第17回 農業資材審議会農薬分科会 議事録
日時:平成29年7月13日(木曜日)
会場:三田共用会議所 大会議室
時間:14時02分~15時43分
議事次第
- 開会
挨拶 - 議事
(1) 農薬取締行政の改革について
(2) 主な改正事項の詳細について
(3) その他 - 閉会
概要
午後2時02分 開会
農薬対策室長
それでは、ただいまから第17回農業資材審議会農薬分科会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。
事務局を務めます農薬対策室長の古畑です。よろしくお願いいたします。
分科会長に議事をお願いするまでの間、司会進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本日の分科会ですが、公開で開催するということで、傍聴の方々にもお越しいただいております。
まずは委員の皆様の出欠状況を御報告させていただきます。
本年4月に委員の改選をいたしまして、本日初めて出席いただく委員の方もいらっしゃいますので、お名前だけ紹介させていただきます。
全国農薬協同組合理事長の宇野彰一様。
宇野委員
よろしくお願いします。
農薬対策室長
東京消費者団体連絡センター事務局長の小浦道子様。
小浦委員
小浦でございます。よろしくお願いいたします。
農薬対策室長
一般財団法人残留農薬研究所試験事業部副部長の坂真智子様。
坂委員
坂です。よろしくお願いいたします。
農薬対策室長
全国農業協同組合連合会肥料農薬部農薬課長の園田正則様。
園田委員
園田です。よろしくお願いします。
農薬対策室長
本日は、大森委員、関田委員、山田委員につきましては御欠席となっております。また、小島委員につきましては出席と伺っておりますが、到着が遅れているようです。
本日は、委員の方7名、臨時委員の方8名に御出席いただいております。本分科会は、農業資材審議会令第7条第1項で、委員と臨時委員の過半数の出席で会が成立すると規定されております。本日は委員と臨時委員、合わせて16名のところ15名の方に御出席いただいておりますので、本分科会は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、まず初めに池田消費・安全局長から御挨拶申し上げます。
消費・安全局長
消費・安全局長の池田でございます。
皆様、本日はお忙しい中、またお暑い中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃から農薬行政につきまして御指導、御支援いただいておりますことを、この場を借りて御礼を申し上げます。
私、7月10日付で消費・安全局長の職に就くことになりました。委員の皆様方も今御紹介がありましたように4月に改選があったということで、再任の方、あるいは新任の方も含めて、御快諾いただきまして誠にありがとうございます。
本日は、農薬取締行政の改革について御報告させていただきたいと思っております。御案内のように、農薬は食料生産の上で大変重要な農業資材でありますが、農薬でありますから毒性があります。従いまして、農作物を通じまして、人の健康に悪影響を与えたり、あるいは環境へ悪影響を与えるといったことを避けなければいけません。そういった意味で、私どもは農薬の取締りということで行政をやってきているわけですが、現行の農薬取締法は戦後間もなくできた法律でありまして、不良農薬の出回りを防ぐことを主な目的としているわけであります。一方、現在日本を取り巻く諸外国の状況を見ますと、リスク評価という考え方が取り入れられているというのが現状でございます。
こういった中で、日本の農薬の登録行政について国際的な整合性も踏まえて、抜本的に見直すということで、先日5月12日に成立いたしました農業競争力強化支援法にもその旨うたわれてございますが、結果的に、効果あるいは安全性に優れた新しい農薬を早期に低コストで国内の農家の皆さんに提供することが大事だと考えてございます。
消費者の方々、あるいは農業者の方々、農薬メーカーの皆様の三者の安全あるいは利益につながる農薬行政を目指すことが必要であり、そういった意味で農薬取締行政の改革の方向性について、本日は私どもの考え方をお話しさせていただきたいと思っております。
今後とも、皆様からいろいろな御意見あるいは御支援を頂戴いたしまして、農薬行政のより適正な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
農薬対策室長
ありがとうございました。
小島委員もお見えになりました。
それでは、まず初めに本日の配付資料について御確認いただきたいと思います。お手元の配付資料一覧を御覧ください。
資料1として議事次第、資料2として農業資材審議会農薬分科会委員名簿、資料3として座席表、資料4-1、4-2がありまして、農薬取締行政の改革についてというタイトルがついています。資料5-1として再評価制度について、資料5-2としてその他の改正事項について、資料6としてこれまでの農薬取締行政の国際調和の取組について。参考資料が、参考資料1、参考資料2、参考資料3。以上が配付資料となっております。
もしも足りないものがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し出ください。
これより審議に入りますが、報道関係者によるカメラ撮影は冒頭のみとなっております。もし撮影される方がございましたら、ここで退場をお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、これからの議事進行は山本分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
山本分科会長
皆様、今日は大変お忙しいところ、また大変な暑さの中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
議事次第にございますように、本日は農薬取締行政の改革について、事務局から説明をいただくことになっています。限られた時間でございますが、活発な忌憚のない御意見を頂戴したいと思っています。
早速、議事に入りたいと思いますが、議事次第にありますように、まず1番目が農薬取締行政の改革について、2番目に改革に当たっての主な改正事項の詳細について、でございます。
今回、事務局から通して説明をさせていただいた方がいいだろうと伺っておりますので、一度にといいますか、何人かご担当がおられますが説明していただいて、その後、全体を通しての質疑応答の時間を設けたいと考えております。
それでは、まず全体的な話で、1番目の農薬取締行政の改革について、農薬対策室の古畑室長から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
農薬対策室長
それでは、資料4-1を御覧ください。農薬取締行政の改革についてということで、私から全体像を報告させていただきます。
まず、背景と目的についてございます。効果が高く安全な農薬を迅速に供給できるようにすることは、国民に農産物を安定供給するために不可欠なものと認識しております。そのことは、農業者の生産コストの引き下げでありますとか、農産物の輸出促進、高い開発力を有する農薬メーカーの海外展開、こういったことにも資するものと考えております。
各国におきましては、農薬を使用された農産物が国際的に貿易されることから、先進諸国間で農薬に係る制度の調和が進められておりまして、農産物の輸出を促進するためには、我が国の制度を国際調和させることが不可欠です。
この取組は、我々がこれから新たに行うというよりは、従来から取り組んでおります。資料6を御覧ください。
資料6に、これまでの農薬取締行政の国際調和の取組についてということで、これまでの我が国における農薬登録制度とその運用に関して、我が国の実態を踏まえて国際調和なりOECDのガイドラインに準拠したものになるように随時見直しを行ってきた主な改正点を列記しております。
特に近年、平成21年以降の取り組みとして、(1)から(5)のとおりお示ししております。登録審査の透明性の確保という観点で、例えば、審査報告書の作成や公開を平成24年から進めており、登録審査の手続の効率化のためにOECD共通の様式の導入や英文及び電子的試験報告書の受け入れも始めております。
また、食品及び飼料中の農薬の残留濃度の推定方法の調和ということで、作物残留試験の試験例数の見直しでありますとか、施設は限られますが、海外の作物残留試験の受け入れ、また、個別の作物だけではなく、作物群での登録を可能とする仕組みを導入しました。今年の4月から、果樹類からスタートし、順次、例えば野菜類などに広げていくという手続を今検討しているところでございます。また、家畜代謝試験や家畜残留試験のガイドラインを新たに導入しまして、試験成績を求める仕組みに改めております。
また、新たな評価方法の導入ということで、短期暴露評価を導入し、また、平成29年4月以降申請される新たな新規化合物の申請に当たっては、原体規格を設定するといった仕組みの見直しなど、こういったことをこれまでも進めてきているのが現状であります。
資料4-1に戻っていただきまして、そういった現状ではございますが、まだまだ見直す点があるというのが我が国の現状にあります。
また、2つ目の段落ですけれども、先般成立した農業競争力強化支援法におきましても、生産資材の一つであります農薬に関しても、その規制のあり方について、より安全な農薬の安定供給ですとか、農薬登録制度の国際調和を図るべく、最新の科学的知見を生かして、合理的なものに見直していくということが条文として明記されています。
参考資料1を御覧いただきたいと思います。これがその条文で、第8条に農薬に関しての記述がございます。アンダーラインを引いている部分です。資料4-1に戻っていただきまして、こうした背景を踏まえまして、農薬の登録制度について、効果が高く安全な農薬の開発・供給を促進できるように、今後も改善が必要だという認識をしております。先進国が共通で取り組んでいる仕組みで、まだ日本で導入が進んでいない点として、ここは2つ例示をしております。
一つは、農薬が人や環境に影響を及ぼす可能性を事前に把握して、その問題の発生を未然に防ぐというリスクアナリシスの考え方が、農薬の登録時の評価に、十分ではないという点。そしてもう一つは、農薬の登録後の科学の発展に伴い明らかになる新たな知見に対して、農薬の安全性を定期的に、その時点の最新の科学に照らして再評価をする仕組みがまだ導入されていない点でございます。
こうした点を改善して、我が国の農薬に係る規制の国際調和を図ることによりまして、国民全体、農業者、また農薬メーカー、これら三者の安全や利益につなげていきたいということが我々の考え方になります。
2ページ目に改革のポイントということで、我々の見直しのポイントが書いてございます。
これも含めて改革に向けてどういう論点があるのかを整理したのが、資料4-2になりますので、資料4-2を御覧ください。横表で、国際標準を踏まえた農薬規制のあり方と今後の改革の方向性ということで整理をしております。
一番左側の罫は、農薬の開発から登録、使用、回収・廃棄といった、いわゆるライフサイクルに合わせた順番で並べております。それに対して、国際標準を踏まえた規制のあり方と我が国の現行制度とその課題、改革の方向性という3段で記述してございます。
順番に御説明申し上げますと、まず開発について、より安全性の高い農薬の流通を促進するということに対して、その時点での最新の科学に基づく評価がされていないという課題がございます。それに対する考え方として、最新の科学に基づく再評価制度を導入することを考えております。これにより安全性が確認できていないような農薬が市場から排除されるといった効果が出てこようかと思っています。また、その結果、より安全性の高い農薬の流通を促進するという効果が期待できます。
次に、登録という罫がございます。農薬の登録審査におきまして、食品に残留した場合の健康影響や農薬使用者の健康、また家畜への影響、環境中の動植物への影響、こういった観点から安全性を確認するというのが基本的な考え方ですが、それぞれ十分な、先ほど申し上げたようなリスクの考え方が導入されていない部分がございますので、それらの点について見直しを図っていきたいということです。
改革の方向性のところを御説明しますと、[1] 食品に残留した場合の健康影響に関して、十分な作物残留試験データを確保してより充実した暴露評価を実施していきます。その際には、作物群の導入や、より有効に作物残留試験のデータを活用する比例性の導入、海外データの活用もあわせて検討したいと考えております。
[2] 使用者の健康への影響に関して、毒性のみを考慮した現在の評価法から、毒性と暴露の双方を考慮したリスク評価に改めたいと考えております。これにつきましては後ほど資料5-2を用いて御説明申し上げます。
[3] 蜜蜂への影響に関して、毒性のみを考慮して評価をしている現状ですが、毒性と暴露の双方を考慮したリスク評価に改めたいと考えております。こちらについても詳細は後ほど御説明します。
[4] 環境中の動植物への影響に関しては、水産動植物だけでなく、陸生の動植物への影響も評価する形に見直しをしていきたいと考えております。こちらについても後ほど詳細を御説明したいと思います。
次のページを御覧ください。安全性に関する審査を充実させて、合理化を図れるところは図っていきたいというのがこの罫になります。我が国独自で導入している試験も存在いたしますので、そういったものをOECDなどが決めています国際的なガイドラインと整合させたいと考えております。また、既に導入していますけれども、作物群での作物残留試験の拡大を図っていきたいと思っております。さらに、薬効・薬害に関する審査及びデータ要求を合理化します。薬効・薬害試験に関しましては、国によって国の関与の仕方が異なっております。我が国ではそれぞれ作物ごとにとっておりますけれども、海外では規制当局がとらずに、農薬メーカーのみが持って、必要があれば農薬メーカーから求めるといった仕組みが導入している国もあるようです。そういったことも踏まえて、日本に合ったデータ要求の仕方、また不必要なものがあるかないかを確認していきたいと考えております。
続きまして、農薬の評価に関する情報の透明性を向上させるということに関しまして、農薬の登録審査のうち、この農業資材審議会の意見を聴く事項は決まっておりますけれども、農水省担当の分野である登録審査の部分で、審議会の活用がややなされていない現状があると考えております。従いまして、今回の見直しに合わせて、農水省に係る使用者等への安全性評価について、農業資材審議会に意見聴取をするといった形に改めたらどうかという考え方を盛り込みました。
またその次は、現在も進めています登録された農薬の評価に関する情報、審査報告書と我々は申し上げていますが、これの公表をしっかりやっていきます。
続きまして、製造(品質管理)というところです。登録審査時の毒性試験に用いたものと同等の品質の農薬が流通することを担保するため、原体規格を設定します。既にこの4月から新規の有効成分に関しては、原体規格をつくる方針に改めておりますが、その対象を全ての農薬に対して、農薬の有効成分及び不純物に関する規格を設定するということに改めたいと考えております。その結果として、原体規格に適合する農薬が流通するということ、また、原体規格に適合していることが確認できれば、製造方法の変更も可能になるといったことが期待されます。
続きまして、販売のところです。人や環境へのリスクの高い農薬が流通しないようにする観点で、現在でも販売禁止農薬を指定するということは可能ですが、そのような販売禁止農薬やそれ以外のものは、登録の失効後であっても、既に流通しているものは法律上禁止されないという現状がございます。今回、評価法を改めますので、使用段階でその結果を担保する観点から、農薬の登録の失効後の販売を原則として一定期間に制限するということで検討していきたいと考えております。特に人や環境へのリスクが高いことが判明して、その結果、登録を取り消すような農薬に関しては、直ちに販売を規制するような考え方がとれるのではないかと考えております。
続きまして、使用段階の見直しの考え方です。
一つ目は、使用方法や注意事項を記載しておりますラベルについてです。現在、ラベルについて基本的に貼りつけをするというルールにしておりますけれども、それを貼りつけだけではなくて、添付文書のような形で、より必要な情報を読みやすい形で提供することができないか検討していきたいと考えております。
またもう一つ、使用方法の変更があった場合に、タイムリーに使用者の方に伝えられるような、例えば農薬メーカーのホームページを活用して、変更後の情報を使用者に伝達するような仕組みがとれないか検討していきたいと考えております。
2つ目の欄です。使用方法や注意事項を守って、適切に使用されることを担保するための仕組みに関しまして、現在、食用と飼料作物を対象にした使用方法に関して遵守義務がございます。ただ、使用上の注意事項については、その遵守義務はかかっていないという現状があります。使用方法の見直しの結果を現場でも反映させるために、それら注意事項についても、何らかの形でその遵守を徹底させるといったことが考えられないかというのがこの論点になります。
3つ目、人や環境へのリスクの高い農薬が使用されないようにします。先ほど販売のところで、規制について御説明しました。使用段階でも同様に登録の失効後、原則として一定期間に制限するなど、登録を取り消した農薬は直ちに使用も規制するという考え方が同時にできないかというのがこの欄になります。
続きまして、回収・廃棄の部分です。人や環境へのリスクが高い農薬を適切に回収・廃棄します。現在でも販売禁止農薬につきましては、製造者や販売者に回収の努力義務があります。また、無登録農薬等の違法販売の場合には、農林水産大臣が違反者に回収命令をかけるという仕組みがございますが、それ以外は基本的に廃棄物として処理をしていただくという枠組みになっております。人や環境へのリスクが高いことが判明して、それを理由に登録を取り消したような農薬について、その回収の徹底を図るといったことが考えられないかというのが、ここの整理になっております。
続きまして、4ページ目、登録後の科学の発展に対応した安全確保というところです。農薬登録後の科学の発展に対応するため、登録後も継続的に農薬の安全性に関する評価を行うという考え方に基づくものですが、現在、農薬は製剤ごとに3年間隔で再登録の仕組みがございます。ただ、これに関しては、一旦登録された農薬の場合には、実質的な追加評価があった場合のみ、それらが評価されますけれども、それ以外は基本的には3年間隔で、それが現行問題ないかどうかの確認だけをしているという現状がございます。
その仕組みを改めまして、登録された全ての農薬について、有効成分ごとに定期的にその時点での最新の科学に基づく再評価を行いまして、登録の継続、変更または取消しを判断する再評価の仕組みを導入することを検討していきたいと思っております。
国際的な再評価の実績等を考慮し、再評価の間隔は15年間隔での実施を考えております。また、既に登録されている農薬につきましては、毒性や使用量に基づいて優先度をつけまして、その優先度に基づいたスケジュールでの再評価を導入していきたいと思っております。その制度は平成33年度以降、順次行っていくことを考えております。
また、15年間隔と申し上げましたが、その間に、人や環境への被害の発生というのが認められるケースに関しては、現在も職権による取消しはもちろん可能ですが、この制度導入後も新たな科学的知見によりまして、登録基準を満たさなくなるおそれがある場合には、適切なタイミングで必要な評価を実施して、登録の変更または取消しを判断していくという仕組みとあわせて行うことで、安全性を確保していきたいと考えております。
以上、全体的な今後の農薬取締行政の改革の方向性ということで整理をした点を御説明申し上げました。
資料4-1の2ページ目に戻っていただきまして、2改革のポイントにつきましては、先ほど資料4-2で御説明したものを書いております。(1)登録時の制度の充実、(2)登録後の科学の発展に対応するための再評価制度の導入、(3)評価に関する情報の透明性の向上ということで、組み立ては変わっておりますけれども、中身については今御説明したとおりです。
3スケジュールというのがございますが、改革事項の内容に応じまして、農薬取締法を含めた関係法令及び通知の改正を行った上で、施行までに一定の準備期間が必要ですので、その準備期間を経て、平成33年度を目途にこの再評価制度等を導入していくことを考えております。
以上が全体像に関する事務局からの御説明になります。
山本分科会長
ありがとうございました。
大変な大改革のような印象を受けます。それでは冒頭申し上げましたように、主な改正事項の詳細についても、それぞれご説明をいただいた上で、その後質疑応答の時間をとるということにさせていただきます。
それでは、主な改正事項の詳細ということで、まずは再評価制度について、資料5-1に沿って、松井分析官お願いします。
食品安全情報分析官
それでは、再評価制度について、資料5-1に従いまして御説明いたします。
この再評価制度導入の経緯と現行の制度の問題点を最初に整理しております。農薬は、新規登録の際には多くの試験結果を提出していただきまして、その時点での最新の科学に基づいて評価し、人や環境生物に安全と認められたものだけを登録して市場に出すという形になっております。
一旦審査を受けた農薬でありましても、科学の進歩によりまして、登録の評価のために必要とされるデータの種類、あるいはそのレベルとデータの評価法は変化をしていきます。日本におきましても、必要に応じてガイドラインの改定、新設等を順次行っているところです。また、抵抗性や時代に応じた農業施策、防除方法に対応した使用方法に変更していく必要もあります。
こうしたことを受けまして、欧米では、有効成分ごとに定期的に全ての農薬を再評価することにより、防除効果があり、最新の科学的基準から見て安全性の高いもののみを市場に流通させる仕組みを導入しております。Codexにおきましても、1992年から定期的再評価が行われております。
先ほど室長から申し上げましたように、我が国には、定期的な再評価は現在実施しておりません。そのため、欧米の再評価の結果、安全性に懸念がありと判断されたような古い剤も評価を受けないまま登録が維持されているというような状況がございます。再評価がないため、欧米で必要とされている新しいデータを申請者がつくるという動機もございません。
一方で、各種ガイドラインの改定に伴いまして、評価が五月雨式に行われ、例えば直近でいいますと家畜代謝・家畜残留試験のガイドラインの導入、あるいは環境省における水産基準の見直し、それから厚労省のポジティブリスト制度の導入に伴います暫定評価が並列的に行われておりまして、評価側それから申請者側ともに負担が大きいという状況にございます。
2既に再評価制度を導入している欧米の状況について簡単に御説明いたしますと、欧米いずれも1990年前後に再評価制度を導入しております。全ての有効成分とそれを含む農薬を定期的に大体10年から15年おきに再評価をすることで、その時点の最新の基準に照らして、人の健康や環境に対して安全なものを市場に出していくことを定期的に行うという趣旨でございます。
制度の導入に当たっては2段階に分けて行われております。定期的な再評価に入る前に、まずは導入時に登録のありました全ての剤を、その時点での基準に従い評価し、その時点の科学的レベルでの評価をパスしたものだけを再登録しております。
ポイントは優先度を付して高いものから実施するということです。評価に費やすキャパシティは限られておりますので、国民に対して重要であるものから先に評価していくということを行っております。
優先度は、毒性の懸念の高いもの、それから使用量の多いものを上位に位置づけております。また、必要に応じて環境影響等も考慮しています。
欧米とも、最初の再評価は2008年から2009年に終了いたしまして、現在は2回目の再評価を行っているという現状でございます。
3我が国で導入を目指す制度がどのようなものかを御説明いたします。先ほど室長からポイントを申し上げましたが、有効成分ごとにすべての農薬を定期的に再評価します。制度の導入は2021年を予定しております。2021年以降新規登録されるものについては、登録以降15年おきに再評価をしていきます。
2021年時点で既に登録のあるものにつきましては、評価のキャパシティは限られておりますので、最初に優先度をつけて評価することを予定しております。優先度の付け方の規準については、後ほど簡単に御紹介したいと思います。
既登録の農薬の再評価は2021年から1回目の再評価を順次スタートします。既に、登録して15年を超えるものもたくさんございます。できるだけ早く再評価を実施し、登録の継続・変更等を決定していくことにしております。
再評価に当たりましては、その申請時点のガイドラインに対応したデータを求め、モニタリング結果等も含めまして、新しい科学的知見、技術的知見に照らして評価をいたします。各試験ガイドラインは、OECDガイドラインの改定に合わせて随時更新をしていく予定です。
評価結果に基づきまして、既登録剤につきましても原体規格を設定し、ADI、ARfD等の毒性指標、農薬の使用基準、残留基準等の確認または再設定を行うこととしております。
4スケジュールですが、優先度の決定及び再評価スケジュールの決定までを本年と来年で迅速に行いたいと考えております。最初の再評価を受ける剤につきまして、追加データの作成等が必要な場合もあるかと思います。その作成のための時間をつくるためにもスケジュールを早期に明確にしていきたいと考えております。
別添として、再評価に係る優先度について、どのようなものを優先的に評価の俎上に乗せていくか、その原則案をお示ししました。
今年4月現在で既登録の有効成分は約580ございます。再評価では新規登録と同様、食品安全委員会、厚生労働省、環境省、そして農林水産省、これら4府省での評価が必要となります。従いまして、効率的に再評価を実施するために、優先度を付して実施します。海外の評価情報等も参考としまして、重要なものを上位に順位づけていきたいと考えております。
2優先度を付す原則についてです。より薬効が高く、安全な農薬を登録し、農業の生産性の向上に寄与するとともに、安全な農産物を安定的に提供するという観点から原則を設けました。
第一としまして、食品として利用される、より大量に農作物に使用されるもの、すなわち国民の皆さんが摂取する量が多い可能性の高い農薬。目安としましては、製品の出荷量等を考えております。まずは国民の方々がたくさん摂取する機会の多い農薬を優先的に評価していくべきだろうと考えます。
それから、毒性上の懸念の高い農薬、そもそも性質としまして毒性が高い、毒性指標ADIやARfDが低いもの。それから作用性から考えまして、既に欧米の再評価におきましても優先度が高く評価されている、神経毒性が懸念されたようなもの。あるいは発がん性、遺伝毒性、免疫毒性等。また、使用時安全はまだ日本では未導入ですが、今後導入していくことを考え、こういった毒性指標が小さいことが予想されるもの。そして環境中への毒性の懸念があるもの、残留するもの等は早くリスク評価を行っていく必要があるのではないかと考えております。
それ以外に、現在の我が国の状況を考えますと、考慮すべきものとしまして、新しい基準が導入されたことに伴って、現在各府省が実施している追加の評価が未実施のもの。例えば、ポジティブリストの導入の際に設定した暫定基準の評価が未実施のもの、水産基準の評価が未実施のもの等は早目に評価をしていく必要があるのではないかと考えます。
また、用途が特殊な農薬、例えば植物検疫用途で使用するもの、生物農薬等の、化学農薬とは異なる評価が必要なもの等につきましては、現在の評価法の見直しが必要であると考えております。国際的にもOECDでも現在検討中という状況にございますので、その議論を踏まえた評価法の見直しを実施、その後に再評価をするというスケジュールにするのが適当と考えております。また、登録して15年以内のものにつきましては、それほど急いで評価をする必要がないだろうということで、評価の優先度の順位を下げております。
以上のことを考慮いたしまして、優先度を、暫定的ですが、A、B、Cを2つ分けまして、C1、C2、Dとし、ここに示しますような規準を設けまして、優先度を付した上で既存の有効成分を順次再評価を行っていく予定としております。
以上です。
山本分科会長
最後の質疑応答の時間を確保するために、手短に説明をお願いしたいと思いますが、続いてその他の改正事項について、資料5-2でありますが、使用者安全、蜜蜂への影響、それから生態影響について、それぞれご説明を願います。
食品安全情報分析官
その他の改正事項といたしまして、農薬使用者の安全に関する評価の改善について簡単に御説明いたします。
現在、我が国では使用時の安全性につきましては登録時に評価をしておりますが、基本としまして、農薬の毒性の強さに応じて防護装備を着用するよう注意事項を付して登録をしております。従いまして、現在のところ暴露量が多くても、使用方法の変更等を指示することはないという問題点があります。また、暴露量が少なくても毒性が強ければ、自動的に防護装備の着用を義務づけるというような場合もございます。実態としまして、急性毒性の強さのみに基づいて注意事項が付されているということが現在の問題点でございます。
改善の方向性は、農薬行政改革の全体方針に従いましてリスクベースにしていきます。すなわち、毒性の強さと、使用方法に従って使用した場合に皮膚や吸入を通して農業者が摂取する暴露量の両方を考慮して安全性評価をしていきます。これは国際的に合意された考え方でございます。
使用方法が変わりますと、暴露量が変わりますので、使用方法ごとに評価を行います。
使用者への安全性を評価するための適正な毒性指標を設定し、暴露量がその指標を超えなければ登録を認めます。
毒性指標を超えた場合でも、使用方法の変更、例えば使用量を減らす、より暴露の少ない剤型へ変更する、防護装備を義務づける等で、暴露量を軽減することにより、使用者の安全が確保できれば登録を可能とすることも考えております。
こうすることによりまして、より暴露量の少ない農薬の使用方法に変えていくことが可能となります。結果としまして、周辺住民等への暴露の低減にもつながると考えております。
具体的には、新しい評価法の枠組みを策定し、使用者の安全性を評価するための毒性指標を評価する方法を導入します。農薬の使用方法の違いによって暴露量が変わってきますので、それを反映した算出法を検討していく方向で進めていきたいと考えております。
山本分科会長
ありがとうございました。
それでは、続いて、蜜蜂への影響に関する評価の改善につきまして、中庭専門官お願いします。
生産安全専門官
蜜蜂への影響に関する評価の改善について御説明いたします。
まず背景といたしましては、蜜蜂の減少の主な原因としまして、欧米では、栄養不足、ダニ等の寄生虫、病気、農薬等が挙げられておりまして、いくつかの要因が複合的に影響していると考えられています。我が国においても、農薬の関与が疑われる蜜蜂の被害が毎年発生しておりまして、現行行っている対策に加えまして、さらなる取り組みが必要となっております。
我が国の現状ですが、農薬登録に係る蜜蜂への要求試験は、成虫での急性毒性試験、これは経口あるいは接触ですが、これのみとなっております。登録されている農薬では、成虫への急性毒性の強さに基づいてのみ注意事項を付しており、農薬の暴露量を考慮したリスク評価とはなっておりません。
次に改善の方向性についてです。農薬登録に係る蜜蜂への影響評価を蜜蜂への毒性のみ評価するハザードベースから、蜜蜂への毒性の強さ及び蜜蜂への農薬の暴露量を考慮したリスクベースの安全性評価に変更します。暴露量の算出に当たっては、我が国の農薬の使用方法を考慮します。
個々の蜜蜂への影響だけでなく、蜂群単位への影響を評価できるか検討します。具体的には、蜜蜂への農薬の暴露経路を考慮して、幼虫への影響や成虫への慢性毒性影響、蜂群への影響を評価するための段階性の評価法とデータ要求を導入します。また、暴露量を算出するために作物や農薬の使用方法を考慮した暴露シナリオを策定します。リスクの程度に応じたリスク管理措置、使用方法の変更や注意事項の義務付け等を検討いたします。
以上です。
山本分科会長
ありがとうございました。
それでは引き続き、生態影響に関する評価の改善について、環境省の小笠原室長からお願いいたします。
環境省
環境省でございます。委員の皆様方には、農薬環境行政の推進につきましても御指導、御助言を賜りまして、ありがとうございます。
農薬の生態影響に関する評価の改善について御説明をさせていただきます。
まず(1)我が国の現状ですが、現在、農薬登録制度において、環境大臣が定める農薬登録保留基準の中で、農薬の生態影響に関するリスク評価の対象生物は水産動植物に限られており、生態系保全の観点からは不十分であります。このため、平成24年に閣議決定されました第4次環境基本計画では、水産動植物以外の生物を対象といたしました新たなリスク評価が可能となるよう、科学的知見の集積を図りつつ検討を進めるとされ、現在、農薬の水産動植物以外の生物に対する影響調査にも取り組んでいるところでございます。
このため、(2)改善の方向性といたしましては、農薬の生態影響評価を改善するため、評価対象を水産動植物から拡大し、その他の水生生物や陸生生物も対象として、農薬登録保留基準を設定することを考えております。
具体的な取組みといたしまして、以下の3点を考えております。
一つ目に、科学的知見と国際的な標準との調和を踏まえ試験生物を選定するとともに、毒性試験方法を選定します。このことは、例えば国際調和を図ることによりまして、海外での登録申請の試験データの活用を可能とすることで、申請者の負担を抑えることも考慮したいと考えております。
2つ目といたしまして、暴露評価のため、農薬が環境中で試験生物に与える影響を調査・検討し、暴露量を算出するとともに、リスク評価手法を策定いたします。
3つ目に、評価結果から農薬の使用が生態に著しい影響を生じさせるおそれがある場合に、登録を保留するための基準値を設定いたします。
参考といたしまして、欧米等の先進国の状況ですが、既に農薬の生態影響に関するリスク評価は、水産動植物以外の水生生物や陸生生物も評価対象とし、より生態系へのリスクの少ない農薬の使用方法による農薬登録を進めているところであります。
環境省といたしましては、農水省と連携しつつ、国民の生活環境の保全に寄与する観点から、具体的な評価対象生物やリスク評価の方法等、専門家から成ります検討会で予備的な検討を行い、その後、中央環境審議会で御審議をいただきながら、見直しを進めていきたいと考えております。また、基準の改正に当たりましては、農業資材審議会の御意見も伺わせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、昨日行われました中央環境審議会土壌農薬部会の農薬小委員会におきまして、本日お示しさせていただきました農薬の生態影響に関する評価の改善の方向性について、御了承をいただいたところでございます。
説明は以上です。
山本分科会長
ありがとうございました。
それでは一通りご説明いただきましたので、これから質疑あるいはご意見を賜りたいと思います。少し広範囲にわたりますので、まず冒頭、古畑室長からご説明いただきました農薬取締行政の改革について、ご質問、ご意見を承り、一旦締めた上で、その後個別の主な改正事項の詳細に移りたいと考えています。
それでは、まず農薬取締行政の改革についてということで、全体的な話でございますが、何かご質問、ご意見等ございましたら、どなたでも結構ですのでお願いいたします。
どうぞ、小島委員。
小島委員
初歩的な質問かもしれませんが、資料4-1の真ん中あたりに、欧米では科学的に安全であることを証明できた農薬だけが流通する仕組みになっていて、その仕組みが日本では進んでいないと書いてあり、[1] [2] の理由が書いてありますが、これを普通に読んでいると、今流通しているものは安全じゃないように受け取れるのですが、これについてどう考えればいいのか教えてください。
山本分科会長
お願いします。
農薬対策室長
我々は農薬取締法に基づきまして、安全な農薬が流通するように登録制度を設けて取り組んでおります。それは各国共通の枠組みで行っている、科学的に安全であることを証明できた農薬だけが流通する仕組みは共通です。ただ、その運用や具体的な評価の方法が各国により違いがあるので、そのやり方について見直しをしていくということです。
ですので、日本の農薬は安全ではないことから見直すというよりは、日本独自でやっているような仕組みについて、国際的なものと調和されるように変えていくということです。今までのものが全く安全じゃないということが明らかになったという理由では決してありませんので、そこは誤解ないようにお願いしたいと思います。
山本分科会長
小島委員、よろしいでしょうか。
そのほかに。
それでは、與語委員、お願いします。
與語委員
一つは資料4-2の項目が開発の改革の方向性のところについて、安全性の低い農薬を国内市場から排除すると記載ありますが、開発の段階で見るときに、例えばよくあるのが、同じような作物に同じ作用機構しかない農薬が集まってしまうと、抵抗性が出ます。そういうところも含めて、配慮していくことになるのでしょうか。
農薬対策室長
資料4-1に、効果が高く安全な農薬を、と書いてありますが、当然、効果がない農薬をまく意味はないので、農薬としての効果があることを確認しようと思っています。抵抗性の発達を防ぐ観点で、複数の農薬がいるという考え方については、もちろん従来どおり考えていきます。
山本分科会長
よろしいでしょうか。
そのほかにいかがでしょうか。
それでは、福山委員お願いします。
福山委員
福山でございます。
この再評価というのは非常にいいシステムだと思うのですが、何か組織的な形、どういう体制でやるのか説明していただけますでしょうか。
もう一つは、リスク評価をやるために、使用者に対してこう使ってはいけないといったいろいろな教育といいますか、例えば、間違った使い方をした場合の何か罰則というのは変ですけれども、そのようなことが起こり得るのかどうかということも含めて御説明願います。
農薬対策室長
まず、再評価を入れた後の組織なり仕組みですけれども、基本的に今の農薬登録制度の役割分担の上に成り立っています。まず、農水省が登録申請を受け付け、使用時の観点は農水省、食品を経由した安全性の確保という観点では厚労省、環境影響という観点では環境省が、それぞれ分担をしております。
その役割分担に関しては、再評価制度の導入後も違いはございません。従って、評価自体は今行っている担当府省がそれぞれ行うという仕組みになります。
今回、農水省分野で使用時の新たな評価等を導入しようとしているものでありますけれども、それは農水省の中で機能を強化しながら取り組んでいくということになります。
また、使用段階でのご質問がございましたが、現行でも一部の農薬に関しては使用基準の義務がありまして、罰則がございます。ただ、それをどこまで広げていくのかについてはまだまだ今後の検討になりますけれども、前提として、適正使用の指導ということを我々としては重要視しており、そういった事故がまず起きないように取り組んでいきたいと考えております。
山本分科会長
よろしいでしょうか。
それでは宇野委員、お願いします。
宇野委員
全国農薬協同組合の宇野でございます。
事前に資料をいただいておりましたので、3点ほど考えるところがございますので、ご質問をさせていただきます。
まず再評価制度についてですが、最新の科学に照らして行うということについては全く異論はございません。ただ、この再評価に対する強弱について、あまり強度の高いものであると、現場での影響というものがいくつか懸念されるのではないかと考えているところです。
まず一点は、この再評価に伴って、コスト、費用というものがかかるかと思います。高いハードルでありすぎると、今現場で流通している農薬の価格が高騰することになりかねないのではないでしょうか。これは、良質で低廉な農業資材の供給に反するとともに、現場での混乱が起きるように思います。その点につきまして、私といたしましては、なるべくそのような混乱が起きないようにと願うところです。
もう一点は、同じようにそのハードルが高ければ、少量ロットのあまり出荷されていない農薬について、費用がかかるのであれば、もう登録を取り下げるということもあろうかと思います。これはEUでもあったお話だと思いますが、そうなると選択できる農薬の数は当然減ってまいります。
それから、ADI、ARfDの基準値の見直しということになりますと、当然ながら登録の取り下げということも起きるかと思います。そうすると、現場で使える資材がかなり削減され、従来からのローテーション防除等々の指導にも影響が出ることを懸念いたします。
それともう一点は、新規剤の登録につきまして、非常に大きな評価が新たに加わることになると、新規剤の登録が遅れるのではないかという懸念が生じます。遅れないように配慮するという文言がございましたけれども、今、都道府県の県基準というものを現場で使用しているというような現状がございます。県基準は1年に1回しか変更されません。ですから、登録が少し遅れることによって、現場での普及というのは1年遅れることになりますので、タイミングにもよりますが、現場への影響が1年ほど出るのではないかということが懸念されます。こういったことを避けるような形でしていただけたらありがたいなと率直に思うところです。
何か御意見がございましたら、お願いします。
山本分科会長
何か、もしあれば。
農薬対策室長
今、最初にありましたコストの関係です。
確かに、農業競争力強化支援法でも良質かつ低廉な生産資材ということが求められております。低廉というのはもちろんコストの観点ですけれども、農薬の場合には、もちろん安かろう悪かろうということは決してありませんが、より安全な農薬が流通することが一番大事なことですので、我々としてはその観点で、今回の見直しを進めていきたいと考えております。
その結果、2番目の話にもつながるのですが、農薬に関して、一部見直しが図られるということにもなってくると思います。その際、日本での農薬は省力化のための工夫ですとか、新たな農薬であれば、価格ではなくて、労力も含めた生産コスト全体で見れば下がるような農薬もございますので、そういったものにシフトしていくことを我々は期待しています。
また、国際調和を図れば、販路の拡大が国内にとどまらず、海外に出ていくこにもつながれば、農薬の価格は下がる要因にもなることを少し期待しております。
山本分科会長
ありがとうございました。
今のご意見は、生産現場のこともお考えになったご意見だったと思います。まさに生産現場で日々指導に当たっておられる天野委員や小林委員がいらっしゃいますので、先ほど宇野委員がおっしゃった以外に、生産現場の観点から何かコメントいただきたいと思うのですがどうでしょうか。
それではお願いします、天野委員。
天野委員
今おっしゃったようなことは、私も同じように懸念をしていたところです。再評価をしないまま今に至っている古い剤というのは、実際にはどのくらいの数があるのでしょうか。
それを把握した上で、それでもやはり安全を担保することが必要だというお考えはよくわかりますので、先ほどおっしゃったように、現場で使用する剤が急になくなってしまっては、1つのものに対して1つ農薬があればいいということでは成り立ちません。
実は先日、植物防疫課へ御意見する機会を得ましたので、このような懸念をぶつけたところ、我々も防除について何か負荷がかかってはいけない、というような同じ意見を申し上げていることを伺いました。省内でどのように調整、あるいは意見交換されているのか教えていただきたいと思います。
農薬対策室長
まず、評価が済んだ農薬がどれくらいあるかというお話がございましたが、現行は全ての農薬について製剤単位で3年ごとの再登録を行っている状況で、先ほどの説明の中でも申し上げたように、その時点での最新の科学に基づいた抜本的な評価をしているというわけではありません。再評価制度を導入したことで、それぞれの製剤ごとにどれくらい状況が変わるのかというのは、やってみないとわかりません。その剤によって変わってくるかと思います。
それと、生産現場への影響がなるべく起きないようにということでお話がございましたが、植物防疫課とも情報のやりとりをしています。そういう懸念は両課の間でも共有して認識しております。
ただ、今後、それぞれの有効成分なり製剤がこの再評価に当たって、最終的にどのようになっていくのかというのは、各メーカーの判断もありますので、我々はこれらを把握しながら、現場への影響が最小限になるように対応していきたいと考えております。
山本分科会長
ありがとうございました。
そのほかに何か、全体的な改革の方向性ということで。
小島委員、もう一度どうぞ。
小島委員
私も、再評価するという基本的な路線はいいとは思います。優先順位が非常に重要だと思いまして、この優先度A、Bについて伺いたいのですが、個別の話かと思いますので、後で伺います。
山本分科会長
全体的な話で、特にご質問あるいはご意見とか。
どうぞ、お願いします。
小浦委員
資料4-2ですが、国民といいますか、消費者に安全な農作物を提供するためにということで、考えていただいてありがたいと思っております。
そこで、3ページ目の使用に関して、国際標準では途中で使用方法等が変わった場合は、使用者に確実にかつわかりやすく伝達するということですが、この改革の方向性につきましては、使用方法の変更があった場合には、メーカーのホームページ等の各種媒体を通して変更の通知を伝えるとなっております。ホームページを使って広く伝達することは非常に有効だと思いますが、使用されている方々が毎日ホームページを御覧になるのかというと、なかなか難しいところだなと思っております。
現在、ホームページに載せればいいという話はいろいろなところでありますけれども、確実に伝わる方法として、これにプラスして、もう少し何か実効的なことも取り入れていただければと思います。車のリコールとは比べられないと思いますが、仮にリコールがあった場合には、必ず購入者のところに葉書で通知が来るかと思います。農薬の場合、個別にお知らせをするのはかなり負荷がかかるので、それは無理かなとは思いますが、何かもう少し確実な方法をここで考えていただければと思います。
山本分科会長
何かお答えがあればいいですけれども、なければ承りましたということで。
農薬対策室長
農薬の場合には、車のリコールのような仕組みは難しいですけれども、農薬のラベルを守って使ってもらうというのが農薬のルール、原則になります。
ただ、ラベルだけですと、ラベルが変更になったときに直ちに伝わらないので、それを補足する手段として、よりタイムリーにということで、このような仕組みも追加をしたいということを考えております。あくまでホームページだけに頼るということではありません。
小浦委員
すみません、舌足らずで。
この[2] のところは、もう既に購入した後に変更があった場合かなと読み取ったものでし
て、その場合のより確実な方法ということで、よろしくお願いしたいと思います。
山本分科会長
そうしたら、代田委員、お願いします。
代田委員
麻布大学の代田でございます。
丁寧な御説明ありがとうございます。
私からは資料4-2の2ページ目にございます、安全性に関する審査を充実することを前提としつつ、可能なものは合理化をするということについて、お尋ねをさせていただきます。
今使われている農薬のテストガイドラインと国際的なものが一致していないものもあることから、一致させていくということで、OECDのテストガイドラインを導入していくということが書かれております。OECDのテストガイドラインも新たなものがつくられたり、逆に今まで使われていたものが廃止になったりということで、かなり変遷があるようです。
OECDのテストガイドラインは、農薬以外の化学品に対しても安全性を確保するためのものになっておりますので、それが食品に残留する化学物質の安全性確認に合っているかどうかというようなことの観点も含めて、見ていただきたいと思います。OECDのテストガイドラインを決定するようなところに、農林水産省や食品安全委員会から、どのくらい意見を出していらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。
山本分科会長
ナショナルエキスパートか何かで出ておられる、そのたぐいの話ですね、お願いします。
食品安全情報分析官
経済産業省が代表しまして、WNTというOECDのガイドラインを作成する専門家会議に出席しております。作成中のガイドラインにつきまして、関係する各府省に対して意見照会が随時行われております。OECDのテストガイドラインはすぐにできるわけではなくて、2年、3年と時間をかけてつくられます。その進捗状況に応じて、意見を提出しているというのが状況になります。
農薬の登録に関するテストガイドラインに関しましては、ここに出席しております各府省からも随時意見を出し、日本からの意見として随時反映するような形となっております。
代田委員
そういった場合は、役所の中での意見の集約ということになるのでしょうか。
食品安全情報分析官
基本的には、役所が中心になってやっているのが現状です。
代田委員
少しパブリックな感じに出していただけると、いろいろな立場から建設的な意見が出せると思うのですが、御検討いただければありがたいです。
食品安全情報分析官
どこまでパブリックにできるのかは、OECDの規定にも左右されます。御意見いただいたとおり、できるだけ広く御意見を伺うという検討はしていきたいと考えます。
山本分科会長
今、分析官が言われたように、改正までに少なくとも3年はかかるわけです。その間にドラフトが出てきて、農水省でも環境省でも資材審や中環審でも、そういったところでドラフトに対する意見を聞いていただくということだけでも随分違うと思います。そういったことを検討していただいたらいいのかなと思います。
ほかに何かありますか。なければ、個別内容の方にいきたいと思います。
全体的なことですか。結構です、お願いします。
神山委員
日本農薬の神山です。
今般の改正につきまして、大筋において、その趣旨、目的は理解するところでございますけれども、冒頭ありましたように大変大きな改正であり、私ども農薬メーカーにとっては大きな負担増でもあります。
まず、再評価について、再評価の優先順位のところで、資料5-1の4ページ、その他の考慮要素として、暫定基準の評価が未了のもの等が考えられるとのことですが、再評価が導入された時点で、暫定基準評価がまだ終わっていないというふうに読み取れます。先ほど申し上げたように、この再評価自体が非常に大きな改正であり、我々としても円滑に進んでいただきたいと思っているので、おそらく暫定評価が終わってから導入されるという認識でおりました。どちらの認識が正しいのか、またどうして暫定基準評価が終わってから導入しないのかということについて、お教えいただけますでしょうか。
食品安全情報分析官
暫定評価が終わってからの導入かどうかということですね。
2021年にした理由の一つは、暫定評価が順調に進めば、終わっている可能性があるためです。
一方で、再評価を早く導入すべきという意見もあります。そういった中で、できるだけ早くということと、当局側の準備、それから申請者側の準備、双方を考慮して2021年としております。
ここに書きましたのは、2021年になっても暫定評価が残っていた場合を想定したもので、未評価のものが残っていた場合でも再評価の開始を遅らせる理由はないであろうという意味であると御理解いただければと思います。
神山委員
後ほどの質問とも関連しますが、先ほど来の御説明で、自ら審査のキャパシティの問題をおっしゃっていました。にもかかわらず、並行で審査が進むような形が本当に妥当なのかどうか、要するに、再評価導入のスタートポイントが最初にあり、それに合わせるというふうに聞こえるのですが、いかがでしょうか。
山本分科会長
暫定評価が終わることを前提に、2021年としていると。
神山委員
そのときを前提にされるということですね。
食品安全情報分析官
そうです。
神山委員
ぜひ、その方向でお願いをしたいと思います。
二つ目は、新たなリスク評価、例えば作業者暴露、それから環境評価生物の拡大については、試験法等がまだつまびらかになっておりませんけれども、その内容等については適時開示をいただけるということでよろしいですか。
食品安全情報分析官
評価の検討に当たりましては、何らかの形で検討会を設けるとか、そういった形で進めていきたいと考えております。
神山委員
3つ目ですが、再評価の導入も、新たなリスク評価の導入も、受託試験機関及び審査機関の負荷、業務の大きな増大になるだろうと懸念されます。私どもメーカーとしては、それによって新規登録等の遅延、あるいは適用拡大等の遅延につながり、それが農業現場に御迷惑になることを大変懸念するものであります。一方で、平成21年発出の課題の検討においても、そういう新たな再評価の導入においては、その体制を整えて行いたい、評価者のレベルアップも考えたいと書いておられますけれども、実際にそのような負荷の増大に対して、農水省ではどのような対応や施策を考えておられるか、教えていただけますか。
農薬対策室長
まず受託試験に関しまして、先ほど作残試験のところでも御説明しましたけれども、いろいろなデータの有効利用等もあわせて考えて、なるべく負荷のかからないようにしたいと思っております。
また、データギャップを埋めるための試験に必要な時間もかかるということは我々も認識しておりまして、各メーカーの取り組み方も考慮して、再評価の時期というのは個別に相談をしていくというステップにしたいと思っております。
農水省の行う評価については、組織の拡充、強化も図っていくということで対応していきたいと考えております。
神山委員
実際にそういうときには、審査においてのスキル向上なり組織の拡充なりをお考えだということですね。ありがとうございました。
山本分科会長
よろしいでしょうか。それでは、再評価、その他の改正事項に関する後
半部についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。
代田委員、どうぞ。
代田委員
資料5-1の別添4ページのところについて、[2] 毒性上の懸念が高い農薬を優先にしますということでピックアップされていることに関しまして、概ねよろしいかと思います。一方で、下から3番目の発がん性、遺伝毒性、免疫毒性についての懸念が高いものと示されておりますが、農薬の評価のときのデータセットに含まれる生殖発生毒性が入っていないのですが、これは何か理由があって含められなかったということでしょうか。
食品安全情報分析官
御意見ありがとうございます。生殖発生毒性についても検討していきたいと考えます。
山本分科会長
生殖発生毒性も含めて、懸念が高いものとはどういう意味なのでしょうか。このような毒性があれば、通常、登録されないかと思うのですが。
食品安全情報分析官
懸念が高いというのはかなり抽象的な表現ですが、例えば過去の評価や海外の評価におきまして、既に評価を受けた結果、こういったポイントがその剤の毒性のクリティカルなポイントとなるといったような評価が下されているものと御理解いただければと思います。
山本分科会長
[1] で、国民が摂取する量が多い可能性が高い農薬と書いてありますが、残留実態、例えばADIの占有率が高いというような書き方でないと、摂取量の多い少ないだけではリスクが高いとはいえないのではないでしょうか。
食品安全情報分析官
占有率となりますと、使用方法が決まり評価した結果、占有率が高い低いということになります。優先度の決定は評価の前段階になりますので、まずは国民が多く食べる食品に多く使われる可能性の高い農薬をまずピックアップすることになります。評価の結果、ADIの占有率が低いということであれば、それはそれでいいかと思います。やはり国民が摂取する可能性が高いものは先に評価し、安全であるということを確認した上で、市場に出すというのが適切ではないかと考えて、優先度を考えました。
山本分科会長
梅田委員、どうぞ。
梅田委員
日本バイオアッセイ研究センターの梅田です。毒性の現場で仕事をしております。
毒性の評価は、一般的に、その剤の濃度などが低いにもかかわらず毒性が強いものを毒性が強いというように強弱をつけます。毒性の低い強いだけの評価ではなくて、今後は暴露評価も掛け合わせていこうじゃないかという改定については、非常に賛成します。
というのは、すごく少量で毒性が強いものは危ないものというのは、みんな認識しています。一方で、使用者が吸入暴露によって吸ったり、皮膚に接触したりすることによって毒性が生じることもあり得るということを考えると、農薬そのものの皮膚の浸透性ですとか、あとは舞いやすいものはより吸入しやすいですので、必ずしも量だけが暴露評価の基準になるのではなくて、より舞いやすいもの、皮膚から吸収しやすいものが、暴露評価としては高いものになるかと思います。
そういった意味で、多く暴露されてしまうもの、毒性の強いものというものは、危ないのではないかと掛け合わせて考えていくという考え方はとてもいいと思っています。
補足になっているかどうかわからないのですが、発言させていただきました。
山本分科会長
それはもちろん、ハザード評価からリスク評価に変えていくことはいいと思います。私の懸念は、この書きぶりでよいのかということです。
ほかにもし何かございましたら。
小島委員、どうぞ。
小島委員
資料5-1で、生産量が多いものは優先度Aになっていて、毒性の懸念があるものが優先度Bとなっているのですが、どうしてこういう順序になっているのか疑問です。いわゆる暴露評価もリスク評価するのであれば、毒性の懸念が強いものの方がまず優先してやらなければいけないように思います。
もう一つは、再評価を全て終えるのに、欧州はで14~15年かかっているわけですね。そのとき、欧州では優先順位の高いものが例えばいくつくらいあったとか、どうやって評価していたのかがわかると非常にありがたいです。優先度Aがいくつ、優先度Bがいくつぐらいあったといったような、何かイメージを描く情報をいただけると非常にありがたく思います。
山本分科会長
どうぞ。
食品安全情報分析官
まず優先度A、Bの順位ですけれども、これは欧米も同じ考え方でやっております。広く、国民が多く摂取する可能性のあるものが最も重要であるとされました。多く、頻繁に使われるということから、最も早く評価をすべきであろうと。その後に、毒性の懸念の高いものというのを順位づけており、我が国でも同じ順位づけにしてはどうかと考えました。
それから、欧州での優先度Aと優先度Bの比率ですけれども、あまり具体的な数字は覚えていないのですが、大体1,000剤が再評価対象になっておりまして、優先度Aが200剤(※100剤に訂正)程度、優先度Bの毒性の懸念があるものというのは、基本的に有機リン系化合物、カーバメート系でありまして、大体150剤程度だった記憶しております。
山本分科会長
それではそのほかに。どうぞ、福山委員。
福山委員
蜜蜂の件で、ここで述べている蜜蜂というのは、いわゆる飼育されているセイヨウミツバチに限定しているのでしょうか。中にはニホンミツバチも野生だけでなくて、飼っている人もいると思います。必ずしもセイヨウミツバチだけではない問題が出てきて、これは生態系への影響とも重なる気がするのですが、確認させてください。
農薬対策室長
御指摘ありがとうございます。
我々で示しているのは、まさに家畜への影響の観点での蜜蜂ということで、飼育している蜜蜂、セイヨウミツバチを対象にするということで整理しています。
福山委員
ニホンミツバチも飼育している人がいるかもしれませんが、どうでしょうか。量的にはあまりないとは思いますが。
山本分科会長
家畜蜜蜂ということで、一般のハナバチではないという意味ですよね。
ほかに何かございますか。
與語委員、どうぞ。
與語委員
資料5-1の4ページ目について、[1] 暴露、[2] 毒性といっていますけれども、環境中に関しても記載され、暴露と毒性とが一緒になっており、あまり論点整理できていないと思いました。リスク評価をするのであれば、[1] と[2] はあわせてやるのが本来かなと思うのですが、欧米もそこまではレベルが達していないという理解でよろしいでしょうか。
食品安全情報分析官
まず環境中の件です。毒性上の懸念という表現が少し適切ではなかったかもしれません。正確には「ハザードの高いもの」という意味合いでとっていただければと思います。
これは評価ではなくて、評価をする順位を決めるための規準です。リスク評価はその後行います。ハザードの高いものからリスク評価をしていくのが妥当と考えています。
山本分科会長
よろしいでしょうか。そのほかに何かございますか。
どうぞ、小島委員。
小島委員
情報の透明性のことで教えていただきたいのですが、資料4-2に、登録審査の過程で安全性評価について農業資材審議会に意見聴取して、公開の場で審議すると書いてありますが、このイメージとして、例えば、食品安全委員会では、いろいろな評価をするときは公開で行われるのでずっと聞いていられます。それと同じように、登録のときも、みなが聞けるというようになるということですか。
食品安全情報分析官
現在の農薬取締法では、農水省の評価の所轄であります使用時安全や家畜としての蜜蜂への影響等は、審議会の審議事項には入っていないので、内部審査にせざるを得ません。それについて透明性を高めた形に変えていきたいと考えています。
山本分科会長
この親委員会になるかどうかわかりませんが、資材審の中で議論できるような形にしていきたいということだろうと思います。
そのほか。神山委員、どうぞ。
神山委員
もう既に導入された原体規格設定と、今回の再評価によって新たに設定されることになる原体規格によって、相対的ですけれども、後発農薬の登録が促進されることになるであろうと考えます。私どもが考えるのは、その後発農薬についても今の日本の農薬と同様の品質レベルであっていただきたいと考えます。現状、農水省の立入検査では、原体はその対象になっていないかと思いますが、今後、原体の検査についてどのようにお考えか教えていただけますか。
農薬対策室長
委員御発言のとおり、現在は農薬の製造場への立ち入りにおいては、原体については対象になっていませんが、この原体規格の導入に合わせて考えていきたいと思います。
ただ、原体の場合には、農薬に限定されないケース等、いろいろなケースがあるので、やり方については考えていきたいと思っております。
山本分科会長
それでは、赤松委員、お願いします。
赤松委員
資料5-2の蜜蜂の暴露量の算出についてです。具体的なことがいろいろ書いてありますが、実際にはなかなか難しいと思います。場所等そういったところも考えていただけるかどうかお伺いします。
農薬対策室長
蜜蜂に関しては、まさにこれからそのやり方を検討していきますので、我が国の状況に応じた適切な評価の方法に近づくように、今後我々も考えていきたいと思っています。
山本分科会長
よろしいですか。今、赤松委員がおっしゃったことは、おそらく環境影響の方で、例えば陸生の生物にも非常に密接に関係するので、なかなか暴露評価も難しいようです。何かいい工夫をしていただきたいですね。
よろしいでしょうか。それでは特にこれ以上のご意見もないようですが、全体を通じてでも構いません。よろしいでしょうか。
大変大きな改革といいますか、法律改正が15年ぶりくらいになりますかね。前回の法律改正から15年くらい経ち、法律改正まで伴うような大変大きな改革であります。ここで、それぞれ委員から頂戴しましたご意見を参考にしていただいて、いい改革の方にもっていっていただければと思います。
今日はどうもありがとうございました。
農薬対策室長
本日は、御熱心に御議論賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
今回の議事概要及び議事録につきましては、事務局で案を作成いたしまして、委員の御了解を得て、発言者の氏名とあわせて公開となります。事務局案ができましたら、確認等よろしくお願いいたします。
以上をもちまして、本日の農業資材審議会農薬分科会を閉会したいと思います。
活発に御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
午後3時43分 閉会