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令和4年度第1回畜産部会議事録

令和4年度第1回畜産部会議事録 PDF版(PDF : 641KB)

1. 日時及び場所

日時:令和4年11月7日(月曜日) 14時00分~17時30分

会場:農林水産省 第2特別会議室(web併催)

2. 議事

午後2時00分開会

◯眞壁畜産総合推進室専門官
それでは、定刻になりましたので、ただいまから令和4年度第1回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中にもかかわらず御出席を賜り、ありがとうございます。
私は、当部会の事務局を担当しております畜産局総務課畜産総合推進室の眞壁と申します。よろしくお願いします。
それでは、ここからは部会長に議事進行をお願いしたく思います。三輪部会長、よろしくお願いいたします。

◯三輪部会長
皆さんこんにちは、部会長の三輪でございます。本日もお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、リモートで御参加の先生方も、御参集いただきましてありがとうございます。
それでは、本日でございますが、渡邉畜産局長に御出席いただいておりますので、冒頭御挨拶をいただければと思います。お願いいたします。

◯渡邉畜産局長
畜産局長の渡邉でございます。畜産部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
まず、本日御出席の委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中ありがとうございます。また、平素より農林水産行政、畜産行政の推進に当たりまして格段の御理解と御協力をいただき、深く感謝を申し上げる次第でございます。
我が国の畜産をめぐる情勢でございますが、現下の円安の進行、あるいはウクライナへのロシアの侵攻といった影響で輸入穀物ですとか燃料の調達コストなども上昇しておりまして、農林水産業はもちろん、関連産業においてもその影響が強く出ているという状況です。
畜産業におきましては、飼料価格の高騰を背景に、農家が厳しい経営状況にあるということで、令和3年度補正ですとか、本年4月の原油価格・物価高騰等総合緊急対策によって支援をしてまいりましたし、特に異常補塡基金の積み増しについては、令和3年度補正予算で230億、4月の総合緊急対策で435億、合計665億円ということで措置をいたしております。
これらに加えまして、9月20日の予備費の閣議決定で予備費を活用して更なる対策ということで、本年第3四半期を対象に生産コストの削減、あるいは飼料自給率の向上に取り組む生産者に対して、配合飼料価格安定制度による補塡金とは別に補塡金を交付する緊急特別対策、また購入粗飼料などの高騰の影響を受けて生産コストが上昇している酪農については、国産粗飼料の利用拡大などに取り組む生産者に対して補塡金を交付する国産粗飼料利用拡大の緊急酪農対策ということで、合わせて504億円を措置いたしております。
このような対策だけではなくて、食料安全保障の観点から、国産飼料の生産・流通体制の構築、飼料自給率の一層の向上というための検討を行う必要があると考えております。
中長期的には、やはり輸入飼料への過度な依存からは脱却をして、国内の飼料生産基盤に立脚をした足腰の強い生産に転換することが重要であるということで、水田を活用した飼料用トウモロコシの生産拡大ですとか、国産稲わらの確保といったような取組を推進していきたいと思っております。
また、海外に依存している化学肥料原料ですけれども、これを国内資源である家畜排せつ物由来の堆肥などに置き換えていくということも一層強く求められておりますので、耕畜連携を更に進めていくことも重要と考えております。
また、農林水産物・食品の輸出につきましては、昨年初めて1兆円ということを超えたわけですが、2030年までに5兆円という目標で政府を挙げて取り組んでおります。
畜産物は5兆円目標の中でも4,700億円を占める、期待が非常に大きい分野でございます。新型コロナウイルス感染症の影響があった昨年も、畜産物の輸出額は増加をしておりまして、本年に入りましても、牛乳乳製品の輸出拡大などを背景に、輸出額の増加が見られます。
国内外の旺盛な畜産物需要に着実に応えるというために、畜産局としては、畜産クラスター事業ですとか増頭奨励、食肉等の流通構造の高度化・輸出拡大事業、輸出コンソーシアムの推進事業といったものなどを通じまして、引き続き生産基盤の強化や輸出の拡大に取り組んでいきたいと思っております。
また、国際的にはSDGsですとか環境負荷軽減などを重視する持続可能な食料システムの構築が大きな潮流でございます。省をあげて「みどりの食料システム戦略」を推進しているところでございます。
畜産分野におきましても、家畜の改良、飼料の生産、飼養の管理、それぞれの面からのアプローチで環境負荷軽減、堆肥を利用した飼料作物ですとか農産物の生産を通じた資源循環の促進といった持続的な畜産物の生産に取り組むことが重要だと考えております。
この畜産部会におきましては、今年度、新たに2名の臨時委員に参加いただくことになりました。また、冒頭に申し上げた飼料価格の高騰以外にも、生乳の需給緩和ですとか高病原性鳥インフルエンザ、あるいは豚熱といった畜産分野の課題は多々ある状態でございます。
こうしたことからも、本日は畜産、あるいは酪農をめぐる情勢について御説明をさせていただいた上で忌憚のない御意見をいただきたいという趣旨で開催した次第でございます。委員の皆様におかれましては、何とぞ活発な御議論をお願い申し上げます。
簡単ではございますが、冒頭、私の挨拶とさせていただきます。今日はよろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

◯三輪部会長
渡邉局長、ありがとうございました。
それでは、報道の方はここまでで終了とさせていただければと思います。

(報道退室)

◯三輪部会長
それでは、引き続きまして議事を進めたいと思います。
まず事務局より、本日御出席の委員の皆様の御紹介、委員の方々の出欠状況の御報告、配布資料の確認などについてよろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
では、事務局より、まずは食料・農業・農村政策審議会臨時委員の改選について御報告いたします。
本年10月18日付けで2名の改選があり、新たに有限会社石田牧場代表取締役、石田陽一様と、一般社団法人日本乳業協会副会長、松田克也様が任命されましたこと、御報告させていただきます。
続きまして、本日御出席いただいている委員の方を順に御紹介させていただきます。
まず、会場にて御参加いただいている委員から紹介します。
部会長の三輪委員でございます。

◯三輪部会長
三輪でございます。よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
石田委員でございます。

◯石田委員
石田です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
串田委員でございます。

◯串田委員
串田です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
畠中委員でございます。

◯畠中委員
畠中です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
羽田委員でございます。

◯羽田委員
羽田でございます。よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
馬場委員でございます。

◯馬場委員
馬場です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
彦坂委員でございます。

◯彦坂委員
彦坂です。よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
福永委員でございます。

◯福永委員
福永です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
前田委員でございます。

◯前田委員
前田です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
正好委員でございます。

◯正好委員
正好です。よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
松田委員でございます。

◯松田委員
松田でございます。よろしくお願い申し上げます。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
次に、リモートにて御参加いただいている委員を御紹介させていただきます。
まず、小山委員でございます。
続きまして、大山委員でございます。

◯大山委員
よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
駒井委員でございます。

◯駒井委員
駒井です。どうぞよろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
里井委員でございます。

◯里井委員
里井です。よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
続きまして、角倉委員でございます。

◯角倉委員
角倉です。よろしくお願いします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
続きまして、二村委員でございます。

◯二村委員
二村です。よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
なお、荒谷委員、加藤委員におかれましては、所用により本日は御欠席との連絡を受けております。
審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開くことができないと定められております。本日は19名の委員のうち、17名の委員の皆様に御出席をいただいておりますので、規定数を満たしていることを御報告します。
続きまして、資料の確認に移ります。
本日は全部で6種類の資料で、資料一覧、資料1から4、参考資料を準備しております。会場の委員の皆様におかれましては、お手元のタブレット端末に4種類の資料が表示されております。資料0から2、資料3、資料4及び参考資料となっております。
タブレットの使用で御不明点がある場合には、お近くの職員に遠慮なくお問合せください。
また、表示されている資料は、紙の準備もございます。配布御希望の場合も、お近くの職員までお声掛けをください。
事務局からは以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、本日の進め方でございますが、まず、農林水産省から畜産・酪農をめぐる情勢及び鶏卵生産者経営安定対策事業における安定基準価格の算定方法の見直しについて御説明をいただき、その後、各委員からお1人当たり約4分程度で自己紹介を含めまして御意見、御質問等を頂戴できればと考えております。
委員の皆様におかれましては、是非円滑な議事に御協力をいただければと存じます。よろしくお願い申し上げます。
なお、伏見畜産局審議官及び郷畜水産安全管理課長におかれましては、公務の御都合により途中で御退席というふうに伺っております。
それでは、資料に基づきまして事務局より御説明をお願いいたします。
まず畜産・酪農をめぐる情勢について、畜産局総務課長より御説明をお願いいたします。

◯天野総務課長
総務課長の天野でございます。私の方から、資料3の畜産・酪農をめぐる情勢というものを使いまして御説明をさせていただきたいと思います。
それでは、資料3でございますけれども、まず右下のページの「3」というところをお開きいただきたいと思います。
全体の概況でございますけれども、我が国の農業における畜産の地位ということでございまして、我が国の畜産の産出額は全体が8兆9,000億円、畜産としては3兆2,000億円ということでございまして、左下にありますとおり、農業の産出額は110%伸びる中、畜産は127%伸びておりまして、という状況です。
続いて、酪農の方にいきたいと思います。7ページを御覧いただきたいと思います。7ページの方には、生乳の需給構造について図がございます。
令和3年度の生乳の生産量は765万トン、北海道が431、都府県が334という状況でした。輸入乳製品の方は、その右側の方に469万トンというふうになってございます。我が国の生乳の総需要量は約1,200万トンということでございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。次のページには、最近の生乳の生産・処理状況について記載がございます。
左の表の上部のとおり、全国の生乳生産量は、令和元年度以降、前年を上回って推移してございます。4年度の4月から9月、一番右側のところを御覧いただきますと、北海道は前年同期比プラス1.4%と増加している一方、都府県は前年同期比でマイナス0.5%と減少しているという状況でございます。
こうした中で、全体では前年同期比0.6%の増加となってございます。
そういった中で、牛乳として処理されたもの、乳製品として処理されたものは下の方に記載がございます。
続きまして、10ページを御覧いただきたいと思います。10ページで生乳需給の推移ということでございます。
上段の折れ線グラフは輸入チーズを除く生乳の需給、下段の棒グラフは脱脂粉乳やバターの在庫量のそれぞれの推移を示してございます。
在庫量につきましては、直近の令和4年9月末の脱脂粉乳は生産量の増加が消費を上回っていますことから、前年同期を上回って推移をしているところでございますが、業界の脱脂粉乳在庫を低減させる取組などによりまして、この6月以降、脱脂粉乳の在庫量は4か月連続で減少しているところでございます。
一方、バターの方でございますオレンジの棒グラフになりますけれども、本年度初め頃から、消費の回復に伴い、消費が増加傾向で推移をしてございましたので、在庫量は5月以降、前年同期を下回って推移をしているといった状況でございます。
続きまして、14ページを御覧いただきたいと思います。14ページの方では、乳用牛の飼養動向について御覧いただいてございます。
1段目の乳用牛の飼養戸数は、ずっと「▲」が付いておりますけれども、減少しているということでございます。
そうした中で3段目のところは、乳用牛飼養頭数とありますけれども、こちらの方はプラスでずっと推移してございます。この結果、大規模化が進展しているということが、1戸当たりの経産牛頭数、下から2段目のところなどを御覧いただくと分かると思います。
なお、経産牛1頭当たりの乳量も増加傾向にあるということが分かるかと思います。
続きまして、16ページを御覧いただきたいと思います。16ページでは、今度は酪農経営における労働負担の軽減ということです。こちらの方では、左側の表、上の方を御覧いただきますと、酪農家1人当たりの労働時間2,057時間ということになってございまして、これはほかの畜種に比べても長い傾向にございます。
こうしたことを踏まえまして、省力化のためのいろいろな取組がなされております。飼養管理方法の改善とか、省力化機械の導入でありますとか、あるいは酪農ヘルパーなど外部化みたいなことも進んでおりまして、こうしたものを国としても右側のように支援しているという状況でございます。
20ページを御覧いただきたいと思います。こちらの方では、酪農の経営安定対策の概要を御覧いただいております。
左側が加工原料乳生産者補給金制度になります。昨年末に御議論いただきましたとおり、令和4年度、加工原料乳生産者補給金は1kg当たり8.26円、集送乳調整金につきましては2.59円、そして総交付対象数量が345万トンというふうになっているという状況でございます。
右側の方が加工原料乳の価格低下のための影響緩和対策、いわゆるナラシ対策についての制度の概要が記されてございます。
令和3年度につきましては、新型コロナによる需要の減少が回復し切っていないという中にあって生乳生産が好調でありました。こうしたことから、生乳が乳価の低いバターでありますとか脱脂粉乳、チーズ、こうしたものに多く仕向けられました。このため、加工原料乳の販売価格が低下をいたしまして、令和2年度に続きまして2年連続で補塡金が交付されたという状況でございます。
続きまして、次は牛肉の方です。22ページを御覧いただきたいと思います。
こちらの方では、牛肉の需給動向について記させていただいております。左上のグラフのとおり、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、消費量は減少傾向で推移をしているところでございます。左下のグラフのとおり、令和3年度の供給量90万5,000トンのうち国産は33万6,000トン、一番下のピンク色のところです。輸入は56万9,000トン、その上側となっておりまして、その中の内訳といたしまして、輸入先国が豪州が22万8,000トン、それから米国が22万2,000トンというふうになっているところでございます。
国産牛につきましては、右下のグラフのとおり、和牛肉の生産が増加傾向で推移をしてきているところでございます。こうした中で交雑種や乳用種については減少傾向にありまして、国産全体としては横ばいという形で推移しているところです。
続いて、次のページを御覧いただきたいと思います。こちらの方では、枝肉卸売価格についてグラフがございます。和牛につきましては、令和2年4月に新型コロナウイルス感染症の影響で対前年同月比3割減と大きく低下をしているところでございましたが、5月に入りまして経済活動の再開、あるいは輸出の回復、こういったことで上昇いたしまして、11月以降、令和元年度を上回る水準に戻って推移しているといった状況でした。
その後、新型コロナの感染拡大が断続的に見られたということは御承知のとおりかと思いますが、外食需要の低迷が残念ながら続くという中で、コロナ前の水準を下回って推移しているという状況になってございます。
次のページを更に御覧ください。こちらでは、肉用子牛価格の推移についてございます。肉用子牛価格につきましては、令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響により低下をいたしました。一時、枝肉価格の上昇などによりましてコロナ前の水準を回復したところでございますが、この5月から子牛価格がまた下落をしてきておりまして、その後も低下傾向で推移しているといった状況にございます。
次のページを御覧ください。こうした中で肉用牛の飼養戸数・頭数の推移について記載をさせていただいております。
飼養戸数は減少傾向で推移しておりまして、主に小規模層で減少しているといった中で、飼養頭数につきましては、平成29年から増加傾向で推移をしております。この結果、1戸当たりの飼養戸数につきましては増加傾向で推移しておりまして、大規模化が進展しているのかなという状況でございます。
続いて、27ページを御覧いただきたいと思います。こちらの方では、肉用牛の増頭奨励事業について御紹介をさせていただいております。
上の枠囲みにありますとおり、農業生産基盤強化プログラムという形の中で、和牛の生産量を令和17年度に30万トンとする政策目標を設定してございます。
こうした中で肉用牛の生産基盤の強化を図るために奨励金を出しているところでございまして、令和3年度の実績は下、右側にありますとおり、全国で約2万頭というふうになっているところでございます。
続きまして、次のページを御覧いただきたいと思います。このページでは、肉用牛の生産基盤の強化に向けた取組ということでの御紹介ですが、そのほかにも、こんなこともしていますという中では、左側にありますとおり、キャトルブリーディングステーション、キャトルステーション、こういったものを整備したりしながら支援をしているところでございます。
続きまして、30ページを御覧いただきたいと思います。30ページの方では、肉用子牛の対策の概要ということでございまして、肉用子牛の生産者につきましては、肉用子牛生産者補給金によりまして経営の安定を図らせていただいているという中でございます。昨年の末に御議論いただきましたとおり、例えばということで、黒毛和種の令和4年度保証基準価格、これは1頭当たり54万1,000円となっているということでございます。
続いて、豚肉の方に入ってまいりたいと思います。足早ですみません。32ページを御覧いただきたいと思います。
まず、豚肉の需給についてでございます。左上のグラフのとおり、消費量は豚肉需要の一層の高まりによりまして、近年、増加傾向で推移をしているところでございます。また、供給量は左下のグラフのとおりで、令和3年度の供給量185万2,000トンのうち、国産が92万3,000トン─下側ですね。輸入が92万9,000トンというふうになっているところでございます。
次のページをお開きいただきたいと思います。次のページは、枝肉価格の推移でございます。新型コロナウイルス感染症の「巣ごもり需要」によりまして令和2年度以降、堅調に推移をしてまいりました。赤の線が本年度の価格の動向でございますけれども、非常に堅調に推移しているということが見てとれるかと思います。緑の線のコロナ前3年平均、これをかなりの程度上回って推移しているといった状況でございます。
次のページを御覧ください。飼養戸数、あるいは頭数についてでございます。
1段目の飼養戸数は減少しているということで、「▲」が多く立ってございます。3段目の飼養頭数は、出っ張りへこみはあるんですけれども、ほぼ横ばいといった中で推移しており、全体としては大規模化が進展しているという状況でございます。
続いて、鶏肉に移りたいと思います。37ページを御覧いただきたいと思います。まずは需給動向でございますけれども、左上のグラフのとおり、消費量は健康志向の高まり等を背景にいたしまして、近年増加傾向で推移しているところでございます。
左下のグラフのピンクの部分のとおり、生産量は価格が堅調に推移していることなどから、増加傾向で推移をしているところでございます。毎年過去最高をここのところは更新しているという状況でございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。次のページは、鶏肉の価格の動向でございますけれども、赤線が本年度の鶏肉の卸売価格になってございます。もも肉については需要が安定的に推移していること、あるいは一部では価格転嫁も進んでいることなどから、夏の低需要期においても価格が今年は低下しませんでした。上昇傾向で推移しているところでございます。
また、むね肉につきましても価格が高水準となっている輸入鶏肉の代替需要の増加等によりまして上昇傾向で推移しているというふうに承知してございます。
続きまして、鶏卵の方です。40ページをお開きいただきたいと思います。鶏卵の需給動向についてでございます。左上のグラフのとおり、消費量につきましては、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響によりまして家計消費は増加したものの、業務用需要が減少したため前年度を下回り、令和3年度は業務用需要は回復傾向にあるものの、前年度を僅かに下回ったという状況でございます。左下のグラフのとおり、生産量は新型コロナウイルス感染症の影響による価格低下でございましたり、鳥インフルエンザの大規模発生等によりまして、この2年連続で前年度を下回る状況になっています。
右上のグラフのとおり、自給率は97%と非常に高いのが特徴でございますが、引き続き需要に応じた生産を推進するという必要があるかと存じます。
続いて、次のページを御覧いただきたいと思います。価格の推移についてでございます。
令和4年5月以降、業務用需要が回復傾向にあることでございますとか、生産コストの上昇による減産傾向もございまして、価格は例年を上回る水準で推移しているのが見てとれるかと思います。現在、年末の需要期に向けまして、更に上昇傾向で推移しているということがこの赤線ライン、見てとれるかと思います。
43ページに記載のある鶏卵生産者経営安定対策事業については、後ほど食肉鶏卵課長から安定基準価格の算定方法の見直しについての中で御説明をさせていただきたいと存じます。
続いて、餌の方に入ってまいりたいと思います。44ページを御覧いただければと思います。
餌についてでございます。畜産における飼料の供給割合につきましては、牧草などの粗飼料が20%、左側の縦の棒グラフでございます。トウモロコシなどの濃厚飼料が80%を占めるという状況になってございます。畜種ごとにどんな状況にあるかは、その右側の今度は帯グラフで分かるかと思いますが、更にその右側、そこのところでは畜産経営コストに占める飼料費の割合ということですが、牛では3から5割、豚や鳥では5から6割と、非常に高くなっているのが特徴でございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。令和3年度の飼料自給率、これは概算で25%ということになってございます。このうち、粗飼料の自給率は76%、左真ん中の緑色のところで分かるかと思います。濃厚飼料自給率は13%、その下の方のオレンジ色のところです。農水省では、令和12年度の飼料自給率の目標を34%というふうに掲げてございます。飼料生産基盤に立脚しました足腰の強い畜産経営への転換が喫緊の課題となっているところでございます。
続きまして、47ページを御覧いただきたいと思います。こうした中で配合飼料価格に影響を与える要因の動向についてまとめてございます。
配合飼料の主な原料でありますとうもろこしの価格、これは左上でございますが、ウクライナの情勢を受けまして上昇いたしました。いっとき下落いたしましたが、引き続き高水準にあるということは変わらないという状況でございます。
また、海上運賃、これも今下落しているところにありますけれども、そうはいってもまだまだというところもありますし、何せ右下の為替相場、これについては非常に上昇要因になっているという状況でございます。
次のページをお開きください。次のページが配合飼料価格安定制度の概要でございます。
こうした価格の上昇の影響を緩和するために、生産者と飼料メーカーの積立てによる「通常補塡」、それから国と飼料メーカーの積立てによる「異常補塡」、この2段階の仕組みによって補塡を実施しているという状況にございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。次のページ、こちらの方では輸入原料価格の推移と配合飼料価格安定制度の補塡の実施状況ということでございます。平均輸入原料価格、この青いラインがどんどん右側で上昇しています。これに対して基準輸入原料価格というものもこの灰色の折れ線グラフで上昇しておって、その中で補塡がどう発動されているかというのが、オレンジ色が異常補塡、緑色が通常補塡ということで、足下のところ、右側の方、すごくたくさん出ているということが見てとれるかと思います。
こうした中、直近、本年度第2四半期につきましては、トン当たり1万6,800円、これが生産者に交付される予定となっているところでございます。
続いて、次のページを御覧いただきたいと思います。乾牧草の輸入・価格動向ということでございます。
右上のグラフのとおり、配合飼料だけでなくて、乾牧草の輸入価格も円安の影響等によりまして上昇しているという状況にございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。こうした中、輸入飼料への過度な依存から脱却をして、国産飼料基盤に立脚した生産に転換していこうということでございまして、農水省といたしましては、一つとしては、水田を活用した青刈りとうもろこし等の生産の拡大、それから二つといたしましては、効率的な飼料生産を行うコントラクターの機能強化など、こうした国産飼料の増産対策を推進しているところでございます。
続きまして、輸出の関係ということで、53ページをお開きいただきたいと思います。こちらの方では、輸出の状況でございますけれども、国産の農林水産物・食品の輸出拡大に向けまして、令和2年3月に策定した食料・農業・農村基本計画に、2030年までに輸出額を5兆円とする新たな目標を掲げたところでございます。このうち、牛肉3,600億円を始めまして、意欲的な目標を作っているというのが右側の中段のところに記載がございます。
畜産物の輸出につきましては着実に増加をしているということが左上の実績で分かるかと思いますが、2021年度は過去最高の872億円となってございます。そのうち、牛肉が最大で537億円、次いで牛乳・乳製品が244億円となっているところでございます。
次のページを御覧ください。ここでは代表例として牛肉の輸出について御紹介したいと思います。
2021年の牛肉の輸出額は、輸出先国での外食需要の回復や小売・インターネット販売が好調だったこと等によりまして過去最高を記録してございます。2022年1-9月の牛肉の輸出額は、台湾やEUへの輸出実績が好調である一方で、香港におけるコロナの影響による外出需要の落ち込みでありますとか、米国の低関税枠の関係などによりまして、前年同期比94%となっているところでございます。
牛肉を含めます畜産物の輸出に当たりましては、各産地におきまして畜産農家や食肉処理施設・輸出事業者から成る「コンソーシアム」を構築いたしまして取り組んでいるところでございます。更なる拡大に向けまして、実行戦略に定める取組を着実に進めてまいりたいと思います。
続いて、輸出のところを少し割愛させていただきまして、その他、59ページを御覧いただきたいと思います。こちらの方では、畜産分野の脱炭素化への取組ということでございますけれども、我が国の温室効果ガスの総排出量に占める畜産源の割合は約1%。決して大きい数値ではないということが分かってございます。
しかしながら、温室効果ガスを排出している産業ということについては変わりがないということでございますから、排出削減については引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
61ページを御覧いただきたいと思います。61ページの方では、脱炭素化への取組ということで、温室効果ガスの削減に向けまして、例えばということでありますが、このげっぷの中のメタンの削減効果のあります餌の給与でございますとか、家畜排せつ物の強制発酵による温室効果ガスの発生抑制、こういったことに取り組んでいるということでございます。左側と右側、それぞれやっているということでございます。
それでは、次のページを御覧いただきたいと思います。次に、持続的な畜産物生産の在り方についてということでございます。
我が国の畜産は、飼料・家畜・堆肥の循環サイクルを形成しながら、農村地域の維持発展や豊かな食生活に貢献をしてまいりました。一方、環境負荷や輸入飼料への過度な依存など、課題があるところでもございます。
そこで、青枠で囲われた部分にございますとおり、昨年6月の畜産部会に報告させていただいた後、持続的な畜産物生産の在り方検討会の中間とりまとめ、これを公表させていただきました。これは、みどりの食料システム戦略を踏まえまして、既存の現場の取組を含めて、畜産分野において今後行うべき取組を再整理したところでございます。具体的な取組は、次のページにまとめてございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。中間とりまとめでは六つの項目に分けまして、それぞれにおいて生産段階、研究段階、双方が行うべき取組をまとめてございます。公表から1年以上経過したことを踏まえまして、中間とりまとめに記載している取組の進捗状況をまとめたところでございます。参考資料として、取組状況として配付をさせていただいているところでございます。今回の結果も踏まえまして、今後どのような取組ができるか、引き続き考えていきたいと思います。
最後に、69ページを御覧いただきたいと思います。TOPICということで、畜舎特例法につきまして、最後に御紹介でございます。本年4月1日から施行しているところでございますが、農業者から、対象となる畜舎等に保管庫等を追加してほしいといった要望を聞いているところでございます。現在、追加する方向で検討を進めているところでございます。
以上で、畜産・酪農をめぐる情勢の説明を終わりにします。ありがとうございました。

◯三輪部会長
天野課長、ありがとうございました。
それでは、続きまして、鶏卵生産者経営安定対策事業における安定基準価格の算定方法の見直しにつきまして、食肉鶏卵課長から御説明をお願いいたします。

◯猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長の猪口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、資料4に基づきまして、鶏卵生産者経営安定対策事業における安定基準価格の算定方法の見直しについて御説明させていただきます。
本事業につきましては、昨年6月に公表されました養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会、こちらの報告書における御指摘・御提言を踏まえまして、まず本事業が発動する基準となる価格について、食料・農業・農村政策審議会畜産部会、本部会に諮問し、御意見をいただいた上で決定すること、また事業内容の見直しにつきましては、様々な関係者や有識者から成る検討会において多角的な議論を行った上で検討することとされたところでございます。
本事業の基準価格につきましては、昨年の12月から本畜産部会に諮問しているところであり、今年も同様に、この後12月に開く予定の本部会で御意見を賜りたいと思っております。
本日は、具体的な価格水準の議論の前に、本年4月に提言された事業見直しの方向を踏まえまして、本事業の成鶏更新・空舎延長事業の基準価格となります安定基準価格の算定方法の一部見直しの方向性につきまして、あらかじめ本部会に御報告しておきたいと思っております。
それでは、1ページ目を御覧ください。まず、この鶏卵生産者経営安定対策事業の概要を御説明いたします。
本事業につきましては、鶏卵の月ごとの平均価格、標準取引価格、こちらが補塡基準価格を下回った場合に価格の季節変動をならして生産者の経営の下支えをするということを目的に価格差補塡を行っております。そして、更に鶏卵の平均価格が低落した場合、鶏を入れ替える際に、通常よりも長く鶏舎を空けることによって需給改善を図る取組、こちらに対して奨励金を交付して、鶏卵の需給と価格の安定を図る、こういうことを目的とした事業でございます。
これらの補塡金や奨励金の原資は、国と生産者により積み立てられた基金から交付されております。
次の2ページを御覧ください。この事業は、3年を1タームとして事業を行っておって、3年ごとに事業の見直しを行っております。令和5年度、来年度が新たな事業期間となりますので、本事業の見直しにつきまして今年の2月以降、生産者ですとか関係の事業者、また有識者もメンバーといたしまして、鶏卵生産者経営安定対策事業検討会、こちらを設置し、議論を重ねまして、本年4月に事業の見直しに向けた骨子が取りまとめられたところでございます。
資料の2ページ目に書いてあるように、様々な内容が取りまとめられましたが、その中の一つとして、赤枠で囲ってあるとおり、成鶏更新・空舎延長事業の発動の早期化を図る、こういったことが取りまとめなされております。検討会におきましては、鶏卵の需給調整を早い段階で開始することにより、価格が大きく下落することを防ぐべきと、こういう意見をいただきました。これに対応するため、成鶏更新・空舎延長事業の発動基準となる安定基準価格を引き上げる方向、つまり補塡基準価格と安定基準価格の幅を小さくする、こういった方向で算定方法の見直しを行いたいと考えております。
次の3ページを御覧ください。まず、左側の現行の基準価格の考え方について御説明いたします。
鶏卵価格は夏、夏季の低需要期に低落し、鍋物需要やクリスマスケーキ需要が高まる秋・冬に向かって上昇するというサイクルがございます。赤い線が補塡基準価格でございまして、低需要期の平均的な価格低落、言わば通常以上に低落した場合に、補塡金により経営の下支えを行うという、その基準の価格として赤い線、補塡基準価格を設定しております。
補塡基準価格は、直近6年間の平均価格に生産コストの変化率を加味した値に低需要期の平均低落率を乗じて算定しております。この補塡基準の算定方法に変更はございません。
その下の青い線、こちらが安定基準価格でございまして、通常の変動を超えた大幅な価格低落の際に、需給改善に取り組む基準として設定しておりまして、この赤い線の補塡基準価格から更に1標準偏差分下落した水準として設定しております。
この安定基準価格の見直し案でございますが、右側のイメージ図のとおり、現行は補塡基準価格から1標準偏差分下落した水準で設定しておりますが、様々なシミュレーションを行った結果、標準偏差に0.7を乗じて変動幅を圧縮することによって安定基準価格を引き上げ、これによって発動の早期化を安定的に実現できると考えております。
具体的な補塡基準価格や安定基準価格の水準につきましては、直近の物価動向などを踏まえて算定いたしまして、12月の畜産部会にお諮りし、御審議いただくこととしております。
最後に、現在行っている概算要求について御説明させていただきたいと思います。資料の9ページまで飛んでいただければと思います。
今申し上げたような見直しを行った上で令和5年度の概算要求を行っておりますが、所要額につきましては昨年同様の52億円を要求しているところでございます。
右側のイメージ図のとおり、青い線の補塡基準価格を下回った場合に交付される補塡金は、赤い線の安定基準価格までの差額の9割となっております。安定基準価格を引き上げた場合、補塡金の交付幅が圧縮されることになります。このため、価格差補塡による経営の下支え効果を維持するため、補塡金の国の負担率を現行の8分の1から6分の1に引き上げることを要求しております。このほか、需給調整機能の実効性向上を図るため、先ほど申し上げた安定基準価格の引上げに加え、現行より長い120日の空舎期間を新設するとともに、事業に参加しづらい小規模な生産者については、奨励金の対象となる成鶏の出荷期間を前後に10日間拡張することとしております。
私からの説明は、以上でございます。

◯三輪部会長
猪口課長、ありがとうございました。
それでは、これより、ただいまの御説明を踏まえまして意見交換に入りたいと思います。
本日御出席いただいている委員の皆様から御意見、御質問などをいただければと思います。
先ほど申し上げましたとおり、各委員には約4分という目安の下に自己紹介、御発言、御質問等をいただければと思います。
なお、委員の方々、4名ないし3名、私の方で区切らせていただきまして御発言いただき、その後、農林水産省からまとめて御回答いただくということを繰り返す形で円滑に議事を進めさせていただければと思います。
なお、御発言順につきましては、途中退席の御予定があります里井委員から一番最初に御発言いただきまして、その後は五十音順で進めさせていただければというふうに思います。
それでは、初めに里井委員、よろしくお願いいたします。

◯里井委員
聞こえますか。

◯三輪部会長
はい、聞こえております。よろしくお願いいたします。

◯里井委員
大変御丁寧な説明の方を本当にありがとうございます。
私の方からは、今回、すごくまとめが分かりやすかったということと、取組について、今後、一消費者の代表としても大きく発信していきたいなと思ったことがありましたので、その旨をちょっと報告させていただけたらなと思っております。
輸出の中でも畜産への期待が非常に高まって、127%というのを冒頭に伺ったばかりなんですけれども、その中ででも今後国産の─まあ、畜産だけではないんですけれども、その付加価値をどうやって上げていくかというのは非常に大きな点じゃないかなと思っています。
そんな中、一番最後にございました2040年、2050年を見据えてのみどりの法則につきまして、持続的な畜産物生産の在り方についてという取組におきましては、非常に賛同する部分がとても多くございました。
かなり長期戦の戦いになるのかなと思う一方で、今後はこういう持続的な畜産物の生産というものに対して、国からもこのような取組があるということを広くもっと広げていけたらなと思いました。特に今後、付加価値を高めるにおいて、安全性という点においては、消費者の方々が一番思っていること、それから最近ではそれプラス価格面という面で非常に不安を覚えている人が多いんじゃないかなと察しはするんですが、少なくともこの安全性という面におきまして、野菜の中では、例えばそれが有機の野菜というランクがある中、若干まだ有機や、そういう取組の畜産物があるというものを知らない方も多いのかなと思ったときに、この畜産物生産の持続性に関する取組という姿勢は非常に有意義なことなんではないかなと思いました。
数々の問題が大きく取り上げられる傾向があるのが畜産であり、農産物ではあったりするんですが、今消費者の方々とお話をしていても、非常に前向きな方々もすごく増えてきていて、明るい話題で更に発展性を望むという姿勢もあるんです。なので、駄目な部分、大きな課題の取組の問題点も多いんですが、今こういう新しい取組をしていますという明るい発信をしながら、畜産の未来がとても明るいんだということをアピールしていくことが重要かなと思っています。
根本的な問題というのは、やはり継続しての後継者の方がいないという、若い世代を、どうやって取り組むかという点におきましても、みんなが畜産やっていくことが明るいんだという部分を強くアピールしていけたらなと思っています。
そういう意味では今日、良いところを特にピックアップして取りまとめて発信していけたらなと思いました。
私からは以上です。ありがとうございます。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、続いて石田委員よろしくお願いいたします。

◯石田委員
初めまして、神奈川の方で酪農をやっております石田と申します。
飼養頭数としては今30頭ぐらいの搾乳規模で、神奈川県という都市近郊というような立地条件にありますけれども、消費者理解というところに努めるとともに、教育ファームや6次産業化ということでジェラートの製造販売、飲食店経営というところを少しやっております。
また、生産性向上というところで農場HACCPの認証とJGAPの認証を取得して、生産性の向上と品質のより高い生乳の生産というところに努めております。
私からは一生産者として、この酪農をめぐる資材高騰の情勢、これは自分も含めて周りのほとんどの酪農家が今本当に危機に瀕しているといったような状況であるというのは事実としてお伝えしたいなと思っております。
ただ、この御説明でもありましたけれども、補正予算も含めて、できる限りの支援はしていただいているんじゃないかなといったようなことが私の中での印象です。まだまだ足りないですとか、このままでは畜産が崩壊してしまうとかいったような意見を持つ仲間もいますけれども、私個人的な意見としては、やるべきことをやっていただいてはいるのかなというふうな印象を持っております。
これ自体を乗り切るためには、畜産家としても、より経営力として、より高度な経営改革が求められておりまして、私の経営としましても、自給飼料を作っている方では、神奈川県では作っている方ではありますが、今年の6月末の時点で自分なりにちょっとシミュレーションしてみた結果、このまま現状維持でいったとしたら、12月までには恐らくキャッシュアウトするだろうなといったような経営状況でした。どういうふうに乗り切れるかなというふうに私なりに考えた結果、頭数を当時、うちの牛舎は40頭マックスで入って搾乳できるんですけれども、40頭マックスで搾って、今の自給率で経営するとキャッシュアウトする。ただし、これを3分の2にボリュームを縮めて28頭規模で今の飼料畑の面積でやっていくと、北海道並みの自給率になるなというようなところに気付きまして、この2か月間の間に頭数を10頭、13頭ぐらい削って今経営改革を進めております。
ただ、こういったような改革、自分なりにシミュレーションして、来年のキャッシュがこういうふうになるというところでこういうふうに自信を深めて思い切った形─まあ、売上げを下げるというところでかなり思い切った決断ではあったんですけれども、やっぱり売上げを下げるという決断は、通常の生産者はなかなか打つ決断をできないというようなところで、非常にこの場を乗り切れる経営者というのは少ないのかなと。
ただ、そういったところにおいて、直接的な緊急的な支援というところも非常に有り難いんですけれども、それも含めてサポート的な、中長期的な経営力を強化するといったようなソフト面の支援も非常に必要なのかなというふうに感じております。
私個人としては、大きな声では今は言えないですけれども、ここが自分としては非常に大きなチャンスというか、規模を縮小させたことによって、堆肥の処理もより楽になりますし、1日当たりの労働時間も実際今少なくなっております。人件費も少なくなり、あらゆる飼養管理に係るコストも減っておりますので、神奈川県で酪農家として生き残っていくためには、この改革は必要だったのかなというふうに私は感じてやっているところでございます。
以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、リモートで御参加の大山委員、よろしくお願いいたします。

◯大山委員
神戸大学の大山と申します。大学の附属農場におります。専門は家畜育種という分野の研究をしております。よろしくお願いいたします。
私から申し上げたいのは、この状況を考えると、飼料価格について一言触れないわけにはいかないなというふうに思っているところです。
状況としては価格の高騰にとどまらず、場合によっては希望の飼料が買えない、入手が困難になっているようなこともあって、この点に関しましては、これまでは特に、ちょっと言葉はきついかもしれないですけれども、国も、自治体の行政も、ちょっと飼料については軽んじてきたというか、余り大きな比重を置いてこなかったんじゃないかなというところをちょっと反省しているようなところです。
今、この中でかなり、種々の緊急対策も含めて講じられているというのは存じ上げているところなんですけれども、御挨拶にもあったように、抜本的な国産飼料の基盤強化というものには、これまで以上に継続的に予算も割いていただきたいなというふうに感じているところです。
それに関連して配合飼料の価格安定制度についても、これ基本的に前年との差額を基準に発動される、補塡されるということですので、今後、高止まりの傾向が今続いていますので、そうなったときには補塡されないというような事態になってしまうということもちょっと懸念されることだと思いますし、肉用牛に関してはそれ以外にも子牛の補給金であったり、牛マルキンなんかもありますので、最終的にそちらの制度での補塡というものも当然あるわけなんですけれども、やはり複数の制度がそれぞれに運用されていって、正直なかなかすっきりしていないなというような感覚は持っているところです。
最終的には生産費というものが農作物の価格に適正に反映できるというような形が恐らく望ましいんじゃないかなというふうに思いますので、今ちまたで取り上げられているようなフランスの価格決定制度ですか、そういうものの議論にも注目はしているところですけれども、それでも消費者が価格に納得できなければ消費低迷ということになるわけですので、いかにその辺り、食料安全保障というものの重要性を消費者も含めて理解して、それを受け入れられるような社会に、なかなかすぐには難しいかもしれませんし、当然生産者も努力は必要ですけれども、そういう社会の醸成に向けて進んでいただければなというふうに思っているところです。
それと、私、肉用牛が専門ですので、肉用牛の生産に関して少し意見を述べさせていただきますと、先般、5年に1度の和牛の共進会、全国の共進会が開催されたわけなんですけれども、そこに出品されていた枝肉は、通常より半年程度若い、早い出荷月齢であったにもかかわらず、サシですね、BMSナンバーで測りますけれども、この平均が10を超えていて、牛が持っている能力と肥育技術というものが本当に和牛農家は高いレベルにあるなということを感じたと同時に、No.10というのはロースの脂肪で言うと50%それに達しているということを同時に意味しているわけでして、本当にこの辺りで改良の方向のかじが本格的に切れないと消費者にそっぽを向かれてしまうのではないかというふうにちょっと懸念しているところです。
幸い、共進会の中でも不飽和脂肪酸という一つの展開の方向が見えているわけでしたし、昨今の餌の状況も考えると、少ない餌で大きく成長するような家畜への改良というのも今非常に受け入れやすい方向だと思いますし、それ以外にも昔から言われているような分娩間隔の短縮というものも、もちろん餌を減らす効果もありますし、同時に先ほど話があった環境負荷低減というような効果も持ちますので、現状、霜降りからなかなかスムーズに転換ができていない状況ではあるんですけれども、関係団体と農林水産省がこれまで以上に密接に連携して、この問題にも取り組んでいただきたいなというふうに思っているところです。
以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、同じくリモートで御参加の小山委員、よろしくお願いいたします。

◯小山委員
大丈夫ですか。

◯三輪部会長
はい、聞こえております。お願いいたします。

◯小山委員
私は宮城県の中山間地に住んでおります、繁殖和牛を飼っております小山と申します。
米を作り、減反田を利用して粗飼料を生産し、牛を飼う人が多い水田と和牛は切り離せない所に住んでおります。
私の住んでいる隣のまちの大崎市で、今年トウモロコシの生産を行いました。隣接する町内の水田にも作付され、くみあい飼料という大きな会社の協力もあって、大きな話題になりました。今後、生産の仕方とか、いろいろ興味もありますし、期待したいと思っているところでございます。
私の家も長年、3ヘクタールほどは水田放牧をしております。以前より放牧できる期限が長くなったように思うのは、もしかして温暖化のせいなのかなとか思ったりはしておりますが、ほかの水田は飛び地だったり湿地などで条件が悪く、作業も大変ですが、放牧なら対応できます。放牧できる牛を育てることがとても大切になってきます。土地条件に合わないとすぐに、これは耕作放棄地に直結していくからです。
私の方は、まだ未整理の水田を基本整備するように希望していましたが、水田に整備すると後々大変なことになります。水田よりは畦畔をなくして畑地化に整備できないかとずっと考えていました。今回の畑地化の政策は、これから農地利用・保全地域計画にもとても重要な良い話題なのかなと考えております。
子牛の値段が今の値段が安いかと思うか、昔に戻ったと考えるか、もっと安い時代を過ごした自分たちはやっぱり安くなったなと思いますし、私たちより上の世代の繁殖農家は高齢化し、高値販売できることによって頑張れたこともありました。この値段、続くとは思えないのですが、近くには妊娠牛を預けられる放牧場もあり、牛飼いに専念できる環境があるので何とか頑張って牛飼いを続けて、やっぱり牛が好きだから頑張っていきたいなと思っております。
以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま4名の委員の皆様に御意見、御質問等をいただきましたので、ここで一旦区切らせていただきまして、農水省より回答をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
順番はお任せいたしますので、よろしくお願いいたします。

◯冨澤飼料課長
大山委員から配合飼料価格が高騰している中で、国産の自給飼料生産への取組が重要だということでお話をいただいております。
飼料自給率が現状25%ということでございますので、粗飼料生産を中心に自給率を令和12年には34%に引き上げるということで支援を行っておりまして、繰り返しになるかもしれませんが、水田を活用しました飼料用とうもろこしの生産拡大とか、地域の飼料生産、これは農家さんの労働負担が大きくなっている中でコントラクター等の飼料生産組織の機能強化を図って外部化を進めるということ、公共事業等で草地の整備によりまして牧草の収量を引き上げていくようなこと、国産の稲わらの利用促進ということで、先ほどありました飼料生産組織等の中で稲わら収集にも取り組んでいただくための御支援や子牛農家と畜産農家のマッチング、こういったようなところを推進しているところでございます。
大山委員からお話ありましたとおり、今回の経済対策の中でも国産飼料の生産・利用拡大に向けた対策を実施していくということでございますので、それらの取組を進めていきたいということでございます。
また、配合飼料価格安定制度の補塡についてお話をいただいております。配合飼料価格安定制度につきましては、先ほど資料の説明でもありましたけれども、2段階の仕組みで対応しているということでございますが、いわゆる激変緩和ということで、あらかじめ皆さんで積立てをして、それによって補塡を行うということでございますけれども、今般高騰が続いたということもございましたので、飼料メーカーさん等の協力を得ながら異常補塡基金に665億円積み増しを昨年からしてまいりました。また、今回の予備費を使った対策によりまして、9月には価格の高止まりに対応するために、飼料価格高騰緊急対策ということで、504億円を措置して御支援をさせていただいているところでございます。
配合飼料価格安定制度について、引き続き制度に基づいてしっかり対応していくとともに、今後、先ほどお話もありました牛マルキンや子牛補給金なり、各経営安定対策による支援とその他金融対策等もございますので、そういった面で農家の皆さんを御支援していくというようなことを考えているところでございます。
小山委員から、子実とうもろこしの生産を宮城県の大崎市の方で始められたというところでございます。やはり今まで粗飼料中心でやってきたわけですけれども、濃厚飼料原料という意味では子実とうもろこしというのは一つ重要な作目ということでございます。畜産局としても、子実とうもろこしを試験的に栽培するための機械装備とか調製、乾燥調製の部分についても今支援しているところでございますので、どうしても価格面というものが、コスト面というものがございますけれども、引き続きそういった取組が続けられるような支援をしていきたいということでございます。
また、放牧に取り組まれているということでございまして、低コストで、かつ、労働負荷も少ない形で水田の活用をされているということでございます。放牧についても私ども、放牧のための簡易な電気牧柵とか水飲み場とか、そういったものの御支援もしておりますし、先ほどお話ありました水田活用の方も、畑地化についても今後取組を進めていく方向で検討しているということでございますので、活用いただきながら放牧に取り組んでいただければというふうに考えております。
私からは以上でございます。

◯犬飼畜産振興課長
畜産振興課長でございます。
大山先生から和牛の脂肪交雑について御意見をいただきました。今の家畜改良増殖目標は、令和2年の3月に策定をいたしましたが、その際にも脂肪交雑についての議論がございました。当時、脂肪交雑については、これまで改良を続けてきた効果というものが持続すると思われるので、あえてアクセルをもう踏まなくてもいいだろうということで、産肉能力の記述について、脂肪交雑については、「現在の改良量を引き続き維持した上で」というふうに書くこととなったところでございます。
配合飼料価格の高騰によりまして牛肉の生産コストが上がっておりますので、令和5年度の予算要求におきまして肉用牛の肥育期間の適正化、あるいは早期出荷の取組、これを支援するための予算を要求しているところでございます。
こういったことをやる中で、先ほど石田委員から、農家の収益性を考えて、あえて頭数を減らすという決断をしたという話もございましたけれども、農家の収益性の高い肥育の在り方、これは必ずしもBMS12を目指すことではないと思っておりますので、そういったことについて生産者の方にも改めて考えていただきたいと思っております。

◯猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長でございます。
小山委員から子牛価格について御指摘をいただいております。
子牛については、肉用子牛生産者補給金制度で下支えすることが基本となってございますが、本年5月からの子牛価格の急落を受けまして臨時・緊急の、本年12月までの臨時対策といたしまして優良肉用子牛生産推進緊急対策事業、こちらを措置させていただきまして、生産者の不安の払拭に努めているところでございます。
年末に向けた需要期に向けて、子牛価格をしっかり注視してまいりたいと思っております。

◯三輪部会長
ほかによろしいでしょうか。

◯天野総務課長
総務課長です。
里井委員の方から、持続的な畜産物生産について、やはりこれが有効ではないか、有意義ではないかというお話をいただきました。これにつきましてはお手元のところに、先ほど御紹介しなかったんですが、参考資料ということの中で、行うべき取組について進捗状況の記載を少しさせていただいているところがございます。いろいろ取り組んでいるところではありますが、ではこれですごく変わったねとか、消費者の方に届いたねというところまでいけているのかということになりますと、正に一番最後のページにもあるように、こうした消費者への情報伝達だとか、理解醸成ということについて、まずまずはうまくできていないということがありまして、ここは引き続きの課題として取組を進めていきたいと考えているところです。
ありがとうございました。

◯里井委員
ありがとうございました。すみません、1点だけ。
先ほど自己紹介を忘れちゃったんですけれども、フードジャーナリストという肩書で食に関してのいろいろ情報発信をしているので、常に消費者目線というのを大事にしながら発言しております。補足です。失礼いたしました。ありがとうございました。

◯三輪部会長
それでは、御回答の方をありがとうございました。
それでは、続きまして、改めまして委員の皆様から御意見、御質問等をいただければと思います。
それでは、串田委員、よろしくお願いいたします。

◯串田委員
北農中央会、串田でございます。
常日頃より、農林省畜産局の皆様方には北海道酪農・畜産の発展のために御尽力いただいていますことを、まずもってお礼申し上げるところでございます。
その中で、今回酪農情勢でありますけれども、御存じのとおり、約10年前からの乳製品、棚からなくなったから始まりまして、畜産クラスターの創設、そして日本全国含めた畜産クラスターの活用によって北海道酪農も飛躍的に伸びてきた中で、3年前のコロナ禍、そして今年当初のロシア・ウクライナ問題、そして円安ということで、非常に需給バランスが大きく、短時間での変動が余儀なくされているということで、今現在、北海道酪農におきましても非常に規模拡大した中での生産抑制ということで、4年度の当初、抑制対策ということで、昨年度100という数字でスタートさせていただいた中で、今、更なる円安等で多くの食料の値上げによる、また消費減退ということで、4年度の下期、そして令和5年度の減産体制ということで、北海道酪農も今苦渋の選択をしているところでございます。
その中で常々畜産局の皆様方にも理解していただいていますけれども、やはり北海道酪農だけでは今の需給バランスを直せない。改めて全国での需給調整をしっかり行っていただきたいということで、当然今全国で取り組んでいただいておりますけれども、改めて全国的な展開の中でお願いしたいというふうに思います。
その中での結果といたしまして、今現在、大きく酪農経営を圧迫しているのが脱粉・バターの在庫問題ということでございます。
先般、野村農林大臣からも、在庫削減対策においては取り組むという、私たち生産現場にとっては非常に大きな力をいただいたところでございます。改めて昨年度も行っていただいておりますけれども、そこが今生産者も拠出金として在庫対策に取り組んでおりますけれども、改めて在庫対策に対する今後の姿勢、取組内容を今の段階でお聞かせ願えればなというふうに思っております。
そして、今先ほど大山委員からもありましたけれども、配合の関係でありますけれども、今回、第3四半期においては予備費、そしてまた基金の積み増しということで大変御尽力いただいておりますけれども、今後においての第4四半期、そしてまた今後におきましてもこの円安、そして原料高ということで、非常にこの先もまだまだ不透明ではありますし、逆にまず下がる要因はないのかなというふうに思っている中で、しっかりその辺も所得確保に向けた取組をお願いしたいところでございます。
そして、また先般も農林水産委員会においても北海道の議員の先生からもお話ありましたし、私たちもいつも大熊課長に御質問させていただいて、答弁をいただいておりますけれども、畜安法の関係についてでございます。
そして今、全国的な抑制対策、取組が重要なところだという中で、自由な契約の中での生産というものは法律上重々理解しているところでありますけれども、国としてしっかり全国的な酪農において抑制対策を取り組まなければ、国の事業、そして対策を打っていただいても、やはり穴が空いている─穴が空いていると言ったら失礼ですけれども、なかなかそういった自由な方々に、自由になってしまうと、スーパー等含めた中での、また価格含めた、そういったところで最終的には、なかなか対策が目に見えてこないのではないかなということで、改めて畜安法の、そしてまた今現在の、そして今後の取組について御答弁いただきたいというふうに思っております。
あと1点、最後になりますけれども、今こうして、この11月から全国的に乳価の値上げということで、約10円ということでありますけれども、今後北海道においては乳製品価格ということで、今後交渉始まると思いますけれども、その中では価格が上がれば、やはり消費が落ちるというような、やはり苦渋の選択もしなければならないということで、非常に苦労した中で、今は量よりも所得を確保していくということで今動いているところでございます。もちろん、乳価、そして今後決定していく補給金もそうですけれども、私たちが安定して酪農・畜産を経営できるような所得確保、これは今後、今、食料安全保障検討委員会という議論をいただいておりますけれども、私たちも、私たちの生活だけではなく、国民の消費者の皆様方にしっかり安心・安全なものを安定的に送りたいという願いも重々大きな要因として持っているところでございますので、そういった観点からも是非、国民の食料に対する思い─思いといいますか、対策ということを、また畜産局の皆さん方からも、今の段階での力強い、今後についての抱負をいただければなというふうに思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、リモートで御参加の駒井委員、よろしくお願いいたします。

◯駒井委員
どうも、京都の駒井と申します。食肉市場協会からの出席といたしまして、御意見申し上げます。
まず、国産牛肉の価格状況については農林水産省の方々からの今の御報告のとおり、コロナ禍にあって発生直後の暴落からは回復した、一昨年11月以降ですか、比較的安定した水準にあり、また国産豚肉の価格についても比較的高い水準で推移しております。流通に困難が生じている状況ではありません。ただし、牛肉についてはこの年末商戦に向けて弱含み展開をしており、これは消費者が高い国産牛肉を敬遠していることの反映と考えられます。この場で何度も申し上げましたが、消費者は頃合いのサシの入った、手頃な価格の牛肉を求めているということを改めて申し上げておきます。
様々な肉用牛生産支援策が講じられ、増頭傾向にありますが、国内の消費者のニーズに応えるため、高級牛肉以外の牛肉を供給する努力も必要と考えております。
また、コロナ禍、物価上昇の影響について少しお話しします。
従業員とその家のコロナ患者が発生したことにより、私ども協会会員市場でも複数箇所で業務を休止したところがございました。また、光熱水道料の高騰も経営を圧迫しており、私どもの会員へのアンケートでは、今年度の見込みが全国平均で令和2年度比で30%を上回っております。そしてまた、個別事案ですが、前年同月比で見たガス単価、これが216%、2倍以上になった事例もあります。手数料での運営、3.5%の手数料の運営ですので、市場としては価格転嫁は容易ではなく、大変苦しい状況にあることをお伝えしておきます。
また、牛肉の輸出促進についても農水省による様々な支援策が講じられ、輸出量は増加傾向にあるとのことですが、輸出の拠点となる輸出認定施設になること、及びそれを維持すること、特にアメリカ、EU等先進国への認定施設となることにはまだまだ課題があり、私ども卸売市場のうち米国への輸出可能となっているところは増えてきましたが、15か所にとどまっています。具体的な課題の解決と申しますのも、これもスポットです。血斑の補償の対策と、並びに、継続的な技術面、資金面での支援をお願いしたいと思います。
そして、一昨年来話題にしてきた原皮について─皮ですね─は輸出が少しずつ戻りました。一時ほどの深刻さはないと聞いておりますが、卸売市場での価格は極めて低く、低い水準にとどまっております。産業廃棄物とせず、処理場に使われる商品の原材料として供給し続けられるような方策を準備していく必要があると考えます。
そして、豚熱、アフリカ豚熱等、家畜疾病の水際対策、防疫対策については全世界で発生状況に合わせた、しっかりした対策をお願いいたします。特に今から10年前に発生しました口蹄疫などが二度と海外からの持込みの菌によるということなきように、厚生労働省の方々にも頑張っていただきたいと思います。
市場協会からは以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、同じくリモートで御参加の角倉委員、よろしくお願いいたします。

◯角倉委員
聞こえていますか。

◯三輪部会長
はい、聞こえております。お願いいたします。

◯角倉委員
北海道の十勝の広尾町で酪農家をしています角倉円佳と申します。
私は、搾乳頭数が50頭規模の、総頭数で100頭ちょっとの牧場を1人で経営しています。1人でやれるのも、うちの地域にTMRセンターだとかコントラだとか、あと育成預託だとか、そういったシステムが整っているというところで自分1人でも回せているという環境ではあるんですけれども、今の酪農情勢は、私はまだ酪農を始めて15年ぐらいなんですけれども、今までで一番例を見ないというか、今までで一番厳しい状況だなというふうに思っています。というのも、様々な価格が高騰されている。今まで発言された委員の方もおっしゃっているんですけれども、そういった価格が高騰しているということももちろんですし、その生乳を出荷して得られる収入プラス、私たちは子牛、生まれた子牛、雄子牛だったりとかF1だったりとか、そういったものも貴重な収入源になるんですけれども、そういった子牛の価格が今までの半分ぐらいになってしまって、ホルスタインの早く生まれた子牛とか、早く生まれた雄子牛だったりとか、双子で小ぶりに生まれてしまった子牛は持っていけないから殺してくださいとか言われています。そうやって自分たちが大事に育てている牛をそういうふうにしなきゃいけない現状があるのは、やっぱり酪農をしていて残念だなというふうに思います。何かこんな悲しくなるつもりもなかったんですけれども、ついつい。すみません。
それで、こういった状況になってしまっているのは、酪農家に限らず、ほかの方々もそうだなというふうには思っているんですけれども、いろいろなところで会う酪農家さんがみんな暗いというのが今の現状だなというふうに思っています。何というか、前向きになれないというか、今も自分の牧場自体も、生産を落として、落としてというふうに言われて、牛を出荷したりとかもしているんですけれども、でも出荷した牛でさえも価格が付かなかったりとか、今まではらみ、初妊で売っていた牛も半分ぐらいの価格でしか売られなかったりとか、何かそういった現状にあるのがすごく、何か明るい話題がないのがすごい残念だなというふうに思っています。
ただ、来年も減産方向でというふうに言われているので、もちろんそのようにやっていくしかないし、そこはこれを乗り越えていこうという気持ちはもちろんあるんですけれども、その先、例えば令和5年度はちょっと減産でと言われているので、そこを守ったとしても、その先に私たちが明るく見られるのかなって、搾乳したい、搾りたいと思ったときに搾れるのかなというのは、何か私たちの気持ちが上がるようなふうになったらいいのになというふうに思っているところです。
農水省の方もいろいろ牛乳消費のために動いてくださって、「牛乳でスマイルプロジェクト」とかやられていると思うんですけれども、まだまだ認知が少ないというか、9月が毎年消費が一番多い月と言われている中で全然伸びてこなかったりとか、何かそういう、せっかく「牛乳でスマイルプロジェクト」とかということをやっているのに、なかなか周りの人には広がっていないんだなというのを正直実感しています。
というのも、私自身もそこのプロジェクトに参加させていただいて、いろいろな牛乳に関わっている企業さんとかのお話を聞く機会があったんですけれども、自分が生産者としてびっくりするぐらい積極的に牛乳を消費してくださっているなというふうに思ったんですけれども、まだまだ何かそういうことが知られていないんだなというふうに思っているので、何か今まで現状でどうにもならないことはたくさんあるんですけれども、でもその現状を理解して、みんなでなかなか伸びない牛乳消費を呼び掛けていかないと、私たちが生産しているものをどうしても捨てざるを得なくなるんじゃないかなというふうに思いますし、実際自分の周りの酪農家さんも、もう捨てる覚悟で絞っていくしかないみたいな、財産となる牛を手放してもいるけれども、それでも間に合わないからもう捨てる覚悟で絞っていくしかないなと、生き残るにはそれしかないかなというふうに思っているところです。そういった現状を私は理解してほしいなというふうに思っています。
何かちょっと乱れた感じになってしまって申し訳ないです。以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして畠中委員、よろしくお願いいたします。

◯畠中委員
福岡県で採卵養鶏をやっております畠中と申します。
規模としては、成鶏羽数7万羽ぐらいと、あとはもともと育雛場なので、育雛羽数がまた10万羽ぐらいの農場です。
規模はすごく小っちゃくもない代わりに、雇用も60人ぐらいしていますので、6次化もしていまして、60人ぐらいいますので、今の鳥インフルエンザが蔓延していたりとかいろいろする中で非常に厳しい状況の経営体かなとは思っております。
もう皆様おっしゃるように、今もうとにかく採卵養鶏も─まあ、全畜ですけれども、飼料高騰で非常に厳しい中、さらに採卵鶏は全畜平均よりもはるかに値上がり幅が大きいというところもあって、もう本当に厳しくて、どんどん今までの蓄えを吐き出しながら、もう吐き出し尽くして、お金の融資をお願いしながら経営している状態になってきています。
そこにもってきて今年は、もう皆様御存じのとおり鳥インフルエンザが今日の段階で6例目ですか、国内。この時期に6例って、もう本当に気が気じゃないです。養鶏、採卵鶏、もちろん養鶏業界みんなですけれども、さらに採卵鶏の場合は、去年も申し上げましたけれども、なかなか再生産まで大変なことになるし、再生産ができたとしても、市場がもうなくなってしまっていたりとか、その間の雇用、うちなんかも60人からの雇用をその間1年以上守るなんていうことは到底考えられない状況でどうやって、これがもしうちに発生した場合に、再生産やろうという気になれるかと思って、到底私は、その可能性すら見いだせない。もうそういう状況の中、毎日生産していて、もううちの農場のスタッフとかから昼間電話があったら、取るのをためらうぐらい、もしかして死亡数が増えたんじゃないかと思って、ちょっと本当にもう電話を取るのが嫌になるぐらいの毎日を今送っています。
うちがもし発生したときには、うちだけではなくて、うちは育雛場で、ほかのところの育雛も請け負っていますので、採卵鶏の場合とかは、もう1年以上前から計画をみんな立てて、その分をうちが育雛を請け負って、ひよこももちろん孵化場から買って、ひよこを育成して、それを生産者さんに売っているので、うちがもし鳥インフルエンザ発生したら、うちの後の養鶏場にまでも1年以上えらい迷惑を掛けてしまうし、そういうサプライチェーンと言うんですか、それがもうなし崩しにがたがたいくのが採卵鶏だと思うので、ほかの畜種とかとはまたかなり違う状況なんじゃないかなと思うんですけれども。そういうところで、もう本当にこれだけたくさん出たら、どこが雪崩を起こして連鎖倒産してもおかしくないなという危機感を本当につくづく感じています。
そういう状況でありながら、この2年間ぐらい……3年間か、ここの審議会の委員とかさせていただいて話していて、つくづく思うのは、農林水産省の方には厳しいというか、耳の痛いことでしょうけれども、現場のことが本当に伝わっているのかなと。例えば、いろいろな政策をしていただくんだけれども、先ほどおっしゃった化成肥料から有機肥料への補助金、変換営農補助金とか、そういうのもしていただいているけれども、うちなんもそれを取り組みたいなと思っても、今までも余りにも生産者が、田んぼの方とかがマッシュじゃ駄目だと。もう鶏ふんは振る人がいないから、鶏ふんとか化成……何ですか、有機肥料。なので、もう化成肥料に替えました。老人ばかりになって、今までは振っていたけれども、それが振れる人がいなくなったから、もう化成肥料に替えましたとかというところがもうここ10年以上続きまくったので、うちも堆肥のところの施設・設備をかなり縮小しているような感じ。もう売れるだけでいいやという、ただでいいから持っていってくれりゃいいやというような感じのところに縮小していたところにもってきて、これの補助金が出たからといって、いろいろ引き合いはいただくんですけれども、引き合いいただいても、うちの設備がもう古いので、そこにまだこの苦しい状況の中、設備投資をする余裕が全くないんです。補助金は大体、鶏ふんの堆肥舎の補助金とかというのは、何か性能が良くなったりとか、何か拡大したりとかじゃないと出ないので、今あるものの置き換えは出ないんだと思うんです。そうしたら、もうみんな自費ではとてもできないから、幾ら売ってくれという人が増えても供給できないなというのが一つ非常に思っていること。
あと、今日も話題になっていた鶏卵生産者経営安定対策事業です。これも今物すごく生産者の間で評判が悪くて、来年はもう入らないとかという人もよく聞くんです。出ない。苦しいときに出なくて、何のためにあるんだというような話を非常に聞きまして、これも本当にここに書いてあるとおりになればすばらしい、需給バランスの問題とか、空舎延長事業とかがちゃんと回ればいいのかもしれないんですけれども、去年もおととしも私言っていますように、空舎延長事業に乗りたいと思っても、廃鶏業者が受け取ってくれない。もうそういうキャパがないから、とてもじゃないけど、引き受けられないというようなことがよく聞くので、それじゃ、結局絵に描いた餅でしかなくて、そうするとみんなが、これもう入っておってもしようがないから抜けようというような、この厳しい状況になって言われている。そうしたら、この制度自体が崩壊してしまうんじゃないかと思うんです。ましてや、うちみたいな小規模なところ、6次産業化しているところは、うちも10年ぐらい前まではやっていましたけれども、掛けていましたけれども、今入っていません。というのは、6次産業化しているところには、非常に証拠書類を残すのが物すごく負担なんです。だったら、もう入らない方がいいやとなって入っていないんですけれども、本来はこれは全員が入って、その制度を回していくべきだと思うので、何とかそこら辺をもうちょっと、みんなが本当に入りたくなる、入っておこうと思える制度にしていただきたいなと思っています。
すみません、長くなりましたけれども、どうぞ、厳しい、苦しい状況の生産者を何とかやる気にさせていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

◯三輪部会長
ありがとうございます。
それでは、ただいま4名の委員の皆様から御意見をいただきました。なお、リモートで御参加の里井委員について、先ほど御退室をなされております。
それでは、ただいまの各委員からの御意見、御質問につきまして、農林水産省からまとめて御回答をいただければと思います。

◯大熊牛乳乳製品課長
牛乳乳製品課長の大熊でございます。
酪農に関していろいろ御意見をいただきました。非常に苦しい状況であるということは我々も十分理解しておりまして、必要な対策をこれまでも講じてきたところですし、今後も打っていくということでございます。
いただいた意見の中で、まず串田委員からお話ございました需給調整の話でございます。御承知のとおり今年度は全国の生産者、そして乳業メーカーが協調して在庫対策についてお金を出して在庫低減対策を全国で取り組んでいるという中で、国も支援をして在庫低減対策に取り組んでいるところでございます。そして、今後についても、北海道では今年度既に抑制的な生産に取り組まれているところでございますし、更に今年度、より抑制をするという御判断をされたということでございますけれども、都府県においても生産抑制について追加的な取組をするとされているところでございます。
こうした形で、今全国で生産抑制に向けて取り組まれているということで、国もどういった取組ができるかということを考えていくということでございます。
それと、在庫対策について今後の取組の内容について教えていただきたいという話がございました。これについては今申し上げたとおり、今年度についてはコロナ前の水準に戻すということで国もお金を出して、生処官生処官生処官で取り組んでいるところでございますけれども、これはコロナの前の水準に戻すということでやってきたわけで、今、政府全体でウィズコロナの方向に向かっている中で、同じようにコロナを理由にして同様の措置を再度行うということはなかなか難しいというふうに考えております。
一方で、今生産者団体の方で飲用乳価引上げに伴う需要減少、これで発生する脱脂粉乳などについて、自らが長期保管、市場隔離するという取組を検討しているというふうに承知しておりまして、国としてもこれに対して何らかの支援を行うことを検討しているというところでございます。
それから、畜安法についてお話がございました。全国的に抑制に向けてしっかり取り組んでいく中で、言わば、穴が空いているというような話もございました。これについては、法律的なところは既に御承知かと思いますけれども、酪農家が農協の事業を利用するかどうかというのは自由でございますし、畜安法改正前からも、いわゆる系統外に出荷するということも可能でしたし、複数に出荷するということもできていたということでございますけれども、現状、系統に出荷している方、あるいは系統外に出荷している方それぞれ、どこに出荷しているかにかかわらず、非常に苦労されているというふうに聞いております。生乳出荷先が指定団体であるか否かにかかわらず、酪農家自身が変化する需給状況などを理解して需給緩和に適切に対応できるように農林水産省としても需給状況等の情報発信を丁寧に行っていきたいというふうに考えております。
それと、安定的に経営できるようにというお話もございました。今非常にコスト高ということでございますけれども、生産コストの上昇については価格に転嫁するというのが基本であるというふうに考えております。価格転嫁できる環境になるように、我々もどういうことができるかということを考えていきたいというふうに考えております。
それと、角倉委員からお話ございました。非常に苦しい胸の内を明かしていただきました。非常に苦しい中で、特に飲用向けの乳価、10円上がるといっても、北海道ではそれほどの恩恵がないという中で非常に厳しい状況かと思いますけれども、その中で、今消費拡大の話がございました。今「牛乳でスマイルプロジェクト」というのをやっておりますけれども、これも我々も一生懸命営業活動をやっておりまして、単にホームページに載せるといったことだけではなくて、数十の会社に自ら出向いたりとか、電話したりとか、200を超えるようなところに直接赴いたり、電話したり、メールしたりということをやっておりまして、190を超える企業・団体にメンバーになっていただいているということでございます。
企業独自の消費拡大に向けた取組ですとか、あるいは企業の枠を超えた異業種での連携した取組というのが、今でも既にオープンになっている部分もありますけれども、今後出てくる部分もあるということで、消費拡大に向けて各企業さん、団体さんも取り組んでいただいているので、我々としても更にこれを広げていきたいと、汗をかいていきたいというふうに思っております。
いずれにしましても、需要の拡大に向けて、今申し上げた取組をやっていくとともに、価格転嫁ができる環境整備をしていくということで取り組んでいきたいと思っております。
以上です。

◯猪口食肉鶏卵課長
続きまして、食肉鶏卵課長でございます。
まず、駒井委員からの御質問、御指摘に対してでございますが、まず光熱水量の高騰なども含めた食肉市場の経営についてお話をいただきました。
最近の光熱費の上昇につきましては、畜産関係、食品製造関係だけでなく、全産業における課題だと認識しております。こういった中で、政府では電気やガス料金の上昇に対する対策としまして、従来から行っている地方創生臨時交付金などを活用した支援に加えまして、今般決定した緊急経済対策において電気料金の急激な上昇の影響を受ける家庭や企業に向けた思い切った負担軽減策を講じる、こういったことが決定されまして、その具体的なやり方などについて現在検討が行われているものと承知しております。こうした支援によりまして、食肉処理施設の負担軽減が図られることを期待しているところでございます。
続きまして、輸出につきまして、牛肉について重点品目と位置付けまして意欲的な目標を掲げて輸出促進に取り組んでいるところでございます。御指摘いただいたとおり、対米輸出認定を受けると畜法によって血斑、シミの発生によって損害が生じているというのはお聞きしておりまして、食肉処理施設における血斑発生対策のための設備の改良・導入なども含めまして、引き続き必要な予算を確保して対応してまいりたいと思っております。
京都市場は血斑の発生率がほかと比べまして非常に低いとお聞きしておりますので、こうした先進的な取組が横展開されていくことを大いに期待しているところでございます。
皮、原皮につきまして御指摘いただいたとおり、原皮につきましては牛の皮は約半分が、豚の皮はほぼ全量が輸出されているため、その取引価格は海外の需給動向、あるいは為替の状況、世界経済の行方に左右されているというところではございます。引き続き取引価格や原皮産業の動向を注視してまいりますが、御指摘のあったとおり、畜産副産物である原皮が産業廃棄物として処理されるのではなく、有効活用されることが大事だと思っておりまして、ゼラチンなど新たな需要開拓に向けた業界の取組を期待しているところでございます。
続きまして、畠中委員から採卵養鶏の経営の苦しい状況をお聞きいたしました。鶏卵につきましては、生産サイクルがほかの畜種と比べて短く、自給率も高くて、短期間で需給調整がしやすく、そういう状況の中で最近は生産コストの上昇による減産傾向もあって、卸売価格は例年よりも高い水準となって、一定程度の価格転嫁は進んでいると承知しております。
一方で、配合飼料価格の高騰の中で、採卵養鶏はコストに占める餌の割合が非常に高くて、非常に経営が苦しい状況、こちらは承知しております。採卵養鶏については先ほども御説明いたしました対策事業によりまして、価格の低落した場合の価格差補塡、更に低落した場合の需給改善の取組を支援しておりますが、本年度につきましては基金残がある状況も踏まえまして、第3四半期、第4四半期の生産者の負担金の納付免除、これらにより生産者の負担軽減を図るという臨時・特例的な措置を講ずることとしたところです。
こうした取組に加えて、金融支援なども併せて、経営の安定を引き続き支援してまいりたいと思っております。
また、小規模な生産者が事業に参加しづらい状況があるというお話もありました。こちらは、本年2月から4月にかけて行った検討会でも論点の一つとなりまして、先ほども御説明の中に触れさせていただきましたが、成鶏の出荷時期を小規模農家・生産者に限って10日間拡張するなど、事業に、より参加しやすい仕組みというのを含めて予算要求をしているところでございます。
また、事業の参加に際して証拠書類が面倒で加入がしにくいというお話もいただきました。こちらは、どういった点に課題があって、何ができるかというのを引き続き考えたいと思いますので、また具体的に教えていただきまして、是非多くの生産者の皆様が事業に参加していただけるような形にしてまいりたいと思いますので、引き続き御指導いただければと思います。
以上です。

◯犬飼畜産振興課長
畜産振興課長でございます。
駒井委員から、手頃な価格の頃合いの良いサシの入った牛肉をというお話がありました。肥育期間の短縮とか適正化については先ほど大山委員のところでもお話をしましたが、今後牛肉の輸出を増やしていくときに、どうしても輸出される部位がロイン系に偏重するという傾向は今後も続くと思いますので、残りの部位をどうやってうまく消費をしていくのかという課題が輸出を拡大していく上でも大事な課題なんじゃないかなというふうに思っております。
ですので、ロインでしっかり稼いで、その分をほかの部位について手頃な価格で国内に供給していくようなことも皆さんと一緒に考える必要もあるのではないかと考えております。
畠中委員から家畜排せつ物についてお話がありました。みどりの食料システム戦略などの議論をする中で、耕種側からも、もう少し有機物を地面に入れないと、非常に地力が落ちているという話がありまして、2年ほど前ですか、肥料取締法を改正して、いわゆる堆肥と、それから化学肥料成分を混ぜやすくしたりするとか、そういうことをこの二、三年、いろいろとやってまいりました。
そういった中で、御指摘のあったように、肥料そのものをまくのが耕種農家でも非常に大変だという話がありますので、できれば1回まけば必要な肥料成分が入っているような、そういう形にするために、家畜堆肥をベースにして、そこに化学肥料成分を足したような、そういったBB肥料とか、そういうものを肥料メーカーも作っておりますので、私どもとしてはこれまでのように畜産農家に相手を探してくださいというのでは限界もありますので、そこに化学肥料の知見を持った化学肥料メーカーに介在してもらうことによって、より畜産農家から出てくる窒素・リン・カリの成分をうまく使って、なおかつ耕種側も使いやすいような、そういった肥料を提供する、そういう体制を作っていきたいと考えております。
予算の関係ですけれども、令和3年度の補正予算で堆肥の高品質化ですとか、ペレット化について2分の1の補助をする事業があるんですが、この2分の1の補助率というのは、なかなか畜産の排せつ物は産業廃棄物に該当するので、廃棄物処理に対して国が支援をするというのは非常にハードルが高い中で何とか2分の1の理解をしてもらっていて、ここはなかなかハードルが高いのですが、昨今の生乳の需給ですとか、それから子牛の値段が非常に下がっていますので、そういった中で増頭要件がかかってしまうと事業そのものが動かなくなってしまうということがありますので、先般、財務省にもお願いに行って、増頭要件を外して、もっと実際に堆肥の外部外部への販売を増やすとか、現実的な要件に見直しをしましたので、そういったことについてもよく皆さんにお知らせをして使っていっていただけるようにしていきたいと考えております。
以上です。

◯石川動物衛生課長
動物衛生課長の石川でございます。
駒井委員からありました豚熱・アフリカ豚熱の水際防疫対策についてでございますけれども、この家畜伝染性疾病の対策につきましては、農場に病原体を入れないための飼養衛生管理の徹底が最も重要であると考えております。この基準が遵守されるように、都道府県と連携しまして指導を徹底しているところでございます。特に養豚家の皆様には、3か月ごとに一ということで自主点検を今お願いしているところでございます。
農林水産省としましても、消毒機器や防鳥ネットの整備に対しましては消費・安全対策交付金により引き続き支援を行っていきたいと思っております。
また、口蹄疫ですとかアフリカ豚熱といった海外の疾病に対しては、国内の侵入を防ぐために動物検疫所におきまして家畜防疫官の増員、また検疫探知犬の増頭を進めるとともに、空海港や国際郵便における水際対策の強化を図っているところでございます。
引き続き関係者と危機感を共有しまして、家畜の伝染性疾病の対策に全力を挙げていきたいというふうに思っております。
あと畠中委員からございました鳥インフルエンザ、早い時期での発生ということで、大変心配をされているというお話がございました。シーズン前に特に欧米、北米ですとか欧州において引き続き高病原性鳥インフルエンザの発生が多いということで、例年にも増して早い時期に現場への注意喚起をしてきたところでございます。
一方、我が国では9月の下旬の早い時期から野鳥での感染事例が確認されるとともに、家きんでは10月28日の岡山県での発生が確認された後、各地で相次いで高病原性鳥インフルエンザ、これまで4道県の6事例が確認されているところであり、引き続き最大限の警戒が必要な状況だと考えております。
一方で、やるべきことはもう明確だと思っております。農林水産省としましては、都道府県に対しまして鳥インフルエンザの早期発見・早期通報はもちろんのこと、日頃からの飼養衛生管理、これに尽きると思っております。これを改めて通知するとともに、養鶏家の皆様には10月以降、来年の5月まで月1回の自主点検をお願いしております。
今後とも、総理指示を踏まえまして、関係者と連携して、発生予防と蔓延防止に取り組んでまいりたいと思っております。

◯三輪部会長
御回答ありがとうございました。
それでは、続きまして羽田委員からよろしくお願いします。
なお、今大体20分、25分ぐらい押しておるところでございますので、大変恐縮でございますが、御質問、御回答ともに少しコンパクトに努めていただけると助かります。よろしくお願いいたします。

◯羽田委員
羽田と申します。よろしくお願いいたします。
私は中小企業診断士、社会保険労務士として活動しておりまして、いわゆる経営コンサルタントという者です。専門としては、組織・人材に関するコンサルですとか、ケーキ屋さんとかレストランとかという、いわゆる製造小売業を含む流通業のコンサルを主にしております。畜産業関連との関係と申し上げますと、いわゆる畜産団体さんの数団体のいわゆるアドバイザリー顧問ということ、そういう団体さんの顧問をさせていただいております関係で、恐らくここに座らせていただいていると思っております。
私の自己紹介は、以上です。
2点ほど申し上げたいなと思っております。
とても瑣末なところで申し訳ないんですけれども、資料3の16シートで、私の専門のところでもあるので、少しお話しさせていただきたいと思います。
労働負担の軽減ということで、1人当たり年間平均労働時間というところで、まだまだ酪農、ほかの業と比べて多いというお話だったんですけれども、私、介入先で建設業あるんですけれども、2,080なんです。プラスアルファで、これ残業入れていないので、いわゆる所定労働時間が2,080、プラス残業が入るので、これを見ていると、なかなか負担軽減をされてきつつ、皆様ITCとか入れてされているのかなとは思っているんですが、多分恐らくこの製造業とか建設業との違いって長い休み、休日を取れているか、取れていないかのところだと思うんです。なので、そういった指標も、多分恐らく休日の指標がなかなかないかもしれないんですけれども、そういうところ、長く休日が取れるような働き方ができるというところももう少し観点として入れてもいいのかなと思いました。
2点目ですけれども、なかなか皆さん、先ほどから伺って大変勉強になる、いろいろ厳しいお話等々を伺っております。シンガポールの自給率が今10%ということでお話を伺って、耳にしたことがあるんですけれども、それと比べたら日本はすごく頑張っているところなのかなと考えております。が、しかし、シンガポールも30年、2030年には30%にしたいということで頑張っているので、日本もまだまだかなとは思ってはおりますけれども、先ほどの石田委員のお話、とてもうなずいて伺っていたんですけれども、いわゆる売上げを伸ばすところが本当に成長なのかというところもありまして、ミクロというか、1事業でもそうなんですけれども、いわゆる本当の成長というのは付加価値どれだけ残せるかというところだと思いますので、利益をどれだけ、いわゆるキャッシュアップっておっしゃっていましたけれども、利益が粗利になるのか、営業利益になるか、最終利益になるかってまたいろいろあると思うんですけれども、どうやって付加価値を上げていくかというところのコストも見ながら、売上げも下がっても付加価値が上がるというところも見ていくべきなのかなと。それはミクロで一つの企業さんもそうだと思いますけれども、日本全体、畜産業全体も、成長って何なのといつも考えてしまうんですけれども、そこの付加価値をどうやって上げていくか、利益をどう残していくかというところの何か考え方ももう少し入れてもいいのかなって皆さんのお話を伺っていて、すみません、現場の厳しいお話をされている中で、こういったきれいごとに聞こえてしまうかもしれませんけれども、そういった視点も、観点も必要なのかなと思って聞いておりました。
私からは以上になります。

◯三輪部会長
ありがとうございます。
続きまして、馬場委員よろしくお願いいたします。

◯馬場委員
JA全中の専務をやっています馬場と申します。どうぞよろしくお願いします。
最近の畜酪を取り巻く厳しい状況を踏まえて皆様も御意見ありましたけれども、何点か申し上げたいと思います。
まず飼料価格高騰で畜産・酪農経営が厳しい状況におかれる中で、予備費を活用した飼料価格高騰対策を措置いただいたことについては御礼を申し上げます。しかし、今後も飼料価格の高騰・高止まりが懸念される中で、生産現場は畜産・酪農経営とも、依然として不安を抱えております。先ほど角倉委員からも厳しい状況のご報告がありましたけれども、配合飼料価格が高止まりするなか、コスト負担の上昇を回避する影響緩和対策や、粗飼料価格の高騰や副産物価格の下落の影響も受ける酪農経営の改善に向けた支援策について、価格・経営動向を踏まえて、適切な対応を今後ともお願いしたいと思います。
また、補正予算でも基金の積み増しを措置いただきましたけれども、民間財源の枯渇も懸念される中で、配合飼料価格安定制度の安定的な運営に向けた運用改善などについても御検討をお願いいたします。
次に、国産飼料の生産・利用拡大についてであります。食料安全保障の観点からも輸入依存度の高い飼料穀物、あるいは稲わら、牧草などの国産粗飼料についても、生産・流通・利用の拡大を図ることは非常に重要であります。先ほど小山委員からもご発言がありましたが、全農が宮城で子実用とうもろこしの生産の実証試験を行っております。JAグループもそうした取組も進めているところであり、今回、補正予算で飼料自給率の向上に向けた思い切った対策・予算を盛り込んでいただきました。その対策について周知しつつ、更に取組を進めてまいりたいと考えていますが、飼料の供給・利用拡大については、圃場整備に加えて流通・保管の整備、さらには耕種農家と畜産農家の連携など、数々の課題があると考えています。
みどりの食料システム戦略も踏まえて持続的な畜産生産を図っていくためにも、この点は重要でありますので、引き続き国を始めとして行政による十分な支援をお願いいたします。
また、中長期的には再生産に配慮された適切な水準で価格が形成されることが、我が国の消費者に安定的に畜産物が供給されていくためにも重要であります。先ほど持続的な畜産物生産の在り方検討会の話もありましたけれども、取組を進める上ではコスト増が価格に反映されることについて消費者に対する理解醸成が必要なわけで、その点は先ほどのご説明だと実際はこれからということのようではありますが、このことが食料安全保障上も極めて重要であると考えています。
JAグループでは、環境調和型農業の推進に取り組むほか、毎年10月を「国消国産月間」と位置付けて、国民理解の醸成と適切な価格形成の実現に向けた全国運動を実施しておりますが、JAグループだけの取組では限界であります。
畜産・酪農の置かれた現状や意義、それから適切な価格形成の必要性について、流通業者・消費者の皆さんにも御理解いただけるよう、政府としても広く国民への理解醸成、働き掛けをお願いしたいと思います。また、現在食料・農業・農村基本法の見直しの議論がされています。再生産に配慮された適切な価格形成の実現を図るための仕組みの構築の検討についてもお願いしたいと思います。
次に、生乳需給であります。コロナもあり、長引く生乳需要の低迷で、昨年度の年末年始、それから年度末も、処理不可能乳の発生が懸念されていましたが、業界一体となった取組、国の支援、それから消費者の皆様方の御協力によって何とか乗り越えることができました。しかし、今年度は昨年以上の消費減退も懸念されております。全国の生産者団体で更なる生産抑制、あるいは在庫の縮減に向けて努力をし続けており、具体化はこれからかと思いますが、補正予算でこうした生産抑制や乳製品の在庫の長期保管の取組への支援を盛り込んでいただきました。国産チーズの対策も盛り込んでいただきました。
他方で、先ほど石田委員から経営改善上、減産の方向にというお話もありましたが、全国の酪農経営、それから生乳需給の安定化に向けて、全国で生産者団体が生産抑制を含む懸命な需給調整を行っておりますが、現行制度の需給調整上の課題、これについては串田委員からお話もありましたが、情報提供のみならず、必要な対策をお願いいたしたいと思います。
また、年末にかけて、また加工原料乳生産者補給金の単価等の決定ということになりますが、急激に厳しくなっている直近の生産コストの動向を踏まえて適切な対応をお願いいたしたいと思います。
最後に、畠中委員からも言われましたけれども、例年になく早い時期に、相次いで、鳥インフルエンザが発生しています。殺処分羽数でいえば、昨年水準程度の発生事例になっています。JAグループとしても、生産現場への注意喚起を行っておりますけれども、県段階、市町村段階において、行政を含めて、関係者が連携してウイルス侵入防止等に徹底して取り組む必要があると考えていますので、国からも引き続き適切な御指導をお願いしたいと思います。
以上です。

◯三輪部会長
続きまして、彦坂委員、よろしくお願いいたします。

◯彦坂委員
神奈川県で採卵養鶏を営んでいる彦坂と申します。よろしくお願いいたします。
やはり配合飼料価格が上昇して、これに円高が拍車をかけて配合飼料は高止まりをしています。更なる高騰におびえているのが現状であります。
先ほどお話がありましたように、鶏卵価格は現在上昇していますけれども、しかし、配合飼料のみならず、物流、包装資材、エネルギー、人件費、様々なコストの上昇で高卵価のメリットはもう相殺されて、多くの養鶏経営は赤字であることをいま一度訴えたいと思っています。
先ほど資料でお示しいただいた、配合飼料の補塡と実施状況の図を見ても、今現在がいかに異常な状況かというのはこの図を見れば明確に分かると思います。今までの配合飼料の補塡等については、当然全額補塡ではなくて補塡残が出てくると思うんですけれども、今までの値上がりと補塡とはレベルが全く違うので、補塡残も明確に非常に大きなコストアップとして経営の足を引っ張っていくような形になっているんではないかと思っています。
その中で畠中さんもおっしゃったように、安定対策事業等については、やはり業界との共通認識、業界の言ったとおりということではなくて、どういう仕組みでということが共通の認識で持たれるような形、そういう形があると有り難いかなというふうに思っています。
その中で、配合飼料等のコストをより現状の生産費に、よりタイムリーに反映させるような方法はないのかということも是非訴えていきたいなというふうに思っています。
繰り返しになりますけれども、補塡基準価格というのは生産費を保証するものではなくて、飽くまでも経営のセーフティーネットの機能を有するものだというふうに認識しています。
しかし、逆に言えば、少なくとも経営のセーフティーネットの機能が意図されているんであれば、補塡基準価格の設定については、より生産コストを反映するものでなければならないというふうに期待しています。
大変本当厳しい状態なんですけれども、前回─去年かな、こちら側に伺ったときに、今の畜産を取り巻く状況って経営が傷むとかというレベルじゃなくて、災害に遭うようなレベルじゃないかと思っていますということを前回お話ししたけれども、よりひどい状況になっているんだなというふうに思っています。何とか自分たちの努力、経営努力もそうですし、価格の価格転嫁かな、も含めて努力することはたくさんありますけれども、使える様々な、使える、できるだけ国の方では様々な施策を組み入れて、組み合わせて、それを使いながら畜産農家を支えていただくような形をお願いできればなというふうに思っています。
あと、ちょっと矮小な話なんですが、酪農の方たち、本当に大変だなというふうに思ったんですけれども、余談になりますが、長女の嫁ぎ先では子供が3人いるんですけれども、毎週に1リットルの牛乳を家庭で7本以上飲んでいます。乳価が上がっても飲み続けるというふうに言っていましたので、そんな方、家庭がたくさん増えれば、酪農の方の少しでも助けになるかなと。人のことを心配している場合じゃないんですけれども。
では、以上で、これで終わりにしたいと思います。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいままででいただいた質問、御意見に対しまして、農林水産省より御回答いただければと思います。お願いいたします。

◯関村企画課長
羽田委員から御質問がありました酪農経営の労働負担の軽減の部分でございますけれども、休日に関する統計データがありませんが、家族経営ですと、酪農ヘルパーを利用して休日を取るという形になります。
それで、酪農ヘルパーの利用状況について16ページの右下のところに掲載させていただいていますが、令和2年度、年間で23.7日、今取られているところでございます。

◯冨澤飼料課長
飼料課長の冨澤でございます。
馬場委員からお話がありました飼料価格高騰に対する対応というところでございます。御発言の中にありましたけれども、9月の予備費を活用いたしまして、配合飼料価格が高騰して通常補塡、異常補塡だけではなかなか支え切れない部分を国費で別途支援するということで対策を第3四半期分として措置いただきました。
また、先ほどのお話と重なる部分があるんですが、配合飼料価格安定制度、これをしっかりやっていけるように対応していくということと、経営安定対策と連携して御支援をしていくということかと思います。
また、先ほど積み増しについてというお話もありました。全農のくみあい飼料さんや飼料メーカーさんも含めて、皆さんこれまで665億円の異常補塡の積み増しに対して対応いただいてきた中で、これ以上の部分は厳しいというお話も伺っておりますが、引き続き農家さんの御支援をどうしていくのかということで、皆さんの苦しい状況は理解しつつ、どういった対応ができるのかということで御相談させていただければというふうに考えておるところでございます。
また、今後こういった中で飼料生産、国産の飼料生産に取り組んでいくことが重要だということで、また一方で耕畜連携の課題等があるというお話もいただいております。私どもも先般、閣議決定されました総合経済対策の中で飼料自給率向上に向けて総合的な対応をしていくということで、畜産農家と耕種農家さんの連携強化の取組への支援とか、草地改良によります高栄養牧草の導入によります生産拡大、国産粗飼料の流通体制の構築ということで、国産飼料を流通していくような仕組みの支援なり、こういったところもいろいろ考えているところでございます。
いろいろ課題があるところではございますけれども、いろいろアドバイスをいただきながら取組を支援してまいりたい、促進してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

◯大熊牛乳乳製品課長
牛乳乳製品課長でございます。
馬場委員からお話が幾つかございましたけれども、まず酪農経営の改善に向けた支援策ということでございました。先ほどもお話しさせていただきましたけれども、コスト増については価格に転嫁するというのが基本であると考えております。そうしたことができる環境づくりに取り組んでいきたいというふうに考えております。
それから、コスト増による価格転嫁について、消費者への理解醸成をというお話がございました。酪農については「牛乳でスマイルプロジェクト」も活用して、広く国民の皆さんに働き掛けていきたいというふうに考えております。
生乳需給の関係で現行制度上の課題を踏まえた対応をというお話ございましたけれども、様々な立場の方に広く需給状況等についてしっかりと情報を提供していきたいというふうに考えております。
それから、補給金の話がございました。これについてはルールにのっとって算定していくということでございますけれども、これまで措置してきた予備費での、生産者の実質負担下げているということも踏まえつつ、適切に算定していきたいというふうに考えております。
それから、彦坂委員から最後、牛乳をたくさん飲んでいるというお話がございました。非常に有り難く思っております。引き続き、是非ともよろしくお願いしたいと思っております。
以上でございます。

◯猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課でございます。
彦坂委員から、鶏卵生産者経営安定対策事業につきまして御指摘をいただいております。
本事業の補塡基準価格、こちらは12月に向けて算定してまいりますけれども、鶏卵価格の状況や配合飼料価格などのコストの変動、こちらもしっかり勘案しまして、ルールに即して算出していくということでございますけれども、生産コストをもっと反映させるべきという御指摘をいただいております。自給率が非常に高い鶏卵については、輸入が比較的多い牛や豚などの畜種と異なりまして卵価が上昇しても鶏卵の輸入はほとんど増加することがない、国内における需給は国産だけで決まるという特徴がございます。
こうしたことから、仮に生産費を基に補塡を行った場合、需給が緩和して価格が低迷しても需要に見合った生産が行われず、恒常的な生産過剰による更なる価格下落を招くおそれ、こういうおそれがあることから、過去の鶏卵価格を基にした需給実勢方式による現行の算定方式をやってきているというところでございます。
現在、極めて異常な状況であるという御指摘をいただいております。そうした中でも、もちろん業界関係の方々だけでなく、利害関係のない有識者も含めて事業の検討会を行って、正にこの需給調整の早期発動ですとか、あるいは補塡事業の補助率のアップですとか、そうした御指摘も踏まえて、現在概算要求を行って、来年度の事業について方向を定めているところでございます。
引き続き、関係者の皆様としっかり議論していきながら、共通認識を持って対応していけるように努力してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

◯石川動物衛生課長
動物衛生課長です。
先ほど馬場委員からございました、高病原性鳥インフルエンザの短期間における発生事例のお話がございました。JAグループの皆様には、日頃から家畜衛生対策の推進に御協力、御理解をいただいております。
鳥インフルエンザ対策につきましては、JAグループも含めて地域一体となった取組が大変重要であると考えております。引き続き、関係者が連携して取り組むこととしております。
また、先ほど畠中委員にお話しした部分については割愛いたしますけれども、昨今のこの発生状況につきましては、大変強い危機感を持っております。いずれにしましても、総理の指示を踏まえまして、発生予防と蔓延防止に全力で取り組んでまいります。
以上でございます。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、委員からの御意見、御質問に戻りたいと思います。
続きまして、福永委員、よろしくお願いいたします。

◯福永委員
黒毛和牛一貫経営を鹿児島県でやっています、有限会社福永畜産の福永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
生産農家の立場から、補助事業について質問させていただきます。
まず畜舎建設費の高騰です。現在いろいろなものが値上がりしていますが、畜舎建設に関わる経費はここ数年で3割ほど上昇しています。現在では畜産クラスター事業などを措置していただいていますが、自己負担額が大きくのしかかってきています。現行では基準事業費、特認事業費の範囲で補助率2分の1以内となっていますが、実質建設費は特認事業費を超える事業費になっています。対象事業費の見直しと併せて、何とか補助率も3分の2以内を検討していただけないでしょうか。
また、人手不足や働き方改革などにより工期が延びていると聞きます。畜産クラスター事業は補正予算が措置されているようですが、現状を考えると当初予算で確保してほしいと思います。
次に、配合飼料価格安定対策についてです。配合飼料の価格については輸入穀物価格の上昇に加え、原油価格の上昇や円安傾向を背景に高騰し続けています。そこで、配合飼料価格安定制度については、予算確保と、高止まりした場合にも畜産農家が安心して経営継続できるように制度の見直しをお願いします。
三つ目は、自給飼料対策についてです。私たち生産農家が自給飼料生産に取り組むには、効率的な機械が必ず必要です。通常補助事業では機械の更新は認められていませんが、我々農家は機械を更新しながら機能向上を図っている現状を御理解いただきたいです。また、機械については効率的な作業体系を考えますと、機械によっては数セット必要とするのが実情であります。
次に、繁殖雌牛増頭支援についてです。子牛相場の上・下降は需要と供給の関係である程度仕方ないと考えますが、国の政策目標では、平成30年から令和12年にかけて牛肉生産量が約20%増加を目標に掲げていただいているようなので、引き続き繁殖雌牛の増頭支援や継続をお願いいたします。
次に、農地等の名義についてです。農地の名義が済んでいない土地は、事業なので、事業を、畜舎建設をするときなどに、その事業を断念するしかありません。何とか有効に事業が活用できるよう制度設計をお願いいたします。
最後ですが、堆肥化処理施設についてです。規模拡大を進める中で堆肥処理施設の整備がおろそかになってきています。共同利用施設や所得向上を図って整備となると、なかなか現状では厳しい状況です。堆肥処理施設が不足する経営体が堆肥舎を整備しやすい事業を措置してほしいと思います。
お願いばかりで申し訳ないですが、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、リモートで御参加の二村委員、よろしくお願いいたします。

◯二村委員
こんにちは、日本生協連の二村と申します。所属は日本生協連ということですが、消費者活動の方を主に担当しておりまして、立場としましては消費者の代表ということで参加をさせていただくこととなるかと思います。よろしくお願いいたします。
私の方からは、まず一つは、今日委員の皆様からもございましたように、様々な資材等価格、エネルギー等の価格が上昇していて、生産の現場が大変になっているということ、非常によく分かりました。
一方で、消費者の方もエネルギー価格、それから諸物価の高騰がありますので、その中で食費をできるだけ抑えたいと思うのはある意味とても自然なことだと思っております。
そういう意味では、こうした社会の変化の中で農業というものが産業的に強くなっていくことって非常に必要だと思っています。そういった点で様々取られている政策、これが特に昨今、変化が急ですので、緊急的な対策というのももちろん必要だと思うのですけれども、やはり中長期的に見て政策がうまく機能しているのかどうかということの点検が非常に重要だと思っております。それから、特に緊急的に導入した対策については、それが長引くことによって構造的な変化を阻害しないように、定期的な見直しというのが必要ではないかと思ったというのが一つです。
それから二つ目に、飼料の問題です。これだけ、食料の安全保障と言うかどうか、そこはちょっと定義が私もはっきりしておりませんけれども、できるだけ国産の飼料を増やしていくというのは、消費者としても心強く思うところですので、是非そのための施策というのは打っていただきたいと思いますし、それを考えたときに、今日資料を見ていまして、生産をするというところだけでなくて、生産した飼料が実際に使われるまでの過程のところで何か課題なり、そういったものがないのかといったところについても、少し分析なりヒアリングなり、そういったものが必要ではないかと思いました。生産をする部分と、それから、それを使う方との間のところにあるような課題というのがあるのではないか、把握されていれば教えていただきたいというふうに思います。
それから四つ目に、これも皆様のところから御発言ありましたが、私も資料、御説明を伺って、家畜伝染病のことが余り記載がなかったのがちょっと気になっておりました。今日現場の皆様から御発言たくさんありましたので、やはり引き続き心配な状況だということが分かりました。是非きちんと対策を取っていただくとともに、こういったものって起きないのが一番いいんですけれども、起きてしまったときにどうするかとか、あるいはそれでダメージを受けた地域の経済なり事業者の方に対するサポートというのがどうなっているのかというところも重要かと思いましたので、その辺り、もし情報があればいただければと思いました。
それから最後に、農業や畜産の現状を多くの消費者が知るということが非常に重要だと思います。ただ、どうしても畜産の場合、衛生の問題などがあるからだと思うのですけれども、なかなか消費者が現場を見るとか知るというところが難しい。お米とか野菜とか、そういったところですと、いろいろな産地を訪れるとか体験をするとか、そういったことも以前から行われていて、コロナも収まってまいりましたので、だんだんまた再開されていくのではないかと思いますけれども、同じ農業の分野の中でも畜産業って非常に消費者から遠いなという実感がございます。何か良い形で情報発信していただけるようでしたら、是非そちらについても御検討いただければと思っております。
以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、前田委員、お願いいたします。

◯前田委員
九州のおへその熊本で養豚事業と穀物生産、野菜生産をやっております。常時飼養頭数が2万5,000頭ほどで、あと今年から子実とうもろこしを8ヘクタールほど始めました。
先ほど福永委員の方から、すばらしい具体的な御提案がありましたので、多くは重なっておりますので、そこは割愛したいと思います。
私の方は、豚熱の方で毎日冷や冷やとしておりますけれども、皆さん御存じのとおりです。
イノシシが本当に身近まで迫っていて、頭数が増えたという感じです。それと、近隣の農家さんが柵や電柵の対応に追われている状況です。
本日、子実コーンの生産の経験の中でちょっと御相談、御提案したいことがあります。
種と技術と、それと畑の排水処理の問題です。たまたま私たちは畑でやったということもありまして、反に700kg取れました。一方で、米農家さんが協力して一緒にやっていただきましたが、特に悪いところというか、難しい圃場を選んだことや、あと種子が全く違うメーカーから入れたということで、そこは反の250kgぐらいなんです。酪農とか肥育牛の方たちは代々とうもろこし生産のことを御存じです。我々のような養豚、養鶏生産者はそのような技術があまりありません。多くの方が畑とちょっと遠い距離にあります。しかし、やれる生産者からそれに取り組んでいこうと考えております。座して死を待つだけでは、これもまたいけないだろうと思っております。
それでお尋ねです。品種育成、原原種子、原種子生産、保証種子生産、これは海外で行われていると聞いています。また、国内流通、試験研究機関、大学及び民間の種苗会社との連携の中で、5年前と今、違う状況の中でどれだけの状況にあるのか。本当に食の安全保障の中でそれが、将来が見通せる状況になりつつ変化しているのかどうか、その辺をもう一度私たちは知りたいなと思っています。また、足らないところがあれば、どうぞ支援をしていただきたいと思います。
地域の牛屋さんたちもおっしゃいますけれども、良い種を使いたいと思っても、高かったら、やっぱり安価なものを使ってしまって収量を落とすということもあるそうです。なので、そういう研究機関とか、そういうところに人材と必要な人数、そして必要な予算を配分していただきたいと思います。
そして、日本全体は基礎研究を、今ちょっと脆弱になっていると聞きますけれども、農業分野でもそのおそれがありますので、やっぱり基礎研究、応用研究をバランスよくまた連携させてしていただいて、日本の食を守っていただける準備、あるいはもう即座に取り組んでいただければ有り難いなと思います。そのことを続けていくことで将来、補助金だけに頼るのではなくて、自立ができるような一つの第一歩に、全部は無理かもしれませんが、一部になり得るのかなというふうに思っています。
そういうことで、これは大きな問題の全ての打開策にはなりませんけれども、これは中長期的に是非進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま3名の委員の皆様方から御意見をいただきましたので、農林水産省より御回答等をよろしくお願いいたします。

◯関村企画課長
企画課長でございます。
福永委員から御質問があった件でございますけれども、まず畜舎の建築費についてはかなり高騰している状況は承知しております。それで、畜産クラスター事業で取り組んでいただいているところが多い状況ですが、TPP対策ということで措置された事業でございます。かなり多額の予算を確保させていただいていますが、これは補正予算だから確保できていた部分でございまして、当初の方に持ってきて高率の補助というのはかなり困難な状況を承知いただきたいと思います。
ただし、基準事業費と特認事業費については、これは見直しが必要だということで、夏に都道府県を通じて令和2年度と3年度に実施した実績を調べて、現在財務省に折衝中でございます。実態に応じた単価になるよう、できる限り努力してまいりたいと考えております。
あと、繁殖雌牛の増頭支援につきましても、増頭奨励事業という形で計画的に生産基盤強化に取り組ませていただいています。こちらについても引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えています。
あと農地等の名義についてでございますけれども、これは財産が関連する話でもあるので、逆に施設整備をするときに名義変更等をできる限り更新をしていただくような取組を行っていただきたいと考えております。
以上でございます。

◯冨澤飼料課長
飼料課長でございます。
福永委員から、配合飼料価格安定制度の見直し、農家が安心して継続できるような形で制度の見直しをというお話がございました。配合飼料価格安定制度、先ほどからの御説明と重なりますけれども、皆様に事前に積立てをしていただいて、価格が高騰したときの影響緩和ということが対策の趣旨ということでございますけれども、一方で今回のような価格高騰の中でどういった対策ができるか御意見があるところは重々承知しております。
制度の在り方についても、積み立てた、準備できた範囲で対応していくというお話もありますし、福永委員からのお話のように、更に補塡をというお話もございます。様々な御意見がある中でもございますし、また畜種ごとの経営安定対策とどういう結び付きをしていくのかということも検討すべき課題ということと認識しております。
早期に結論を出すというところが難しいところもございます。皆様からいろいろ御意見を聞きながら、経営安定対策との関係も含めて議論していくということを考えておるところでございます。
2点目ですけれども、自給飼料生産に取り組む機械の更新の関係でお話があったのかなというふうに認識しておりますけれども、機械の更新については単純に同じ量を処理するためのものというものについては経営の中で取り組んでいただくということになっております。やはり補助事業で実施するに当たっては、非常に心苦しいんですけれども、例えば要件の中で私どもの飼料生産受託組織の場合では、作業受託量、5%上げると。そうすると、機械を効率の良いものに更新しなければいけないとか、そういうところに対して御支援するということでございます。畜産クラスター事業の機械導入についてもTPP対策ということで販売額とか必要な要件ございまして、それを満たしていただきながら、やはり機械の効率を上げるというような形で工夫して御対応いただくというのが一つかなというふうに考えております。
また、前田委員から、今年、子実とうもろこしを作付されたということで、種子の関係で御質問ありました。もう既に前田委員お話しいただいたとおり、我が国の種子の生産ということで言うと、原原種については国内で農研機構等の研究機関とか、種苗会社の方で育種改良して、その後、原種生産、これは国内の方で増殖をして、それで海外の方に持っていくと。どうしても、例えば牧草とか─まあ、とうもろこしもですけれども、やはり乾燥した気候であるとか梅雨時に種が取れないとか、あとほかの品種というんですか、イネ科でしたらイネ科同士とか、とうもろこしでしたらスイートコーンとかの食用品種と交雑するために十分な距離を確保して、大規模にやらなくちゃいけないということなものですから、種については海外に持っていって増殖するということで、国内で原原種を品種改良しているものがシェアで言うと大体4割で、あと輸入─まあ、とうもろこしなんかの場合は、もともと外国から輸入してくるようなもの、これが日本の国内に適応しているであろうというものを持ってくるものが大体6割弱ぐらいということでございます。
私ども飼料生産の種子ということでいいますと、先ほどありました農研機構さんの方と、あと社団法人、種のメーカーさんが加入されています草地畜産種子協会というのがあるんですけれども、そういった中でいろいろ連携しながら、例えば種子の備蓄とか性能評価とか、そういったものに対しては支援させていただいております。特にとうもろこしの方でお話、子実とうもろこしでお話ありましたけれども、今農水省内、技術会議さんと私ども組みながらということなんですけれども、委託プロジェクト研究ということで子実とうもろこしを国内で生産を定着化させるためのプロジェクトが今始まっております。基本的に今国内で流通していますとうもろこしの種子というのについては、青刈りとうもろこし用の種子、もともとがそういった生産でしたので、その中で子実とうもろこし生産に向いているもの、我が国で適応しているものをまず選び出そうというプロジェクトが一つあります。また、今後ということで、今予算要求を始めているところですけれども、国内で湿害に強いとか、国内での子実とうもろこしの育種改良についてのプロジェクトのためのものもこれから始めていこうということで、スピード感を持ってということになると思いますが、技術会議、担当開発部局とも、今回の御発言をお伝えして取り組んでいきたいと思います。

◯犬飼畜産振興課長
畜産振興課長です。
福永委員から堆肥化処理施設について御意見がございました。
先ほども御説明したとおり、廃掃法の産業廃棄物になりますので、その処理は排出者責任ということになりますので、おろそかにしてきたというのであれば、それは自らきちんとやっていただくということに原則なります。
そういった一方で、例えば堆肥センターのような共同で処理をするところについては、当課の事業、増頭というなかなか堆肥センターとしては満たしにくい要件がありましたので、それは今回外すということで、少し使い勝手をよくしたりしております。
このほか、農畜産業振興機構の事業で堆肥舎の古くなって少し傷んだものを補修するような資材を供給するという事業もしていまして、その中で家畜改良センターで少しそういう技術実証をしたのですが、足場材とかコンパネを組み合わせて、少頭数の繁殖農家が使うような堆肥舎であれば、応急的なものを造る資材供給のような事業もやっていますので、具体的にどういうことに困っているのかということを県なり農政局の方に教えていただければ、こちらでも使えそうな補助事業をお知らせしたいというふうに思います。

◯石川動物衛生課長
動物衛生課長でございます。
福永委員からございました疾病の発生に係る発生農家に対するサポートでございます。これは、まず家畜伝染病予防法に基づきまして殺処分した家畜の所有者に対しましては、原則として家畜の評価額の全額が手当金として交付されます。
また、経営再開に要する資金でございますけれども、家畜疾病経営維持資金ですとか、農林漁業セーフティネット資金といった融資制度がございます。そのほか、これは任意の加入になりますけれども、家畜防疫互助基金支援事業という事業がございまして、この事業に加入されている方に対しましては、経営を再開する際に家畜の導入を完了するまでに要する固定経費相当分を支援するような仕組みがございます。
以上でございます。

◯冨澤飼料課長
すみません、私ちょっと発言が漏れていまして、すみません。
二村委員から飼料の流通についてと、国内流通の課題ということでお話がありました。要因ということなんですが、実際飼料については今までというか、この円安なりウクライナの情勢が続く前までは、基本的には輸入したものがかなり安く入ってきておりました。粗飼料関係で、やはり自分で自給して生産すると労働時間というんですか、働いた分だけその分利益が上がるということで、主に自給飼料の生産を皆さん取り組んでいただくように支援してきたというところでございます。
ただ、今回、餌価格も上がってきている中で実際、耕畜連携ということでお話ありましたとおり、耕種農家さんに作っていただく等の取組で畜産農家さんに供給するような形でも、ある程度収益というか、流通ができそうなところもありますので、今回そういったものをしっかり支援していきたいというふうに考えているところです。

◯石川動物衛生課長
動物衛生課長でございます。
先ほど福永委員からの御発言と、私誤って説明してしまいました。二村委員からの御発言に対する御回答でした。失礼しました。

◯三輪部会長
御回答ありがとうございました。
それでは、最後のグループとなります。
それでは、正好委員、よろしくお願いいたします。

◯正好委員
配合飼料業界に対する農林水産省各位の皆様の日頃の御支援、御指導に、まず感謝を申し上げます。協同組合日本飼料工業会は、いわゆる商系の飼料メーカー44社で構成される事業協同組合で、昭和32年に設立され、今年で66年目となります。私、正好は、昨年の6月より飼料工業会会長を務めさせていただいております。
飼料工業会の配合飼料生産量を合計すると、日本の配合飼料生産の約7割のシェアとなっています。生産者の皆様が高い品質の畜産物を生産できるように、我々は良質な配合飼料を安定的に提供させていただきまして、日本の畜産業を力強く支えていく責任があると思っております。
本日、最近の畜産飼料業界をめぐる課題ということで、3点お願いしたいと思っております。
まず1点目、飼料高騰対策といった部分です。もう皆様おっしゃられているとおりの原因で、この配合飼料価格並びに資材関連、エネルギーとか資材関連を始め、様々なものが非常に上がっている状況でございます。これらは全て外的要因であって、国内の要因ではないということを付け加えさせていただきますが、これらの生産者の販売価格まで製造コストが適切に反映されるようにならないと、畜産物の再生産、ひいては、日本の食料安全保障が不可能になる。今までずっと議論させていただいています「みどりの食料システム戦略」、これは大変すばらしい戦略だと思っています。ただ、これ1回輪が切れると、もう再生産が本当にできない、もう皆様おっしゃられているとおりだと思います。非常に危機感がある中やっているということをまず共通認識とさせていただきたいと思います。
その上で、この価格転嫁に関して、政府による継続的で強力な対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
ここで欧米の畜産物価格と日本の畜産物価格の差を考えていただきたいんです。欧米の価格で円安傾向ということもあるかもしれませんが、大体僕のイメージでは日本の倍ぐらいです。アニマルウェルフェアうんぬんというところあるかもしれませんが、それでもそれを凌駕するぐらいの高い価格で取引されている。何でなんだろう。だから、是非農産物価格の適正な価格転嫁に関して、欧米ではどのような政策、対策が取られているのか、次回是非御教授いただきたいというふうに考えております。
価格対策といったところが、まず1点目でございます。
飼料高騰対策の中で、今度補塡の方に関してお話しさせていただきたいと思います。
昨今の原料価格の高騰というものに関しましては、完全に飼料メーカーの経営努力の範疇を超えております。この対策として昨年来、飼料価格安定制度の通常補塡と異常補塡が連続して発動されました。異常補塡基金の財源といたしまして、国から計665億円ですね。230足す435ということで追加造成されております。現行制度の下でしたら、同額の造成を飼料メーカーが行うこととなりますが、一度に665億円もの金額を積むということは不可能で、銀行等から借入れをいたしまして、これから10年にわたって返済していかなければなりません。もはや、これは民間企業の負担の限界を超えておりまして、企業経営の死活問題となっております。
先頃、今年度第2四半期の補塡単価が1万6,800円・パー・トンと決定されました。これによって異常補塡基金の財源はほぼ枯渇いたします。先ほど申し上げました435億円で、民間も合積みして借金させていただく435億円。これを合わせましても、ほぼ枯渇いたします。もう数十億円しか残りません。第3・第4四半期も異常補塡が見込まれる中、どのように対応されるのでしょうか。もはや飼料メーカーに積立てする力はありませんので、現行制度とは別建てで、全額国費による直接的な生産者への思料をお願いするものであります。
それに付随いたしまして、基金制度に関してでございます。
半世紀前に─まあ、50年前ですね─に始まりました現行の配合飼料価格安定制度は、制度的な欠陥が明らかになっており、昨年のこの場で、またそれ以降も再三再四見直しの検討をお願いしてまいりましたが、いまだ実現されておりません。
民間企業に対しまして青天井での積立て負担を求める現行制度は、飼料メーカーの経営の最大の不安定化要因であり、畜産経営の安定を図るとの目的に即して、持続可能な制度となるような抜本的な改革を行っていただきたいと強く願うところでございます。
具体的には、令和6年度をめどに、他の価格差補塡制度と同じく、国と生産者が毎年度決められた単価に従って財源を積み立てる方式に移行することとし、このための検討の場を直ちに立ち上げてくださいますようお願いいたします。
続きまして、国産飼料米の安定供給に関してでございます。国産の飼料原料として重要な位置を占めております飼料用米の安定供給についてです。
主食用米の需給変化を受けて、昨年の飼料用米の生産は過去最高の66万トンを記録いたしました。今年も作付面積は2割以上増えており、史上最高を記録するものと思われます。
とはいえ、畜産局飼料課の調査によりますと、畜産サイドの需要は130万トンもあり、まだまだ受け入れることは可能です。言うまでもなく、飼料用米の生産は新たな投資を必要とせず、貴重な食料生産基盤である水田を活用でき、また課題である飼料自給率の向上にも寄与するものでございます。引き続き、国には一貫性を持った助成措置の継続を強くお願いしたいと思いますが、飼養サイドの畜産局としては飼料用米の今後の生産振興と安定供給についてどのようにお考えか、お聞かせ願えませんでしょうか。
最後に、アニマルウェルフェアに関してです。
アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼料管理が求められる中、農林水産省において新たな指針を策定することとし、有識者による意見交換会を開催した上でパブリックコメントを実施したと承知しております。家畜の飼養に当たってアニマルウェルフェアに配慮することは当然ですが、良質な畜産物を国民に安定的に供給するという視点も重要であり、生産現場の実態とかけ離れた過剰な規制により、生産が縮小したりすることのないよう、バランスの取れたものとなることを期待申し上げるとともに、お願い申し上げます。
正好の方からは、以上でございます。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
続きまして、松田委員、お願いいたします。

◯松田委員
日本乳業協会の松田でございます。乳業者の立場から、酪農乳業界にとっての喫緊の課題である当面の需給問題への対応と、令和5年度に必要と考えられる酪農乳業対策について意見を述べさせていただきたいと思います。
なお、各委員の御質問、御意見と重複しているものもありますが、御容赦いただきたいと思います。
まず1点目は、11月からの飲用等向け乳価の引上げに伴う製品価格の改定と、その結果生じると考えられる需要減少等への対応策についてであります。
乳業者としては、酪農家が経営を継続することにより消費者の皆様に国産の牛乳・乳製品を安定的に供給できるよう、生産者からの要請を踏まえ、飲用等向け乳価について11月からkg当たり10円引き上げることといたしました。また、乳業者としても原材料コストの大半を占める乳価の引上げを受け入れたばかりではなく、他の食品メーカーと同様に包材費、エネルギーコスト、物流費なども高騰いたしております。
今回の急激なコスト上昇は企業努力によるコスト削減努力だけでは吸収し切れないことから、遅ればせながら、他の食品と同様に、消費者の皆様に御負担をいただくこととしたところでございます。
需給が大幅に緩和している中での非常に難しい判断ではありましたが、乳価を引き上げるとともに、現在、各乳業者において製品価格の改定に取り組んでいるところであります。ただし、需給が大幅に緩和している中での製品価格の引上げでありますので、更なる需要減への緊急な対応が必要になることに加え、結果的に生じる可能性がある様々な課題への対応策も検討が必要であると考えております。
その第一に、乳業者として最も心配しているのは、飲用等向け乳価の引上げに伴い需給がより一層緩和し、乳製品向け乳量が増加することが想定されることから、この年末年始や年度末などには、これまで以上に高い確率で処理不可能乳の発生が懸念されることであります。
乳業者としては処理不可能乳発生の防止にこれまでにも増して最大限の努力をする所存でありますが、不幸な事態が発生しないことを祈りつつも、あらかじめ関係者間で情報の共有や対処方針を詰めておく必要があると思われます。
行政関係者の皆様にも、当事者の感覚をお持ちいただき、一層の御指導、御協力をいただくようにお願いを申し上げます。
第2に、乳価交渉に際し、多くの乳業者が生産者の皆様に申し上げたことでありますが、需給が大幅に緩和している中で更に需要が減少すると考えられるため、生産者団体において既に取組を始めている増産抑制だけでは不十分であり、相応の生産抑制が必要になるということであります。これを生産者団体の自主的な努力だけに任せていては実現が困難であると考えられます。
よって、生産抑制に取り組む生産者の負担が大きくなり過ぎないように、そしてまた生産基盤を大きく毀損させないためにも、行政による生産者間の公平性にも配慮した強力な御指導と効果的な御支援が必要であると考えております。
第3に、飲用等向け乳価の引上げによる影響として、生乳の流通が混乱することが懸念されます。生産抑制に取り組んでいる生産者の皆様からは、生産抑制に協力していただけない生産者が北海道から都府県の飲用向けに生乳を移送する動きを活発化させるのではないかと懸念する声が高まっております。
こうした動きは、主要な生産者と乳業者には手の施しようがありませんので、需給調整の実効性を高めるためにも、行政による適切な御指導と生産者間の公平性の確保が図れるような制度運用の改善を図っていただければ幸いであります。
当面の需給への対応については、以上であります。
2点目は、令和5年度に必要と考えられる対応策であります。業界による自主的な過剰在庫処理対策として脱脂粉乳等の飼料への転用、輸入調製品との置き換え、海外への輸出を支援しているところであります。このうち、脱脂粉乳の飼料への転用については、行政による支援を受けて過剰在庫の処理がなされているところであり、感謝申し上げる次第であります。
こうした中、国際情勢の急激な変化によって乳製品の国際価格の高騰に加え、円安の効果もあり、かつてなく乳製品の内外価格差が縮小し、かつ長い期間続いております。このため、業界の自主財源による支援措置により、これまでほとんど実績のなかった輸出等による在庫処理が進み、当初の想定を超えて在庫が縮小する可能性も見えてきたところであります。
しかしながら、このような想定外の異例の状況が長期的に継続することは考えにくいことに加え、需給そのものについては価格改定により更に緩和することが想定されます。このため、来年度においても本年度のような脱脂粉乳の過剰在庫処理を続ける必要があると考えられますので、支援措置を継続していただきたくお願いを申し上げます。
あわせて、乳業者が必要量を超える大幅な過剰在庫を抱えることについては、関係者への説明に困難となっていることから、一定の過剰在庫については市場からの隔離についても検討をお願い申し上げます。
一方、2020年以降、官民で過剰在庫対策を講じてきたにもかかわらず、特に脱脂粉乳の在庫は積み上がり続けてきたことからも分かるとおり、これまでに十分な措置が講じられていないのは、需給均衡対策であると考えられます。需給が均衡しない限り在庫は積み上がり続けるため、過剰在庫処理対策を停止することはできません。このため、需要を拡大するか、生産を抑制することにより、根本的に需給を均衡させる必要があると考えます。そのために乳業者としては新商品の開発等を通じて需要拡大に努めてまいる所存であります。その上で、昨年度も申し上げましたことでありますが、生産基盤を毀損しないためにも、チーズ等の輸入品との置き換えなど、行政による一過性でない需要確保対策も御検討いただきたいと考えております。
ただし、それだけでは需給均衡は図れないと考えられますので、併せて更なる生産抑制も必要であると考えております。生産抑制については生産者による自主的な努力だけではなかなか実効性が伴わないため、生産抑制に対する強力な指導と支援対策を併せて御検討いただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上であります。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、最後に私の方からも御意見を申し上げたいと思います。改めまして、日本総研の三輪でございます。
私自身は食料・農業・農村政策審議会の中では畜産部会以外に基本法検証部会、企画部会、甘味資源部会、あとは農業農村振興整備部会の方の部会長や委員を務めさせていただいております。あとほかには農林水産省の、先ほどから皆さん、御言及いただいております食料安全保障につきましてアドバイザリーボードがございまして、そちらの委員でございましたり、技術面でございますと農研機構のアドバイザリーボードの座長を務めさせていただいております。
その中で今日は食料安全保障のところに限って簡単にコメントさせていただきますと、皆様方からも御意見いただいておりますように、国産飼料の利用の促進、供給の拡大というのが喫緊の課題かと思っております。
以前であれば、安い飼料が海外から安定的に入ってくるというのが常識というか、前提条件だったんですが、そこが大きく崩れていると。今の急速な円安を除いても、長期的なトレンドを見ても、やはり飼料価格が厳しい、若しくは買い負けていく、品質の良い飼料が入らないというリスクも含めてありますので、一定度合い国産の飼料を増産していくということが、もう避けては通れない部分だと思います。
その中でいきますと、国産飼料と今輸入飼料の価格差が縮まっている段階ですが、その今の状況だけを捉えるのではなくて、今後を含めて考えると、国産飼料の付加価値であったり、もたらす効果というのはやはりもっと見える化していくということが大事なのかなと思っております。
当然、全てを国産飼料に頼るというのは難しいわけですので、国産飼料を農業者の方々が使いたくなるような、若しくはそれを買う消費者の方々が評価をしてもらえるような仕組みまで含めてやる必要があるのかなと思っております。
今日御参加の方々でも、ふだんから国産飼料を使われたり、エコフィードを使われたりされておられる方、以前からいろいろと私の方も勉強させていただいておるところでございますが、それを使っていることをどう表現することができるのかとか、国産飼料を用いた商品が何か国の仕組みに従って表示することができるのかとか、消費者がそれに対して評価することができるのかとか、そこまで含めて考えないと、よく言われてしまいますが、採算性が低い飼料を国費を投じて作っているという、偏った見方で報道されてしまって、消費者の方々、若しくは国民全体から誤解が生じるようなところもあるのかなというふうに思っております。
国産飼料を使うことによって、味がどういうふうによくなるのかとか、若しくは環境負荷ですね、温室効果ガス排出量であったり、最近だとバーチャルウォーターであったりというところが国産であることによってどんなメリットが出てくるのかとか、若しくはその地域の連携、耕畜連携含めて地域の連携の中でどのような経済波及効果が地域にもたらされるのか。そういうところを全て見える化することによって、初めて消費者の方々が本気で応援してくれるような状況も出てくるのかなというふうに思っております。是非、すぐ対応できるようなものではないということは重々理解しておりますが、サプライチェーン全体での取組ということが必要なのかなということで御意見申し上げました。
私の方からは以上となります。
それでは、農林水産省から各御意見について御回答等をよろしくお願いいたします。

◯冨澤飼料課長
飼料課長でございます。
正好委員から今回の配合飼料価格高騰の中の配合飼料価格安定制度への対応ということでお話しいただきました。第2四半期については1万6,800円/トンの単価でお支払いするということでございます。第3四半期におきましては、現状、配合飼料メーカーさん、あとくみあい飼料さん、あと畜産専門農協さん、皆さん御協力いただきまして、異常補塡、665億円の国費を積み立てましたけれども、その反対側の665億円分については先ほど正好委員からお話ありましたとおり、10年を掛けてその分を負担していただくということです。御協力に感謝するところでございます。
このような状況でございますので、第3四半期におきましては、先ほど来御説明しておりますけれども、予備費の中で飼料の生産コスト削減や飼料自給率向上に取り組む生産者に対して、トン当たり6,750円を全額国費でお支払いするという緊急対策を措置させていただいたところでございます。これによりまして、実質的な飼料コストの負担を軽減できるということで、これは配合飼料価格安定制度に参加して取り組んでいる方に対しての御支援ということになりますので、実質的なそういった対策になるというふうに考えているところでございます。
この制度自体、いろいろ飼料工業会さんや系統、くみあい飼料さん、畜産専門農協系の飼料メーカーさん、いろいろ御苦労を掛けているところでございますけれども、将来積立ての負担における苦しい状況についてはたくさんお話を聞かせていただいておりますが、その生産者の経営継続のために、引き続きどういった対応ができるのか、またいろいろ御相談させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
それでもう一つ、現状のいわゆる青天井で積立金の負担を求める現行制度についての見直しということでお話をいただいております。配合飼料価格安定制度については、皆さん先ほど来お話ししている積立てによりまして、急激な上昇の影響を緩和するということでございます。今回の飼料高騰を受けまして、1,500億円ぐらい当初積み立てておりましたけれども、それを使った上で今回更に665億円、国、あと飼料メーカーさん等での負担をお願いしているというところでございますけれども、補塡についてのいろいろなお考え方ということでいいますと、補塡を受け取る生産者や地方公共団体等から、高止まり時にも補塡が出るようにということで見直しを求める声がある一方で、今正好委員からありましたとおり、飼料メーカーさんとか、あと生産者の一部の方からも、いわゆる後年度負担する分について、メーカーさんも負担が大変だということもありますし、実質的にそれは餌の販売の中から捻出されるという部分もあるということで、いわゆる財源の範囲で補塡を行うことを検討すべきというお話もございます。
先ほどの負担の在り方についてもいろいろな御意見があるところでございまして、そういった状況を踏まえまして、先ほどお話ししました畜種ごとの経営安定対策との関係も含めて検討するということもありますので、早期に結論を出すというところはなかなか難しいんですが、お話ありましたとおり、飼料の関係、3基金から、関係者からも、まずいろいろお話を聞く等、検討に向けて着手してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
あと3点目、飼料用米についての畜産サイドの考え方ということでございました。
私ども水田の関係でいいますと、主食用米の需給の安定ということで取り組まれている対策でございます。飼料用米のほかにも稲WCSとか、あと飼料用で言うと青刈りとうもろこしとか、こういったものについて、それぞれ取組に対して御支援されているというところでございます。私どももそういった粗飼料面も含めて稲作農家さんと畜産農家さん─まあ、畜産企業もですけれども、マッチングを今やらせていただいておりまして、安定的な供給が図られるように御支援をしていくというところかと思います。
引き続きこういった取組を続けながら畜産と耕種農家さんの連携を支援していきたいというふうに考えております。

◯犬飼畜産振興課長
畜産振興課長でございます。
正好委員からアニマルウェルフェアに関して御意見をいただきました。アニマルウェルフェアにつきましては、畜産物の輸出拡大を図っていくということがございますので、国際基準であるOIEコードに沿った新しい飼養管理の指針を国として示すということで、5月の末から1か月ほどパブコメも実施したところでございます。
非常にたくさんの幅広い御意見が出まして、現在それを一つ一つ丁寧にどのように反映するのかということで整理をしているところでございまして、最終的なものを出すのにはもう少しお時間が掛かるのかなと思っているところでございます。
OIEコード、非常に細かくいろいろなことが書き込まれておりまして、現場の実態とかけ離れている、特に日本の飼い方と少し離れているようなところもあります。例えば、OIEコードでは酪農で断尾はしてはいけないとされていますが、ある地域では断尾が残っているとか、そういうことで時間を掛けて努力をしてやってもらわなければならない細かいこともあると思っていますし、施設整備を伴うようなことについては、すぐにやれということにはなっていなくて、将来的な検討課題のような整理になっておりまして、そこは消費者が最終的に買う畜産物のコスト、ここにも響いてくることなので、ここはきちんと消費者の方々にも理解をしていただいた上で、どうやっていくのかということを今後考えていかなければいけないと思っているところでございます。

◯大熊牛乳乳製品課長
牛乳乳製品課長でございます。
松田委員からのお話ございました。
まず、11月からの価格改定に伴って処理不可能乳発生の懸念についてというお話がございました。今年は飲用牛乳などの需要が低調で推移する中で、牛乳等の値上げの影響によって昨年以上に処理不可能乳の発生を懸念する声が上がっているということは承知しております。処理不可能乳の防止につきましては、特に需要が大幅に緩和する年末年始に向けて業界独自の生産抑制対策ですとか、乳製品工場の稼働日の調整、あるいは消費拡大のキャンペーンの企画など、業界一丸となって取り組んでいるというふうに承知しております。国としても当然当事者感覚を持って、業界の取組が適切に実施されるよう関係業界と緊密に連携するとともに、業界の垣根を越えた消費拡大の連携の取組を促す「牛乳でスマイルプロジェクト」を立ち上げて、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、数十の企業・団体に直接赴いて趣旨を説明するなどした結果、190を超える企業・団体等にメンバーになっていただいているところでございます。
こうした取組などによりまして支援を行っているところであり、乳業者におかれましても、是非このプロジェクトに積極的に参画いただければ有り難いというふうに思っております。
それから、生産の抑制について、行政による生産者間の公平性にも配慮した強力な指導をという話がございました。
現在、コストが上昇して酪農経営を圧迫しているという状況を踏まえると、生産基盤の毀損を回避するためには、コスト上昇分を適切に価格転嫁して酪農経営の改善を図る必要があるというふうに考えています。
生乳需給が緩和基調で推移している状況下ではコスト上昇分を適切に価格に転嫁することが困難であることから、まずは需給ギャップの解消を図って、乳価引上げに向けた環境を整える必要があるというふうに考えているところでございます。
このため、国としては需給ギャップ解消に向けて生産者団体で実施している生産抑制などの取組を踏まえて、どのような対応が必要かつ可能かということを検討しているところでございます。
また、乳業界に対しましては生乳増産を強く主張されたという経緯も踏まえれば、何らかの支援を要請することもあり得るというふうに考えているところでございます。
なお、生産者団体が行う生産抑制の取組について、半ば強請するような形で国が公平性を担保するということはできませんけれども、いずれにしても必要な対応については検討してまいりたいというふうに考えております。
それから、生乳流通についてです。需給調整の実効性を高めるためにも、行政による適切な指導、あるいは生産者間の公平の確保が図れるような制度運用の改善をというお話がございました。
需給状況が緩和する中で系統・系統外問わず、それぞれの事業者がそれぞれの経営判断の中で取り得る需給調整に取り組まれており、生産抑制もその一つであるというふうに認識しています。
現在、指定団体を中心として積極的に生産抑制に取り組んでいる一方で、系統外事業者においては生産抑制に取り組まれていないということについて御指摘なさっていると受け止めておりますけれども、事業者ごとにそれぞれの経営判断があるというふうに考えています。
こうしたことを踏まえれば、国が全事業者に対して生産抑制などの画一的な需給調整の取組を指導することはできないというふうに考えています。需要に応じた生産に対応していくことがあらゆる産業の基本であると考えておりますので、生乳の出荷先が指定団体であるか否かにかかわらず、酪農家自身が変化する需給状況等を理解して需給緩和に適切に対応できるように、農林水産省としても需給状況等の情報発信を丁寧に行ってまいりたいというふうに考えております。
なお、現時点では需給状況が改善されないような状況を受けて、何か悪質な契約違反行為ですとか、畜安法に抵触するような行為が発生しているということはないというふうに認識しているところでございます。
それから、令和5年度に必要と考えられる対応策ということで、在庫対策の継続についてのお話がございました。これも先ほど申し上げましたけれども、今年度から生処官生処官生処官で在庫対策をやっております。この支援につきましては、生産者団体と乳業メーカーによる新たな取組が円滑に進むように、スタートアップ時に限って措置したというものであって、これに対して更に国が資金を積み立てるということは考えておりません。また、今年度の支援の目的もコロナによる需要の減少を理由として、コロナ前の水準に戻すということで措置したものでございますが、政府としてウィズコロナの方向にかじを切っているという中でコロナを理由に措置した対策に再度予算措置するということは困難であるというふうに考えております。
ただ、現在、生産者団体において飲用乳価引上げによる需要減少に伴い発生する脱脂粉乳等につきまして、自らが長期保管、市場隔離するという取組を検討していると承知しており、国としてもこれに対して何らかの支援を行うことを検討しているというところでございます。
最後ですけれども、需給均衡対策ということで、チーズ等の輸入品との置き換えとか、行政による一過性でない需給確保対策といったことですとか、生産抑制に対する強力な指導、支援対策をというお話がございました。生乳の需要を確保して、脱脂粉乳在庫の積み増しを避けるためにも国産チーズ市場を拡大していくことは非常に重要であるというふうに認識しております。政府としては、これまで国産チーズの競争力の強化を図るため、TPP大綱に基づきまして、原料乳の低コスト化・低品質化の取組の強化を図るために、乳質向上等に資する取組を行う生産者の支援などを平成29年度補正から継続的に実施しているところでございます。
また、先ほども御説明いたしましたけれども、生産抑制の取組につきましては、現在業界で実施している生産抑制等の取組を踏まえて国としてもどのような対応が可能かということを検討しているところでございます。
私からは以上でございます。

◯谷口畜産危機管理官
畜水産安全管理課からです。
消費者の理解、応援を得られるような国産飼料ということで、牛のげっぷの中にメタンが含まれているんですけれども、これを削減するような飼料添加物、これの評価基準を策定するということで、本年1月に農業資材審議会の飼料分科会において温室効果ガス、GHG削減を目的とした、飼料に添加する資材を飼料添加物として整理することが了承されまして、9月には牛のげっぷ中のメタンの削減効果のある飼料添加物について評価を行うための基準、これを定めたところでございます。
これにより、今後GHG削減を効果とする飼料添加物の指定を希望する事業者からの申請がございましたら、早速評価を開始し、指定をしていくということで進めているところでございます。消費者の理解や応援が得られるような、そういった飼料の開発を推進していくということで努めてまいりたいと思っております。

◯三輪部会長
ほかよろしいでしょうか。
お願いいたします。

◯渡邉畜産局長
どうも忌憚のない意見交換を本当にありがとうございました。全体を通してのコメントを申し上げますと、我が国の畜産業は今まで経験したことのない大きな局面の変化を経験しているということなんだろうと思います。基本法の検証、あるいは食料安全保障に向けた施策の在り方というのを今検証作業なりやっていますけれども、前回基本法ができてから20年ちょっとです。その間、当時はかなり国力もあって、海外から飼料だとかいろいろな原料なり、エネルギーにしても安定的に入ってくるという前提があったと。そういう中で畜産業もそういう中でビジネスモデルを作ってきたわけでございますけれども、ここに来てみると、例えば中国がものすごく台頭して、中国に買い負けをしてしまうような状況にあるという中で、例えば穀物も上がっていると。さらには、アメリカとかEUの状況、アメリカなんて経済はかなり好調で、インフレで賃金も上がっている中で、日本は賃金が上がらないというような中で金利の環境も大分変わったことで円安がずっと続いていると。これがこのまま、そんな状況変わるのかというと、何か変わりそうな雰囲気もないかなと。あとウクライナへのロシアの侵攻もまた影響をしているということで、食料安全保障ですとか基本法の在り方とかという議論が今あるわけですけれども、畜産について言えば、国内で生産される飼料に立脚した形の畜産になることがまず非常に急務だということで、もちろん国内の農地に─まあ、耕作放棄地なんていうのも出てきますから、国内の農地に作付をされる穀物なり、あるいは粗飼料でもいいですし、また食品産業などから出てくるエコフィードなんていうのも国産の飼料ということなんだろうと思いますが、そういう方向に大きくかじを切ることが求められているというのが今の状況なんだろうと思いますので、これを緊急にやるような話ではなくて、若干中長期的に実現していく課題だということだろうと思いますが、今回の補正から措置していますけれども、そこはしっかりそういった転換を支援していく必要があるという認識でおります。
酪農については、バター不足というのを経験した後、増産してきたところでコロナというのがあったということで、生乳の需給が緩和したということで、そこもパンチが利いているということですけれども、そういった中で緊急対策、例えば9月の予備費なんかで緊急対策、配合飼料についても粗飼料関係でもやりましたけれども、緊急に必要な部分は繰り出しつつ、中長期的な国内飼料への、自給飼料にかじを切るというようなことと並行的にやっていくということなんだろうと思います。
もちろん、生産コストが上がった分は製品の価格に反映するというのが経済の基本だろうと思います。そこは消費者がどれだけお金を出してくれるのかと。まあ、賃金とも関係するのかもしれませんが、それが利いてくると。生産コストがどうしても上がってくる、国産飼料に転換するにしても、例えば飼料代がこれまでより上がる。一方、消費者はそれほど価格を出してくれないというような環境であれば、そこを国が財政負担でずっと埋めるというのは、これは無理ですので、そういった生産コストの環境と消費者がどれだけ払ってくれるかということの兼ね合いで産業として持続的に発展できるような形に産業が変わっていくことが必要だということで、そこはしっかりまた支援をするということで、緊急対策、中長期対策、我が国の畜産業が望ましい姿になって持続的に発展できるような施策を考えて対応していくということが大事なんだろうと思っております。
そういう中で基本法の検証の作業もございますので、そういった中でこういった議論もして対応していきたいというふうに考えております。
今日はありがとうございました。

◯三輪部会長
局長ありがとうございました。
それでは、事務局より事務連絡等ございましたら、よろしくお願いいたします。

◯眞壁畜産総合推進室専門官
事務局からです。
委員の皆様におかれましては、お忙しいところ、長時間にわたっての御議論、誠にありがとうございました。
次回は、畜産物価格等の御審議のために第2回畜産部会として開催することを予定しております。日程等につきましては、改めて担当から御連絡させていただきたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。

◯三輪部会長
ありがとうございました。
それでは、これをもちまして令和4年度第1回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を閉会いたします。本日は皆様、どうもありがとうございました。

午後5時30分閉会

お問合せ先

畜産局総務課

担当者:眞壁、松野、佐竹
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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