農業資材審議会 第23回種苗分科会 議事録(令和5年12月12日開催)
- PDF版はこちら(PDF : 342KB)
1.日時及び場所
令和5年12月12日(火曜日) 14時00分~15時34分
農林水産省 第2特別会議室(対面およびオンライン併用開催)
2.議事次第
- 開会
- 挨拶
- 議事
諮問事項
種苗法第2条第7項の規定による重要な形質の指定について - 閉会
3.概要
午後2時00分 開会
- 海老原室長
皆様、今日は大変御苦労さまでございます。定刻になりましたので、ただいまから農業資材審議会第23回種苗分科会を開会させていただきます。
私、知的財産課種苗室長の海老原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員及び専門委員の方におかれましては、御多忙のところ御出席を賜りましてありがとうございます。また、事務局の方から送付した大部の資料について御確認いただき、コメントを頂戴いたしまして、大変ありがとうございます。改めて御礼申し上げます。
今回は、会場開催及びウェブ開催のハイブリッド形式にて開催させていただきました。接続等で不慣れな点もあるかと思いますけれども、問題等が生じましたら、その都度御遠慮なくお申し付けいただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、開会に当たりまして、知的財産課長の松本より開会の御挨拶の方を申し上げます。
松本さん、よろしくお願いいたします。 - 松本課長
皆さん、こんにちは。お忙しいところ、本日お集まりいただきましてありがとうございます。
輸出・国際局の知的財産課長の松本でございます。農業資材審議会第23回種苗分科会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
御出席の委員の皆様方におかれましては、平素より農林水産行政につきまして御指導賜りまして、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
さて、我が国では、拡大する海外マーケットを獲得するべく、2030年には農林水産物、それから食品の輸出額を5兆円にするという目標に向かって、政府一丸となって取り組んでおります。我が国農業の強みの源泉、これは多くの優良品種ということでございますけれども、輸出拡大を図る上で、こうした優良品種の保護・活用、こういったものが重要な課題と考えております。
種苗は一旦流出してしまいますと、栽培が拡大してしまうリスクがございます。実際に、日本の登録品種が海外で無断栽培をされ、販売をされている事例というのも後を絶たないところでございます。このため農林水産省では、海外での育成者権の取得を支援するということ、それから、権利取得の早期化に向けてUPOV加盟国との間で審査データの相互利用を図るという、いわゆる審査協力というのを進めているところでございまして、本年の10月もアメリカとの間で審査協力のための覚書を結んだというところでございまして、これで、16か国とEU等含めた地域と審査協力を行うことが可能となったところでございますし、この11月には、EUと審査協力の対象品目の拡大ということで合意をいたしたところでございます。引き続き審査協力の推進に努めてまいりたいと存じます。
また現在、農林水産省では、食料・農業・農村基本法につきまして、今日的な課題に応えて、更に将来を見据えたものとなるように見直していくという作業をしてございまして、本年9月に食料・農業・農村政策審議会の最終答申が、取りまとめが行われたというところでございます。答申におきましては、我が国の農業の強みの源泉であります知的財産の適切な保護・活用と、それから、育成者権者に代わって海外の出願であるとか、あるいはライセンスを行う育成者権管理機関の設立、それから、その取組の推進という方向が示されているところでございまして、品種登録制度を始めとする農業知財に係る政策の重要性というのが明確に位置づけられておりますし、今後ますます重要になっていくと考えておるところでございます。
本日は、これまで出願がなかった4種類の新たな植物、審査基準の国際的な調和等が必要な6種類の植物、それから、審査の運用結果を踏まえた上で修正が必要になりました10種類の植物について、それぞれの審査基準における重要な形質の設定及び改正を、種苗法第2条第7項の規定に基づく農林水産大臣からの諮問を受けて、専門家である委員の皆様に御審議を頂くこととしております。
審査基準は品種登録における審査の基本となるものでございます。特に重要な形質は、審査基準において我が国の審査データのクオリティーを左右する最も重要な部分であります。各国との審査協力を進める上でも、我が国の審査データは高く評価されているところでございます。
委員皆様におかれましては、植物新品種について、国際的に質の高い審査が行われ適切に保護が図られるよう、重要な形質について十分な御審議を賜りますようお願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願いします。 - 海老原室長
それでは、続きまして資料の確認の方をさせていただければと思います。お手元に送付、若しくはお手元にございます資料の確認をお願いいたします。資料が1と2、それから参考資料として1から4がございます。
まず、資料1の方が、いわゆる諮問書ということで、1枚の紙がございます。
またあわせまして、資料2として、重要な形質の指定に関する説明資料でございます。
その他の参考資料といたしまして、参考資料1の「農林水産省告示(重要な形質)の制定について」と、参考資料2の種苗法、農業資材審議会関係の法令の抜粋でございます。
加えまして、参考資料3ということでございまして、今回の諮問に係る植物区分の種類別審査基準の案ということでございます。
またあわせまして、資料の4ということで、先ほど知財課長の松本から触れさせていただきましたが、我が国の方で進めてございます審査協力の推進について、概要ということで加えさせていただいております。こちらの方は、適宜御参照いただければと思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
資料の不足等、何かありましたら言っていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
問題がないようでございますので、進めさせていただきます。
それでは、次に、委員、専門委員の方の御紹介をさせていただきます。あわせて、配布しております委員名簿の方を御覧いただければと思います。
まず初めに、本年4月に、農業資材審議会令第3条第1項の規定に基づきまして、2年に1度の審議会の委員改選が行われたことを御報告申し上げます。皆様には既に事前に御了承いただいておりますが、本会の分科会長は委員の互選により君嶋先生、また、分科会長代理の方は分科会長の指名により彦坂先生に御就任いただくということとなっております。
委員の方々を御紹介させていただきますが、まず最初に、君嶋分科会長の方から一言御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
慶応大学で知的財産法を専門にしております君嶋祐子と申します。大変僭越ながら分科会長を拝命し、務めさせていただきます。種苗法、法律の方についての専門でございますけれども、その対象である種苗に関してはほかの委員の皆様の御専門知識を伺って審議を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 - 海老原室長
ありがとうございました。
続きまして、ウェブ等でのご出席の方もおられますので、当方から御紹介させていただければと思います。
まずは、分科会長代理の彦坂委員、ウェブで参加でございます。
また、御出席の委員の方々を御紹介させていただきますが、今年度より新たに就任されました金澤委員、よろしくお願いをいたします。
また、新たに就任されました島田委員、ウェブで参加でございます。
それから、直接参加していただいていますが、富田委員、よろしくお願いをいたします。
それから、同じく長岡委員、よろしくお願いをいたします。
次に、今年度から新たに御就任いただきました花田委員です。よろしくお願いをいたします。
続きまして、専門委員の皆様ということでございまして、明石専門委員、ウェブ参加でございます。
また、淺木専門委員、こちらもウェブ参加。
それから、河野専門委員、こちらもウェブ参加。
それから、最後に西川専門委員、ウェブ参加でございます。
皆様、どうぞ本日はよろしくお願いをいたします。
なお本日、森井委員、山田専門委員におかれましては所用につき御欠席ということでございまして、御報告させていただきます。
本分科会は委員の定数が8名というところでございますが、本日は7名の御出席を頂いておりますので、農業資材審議会令第7条第1項の規定により、本分科会は成立をしてございます。御報告申し上げます。
事務局の方でございますが、先ほど御挨拶申し上げた知財課長の松本、あと私、種苗室長の海老原ほか各担当が、出席させていただきますが、御紹介の方は割愛させていただきます。
本日の分科会の議事及び議事録は公開ということでございますので、その旨、御承知いただければと思います。
それでは、これからの議事の進行に当たりまして、審議会議事規則により、君嶋分科会長に議事の進行をお願いさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
それでは、早速議事に入ります。
農林水産大臣から本審議会に対し、資料の1のとおり、農林水産植物の重要な形質の指定について諮問がありました。
それではこれより、諮問事項の内容としまして、重要な形質の追加・見直しについて、事務局より説明をお願いします。 - 柏木総括審査官
総括審査官の柏木といいます。
それでは、私の方から、資料2の重要な形質の指定に関する説明資料につきまして、御説明させていただきます。
それでは、1ページ目をお願いいたします。
「重要な形質」ですけれども、この農業資材審議会の意見を聞きまして農林水産大臣が農林水産植物の区分ごとに定めることになっておりまして、品種登録の要件のうち、品種特性に係る区別性、均一性、安定性の三つの審査に用いられまして、品種登録の適否を判定する要素となっております。そのため、定められた「重要な形質」以外の形質で差異がありましても、直ちに区別性として取り扱われることはございません。しかしながら、その形質の必要性が認められる場合には、手続を踏みまして、この審議会にお諮りし、「重要な形質」として追加できるようになっております。
我が国では、UPOVの指針に基づきまして、「重要な形質」を具体化したものを審査基準として使っているわけですけれども、UPOVの一般指針の中には特性審査に用いる形質について六つの要件が示されております。
1番目は、一定の遺伝子型又はその組合せの結果発現するもの。
2番目は、ある環境条件下で十分な一貫性と再現性があるもの。
3番目は、品種間で区別性を確定できる十分な違いがあるもの。
4番目は、詳細な定義・認識が可能なもの。
5番目として、均一性の要件を満たすもの。
6番目として、安定性の要件を満たすものでございます。
5番目の均一性というのは、同一世代の植物体全てが特性の全部において十分に類似しているということでございます。
6番目の安定性というのは、繰り返し繁殖させた後も特性の全部を維持しているということでございます。
それでは、2ページ目をお願いいたします。次に、我が国の審査基準とUPOVテストガイドラインとの関係でございます。
UPOVでは、農作物、果樹・野菜、そして草花と観賞樹の四つの技術作業部会ごとに毎年会合を開催しておりまして、テストガイドラインを植物種類ごとに作成又は改正しております。
我が国の審査基準は、今回御審議いただくものを含めまして、現在725種類ございます。一方、UPOVのテストガイドラインは339種類ございまして、この両方に共通する審査基準が251種類ございます。このうち我が国の審査基準がUPOVテストガイドラインに整合しているものが現在198種類となっております。また、我が国の独自の審査基準は474種類ございまして、一方、我が国にはないUPOVのテストガイドラインは88種類ございます。
それでは、3ページ目をお願いします。
今回諮問させていただきます種類ですけれども、ここの一覧のとおり、区分を新設するものが4種類、UPOVテストガイドラインへの準拠等により改正するものが6種類、審査基準の運用の結果等により改正するものが10種類ございます。
それでは、種類ごとに御説明いたしますので、4ページ目をお願いいたします。
初めに、区分を新設するものでございますけれども、アロエ(アロエノビリスを除く)という植物になります。
こちらは、ワスレグサ科アロエ属及びガステラロエ属の栄養繁殖性品種を対象とする草花でありまして、アフリカが原産地になります。用途としましては観賞用と薬用に供される多肉の植物になります。本植物は、UPOVテストガイドラインが作成されておりますけれども、日本では新規に作成するものとなります。UPOVテストガイドラインに概ね準拠するものとなりますけれども、アロエにつきましてはアロエノビリスという審査基準が既にありますので、今回、アロエはアロエノビリスを除くとしております。なお、こちらの資料は「重要な形質」の告示案になりますが、先に委員の方に御確認いただきました資料に記載ミスがございまして、もともと記載されていましたのは、「未熟な未熟なつぼみの二次色」となっていたんですけれども、正しくは、こちらに赤字でありますとおり、「未熟なつぼみの主な色」と「未熟なつぼみの二次色」になりますので、記載漏れの部分を今回赤字で示しておりますとおり修正しております。こちらは、全て必須形質としております。
なお、こちらの審査基準ですけれども、事前に花田委員から、形質番号6の「葉の長さ/葉の幅」につきまして、英語の表記が分かりにくいので修正してはいかがでしょうか、との御指摘がありました。こちらの英語の表記ですけれども、UPOVのテストガイドラインの記載をそのまま使っていますので、今回はこのままとさせていただきたいと思います。続いて、これとは別に、富田委員から、形質番号26「頂部の総状花序の着花部位の長さ」と、形質番号28「頂部の総状花序の長さ/幅」について、図において同じ写真を使用して、測定箇所をお示ししていましたけれども、違いが分かりにくいとの御指摘がありましたので、写真を修正しております。また、開花までの年数が長くかかる場合もあると考えられますので、花に関する形質が多い審査基準になりますので、開花しなかった場合の扱いについてどのようにするのでしょうか、という御指摘がありました。こちらは長岡委員からも同様の御指摘がありまして、開花しなかった場合を考慮しまして、調査時期を「特に指示がない限り、開花期に行う。ただし、試験開始から1年以上開花しない品種は秋に行う。」と修正しておりまして、開花しない場合は、花の形質を除きまして栽培期間の秋に、最後の方に調査を行うと修正しております。
続きまして、5ページのタイワンツナソ(モロヘイヤ)になります。
こちらは、アオイ科ツナソ属のタイワンツナソ種を対象とする野菜でありまして、インド西部からアフリカ大陸が原産地になります。一般名「モロヘイヤ」の方がイメージしやすいと思いますけれども、葉を茹でて刻むとヌメリが出てくるというのが特徴になります。こちらは、UPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に「重要な形質」を作成するものとなります。出願されています品種は、アントシアニン着色が少ないものでありますので、「胚軸」、「側枝」、「葉身の尾状突起」、それと「たく葉」に関して、アントシアニン着色の形質を設定しております。こちらの形質は全て必須形質としております。
続きまして6ページ、セイヨウタマシダになります。
タマシダ科タマシダ属のセイヨウタマシダ種の栄養繁殖性品種を対象とする草花でありまして、アメリカ合衆国のフロリダ州、バハマ、大アンティル諸島、こちらは中央アメリカのカリブ海にある諸島を示しておりまして、それからメキシコが原産地になります。用途としましては観賞用に供されるものになります。こちらにつきましても、UPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に「重要な形質」を作成するものとなります。主に葉を観賞する植物ですので、ほぼ葉に関する形質を設定しております。形質は全て必須形質としております。こちらは事前に富田委員から、形質番号7の「葉身の形」で、獅子葉(シシバ)タマシダのように葉身の先端が分岐するタイプがあるので、そちらを評価できるようにしてはいかがでしょうか、との御指摘がありました。今回の審査基準を作成する際に調査した品種というのが、葉身の先端が分岐するタイプが供試されていなかったため、検討できなかったということですので、今回はこのままとさせていただきまして、今後、葉身の先端に特徴のある品種が出願された際に追加を検討したいと考えております。これとは別に、長岡委員からも、形質番号20「羽片の着生角度」に関しまして、定義では「葉軸に対する一次羽片の角度」とありますけれども、二回羽状複葉、三回羽状複葉の場合も含めて、用語の解説が必要ではないでしょうか、それと、「一次羽片」ではなく「一次小羽片」とするのが正確で、形質番号19の「羽片の形」については「裂片の形」が正確ではないでしょうか、との御指摘がありました。御指摘いただきました用語につきまして、小学館の園芸植物大事典と八坂書房の植物用語事典を参考に再確認いたしまして、最終の裂片につきましては「小羽片」という用語にしたいと思います。ただし、二回羽状複葉の場合は「二次羽片」、それと三回羽状複葉の場合は「三次羽片」といたしまして、用語等の図を追記しております。御指摘の修正につきまして、形質番号20の「羽片の着生角度」の定義につきましてはこのままとさせていただきまして、形質番号19の「羽片の形」の定義の「羽片」を「小羽片」に修正しております。併せて、形質番号17「羽片の長さ」と形質番号18「羽片の幅」、それと、形質番号21「羽片の縁の波打ちの強弱」から形質番号23の「羽片の縁の鋸歯の深さ」の定義の「羽片」につきましても「小羽片」に修正しております。もう一つ、シダ植物の同定では、葉柄基部にあります鱗片の形状などを用いることが多いため、鱗片の有無や形状、地下茎に関する形質は必要ないでしょうか、との御指摘もありました。今回調査した品種の評価方法や品種間差等におきまして、今回見た中では問題ありませんでしたので、こちらは今後の検討課題にさせていただきたいと考えております。
さらに、他の御指摘としまして、二回羽状複葉と三回羽状複葉の場合に、一次小羽片の数又は小羽片と小羽片の間隔の形質があれば、小羽片がどれだけ密につくのかが評価できると思いますが、必要ないでしょうか、との御指摘がありまして、今回出願されている品種は単羽状複葉の品種でありましたので、そこを検討できませんでしたので、今回はこのままとさせていただきまして、今後この御指摘の品種が出願された際に形質の追加を検討したいと考えております。
続きまして7ページ、カラスビシャクになります。
サトイモ科ハンゲ属のカラスビシャク種を対象とする工芸作物でありまして、原産地は中国で、用途としましては漢方薬に利用されるものになります。本植物につきましても、UPOVテストガイドラインが作成されておりませんので、新規に「重要な形質」を作成するものとなります。出願されている品種は収量性が優れているということがありますので、球茎の大きさ、球茎の重さ、球茎の肥大率の形質を設定しております。こちらの形質は全て必須形質としております。
続きまして、こちらの方からはUPOVのテストガイドラインへの準拠等により改正するものになります。
8ページ、お願いします。マタタビになります。
マタタビ科のマタタビ属を対象とする果樹でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインを参考に作成されたものになりますけれども、UPOVテストガイドラインが改正されておりましたので、これに準拠するとともに、果心の周辺に赤色の着色がない品種については、形質番号69「果心周辺の赤色着色の広がり」と形質番号70の「果心周辺の赤色着色の濃淡」の評価が空欄になりますので、形質番号68として「果心周辺の赤色着色の有無(花性が雄の品種を除く。)」という形質を日本独自の形質として追加しまして、空欄の評価となった理由が分かるように「重要な形質」を改正するものになります。こちらも全て必須形質としております。事前に島田委員から、形質番号3の「樹勢」につきまして、定義の「植物体の全体的な栄養成長量」では少し分かりにくいとの御指摘がありました。UPOVテストガイドラインの記載文を見ますと、新しょうの長さ、太さ、その他、新しょうの発生数や、当年枝の伸長量等も含まれるという記載になっておりましたので、この記載から「全体的な栄養成長量」という日本語にしております。その他、標準品種の設定につきまして現行の審査基準と異なっている箇所が多く見られるので、間違いないでしょうか、との御指摘もありまして、標準品種の設定につきましてもUPOVテストガイドラインの設定に準拠しておりますけれども、UPOVテストガイドラインの検討をする際に日本の専門家からの御意見を伺っておりますので、標準品種の設定につきましても確認済みとなりますので、こちらもこのままにさせていただければと思います。
続きまして11ページ、茶になります。
こちらは、ツバキ科ツバキ属の茶種を対象とする工芸作物でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠したものになりますけれども、UPOVテストガイドラインが改正されておりますので、こちらに準拠するとともに、日本ではこれまで区別性の判定に使用しておりました「摘採期(一番茶)」、それと「発酵性」等の形質を追加して、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらの選択形質は現行の審査基準と同じ「発酵性」と「カフェイン含量」の2形質になっております。
続きまして12ページ、アサになります。
こちらの方は、アサ科アサ属のアサ種を対象とする工芸作物でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになっておりますけれども、アサの栽培というのは大麻取締法によりまして、免許制度による管理の下、繊維や種子の採取目的のみに認められておりました。今般の大麻取締法等の改正によりまして、従来の繊維・種子採種の目的に加え、産業・医療用目的での栽培が認められることになるということになります。現在、国内での育種はほとんど行われていないという状況にありますが、当面、海外で育成された品種が出願されることが考えられます。今回のアサの審査基準の改正については、EUの品種保護当局となっておりますCPVOという審査機関があるのですけれども、そちらの審査基準に準拠した形で重要な形質を改正するものとなっております。形質の方は全て必須形質としております。なお、UPOVテストガイドラインの方も現在改正中となっておりますので、今後、UPOVテストガイドラインの方に準拠した改正を更に行うことになると考えております。こちらの方、事前に河野専門委員の方から、現行のアサの審査基準におきましては、子葉の形状として子葉の色、茎の形状として胚軸の色という形質があったんですけれども、こちらの子葉と胚軸の色は品種によって特徴的と考えられますので、追加を検討してはいかがでしょうかという御指摘がありました。今回の審査基準の改正は大麻取締法改正後を見据えまして、当面、海外の品種が日本に出願された場合に、CPVOの審査データを利用して審査を滞りなく進められるように環境を整えるということを目的としておりますので、今回の改正では追加を見送りたいと考えております。
また、別の御指摘としまして、標準品種が外国産の品種になっていますので、国内の品種である「とちぎしろ」などの標準品種を加えてはどうでしょうかという御指摘もありました。「とちぎしろ」を標準品種に加えるためには、適正な管理体制の下で、実際に栽培して、調査・検証を行う必要がありますので、今回はこのままとさせていただきまして、今後状況を踏まえつつ、国内の品種を標準品種として追加することを検討したいと考えております。
続きまして14ページ、チモシーになります。
こちらは、イネ科アワガエリ属のオオアワガエリ種とノドスム種を対象とする飼料作物でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVテストガイドラインが作成されておりますので、これに準拠するとともに、日本で重要な育種目標であります「越冬性」、それと「斑点病抵抗性」などの形質を追加しまして、加えて標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。選択形質は「斑点病抵抗性」の1形質となります。事前に明石委員から、形質番号5の「越冬性」の評価につきまして、フラクタル解析等による緑度の比率で強と弱を評価することも今後検討してはいかがでしょうか、との御指摘がありましたので、評価方法の確認と検証が必要になりますので、今後の課題とさせていただきたいと考えております。
続きましては15ページ、モモ及びネクタリンになります。
こちらは、バラ科サクラ属のモモ種とネクタリン変種を対象としました果樹でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠したものになりますけれども、UPOVテストガイドラインが改正されておりますので、これに準拠するとともに、UPOVテストガイドラインでは形質ではなく参考情報として記載することとなっております「果肉の軟化」、それと「果肉の溶性」につきまして、日本では日持ち性の向上の観点において近年育種目標としても着目されている形質になりますので、日本独自形質として追加しております。併せて、標準品種の追加等も含めた検討を行いまして、「重要な形質」を改正するものとなります。選択形質は「果肉の軟化」と「果肉の溶性」の2形質となります。こちらは、島田委員から、現行の審査基準に記載されている標準品種と今回の審査基準案では若干品種が異なりますけれども、標準品種はなるべく同じものを使用した方がよいのではないでしょうか、との御指摘がありまして、また併せて、標準品種が記載されていない形質は現行のものを引用してはいかがでしょうか、との御指摘がありました。現行の審査基準の標準品種ですけれども、入手困難な品種とか、該当する形質の標準特性を示さないというものもありましたので、今回はそれらを整理して、標準品種の設定も再設定しております。また、標準品種の記載されていな形質というのは4形質ありますけれども、形質番号16の「柱頭のやくに対する位置」につきましては、現行の標準品種は安定した特性を示していないということが分かっておりますので、こちらは削除して、特性表の説明に図を載せましたので、これを参考に評価可能ではないかと考えております。それ以外の3形質につきましては今回新たに追加された形質もありますので、今後の審査の中で適切な品種を選定したいと考えております。また、形質番号32の「果実の大きさ」というのは9階級になっておりますけれども、重さなど具体的な指標の区分がないと出願者等が判断に困るのではないでしょうか、との御指摘がありました。品種登録の審査におきましては標準品種を指標に相対比較することを基本としておりますので、決められた数値を判断基準にしてしまいますと、環境や栽培方法等の違いで調査年ごとに特性値が変わってしまうということがありますので、数値は示さないこととしております。
続きましては17ページ、ライムギになります。
イネ科ライムギ属ライムギ種を対象とする食用作物でありまして、用途としてはパンの原料というイメージもありますけれども、国内では飼料作物としての栽培することが多いようです。現行の審査基準はありませんので、UPOVテストガイドラインに準拠して新規に作成するものになります。UPOVテストガイドラインへの準拠等により改正するものに今回分類しておりますけれども、こちらは区分を新設するものに分類した方が正しかったのではないかと考えております。こちらは、UPOVテストガイドラインに完全に準拠しているとともに、標準品種の設定につきましても検討を行っております。形質は全て必須形質としております。
続きまして18ページになりますけれども、こちらの方からは審査の運用の結果等により改正するものになります。
まず、アネモネフペヘンシス(シュウメイギク)という植物になります。
キンポウゲ科イチリンソウ属のフペヘンシス種、シュウメイギク変種、ルピコラ種、ウィティフォリア種を対象とする草花でありまして、現行の審査基準は旧形式でシュウメイギク変種のみを対象とする審査基準になりますけれども、近縁の種間雑種である品種が複数出願されてきておりますので、シュウメイギク変種に加えて先ほどの種を追加して、形質全体の見直しを行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。こちらは富田委員から、形質番号19「がく片の数(八重品種に限る。)」に関して、がく片の数は一重から二重、八重まで連続的に変異するものなので、どのレベルからが八重咲きになるのかが判断しにくいと考えられますので、「八重品種に限る」という表現は分かりにくいのではないでしょうか、との御指摘がありましたので、特性表の説明に、形質番号18の「花型」を追記しまして、一重、二重、八重の目安となる数値を記載しております。基本的には標準品種との相対比較を優先することとしておりますけれども、目安として数値を使っていただければと考えております。これとは別に、花田委員から、形質番号29「開花期」の標準品種が「桃花早生」のみとなっておりますけれども、他の品種は記載できないでしょうか、との御指摘がありました。審査基準案の作成時、それと検証時におきまして、他の品種のデータも収集しておりましたけれども、特性が安定していたのは記載されているこの1品種のみだったということもありまして、今後の審査の中で十分なデータが蓄積された時点で追加を検討したいと考えております。また、形質番号23の「がく片の形」の評価につきまして、楕円形と狭楕円形の違いが分かりにくいので、出願者の方も評価しにくいため、標準品種を設定できないでしょうか、との御指摘がありました。標準品種の設定はできておりませんけれども、図を示しておりますので図を見ていただいて、どちらの状態に近いかで評価いただければと考えております。また、別の御指摘としまして、出願者が調査する際に標準品種が形質によって変わると調査しにくいので、ある程度の形質に共通した標準品種を入れてもらえないでしょうか、との御指摘がありまして、こちらは御指摘いただいたとおりで、なるべく少ない数の標準品種で可能な限り多くの形質で標準品種を設定するようにしているところですけれども、標準品種の特性というのは今後の審査の指標となりますので、その形質に関しまして複数年で安定したデータを示した品種のみを設定することとしておりますので、今回はこのままとさせていただきまして、今後の審査時におきまして多くの形質で安定している品種が確認できましたら、標準品種の設定を検討したいと考えております。
続きまして19ページ、ハクサイになります。
アブラナ科アブラナ属のハクサイ亜種を対象とする野菜でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠したものになりますけれども、学名を最新の学名表記に修正するとともに、他のアブラナ科植物では評価されている形質であります「抽だい始期」と、アブラナ科植物の重要土壌病害となっております「根こぶ病抵抗性」の各グループの形質を追加しております。併せて、現行の審査基準にあります「カブモザイクウイルス抵抗性」ですけれども、近年国内での発生の被害が少ないことと、UPOVのテストガイドラインにも含まれていないという形質でありますので、重要性は高くなくなったと判断しまして、こちらは削除しております。その他、用語の適正化等を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。選択形質は「抽だい始期」と「根こぶ病抵抗性」の2形質となっております。
続きまして20ページ、キュウリになります。
ウリ科キュウリ属のキュウリ種を対象とする野菜でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠したものになりますけれども、出願品種の区別性の審査に必要となりました「メロン黄化えそウイルス抵抗性」を追加するとともに、日本独自の形質として審査してきました「第一次側枝の発生の時期」という形質は「雌花の着生期」とほぼ同義であるということと、「八重成り性の有無」という形質は「一節当たりの雌花の数」と同義でありますので、こちらを削除しまして、そのほか調査部位の変更や明確化、それと用語の適正化を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらの、事前に確認していただいておりました審査基準案ですけれども、形質番号30の「果実のネックの長さ(果実の基部の形がネック形の品種に限る。)」につきまして、記載ミスがありまして、正確には「果実の首の長さ(果実の基部の形が首ありの品種に限る。)」になりますので、こちらの「ネック」を「首」に訂正しております。もう1点、形質番号31の「果実の中央部と比較した先端側の直径」という形質になりますけれども、こちらは、御確認いただきました審査基準案では記載漏れとなっておりましたので、追加修正しております。こちらは、野菜の御専門であります彦坂委員には、訂正・追加した箇所につきまして事前に御確認いただいております。こちらの形質につきまして、選択形質は「黒星病抵抗性」など病害抵抗性8形質となっております。
続きまして22ページ、デルフィニウムになります。
キンポウゲ科のオオヒエンソウ属とヒエンソウ属を対象とする一、二年草でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準になります。現在の審査基準の形式に準じまして、現行の審査基準において不要な形質の削除と用語の統一性等の検討を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらは全て必須形質としております。
続きまして23ページ、スイトピーになります。
こちらは、マメ科レンリンソウ属のスイトピー種を対象とする一、二年草でありまして、現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、UPOVテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準になります。現在の審査基準の形式に準じまして、現行の審査基準の作成以後に開発されました多様な品種の審査に対応するために、各花弁の二次色、それと二次色の分布、二次色の型の形質を追加しまして、併せて標準品種の見直し等の検討を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。こちらは花田委員から、形質番号5の「小葉の数」につきまして、葉の枚数を示しているのであれば単位が必要ではないでしょうかと、スイトピーは複葉のため一対で小葉2枚が原則になりますので、小葉数より複葉対数で記載する方が分かりやすいのではないでしょうか、との御指摘がありました。審査のための栽培試験におきまして、これまで奇数の小葉が観察されておりましたので、今回の審査基準案では「複葉対数」ではなく「小葉の数」としております。また、調査方法ですけれども、小葉の枚数を測定して平均値をとる形質とするのは不向きということで、主な小葉の数が「2」、「3~4」、それと「5以上」の三つのいずれかを観察によって評価する形質にしておりますので、単位は、付けないこととしております。その他、各形質の標準品種の設定等につきまして御提案いただきましたので、これまでの栽培試験データ等を確認しましたところ、御提案の設定と一致しなかったということで、今回はこのままとさせていただきまして、今後の審査におきまして、安定している品種が確認できた際に標準品種として追加を検討したいと考えております。これとは別に、富田委員から、旗弁と翼弁の波打ちに関する形質は必要ないでしょうかと、これに関連して、形質番号16の「花型」の特性値である「ウエーブ」という評価ですけれども、花型ではなく花弁の形質になるのではないでしょうか、との御指摘がありました。花型につきましては、旗弁と翼弁の弯曲と波打ちの程度を花全体を観察して総合的に判断しておりまして、花弁の波打ちのあるものを「ウエーブ」と呼ぶことがスイトピーでは一般的と思われますので、今回はこのままにしたいと考えております。それと、別の御指摘としまして、巻きひげの有無等の形質につきまして、こちらは長岡委員からも同様に、巻きひげのない品種の育種も行われておりまして、鉢物の矮性品種は巻きひげのないものがありますので、その形質が必要ではないでしょうか、との御指摘がありました。これまでの栽培試験のデータ等から、小葉の数が5枚以上の品種については巻きひげがないことを確認しておりましたので、今回の審査基準案の検討時におきまして、形質の重複を回避するため、巻きひげの有無については設定しませんでしたけれども、今後、小葉の数との関連を再確認の上、検討はしていきたいと考えております。
続きまして24ページ、稲になります。
イネ科イネ属のイネ種を対象とする食用作物でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠したものになりますけれども、重要な植物になりますので、日本独自の形質も多く追加されております。今回、既存品種と「ごま葉枯病ほ場抵抗性」でのみ区別性が認められる品種が出願されておりますので、この形質の検討を行った上で、「重要な形質」を追加するものとなります。選択形質につきましては、現行の審査基準と同じ20形質に、今回追加しました「ごま葉枯病ほ場抵抗性」の形質を追加した21形質になります。
続きまして26ページ、サクラになります。
バラ科サクラ属のサクラ亜属とサクラ亜属サクラ節の観賞用品種を対象とした観賞樹でありまして、現行の審査基準が作成されてから40年以上を経過しておりますけれども、こちらは、UPOVテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準となります。現行の審査基準は旧形式のものになりますけれども、現在の審査基準の形式に準じるとともに、特に測定する形質につきましては栽培環境に関係なく測定値で特性値を評価するものとなっておりましたので、現在、特性評価の基本としております、標準品種等との相対評価を行えるように、標準品種の追加等を含めた検討を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらも全て必須形質としております。こちらは事前に富田委員から、形質番号44「着果性」に関しまして、自家不和合性だった場合、周辺環境の桜の栽植状況等で結実状況が異なることがあって、誤差が大きくなると思われますので、観賞用のサクラ属の調査では不要な形質になるのではないでしょうか、との御指摘がありました。「着果性」につきましては、御指摘のとおりのことが考えられますけれども、従前の調査の品種におきまして大きな差が生じていないというデータも出ておりますので、今後、そのような問題があるような状況が認められた場合に検討したいと考えております。また、形質番号46「開花期」に関しまして、十月桜が「3の早」の標準品種になっておりますけれども、秋の開花ではなく春の開花時期を考慮しての区分けということでしょうかと、河津桜よりも明らかに早く咲くヒマラヤ桜、寒桜などもありますので、河津桜よりも早い時期に咲く区分が必要と思われますという御指摘がありました。こちらの形質は春咲きの品種を対象としておりまして、染井吉野の特性値を「5の中」として、3月末から4月初旬に咲くものを基本として区分けしております。ヒマラヤ桜や十月桜等の秋咲きの品種につきましては、形質番号47の「秋冬の開花の有無」において評価することとしておりますので、今回はこのままとさせていただきたいと考えております。
続きまして27ページ、コムギになります。
イネ科コムギ属のフツウコムギ種を対象とする食用作物でありまして、現行の審査基準はUPOVのテストガイドラインに準拠したものになりますが、日本独自の形質も多く追加しております。今回、既存品種と「穂発芽性」でのみ区別性が認められる品種が出願されておりまして、日本で重要な育種目標にもなっておりますので、形質の検討を行った上で、「重要な形質」を追加するものとなります。選択形質につきましては、「穂発芽性」を新たに追加した5形質となります。
続きまして28ページ、ウェロニカになります。
オオバコ科ウェロニカ属のバコフェニー種、ロンギフォリア種、メディア種、トウテイラン種、ペドゥンクラリス種及びスピカタ種を対象とする草花でありまして、UPOVテストガイドラインがありませんので、日本独自の審査基準となります。現行の審査基準は旧形式になりますので、現在の審査基準の形式に準じるとともに、現行の審査基準はウェロニカ属全体を対象としておりましたけれども、近年、一部の品種の品種数が増加していまして、それらの品種の区別性が難しくなってきていますので、審査基準の対象範囲を出願の実績のある種と形態的に類似する種に絞って、これまでの審査によって得られた知見から、品種間差に有用となる形質の検討を行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。こちらは全て必須形質としております。こちらは、富田委員から、形質番号35の「花冠の目の有無」に関しまして、目と淡色部の区別が分かりにくいため、写真による説明があると分かりやすいのではないでしょうか、との御指摘がありましたので、御指摘のとおり写真を追加しておりますけれども、淡色部について明確な写真が入手できませんでしたので、今後の審査におきまして適当と考えられる品種がありましたら追加を検討したいと考えております。それとは別に、形質番号38「花冠裂片の形」と、形質番号39「花冠裂片の先端部の形」に関しまして、「側裂片」の部位が分かりにくいので、こちらも写真による説明があると分かりやすいのではないでしょうか、との御指摘がありましたので、こちらも御指摘のとおり、写真を追加しまして部位を分かりやすくしております。さらに、形質番号45「開花習性」につきまして、特性値の春咲きは3月から5月、夏咲きは6月から8月、秋咲きは9月から11月に評価すると理解してよいでしょうか、との御指摘がありました。こちらの形質ですが、気象条件の違いによりまして開花時期は年によって前後しますので、基本的には標準品種を指標とした相対評価を行っております。例えば春咲きは何月から何月までに対応しますと、明確にお示しすることは難しくて、年によっては1か月程度のずれが生じることも考えられますので、審査基準には記載しませんが、目安としては、春咲きは1月から4月、夏咲きは5月から7月、秋咲きは8月から10月と考えております。これとは別に、花田委員から、標準品種に関しまして5品種が記載されておりますけれども、全ての形質に標準品種の記載は難しいのでしょうか、との御指摘がありまして、御指摘のとおり、なるべく少ない数の標準品種で可能な限り多くの形質の標準特性を設定するようにしているところですけれども、先ほども同じことを言いましたが、標準特性というのは今後の審査の指標となりますので、複数の年で安定したデータを示した品種のみを設定することとしておりますので、今回はこのままとさせていただきまして、今後の審査におきまして多くの形質で安定している品種が確認できましたら、標準品種としての追加を検討したいと考えております。
最後に29ページ、小豆になります。
マメ科ササゲ属のアズキ種を対象とします食用作物でありまして、現行の審査基準はUPOVテストガイドラインに準拠したものとなっておりますけれども、今回、既存品種と「胚軸長」の形質のみで区別性が認められる品種が出願されておりますことと、日本では作業の機械化のために重要な育種目標にもなっておりますので、こちらの形質の追加と形質名の見直しも行った上で、「重要な形質」を改正するものとなります。選択形質は現行の基準と同じ2形質となります。
以上20種類になります。
また、パブリックコメントにつきまして御説明いたします。今回の諮問事項につきまして、本年11月1日から11月30日にかけまして、国民一般から広くパブリックコメントを募集しましたところ、意見提出はございませんでしたので、御報告いたします。
私からは以上になります。 - 君嶋分科会長
御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえまして、諮問事項について御審議をお願いいたします。
まずは1、新設される区分についてです。その他多年草のアロエ属、セイヨウタマシダ種、カラスビジャクについて、御専門の委員からコメントをお願いいたします。
指名されましたら、ウェブ参加の委員におかれましてはミュートを解除いただき、御発言をお願いします。
それでは、富田委員からコメントをお願いします。 - 富田委員
こちらの質問・コメント等につきまして御回答いただきまして、ありがとうございました。そちらの回答でよく理解できましたので、よろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
それでは、長岡委員からコメントをお願いします。 - 長岡委員
私の方も事前に質問状というんですかね、指摘しましたところ、丁寧にお返事いただき、検討いただきました。この結果について特に異議はございません。どうもありがとうございました。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
次に、花田委員からコメントをお願いします。 - 花田委員
私の方もいっぱい質問させていただきまして、御回答いただきましてありがとうございました。特にもう、回答いただきましたので、これで問題ありません。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
次に、西川専門委員からコメントをお願いします。 - 西川専門委員
御説明いただきありがとうございます。
アロエに関しては意見はないです。
セイヨウタマシダの方は、形質番号13で「葉身の斑の有無」について、入っているか入っていないかというのが入っているんですが、斑の色についても追加するといいかなと思いました。例えば「ハッピーマーブル」という品種が、明るい黄色の斑が不規則に入りますので、そういうところを御検討いただければいいかなと。
以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
一通りコメントいただいてからの回答でよろしいですか。
ほか、何かございますでしょうか。よろしいですか、以上で。
ありがとうございます。
それでは、カラスビシャクについては、薬用でも利用されますが、工芸作物御担当の河野専門委員からコメントございますでしょうか。 - 河野専門委員
河野でございます。
本件に関しましては特に気になる事項ございませんでした。
以上でございます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
続いて、葉菜類のタイワンツナソ種、モロヘイヤについて、彦坂委員からコメントをお願いします。 - 彦坂委員
私の方からは特に指摘はございませんので、それでよろしいかと思います。よろしくお願いします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
それでは、1、新設される区分を通して、他の委員、専門委員の方、何かございましたらコメントをお願いいたします。
よろしいでしょうか。
では、西川専門委員からのコメントに対して、事務局からコメントをお願いします。 - 柏木総括審査官
それでは、御指摘のありましたセイヨウタマシダにつきまして、斑の色もあった方がいいのではないでしょうか、という御指摘かと思います。セイヨウタマシダは、新しく区分を新設するものとなりますけれども、今回の出願品種は、斑の有無は入れましたけれども、出願品種は斑がないものですから、今回、斑の色までは検討しておりませんでした。今後、斑のある品種の出願が出される可能性はありますが、今回はこのままとさせていただきまして、斑の出願があった際に色の形質を追加したいと考えております。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
西川専門委員、よろしゅうございますでしょうか。 - 西川専門委員
了解いたしました。ありがとうございます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
それでは次に、2、UPOVテストガイドラインに準拠して改正する区分についてです。
落葉果樹のマタタビ属、モモ種・ネクタリン変種について、島田委員からコメントをお願いします。 - 島田委員
よろしくお願いいたします。
事前に回答いただきました内容で特段異論はございません。どうもありがとうございました。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
続いて、工芸作物のアサ種、茶種について、河野専門委員からコメントをお願いします。 - 河野専門委員
河野です。
まず、茶の方ですけれども、現行の基準で新芽の「毛」を「毛じ」と記載しておりますけれども、これが新基準では「毛」になるということで、了解いたしました。
また、アサにつきましても、「重要な形質」等、CPVOの品種登録された品種を日本でも登録できるよう整合性を取っていくということで了解しております。
私からは以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
続いて、飼料作物のチモシーについて、明石専門委員からコメントをお願いします。 - 明石専門委員
明石です。ありがとうございます。
事前に質問・コメントをさせていただきました。事務局の方から丁寧な回答いただきましたので、特に今は質問ございません。ありがとうございました。
以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
続いて、食用作物のライムギ種について、淺木専門委員からコメントをお願いします。 - 淺木専門委員
ライムギについて、特段、異存等はございませんので、よろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
2のUPOVテストガイドラインに準拠して改正する区分を通して、他の委員、専門委員の方、何かございましたらコメントをお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、皆様からのコメントに対し、事務局から特にはありませんかね。
よろしいですね。
それでは最後に、3の審査の運用結果を踏まえまして改正する区分についてです。
一、二年草、その他多年草、観賞樹のアネモネフペヘンシス(シュウメイギク)、デルフィニウム属、スイトピー種、サクラ属、ウェロニカ(ベロニカ)について、富田委員からコメントをお願いします。 - 富田委員
こちらにつきましても、こちらのコメントに丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。
それで、デルフィニウムの形質19につきまして、こちらが「重要な形質」に関わることなんですけれども、「花柄の長さ」という表現になっていたんですが、こちら、「小花柄の長さ」へ修正をしていただきたいと思います。
それと、サクラも似たような項目なんですけれども、形質26と27につきまして、やはり「花柄」という表現になっているんですけれども、こちらも「小花柄」ということで、修正をお願いしたいと思います。
以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
次に、長岡委員からコメントをお願いします。 - 長岡委員
私のコメントにはきっちりお答えいただきましたので、これ以上、特に意見はございません。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
次に、花田委員からコメントをお願いします。 - 花田委員
私の方も質問に全て答えていただきましたので、本当、ありがとうございました。これでお願いいたします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
西川専門委員からコメントをお願いします。 - 西川専門委員
サクラ属なんですけれども、形質番号17で「花弁の色」を触れていますが、「御衣黄」という品種が、満開に近づくと花弁の中心にある緑色の線が紅色に変化して、花全体が赤みを帯びて変わっていく特徴があるんですが、そういう「花弁の色の色の移り」というのを追加するといいかなと思いました。
以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
それでは続いて、葉菜類、果菜類のハクサイ亜種、キュウリ種について、彦坂委員からコメントをお願いします。 - 彦坂委員
ハクサイについてなんですけれども、時代というか現状に即した改正になっているので、これでよいと思います。
ほかのものについても、幾つか質問はさせていただいたんですけれども、分かりやすい回答いただきましたので、これでよいと思います。
以上です。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
続いて、食用作物の稲種、コムギ種、小豆種について、淺木専門委員からコメントをお願いします。 - 淺木専門委員
淺木です。
稲についてなんですけれども、稲の形質の1番目の「胚乳の型」というのがエンドスパームタイプ(Endosperm: type)とあるんですけれども、コムギの方も見ていただいて、コムギの形質番号の32番、コムギの方の「胚乳の型」というのが「もち・うるちの別」という書き方をしていて、英語で言うと同じ名前になっているんですけれども書き方が違うので、もしよろしければ、稲の「胚乳の型」という言い方が定義に沿っていないので、稲の形質番号1番の「胚乳の型」を、例えばコムギと同じ「もち・うるちの別」に書いた方が分かりやすいのかなと思いまして、今気付いたんですけれども、今後、もしよろしければ、その方も御検討いただければと思いました。
そのほか気付いたところはございません。ありがとうございます。 - 君嶋分科会長
ありがとうございました。
それでは、3、審査の運用結果を踏まえて改正する区分を通して、ほかの委員、専門委員の方、何かございましたらコメントをお願いいたします。
特にございませんでしょうか。
それでは、委員、専門委員のコメントに対して事務局からコメントをお願いしたく存じますが、まだ協議中ですかね。
少々お待ちください。
それでは、よろしゅうございますか。お願いします。 - 柏木総括審査官
それでは、まず富田委員からありました、デルフィニウムの形質番号19「花柄の長さ」の「花柄」が正確には「小花柄」ではないでしょうかということで、修正した方がいいのではないでしょうかという御指摘であったかと思います。こちらの方、現行の審査基準でも「花柄の長さ」としておりまして、「花柄」としていましたけれども、確認しましたところ、正確には御指摘のとおり、「小花柄」が正確でありましたので、形質名を、「花柄の長さ」は「小花柄の長さ」に修正したいと思います。
それと、サクラですけれども、こちらも富田委員からありました形質番号26「花柄の長さ」、それと形質番号27の「花柄の毛の粗密」の「花柄」ですけれども、こちらも「小花柄」の方が正確ではないでしょうかという御指摘だったかと思います。こちらも確認しましたところ、実際に見ている部位は「花柄」ではなく「小花柄」ということでしたので、こちらも形質名を「花柄の長さ」は「小花柄の長さ」に、それと、「花柄の毛の粗密」は「小花柄の毛の粗密」に修正したいと思います。御指摘ありがとうございました。
それと、西川専門委員からありました、サクラの花弁の色が変化する品種があるということで、その形質を加えてはいかがでしょうかという御指摘だったかと思います。こちらは、審査基準案を作成する時にいろいろな品種も見ながら形質を決めてきたところですけれども、今回御指摘ありました「御衣黄」という品種、こちらの品種をたぶん見られていなかったと思いますので、今回その形質は入らなかったということかと思います。そういう品種があるということは御指摘いただいたとおりかと思いますけれども、今回はこのままとさせていただいて、そのような品種が出願された際に色の変化の形質を加えることを検討したいと思います。
それと、淺木委員からありました稲の形質番号1の「胚乳の型」とコムギの形質番号32の「うるち・もちの別」という形質名ですけれども、評価しているのは同じなので同じ形質名にした方がいいのではないでしょうかという御指摘だったかと思います。こちらは、確認いたしまして、コムギは「うるち・もちの別」という形で、「うるち」若しくは「もち」の、二つのどちらかを選ぶものになっておりますれども、稲の方は「糯」、「半糯」、それと「粳」の3区分の中から選ぶようになっておりますので、形質としては同じような評価をすることになりますので、稲はそのままといたしまして、コムギの方の形質名を「胚乳の型」としまして、評価は「うるち」「もち」のどちらかを選ぶという形で修正したいと思います。
私の方から以上になります。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
それでは、今のコメントに関して、御意見いただいた委員の方、何か御意見ございましたらお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、長岡委員、お願いいたします。 - 長岡委員
サクラの「御衣黄」の色が変わるという件ですございますけれども、この審査基準の調査時期を見ると、調査時期に「特に指示がない限り、花、樹、幹及び枝に関する形質は50~80%開花した時期に調査する。」とあるんですね。その時期、その程度のときに「御衣黄」が果たして、ブルーイングというんですかね、赤みが濃くなるかというと、まだその時点では濃くなっていないと思うんですね。調査する時期をここで指定してありますので、花の色が変化するのはアントシアニン系の花は普通一般ありますので、花が咲いてこのときにチェックしなさいという、こう指示がある以上、色変わりに関しては形質として取り上げる必要はないんじゃないかなと思います。 - 君嶋分科会長
御意見ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、それ以外、全体を通しまして、委員、専門委員の方、何かございましたら御自由に御意見等頂ければと思います。お願いいたします。
特にございませんでしょうか。
それでは、皆様から頂いた御意見を踏まえまして、農林水産大臣に当審議会の意見を答申したいと思います。
重要な形質を定める告示案について、改めて委員の御意見を確認させていただきます。
デルフィニウム属及びサクラ属の形質名の修正、それから、コムギ属の形質名を「うるち・もちの別」から「胚乳の型」に修正するという点につきましては御意見いただきましたけれども、それ以外に御意見ありますでしょうか。
ありがとうございます。
そうしましたら、事務局の諮問から変更のあった区分について、答申案の確認をお願いします。 - 海老原室長
ありがとうございます。
今修正箇所を見え消しで分かるように加工しております。少々時間を頂ければと思います。
それでは、皆様からの御指摘について画像の方で御覧いただければと思いますけれども。
まず、御指摘のあったデルフィニウム属の「花柄の長さ」という形質でございますけれども、こちらの方、映せますかね。「花柄の長さ」、これですね。
今ちょっと直しましたけれども、デルフィニウムの「花柄の長さ」を「小花柄の長さ」の方に修正させていただければと思います。
続きまして、サクラ属の方をお願いします。
御覧いただければと思いますけれども、サクラ属の「花柄の長さ」につきまして「小花柄の長さ」、それから、「花柄の毛の粗密」につきまして「小花柄の毛の粗密」の方に修正させていただければと思います。
続きまして、コムギの方をお願いいたします。
コムギのところでございますけれども、「うるち・もちの別」というところでございますけれども、こちらの方は「胚乳の型」という形に修正させていただければと思います。
御確認、よろしくお願いいたします。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
それでは、そのほか誤字等があった場合の修正については、告示を改正する際に反映させるということで、事務局に一任していただけますでしょうか。御異議のある方は挙手の上、御発言をお願いします。 - 委員
異議なし。 - 君嶋分科会長
それでは、御異議ございませんようですので、諮問に対する答申案を事務局より画面に共有させていただきます。
それでは、読み上げます。
種苗法第2条第7項の規定による重要な形質の指定について(答申)。
令和5年10月27日付5輸国第2793号をもって諮問のあった標記の件については、審議の結果、別紙のとおりの内容で指定するのは適当である。
ということでございます。
委員の皆様、いかがでございますか。よろしゅうございますでしょうか。 - 委員
異議なし。 - 君嶋分科会長
ありがとうございます。
それでは、御異議がないようですので、これを答申とさせていただきます。
それでは、これにて審議は終了とさせていただきます。
事務局に司会をお返しします。ありがとうございました。 - 海老原室長
君嶋会長、ありがとうございました。
また、委員の方々、専門委員の方々、本日熱心な御討議を頂きましてありがとうございました。御意見頂戴いたしまして、告示改正の作業を進めてまいりたいと思います。
今後とも種苗行政の円滑な推進に向けまして御協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。また、冒頭でも申し上げましたけれども、膨大な資料を、専門的な知見に基づき、丹念にご確認いただきまして、本当にありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。今回ハイブリッドということでございまして、至らぬ点等もございましたけれども、我々としても円滑にまた会議が運営できるように、これからもいろいろ工夫していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは改めまして、本日本当にお疲れ様でございました。ありがとうございました。これで審議会を終了させていただきます。失礼いたします。
午後3時34分閉会