農業資材審議会 第22回種苗分科会 議事録(令和4年12月9日開催)
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1.日時及び場所
令和4年12月9日(金曜日) 14時00分~16時22分
農林水産省 第2特別会議室(対面およびオンライン併用開催)
2.議事次第
- 開会
- 挨拶
- 議事
諮問事項
種苗法第2条第7項の規定による重要な形質の指定について - 閉会
3.概要
午後2時00分 開会
- 海老原室長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから農業資材審議会第22回種苗分科会を開会いたします。
私、知的財産課種苗室長の海老原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日、委員及び専門委員の方におかれましては、御多忙のところ御出席、ウェブ参加を頂きまして、誠にありがとうございます。御礼申し上げます。
今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策ということもございましたので、会場開催、そしてウェブのハイブリッド形式で行わせていただきたいと思います。いろいろ事務方の方で御不便掛けるところありますけれども、どうぞ御容赦いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入るまでの間、進行を務めさせていただきます。
まず開会に当たりまして、農水省参事官の坂の方から御挨拶申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。 - 坂参事官
皆様、こんにちは。輸出・国際局担当の参事官をしております坂と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座ってやらせていただきます。本日、暮れのお忙しい中、御都合お繰り合わせの上御出席賜りまして誠にありがとうございます。委員各位の皆様方におかれましては、平素より種苗行政につきまして御指導賜っておりますことにつきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
植物の新品種の保護につきましては、昨今いろんな事例の報道がなされておりますけれども、特に果樹を中心といたしまして、我が国で開発されました優良な品種、これが海外に流出して、無断で輸出されている、そういう事例が後を絶たないわけでございます。
知的財産権としては、育成者権、これの保護に対して、こういう状況に対処するために、農林水産省に対しまして有効な対策を講じるべきというようなことが強く求められている、そういう状況でございます。こういった状況に対処するために、農林水産省におきましては、農産物の輸出力の強化につながる品種に対しまして、海外での品種登録を行う活動、これについての財政的な支援などを行ってきたところでございます。さらに、法制度上の強化措置といたしまして、一昨年には種苗法を改正いたしまして、登録品種の海外持ち出し制限が可能となるような措置を講ずるとともに、種苗の増殖を行うに当たっては、育成者権者の許諾を必要とする、そういう措置を講じたところでございます。このような制度的な改正を行ったとはいえ、実際に育成者権者の方々が育成者権の管理を行うというのは非常に負担であって、対応がなかなか難しいところでございます。
こういった状況に対処するため、本年5月から有識者の方々にお集まりいただきまして、海外で流出防止に向けました農産物の知的財産管理に関して、検討会を組織して御議論を頂いてきたところでございます。
この中で、育成者権者に代わりまして、海外への品種登録、それから戦略的なライセンシングを行って、管理された海外生産というものを実現いたしまして、より実効的な品種保護を行うとともに、そのライセンシングによって得られたロイヤリティーを品種開発に還元するような、そういった役割を果たす育成者権管理機関という組織について先週その在り方についての提言を頂いたところでございます。
今後でございますけれども、来年度を目途といたしまして、農研機構を中心として、都道府県、種苗業者、全農等の関係者の方々に連携していただきまして、海外への品種登録支援、それから海外ライセンシングなどの取組に着手をしていただくというような運びになっておりまして、農林水産省といたしましてもこういった関係者の取組を後押ししてまいりたいと思っております。
本日の分科会の議事でございますけれども、なかなか植物の数が多うございますけれども、これまで出願がなかった新たな植物13種類、それから審査基準の国際的な調和等が必要となった植物7種類、さらには従来の運用結果を踏まえた上で、手直しが必要となった植物10種類、合計で30種類の植物につきまして、それらの審査基準における種苗法上の重要な形質の改正について委員の皆様に御審議を頂くということをお願いしたいと思っております。皆様方におかれましては、植物新品種の保護が適切に図られますよう、十分な御審議をお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 - 海老原室長
それでは、まず資料の確認をさせていただきます。
お手元の方に置いてございます、若しくは送付してございます資料の確認をお願いいたします。資料の方は、資料1、2、3、そして参考資料も1、2、3という形になってございます。
まず、資料の1でございますけれども、諮問書の写しというのが資料1、そして資料2の方が横紙になりますけれども、国内外における品種保護をめぐる情勢、そして資料3でございますが、重要な形質の指定に関する説明資料ということでございます。また、参考資料といたしまして、参考資料1、農林水産省告示(重要な形質)の制定について、参考資料2が農業資材審議会に関する参照条文、参考資料3が非常に分厚い資料になってございますが、今回の諮問に係る植物区分の種類別審査基準案ということでございます。
ウェブの方には事前に資料を送付させていただいておりますけれども、欠落等がございましたらお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、今回御審議いただきます委員、専門委員の方々の御紹介をさせていただきます。委員名簿の方を御覧いただければと思います。
まず、種苗分科会長、御挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いします。 - 君嶋分科会長
君嶋でございます。慶應大学法学部で知的財産法を研究・教育しております。本日は司会を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 - 海老原室長
ありがとうございます。
続きまして、彦坂委員の方からも御挨拶いただければと思います。 - 彦坂委員
千葉大学の彦坂と申します。専門は環境調節なので、植物が持っているポテンシャルを引き出すようなことをやっております。こちらで少しでもお役に立てればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。 - 海老原室長
ありがとうございます。
続きまして、御出席委員の皆様を私の方から御紹介申し上げます。よろしくお願いいたします。
まず、ウェブ参加で阿部委員様でございます。それから、笈川委員様、そして髙山委員様、富田委員様、それから長岡委員様、そしてウェブで森井委員様、続きまして専門委員の方でいらっしゃいます明石専門委員様、ウェブでございます。それから、ウェブの淺木専門委員様、同じくウェブでの参加になります河野専門委員様、それからこちらもウェブでございますが西川専門委員様、最後に山田専門委員様でございます。よろしくお願いいたします。
本分科会は、委員全員8名のところ、本日はありがとうございます、皆様御出席いただいておりますので、農業資材審議会令第7条第1項の規定によりまして、本分科会は成立することを御報告申し上げます。
また、本日事務局につきましては、先ほど挨拶を申し上げました参事官の坂、それから所用により出席が遅れておりますけれども、知的財産課長の松本、そして私、種苗室長の海老原ほか、担当者の方で事務方を務めさせていただきます。時間の都合もございますので、紹介の方は割愛させていただきます。
なお、本日の分科会の議事録につきましては公開という扱いになりますので、あらかじめ御了解いただければと思っております。
それでは、これからの議事の進行に当たりましては、審議会議事規則によりまして、分科会長の君嶋委員に議事進行の方をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
それでは、早速議事に入らせていただきます。音声の方、大丈夫でしょうか。
それでは、農林水産大臣から本審議会に対し、資料1のとおり、農林水産植物の「重要な形質」の指定について諮問がありました。
本日はこの諮問について御議論いただきますが、その前に情報提供といたしまして、国内外における品種保護をめぐる情勢について、事務局より説明をお願いいたします。 - 海老原室長
ありがとうございます。引き続き室長の海老原でございます。
お手元の資料の資料2、国内外における品種保護をめぐる情勢というものを御覧いただければと思います。
昨今の品種登録等々の情報について、御紹介させていただければと思っております。時間もございますので、手短な形で御紹介させていただきます。
まず、1ページ開いていただきまして、新品種の出願・登録の状況ということでございます。出願件数が上の棒グラフ、下が登録品種数ということになっておるんですけれども、全体の傾向としましては、平成19年をピークに、緩やかに今は減少傾向ということになってございます。令和3年度まで数字を出してございますが、若干令和3年で少し増加しているんですけども、トレンドとしては緩やかに減少しているというのが今の現状でございます。
次のページをお願いいたします。登録品種の状況ということになるんですけれども、現在、登録されている有効登録品種ということでございますが、大体7,000品種から8,000品種というところの水準で推移しているという状況でございます。下の方に円グラフで示してございますが、登録品種の内訳として、作物別に見ると草花、観賞樹といったものがやはり多うございます。また、どういった権利者の方がいらっしゃるかということになるんですけれども、種苗会社の方が中心になっているというのが現状でございます。
次のページをお願いいたします。作物ごとに、どのような権利者というか、育成した者が占めているかということになるんですけれども、特に公的機関というところで着目して御紹介申し上げますと、全体の育成者割合で見ますと大体4分の1が公的な機関ということになります。その作物別に見ると、いわゆる食用作物、米、麦、大豆とか、果樹、野菜といったものについては、一定の公的機関の方が割合の大きいところを占めているというのが状況でございます。
次のページをお願いいたします。いわゆる属性別の登録出願でございますけれども、推移を見てみますと、先ほど申し上げたとおり登録出願数は減っているという中で、やはりその中でも都道府県の出願の割合が減ってきているというのが今の現状でございます。
次のページをお願いをいたします。続きまして、海外からの登録の傾向ということで、若干数字が細か過ぎて大変申し訳ないんですけれども、やはりヨーロッパ、オランダ、ドイツ、そして米国というところから我が国に対する出願が多いという状況でございます。特にオランダ、花卉産業大国でございますけれども、草花、観賞樹の出願が多くなっているという状況でございます。
次のスライドをお願いいたします。主要国における出願の状況ですが、青い線で非常に右肩上がりになっているところがございますが、これは中国の出願数の推移でございます。非常に中国、発展をしてきておりますけれども、その状況を反映しまして、今、非常にその登録出願数というのは増えております。片や我が国は底辺の方に、赤線の太字で示してございますが、ピーク時から減ってきていて伸びていないという状況でございます。やはり農業の発展の根幹は優良な品種ということがございますので、研究開発の推進や知的財産権の適切な保護・活用を通じて品種開発の環境整備を進めていかなければいけないというのが現状の課題ということになってございます。
次のスライドをお願いをいたします。こちらは、UPOV加盟国における出願状況ということでございまして、やはり御覧いただくとおり、2021年の棒グラフでございますが、中国が大きな割合を占めるように今はなってきているということでございます。
次のスライドをお願いいたします。こちらは、そのランキング別に示したものでございますが、日本は大体赤字で示すとおり、上位の方には来ておりますが、やはり中国の台頭というのが大きくなってきているということでございます。
次のスライドをお願いいたします。我が国の取組といたしまして、知的財産の保護を図っていくという中で、やはり登録審査というもののスピードアップを図っていかなければいけないということがございます。そういった中で、いわゆるUPOV条約に基づきまして、UPOV加盟国が審査を行う際に、他国の審査結果を活用することができるようになっておりますので、積極的に我が国の品種データも使ってもらえるようにということで、審査協力というのを積極的にやらせていただいているということでございます。現在、スライドに書いてございますような15か国の国・地域と取決めを結んでいるところでございます。ただ、この審査協力を進めていく上で前提となるのが、やはりUPOVのテストガイドラインということで、国際スタンダードとなるひな形が示されてございますので、今回御審議いただくことにも関連いたしますけれども、そのUPOVのテストガイドラインに合わせた審査基準というのを検討していくことが重要になってきているということでございます。
次のスライドをお願いいたします。最後の御紹介になるんですけれども、先ほど参事官の坂からも御紹介申し上げましたが、やはり近年、我が国の優良品種、特にシャインマスカットとか、ルビーロマンといった果樹の品種流出というのがマスコミ等々でも報道されているところでございます。知的財産権につきましては、一義的には権利者の方が管理していただくものということではございますが、現実としては、公的機関、特に中小の種苗会社の方、個人の育成者の方が多うございますので、やはり適切に管理をしていく、具体的には、海外出願登録をしたりとか、侵害があったときの対応、若しくはその権利を生かして海外でロイヤリティーを得ていくライセンスといった取組というのは、なかなか難しいところがございます。ただ、こういったものに取り組むことが海外での侵害防止にもつながるということでございますので、育成者権者に代わりまして、専任的に知的財産権を管理して、ライセンスとか侵害対応、出願登録といったのに取り組む育成者権管理機関の設立を目指すということで、先ほど御紹介申し上げましたけども、学識経験者の方に議論していただきまして、整理をさせていただいて、提言をまとめたところでございます。スライドにも書いてございますとおり、まだ来年から設立ということではないんですが、図にお示ししているようなイメージを念頭に置きながら、農研機構を中心に関係団体で準備体制を整備し取組に着手するということになってございます。早期の法人設立に向けて、農林水産省としてもこの取組というのを支援してまいりたいということでございます。
取り急ぎではございますけれども、昨今の品種登録制度をめぐるトピックというか状況ということで御紹介させていただきました。ありがとうございます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。ただいまの説明に対して、御質問、御意見等があればお願いいたします。御質問等がある方は挙手をお願いいたします。ウェブ参加の委員におかれましては、下の部分の手のマークを押し、挙手の表示をしていただき、指名されましたらミュートを解除して御発言をお願いいたします。特にはよろしいでしょうか。
それでは、これより諮問事項の内容としまして、「重要な形質」の追加見直しについて事務局より説明をお願いいたします。 - 柏木総括審査官
総括審査官の柏木と申します。資料3の重要な形質の指定に関する説明資料につきましては、私の方から御説明をさせていただきます。
それでは、早速ですが1ページ目をお願いいたします。重要な形質は、この農業資材審議会の意見を聴きまして、農林水産大臣が農林水産植物の区分ごとに定めることになっておりまして、品種登録の要件のうち、品種特性に係る区別性、均一性、安定性の三つの審査に用いられまして、品種登録の適否を判定する要素となっております。また、今般、種苗法改正におきまして、法的に位置付けられました特性表を構成する要素にもなっております。したがいまして、定められた重要な形質以外の形質で差異がありましても、直ちに区別性として取り扱われることはございません。しかしながら、その形質の必要性が認められる場合には、手続を踏みまして、審議会にお諮りし、重要な形質として追加できるようになってございます。我が国では、UPOVの指針に基づきまして、重要な形質を具体化したものを審査基準として使っているわけですけれども、UPOVの一般指針の中には特性審査に用いる形質について六つの要件が示されております。一つ目は、一定の遺伝子型又はその組合せの結果発現するもの、二つ目は、ある環境条件下で十分な一貫性と再現性があるもの、3番目は、品種間で区別性を確認できる十分な違いがあるもの、4番目は、詳細な定義、認識が可能なもの、5番目として、均一性の要件を満たすもの、6番目として、安定性の要件を満たすものでございます。5番目の均一性というのは、同一世代の植物体全てが特性の全部において十分に類似しているということでございます。6番目の安定性というのは、繰り返し繁殖された後も特性の全部を維持しているということでございます。
2ページ目をお願いいたします。次に、我が国の審査基準とUPOVテストガイドラインとの関係でございます。UPOVでは、農産物、果樹、野菜、草花と観賞樹、この四つの技術作業部会ごとに毎年会合を開催しておりまして、テストガイドラインを植物種類ごとに作成・改正しております。我が国の審査基準は、今回御審議いただくものを含めまして現在719種類ございます。一方、UPOVのテストガイドラインは338種類ございます。この両方に共通する審査基準が249種類ございまして、このうち我が国の審査基準がUPOVのテストガイドラインに整合しているものが現在194種類でございます。また、我が国独自の審査基準が470種類ございまして、一方で我が国にはないテストガイドラインが89種類ございます。
それでは、3ページ目をお願いします。今回諮問させていただきます種類ですけれども、ここに一覧がありますとおり、先ほど坂参事官の方から御説明いただいたとおり、区分を新設するものが13種類、UPOVテストガイドラインへの準拠等により改正するものが7種類、審査の運用の結果等により改正するものが10種類ございます。
では、種類ごとに御説明いたしますので、4ページ目をお願いします。
まず初めに、区分を新設するものですが、ブプレウルムロツンディフォリウムという植物になります。セリ科のブプレウルム属のロツンディフォリウム種を対象とする草花でありまして、原産地はヨーロッパからロシアに分布しております。用途としましては、切り花や切り枝として供される植物になります。本種はUPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものでございます。特徴としましては、ごく小さい花で、花房を形成しますが、花色の変異は余り認められませんので、観賞用ですけれども、花色の形質を設定しませんで、葉や花房に関する形質を中心に設定しております。こちらは全て必須形質としております。
続きまして、5ページ目をお願いします。
ジョウザンアジサイになります。アジサイ科のジョウザン属のジョウザンアジサイ種を対象とする観賞樹でありまして、中国南部、ヒマラヤ、マレーシアなどが原産地になります。用途としましては、鉢物や庭園用として主に花や果実を観賞しますけれども、根は「常山」といいまして、薬用に使用されています。本種もUPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。観賞価値のある花、つぼみ及び果実に関する形質を中心に設定しておりまして、全て必須形質としております。事前に富田委員から、がく片の形質の追加、それと笈川委員から紫葉と緑葉の違いを評価するために、葉身のアントシアニン発現の多少について重要な形質の追加の御指摘がありました。こちらの形質につきましては、事前に検証等をしておりまして、その中で品種間の違いが認められませんでしたので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。
続きまして、6ページお願いします。
チゴユリになります。イヌサフラン科のチゴユリ属を対象とする多年草でありまして、アジア中南部、北アメリカが原産地になります。用途としましては、鉢物や庭園、草丈の高いものは切り花として供されるものになります。本種につきましてもUPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなりますけれども、形質につきましてはアマドコロ属の現行基準を参考にしまして、主に花を観賞する植物ですので、花の形質と、出願されている品種は葉に斑が入る特徴がありますので、斑に関する形質を中心に設定しておりまして、こちらも全て必須形質としております。事前に富田委員から、茎の分枝に関する形質の追加について御指摘がありました。基準案作成時の検証におきまして、品種間差が確認できませんでしたので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加の検討をしたいと考えております。これとは別に、髙山委員からもチゴユリとアマドコロの特性表については、類似する項目が多いので、双方を統一する必要はないでしょうかという御指摘がありました。アマドコロは現行の基準がありまして、今回改正となりますけれども、現行の基準は旧様式でありまして、形質名や特性につきましてはほぼ変えることなく新様式に移行するものとしております。チゴユリは新たに作成するものでして、アマドコロを参考にしておりますけれども、形質名や特性につきましては最近のUPOVテストガイドラインで使用している用語に合わせていることもありまして、少しその辺が異なっているということであります。また、他の御指摘としまして、花の形がホウチャクソウを想定している分類になっているようですけども、チゴユリのような離弁花が想定されていないのではないでしょうかという御指摘がありました。特性は、合弁、離弁かは問わずに、花を側面から見た形状を評価するようにしておりますけれども、御指摘いただきましたチゴユリに該当する皿形の評価ができないという状態でしたので、皿形を特性に追加しております。これとは別に、長岡委員から1花序に何輪の花が付くのかは、種によって変異が大きいので、形質に必要ではないでしょうかという御指摘がありました。こちらの方ですが、審査基準案作成時、それと検証等におきまして、秋植えで翌年の初夏までの鉢植えの栽培におきまして、入手できた品種を確認しておりますけれども、その中で明確な品種間差が確認できませんでしたので、今回は設定しませんでした。また、他の御指摘としまして、葉や茎のアントシアニン着色の有無や果実に関する形質についても追加の御指摘がありまして、今回出願されている品種ですけれども、葉に斑が入るというのが特徴となっておりまして、検証の際、花の着生が見られなかったこともありまして、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。
続きまして、7ページ目をお願いします。ドリクニウム ヒルスツムになります。
マメ科のドリクニウム属を対象とする観賞樹でありまして、原産地はポルトガル、地中海沿岸になります。用途としましては、鉢物やグラウンドカバーとして利用されるものになります。本植物につきましてもUPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものになります。葉を観賞する植物で斑も入りますけれども、新葉と成葉で鮮明さが異なるものがありますので、新葉と成葉に分けるなど、葉に関する形質を中心に設定しております。こちらの方も全て必須形質としております。事前に長岡委員から、属名の分類につきまして、現時点ではドリクニウム属ではなくてロータス属の方が正名であるため、同種異名を併記できるようにするべきではないでしょうかという御意見がありました。こちらにつきまして、UPOVの植物種類データベースがありまして、そちらの方がドリクニウム ヒルスツムとなっておりまして、UPOVのデータベース上では他国の品種もドリクニウム属で管理されておりますので、国際調和の観点から、UPOVに合わせてこのままとさせていただきたいと思います。今後、UPOVのデータベースで学名が変更されましたら、日本も合わせて改正することとしたいと考えております。また、別の御指摘としまして、葉色について新葉と成葉の二つに分かれておりますけれども、この二つの形質をチェックすれば十分であるため、形質6番の「葉の色の変化の有無」というのは不要ではないでしょうかという御指摘がありまして、こちらの形質につきましては御指摘のとおりでありまして、新葉と成葉の色を比較することで推定できるということで、重複感はあるんですけれども、対照品種を選定する際に、品種のグループ分けに有用と考えて設定しておりますので、このままとさせていただきたいと思っております。
続きまして、8ページをお願いします。ヤツデになります。
ウコギ科のヤツデ属のヤツデ種を対象とする観賞樹でありまして、原産地は日本になります。用途としましては、主に庭園に利用されるものになりますけれども、こちらにつきましてもUPOVのテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。主に葉を観賞する植物で、大きく切れ込んだ葉が特徴的で、斑入りの園芸種も多いため、それらに関する形質を中心に設定しておりまして、こちらは全て必須形質としております。こちらも事前に富田委員から御指摘等ありまして、形質3番、4番の定義にある「展開始め」の時期について、僅かな時期の差で変化が大きいので、詳細な時期を表記できるとよいのではないでしょうかという御指摘がありました。実際に確認しておりまして、葉身の幅が5センチ前後のものが特性も安定して、かつ成葉より若干淡い新葉の色を示しておりましたので、調査方法の調査時期等の項に「新葉に関する形質は葉身の幅が5センチ程度に展開した時期に調査する」ということを追記しております。これとは別に、髙山委員からも形質9番、10番の「葉縁の鋸歯の粗密」と「深さ」について、図がないので追加した方が調査しやすいのではないでしょうかという御指摘がありまして、こちらは、全ての特性ではないんですけれども、幾つか写真がありましたので、追加しております。また別に、形質8番の「葉身の切れ込みの深さ」と、形質13番の「葉身の頂裂片の長さ」について、図のラインの引き方につきまして注釈が必要ではないでしょうかという御指摘がありましたので、こちらの方は図にそれぞれ注釈を追記しております。それとはまた別に、長岡委員から斑入りの品種が多いということですので、斑の出現パターンが「後暗み」と「後冴え」の特性が必要ではないでしょうかという御指摘がありました。現在出願されている品種は斑がないものでありまして、現時点では斑の出現パターン等、詳細な知見が不足しておりますので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。
続いて、9ページ、ムラサキベンケイソウになります。
ベンケイソウ科のムラサキベンケイソウ属を対象とする多年草でありまして、原産地は東アジアを中心とする北半球の温帯から亜寒帯になります。かつてはセダムに分類されておりましたけれども、現在はヒロテレフィウムに分類されております。こちらにつきましても、UPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。形質につきましては花や葉を中心に設定しておりまして、全て必須形質としております。こちらも事前に富田委員から、節間長に関する形質は必要ないでしょうかという御指摘がありました。こちらも検証等で確認した品種におきまして、茎の長さが同程度でありながら、節間長が明確にかつ安定的に差があると見られる品種は今回確認できておりませんでしたので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。
続きまして、10ページ、ケンペリア パルビフロラになります。
ショウガ科のケンペリア属のパルビフロラ種を対象とする工芸作物でありまして、原産地はタイになります。本種につきましても、UPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。こちらは、根茎の断面が紫色となっておりますので、国内では黒ウコンとも呼ばれているようですけれども、ウコンやショウガの仲間ではないということで、根茎にはフラボノイド類を多く含んでいるようで、薬効について研究がなされているようです。形質につきましては、現行のクルクマ属の審査基準を参考としまして、根茎にフラボノイド類を多く含むということですので、その成分を形質として設定しております。そのため、形質名としましては「根茎の5,7-ジメトキシフラボン成分含量」の形質のみを選択形質としております。こちらも事前に河野専門委員から、語句の修正と、既存品種の特性表の不要部分について御指摘ありましたので、修正しております。別に、笈川委員からは、薬草としての利用だけなのか、それとも花や葉を観賞するのではないでしょうかという御指摘がありました。現在出願されている品種は、薬用として利用することを目的としておりますので、そのことを今回主眼として重要な形質を設定したところです。そのため、今回はこのままとさせていただきまして、今後、観賞用の出願があった際に、品種間差を検証しまして、花や葉に関する形質の追加を検討したいと考えております。
続きまして、11ページ、サクラ(台木用)になります。
バラ科のサクラ属の台木用品種を対象とするものでありまして、北半球の各地に分布しているものです。こちらはUPOVのテストガイドラインが作成されておりますけども、日本では新規に作成するものとなります。重要な形質はテストガイドラインに準拠しまして、標準品種を新たに設定したものとなっております。なお、台木用品種を対象としておりますので、花や果実に関する形質につきましては除いた設定となっております。こちらも全て必須形質としております。
続きまして、12ページ、サルココッカになります。
ツゲ科のサルココッカ属のコンフサ種とホーケリアナ種、ホーケリアナ種のディギナ変種とルスキフォリア種の3種を対象とするものでありまして、原産地は、インド、マレーシア、中国南部にかけて分布しております。用途としましては、主に庭園や鉢物、切り枝などに利用される観賞樹になります。こちらは、テストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。主に葉を観賞する植物でありますので、葉に関する形質を中心に設定しております。こちらも全て必須形質としております。
続きまして、13ページ、オオシラフカズラになります。
サトイモ科のスキンダプスス属のオオシラフカズラ種を対象とする多年草でありまして、原産地は熱帯アジア、インド、ニューギニアなどに分布しておりまして、斑入りの葉が特徴的で、斑点や斑が散在して、樹木などによじ登って10メートル程度まで伸びる植物となります。用途としましては鉢物で、ヘゴなどの支柱に登らせて観賞するものになります。こちらにつきましても、UPOVのテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。葉全面に斑が見られますので、斑の形質を中心に設定しておりまして、こちらも全て必須形質としております。こちらは富田委員から事前に御指摘等ありまして、栽培時に気根が接地して、伸びてしまうと形質9番、14番、15番などの斑の分布や型に影響が出ることが考えられますので、注意した方がよいのではないでしょうかという御意見を頂きましたので、栽培試験の実施において試験方法を統一して行うよう対応していきたいと考えております。長岡委員からは、本植物につきまして写真や特徴等を御教示いただくとともに、形質9の「基部葉と比較した先端部葉の斑の変化」の写真について、「1ほぼ変わらない」というのは、よく写真を見ますとつるの先端の部分の方では斑が少なくなっていて、「2先端に向けて少なくなる」という写真の方は、全面を覆う白斑がなくなって、基本種の模様が現れているという御指摘がありました。こちらは御指摘のとおりで細かく見ればそうなるんですけれども、一定の傾向を評価することとしておりますので、今回このままとさせていただければと考えております。また、別に形質10番の「基部葉の葉身の斑の分布」と、形質14の「先端部葉の葉身の斑の分布」について、タイプ分けが不十分ではないでしょうかという御指摘がありました。今回、検証等で確認できた品種というのは限られておりまして、全てを網羅することが難しいということがありましたので、今回は基本的な評価ができるような設定にしております。今回はこのままとさせていただきまして、今後新たなタイプの斑等が出てきましたら、必要に応じてその品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。さらに別の指摘としまして、このタイプの斑ですけれども、葉緑素の欠落による斑入りではなくて、葉の表皮細胞の構造の変化による反射光の多少による模様であるため、「斑」の用語というのが正しいのかどうかを確認した方がいいのではないでしょうかという御指摘がありました。審査基準案の作成におきましては、小学館の「園芸植物大事典」を参考文献としておりまして、こちらのオオシラフカズラ種の項に「葉に斑の入る種類がある」という記載があり、今回はこの記載を基に、斑と整理しておりますので、今回はこのままとさせていただければと思います。
続きまして、14ページ、メキシコマンネングサになります。
ベンケイソウ科のセドゥム属のメキシコマンネングサ種、ツルマンネングサ種、それと、オノマンネングサ種を対象とする草花でありまして、原産地は、メキシコマンネングサ種はメキシコと表記されておりますけれども、原産地は不明になっております。他の2種も中国、朝鮮半島が原産ではないかとも言われておりまして、日本でも河原などに見られまして、古くから帰化したものと考えられています。用途としましては、グラウンドカバーや屋上の緑化等に利用されるものになります。こちらにつきましても、UPOVのテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。メキシコマンネングサ種に近縁のツルマンネングサ、それと、オノマンネングサを包括する基準としておりますので、主に葉を観賞するものでして、花は識別性が難しいというところもありまして、葉の形質を中心に設定しております。こちらは全て必須形質としております。こちらも、髙山委員から事前に御指摘等ありまして、小花に関する形質がないのは差異がないためでしょうかとありました。この基準案は3種を対象としておりますけれども、検証等におきまして、ツルマンネングサ、オノマンネングサには十分開花しない品種があったということと、メキシコマンネングサは開花したものの品種間差が確認できなかったというところで、今回は設定しませんでした。これとは別に富田委員から、葉に関する形質で、葉の厚み、若しくは葉の断面の形は必要ないでしょうという御指摘がありました。対象の3種とも葉が非常に小さいことと、現時点では明瞭な品種間差が確認できていないということで、今回は設定しませんでした。
続きまして、15ページ、ガマズミになります。
レンプクソウ科のウィブルヌム属のガマズミ種、それとランタナ種を対象とする観賞樹でありまして、原産地はガマズミ種が日本、中国、それとランタナ種がヨーロッパ、北アメリカ、西南アジアに分布しております。用途としましては、晩春から初夏にかけて白い小花の花序を作りますけれども、秋には赤又は黒の果実を付けますので、主に庭園用としての利用が多いようですけれども、鉢物や切り枝にも利用されるものとなっております。こちらにつきましても、UPOVのテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。同じガマズミ属のオオデマリ種とヨウシュカンボク種の審査基準を参考に、主に花及び果実を観賞する植物になりますので、それら形質を中心に設定しておりまして、こちらも全て必須形質としております。
続きまして、16ページ、ウェストリンギアになります。
シソ科のウェストリンギア属のフルティコサ種を対象とする観賞樹でありまして、原産地はオーストラリアになります。用途としましては、鉢物や庭園用に利用されるものになります。こちらにつきましても、UPOVのテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に重要な形質を作成するものとなります。主に葉や花を観賞する植物で、葉が密生してシルバーリーフに見えるという品種もありますので、それらの形質を中心に設定しておりまして、こちらも全て必須形質としております。事前に富田委員から、形質番号13の「葉の表面の斑の有無」のほかに、白と黄色の斑の覆輪品種がありますので、斑の色の形質が必要ではないでしょうかという御指摘がありまして、今回の審査基準案作成時に検証できた品種というのは白の斑のみの品種でしたので、色の変異、幅について今回十分な検証ができていないということですので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。
続きまして、こちらの方からはUPOVのテストガイドラインへの準拠等により改正するものになります。
まず、17ページのアベリアという植物になります。
スイカズラ科のアベリア属を対象とする観賞樹でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVのテストガイドラインが作成されておりますので、これに準拠するとともに、秋から冬の気温の低下に伴って葉身に赤色系の着色が見られる品種がありまして、この変化の有無と、冬季の葉色について明確に区別性のある品種が出願されておりますので、日本独自の形質としまして新たに形質を追加しております。それと、標準品種の追加等も含めた検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらは全て必須形質としております。こちらも事前に富田委員から、アベリア属には完全な落葉性の種類もありますので、常緑と落葉性の違いも形質として重要ではないでしょうかという御指摘がありました。落葉性の形質につきましては、これまで出願された品種が全て常緑のみでありましたので、今回はこのままとさせていただきまして、今後、落葉性のみで区別される品種が出願されましたら、品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。なお、今回の御指摘に関連しまして、形質17の「葉身の色の冬季の変化の有無」の定義欄に「落葉性の品種を除く」ということを括弧書きで追記しております。また、別の御指摘としまして、節間長や花冠裂片の切れ込みの深さは不要でしょうかという御指摘がありました。節間長につきましては、現行の審査基準にありますけれども、これまで区別性にあまり使用されてこなかったということで、今回はこのままにしていただければと思います。また、花冠裂片の切れ込みの深さですけれども、現行の審査基準にこちらはありませんで、品種間差に関する知見が乏しいので、こちらも今回はこのままとさせていただきまして、今後これらの形質に関して特徴がある品種が出願された際に、検証の上、追加を検討したいと考えております。これとは別に笈川委員から、欧州から出願の多い品目であるため、UPOVテストガイドラインに合わせてありますけれども、日本案で追加してあるものは測定の形質が多いため、より登録されやすいのではないでしょうかという御指摘がありまして、今回はUPOVのテストガイドラインに準拠するための改正となりますけれども、基本方針としましては、UPOVテストガイドラインに完全整合した上で、日本の過去の登録時に区別性として使用された形質の必要性を検討しまして追加しております。今後も出願品種の動向に合わせて、区別性に必要な形質の追加は検討してまいりたいと考えております。
続きまして、18ページ、ツバキ(茶を除く。)になります。
ツバキ科のツバキ属の茶種を除くものを対象とする観賞樹でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVのテストガイドラインが作成されておりますので、これに準拠するとともに、過去の登録品種におきまして、区別性に使用されてきた形質のうち、使用頻度が比較的高いもの、それと品種の特徴の記述のために必要な形質として、「つぼみの形」とか「花糸の色」等を日本独自の形質として追加しております。それと、標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、重要な形質も改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。事前に富田委員から、形質8の「葉の配列」の図解ですけれども、3の「らせん状」について、通常は1の「互生」の範疇になるのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらはUPOVのテストガイドラインに合わせた状態区分としておりますので、御了承いただければと思います。また、別の御指摘としまして、形質番号21、「葉身の斑の分布」につきまして、複輪、中斑など、一般的な斑の名称を使ってないのはなぜでしょうかという御指摘がありまして、こちらもUPOVのテストガイドラインとの整合のため、英語を直訳にしておりますので、御了承いただければと思います。さらに別に、形質番号58の「開花期」につきまして、アザレアツバキのように、夏に咲く種類を交配親にするなど、今後、開花期が広がることが考えられますので、早晩の基準が分かるように説明があるとよいのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、UPOVのテストガイドラインでは、夏咲きのものを1の「極早」、晩春咲きを9の「極晩」と想定しておりますので、それを基準にしたいと考えております。そこで、特性表の説明に、「開花期は夏咲きを極早、晩春咲きを極晩として評価する」という旨を追記しております。これとは別に、笈川委員からは、調査項目の多さに反して、標準品種の記載が少な過ぎるのが気になります。お茶との交雑も考えてとのことと思われますけれども、UPOVの基準に合わせ過ぎなのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、UPOVテストガイドラインに掲載されている標準品種等も見たんですけども、中国等の海外の品種が大半でありまして、日本で栽培した場合の特性が確認できていないということと、今回の基準案につきましては図が多く掲載されておりますので、標準品種がなくても評価できる形質が多いものと考えております。今回は、根拠が乏しい標準品種は設定しておりませんで、今後の審査において標準品種の候補の知見を蓄積していきまして、今後標準品種の追加等を検討したいと考えております。また、別の御指摘としまして、形質番号1の「樹姿」について、若年の株で判断するのは可能でしょうか、特に1の「直立」と2の「半直立」の差というのはどれほどを見ればよいのでしょうかという御指摘がありまして、株の年数につきましては審査期間を何十年も掛けるということは、出願者の方にとりましても現実的ではないと考えますので、特性の評価に十分な数の開花が見られるようになった株で評価するということはやむを得ないと考えております。また、1の「直立」と2の「半直立」の評価ですけれども、こちらは審査基準の図がありますので、そちらを参考としまして、どちらに最も近いかということを選択して評価していきたいと考えております。これとは別に長岡委員からは、「開花期」は早中晩という曖昧な表現でよいのでしょうか。不定期開花、それと早秋に開花するもの、春と秋に開花するものなどがありまして、開花パターンが選べるようにしてはどうでしょうかという御指摘がありました。今回はUPOVのテストガイドラインに整合のため、開花期につきましては早中晩の評価としておりますけども、開花パターンにつきましては秋から春咲きとされている品種でも、気象条件によって秋冬の開花が見られないという不安定な面もありますので、正確な開花パターンを評価するための知見が現在は不足しておりますので、今後の課題にしたいと考えております。
続きまして、20ページ、クリになります。
ブナ科のクリ属を対象とする果樹でありまして、現行の審査基準はUPOVのテストガイドラインに準拠したものでありますけれども、UPOVのテストガイドラインが改正されまして、形質の追加等、見直しが行われておりますので、最新のUPOVのテストガイドラインに完全に準拠するという形で形質の見直し、それと標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。なお、こちらは阿部委員から、標準品種の設定につきまして形質ごとに御指摘がありましたので、確認の上、御指摘のとおり修正しております。そのほか、「利平ぐり」という正式名称ですけれども、「利平」と表記されているものがありましたので、こちらも修正しております。
続きまして、21ページ、オオムギになります。
こちらは、イネ科、オオムギ属のオオムギ種を対象とする食用作物でありまして、本種の審査基準はUPOVのテストガイドラインに概ね準拠した形でありましたけども、UPOVのテストガイドラインが改正されまして形質の追加等、見直しが行われておりますので、最新のUPOVのテストガイドラインに準拠するとともに、標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。選択形質としまして「麦芽エキスの多少(ビール用品種に限る)」等、9形質あります。こちらは、昨年度の審議会で御審議いただきました形質と同じとなっております。事前に淺木専門委員から、形質番号27「穀粒の外穎背面内側面の脈沿いの突起」の、「脈沿いの突起」というのはどれなのか分かりにくいので、穀粒の横断面の図を追加して示すと分かりやすいのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、特性表の説明に写真を載せておりまして、赤丸で囲った部分ですけれども、トゲのように見えるのが突起になります。かなり細かい部分になりますので、なかなか図で表現するのが難しいと考えておりまして、このままにしていただければと思います。別の御指摘としましては、形質番号28「穀粒の稃の有無」について、「皮性」と「裸性」の有無ということでしょうか。そうだとしますと、「稃の有無」ということは、元々稃がない性質と勘違いしてしまうのでしょうかという御指摘がありました。UPOVのテストガイドラインでは、形質名が「Grain: type」で、階級1が「non-husked」、階級2が「husked」となっておりまして、元々外皮がないタイプはありませんので、「稃の有無」イコール「皮裸性」と理解しております。御指摘のとおり分かりにくいと思いますので、特性表の説明に、「無は裸麦(裸性)、有は皮麦(皮性)」である旨を追記しております。さらに別の御指摘としまして、形質番号29「穀粒の腹側の縦溝の毛の有無」につきまして、ここでの「穀粒」というのは稃が付いたものを示しているということでよいでしょうか。イネでは「穀粒」といいますと、稃を取り除いた玄米のことを示すと思いますけれども、オオムギでは稃が付いたものを示すということでよいでしょうかという御指摘がありました。こちらの形質26から29は、UPOVテストガイドラインでは「Grainの○○」となっておりまして、「Grain」というのが「穀粒」と訳しておりますので、これらの形質は脱穀前の穀粒を観察するとしておりますので、御理解のとおりの稃が付いたものを示しているということになります。
続きまして、22ページ、ボタンになります。
ボタン科のボタン属のボタン種、ワイボタン種、バエオニア オスティイ種、バエオニア ロッキイ種、シボタン種、バエオニア キウイ種及びタイカキボタン種を対象とする観賞樹でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVのテストガイドラインが作成されておりますので、これに完全に準拠する形で形質の見直し、それと標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。こちらは、富田委員から形質番号1「樹姿」につきまして、接ぎ木後1年苗の1生育周期の後では樹姿に差が出ないので、全ての品種が直立になるのではないでしょうか。説明の図の樹姿は何年も栽培した状態になるのではないでしょうかという御指摘がありました。調査適期につきましては、審査基準の1ページ目の試験の実施の調査方法のところに記載されておりますけれども、供試した全株が2花以上開花している時期になります。これは1年生苗を定植後、数年を要すると考えておりますので、それまでの期間を1生育周期と考えております。また、別の御指摘がありまして、形質番号5「前年枝の開花枝の数」につきまして、品種間差よりも供試株の前歴、栽培条件による差が大きいのではないでしょうかという御指摘がありました。供試する全品種を同一条件で栽培しての比較になりますし、前述のとおり、定植後、数年を経過した株を調査することとしておりますので、品種間差は出るものと考えております。また、さらに形質番号22「花の形状」につきまして、「一重咲き」と「金しべ咲き」の違いは花粉の有無ではないでしょうか。図では花弁の角度が異なって記載されておりますので、違和感を感じますとの御指摘です。「金しべ咲き」は大きい葯と平たい花糸を持ちまして、花芯部が大きく見える点で一重咲きと区別できます。それと、花の形状は一株の中でもばらつくことがありますので、最も複雑な形状の花を調査するように規定しておりますけれども、分かりにくいため、形質22番の定義欄に「最も複雑な形状の花で調査する」と追記しております。これとは別に、長岡委員からは、寒牡丹は発達した頂芽のみが冬に開花するもので、それ以外の花芽は春に咲くと聞いております。また、寒咲き性の有無、それと強弱は品種によって異なると記憶しておりますので、形質に加える必要はないでしょうかという御指摘がありまして、寒咲き性の有無、それと強弱につきましては、観賞樹としましては重要な形質でありますけれども、気象条件等に左右されるなど、正確な評価が困難な面もありますので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加を検討したいと考えております。
続きまして、23ページ、エリンギになります。
ヒラタケ科、ヒラタケ属のエリンギ種を対象とするキノコでありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVのテストガイドラインが作成されておりますので、これに準拠するとともに、過去の登録品種において区別性に使用されてきました形質のうち、使用頻度の比較的高いもの、品種の特徴の記述のために必要な形質としまして、「菌糸体の温度別成長量」等を日本独自の形質として追加しております。それと標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらにつきましても全て必須形質としております。こちらは、山田専門委員から事前に御指摘がありまして、形質20番「ひだの長さ」の定義につきまして、参考図と合っていないということと、関連しまして、形質24、「菌柄の形」においても補足の説明が必要ではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、形質24の階級6にあります「下太」の写真のようなものと推察しますけれども、このような品種でも「ひだ」がないわけではないですけれども、測定が難しい品種に対応するため、形質20番の「ひだの長さ」の階級1の「極短」を、「無又は極短」に修正しております。そのほか、語句や英語等につきまして幾つか御指摘を頂きましたので、併せて修正をしております。
続きまして、24ページ、プレクトランツス スクテラリオイデス(コリウス)になります。
こちらは、シソ科のプレクトランツス属のスクテラリオイデス種を対象とする草花でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVのテストガイドラインが作成されておりますので、これに完全準拠する形で形質の見直し、標準品種の追加等を含めて検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらは全て必須形質としております。事前に富田委員から、花の咲きやすさ、咲きにくさというのは育種目標としてあると思いますので、形質として必要ではないでしょうかという御指摘がありました。現時点では知見が不足していますので、今回はこのままとさせていただきまして、次回の改正時に品種間差を検証の上、追加等を検討したいと考えております。別に、長岡委員からは、種子繁殖性品種と栄養繁殖性品種の違いにより、提出するサンプル数に違いがありますけれども、種子繁殖性品種の提出数が1,000粒というのは多いのではないでしょうかという御意見がありました。提出された種子につきましては、発芽率等を勘案しまして30個体を準備するに十分な量のみを使用しております。残りの種子につきましては、登録後、類似する品種の出願があった際に、対照品種として供試するなどに使用しております。これとは別に笈川委員からは、水量と栄養の差で成長に大きな差が出たり、光条件でも葉色、葉の面積、葉の模様というのは変わることが多いので、草丈や株の幅等の測定する形質より観察を重視して、小さな違いで登録されない方向が正しいのではないでしょうかという御指摘がありました。審査に当たりましては、原則としまして出願品種と既存の類似品種、それと評価の指標となります標準品種を同一の条件で栽培しておりまして、特性調査を実施して、その調査によって明確に区別できるか否かを判断しております。特に測定する形質につきましては、その試験ごとに各品種の標準偏差を考慮するなどしまして、品種の区別に有効な差となるよう、1階級の幅を設定しておりまして、1階級の幅以上の差がなければ区別できないと判断しておりますので、御理解いただければと思います。
続きまして、こちらの方からは審査の運用の結果等により改正するものとなります。
初めに、25ページのキランソウになります。
こちらは、シソ科のキランソウ属のレプタンス種とテノレイ種を対象とする草花でありまして、現行の審査基準ではレプタンス種のみを対象とした審査基準が定められておりますけれども、新たにテノレイ種の出願があったため、レプタンス種の審査基準を基にしまして、テノレイ種の審査にも対応できるよう、対象の種類を広げて改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。事前に髙山委員から、形質25番「花序軸の太さ」の定義につきまして、どこを測定すればよいのか記載されていませんので、形質6の「茎の太さ」のように、中間部の太さなどと指定してはいかがでしょうかという御指摘がありましたので、こちらは定義に「中間部の太さ」を追記しております。別に笈川委員からは、葉の長さ、葉の幅等、測定する形質が多いということと、葉身の形などは栽培環境に影響して変化するため、小さな違いでも登録されやすく、今後問題になるのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、先ほどのコリウスの際にも御説明したとおり、審査に当たりましては原則として出願品種と既存の類似品種、それと評価の指標となる標準品種を同一の条件で栽培して、特性調査を実施して、その調査により明確に区別できるか否かを判断しておりますので、区別性が取れるか取れないかというところはしっかり判断して評価しておりますので、御理解いただければと思います。また別に長岡委員からは、ランナーや匍匐茎を伸ばして繁茂するものが多いですけれども、形質4から8にあります「茎の数」などは、匍匐茎に関するものでしょうか。「茎の数」というと開花期に立ち上がる茎もあり、キランソウ属には立ち上がる茎を出す種もあります。それと、形質22から26には「花序の数」とありまして、表現が不確実だと感じますので、「茎」ではなくランナー又は匍匐茎の有無や数とした方が分かりやすいのではないでしょうかという御指摘を頂きました。今回の改正につきましては、先に御説明しましたとおり、新たに出願されましたテノレイ種の品種の審査を行えるようにすることを主な目的としておりますので、当初の案ではキランソウ属全てを対象とする記載としておりましたけれども、御指摘を受けまして、審査の対象の記載を、「キランソウ属のレプタンス種とテノレイ種の2種に適用する」旨の記載に修正をしております。その上で、形質4から8の「茎」につきましては、花茎を除く茎を意図しておりますので、「茎」の定義を明確にするために、試験の実施の調査方法の項に、「茎の調査は、特に指示がない限り、花序を持たない茎で行う」と追記しております。匍匐茎と花序を持たない茎との見分け方というのは難しいと思いますので、現時点では両方を「茎」として扱いたいと考えております。今後、他の種の出願がありました際には、検証の上、茎の形質につきましても修正等を検討したいと考えております。
続きまして、26ページ、ビテンス(センダングサ)になります。
キク科のビデンス属を対象とする草花でありまして、本種はUPOVのテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準になります。近年、これまでにない複雑な花色の模様を持つ品種や、気温によって花色が著しく変化する品種が新たに出願されておりますので、現行の審査基準の重要な形質である「舌状花の表面の二次色の分布」におきまして、状態区分を9階級から16階級に増やしていることと、新たに「舌状花の表面の二次色の型」、「舌状花の表面に三次色」という形質を追加するために改正するものとなります。こちらは全て必須形質としております。事前に笈川委員から、「舌状花の切れ込み」に関しまして、「舌状花の先端の鋸歯の有無」や「深さの多少」、そして「舌状花の花弁数」の形質があるとよいのではないでしょうかという御指摘がありました。形質23の「舌状花の切れ込み」につきましては、切れ込みがないものから深いものまでありまして、「無」と「極浅」を明確に区別することが難しいということで、有無の形質は設けずに、状態区分の方は「無又は極浅」から「極深」と、有無と深さを分けない形質として設定しております。また、「舌状花の花弁数」ですけれども、現状の品種の大部分が一重咲きでして、その中の花弁数の差というのは形質15の「頭花の型」で、「一重咲き」を8枚未満と8枚以上に分けておりますので、そちらで八重というか、少し花弁が多いものは評価できると考えております。今のところ八重の品種の数が少ないものですから、今回はこのままとさせていただきまして、今後、八重の品種が増加して「舌状花の数」で品種を区別できるようになりましたら、検証の上、形質の追加を検討したいと考えております。これとは別に、舌状花の色につきまして、「晩秋から春の主たる色」と、「初夏から秋の主たる色」、それと「舌状花の裏面の二次色」というのが必要ではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、温度等の条件や変化に伴いまして、花色が変化する品種というのが最近出てきていることに対応しまして、形質33番に「開花期間における花色の変化」の形質を設定しております。現状では、花色の変化する品種というのは余り多くないので、「舌状花の色」の形質と、先ほどの「開花期間における花色の変化」の形質で、今のところは区別が可能な状況になっていると考えておりますので、今回はこのままとさせていただければと思います。さらに別に、開花期におきまして、「秋から春の咲き型」、それと「冬の咲き型」、「夏の咲き型」、それと「四季咲き型」というのが必要ではないでしょうかという御指摘がありました。御指摘の「咲き型」につきましては、環境条件によって左右されやすいと考えますので、現時点では形質として設定するのは難しいと考えております。別に長岡委員からは、「舌状花」とある形質ですけれども、正確を期すなら「舌状花冠」となりますという御指摘がありました。「舌状花」の形質につきましては、これまで他のキク科の植物におきましても「舌状花」という表現を用いてきておりまして、調査部位の認識を共有する点から、形質名につきましては「舌状花」というのをこのまま残させていただきたいと考えております。なお、形質16と22にありますけれども、小花全体を調査対象としない形質につきましては、定義欄の「舌状花」を「舌状花冠」に修正しております。また、さらに別の御指摘としまして、ビデンス属には雑草化しているものが幾つかありますけれども、雑草化の危険性を評価する必要はないでしょうかという御指摘がありまして、こちらにつきましては増殖性などの生態的な形質が考えられますけれども、安定した評価手法を定めるということが難しくて、環境条件等によって結果がばらつくということが予想されますので、重要な形質として設定するのは難しいかと考えております。また別に富田委員からは、舌状花の横断面と縦断面の形質というのは必要ないでしょうかという御指摘がありました。横断面と縦断面の反りにつきましては、安定して明確に品種間差を区別できる差を今回の検証等で確認できておりませんので、今回はこのままとさせていただきまして、今後、明確に区別できる品種が出願された際に、検証の上、形質の追加を検討したいと考えております。
続きまして、27ページ、スギになります。
ヒノキ科、スギ属を対象とする林木でありまして、本種はUPOVテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準となります。現行の審査基準は作成してから40年ほど経ちますけれども、一度も改正されておりませんで、特に測定する形質につきましては、栽培環境に関係なく、測定値のみで評価するものとなっておりまして、現在、特性評価の基本としております標準品種等との相対評価を行えるように、標準品種の追加を含めた検討を行った上で、今回重要な形質を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。事前に河野専門委員から、形質14の「枝の着生角度」につきまして、各階級の「斜立」、「中間」、「開張」がありますけれども、こちらに具体的な数値を示した方が分かりやすいのではないでしょうかという御指摘がありました。先ほど改正内容で御説明しましたとおり、現在、品種登録の審査に関しましては同一試験に供試している標準品種等との相対評価によって出願品種の特性を評価しておりますので、決められた数値を判断基準としてしまいますと、特に測定する形質につきましては、環境等の影響によって、調査年ごとに特性値が変わってしまうということもありますので、数値の方は示さないということにしております。
続きまして、28ページ、アルファルファになります。
こちらは、マメ科のウマゴヤシ属のルーサン種を対象とする飼料作物でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠した形となっておりますけれども、最近出願された品種におきまして、現行の審査基準の重要な形質では区別性が認められないというものがありまして、出願者が区別できるとしている「アルファルファそばかす病抵抗性」というのを追加することとしまして、併せて形質名の検討を行った上で、今回、重要な形質を改正するものとなります。選択形質につきましては、「パーティシリウム萎凋病抵抗性」から、「アルファルファそばかす病抵抗性」までの7形質となります。事前に明石専門委員から、100粒重の形質は必要はないでしょうかという御指摘がありました。日本の審査基準はUPOVテストガイドラインと整合しておりますけれども、粒重に関する形質というのはUPOVテストガイドラインでは採用されておりませんので、日本でも今回は設定しませんでした。今後、粒重に関する形質のみで既存の品種との区別性がある品種が出願された際には、検証の上、形質の追加を検討したいと考えております。
続きまして、30ページのミヤマヨメナになります。
キク科のアスター属のミヤマヨメナ種を対象とする多年草でありまして、これまでミヤマヨメナ種はアスター属の1種として、アスター属の審査基準で審査しておりましたけれども、アスター属の審査基準をUPOVテストガイドラインに合わせて改正した際に、開花期などの特性が大きく異なるミヤマヨメナ種を対象の範囲から外すこととしました。そのため、このミヤマヨメナ種につきましては旧のアスター属の審査基準を使用しておりまして、その審査基準は、標準品種の設定がミヤマヨメナ種に対応していないということと、UPOVテストガイドラインもないということで、今回、日本の独自のミヤマヨメナ種の審査基準として形質及び標準品種の設定について検討した上で、重要な形質を改正するというものになります。こちらも全て必須形質としております。事前に髙山委員から、形質31の「花盤の頭花に対する大きさ」について、測定してパーセントを算出するのであれば、1から5の区分の各範囲を数値で示した方が良いのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、先ほど説明したところでもありますけれども、栽培する年によりまして生育差が生じますので、原則としては標準品種との相対比較によって評価するとしておりますので、数値の指定はしないこととしております。これとは別に長岡委員からは、学名に同種異名を記載しておりますけれども、ジョウザンアジサイなども同様に表記していただければ良いのですが、という御指摘がありました。異名につきましては、審査基準の表紙と1ページ目の審査基準の対象のところに記載しておりましたけれども、審査基準の取決め事項としまして、表紙には異名を記載しないこととしておりましたので、今回御指摘いただいたところですが、表紙の異名につきましては削除させていただきまして、1ページ目の審査基準の対象の方はそのまま異名を記載しております。なお、ジョウザンアジサイにつきましては、UPOVのデータベースに異名が記載されておりませんで、今回はこのままとさせていただければと思います。ちなみにミヤマヨメナはUPOVのデータベースに異名が記載されております。また別の御指摘としまして、栽培種はミヤコワスレなので、どこかにミヤコワスレの名前があると分かりやすいのではないでしょうかという御指摘がありまして、ミヤコワスレも知名度が高いということもありまして、記載できないか検討したところですが、これまでの他の植物種類との横並びを考えますと、そういう記載をしているものがないものですから、大変申し訳ないですが、今回も記載しないということで整理しております。さらに別の御指摘としまして、ビデンス属と同じく「舌状花冠」のことを「舌状花」と表示されていますとの御指摘がありまして、「舌状花」の用語につきましては、ビデンスと同様の対応としまして、形質につきましてはこのまま「舌状花」という用語を残させていただきまして、それに関しまして、形質19の「舌状花基部の向き」等の、小花全体を調査対象としない形質につきましては、定義欄の「舌状花」を「舌状花冠」に修正しております。
続きまして31ページ、稲になります。
こちらはイネ科のイネ属イネ種を対象とする食用食物でありまして、現行の審査基準はUPOVのテストガイドラインに概ね準拠した形でありますけれども、重要な植物でありますので、日本独自の形質も多く追加されておりました。今回の改正につきましては、「審査の運用の結果等により改正するもの」という項に入れておりますけども、UPOVのテストガイドラインが今回新たに改正されまして、その最新のUPOVのテストガイドラインに準拠するとともに、これまで日本において設定しておりました形質の追加を行って、重要な形質を改正するものとなります。選択形質につきましては、昨年度の審議会に諮った重要な形質から大きな変更はありませんが、2形質ほど、「強弱」という用語を追記している形質があります。
続きまして35ページ、キキョウになります。
キキョウ科のキキョウ属のキキョウ種を対象とする多年草でありまして、現行の審査基準が作成されてから30年以上になりますけれども、一度も改正されておりませんで、UPOVのテストガイドラインもありませんので、日本独自の審査基準となります。現行の審査基準は旧形式になりますので、現在の審査基準の形式に準じるとともに、形質名の検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。事前に髙山委員から、形質20番の「つぼみの主な色」につきまして、「主な色」というのみでは分かりにくいため、例えば開花直前など、つぼみのどの段階で調査するのかが分かるようにした方が良いのではないでしょうかという御指摘がありました。御指摘のとおり、こちらは定義に「開花直前の」を追記しております。また別の御指摘としまして、形質35番の「花冠裂片の長さ/幅」と、37番「花冠裂片の反り」につきまして、二重、八重の場合はどの部位を測定するのでしょうかという御指摘がありましたので、二重、八重の品種の場合は「最外弁を評価する」旨を、特性表の説明に追記しました。さらに別の御指摘としまして、雄ずいの弁化の形質は必要ないでしょうかという御指摘がありましたけれども、「雄ずいの数」というのが形質38にありまして、こちらの方で雄ずいが弁化する品種としない品種の区別が可能ではないかと考えております。これとは別に富田委員から、形質の1の「草丈」の標準品種の設定につきまして御指摘ありましたので、検討の上、修正しております。また別に、形質40番の「花の香り」につきまして、花の香りのある品種を知りませんので不要ではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは、出願が非常に少ない種類で、知見が不足しておりますので、今回はこのままとさせていただきまして、今後確認の上、形質の削除を検討したいと考えております。さらに別の御指摘としまして、1花冠当たりの花冠の切れ込みの数や、「がく」に関する形質は不要でしょうかという御指摘がありまして、花冠の切れ込みの数につきましては、裂片が5枚ではない数で安定している品種を今回確認できておりませんということと、「がく」につきましては他の形質と連動せずに、安定して明確な品種間差を示す形質を確認できておりませんので、今回はこのままとさせていただきまして、今後、御指摘の形質に関して区別できる品種が出願された際に、検証の上、形質の追加を検討したいと考えております。これとは別に笈川委員からは、測定項目が多く、有意差を見いだす差異を分けるのが難しいのではないでしょうかという御指摘がありました。測定する形質に関しましては、先に御説明した種類と重複しますけれども、同一条件で比較栽培をして、各品種の標準偏差等を考慮するなどして、品種の区別に有効となる差となるよう、1階級の幅を設定して区別性を判定しておりますので、御了承いただければと思います。また別の御指摘としまして、形質1の「草丈」から形質3の「茎の太さ」につきまして、実生あるいは株分けから数年育てた株でなければ安定した測定が難しいのではないでしょうかという御指摘がありました。キキョウ種は従来より、主要な形質で品種本来の特性を現す、なるべく早い年限として、2年生株で調査をしておりまして、形質1から3につきましては御指摘のとおりと思いますけれども、同一の年生で比較していることを勘案しまして、これまでの審査との整合性を図ることもあり、引き続き2年生株で調査したいと考えております。さらに別の御指摘としまして、ツバキとは逆に標準品種が多いため、部位ごとの測定、観察に多くの標準品種を用意しなければならないのではないでしょうかという御指摘がありました。標準品種につきましては、審査時に必要十分な品種を供試しまして、確実な審査を行うよう対応していきたいと考えております。
続きまして36ページ、「くろあわびたけ」になります。
ヒラタケ科のヒラタケ属のくろあわびたけ種を対象とするキノコでありまして、重要な形質は決まっていましたけども、審査基準が作成されておりませんでしたので、他のキノコ類の審査基準を参考に形質の検討を行った上で、重要な形質を改正するというものになります。こちらも全て必須形質としております。事前に山田専門委員から御指摘がありまして、形質24の「菌柄の菌さんへの付き方」の階級につきまして、1の「偏心生」と2の「側生」の二つだけですけれども、育種の結果として「中心生」というのもあり得るのではないでしょうかという御指摘がありました。今までの審査におきまして「中心生」というのが確認できておりませんので、今回はこのままとさせていただきまして、今後、「中心生」と評価できる品種が出願された際に、検証の上、追加を検討したいと考えております。また別の御指摘としまして、形質27番の「発生処理までの期間」について、図で説明している内容は「最適培養期間」となっているので形質名と合っていないようですという御指摘がありまして、こちらは説明の文中の「最適培養期間」を「発生処理までの期間(最適培養期間)」に修正したいと思います。その他、語句等につきまして幾つか御指摘がありましたので、御指摘のとおり修正しております。
続きましては37ページ、アマドコロになります。
クサスギカズラ科のアマドコロ属を対象とする多年草でありまして、現行の審査基準が作成されてから20年以上経過しまして、UPOVテストガイドラインもありませんので、日本独自の審査基準となります。現行の審査基準は旧形式になりますので、現在の審査基準の形式に準じるとともに、形質名の検討を行った上で、重要な形質を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。事前に髙山委員から、形質番号26の「ほうの有無」につきまして、図の方では「ほう葉」と表示されているので、統一した方が良いのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらの方は「ほう葉」を「ほう」に修正して統一しております。別に富田委員からは、茎の陵の有無について、種の区別で重要な形質ですので必要ないでしょうかという御指摘がありまして、こちらは植物の出願が非常に少ないということもありまして、知見が不足しておりますので、今回はこのままとさせていただきまして、今後、茎の陵の有無につきまして区別できる品種が出願された際に、検証の上、追加を検討したいと考えております。また別の御指摘としまして、形質番号16の「葉の斑の型」につきまして、「中斑」の品種があるので「中斑」または「その他」という特性を追加する必要があるのではないでしょうかという御指摘がありました。こちらは御指摘のとおり、「中斑」を状態区分に追加しております。さらに別の御指摘としまして、植物学上のナルコユリというのは、斑のような白い条が入ることが多いのですけれども、斑入りになるのでしょうかという御意見を頂きまして、ナルコユリの葉の白い条につきましては斑として評価したいと考えております。これとは別に長岡委員からは、常緑種と落葉種がありますので、それを評価する形質は必要ないでしょうかという御指摘がありまして、こちらは栽培状況によりまして落葉の程度が左右されるということが考えられますので、形質としては設定しない方が良いと考えております。
それでは最後になりますが38ページ、シネラリアになります。
キク科のフウキギク属のシネラリア種を対象とする一年草でありまして、UPOVのテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準となります。現行の審査基準では評価しにくい「花弁の複色の分布」や「八重」などの出願がありますので、形質、標準品種の検討を行った上で重要な形質を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。事前に富田委員から、形質番号1「草姿」について、「A.型」と「B.型」の中間的な草姿もあるのではないでしょうかという御指摘がありまして、中間の草姿の特性を設定しますと、「A.型」と「中間型」又は「中間型」と「B.型」の線引きが困難であると考えますので、今回はこのままとさせていただきたいと思います。別に笈川委員から、ペリカリスとして扱わないのでしょうかという御指摘がありました。和名につきましては審査基準作成の取決め事項としまして、先ほども御紹介しましたけれども、小学館の「園芸植物大事典」の記載に準じることとしておりまして、現行の審査基準の学名はセネキオ×ヒブリドゥスで、和名をシネラリア種としておりますけれども、現時点でUPOV等におきましては、学名はペリカリス×ヒブリドゥスで管理されておりますので、今回の審査基準案におきましても、学名はUPOVに準じて変更しております。これによりまして、属名はペリカリスとなりますけれども、これまで使用しておりましたシネラリアという和名を使用することで混乱は起きないと考えますので、和名はシネラリア種としております。また別の御指摘としまして、「開花期の早晩」や低温や短日要求の有無に関係する「新規抽苔の終期」の形質は必要ないでしょうかという御指摘がありました。「開花期の早晩」につきましては、現行基準にはあるんですけれども、これまでの審査におきまして、同じ品種でも年によってばらつきが大きいことから、今回は形質としては設定しなかったという経緯があります。それと、「新規抽苔の終期」という形質ですけれども、こちらにつきましても開花期がばらつくというところですので、「新規抽苔の終期」も年によってばらつくことが考えられますので、今回はこのままとさせていただければと思います。
以上、30区分になります。
それと、パブリックコメントにつきまして御説明いたします。今回の諮問事項につきまして、本年11月1日から11月30日にかけまして、国民一般から広くパブリックコメントを募集しましたところ、意見提出はございませんでしたので御報告いたします。私の方からは以上になります。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。大変長時間のご説明、お疲れさまでございます。
それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえまして、諮問事項について御審議をお願いいたします。まず諮問植物の案として、区分を新設するものから審議いたします。最初に草花及び鑑賞樹の御専門の委員からコメントを頂きたいと思います。ブプレウルムロツンディフォリウム、ジョウザンアジサイ、チゴユリ、ドリクニウムヒルスツム、ヤツデ、ムラサキベンケイソウ、サルココッカ、オオシラフカズラ、メキシコマンネングサ、ガマズミ、ウェストリンギアについてコメントをお願いいたします。
指名されましたら、Web参加の委員におかれましてはミュートを解除いただき御発言をお願いします。それではまず、富田委員からコメントをお願いいたします。 - 富田委員
富田です。こちらの御質問等お答えいただいて、直す点も修正してくださいましたので、今の説明で大丈夫かと考えております。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。では続いて髙山委員からコメントをお願いいたします。 - 髙山委員
私の方も事前に資料を見せていただきまして、今回、利用者目線で拝見させていただきました。埼玉県の方は草花とか観賞樹の生産者が多いんですけれども、その中でも個人育種家の、育種を手がけているという方も多いので、その人たちがこの特性表を使って申請書を出すときに悩まないで測定したりとか、資料を作れるかどうかという視点で拝見させていただきました。幾つかの質問や提案をさせていただきまして、先ほど事務局の方から説明がありましたように対応いただきましたので、現時点では特に問題はございません。ありがとうございました。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
では続いて長岡委員からコメントをお願いいたします。 - 長岡委員
長岡です。この区分を新設するものの13点の中で、一つだけ提案したいと思います。ジョウザンアジサイ、2番目です。3-1-2の資料になるかと思うんですけど、「ジョウザンアジサイ」という表記に関して調べますと、和名は「ジョウザン」とするのが正しいというか、過去の文献によって和名を採用している、YListと呼んでいる公開されているデータベースがあるんですが、そこでは「ジョウザン」となっています。それから、先ほどの解説の中でも「ジョウザン属のジョウザンアジサイ」と説明されたように、属名の方は「ジョウザン」になっていますので、「ジョウザン」にするのが好ましいだろうと、自分は判断しています。ちなみに中国名の「フローラ・オブ・チャイナ」で調べますと、中国名も「ジョウザン」となっていました。以上です。それ以外は特に。自分もたくさん意見を出して、ほとんど検討していただいて、返答いただいています。ほかは特にございません。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。まとめて事務局からコメントいただきますので、続けまして、西川専門委員の方からコメントをお願いいたします。Webの方からですね。 - 西川専門委員
皆様が細かに御指摘なさっていましたので、私から追加することは何もありません。以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。そのほか委員、専門委員の方、何かございましたらコメントお願いします。よろしいでしょうか。では委員、専門委員のコメントに対して、事務局からコメントをお願いいたします。 - 柏木総括審査官
長岡委員から御指摘いただいた、ジョウザンアジサイの和名は「ジョウザン」というのが正しいのではないかという御指摘ですけれども、確認しましたところ、和名につきましては「ジョウザン」で、「ジョウザンアジサイ」というのは別名として扱っているという文献が多いというのを確認いたしました。御指摘のとおり和名、区分名につきましては「ジョウザンアジサイ」を「ジョウザン」に修正いたします。 - 君嶋分科会長
それでは続きまして、工芸作物であるケンペリアパルビフロラ種について、河野専門委員からコメントをお願いします。 - 河野専門委員
医薬基盤研の河野でございます。事前の質問事項、修正事項に対しまして対応していただいておりますので、追加でコメント等ございません。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。それでは続いてサクラ属(台木用)について、阿部委員からコメントをお願いします。阿部委員いらっしゃいますでしょうか。音声が聞こえないようなんですが、ミュートは外れているようですので、マイクの設定でしょうか。 - 伴辺課長補佐
マイクがつながらないようであれば、チャットでお願いできますでしょうか。 - 君嶋分科会長
それではチャットの方に書き込んでいただいてもよろしいでしょうか。右側の下の方に書き込むようになっているんですか。もし御発言までちょっと時間かかるようでしたら先に行かせていただいて、阿部委員からコメントいただいた時点で戻りたいと思います。
ではケンペリアパルビフロラ種とサクラ(台木用)についてほかの委員、専門委員の方、何かございましたらコメントお願いします。よろしいでしょうか。ではこれらに関しましては阿部委員からのコメントをお待ちしまして、事務局からのコメントとしたいと思います。
続きまして諮問植物の案として、UPOVテストガイドラインへの準拠及び審査の運用の結果等により改正する植物について、御専門の委員からコメントを頂きたいと思います。
まず草花及び観賞樹についてお願いいたします。アベリア、ツバキ(茶を除く)、ボタン、プレクトランツススクテラリオイデス(コリウス)、キランソウ、ビデンス(センダングサ)、ミヤマヨメナ、キキョウ、アマドコロ、シネラリアについてコメントを頂きたいと思います。
指名されましたらWeb参加の委員はミュートを解除いただき、御発言をお願いします。それでは富田委員からコメントをお願いします。 - 富田委員
富田です。こちらについても早く御回答くださいましたので、ここでは特に質問等はありませんので、よろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
続いて髙山委員からコメントをお願いします。 - 髙山委員
私も先ほどの、区分の新設のところと同じように、こちらの樹種につきましても丁寧に質問と提案に対してお答えを頂いておりますので、特に現段階では問題ございません。ありがとうございました。 - 君嶋分科会長
では続いて長岡委員からコメントをお願いします。 - 長岡委員
特に追加はございません。ツバキ、ボタンのように品種がたくさんあって多様な品目、多様な形質を持ったグループをよくまとめていただいているなと感心しております。以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。では西川専門委員からコメントをお願いします。 - 西川専門委員
キキョウに関して、形質番号29の「花冠の内面の二次色の型」で、図示があると分かりやすくて良かったんじゃないかなと思いました。これからこういったパターンの植物がドッと出てくるので、図示化すると分かりやすいので御検討いただければと思いました。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。そのほか委員、専門委員の方、何かございましたらコメントをお願いいたします。 - 長岡委員
すみません、長岡です。キキョウの案の中で、参考資料3-3-7の13ページにイラストが付いていまして、「花冠の長さ」、形質25ですね。「花冠の長さ」とあるのですが、花冠というのは、「がく」から上の部分ですので、「花の長さ」とするのがよろしいんじゃないかなと思います。この専門用語、英語は「Corolla」になっていますけれども、英語の方も「flower length」にした方がいいかなと思いました。以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。ほか、何かございますでしょうか。では、以上の委員、専門委員のコメントに対して事務局からコメントをお願いいたします。 - 柏木総括審査官
先ほど西川専門委員から、キキョウの「花冠の内面の二次色の型」について図示をした方がいいというところですけれども、確かに分かりやすいようにしていくべきだと思いますけれども、今回できるかどうか検討しまして、可能でありましたら図示の方は追加したいと考えております。それと長岡委員からありました、キキョウの「花冠の長さ」ですが、図の測定箇所と形質名が合っていないというところでありますけれども、確かに御指摘のとおりでありまして、現行の基準では「花の高さ」としておりまして、今回基準案を改正するに当たりまして、花の部分を全て「花冠」にしてしまったというのが原因になります。御指摘のとおりでありますので、こちらの方は「花冠の長さ」を「花の長さ」に修正したいと思います。それと併せまして、「花の長さ」ということになりますので、順番を形質21番「花の向き」の次に入れまして、形質22「花の数」から形質24「花冠の直径」までの3形質を、形質23、24、25と1番ずつ繰り下げる形で修正したいと思います。 - 伴辺補佐
すみません、1点、事務局から御連絡いたします。阿部委員ですが、ネットの状況が悪いということで、音声が入らないという状況になっております。電話で御連絡いたしまして、御本人の方から「特にコメントはございません」という話がありましたので、伝達させていただきます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。それでは次に食用作物のオオムギ、稲について、淺木専門委員からコメントをお願いします。 - 淺木専門委員
よろしくお願いいたします。私から追加のコメントはございません。丁寧に説明くださいましてありがとうございます。以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。では続いてキノコのエリンギ、くろあわびたけについて、山田専門委員からコメントをお願いいたします。 - 山田専門委員
御検討どうもありがとうございました。特に追加等はございませんので、よろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。続いて林木のスギについて、河野専門委員からコメントをお願いします。 - 河野専門委員
河野です。こちらも事前の質問事項に対して御丁寧な回答を頂きまして、特に追加のコメントはございません。よろしくお願いします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。最後に飼料作物のアルファルファについて、明石専門委員からコメントをお願いします。 - 明石専門委員
明石です。事前に回答いただきましたので特にコメントすることはありません。丁寧な説明ありがとうございました。以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。果樹、食用作物、キノコ、林木及び飼料作物について、他の委員、専門委員の方から何かコメント等ございましたらお願いいたします。
では山田専門委員、お願いいたします。 - 山田専門委員
すみません、専門外なんですけれども、気になったところで1点確認なんですけれども。3-2-4のオオムギのところの形質42番以降の分析のところについて、多分修正をすべきだというのが見つかりましたので、御検討いただきたいんですけれども。3-2-4のオオムギの特性グループ、後半の方ですね。一番最後のバンドパターンのという分析のところなんですけれども。 - 君嶋分科会長
何ページでしょうか。 - 山田専門委員
15ページ、16ページになります。よろしいでしょうか。ここでUPOVとの対応ということなんですけれども、UPOVの現行の英語では、「対立遺伝子の発現」ですね。「遺伝子の発現」と書いてあるんですけれども、日本語だと「遺伝子の構成」になっているところがありまして。
これは実際に何をやっているかというと、たんぱく質のSDS-PAGEをやっているので、たんぱく質の分析をしているということで、遺伝子の分析ではなくて、遺伝子が発現したたんぱく質の分析をしているので、現行の英語は正しいんですけれども、日本語の方が正しくない表現になっています。日本語だと遺伝子の解析をしているとなっていますけれども、やっているのはたんぱく質の分析をしているので、そこは修正をしないと実際の内容と形質の表現が一致していませんので、これは日本語を修正すべきだと思います。同じように43番、44番も同じたんぱく質の分析をしていますので、同じように「遺伝子の発現」ということで、英文に沿った訳にすべきではと思います。御検討お願いいたします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。42番、43番、44番の日本語の「構成」という言葉を全て、三つとも「発現」に直してはどうかという御意見でございます。事務局、いかがでございましょうか。 - 柏木総括審査官
御指摘のところですけれども、担当の方にも確認しまして、「対立遺伝子の発現」の方が正しいということですので「発現」に修正したいと思います。 - 君嶋分科会長
では、今の3か所について、「構成」から「発現」に訂正ということでお願いします。
これ以外に何かコメント等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、全体を通して委員、専門委員の方、何かございましたら御自由に御意見等いただければと思います。お願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
それでは皆様からの御意見を踏まえまして、農林水産大臣に当審議会の意見を答申したいと思います。重要な形質を定める告示(案)について、改めて委員の御意見を確認させていただきます。ジョウザンアジサイ、キキョウの修正、それから今頂きましたオオムギの修正、これ以外に御意見はございますでしょうか。
山田専門委員、お願いいたします。 - 山田専門委員
時間も押していますので、言おうかどうか迷ったところなんですけれども、御検討いただければということで、今日、学名の取扱いで、ここは種の異名があるので併記するということがあって、UPOVとの対応でここはデータベースにはないので対応しないという、それぞれ違う判断基準はあったんですけれども、一般的に学術的なデータベースはやはり不備があり完璧ではありませんので、いろんなデータベースで見直しがされたりとか、あるいは外部から指摘されると無かったとか。特に国が違うと、扱っている生物が違うと、データベースも強い部分と弱い部分がありますので、もしかするとUPOVのデータベースが100%ではなくて、むしろ日本の方が情報がたくさんあるので、そこが反映されていないということもあり得るかもしれませんので。ですから今日、専門委員の方からもありましたけれども、個人的には、分類学的に結構不備が多いことが時々ありますので、両方併記することさえ問題がなければ、追加で書いておいた方が、情報提供とか共有化という意味では合理的かなと思ったところはありますので、変更までは行きませんけれども、また来年度以降に向けて御検討いただければということで、よろしくお願いします。 - 君嶋分科会長
事務局、何かコメントございますでしょうか。 - 柏木総括審査官
御指摘ありがとうございます。確かにおっしゃられるとおり、UPOVの方が全て正しいとは私どもも考えておりませんけれども、各国がそれで管理されているというところもありますので、UPOVのデータベースに合わせるというのが一つかなと思っておりましたけれども、今御指摘いただいたところでもありますので、併記できるかどうかは、今後課題として考えていきたいと思います。ありがとうございます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。では、今後御検討いただけるということでお願いいたします。ほか、何か御意見ありますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは事務局から、諮問から変更のあった部分について答申案の確認をお願いいたします。 - 海老原室長
御審議ありがとうございました。今事務方の方で、修正の部分を見え消しで準備しておりますので今しばらくお待ちください、申し訳ございません。 - 君嶋分科会長
承知しました。作業終わりましたらお声がけください。 - 海老原室長
大きく三つ、修正部分があると認識しておりまして、まず一つが「ジョウザンアジサイ」を「ジョウザン」ということにするということで、今ディスプレイの方にも示してございますけれども、「アジサイ」を消して「ジョウザン」に示してございます。
続きまして、オオムギの、先ほど山田委員の方から御指摘のあった、「遺伝子の構成」ではなくて「遺伝子の発現」ということで、それぞれ3か所、見え消しで直して、反映させていただきたいと思ってございます。
最後に、キキョウでございますが、「花冠の長さ」ではなく「花の長さ」ということで、「花冠の長さ」を削除いたしまして、「花の長さ」とし、順番を修正させていただいております。
以上でございます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。その他、誤字等があった場合の修正については、告示を改正する際に反映させることで、事務局に一任するということでよろしいでしょうか。御異議ありませんか。大丈夫ですね。では、御異議がございませんようですので、諮問に対する答申案を事務局より、画面に共有してもらいたいと思います。
それでは読み上げます。
農林水産大臣殿。農業資材審議会会長。種苗法第2条第7項の規定による重要な形質の指定について、答申。
令和4年10月28日付、4輸国第3264号をもって、諮問のあった標記の件については、審議の結果、別紙のとおりの内容で指定するのは適当である。
別紙が先ほどのお示しいただいた案の三つの修正です。委員の皆様、いかがでございますか。よろしいでしょうか。では、御異議がないようですのでこれを答申とさせていただきます。それでは、これにて審議は終了とさせていただきます。事務局に司会をお返しします。 - 海老原室長
君嶋分科会長、ありがとうございました。そして皆様、本日は、熱心な御討議をいただきましてありがとうございます。頂いた御意見を踏まえまして、告示改正の作業を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。また今後とも種苗行政の円滑な推進に向けて御協力のほどよろしくお願いいたします。本日はWebとの併用というところもございまして、見えにくい部分や、御不便があったこと、御容赦いただければと思います。また、審議にあたって非常に大部な資料を、皆様丹念に御確認いただきまして、本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。本日はどうも本当にありがとうございました。お疲れさまでございます。こちらで終了とさせていただきます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。
午後4時22分閉会