な分散効果が比較的取りにくいと思います。もちろん、日本とオーストラリアとかニュージーランドで、農家が一つの保険グループを作って、リスクの地理的な分散を図れば、リスクは下がるとは思うのですけれども、そういうことをしていない以上、地域的な分散には限界がある、つまり自然災害、大きな自然災害に対する分散効果っていうのはなかなか取りづらいと思います。一方で、同じ種目ではなく、例えば,お米の価格が下がった時に別の品目が上がるといった、異なる品目間での価格面の負の相関により,農家の全体的な収入に関する平準化が図られるようなことがあるかもしれないというロジックは理解できます。このような価格面での平準化が利くような収益構造は日本の農業構造に本当にあてはまるのでしょうか。この点を確かめるための分析やシミュレーション,或いは,農産物価格の相関係数をデータとして整備するなどの調査・分析は実施されているのか否かについて,保険制度の持続可能性の観点から気になりました。以上が一つ目の質問です。
2つめの質問は,事前のロスコントロールの努力は保険料に還元されないのかという論点です。そもそも,自然災害、例えば地震はどこで起きてもおかしくないし、それはその人のその努力と関係ない原因によって偶然に発生します。いうまでもなく,そういった偶然に対するヘッジは保険制度の一つの役割です。ここで,地震の発生確率に関しては,人々は制御できませんが、起きた時に被害を少しでも減らすための努力に関しては,人々は事前に可能かもしれません。そうであるならば,事前に被害を少しでも減らすための努力,すなわち,事前のロスコントロールの努力をしている事業者さんと、そうではないない事業者さんとの間で,同じ保険料で良いのかどうかという論点はあると思います。仮に,事前のロスコントロールの努力を行うほど保険料が安くなるような制度設計をするならば,事前のロスコントロールの努力と支払い保険料の両方のトータルのコストが一番小さくなるような組み合わせを,それぞれの現場の状況に応じて探っていくことも重要な視点ではないかと思います。要するに,二つ目の質問は、事前のロスコントロールに対して一生懸命やっている事業者に対しては,その保険料に何らかの形でフィードバックさせるような仕組みは考えられないだろうかという点です。このような発想は、これから自然災害がさらに増えてきて、ある程度,全体的な料率が上がっていく場合に、保険制度の持続可能性の観点からも考えていかなければならない論点ではないかと思います。制度の持続可能性という意味で、今すぐの今回の諮問とは関係ないのですけれども長期的なこの制度の持続可能性という観点からご質問させていただきました。

〇御村農業経営収入保険室長
ありがとうございます。2点目の方からお話をさせていただければと思うのですが、ご指摘、非常にありがたいと思いますし、私どももよくわかる考え方ではございます。同じような災害に遭われた場合に、これまでの努力といいますか、対策によって被害が変わる部分があれば、そういったことも加味するのは大事な視点だなと思っております。ただ、現状としましては、まだそこまでには至っていなく、収入保険そもそも非常に被害、リスクのカバー範囲が極めて広いものですから、それに対する現在の取り組みというのはどういったことがあるのかというのも、今後よく研究をしていく必要があるかなと考えております。あとデータも見たり、実際の事例なんかを見ていく必要があると思っておりますので、これは今後の研究課題だなというふうに思っております。
それから一つ目の方ですね、非常に難しいのですけれど、私の説明がよくなかったかもしれないのですが、自然災害の影響を価格下落で緩和できるとまでは思ってはないのですけれども、自然災害以外に価格下落も大きな要素でもあるので、災害の頻発化以外にも総合的に見る必要があるのではないかという趣旨で申し上げました。でも自然災害が今後どうなるのかというのは、なかなか私どもも必ず増えるとかそういったことは、私の知見がないだけかもしれませんけれども、現状において、明確な方向はもう少し見ていく必要があるかなというふうには考えております。ただ、いずれにしましても、先ほど申し上げた通り、ここまでの4年間というのは、非常にイレギュラーと言っていいのかも今後見ていく必要はありますけれども、コロナですとか米価下落という非常に大きな影響があってのこの支払いですので、もう少し平時といいますか、通常の推移のときにどうなっていくかっていうのはよく見ていただく必要があって、適正な運営できるように、そういったことを踏まえながら考えていく必要があるかなと思っております。
すみません、雑駁ではございますけれども。

〇柳瀬委員
日本国内で企業の自然災害リスクを吸収する力が不足しているという議論があります。例えば,家計向けの水災保険料率というものを細分化していかざるをえないとか、水災リスクの高い沿岸部に主要工場を持つ企業が十分な保険のキャパシティが取れない、つまり,保険会社に引き受けてもらえない状況に陥る可能性などが考えられます。そうであるならば、自然災害に対するキャパシティの問題に関して,地理的分散を考える必要性は、そう遠くない未来に顕在化してくるかもしれません。以上でございます。

〇小針部会長
その他、ご意見ご質問ある方いらっしゃいますでしょうか。
内藤委員お願いいたします。

〇内藤委員
ありがとうございます。まず、一農業者として、この保険がリスクを緩和できて、かなり素晴らしいものだと思うので、こういった形で、農水省の方のご尽力によって、素晴らしい制度があることに感謝します。
3点ありまして、まず、非常に基本的な質問なってしまって恐縮なのですが、この事業の予算がいくらなのかというところ、要は料率から入ってくる収入から支払い、さらにはいろいろな販管コストを引いたときに、いくら予算が投下されているのかというのが一つ目の質問です。
二つ目の質問が、農水省全体での予算規模から見たときに、この事業の予算一つ目の質問で聞いたものが、何パーセントに当たるのかということと、なぜそのパーセントなのか、なぜその金額をここにアロケートしているか、というところ詳細にお答えできないところもあるとは思いますけれども、その背景としては、要はこの制度というものが、農水の他の予算のアロケーション先よりも、例えば、この波及効果だとか、素晴らしいのであれば極論予算規模を倍にすれば、料率を下げたりとかできるわけで、逆もしかりで、この予算のアロケーション先として効率が良くないのであれば、予算半分にすれば下げざるをえないですけれども、そこのところを知りたいのが二つ目。
三つ目、先ほどの柳瀬さんに近いかもしれないけれども、将来的に気候変動だとか、いろいろなことによって、もっと予算が必要になるとか予算いらなくなるとか、あったりするのですけれども、トップダウンで考えたときに、農業保険、収入保険の予算分配の量が増える、減る、戦略上の可能性というか、この増えてしまった、減ってしまった、じゃあどうするではなく、これいいから増やす、これあんまり効率よくないから減らそうっていう、この方向性が、3ヵ年5ヵ年ぐらいで何となく理由がおありでしたら、お聞きしたいなと思います。よろしくいたします。

〇御村農業経営収入保険室長
ご意見ご質問ありがとうございます。
なかなか難しい部分がありますけれども、まず事実関係でございますが、収入保険の予算でございますけれども、今年度令和6年度に関しましては350億円弱がトータルでというところでございます。農水省全体の予算は、約2兆3000億円というところでございまして、そういった関係になってございます。
ここからは非常に難しいのですけれども、農水省予算全体の中で、セーフティネット或いは収入保険にどれだけ割くかと言うのは本当に、難しい問題でございまして、現状でも収入保険でお支払いをした分、要する予算に充てた分というのは、それが増えた分、今政府全体ではなかなか各省庁の予算が増えていくという状況にはなっていないのが、全体のトレンドでございますので、そうした中で収入保険の予算総額を増やしていくということになりますと、その他の例えば私ども経営局でありましたら、新規就農であるとか、農地政策であるとか、担い手の政策であるとかそういったところの予算が圧迫を受けるということもございますので、省全体としまして収入保険、或いはセーフティネットにどういった、どれぐらいをかけていくのかというのは、ご指摘の通り、なかなか難しい問題で、これが適正というふうにはっきり線を引けるものではないと思いますので、バランスを見ながらやっていくということになろうかと思いますし、将来的にこうするという明確なものを今お答えするのは難しいのですけれども、いろいろリスクも高まったり、今後は、先ほども少し申し上げた通り、よく見ていく必要があるのですけれども、私どもとしましては収入保険に関しましては、大きな戦略とは言えないのですけれども、そういった財政面の制約というのは、必ず我々としましては、意識をしながら取り組まなきゃいけないものですから、セーフティネットとしての機能、しっかり補塡をするという部分とですね、或いはリスクをカバーするという部分と、政府の予算、支出という面でバランスさせるというのは非常に難しいのですけども、そこは必要があると思っております。
ですので、例えば今回特例の見直しということで、先ほどもご説明をさせていただいたのですけれども、我々としましては、まず短期的には効果をなるべく下げない、或いは上げていくようなことと、財政もなるべくその削減、抑制といったことを両立できるようなやり方というのを一生懸命考えて、データを見ながらよりよい制度にしていくということかなというように思っています。

〇内藤委員
ありがとうございました。

〇勝野審議官
すみません、補足というかコメントを勝野からさせていただきます。
貴重なご意見をありがとうございました。雑駁に、ざっと計算すると、全農水省予算の1.5%がこの収入保険に充てられているということになるわけですけれども、先ほどの柳瀬先生のご指摘等も踏まえると、今後、温暖化という大きな世界的なトレンドがあり、どんどん自然災害が頻発するだろうというようなことは、いろいろな研究者からも指摘をされているということかと承知をしております。
そういう中で、収入保険の役割というのは、やはりますます重要になってくるのだろうというように思います。そういう中でどうやって、個々の生産者さんが、できるだけ被害に遭わないようにしていくかということから、この収入保険制度を持続可能なものにするために、様々な制度の見直しですとか、改善ということも努力をしていかなければいけないですし、柳瀬先生からいただいたような、いろいろな分析をして対応していくことも重要だというふうに思います。
内藤委員からもご指摘いただいたように、トップダウンでこの収入保険制度をこれからどうしていくかというのは、まさに新しい基本法になって、それからさらに大きな農業の改革が行われていく中で、将来的に議論を続けていかなくてはいけないのだろうという問題意識は持っております。
農業のセーフティネット制度、資料5の3ページに整理をさせていただいておりましたが、様々な制度が存在をしていて、この収入保険だけではないという状況ではありますけれども、中長期的には、これをどういう姿にしていくのかというのも大きな課題になっております。そういうことも、これから議論していかなくてはいけないのですけれども、今日は目の前の保険料率をどうするかという議論だったということで、皆様からいただいたご意見を基に参考にしていきたいというように思います。ありがとうございました。

〇小鉢部会長
その他ご意見ご質問ある方いらっしゃいますか。
時間もありますので、1点だけよろしいですか。今回この4ページにある通り、コロナや米価下落があったりというので被害額が大きくなっている、その総額はこれで見えるのですけれども、おそらくこれから検討していくにあたっては、被害が深くて局所的であったり、比較的被害は浅いけれども広範囲にわたる、といったタイプの違いとそれが実際の運用にどうはね返ってくるのかということがこれから重要になってくると思います。これはコメントなので、ご回答いらないのですけれども、そういう面からも分析をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは本件の審議を終了させていただきます。
それでは、今回の諮問事項であります、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方につきましては、適当と認める旨、議決してよろしいでしょうか。

[「異議なし」の声]

〇小針部会長
全員異議なしと認めます。審議会の議事は、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、議事の決定に必要とされている出席委員の過半数で決することとなっておりますので、本部会は、本件につきまして、適当と認める旨、議決いたします。
また、本部会の議決につきましては、食料・農業・農村政策審議会における部会の設置についての第2条第1項の規定により、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと思います。
なお、農林水産大臣への答申については、答申文にて行うこととなっておりますが、その文面については部会長へ一任していただくということで、よろしいでしょうか。

[「異議なし」の声]

〇小針部会長
ありがとうございます。
それでは最後に、直接の審議事項ではございませんが、農業経営法収入保険の危険段階別保険料率について、事務局より報告をお願いいたします。

〇大橋課長補佐
時間も差し迫っているところなので、手短にポイントをかいつまんで説明させていただきます。参考資料2でございます。先ほども皆様からご質問ご意見の中に、若干触れている部分もあるので、少し繰り返しになる部分もありますが、ご説明させていただきます。
収入保険の危険段階別保険料率についてでございます。ただいま、適当と認めていただきました収入保険の保険料標準率は冒頭で説明したように、実際に適用される保険料率の元となるものでございますけども、実際に適用される保険料率はここでご紹介させていただく、危険段階別の保険料率でございまして、左側の一つ目の白丸でございますが、この危険段階別保険料率というのは、農業保険法に基づきまして、実施主体である全国連合会が事業規程で定めることとされております。今回皆様に適当と認めていただきました算定式による保険料標準率、これを基に、今後全国連合会において設定するということになっております。
また、その設定にあたっては、二つ目の白丸ですけれども、これも先ほどご紹介させていただいたところですが、今回保険料標準率が改定されて、若干上がってしまうというようなことになったとしても、長期間の保険金の受け取りがない加入者については保険料率が下がる、そのような工夫を講じていく、そのような方向で検討して参りたいと考えております。
以上、紹介させていただきます。

〇小針部会長
ありがとうございました。この点について、ご質問ありましたらお願いいたします。何かよろしいでしょうか。
それでは最後に何かご発言を希望される方がいらっしゃいましたら、挙手でお願いいたします。
佐藤委員お願いいたします。

〇佐藤委員
少しまとまっていないのですけれども、先ほどからこの収入保険制度の考え方が、個々の経営のセーフティネットという枠組みなので、その枠組みを設定される限り対応できないことなのかなと思っているのですけれど、農業のセーフティネットのあり方が本当にそれでいいかという問題があると思っております。食料の供給が著しく滞ったときに、関係の方々に生産計画の提出をお願いするという法案が、食料農業農村基本法改正案と同時に審議されていたと思うのですけれど、供給が著しく困難になったら社会的に困るという商品の性格を持っている中で、個々のビジネスとして支えるだけでいいのかということは、問題提起しておきたいと思います。コメントです。

〇小針部会長
佐藤委員、ありがとうございました。
それでは、本日は長い時間にわたりご議論いただき、ありがとうございました。
以上をもちまして、農業保険部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
12時00分 閉会

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代表:03-3502-8111(内線5261)
ダイヤルイン:03-6744-2172