このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

令和5年度第4回畜産部会議事録

令和5年度第4回畜産部会議事録(PDF : 439KB)

1. 日時及び場所

日時:令和6年3月19日(火曜日) 14時28分~16時39分
会場:農林水産省 第2特別会議室(web併催)

2. 議事

午後2時28分開会
〇新井畜産総合推進室長
それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまより令和5年度第4回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席を賜り、誠にありがとうございます。
それでは、小針部会長に議事を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 

〇小針部会長
部会長の小針でございます。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、初めに渡邉畜産局長に御挨拶を頂きたいと思います。渡邉局長、よろしくお願いいたします。 

〇渡邉畜産局長
畜産局長の渡邉でございます。
本日は、年度末の大変お忙しい中で食料・農業・農村政策審議会の畜産部会に御参集を頂きまして、誠にありがとうございます。
今回は、部会の委員の皆様に加えまして、発表をお願いしております皆様にも御参加を頂きまして、誠にありがとうございます。
今般の我が国の食をめぐる情勢が大きく変化している中、食料・農業・農村基本法が時代にふさわしいものとなるよう改正するということで、改正案を提出しておりまして、今国会で議論されることとなってございます。畜産局といたしましては、近年の畜産・酪農をめぐる厳しい状況を踏まえまして、畜産・酪農政策の現状と課題を整理しているところでございます。
今回から数回にわたりまして、畜産現場の第一線で御活躍されている方々の取組や課題について発表していただいて、それをお伺いさせていただき、今後の政策の方向性を検討していきたいと考えてございます。本日はその第1回目ということでございまして、4名の酪農関係の皆様方に発表いただけるということになってございます。私どもといたしましても、現場の実情を知る貴重な機会でございます。活発な議論が行われることを期待してございます。
最後に、我が国畜産・酪農の更なる発展に向けまして、引き続き皆様方の御協力を賜りまして検討を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いさせていただきたいと思います。
本日もよろしくお願いいたします。

〇小針部会長
ありがとうございました。
報道の方はここで終了といたしますので、御退室ください。

(報道退室)

 〇小針部会長
それでは、議事を進めます。
まず、本日の配付資料の確認、委員の出欠状況の報告などについて、事務局からお願いいたします。

 〇新井畜産総合推進室長
まず、本日配付しております資料について確認させていただきます。
会場にいらっしゃる委員の方はお手元のパソコン・タブレットの端末に資料一覧、資料1から7、参考資料の全部で九つになるかと思いますが、シートが表示されているかと思います。これらのシートがタブで全て開かれているかと思いますので、御確認いただければと思います。タブレットの使用関係で不明点がありましたら、近くにおる職員に遠慮なくお問合せいただければと思います。
次に、本日の出席状況でございますけれども、資料2の方に名簿ございますけれども、本日、11名の委員の方に出席いただいております。このうちリモートでの御参加が椛木委員、駒井委員、里井委員、馬場委員、前田委員となっております。また、松田委員と馬場委員におかれましては都合により途中退席、また、椛木委員は途中参加いただけるという予定となっております。また、本日、二村委員、宮島委員、井上委員、大山委員、川田委員、庄司委員、羽田委員、彦坂委員におかれましては、御都合により欠席との連絡を受けております。審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開き議決することができないと定められておりますが、規定数を満たしておりますので、その旨、御報告をいたします。
以上でございます。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
本日の畜産部会の開催の趣旨ですが、先ほど渡邉局長の御挨拶にもありましたように、畜産・酪農をめぐる厳しい状況等を踏まえ、畜産・酪農政策の現状と課題を整理するという目的で、当部会において有識者からヒアリングを実施することといたしました。本日はその1回目として、酪農関係者の方からヒアリングを行いたいと思います。御参加いただいている4名の方におかれましては、お忙しい中、誠にありがとうございます。
それでは、本日お招きした皆様を御紹介いたします。資料3を御覧ください。お一人目は、株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム代表取締役の平様です。平様には、ICT機器を導入した先進的な経営という観点で発表いただきます。リモートで御参加いただいておりますが、よろしくお願いいたします。
お二人目は、株式会社clover farm代表取締役の青沼様です。青沼様には、自給飼料基盤の確保に向けて取り組む経営という観点で発表いただきます。
3番目に御発表いただくのは、二ツ山牧場代表の吉澤様です。吉澤様には、耕畜連携により飼料の確保に取り組む経営という観点で御発表いただきます。
最後は、計根別農業協同組合組合長の北村様です。北村様には、コントラクターやTMRセンターの観点から御発表いただきます。
本日はよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
それぞれの御発表の前に事務局から御発表者の紹介をした後、お一人10分から15分程度で御自身の経営の概況やお取組について説明をお願いいたします。御説明の後、約15分程度の質疑応答時間を設けますので、御意見、御質問のある方は挙手を頂ければと思います。
それでは、株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム代表取締役の平様より発表いただきますので、事務局より御紹介をお願いいたします。

 〇新井畜産総合推進室長
資料4を御覧いただければと思います。
資料の1枚目に記載がございますとおり、株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム様は、北海道中標津町で総飼養頭数約1,500頭の牧場運営をされており、搾乳ロボットや牛群管理ソフトなどのICTを活用した牧場作業の自動化システムを組み込むことにより、経験や性別にかかわらず誰でも牧場運営ができる仕組みづくりに取り組まれております。また、牧場から排出される温室効果ガスの削減にも取り組んでおりまして、本年1月にはJクレジット認証も取得をされております。
それでは、御発表いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 〇平様
本日はよろしくお願いします。先ほど御紹介にあずかりました株式会社ファームノートデーリィプラットフォームの平と申します。本日はよろしくお願いいたします。
では、資料の方をよろしくお願いいたします。先ほども御紹介いただきましたので、事業の紹介に関しては簡潔にとどめさせていただきます。
弊社ファームノートデーリィプラットフォームは、北海道中標津で現在、直営と経営のサポートしている牧場を含めて、4牧場の運営をしております。三つの酪農経営の経営体と育成牧場一つになりますが、搾乳頭数は現在885頭程度、経産牛飼養しており、総飼養頭数としては1,500頭程度となります。
次、お願いいたします。弊社の事業のコンセプトになります。経営の母体として株式会社ファームノートという、もともと農業ITの事業を営んでいる会社があります。そちらの技術等を主に活用して、酪農生産のデジタルトランスフォーメーションを推進し実現する牧場運営ということを行っております。その要素として、デジタル化、主にソフトウェアを使ったIT化というところ、もう一つが自動化、搾乳ロボット等を使った機械化・自動化というもの、それにベースとして生産技術、これらを掛け合わせた酪農経営モデルというものを作っております。これによって生産現場の省力化と自動化を進め、生産性を改善し収益の向上を行っていく、そういったモデルの構築を行っております。
次、お願いいたします。これは概要になるんですけれども、「酪農業務のデジタル化」と書いておりますが、肝となりますのが弊社が構築しているデータベース、ここに弊社の開発している牛群管理ソフト及び牛に取り付けるセンサー、こちらのデータを統合していっています。また、自社の開発したシステムだけではなくて、現場で使われている搾乳ロボットであったり牛群検定といったような、そういったデータ、これもデータベースに統合していっております。
これらのデータを総合的に分析することによって、右側の上の方になりますけれども、牛群の状態及び酪農経営そのもの、経営の状態と牧場の牛全体の状態の可視化及び分析というものを行っております。また、現場の作業を行うに当たって、牛一頭一頭の状態、こちらを可視化して、牧場の従業員が作業の効率化と適切な意思決定・判断ができるということを実現しています。
次、お願いいたします。これが経営と牛群の状態の可視化及び日々の業務の管理のイメージになります。酪農経営の売上げであったりコストであったりといった、そういった経営の指標、こういったものから今日現場でどういった作業をするとその経営が良くなるのかというところまでをつなげて、可視化して行動にまで移せるというような形でシステムの全体を構築していっております。この絵でいくと、上の方が収益、「利益の推移」と書いていますけれども、収益の見える化。そこに対して売上げとかコストがどうなっているのか。その売上げとか生産コストにひもづく生産KPI。ここに書いてあるのは、搾乳頭数1頭当たりの平均個体乳量、あと出荷乳量等ですけれども、生産に関する指標を示しています。一番下のところは、こういった生産性を実現するために、日々牧場でどういった作業が必要なのかというものになります。現場で酪農経営は、日々の業務をしっかりと抜け・漏れ・忘れなく実施していくことで収益を最大化していくというビジネスモデルだと考えていますけれども、牧場の従業員の行動が、業務が、酪農の経営体としてどういうふうに反映されているか、これを可視化しながら牧場の経営というものを行っております。
次、お願いいたします。こちらが牛個体ごとの状態の可視化を行っているようなグラフになります。グラフでどういったことを確認できるのかというと、牛の状態を可視化しています。牛は、活動といって動き回っている時間と座って休んでいる時間、及び餌を消化するため反芻という活動を行うんですけれども、これを経時的に、365日24時間、ずっとデータとしてセンサーが可視化をしてくれます。ここには病気になった牛のデータを示しているんですけれども、可視化できるデータとして、牛の体調の変化と、あと特定の状態の変化、繁殖を行うための発情行動であったり、あと分娩、あと牛が倒れてしまって起き上がれないような状態になったというものをセンターが検知をして、生産者の方も、現場で業務をしている方に通知をするようなシステムを活用しています。ここでいくと、今お示ししているのが牛の状態の変化で、体調が悪くなって病気になってしまった牛のグラフをお示ししているんですけれども、センサーでこういった状態が分かることによって、弊社もたくさんの牛を飼っているんですけれども、そういうたくさんの牛がいる中から一頭一頭、必ずしも時間を掛けて見ることがなかなか難しいんですけれども、人が気付くより前にセンサーが教えてくれる。これによって、牛が死んでしまったり販売できなくなるような状態を防いだり、あと、さっき種付け等発情の行動を発見するというような説明させていただきましたけれども、業務に必要なタイミングを逃さず適切な処置ができるというような形で、業務の効率化を実現しています。ここでいけば、弊社の昨年の成績になるんですけれども、病気等で販売できなかった淘汰牛というところを低く抑えることができていますというようなことを、一応紹介させていただいております。
次、お願いいたします。こちら、繁殖成績の方になるんですけれども、こちらは繁殖効率や妊娠率というもののグラフをお示しさせていただいています。複数の管理の要素によって影響を受ける数字ですので、ここに示している17%程度、緑のグラフになるんですけれども、必ずしも抜群に高いという数字ではないんですけれども、安定した繁殖成績を実現できていると考えています。弊社がこの成績を出せている裏側なんですけれども、センサー等を活用した発情の発見を実現することによって、現場で今、例えば中標津の牧場ですと、管理している搾乳牛が全部で550頭程度いるんですけれども、人が時間を掛けて発情を発見するというような時間は全く取っておりません。それでいて、適切に発情を発見して牛を繁殖させることができるようになっております。
次、お願いいたします。これが、先ほどからお示ししている日々の業務から酪農の経営まで、全体感を管理することによってどういうことを実現しているのかというところを、収益性の面からお示ししたものになります。これは弊社の牧場の本当に生の成績になるんですけれども、左側が、「EBITDA」と書いていますけれども、経常利益と減価償却費から導き出す収益性の指標になります。2022年の9月から2023年8月までのデータをお示ししているんですけれども、2022年の9月は、弊社にもちょっと伝染病が入って、収益性が大きく悪化してしまったというところはあるんですけれども、そういったものも含めて経営の状況・課題を適切に分析して手が打てるという、適切な手を打ってPDCAサイクルを回しながら経営を改善していくということがシステムを活用することによってできるというところで、2023年の1月、2月頃から収益を改善することができました。このタイミングというのが北海道でも乳価の値上げがある前の改善ですので、こういったシステムを使うことによって牧場の経営の見える化で課題の可視化、それをベースにした改善策を打つことによって、適切に経営の改善ができるということを実現しているとと考えています。その中で、同じ文脈なんですけれども、右は飼料コストの推移という形で、適切な飼料設計の実現から飼料管理業務まで、日々の現場での業務までを適切に管理することによって、この期間にも飼料費の大幅な削減を実現することができています。
次、お願いいたします。こちらが、酪農業務の自動化の、弊社で活用しているものの御紹介になります。左側の青い機械が搾乳ロボットになります。こちらによって、人が毎日牛を搾乳しないといけないという業務から解放され、作業の効率化・生産性の向上という形で大きく貢献している機器になります。右側に示している上の写真が自動で牛舎内の環境を保つシステムになるんですけれども、弊社では、牛舎の中に扇風機と、この半分開いているカーテンをお示ししているんですけれども、これらは、牛舎内の気温とか牛舎外の風速、あと雨の吹き込み、牛舎内のアンモニア濃度等を自動で検知して、扇風機の回転数であったりカーテンの開き具合を自動で調整して、牛舎内の環境を自動で常に快適な環境に保つというのを実現しています。これがなければ、人が随時スイッチを押したりカーテンの開け閉めをしないといけないので、大きく労働時間や、労力を掛けないとそれが実現できません。右下、これはいろんな牧場で一般に入れられているものにはなりますけれども、ふん尿の自動処理をするシステムを入れていまして、最後に御説明差し上げるふん尿の処理による温室効果ガスの削減というところの自動化、こちらにつながっているシステムになります。
次、お願いいたします。今まで御説明差し上げた現場の業務から経営課題までを可視化して業務の適切化・適正化を行っていくような取組・システムであったり、先ほどお示しした自動化、搾乳機械、牛舎内環境を一定に保つシステム、ふん尿の処理等の自動化、これらによって弊社の牧場における、これは中標津の牛舎内での作業を時間として示したものになるんですけれども、搾乳ロボット2台、搾乳規模で130頭程度の弊社の牧場の例として、同程度の生産規模である牧場の、左側の統計データから計算したものになりますけれども、1日の平均総労働時間というものを、弊社の牧場ではおよそ20時間程度、子牛の保育と搾乳牛の管理、それらの給餌業務、これらを合わせて、2人でおよそ20時間程度という形で業務を回すことができています。また、弊社の従業員なんですけれども、半分は女性スタッフがおります。日によっては女性だけで牧場を回す日もあるんですけれども、こういったシステムの導入によって、女性だけでも問題なく牧場業務の運営ができるという状態になっております。
次、お願いいたします。具体的な牧場名が出てしまっているんですけれども、このようなシステムを今、弊社が直営で牧場経営をしている牧場以外にも適用して、牧場経営のサポート、牧場の運営代行という形で、牧場の経営をサポートするような取組もしています。左側は酪農を行っている牧場ですけれども、弊社が、先ほど取組として説明したような取組をおおむねそのまま当てはめさせていただいて、生産性の向上及び収益性の向上に貢献できましたという紹介になります。右側は、酪農生産だけではなく、その他の経営形態においても同じ考え方で、経営の見える化、業務の見える化をして、そこにある課題を解決していくような取組を進めることで、赤字経営だった牧場を収益化するところまでサポートできているという事例があります。
次、お願いいたします。最後になります。弊社の取組として、牧場から排出される温室効果ガスの削減にも取り組んでいるというものがあります。一番進んでいる取組としては、左側にある1のふん尿処理方法の変更による温室効果ガスの削減というものになります。酪農では、ふんと尿がまざったスラリーと呼ばれる流動性の高いふん尿、これを一定期間、畑にまくまで一定期間貯留をして保管するという運営が、特に北海道では一般的なんですけれども、この保管方法ですとスラリーからメタンが発生します。メタンはCO2よりも温室効果が高いというところで、環境的な側面から課題になっているかと思います。弊社では、このスラリーから固形分を分離して、その固形分を、好気性発酵といって空気がある状態で発酵させることによってメタンの発生を抑制しております。こちら、2022年8月からの1年間で130頭搾乳規模の牛舎から出るメタンガスをCO2換算で149トン削減し、その削減した分をJクレジット、排出権の取引ができる形で承認を取りまして、それを販売して収益化にもつなげているという実績がございます。右側の部分は実験段階のため、説明は簡易にさせていただきますが、先ほど説明したのは固形分の処理を行っているところですけれども、残りの液体の部分、こちらに関しても今後、メタンの発生等を抑える取組であったり、肥料としての価値を高めるような取組、こちらを今試行錯誤しております。
あと、温室効果ガスの発生源として、牛の消化管の中から発生してくるメタンというものも注目をされておりますが、こちらも、牛1頭ごとに排出されるメタンの量というのを測定しながら、餌に添加する飼料添加剤等を活用しながら、それらを発生を抑えるような取組というものを現在進めていっております。
以上で弊社の取組としての御報告を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

 〇小針部会長
平様、ありがとうございました。
ファームノート様のノウハウを存分に生かしたデータ駆動型のシステムとオートメーションを組み合わせた形の、新しい形の牧場経営を目指されていると話を聞いていて感じました。
それでは、御質問がある方は挙手をお願いいたします。まずは松田委員からお願いします。

 〇松田委員
説明ありがとうございました。乳協の松田でございます。
大きく分けて二つの質問ですが、一つ目は、今御説明を頂いて、酪農作業を取り巻く環境の厳しさというのはいろいろありますけれども、その中で、説明の中で言った経営等あるいは環境に対しての側面からの質問をいたします。今御説明いただいた中で、経営について、例えば酪農DX化、ITを使ったDX化、そしてそれを、牛の個体の状態の可視化だとか、あるいは経営全体をそれで俯瞰しながら、あるべき方向に導くということ。そして、環境については、最後の方にも出てきましたけれども、例えばげっぷの問題、ふん尿の問題から、CO2を削減しなきゃいけないというような、いろんな環境があるけれども、その二つだとするならば、これが概念としてもなかなか浸透していませんよね。御社は最端を行っていると思うんですけれども、なぜ概念として浸透しないのか。そして、仮に概念として浸透したとしても、その目標を成就するために何が必要なのかと。意識の改革なのか、お金なのかを含めて、その辺のところのお考えがあれば教えていただきたいというのが1点です。
2点目は、7ページにありました、飼料の価格が17%ダウンしたと説明を頂いたんですけれども、これをもう少し、どういう行動をすると非常に厳しい状況の中で17%もの飼料価格、価格というか経費をダウンできたのかと。これについて御説明をもう一回頂ければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

 〇平様
ありがとうございます。
一つ目ですけれども、まず、経営を良くするためにデータを活用する、そこの部分の浸透がまだまだこれからなのかなと私も感じております。一つは、経営の部分に関してデータの活用が浸透していくために何が必要なのかというところは、これですという答えは正直難しいなと思っているんですけれども、私は、二つあるんですけれども、一つは、全ての生産者の方がそこまでしないといけないわけではないんじゃないかと、一つ考えております。家族経営として地域を支えながら生産されている方というのがたくさんいる中で、そういった方が本当にお金だけを追求して酪農経営をしていく必要があるのかどうかというところは、ちょっと私は答えを持ち合わせておりません。
もう一つ、今こういった外部の環境が厳しい中で、生産規模を拡大しながら、企業化しながら酪農経営を継続・発展させていく方が増えていると理解をしています。そういった方々は、会社経営の仕組みという中にDXという取組を取り入れながら生産をしていく、経営として伸ばしていくという必要があるかなと考えています。根本的には、DXツールを入れただけでは私も全てが良くなるとは考えていないので、組織のマネジメント力、こことの掛け算が必要ではないかなと考えているというのが一つ目。
環境に関しては、我々も取組をしているんですけれども、これだけのために設備を投資して飼い方を変えてというところは、生産者にとっては結構ハードルは高いかなとうに感じております。Jクレジットで収益化をしているんですけれども、それだけで投資回収ができるほどのものでは現在はない。私どもの経営ではないので、そういった削減した分が適切に、例えば乳価に反映されるだとか、何らかのインセンティブというものが今後必要になってくるんじゃないかなと感じております。これが二つ目。
飼料の部分に関してですけれども、こちらに関しては、日々生産をしている生産量に見合った適切な、必要十分な飼料、これが実現できるように飼料の設計内容、こちらから見直しを行って、あと、それらが適切に、設計している飼料が本当に牛が食べるところまで幾つか段階があるんですけれども、それらの部分を現場業務として可視化をして、机上で設計した餌が本当にそのとおり作られているのか、それは本当に牛が食べているのか、それは本当に狙った生産性になっているのか、この段階でそれぞれデータを取って分析をすることによって、飼料コストを単純に削減するというよりも、生産性も維持しながら削減するという形で取り組んでいます。あまり具体的な説明ではなかったかもしれませんが、以上となります。

 〇松田委員
ありがとうございます。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、リモートで馬場専務は手を挙げていらっしゃいますので、御質問、お願いいたします。

 〇馬場委員
1点だけ、すみません。今日4人の方いらっしゃいますけれども、配合飼料そのものを購入されている割合が結構ある経営が平さんのところだと思ってお聞きしたいんですけれども、配合飼料価格安定制度の議論が実はされていますけれども、この配合飼料価格安定制度に加入されておられるんでしょうか。加入されておられるとすれば、その評価をお聞きできればと思います。以上です。

 〇平様
弊社としては、加入させていただいております。一番最初は入っていなかったんですけれども、おととしから加入をさせていただいております。こういった飼料の上昇局面では非常に助かっております。そこは間違いございません。ただ、高止まりをしているという中で、経営の安定基金の制度が十分に発動するかどうかというところは非常に気をもんでいるところであるんですけれども、こういった状況の中でどう酪農経営をしていくかということは、すごく課題は感じております。

 〇馬場委員
ありがとうございました。

 〇小針部会長
それでは、ほかに御質問がある方。
石田委員、お願いいたします。

 〇石田委員
神奈川で酪農をしております石田と申します。
平さん、今日は貴重なプレゼン、ありがとうございました。弊社もファームノートのユーザーでありまして、この場を借りて、いつもお世話になっていますので、御礼申し上げます。
1点御質問なんですけれども、自給飼料を生産していないということでしたが、これは今後検討されているのか、それともそういった自給飼料をあえて生産しない方が経営的に収支としてはメリットがあるという経営判断なのか、お伺いしたいです。もし後者であれば、どういった経営判断で自給飼料生産しないとしているのか、興味があります。

 〇平様
御質問ありがとうございます。
弊社の成り立ちなんですけれども、離農する牧場様若しくは、例えば新しくクラスター事業のようなものを利用して新しい牛舎を建てて、古い牛舎、使われなくなった方の牛舎を活用させていただいて今運営していまして、自給飼料を生産していないというのは、そういった方と連携しながら生産をしているというのがありまして、酪農としては離農されたけれども畑はやっていただいて、その方から餌を買わせていただくというような形で運営をしています。現在、方向性としては、より飼料生産にも関わっていこうと思っております。自分たちでも作るという方向性になります。やはり生産において最大のコストになるのは、配合飼料だけではなく、粗飼料も買う、購入をするというのは間違いありませんので、そこに対して品質及びコストの削減、ここに自身の経営としての経営努力ができる状態づくり、これは非常に重要だと思っておりますので、そういった生産者の方と連携しながらにはなるんですけれども、自分たちでも飼料生産に関わる方向で、経営としては取組をしていきたいと思っております。

 〇石田委員
ありがとうございます。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
まだ御質問ある方もいらっしゃるかもしれませんが、時間の関係もありますので、次の発表に移りたいと思います。
続きまして、株式会社clover farm代表取締役、青沼様より発表いただきますので、事務局より御紹介をお願いいたします。

 〇新井畜産総合推進室長
それでは、皆様、資料5を御覧いただければと思います。
株式会社clover farm様ですけれども、富山県高岡市で総飼養頭数160頭の酪農経営をされております。市街地近郊という立地を生かして地域事業者との連携、酪農体験や出前授業の実施、また、資源循環の観点から耕畜連携を含む自給飼料の増産などにも取り組んでいらっしゃいます。それでは、青沼様、発表、よろしくお願いいたします。

 〇青沼様
よろしくお願いします。富山県高岡市から来ました株式会社clover farmの青沼です。よろしくお願いします。
私の牧場は、富山県高岡市、赤く塗ってあるところにあります。今回の能登の震災では、私のいる高岡市の海の方は結構液状化などの被害が出ているんですけれども、牧場のあったところはちょうど被害の境目ぐらいな感じで、当牧場は特に被害なしという形でした。
次、お願いします。牧場の紹介なんですが、私自身は広島県の出身ですが、2015年にいろいろ大学とか研修を経た後に、高岡市で第三者承継によってclover farmを開業しています。当時は自営で始めているんですが、今年の1月に法人化しました。現在の労働力は5名です。経産牛が110頭、育成牛60頭で、出荷乳量も477トン、昨年は出荷できています。キーワードになってくるのがエコフィード等の地域資源の活用や酪農教育ファーム、あと、街に非常に近い立地で酪農をやっているということ、あと、農商工連携になります。
次、お願いします。これ、開業時の写真なんですが、左上の牛舎が引き継いだ状態のものです。バーンクリーナーもないですし、飼槽も結構破損している部分が多かったものを、下の写真になりますが、全部中を取ってしまってフリーバーンにして飼うことによって、24頭しか繋げなかった牛舎で、最終的に40頭の乳牛、経産牛を飼って絞っていました。パーラーは、アブレストを中古で離農農家から引っ張ってきて、安く仕立てました。右下の写真ですが、育成牛舎と乾乳牛舎を手作りにて造っているところです。これによって、かなり経費は抑えられています。当時、青年等就農資金を活用させていただきました。
次、お願いします。そして、昨年の春なんですが、クラスター事業を活用させていただきまして、新築の牛舎及び、奥になりますけれども、堆肥舎、あと、飼料生産に必要な作業機一式を導入させていただきました。
次、お願いします。ここからがclover farmの取組になるんですが、まず、この順番で話していきます。牧場を始めた時点では、機械、牧草生産、飼料生産する機械一式は引き継いでいませんでした。なので、その中でも、地域の資源を活用して生乳の生産していくことこそが、酪農をやっていく上で、食料を生産する上で重要なことだと考えていたので、機械がない中でも地域の資源を活用して生乳を絞る方法を模索していた内容になります。1番が耕種農家との連携。具体的には、飼料用米を購入させていただいたり、稲わら、機械がない中で、写真にありますけれども、手作業で集めたりもしていました。あとは、2番のエコフィードの活用ですね。地域、まちが近いということで、様々な多様なエコフィードが手に入りました。あとは、隣接する土地、水田跡地を活用して放牧をさせていただいたり、その中でも中長期的に地域ぐるみで飼料生産を行うための模索を行ってきました。
次、お願いします。まず、耕種農家との連携なんですが、これは新築の牛舎を建てる前までの取組の紹介になります。まず、繰り返しになりますけれども、開業時、作業機の引継ぎは一切ない中で、国の制度資金3,700万を満額借りていましたが、あの当時、7頭の乳牛と牛舎を引き継ぐのでもういっぱいいっぱいで、新たに機械を導入するのは困難な状況でした。地域に畜産がなく、農地の95%が水田という状況で、飼料生産の文化が本当にない状態で、協力してあげたいとは言ってくれるんですけれども、ロールするというのが全然イメージ湧かないとかそういったこともあったので、なかなかそういった粗飼料生産の面では進展がありませんでした。なので、飼料用米を2戸の水田農家と契約し、昨年は実績として25トン購入させていただいています。これは、農家さんの方で保管をしていただいて、破砕機も持っておられたので、破砕したものを納品していただくという形で対応してくださいました。その中でも農地、水田が95%という話だったんですが、その中でも少し野菜を作っていたりというような農地もあったので、そこから出るキャベツの外の葉っぱなど廃棄品、少量ですが、エコフィードの利用も模索していました。あとは、水田放牧を実施してきました。
次、お願いします。エコフィードの活用ですが、御覧の写真のようなものが手に入ったものです。地域に酒蔵が多くて酒粕。酒は冬しか仕込めないということで、夏場にウイスキーを作っている酒蔵さんがあったので、そこから出るウイスキー粕。あとは、おからや廃菌床、キノコを栽培している工場があるので、そこから出るコーンコブを利用した廃菌床を利用したり、あとは、まちに野菜のカット工場があったので、そこで出る野菜のくず、残渣というものを全て購入させていただいて利用しています。
次、お願いします。水田放牧なんですが、このような形でやっていますが、面積としては、一時は90アール、9反ありましたが、そのうちの3反を利用して牛舎を建てたために、現在は6反の面積での放牧になっています。なので、非常に狭いんですが、ヤギとの混合放牧を行うことによって、牛が食べ残した草をヤギが食べるなど、除草剤の利用をしなくても草地管理ができるようになっています。また、当時は作業機一式持っていなかったので、土地も起こせませんから、放牧をしながら、ヤギと牛とで草地造成をしていくという形で草地を造ってきました。うちの場合は、放牧をしている間に牛舎の中を掃除するという形になるので、通年を通して放牧を実施しています。夏場は暑いので夜間に放牧を行います。気候のいい時期は午前中いっぱい出していたりもしています。効果としては、実際よく外で走り回ったりだとか、あと、日光を浴びることができるので、疾病のリスクは減っているのかなと感じています。実際に家畜共済の医療費が同規模の経営に比べて3分の1程度に抑えられています。少しですけれども、放牧することによって畜舎でのふん尿処理の作業が軽減できているのはあるのかなと思います。また、散歩しに来られる方が非常に増えて、地域の住民に対して牛が見えるという環境の提供ができています。課題なんですが、土地が狭いということで、冬季間に特に、踏み荒らされて泥濘化してしまうというような現象が起きていますので、今後、放牧面積の確保はしていきたいんですが、一部の地域の方から、やっぱり牛が民家の近くに来るのが怖いとか、あと臭いの問題とかで、面積の拡大というのが現状課題になっています。
次、お願いします。ここからが、現在牛舎を建てて取組を始めた内容と、今後のビジョンに移っていくんですが、まず1が、耕種農家との連携によって稲わらの回収を行っています。連携といっても、これまでは米を収穫した後、水田に稲わらを刻んで落として、そのまま土地にすき込むというような形を取っていたものを、刻まずに長わらの状態で落としてもらったものを、ロールベーラーを使って私の方で収穫・回収させていただいています。さらに、ロール1個につき1,000円、耕種農家に追加で払うということも行っていますし、堆肥の無償提供ということも行っています。これによって、水田から出るメタンの発生率を減らす効果があります。また、地力が非常に落ちている土地なんですが、耕畜連携の文化が全然なかったので、堆肥を10年20年入れていないという水田がざらにあったので、堆肥を無償提供することによって保肥力がアップすることにより化学肥料の効きがよくなるとか、そういった効果が期待されています。あと、今地域計画を立てていますが、95%の水田のうち、減反率がもう50%を超えているような地域になります。その中で、集落営農が非常に発達していることによって土地の利権は集約ができているんですが、米以外のものを作れないというような課題がある中で、より総合的に管理できる飼料生産ということで、今、地域計画を一緒になって作っている最中です。特に条件不利な集落営農ができなくなってきている山間に近い場所などの草刈の手間を省くために、あぜを外して1枚の土地を大きくして草地にしてしまうことで草刈の労力を軽減させたり、用排水路に隙間があって駄目になってきているのも、水を引く必要がなくなるので、そういった用排水路の管理の軽減などにも、この飼料生産が貢献していけるかなと思っています。平場の獣害などがない地域というところも、減反対象になる場所が多くあるので、そういった部分で耕種農家が利益が出るような形で、各種WCSの生産というのを今後検討していきます。その中でポイントになってくるのが、3番目のTMR工場の誘致です。私の牧場で利用できるだけの飼料の生産量では、あっという間に上限が来てしまいますので、TMR工場を誘致することによって、地域で生産された飼料を全てその工場に持ち込み買い取ってもらった上、飼料生産を行えない地域や、高齢で新たな取組ができない農家に対して、流通飼料の製造拠点を作っていきたいと考えています。そして、個人としては、富山県内は生乳生産が需要の6割程度しか行えていない現状もあり、インフラの維持が非常に課題になっています。その中で、経産牛頭数を増やす必要性はあるので、第二、第三牧場の計画を行っています。これは、今あるclover farmを更に規模拡大するのではなく、あえて二つ三つに分けるということになるんですが。これは一拠点集中にしてしまうと、堆肥を遠くまで運ばないといけないなどのコストが発生し始めるので、どうせやるなら高岡市各地域で耕畜連携が行いやすいように、その土地土地の規模に合った第二、第三牧場を計画していきたいと思っています。今、搾乳ロボットなどの自動化があるので、こういったものを活用して、中山間地でも粗放的に管理する山間放牧をして、搾乳ロボットで絞って、省力化されたロボット搾乳牛舎を、特に獣害が集中する地域の山の方に牧場を設置して、獣害の対策もしていけたらと考えています。
次、お願いします。最後になりますが、私が目指している取組は、左の方になりますけれどもHAPPY DAILY COWSというのが牧場の理念になります。乳牛の幸せを考えたときに、私たちは、牛の快適性とか安楽性とか、痛みを与えない放牧をするとか、そういったことをイメージされやすいんですけれども、根本的に、人間に畜産物が必要ないとされたら、乳牛は野生に帰れずに淘汰されないといけない存在であるということ。これを最低限担保してあげる。人間に必要とされ続ける仕組みを作ってあげることこそが乳牛の幸せにつながると考えて、これらの取組を行っています。その中で、酪農だけを見れば集約化して収益性を上げるという考えはできるんですけれども、まち社会全体で本当にコストを下げるのか考えたときに、これはまちづくりだと考えています。高岡市を巻き込んだ、まちと農村を循環するシステムをこれから作っていこうとしています。なのでもちろん、まち社会で出る下水汚泥の飼料生産に対する利用だとかそういったことも含めて、農村からまちに食料が行くだけではなく、まちから資源が返ってくるという仕組みもどんどん実践していきたいと思っています。こうすることで、サプライチェーンは短鎖化して仕事は減るかもしれないんですけれども、社会全体で見たときのコストは下げることができるし、これが持続可能な社会づくり。右の写真にありますけれども、ヨーロッパのまちの写真ですけれども、本来中心に人が住むまちがあって、その人たちが食べる食料を周辺の農地で作ってというような、このコロニーみたいな形が転々としている。こういったまちづくりをこの高岡から発信していきたいなと思っています。
以上です。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
正にこの14ページの中央の図に示されているとおり、新しい形での農村と都市の循環のシステムを作られようとしているお取組とお聞きしました。
それでは、御質問のある方は挙手でお願いいたします。石田委員、お願いいたします。

 〇石田委員
青沼さん、すばらしいプレゼンテーションをありがとうございました。
青沼さんの壮大な構想と、実際にそれをしっかりと実現に向けて実行しているというところは非常に感銘を受けまして、私も青沼さんの取組を見ていて、そういった壮大な中でも、更に乳牛の管理も非常に緻密で科学的にやられているとのことで、青沼さんのような新規就農者が日本の各地に点在していくことが今後重要なのかなと改めて思いました。その点で1個お伺いしたいんですけれども、御自身の経験も含めて、青沼さんのような新規就農者が各地に増えていくためには、例えば制度や行政にどのようなサポートが必要とお思いになっているかというのが1点と、私も青沼さんと同世代なんですが、今これから酪農を目指そうとしている新規就農者に、我々のような少し上の世代がどのような姿勢で接していければいいでしょうか。

 〇青沼様
ありがとうございます。
まず、私が今回新しく建てた牛舎も、最新の技術や設備は一切入っていない。単純に柱と屋根と搾乳設備があるだけの本当にシンプルなものになるんですが、あえてこうしたというところがあって、それはやっぱり、基本的に酪農家というのは搾乳技術、牛の管理技術、それらを自動化してしまえば楽なんだけれども、根本的に牛を見られないのであれば、経営者、酪農、農場を任せられる人材は到底育たないと考えています。なので、楽にはならないかもしれないが、中長期的に見て、この産業が続いていくこと、私の代でこの牧場を本当に任せられる人が育つのか。地域として酪農が残っていくためには、やはり農家を増やさないといけない地域なので、そういった中で良い技術を持った人を自身の牧場で育てるために、こういった選択をしました。そういう中で、支援してもらえたらっていうよりは、少ない人数で仕事するよりも多くの仲間、何ならもっと若い人たちがどんどん入ってきて、育って、巣立っていく。その人たちが地方で活躍していく姿を個人的には見たいと思っています。そこに価値を感じているし、やりがいに感じています。なので、今実際に地域から1人、若い子が入ってくれたり、この後も入ってくれそうな子が何人かいるんですけれども、その方々はみんな非農家出身だったりします。そういった子たちをこれからじっくりしっかり育てて、第二、第三牧場の場長として巣立たせていくことができたらいいなと思うので、支援なくても、それはやるべきだし、人は育てられるかなと思っています。簡単な道を探れば簡単な方法はあると思うし、人がいないから、重要な技術にはなるんですけれども、私も一旦放牧酪農を山の方でやるといったときには、そういった場面ではロボット搾乳も、ICT技術も活用できる場面はあると思うんですけれども、やっぱり根本的には人を育てる事を今後もやっていきたいし、そういう経営をしていきたいなと、経営者として考えています。

 〇石田委員
ありがとうございます。

 〇小針部会長
次、小山委員、お願いします。

 〇小山委員
現役で繁殖農家をしております小山と申します。
すごい理想的な、私も昔見た理想的な酪農だなと思って、とてもすばらしいなと思いました。それで、田んぼの方から質問をしたいんですけれども、60アールに100頭も牛を放牧すると、草地が荒れて土が出てくるじゃないですか。土が出ると、例えば田んぼの方だと減反奨励金と関連して交付金の対象から外されますし、畦畔を取って水を流さないと水はけできないので、それもすごく嫌われます。あとわらの値段について、そんな値段で、とてもうちらの方では買えないんですね。やはりとても恵まれているな、すごくうらやましいなと思ったんですけれども、そういう農家さんからこういうクレームはないでしょう。もしかしてどんどんこれから出てくるのかな。ほかの地域はもっともらっているよみたいな。奨励金が出なくなってしまい、地域でもそういうことが出て、例えば役場の方からチェックされてしまうと除外されちゃうんですね。だから、それもうちのほうでは困ったことがあるんですけれども、そういうことはないですか。

 〇青沼様
今後出てくるかも分からないですけれども、私たちは農村でお金を取り合う関係ではなっていけないと思っていて、そもそも農村として、農業で今後発展していくような地域を作りたいというのは、農家同士で共通の認識になっています。実際にコロナ禍でも酪農は経験しましたけれども、やはり思うように乳価は上げられない。上げたらどうしても消費が落ちるということで、胃袋が減っている中で、その売上げを確保するという路線は今後難しくなってくるだろうというのは、米農家とも共通の認識で持っています。なので、費用を取り合うんではなくて、ちゃんと社会の動きに合わせずに、農村は農村で独自の生活圏、その経済圏を作るぐらいのつもりで、お金のことをちゃんと見詰めて、お互いに腹を割って話し合うやり方を実現しようということを共通認識しています。
あとはやっぱり、まちと農村をつなぐ循環のシステムを達成することを共通の目標にしているので。あと重要視していることは、この問題は今の収入がどうこうという問題で、課題から目をそらして今の所得向上だけを考えているのであれば、今後更に状況が悪くなってしまった農業を後進に渡すことはできないかもしれない。「おやじが、こんなことやっとったから俺ら、こんな農業を引き継がにゃいけん」て言われたくないので、後に残す子供とか孫世代のため、そういった顔を想像しながら、よりよい農業、よりよいまちを子供たち・孫たちに残してあげるために、今やるべきことを地域ぐるみで考えて取り組んでいます。

 〇小針部会長
馬場委員、お願いいたします。

 〇馬場委員
御発表の中でも地域計画の話がございました。私自身も、水田における飼料作物とか飼料生産を位置づけるためには、地域計画は極めて重要だと思うところでありますけれども、取り分けこの飼料生産については、青沼さん自身がやることと、WCSなんかは耕種農家がやることで、計画自体はもう出来上がってきているんでしょうか。実現に向けた課題があれば教えていただきたいと思いますし、耕種農家に期待するところがあれば、また教えていただければと思います。

 〇青沼様
おっしゃっていただいたとおりの形で今計画は進んでいて、当初は、私が牛舎を建てる直前まではやっぱり担い手が圧倒的に不足していて、野菜を作るにしてもどうするんだという話が上がっていたんですが、実際、頭数も増やせて、WCSも受入れができる。TMR工場の誘致の話も、工場側はオッケーを出してくれていて、前向きに今話が進んでいることから、かなり耕種農家も前向きに、お互いが生き残るために、計画はどんどんいい方向に進んでいるなと思います。

 〇馬場委員
分かりました。ありがとうございました。

 〇小針部会長
ほかに御質問ある方いらっしゃいますか。それでは、青沼さん、ありがとうございました。
続きまして、二ツ山牧場代表、吉澤様より発表いただきます。事務局より概要の御紹介をお願いいたします。

 〇新井畜産総合推進室長
それでは、資料6を御覧いただければと思います。二ツ山牧場様ですが、長野県南牧村で総飼養頭数132頭の酪農経営をされております。自給飼料を中心とした生産を行っており、コントラクターを通じた地元の野菜農家との連携によりまして、野菜農家の農閑期における副収入の確保などにも御尽力をされております。それでは、吉澤様、御発表、お願いいたします。   

 〇吉澤様
長野から来ました吉澤克次、二ツ山牧場代表をやらしてもらっています。この資料なんですけれども、去年の8月に関東農政局さん主催の長野県で行われた事例発表で発表させてもらったものになります。
まさか今日お招きいただけると思っていなかったんで、うまくしゃべれるか自信ないんですけれども、聞いてみてください。よろしくお願いします。
次のページをお願いします。自分の出身地である南牧村は、長野県の東部に一般的に野辺山と呼ばれる地域が存在して、高原野菜で非常に有名なところです。八ヶ岳山麓の麓にありまして、標高は1,350メートル。夏は冷涼で、冬はかなり内陸の厳しい寒さがありますので、マイナス25度ぐらいまでいくこともあります。隣村の川上村、南牧村、これ含めて高原野菜の全国トップクラスの一大産地であります。レタス、白菜、キャベツ、その他葉物野菜は全般的に、サニー、リーフ、そういうものが全国のトップクラスの出荷量を誇る地域になります。酪農地帯でもありまして、ただ、昨今の情勢はやっぱり厳しいものがあって、離農する農家が増えちゃっているというのがあります。それでもまだ自分のところは、この株式会社ヤツレンの、主力がシュッポッポ牛乳という青いパッケージで、都内の方でもKOマートさんとかサミットストアさんとかで売られています。
次のページ、お願いします。自分は開拓の三代目になります。じいさんが戦後、20代前半のときに、地元出身だったんですけども、次男ということで、この野辺山の開拓地区ができたということで、そこに参入して、今の牧場のある場所にじいさんがくわ1本で開拓に入りました。そこから数えて、おやじ、自分という形で、自分が三代目になります。牛舎ですけれども、この写真にある牛舎は、長野県でも東信地区にある佐久市、この我々の地区の中心地区にある、長野茨城牧場というところにあった建物を、昭和49年のじいさんの代にここに移築しまして、それを90頭の搾乳牛舎に利用しています。
次、お願いします。「粗飼料自給率100%で低コスト農業を目指す」という立派なタイトルになっているんですけれども、実は二十数年前に高泌乳牛を絞ろうということで、かなり乳量を追求したことがありまして、そのときに牛群平均乳量が1万キロを突破したんですけれども、その後、事故が増え、欲をかき過ぎたのか、手痛い失敗をしまして、正直に言うと支払いがかなり増え、借金の借入れも多く支払いが回らないような状況が発生したことがありまして、それがきっかけで、自分で作った餌で何とか酪農を回せないかっていうのが出発点になりました。草地は、チモシーを基本的にまくんですけれども、畑の縁などからリードカナリーなどがかなり入ってきちゃうので、野菜屋さんから畑借りて牧草まく場合には、一発目はチモシーをまくんですけれども、10年もたつと大体リードカナリーが旺盛になってしまうような状況です。それを3回刈りすればリードカナリーでも全然遜色なく食べてくれるので、とにかく早く柔らかいうちに刈り取る。それを3回刈るというようなことを目標に毎年やっています。そこにもあるんですけれども、当初、一日の平均乳量30キロ以上絞っていて、さっき言っていた年間1万キロ超えた頃、本当に牛が事故ったんですよね。それで苦肉の策で餌を作ったということで、乳量も今は平均で大体一日25キロぐらいを目安にして絞っていて、そうすると、やっぱり人間も牛も非常に楽で。さっき青沼さんのお話にあったみたいに、高泌乳をやめてから、診療に来る獣医さんなどの経費がめちゃくちゃ下がりました。だから自分にはこういうやり方が合っているのかなとは思います。初産牛は、搾乳の初期の乳量をあまり求めないで、ゆっくりゆっくり、スロースタートで考えています。これは、1万キロ絞って失敗したときに、初産牛から本当に駄目にしたという手痛い記憶がありまして、それで最初は乳量を抑えて、2産目、3産目、徐々に食い込めたら絞っていくというような形にしています。取組のポイントなんですけれども、自給粗飼料は、なかなか品質が安定しないことがあります。そのために機械投資というのはもう避けられないので、そこに対する投資は莫大です。1台の機械が壊れても作業を絶対止めたくないということで、周りにはちょっと贅沢だとか、そんなことしているから借金増えちゃうんだよなんて言われるんですけれども、基本的には、モアコン、ラウンドベーラー、テッダー、レーキその他もろもろは全て2機がけで、1台壊れても作業を止めない。あとはやはり山がちなので天候が相当変化します。そんな中で人と機械を確保しながらってなると、どうしても機械パフォーマンスが高くないと天気に追いつかなかったり、面積を回せないというのがあるので、そこで、野菜農家さんにも連携させてもらって、共同作業でやっています。
次のページ、お願いします。従来、我々の組織というのは、近隣に身内が多くいますんで、うちの本家だったりだとか、田舎なので分家だったりとかというので、じいさんの時代から牛を飼って堆肥を取って、それを畑に還元する形で畜産が発展してきた地域だったので、どこのうちも牛を飼っていたという時代があって、協力しながら身内とやっていたんですけれども、昭和辺りから高原野菜の値段がすごく高くなってお金が取れるようになってから二極化しまして、酪農経営をする人、高原野菜一本でやっていく人と分かれたときに、酪農家で残った身内の中でも規模が大小あったので、身内の中でも不公平感がありまして、それを、若い人は我々のグループに参入してくれる度に、やはりそれまではお手伝いの気持ちで頑張ってというようなイメージだったものを、料金体系を設定することで、気持ちよく働いてもらえるように、モチベーションを持ってもらえるように改善しました。
このツワインヒルというのは、うちの冠名なんですけれども、お年寄りの獣医さんが、普通だったら二ツ山というとツインマウンテンとかツインピークスとか、そういうイメージなんでしょうけれども、お年寄りの獣医さんだったんで、ツワインヒルというちょっとなまった感じで付けてくれたんで、これを冠名にしています。あと、ギルドというのは、純粋に若い人に受けるかなとかとか、自分がファイナルファンタジーとかが好きだったんで、それでちょっとギルドというふうに付けさせてもらいました。ちょっと格好いいかなって当時は思っていたんですけれども、今ちょっと恥ずかしいです。
次のページ、お願いします。設立の経緯と経過なんですけれども、身内でやっていたものの延長線上で、料金体系を明確化させたということと、親族以外の農家さん、特に野菜農家さんの若手や、自分がずっと頼りにしてきた企業の農家さんが高原野菜を作る際に畑を貸してくれる、農繁期に野菜屋さんとバッティングしないときは一生懸命手伝ってくれるというのもありまして、それに伴って面積の拡大や、人手が確保できるようになってきたんで、やっぱり地域内での協力というのは本当に皆さんにしていただいて、それはもう感謝しかありません。
次のページ、お願いします。我々の構成員について、酪農家3軒、肉牛農家1軒、これで畜産はそれだけです。何軒かいたんですけれども、廃業だったり、後継者がいなくて高齢で離農してしまったりというので、今はもうこれだけになっちゃいました。野菜農家は9軒。臨時雇用を含むというのもありますけれども、もうあと二、三軒は協力してくれる農家が去年の秋辺りからも出てきてくれて、非常に助かっています。仕事内容としましては、機械が壊れちゃったよとか、機械が古くて使えないから牧草上げてほしいと言われれば、そういうのも受けますし、堆肥の散布だとか、そういったことも一生懸命やっています。高原野菜農家が圧倒的に多く、堆肥の散布の依頼が10月後半から11月辺りに一気に集中するので、そのときに野菜屋さんに手伝ってもらって、1日8人体制ぐらいでひたすら堆肥をまき続けるみたいな感じで、その収益を野菜屋さんの若手に還元しているというような内容です。
次のページ、お願いします。これが作業の料金体系になるんですけれども、機械も人も一括で我々のグループが借り上げる形にしています。オペレーター、トラクターの賃料、機械の賃料。例えばオペレーターがAさん、トラクターがBさんのトラクターで、仮にラウンドベーラーがCさんのものだとしたときに、1時間5,500円を3人に支払わなきゃいけなくなるんですけれども、誰が何時間やって、誰の機械で幾らになるのかが一瞬でわかるものをJA長野八ヶ岳にいる同級生に作ってもらって、パソコンで管理しながら支払いは対応しています。年間の収支は、約1,000万てなっているんですけれども、今、飼料価格高騰で、大口でやってもらっていた、地元の全農長野の長野八ヶ岳牧場が作業委託をしてくれていたんですけれども、去年辺りから、自分たちで何とか従業員使ってやりなさい、経費を抑えなさいというみたいな形になり、仕事とかも減っちゃっているので、金額的にはそこで頂いていたお金がそれなりにあったので、今年、来年はちょっと減りぎみになっています。
次のページをお願いします。自給飼料の収穫と規模なんですけれども、グループ内で草地が130町なんですけれども、これを6月、8月、10月後半とかで3回刈ります。大体ロール500キロのものを2,700個程度、毎年上げられる計算になります。ただ、天候によっては2回刈りになっちゃうような年もあるので、そういう年はこの数字の限りではありません。飼料用とうもろこしに関しては、25町歩をチューブバックサイロに詰めてやっています。調製が非常に楽で、機械は少しお金掛かりましたが、使い始めて十四、五年たつのかな。天候の変化にも対応できるので、すぐにやめられて、また再開も容易だということで、取り出しも楽ですし、なかなか優れた機械だと思っています。写真の向かって右側になります。
次のページをお願いします。設立の効果のところなんですけれども、オペレーターの確保というのは、やはり人手がないとなかなか天候の急変に対応できなくて、大面積を一気に刈って上げたいってなると、品質のばらつきが出るのも避けたいということで、機械に乗ってくれる人だったらとにかく誰でも来てもらうようにしています。特に野菜農家さんなんかは、みんなトラクター乗れますので、少し作業を教えればすぐできるので、非常に楽です。面積の拡大というのも、担い手の次世代の野菜農家さんが堆肥中心に使って、うちに協力してくれることによって冬や秋の稼ぎにもなる、堆肥も自分ところに入れられる。そういう感じで非常に協力体制が取れているので、まあまあうまくいっているんではなかろうかと思っています。この秋の野菜農家との連携という部分なんですけれども、高原野菜の出荷のピークが6月前半ぐらいから10月いっぱいぐらいまでなので、10月の後半ぐらいになると野菜農家さんはかなり手が空いてくるので、朝からびっちり手伝ってもらえるので、酪農家としては非常に助かっています。酪農家は特に夕方、搾乳に帰ったりだとか、自分の仕事があるので畜産・酪農家は夕方減っちゃうんですけれども、野菜農家さんは時間関係なく全然来てくれるんで、むしろ夕方の方が野菜の防除が終わったりだとか、仕事が終わって少し手が空いている2時間、3時間ぐらい来て手伝ってもらうというような形で、いつも協力してもらっています。
次のページ、お願いします。これがさっき言っていたシフト表みたいなものになるんですけれども、牧草の収穫は、一番草が6月前半、二番草が8月前半、三番草は10月後半から11月に入っちゃうときもあるんですけれども、それはデントコーンの収穫が重なってしまうので、基本的にはデントコーンを最優先でやります。そこが10月の20日近辺になります。この頃になると野菜屋さんはこの表のとおりかなり空いてくるので、毎日野菜屋さんが来てくれて、11月に向けての堆肥まきはかなりスムーズに、ばんばん面積がはかどります。5月の前半に地造りととうもろこしの種まきをやるんですけれども、この辺もまだ野菜屋さんは、マルチ張りがちょうどゴールデンウィーク近辺がピークで終わってきて、ちょっと手伝ってもらえるので、ここでも手伝ってもらいます。夏の間、特に8月は野菜の収穫と植付けが、一毛、二毛の端境期になるので、野菜屋さんは7月後半から8月盆明けぐらいまではなかなか時間が取れないんですけれども、1日二、三時間ぐらいで入れ代わり立ち代わり来てくれるので特にロールの運搬作業をやってもらっているんですけれども、ほかの草刈る、干す、丸めるというような作業は酪農側の方で、ほぼ24時間体制みたいな感じで、天候が悪ければぶっ続けでやっちゃって、とにかく作業を止めないという、そういう仕組みで毎年動いています。
次のページをお願いします。今後の展開なんですけれども、飼料用とうもろこしの栽培面積の拡大は、牧草よりもデントコーンの方がとにかく乳が絞りやすく、調製も楽というのがありまして、種まいちゃえば、除草剤打つだけで、あと秋まで収穫がない。ただ、天候的なリスクというのもあって、昨今は台風もかなり巨大化しているので、そういう台風の暴風害のリスクというのは避けられないですね。何年か前に倒されて、つらい思いもしました。ただ、やっぱりそれでもデントコーンだと単年度でできるので、例えば次の年に畑を返してくれと野菜屋さんに言われても、牧草だと5年は借りないと元が取れないんですけれども、デントコーンだと1年でもう決算できるんで、そこが高原野菜とのマッチングがすごくいいのかなと考えています。あとは、地力保持だとか、輪作をすることによって連作障害の軽減とかにも効果があるんじゃないかなと思っていまして、そこに堆肥もまけるのであれば、酪農家さんと高原野菜農家さんはウィン・ウィンの関係なのかなと考えています。機械投資や資本の装備充実というのはあるんですけれども、ある一定の投資というのは粗飼料が値上がりする前にある程度終わっていて、それはラッキーだったなと思うんですけれども、今機械かは本当に値上がりがすごくて、ここから先、機械が壊れて買い換えなければいけないとなった場合には、全国どこでもそうだと思うんですけれども、簡単な買換えが難しくなってくれるので、それはまた国の皆さんやそういうところに支援の方を是非お願いします。
次のページ、お願いします。最後になって少し付け足したいところがあるんですけれども、今、青沼さんの事例で放牧というのが出ていたんですけれども、うちも育成牛いるんですよね。それが、鹿にピロプラズマを圃場に持ち込まれたりして、今面積はあるんですけれども、放牧ができない状態になっていて、そこも再生地に変えています。あとは、長野県だけなのか、自分も分からないんですけれども、鹿のふんの中にヨーネ病が存在していると。それが去年、長野県の家畜保健所の方から連絡があって、地元でも農協を中心に会議で話されたんですけれども、今飼料が高騰している中で、自給粗飼料が作れて、耕畜連携ができれば本当にベストなんですけれども、そういうヨーネ病で、鹿がふんの中に持っていてまき散らしちゃう。それが餌の中に入ると、いろんな環境下で半年ぐらい生きると言われていて、去年辺りからヨーネ病の不安も多少出てきています。だから、かなか難しいのかもしれないんですけれども、人間でいうとコロナが5類になったみたいに、ヨーネ病の格付みたいなものを少し下げていただけるとか、検査体制をまた見直していただければ有り難いなというのがあります。あとは、これもまた病気絡みなんですけれども、野菜農家さんの畑でおととしからテンサイシストセンチュウという線虫が地元を中心に増え始めまして、その面積が毎年毎年検査すると増えていくと。現状ではもう100町歩に迫る勢いで、これはアブラナ科に寄生する線虫なので、野菜農家さんが、例えば白菜だとかキャベツなどを作ろうとすると、こういうアブラナ科のものは線虫が増えるので、消毒をするから作らないで国から補助金を頂くだとか、レタスを作って逃げることになっていて、こういう問題もなかなか出てきていて、耕畜連携をする上で、どうしても畑の移動だとか行き来がある以上、こういう病害虫や、伝染するようなものが今課題になりつつあります。あとは、台風や天候の急変による収穫時期の雨当たりだとか、そういうものがどうしても一定数出てしまうので、メリットは、本当にいいものが取れたら乳がばんばん絞れて経営のためになる。ただし、デメリットは、駄目だったときは、猛烈な台風で倒され、牧草は雨当たりになり、やっぱり傷んだものを食べさせてしまうと牛が傷む、経営的にはよろしくないという循環にもなりかねないので、餌があることは本当に強みだとは思うんですけれども、デメリットも存在するので、その辺がつらいところです。あとは、協力してもらうことによって野菜屋さんで堆肥もたくさん使っていただけるので、有り難いことに。堆肥の処理というのは地元では苦しんでいる農家とかもあるはあるんですけれども、おおむね野菜農家さんに使ってもらっているので、非常にその辺は困り事が減りました。そんなところです。御清聴ありがとうございました。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問等ある方は挙手をお願いします。松田委員、お願いいたします。

 〇松田委員
質問ではなく、感想を述べさせていただきたいと思います。お三方の発表の内容がすばらしい。そして、興味深いものだったと思います。それぞれの方が、酪農に対する考え方が多少違うから、行動なり施策が多少違うんだと思います。ただ、その根本にあるのが日本の酪農産業をしっかり維持・発展させていくぞということと、どうしても必要な、日本人が大好きな乳・牛乳・乳製品の生産を責任持ってやっていくぞという、強い意志を感じることができました。すばらしいなと思います。乳業協会として本当に感謝を申し上げますとともに、聞いていて一消費者として知らないこともいっぱありましたし、女房はじめ家族にも、こういうの知っているかと言ってやりたいことがたくさんありまして、本当にすごくいい発表だったと思いますし、これからもしっかりとした生乳の生産に御努力いただけたら有り難いかなと思います。すみません、これで失礼しますので、質問じゃなく勝手な意見を述べさせていただきました。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
ほかに御質問ある方、挙手をお願いいたします。石田委員、お願いいたします。

 〇石田委員
度々すみません。吉澤さん、ありがとうございました。自分も自給飼料を作っていますけれども、やっぱり技術力のある人材を確保できる仕組みをこういうふうに作ればいいのかと思って、非常に参考になったんですが、少しマニアックな質問になるんですが、吉澤さんおっしゃっていたとおり、デントコーンが一番乳を絞りやすいというのは、私も全く同感で、私の失敗体験から、デントコーンを二期作することに関して、吉澤さんはどう思いかということ。一回私も二期作やってみたんですけれども、できたはできたんですけれども、ものすごく忙しくて、家族労働でやるには結構厳しいなと思っていたんですけれども、こういう人材の仕組みがあれば二期作も可能なのかなと今聞いていて思っていたんですが、それについてどうお思いかというところ。更に少しマニアックなんですが、デントコーンの種は、何日が吉澤さんとして理想的かなと。自分は今118日なんですが、その辺りのベストの収量だったり生産性についてアドバイスいただけたらと思います。

 〇吉澤様
質問ありがとうございます。自分もデントコーンの二期作ができたら最高だなと思っているんですよね。近隣だと群馬県高崎・前橋近辺、埼玉辺りだったらそれができるということなんですけれども、さっき冒頭で少しお話ししたとおり、標高が1,350メートルありましてゴールデンウィークにもまだ雪が降るような立地条件なので、残念ながらうちの方は二期作がどうしてもできない。そういう状況の中で牧草とデントコーン、野菜屋さんに畑を借りたり自分の圃場で作ったりとかになりますけれども、どうしても一期作しかできないという現状があります。本当は二期作できたら最高なんですけれども、高冷地過ぎて難しいというのが1個目の質問の答えになります。
2個目について、うちの近辺の気候だと、大体その気温で108日の種ぐらいがベストなのかなと。暑い夏だったら112日ぐらいの種でもいけるとは思うんですけれども。去年は特に暑かったんですけれども、それまでの3年間が、春の干ばつ、低温、長雨、日照不足で、取れ高がやっぱり108日でもいいときの6割、下手すれば5割という畑もあるぐらい、天候にかなり左右される部分があって、そうなると、気候、天候が悪かったときのために、日数は少し短めに、108日を使っています。もし暑い夏だったら112日とかでもいけるんでしょうけれども、どうしても天候のリスクはあるので、無難なところで108日を利用しています。

 〇小針部会長
ありがとうございました。
前田委員、お願いいたします。
 
〇前田委員
こんにちは。良いお話、ありがとうございました。
私も養豚ですけれども、飼料生産をしておりますが、かなり広くされていて御自身の土地もあると思いますけれども、野菜農家さんとか様々なところからお借りされているんじゃないかなと思いまして、どれくらい借地を利用されていて、私たちも気を使いますけれども、堆肥の量が次の生産するものによって制限されたり、これ以上は入れないでくれとか。また、堆肥は有償か無償か。配送はどちらが行っていて、配送賃は頂けるか頂けないか。散布とかはどちらが行っているのか。いろいろお金であるとか、お互いの仕事を助け合うとかいろいろあると思うんですけれども、いかがされていますでしょうか。
また、知り合いが佐久市でレタスとかいろいろ作っておりますけれども、もう何度か行きましたけれども、すばらしい景観で本当にうらやましい地域ですね。
以上です。よろしくお願いします。
 
〇吉澤様
はい、分かりました。
まず、堆肥の料金体系ですけれども、うちの場合だと、10トン車で25立米のものを3万5,000円で近隣の農家さんに配達しています。これは税込みの価格でやっています。堆肥は1町歩当たり大体10万円程度から、野菜農家さんに請負って任せてもらっていて、量はかなり厚めにまいてくれというリクエストが多いです。面積について、自分ちだけで考えると、牧草地が75町に、青刈りのモロコシが22町とあるんですけれども、牧草地の自己所有が8町ぐらいで、デントコーンで7町ぐらいなので、自己所有でいうと、全体の15町歩が自己所有で、残りが小作料で借りたりだとか、堆肥を交換で使わせてもらったりしているような面積になります。
あとは、堆肥をまく量についても、基本的に春まきの堆肥は畑で根野菜にすごく悪さするので、秋にまいて必ずすき込んで起こしてくれということも、酪農家としては耕種農家さんに指導しています。春にまいて、濃度障害や窒素飢餓とかで野菜を植えた苗が傷んでしまうとか、消えて無くなっちゃうのが堆肥のせいだということが過去にはあったので、秋まきをして、必ず起こして、次の年の春はすぐ化学肥料をまいて、マルチ張って作付けしてもらうという考え方にできるだけ協力してもらっています。
 
〇前田委員
ありがとうございました。勉強になりました。
 
〇小針部会長
それでは、吉澤様、ありがとうございました。
続きまして、計根別農業協同組合組合長、北村様より発表を頂きますので、事務局より概要の紹介をお願いいたします。
 
〇新井畜産総合推進室長
それでは、資料7、御覧いただければと思います。
最初のページが概要ですけれども、計根別農業協同組合様ですけれども、北海道中標津町及び別海町の一部のエリアの総合農協であります。管内の酪農家121戸で、複数のTMRセンターを運営されております。地域で生産される牧草及びデントコーンの収穫作業や調製、配送作業を担うほか、構成員の乳成分結果に基づくTMRの調製や、飼養管理への活用により経営改善も図っていらっしゃいます。
それでは、北村組合長、御発表をお願いいたします。
 
〇北村様
ただいま御紹介あずかりましたJAけねべつの北村です。4人目の発表ということで、大分皆さんお疲れだと思いますけれども、もう少し聞いていただければなと思います。よろしくお願いします。
それでは、私もTMRセンターの構成員の一人になっておりまして、これが私の所属するTMRセンター、エトスの写真でございます。
ページ、お願いします。まず、JAけねべつの内訳としまして、酪農家戸数は121戸で、平成22年から積極的に新規就農者に入ってきていただきまして、そのうち22戸の方が新規就農をされております。そのうち9戸の方がTMRセンターを利用されていると。令和6年から私のセンターなんですけれども、第三者経営継承という形で1戸、新規就農者が来られます。その方も私の入っているエトスというTMRセンターを活用しながら、今年の6月から継承して進んでいくという流れになっています。乳量的には、当農協は9万1,600トン強。そして、耕地面積でいいますと1万1,000ヘクタールあるという中で、ほぼ草地に1万ヘクタールであり、草地がメインとなっています。サイレージ用とうもろこしが900ha弱なんですけれども、4つのTMRセンターがほぼこの面積となります。TMRセンターに入らず個人でやられている方が2戸しかいないということで、ほぼデントコーンを作っているのはTMRセンターの中身かなと思います。
それでは、ページ、お願いします。続きまして、このけねべつに四つのTMRセンターがあるんですけれども、一番上のアクシス、これが農協有という形で一番最初に、平成23年に農協内で組合員さんに声をおかけして、16戸が集まってスタートしました。令和4年度においては生乳生産1万4,000トン。面積的には1,600haある。2番目が私の所属する株式会社エトス。これが25年。これは農協有じゃありません。地域で構成員が集まって会社形式でやっております。同じ年に、隣の町内会なんですけれども、ルピナスというところが、2戸の構成員となっているのですけれども、スタート当時は5戸おりました。そういう中で、1戸が休農されて、3戸が大型法人に一緒になったということで、現状では2戸ということになります。
もう一つが、平成28年にポラリスというものができて稼動しています。計根別管内に占める割合としましては、この酪農家戸数の27%がTMRセンター加入し、30%ぐらいの草地面積で、出荷乳量においては当農協の47.3%の生産を上げているということで、実際、TMRセンターの乳量が伸びる伸びないで、その農協全体の乳量がぶれるというのも現実でございます。
ページ、お願いをいたします。そういう中で、TMRセンターと農協の中での草地改良率がこちらです。今、釧路・根室管内で草地改良を進めようとしており、6%を目標としています、もうかれこれ10年ぐらい行っているのですが、現状4%いくかいかないかという状況です。こうした中、TMRセンターは、いいものを作ろうというところで、改良率が非常に高まっています。この中で、下の数字の3,400ヘクタールのうちに173ヘクタールの更新、5.08%のTMR改良率と出ていますけれども、これは草地のみの割合です。通常、デントコーンに変えている草地は、草地からデントコーンにも変えていくので、これは草地から草地への改良という部分だけの面積となります。トータルとしての改良率はもう少し上がっているのかなと思っています。
ページ、お願いします。続きまして、私の所属するTMRセンターの概略を説明します。バンカーサイロは27本と4本ということで、合計31本あります。収穫の本数は、一番草で10本、二番草で5本、デントコーンで5本という中で、これは単年度に収穫する量であり、実際に食べさせているバンカーサイロもありますし、出来上がるまでにそれぞれのもので2本から3本ずつぐらいは前年度の餌が入っていないと回していけないので、「31本も要らないんじゃないか」って言わないでください。
そのほかに、育成センターにもTMRセンターやっていまして、そこの部分と、各構成員の方も育成等を置いていますんで、ロールサイレージの要望を募りまして、乾乳にも食べさせているというものもありますし、大体一番草のロールパックで年間1,000~1,200個、二番草のロールパックで1,000個、バンカーに入れる以外の収穫はしているというふうになっています。エトスの中で特徴的なのは、収穫は全て構成員の出役でやっております。そういう中で外部より大型ダンプが3台あるだけで、自走のハーベスター等々を持ちながら、春のデントコーンの播種から、秋の畑起こしまでは全部構成員でやります。構成員の中にはTMRセンターの従業員いますので、従業員の方も仕事に加わっていただくのですが、コントラ等は扱いません。その理由としましては、先ほどのお話もあったんですけれども、なかなか今天候が悪い中で、いかに限られた時間でこの800ヘクタール強の草地、またその生産物を収穫するかという中で、起動力が大きなところかなと思っています。もう一つ、配送の部分。餌の配送の部分は自走式のミキサーフィーダー。TMRセンターで各構成員のメニューに合わせて作って、それを農場まで自走していって、牛に給餌までしてくれる。構成員の我々は餌やりは一切しなくてもいいというのがうちのセンターの一番の特徴かなと思っています。立ち上げのときにいろいろお話をして、「自分でミキサー持ってTMRセンターの作ったTMRを積み替えてやるのでは全然経費削減になりませんね、やるのなら徹底してやりましょう」と言って、こういう形を取らしていただいている。メニュー的にはそれぞれの牧場に合ったメニューを何種類も考えております。
次、お願いします。そういう中で、平成30年から構成員の平均の乳量が1万キロをやっと超えてきたというようなところ。発足当時は、上は1万1,000キロぐらいから下は6,000強ぐらいの方までいたんですけれども、この安定した粗飼料をベースとした中で続けていくことにより、乳量アップしています。
平成30年のエトス出荷総量8,000t、800頭いた親牛も規模拡大しながら930頭までいき、令和3年においては皆さん御承知のように過去最高の牛乳が出たということで、うちのセンターにおいてもこのような形になりました。令和4年においては抑制というような形で、乳牛頭数においてはうちのセンターも成牛100頭ぐらい、協力をいただきまして、うちのセンターだけで940トンぐらい抑制しました。計根別農協全体でいいますと3,000トンの抑制をしなければならないというスタートだったんで、その辺はセンターの人たちにもしっかり協力をお願いしながら達成する事が出来ました。ここで4年は波打っています。令和5年においては、もうワンランク下という中で進んできたんですけれども、9万621トンが計根別農協の与えられた生産量だったんですけれども、何とか9万200トン前後で、終了しそうです。。猛暑の中でも、もうちょっと下回るかなと思ったんですけれども、何とかセンター、農協の組合員さん頑張ってくれたかなと思っています。
次のページ、お願いいたします。これ、エトスの草地改良の部分の年度別の内訳でございます。草地でいいますと平均5.6%。そのほかに、デントコーンの新規畑で30ヘクタールぐらいコーンやって動かしているということで、これ、コーンにすると戻しもありますんで、その部分で草地管理という部分には力入れながら進めさせていただいております。
ページ、お願いします。そういう中で、直近の分析結果ということで、牧草においては全道平均と比べまして大きな違いはないかなと思っています。
次、ページ、お願いします。デントコーンの分析ですけれども、TMRセンターのエトスもそうですし、アクシスもそうですけれども、マルチの栽培でデントコーンを作っております。根室管内、非常に冷涼な地域というところで、なかなかまともにデントコーンはできなかったんですけれども、当初、スタートの平成25年のときも厳しいなということで、マルチの機械を導入させてもらいまして、続けています。近年、この暑さで大分露地の栽培も実際に増えてきているところあるんですけれども、やはりマルチのデントコーンを作ることによって、根室管内で全道レベル同等以上ぐらいの栄養価のものが収穫できる。やはり我々の基盤が粗飼料中心の草地型酪農なので、草地をいかにしっかり改良しながら、そして、デントコーンはいかに栄養価の高いもの、それによって配合飼料の使用量を少しでも減らしていこうということで進んでおります。せっかくビニールマルチを使ったのに、昨年は90日と92日を播きました。猛暑だったので100日もできたのではないかと思う。今年は100日も試そうと、もう少しワンランク上の栄養価のものも作るかと思っています。
ページ、お願いします。続きまして、エトスの育成センターですけれども、平成28年に稼働を始めました。TMRセンターの構成員より「規模拡大をしたい」という声もあり、休農者の農地も増え、それぞれ規模拡大の意欲がある構成員が、御覧のように4軒の方がスマート農業のロボットを活用させてもらっています。地域内移転の人は、つなぎの牛舎から地域内にあったフリーストールの牧場への移転ということで、次々規模拡大をしていただきまして、それによりワンランク労力が掛かるので、育成センターを29年から稼働しています。そういう中で、スタート当時の計画では800頭規模の育成センターを造ろうと計画したんですけれども、まずはスタート段階は、規模拡大に応じて途中で増築ということを考えて、400頭でスタートしました。現在、もう4軒が終わり、今年もう1軒の規模拡大を予定していますので、もう育成も非常に厳しい状況になります。そういう中、クラスター事業が今コロナ禍の中で止まっていることは、非常に苦しんでいるというようなところでございます。育成センターは、構成員の育成を一括して飼うことによって、今まで個々での飼養管理によって牛のばらつきがあったんですけれども、それがぐっと減ってきたというのが、先ほどの構成員の1頭当たりの乳量が伸びてきたというのも、やはり大きく影響していると思っております。
次、お願いします。経費の話ですが、粗飼料生産を含めた毎月の乳飼比について、これはセンターに加入しないでデントコーンのサイレージを作っている人のものがデータでございます。その月によって肥料代が掛かる又はコントラ代が払わなきゃならない等々のいろんな経費がぽんぽんと出るんです。
次のページ、お願いします。これがセンターの加入している人の乳飼比ということで、毎月、全てのものがTMRセンターで全部精算しますので、あとは餌代と粗飼料代としてそこで払っていくという形で、経営を営んでいく上で、今日何キロ絞って何キロで餌やったというのが一目で分かる。そこで乳飼比いくつということまですぐ分かるので、TMRセンターに加入することによって、経営の数字を見るというのは非常に楽になったなと思っています。そういう中で、少し数字的に高いというふうに見えるんですけれども、このエトスのセンターの場合でいいますと、ここに機械代が全て入っています。そのほかに、バンカーの償却費ここに入っています。個人でやればバンカーも持っていなければならないという。あと、修理費等々も全てが入っているということ。又、ふん尿処理の部分の経費もTMRセンターでやっていますので、そこも個人の手出しではなく、そこも全てが込みということで、構成員の方々はトラクター持っていません。タイヤショベルが1台と、各牛舎を掃除する除糞用の小さなトラクターが、1台ないし2台持っているぐらいで、あとはほとんど機械はない。徹底して個人で機械持つのをやめましょうという形で設立をさせていただきました。
次のページ、お願いします。バルクのモニターは、乳量も成分も全てオープンにしています。そういう中で、「あそこはこのぐらい出ているから調子いいな」とか、「あそこ何でこんなに出ないんだ」とか、「成分どうだ」とか、そういうことを早期にセンターの構成員の中で共有することによって、「これ餌の設計おかしいな」とか、「これは餌じゃないね」という異変をすぐにキャッチする事が出来ます。配合飼料はホクレンを使わせてもらっているんで、そこの担当者、また農協の職員、そして構成員で、いち早く見ながら進めているというところでございます。
ページ、お願いします。11年経過して、エトスとしては、地域内で休農者や離農する人が多いということで、動かなくなった畑を受ける形で率先して手を挙げさせていただきながら、構成員も規模を拡大してきたという部分があります。そういう中で、構成員の計画的な規模拡大5戸、育成センターも必要です。クラスター事業がないところ、この辺がセンターとしては近々の課題かと思っています。同じように、地域としても、やはり離農・休農により、農地の受皿が今だんだん厳しくなってきています。そういう中で、4つのセンターのいずれも農地の受皿になっている。でも、それもだんだん限界に近づいて来ているんですけれども、やはり農地を有効に活用しながら地域の生産性を高めることで、今後は粗飼料基盤の供給基地、国産粗飼料の供給基地にもなると、そのぐらいの面積が根室にあるということもお伝えをしたいなと思っています。粗飼料なら何でもいいのかというと、そういうことにならないと思っています。もし販売するのであれば、しっかりと成分分析をした中で栄養保証をしないと、堂々と販売には向けられないと思います。そこにはやはり色々な作る過程がありますし、生産、収穫、貯蔵、流通、販売と、こういうものをしっかり確保しなければ、安定はしません。この後、スマート農業の話も少しします。こういう解決に向けまして、いろんなスマート農業の技術等も活用しながら進んでいきたいなと思っています。
次、お願いします。これ、計根別農協で進めさせていただきましたスマート農業の実践プログラムということでございます。
ページめくり、お願いいたします。もう1枚お願いいたします。ここに6個の部分載っているんですけれども、研究なんで、全部が全部アクシスでやっているかわけではないですけれども、圃場の管理においてはドローンを使った研究もやりましたし、収穫作業のときに、レポサクという機械で、草地からダンプの位置やタイヤショベルの位置、ハーベスターの位置等全部一括スマートフォンで見られるようになって、作業の進捗状況や、バンカーに何台のダンプの収量が入っているか、どこの畑かということも全部データ化されて残るというものもあり、すごくすばらしいと思います。これはエトスでも活用させていただいております。あと、TMR製造の製品管理ということで、TMRを作るときのミキサーの投入する配合を自動化できるシステムです。それぞれの構成員の方のTMRメニューに合った配合飼料を車が行ってボタン押せばジャッと自動的に入れてくれるので、これは製造過程の労力低減にすごくつながっています。飼養管理の部分においては、ロボットと連動してデータを随時取っていきながら、あわせて、画像処理する個体識別も導入をさせてもらって、牛の行動の部分と併せて、この搾乳量はどうだと、反芻量に合わせて乳量どうだとかいうようなことも進めさせてもらっています。様々なスマート農業の技術を取り入れられるところは取り入れながら、今進めさせていただいているということでございます。
以上、あとは質問を頂ければなと思いますんで、よろしくお願いします。ありがとうございます。
 
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問等ある方は挙手にてお願いいたします。
すみません、私から質問させていただければと思います。TMRセンターで草地を改良するとき、どこを改良するのかはどのように決めていらっしゃるんでしょうか。
 
〇北村様
TMRセンターを立ち上げたときに、それぞれ構成員の農地が集まります。そうしたときに、隣の境界は切ろうと、センターはみんなでみんなの畑だと、そういう認識の下で区画をどんどん大きくしていきました。だから、そのときにセンターのみんなが集まって、「ここにデントコーンしよう」、「ここは何にしよう」、「ここは古いからもう更新ね、改良ね」という形で、草地管理は全部センターでやっています。
 
〇小針部会長
それは、エトスさんはそういう形でやっているということなのか、JA計根別管内の皆さんがやられているのでしょうか。
 
〇北村様
全部やっていますね。どこのセンターもそうやって管理しています。
 
〇小針部会長
なるほど。
 
〇北村様
そうしないと安定した粗飼料を絶対生産できないんで。
 
〇小針部会長
ありがとうございます。
ほかに御質問等ある方いらっしゃいましたら、リモートの方も含めて、よろしくお願いいたします。役所関係者の方でも結構ですが、お願いいたします。
それでは、北村様、ありがとうございました。
それぞれの地域の特性に合わせた形での自給基盤の確立という取組で、非常に勉強になったと思います。本日のヒアリングはここまでとしたいと思います。ヒアリングに御協力いただいた皆様、リモートで参加をしていただいた平様も含めて、今日は本当にありがとうございました。最後に、事務局から連絡の方をよろしくお願いします。
 
〇新井畜産総合推進室長
改めまして、本日は誠にありがとうございました。
次回の畜産部会でございますが、次は主に肉用牛関係のヒアリングを実施したいと考えております。日程に関しては現在調整させていただいておりますが、4月の中旬又は下旬に開催したいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、引き続きよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
〇小針部会長
それでは、本日の議事は以上で終了となります。お疲れさまでございました。


午後4時39分閉会

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568