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農林水産省

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第17回   農業資材審議会農薬分科会   議事概要

1. 開催日時及び場所

日時:平成29年7月13日(木曜日)14:02~15:43
場所:三田共用会議所   大会議室

2. 出席委員(敬称略)

赤松美紀、安藤洋次、梅田ゆみ、神山洋一、小島正美、代田眞理子、山本廣基、 天野昭子、
宇野彰一、小浦道子、小林正伸、坂真智子、園田正則、福山研二、 與語靖洋、加藤保博

3. 会議の概要

  • 資料に基づき、「農薬取締行政の改革」について、内容を報告した。
    農薬取締行政の改革の方向性及び再評価制度の導入、使用者や蜜蜂に対するリスクベースの影響評価の徹底という方針については、特別異論はなかった。
    (委員からの主な意見)
    ・ 今回頂戴した各委員の御意見を参考に、農薬取締行政についてよい方向へ改革してほしい。

  • 委員からの主な質問・事務局からの回答、委員からの意見は以下のとおり。
    <方向性についての質疑応答>
    (質問)科学的に安全性を確認した農薬のみを流通させる仕組みの導入について、現在の制度で流通している農薬が安全でないようにとれる。
    (回答)我が国を含め各国では、安全な農薬が流通するよう、農薬取締行政に取り組んでいるが、国により運用や評価法に違いがある。日本独自の試験や評価法を国際調和させていくことが今回の主眼。現在我が国で流通している農薬が安全でない、ということではない。

    (質問)安全性の低い農薬を排除していった結果、ある作物に対して同じ作用機構の農薬しか使えなくなる可能性がある。病害虫の抵抗性について配慮していただけるのか。
    (回答)農薬は、効果が高く安全であることが重要で、薬効についても確認する。抵抗性の発達を防ぐ施策については、従来通り行う。

    (質問)再評価により、登録が消えるような古い農薬は、いくつあるのか。安全担保の必要性は理解するが、一つの作物に一つの農薬では、防除上困る。植物防疫課と話したところ、同様の意見だったが、省内での調整はどうなっているのか。
    (回答)生産現場への影響については、植物防疫課とも懸念を共有している。再評価の結果がどうなるかは、実際に行わないとわからない。メーカーの判断もあるので、これらを把握しつつ、現場への影響は最小になるよう進めていきたい。

    (質問)再評価のハードルは高く、農薬の価格が高騰する可能性がある。これは、農業競争力強化支援法にある「良質かつ低廉な農業資材」に反し、現場での混乱が予想される。また、出荷量の少ない農薬について、メーカーが登録を取り下げる可能性も考えられる。結果として使用できる農薬の種類が減り、抵抗性発達防止のためのローテーション防除ができなくなるなどの悪影響が予想される。
    (回答)より安全なものであることが重要であるという観点で、見直しを考えている。また、農薬自体の価格が高くとも、農作業の省力化に資するような高性能な農薬もあり、そうした農薬への切り替えは生産コスト全体の引き下げに資すると考える。加えて、国際調和が進めば、我が国で販売されている農薬について海外への販路拡大も考えられ、価格が引き下げに資する。

    (質問)農薬使用者への教育も重要と考えるが、間違った使い方をしたとき、罰則はどうするのか。
    (回答)食用作物に使用する場合など、一部の農薬については、現在でも使用方法に義務があり、違反すると罰則がある。これをどこまで広げていくかについては、今後検討していくが、まず事故が起こらないよう適正指導することは重要である。

    (質問)使用方法の変更について、ホームページも有効であるが、農薬使用者がホームページを毎日見るとは限らない。農薬の場合、個別にお知らせするのは無理だと思うが、使用者に確実に伝わるよう、別の手段も考えて欲しい。
    (回答)使用者は、ラベルにある使用基準を守るのが原則である。登録後に使用方法が変更になった場合に、よりタイムリーに情報を伝える手段として、ホームページでの情報提供を考えている。

    (質問)農薬の評価に関する審議を当会で行うとのことだが、公開で行うのか。
    (回答)現行では、農薬の評価に関する事項は審議会の審議事項に入っていない。当省が実施する使用者や蜜蜂への影響評価について、審議会で審議いただくこととし、透明性を確保し、評価の質を向上させたい。

    (質問)農薬原体は、現在の立入検査の対象となっていないが、今後どうするか。
    (回答)検討中である。

    <再評価についての質疑応答>
    (質問)今回の提案は大きな改正であり、メーカーにとっては負担が大きいものである。現時点で、暫定基準値の評価が終了していないものがあるが、新制度を円滑に進める主旨から、暫定基準値の評価が終了してから制度を導入すべきではないか。2021年の評価開始ありきではないのか。
    (回答)2021年の開始としたのは、暫定基準値の評価が2021年に終了することが見込まれるためである。もっと早く新制度を導入すべきとの意見もあるが、当局の体制作りや申請者の準備等を考えると、このタイミングとなる。

    (質問)評価体制や組織はどうするのか。
    (回答)現状、当省のほか、食品への残留評価は厚生労働省、環境への影響評価は環境省が実施しており、再評価制度導入後もこの体制は変わらない。使用者安全の評価や蜜蜂への評価の充実は、当省の所管する範囲内であり、体制の強化に取り組む。

    (質問)受託試験機関の負荷が大きくなり、新規登録や適用拡大のための試験を圧迫するおそれがある。
    (回答)再評価に当たっては、海外データの有効活用など、試験に関する負荷が過大にならないようにしていく。また、農薬によってはデータ作成に時間を要するので、再評価のスケジュール作成の際に考慮する。

    (質問)新しい評価に係る試験法について、適宜開示されるのか。
    (回答)然り。検討会等を設けて決定したい。

    (質問)毒性上の懸念が高いとは、具体的にはどういうことか。
    (回答)海外や過去の評価により、これらの毒性がその農薬の性質としてクリティカルなポイントであると評価結果が下されているもの。

    (質問)優先度は、なぜこの順序なのか。
    (回答)国民が摂取する量が多い可能性のある農薬を先に評価し、安全を確保することが重要。毒性が懸念されるものをその次に評価する。これは欧米と同じ考え方である。

    (質問)EUにおける各優先度の農薬数はどの程度だったのか。
    (回答)EUでは、優先度が一番高い使用量が多い農薬の分類に100剤程度、次に優先度が高い毒性が懸念される分類には有機リン系及びカーバメート系殺虫剤がリストアップされ150剤程度だったと記憶している。

    (質問)優先度付けで、毒性の中に環境中残留に対するものが含まれ、きちんと分類されていない印象を受けた。また、リスク評価するならば、毒性と暴露量双方を合わせて評価すべき。
    (回答)毒性の懸念とは、正確にはハザードが大きいものという意図である。優先度付けは評価ではなく、リスク評価を行うための順序を決めるための規準である。評価する際には、毒性と暴露量の双方を考慮したリスク評価を行う。

    (委員からの主な意見)
    ・ 再評価制度の導入により、新規剤の登録が遅れないようにしていただきたい。
    ・ 毒性上の懸念が高いものとして、生殖発生毒性についても検討いただきたい。
    ・ OECDテストガイドラインの作成の際に、広く意見を照会することを検討いただきたい。

    <蜜蜂についての質疑応答>
    (質問)評価の対象を飼育蜜蜂のみに限定しているのだと思うが、セイヨウミツバチだけが対象なのか。
    (回答)家畜への影響の観点から、飼育されている蜜蜂を対象としている。養蜂で多く飼われているのはセイヨウミツバチである。

    (質問)蜜蜂の評価は、国によっても違うことから、そのまま取り入れるのは難しいと思う。
    (回答)今後検討していくが、日本での農薬の使用、暴露等の実態に合った評価を行いたい。

    (委員からの主な意見)
    ・ 家畜としてだけでなく、環境影響評価にも関連するので省庁間で調整を行っていただきたい。