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農林水産省

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令和元年度獣医事審議会第2回計画部会 議事録(令和元年7月23日)

1. 日時

令和元年7月23日(火曜日)14時00分~16時00分

2. 場所

農林水産省第2特別会議室

3. 出席者

委員11名  臨時委員5名  合計16名

〔委員〕
大塚昭、大橋邦啓、落合由嗣、廉林秀規、金子美香子、川手日出子、柴内晶子、砂原和文、長田三紀、水谷哲也、村中志朗

〔臨時委員〕
安齊了、大屋英樹、岡本真平、落合成年、酒井淳一

4. 概要

13時58分   開会

開会

(末谷課長補佐)それでは、定刻からちょっと早いですけれども、ただいまから「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」を議題としまして、令和元年度獣医事審議会第2回計画部会を開催いたします。それでは、議事進行につきましては、砂原部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(砂原部会長)砂原でございます。よろしくお願いをいたします。まず初めに、神井審議官からご挨拶がございます。よろしくお願いいたします。

あいさつ

(神井審議官)皆さんこんにちは。消費・安全局で審議官を担当いたします神井でございます。この7月に着任いたしました。これからこの審議会でのご議論でいろいろ先生方にご指導いただくと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。令和元年度獣医事審議会第2回計画部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらず、審議会にご出席いただき、本当にありがとうございます。また、日頃から獣医事行政の円滑な推進に多大なるご理解、ご協力をいただいておりまして、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。

さて、最近の家畜衛生の分野については、皆様方にご心配をおかけしていると思います豚コレラが関心事となっております。現在も複数の地域で発生が続いておりまして、国としても大変重く受けとめております。全国の家畜保健衛生所等の獣医師の皆さん、養豚を中心とした産業動物の診療獣医師の皆様方に、この過程で疫学調査ですとか現地指導にご貢献いただいております。獣医師の皆様方におかれましては、引き続き指導的な立場から適切な飼養衛生管理の徹底などを通じて、豚コレラを含めた家畜伝染病の予防、蔓延防止にご協力いただくことをお願い申し上げます。
また、小動物の獣医療分野に目を転じますと、愛玩動物看護師法が成立し、6月28日に公布されました。我が国においては、犬、猫等の愛玩動物は家族の一員としてかけがえのない存在となっておりました。獣医療が高度化・多様化する中、獣医師と愛玩動物看護師との緊密な連携の下で適正な獣医療を確保することが求められております。
農林水産省といたしましては、法律を共管する環境省と連携し、制度の適切な運営に向けて必要な準備を進めてまいります。

本日は、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針についてご審議いただくこととなっております。小動物診療分野の現状と今後の対応、職業意識の醸成に関する大学の取り組みなどについて2名の委員の皆さんからご紹介いただくことになっております。各々の専門のお立場からご審議いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

短いですけれども、私からのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

出欠及び資料確認

(砂原部会長)ありがとうございました。報道関係者の方の冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。また、本日は16時の終了を目途といたしまして審議を行いたいと考えておりますので、審議が円滑に進みますようご協力をよろしくお願い申し上げます。なお、神井審議官におかれましては、業務の都合でここで退席となります。よろしくお願いいたします。それでは、委員の出欠状況につきまして、事務局から報告をお願いしたいと思います。

(末谷課長補佐)それでは、出欠状況をご報告いたします。獣医事審議会計画部会の委員の定数は20名となっております。本日は西村審議会長、伊沢委員、須藤委員、束村委員より欠席のご連絡をいただいておりまして、ご出席は16名となっております。獣医事審議会令第5条で定める定足数の過半数を充足していることをご報告いたします。事務局からは、以上でございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。定足数は満たしているという報告でございます。次に、配付資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

(末谷課長補佐)続きまして、お手元の配付資料一覧の順に確認をさせていただきたいと思います。まず最初に1枚目、議事次第、めくっていただきまして計画部会の委員・臨時委員名簿、続きまして右肩に資料1と書かれた村中委員の説明資料、次に右肩に資料2と書かれました水谷委員の説明資料、また参考資料としまして、計画部会での主な論点の1枚紙、こちらをつけております。資料については、以上となります。不足や乱丁等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局担当者にお知らせください。なお、本日は別の会議の都合上、タブレットは準備しておりませんので、これまでの計画部会の資料をご覧になりたい場合は、事務局担当者にお知らせいただければと思います。資料の確認は、以上になります。

ちょっとここで、私、7月1日から獣医事班長を拝命いたしました末谷と申します。自己紹介させていただきます。よろしくお願いします。

なお、本日の部会の議事録につきましては、前回同様、資料とともに当省ホームページに掲載させていただきますので、ご承知おきください。以上です。

議事

(砂原部会長)それでは、早速でございますけれども、議事に入りたいと思います。
本日は、前回の計画部会に引き続きまして、小動物分野の委員から当該分野における獣医師確保等の状況、またその課題について、大学教員の委員から職業意識の醸成に関する大学の取り組みについてご紹介をしていただき、審議を進めてまいります。各委員からご説明のあった後に質疑応答を行いますので、まずは小動物分野から村中委員よりご説明をお願いしたいと思います。

(村中委員)村中でございます。 私のほうは、「小動物獣医療の現状と今後の対応」ということでお手元の資料にございますが、これに則ってご説明を申し上げたいと思います。 まず3つのカテゴリーに分けて説明を申し上げたいと思いますが、一番最初が小動物獣医療提供体制の現状ということをお話し申し上げまして、それから平成22年に示されました小動物獣医療提供体制の基本方針、こちらのほうに記載されていた事項と現状等がどうなっているかということの検証を少ししてみたいと思います。そして最後に、新たに基本方針を策定していくわけですけれども、そちらのほうに規定すべき小動物獣医療提供体制ということについてお話を申し上げたいと思います。

では最初に、小動物獣医療提供体制の現状ということでスライド番号2になっていますけれども、こちらのところからご説明申し上げます。こちらは、農水省のホームページから抜粋したものでございまして、ご覧のとおり、小動物の診療獣医師数は一貫して増加をしてきてございます。このピンクの折れ線グラフのところです。次のスライドにまいりまして、これを年齢別、また男女別ということでお示ししたものです。小動物診療については、真ん中の段に書いてございます。こちらのところでございますけれども、これを見ていただけるとわかりますけれども、小動物の臨床獣医師の数というのは、40代以下では半数近くが女性獣医師ということになってございます。これは大学の学生を見てもそうですけれども、もう今は圧倒的に女性学生が増えているわけでございまして、それがだんだん社会に出て、現場に出てというところで反映されてきているものだと思います。次に移りまして、これは今後の予測も含めてではございますが、獣医大学生の進路ということについてここに示してありますけれども、これを見てもわかりますけれども、小動物診療の業界に進むことを希望している学生もまだまだ多うございますし、女性学生が多いということで、今後も小動物診療に携わる獣医師と、その中にいる女性獣医師の割合は今後もさらに増加していくのであろうということは予測されます。次に移りまして、これは字が小さくて、今日はスライドのスクリーンがないですから、これは老眼鏡をかけても見えないぐらい本当に小さくなってしまいまして、何が申し上げたいかと申しますと、小動物の診療に携わる獣医師は、それぞれのエリアの人口を反映して、関東、それから関西、中京といった、いわゆる大都市圏に集中しているというところでございます。表のちょうど真ん中ぐらいに、小動物の診療に携わる獣医師の数と、そのエリアが示してございます。その次ですけれども、これは平成19年と平成29年の獣医療法第3条の届け出、こちらのほうで10年間の推移ということで比較したものでございます。左側は産業動物でございますが、右側のほうをご覧になっていただけるとわかりますけれども、これも10年間で、ごく一部のエリアを除いては小動物などの診療施設数というのは増えているわけでございます。特にこれを見てもわかりますけれども、やはり大都市圏がその施設の増加率が非常に高いなというところでございます。続きまして、では、小動物の診療施設、いわゆる動物病院です。こちらのほうで働いている1施設における獣医師の数ですけれども、この表をご覧になっていただけるとわかりますが、63.8%、約3軒に2軒は、いわゆる獣医師が1人であるワンマンプラクティスという形態でございます。最近では複数の獣医師を雇用している病院が増える傾向にはございますけれども、いまだにワンマンプラクティスが3分の2を占めているというのが現状でございます。それから、次のスライドにまいりますけれども、これは1989年から2014年までの間の、いわゆる小動物診療施設の経営形態です。個人経営形態であるものと法人経営体であるものというふうに分けてお示ししてございます。経年変化を見ていただけるとわかりますけれども、1989年のときには法人化されている病院というのは480、500未満でございましたが、2014年では4,260を超えているというところで、年々法人化の傾向にございます。これは病院の経営上の問題ですので、いたし方がないなと思います。それから、次のスライドに行きますけれども、では1病院当たりの従業員数、従事者数ですけれども、これは動物看護師、受付、その他の仕事をなさる方、そういったことを全て含めて、いわゆるスタッフ全員ということを意味します。1994年には1病院当たり3人程度でございましたが、2014年では5人程度ということでございます。2018年になって、さらに増えているかというと、この4~5年で動物病院の従業員数がすごく増えているなというのは肌感としてはないです。むしろ、少なくなっている病院もあれば、縮小傾向になっているところもあるし、さらに増やしているところもあるのでしょうけれども、2018年のデータが手元にございませんでしたので、2014年からそんなに大きな変化はないのではないかなというのは予測しておりますけれども、ただ、これは私の私見でございます。それから、次のスライドにまいりますけれども、小動物診療施設における年間の売り上げについて、ここに示してございます。病院の平均売り上げというのは、この表、それからこのグラフで見ていただけるとわかりやすいかもしれません。グラフのほうの上です。水色の折れ線グラフで描いたところでございます。明らかに1病院当たりの平均売り上げは伸びているわけでございます。これは獣医療技術の進歩ですとか、細かく診療していくということがずっとなされてきたわけですので、飼い主に対する対価というもの、診療報酬ということも細分化しながら請求していくとか、より高度な獣医療を提供するということで上がってきているというのがもちろん根底にはありますが、近年伸び率が少し下がってきているというところはありますけれども、これも実は後でお示ししますけれども、動物もかなりの高齢化が進行しているわけでございます。現状、ペットの数が減っていると言われながらも、動物病院がそれなりの売り上げを何とか保っているというのは実は高齢化というからくりがございまして、某民間のペット医療保険会社の大々的な調査によりますと、年齢が1歳上がるごとに診療費が14%上がると言われています。現在、ペットのほうも高齢化が進んでいますので、現場では高齢動物医療ということが、いわゆる経営を下支えしているというのが現実ではあります。今後、そういう動物、高齢動物も確実に亡くなっていき、実は新しくペットが生まれていないだとか、いろいろな現状があるので、かなり、経営というのは市場が非常に小さくなり、当然のことながら圧迫されていくということは予測されると思います。次のページをご覧になっていただきたいと思います。1世帯当たりの年間動物病院代の話がここに書いてございますけれども、これも年々増えています。これも先ほど申し上げましたとおり、高齢動物医療というところが下支えになっているのは間違いございません。もちろん、獣医療の進歩ということもございますけれども、そういったようなことになります。それから、次のところになりますけれども、犬猫の飼育頭数の推移ということでお示しをさせていただいています。犬については、2008年の1,300万頭がピークでございました。それから急激に減少しはじめて、2018年には890万頭。恐らく今年は800万頭を切るのではないかなという予測も立ってございます。猫については、赤い折れ線グラフで描いておりますけれども、これも2008年のあたりがピークになってございまして、犬ほどの急激な減少はございませんけれども、犬の数を逆転し、今は猫のほうが多くはなっています。実は1歳未満の犬の数が全体の犬の頭数からすると今は大体4%なくて、多分3.7~3.8%ぐらいしかいないです、1歳未満が。実は犬の数が減らないためには、1歳未満の犬が7%いなければいけないわけです。そのあたりのところが大きく乖離しているので、明らかに減っていく。これは人間の人口動態と一緒で、こういった犬の頭数の変化、動態というのは意外と計算しやすくて予測も立ちやすいと言われています。猫においても実は7%は超えていなくて、6%あたりではないかなと。だから、何とか現状維持しているというのがこの飼育頭数のグラフにも反映できているものだと思ってございます。次のページのスライド番号13に行きますけれども、実は将来の犬や猫の飼育頭数の予測はペットフード協会というところがやっています。いろいろなファクターを取り入れながら予測をしていくわけですけれども、ペットフードの消費量とか、そういったことで現在のペットの飼育数というのは推測しています。これの信頼度というのは非常に高いというふうに言われていて、恐らくここのグラフにお示ししていますけれども、ペットの飼育数の将来の変化というのは、かなり信頼度が高いグラフになっていると思います。実は、ペットフード協会が2012年ぐらいでしたか、2024年の犬の飼育頭数を予測したのですが、そのときに、2024~2025年には800万頭ぐらいいるだろうと2012年ごろには予測しましたけれども、最近下方修正をいたしまして、さまざまな社会的な因子を、ここにも書いておりますけれども、超高齢化が進んでいくと、それから当然のことながら単身世帯が増える、共働き世帯が増加するというようなことを鑑みると、いやいや、800万頭どころではないと、もっと減るだろうということで、ここに示されているのは400万頭ぐらいに下がってしまうのではないかなと。これから5~6年で、もう半分になるのかなと。実際そこまで落ちるのかなという感はございますけれども、恐らく2008年のときにピークだった犬が高齢化して、犬の平均寿命から考えたら、もうここ数年で亡くなってしまうので、激減していくのではないかなということも含めた予測になってございます。そういったようなことからいきますと、次のスライドには、これはJKCの10~15歳の犬の合計数ということで描いてございますけれども、要は何が申し上げたいかというと、近い将来、そんなに10年後とかではなくて、もっと近い将来に動物病院のマーケットの規模は縮小するという懸念があるということでございます。次のスライド15というところに行っていただきますと、次は、いわゆる1次診療施設と2次診療施設の連携ということで、これは22年の基本方針にも書かれていたことですが、現状、ホームドクターとしての1次診療施設と、2次診療施設としての大学病院や大規模専門病院、夜間救急診療施設の連携に期待をしているところですが、この1次診療と2次診療の連携というのは個人個人の努力といいますか、そういった取り組みに委ねられていることでございまして、組織的な対応というのはあまり進んでいないというのが現状でございます。また、専門獣医療の現状ということでございますが、現在獣医の専門医と言われているのは学会ですとか関係団体、研修会とか、そういったようなところが一定の基準を設けて専門獣医師としての名称を付与しているというところでございます。一方で、獣医療法の規定によって専門獣医師ということを名乗ってはいけないと、広告の規制がございますので。せっかく1つの分野に特化して勉強してきたけれども、そういったことを広告できないというところがございます。これは飼い主にとっても不利益なことではございますけれども、現実は今そういうところにございます。それから、獣医師は獣医学的な知識とか技術についての研鑽意欲はあるけれども、実際の業務活動に十分反映することはできていない。研修などのインセンティブが高まらない状況と判断できると思います。先ほど申し上げましたけれども、飼い主も自分の飼っている動物の病気に対して、どの先生に診てもらったらいいのであろうかという情報が非常に不足しているというのが現状でございます。

続きまして、スライド番号17になりますけれども、これは2つ目のカテゴリー、いわゆる平成22年基本方針制定後に、小動物獣医療をめぐる情勢がどのように変化してきたかということでございます。ここの緑の枠で囲んだのが基本方針に記載されていた内容でございます。その下に近年の情勢ということで書いてございます。全てそういうふうな形で検証できるような形態にしてございます。まず、最初のところですけれども、22年の基本方針の記載内容には、高度獣医療へのニーズが高まってくるだろうと。そういったような一方、いろいろな飼い主さんの考え方もあって、飼い主のニーズというのは非常に、その内容は多岐にわたるし、複雑化してくるであろうということでございました。それから、ズーノーシスの対策のことですとか、1次診療、2次診療のネットワークの構築、それから夜間・休日における診療というようなことが22年に書かれておりました。近年の情勢としては、そういった飼い主のニーズというのは高まってございますけれども、それに応えるべく、国と獣医師関係団体などによる組織的な取り組みというのは全くの未整備かなと思ってございます。夜間とか休日の診療ということについては、各地域の獣医師会、もしくは有志の獣医師の努力によって大分整備されてきてはございますけれども、まだ日本全国を網羅するには至っていない状況。このあたりも含めて、今後、人と動物の共生ということがさらに浸透していく中において、国なり地方行政なりというところが組織的な取り組みをしながら高度医療ですとか夜間・休日診療だとかもやっていくべきではないかなと思ってございます。次ですが、平成22年の基本方針の中には、小動物の飼育世帯数が依然として増加傾向にあるという。その時点ではそうだったのかもしれませんけれども、これは実は大きく予想を外れたわけです。現在では、犬の飼育頭数は年々減少傾向にありますし、先ほど来説明しておりますとおり、大幅に減少していくだろうということが予測されます。そういったような背景から、マーケットの規模は縮小していくだろうということが予測されます。次に18番目のスライドになりますが、ここにも緑の枠で囲んでいるのが22年の基本方針の記載内容です。ここでチーム獣医療提供体制の整備ということで、動物看護師の資格を統一化していくということで、これは認定機構などもできまして、現状ではそういったことはなし遂げられました。先ほど審議官の話にもありましたとおり、長年の念願でございました愛玩動物看護師法がこの6月に成立したわけでございまして、今後はチーム獣医療ということの社会に対する提供ということをきちんとやれる土壌ができたなというところでございます。それから、小動物の飼育者に対して、昨今SFTS等いろいろな人獣共通感染症が流行しているわけでございまして、このあたりの保健衛生の指導ということは非常に大事なことで、これも22年にはそのようなことがうたわれたわけでございます。「One Health」ということを22年のときにもう既に提言していたわけでございまして、この「One Health」に関しては、もう3年前になりますか、世界医師会、それから世界獣医師会とが学術連携に関する協定ということを始めてから、日本国内においても日本医師会と日本獣医師会が学術連携に関する協定を交わしました。それに倣って、各地方獣医師会、獣医師会の場合は全国に55の地方獣医師会がございますが、現在では55全ての地方獣医師会が地元の医師会と学術連携に関する協定を交わして、年に数回、シンポジウムをやったり、さまざまな活動を一緒にやっているというところでございます。そういう意味においては、「One Health」ということは随分進歩してきているかなと思います。それから次の19ページに行きまして、これは小動物分野において専門分野別の技術の向上が今後ますます重要となるだろうということが平成22年には言われていて、専門性の高い獣医療技術の習得を目的とした、そういった学会、講習会というのに皆さん行くようにということで、そういったことを促進するという。それから、専門医といいますか、そういった認定の制度、それから生涯研修─日本獣医師会も任意ではございますけれども、生涯研修を推奨して、いろいろなプログラムを組んで、ポイント制にして修了証を出したりしているわけです。そういったことは大分定着をしてきているのかなというふうには思います。

それでは、では22年の基本方針と現状を照らし合わせて検証してきたわけですが、では今後新たな獣医療提供体制の基本方針に何を書き込めばいいのかというところでお話をさせていただきたいと思います。スライド番号で行くと20番ですけれども、高度で専門性の高い獣医療提供のための認定・専門獣医師制度の構築が必要であろうと。これは広告規制の、人間の医師のほうは医療の広告規制の見直しは随分進んでいるところでございますが、獣医療もそれに倣って広告規制の見直しが喫緊の課題となっていると思います。そういったようなことの中で専門獣医師制度をきちんと構築し、消費者である飼い主にきちんとした情報が提供できるように獣医療法をうまく、その運用を改善していかなければいけないだろうということの提言でございます。それについての課題と対応方向ということについては、医療法における広告規制の大幅な緩和と専門医制度の構築というのが背景にはございますが、そこらの経緯も見ながら進めていく。それから、獣医療法に基づく広告は極めて限定的であると。そこをどうやって打破するかというのも問題ではあろうかと思います。また、飼い主が求める獣医師の専門性などの情報が提供されていないという現状があるわけでございますので、それもどのような形で広報していくか。その前に、まず制度と法の見直しというのが一番大事になるわけですけれども、そういったようなところになろうかと思います。それらについては、公益法人等が中心となって専門分野別の研修プログラムを認定していかなければいけないだろうと思ってございます。既存の学会ですとか、そういったようなところを十分に尊重しながら、そういったところが組んでいるプログラムを獣医師会が認定していくという、そういったような構図になろうかなと思ってございます。次へ行きます。それで、ここで1つ案を出しましたが、これを細かく説明していると、なかなか大変なことになるので、後でお時間があればお目通しをしていただきたいなと思いますが、今申し上げました専門獣医師を認定し、登録をしていくという仕組みがここに書いてございます。最終的には、一番の理想は農林水産省のお墨つきが出るのがいいのでしょうけれども、それは恐らく不可能に近いかなと思ってございます。ただ、そういった認定・専門獣医師を認定する団体として日本獣医師会を指定してくだされば、日本獣医師会がその業務を行うというところになろうかと思います。そういったようなことがここに書いてございます。これはまだ粗削りでございますので、今後さらに検討を重ねて、こういったことのニーズがあるのであれば、日本獣医師会としては、そういった検討をさらに深めていきたいなと思ってございます。それから22番目ですが、これは高度で専門性の高い獣医療提供のための地域獣医療のネットワークの体制の整備ということで、1次診療施設と2次診療施設の連携・協力体制の構築、また夜間・休日診療体制の整備について支援をするとともに、獣医療版の「地域包括ケアシステム」を確立し、「人と動物の共生社会」の構築を推進するという。この地域包括ケアシステムというのはご承知だと思いますが、2025年問題と言われている、いわゆる超高齢化社会においてどのように現在の高齢者に対する医療・介護というのが、当然のことながらハードの部分、ソフトの部分においても破綻するのはもう目に見えているわけでございまして、いわゆる1つの地域─国の考え方としては中学校の校区といいますか、その程度のエリアで、そこの地域で医療・介護、そういったものを完結していこうということで、超高齢化社会に備えるという、それが地域包括ケアシステムでございます。高齢者がペットを飼育したり、ペットに触れ合うということで健康寿命が延伸するという、そういったエビデンスはたくさん出てございまして、我々獣医療側の人間としても、こういった地域包括ケアシステムの中に動物を介在させていくという、そういったようなことで健康寿命の延伸を図ろうという試みを少しずつ始めているところでございまして、今後はさらにそういったニーズに応えていかなければいけないなと思ってございます。いずれにいたしましても、総合的な獣医療を提供するということにおいて、飼い主のニーズに応えるのには1病院では、もう当然のことながら、それは無理なわけでございまして、やはりエリア、地域ごとに2次診療施設に匹敵するものが必要になろうかと思っている。東京はたまたま大学が3つございますし、神奈川にも2つ獣医大学がございますし、また夜間の病院も獣医師会のメンバーの有志の中でつくっているのが東と西に大きなのがございますし、そういう意味では恵まれた地域と思われますけれども、地方に行くと、まだまだそういうところが構築されていないので、こういったいわゆるネットワークといいますか、飼い主、消費者の利便性を高めるという努力は今後していかなければいけないし、それに対して国・行政も何らかの理解は示して、一定の理解は示していただきたいと思ってございます。それから次のページ、23に行きまして、愛玩動物看護師法に基づくチーム獣医療提供体制の構築というところでございます。先ほど来申し上げております法律が制定されたわけでございます。今後はこういったチーム獣医療ということをきちんと構築する、すなわち獣医師と、いわゆる今後資格を取るであろう愛玩動物看護師との役割分担、またそういった愛玩動物看護師の資格を持っていない人たちは何をするのかだとか、そういったようなことできちんとした業務範囲というものを考えていかなければいけないということで、ここに参考ということで図表でお示ししております。当然のことながら、診療─手術だとかエックス線検査、診察というのは獣医師じゃないとできませんし、薬の処方等々も全部そうでございます。それ以外に愛玩動物看護師法が今度新しくできて、これまでは業務範囲がちゃんと明記されていなかったんですけれども、獣医師の指示の下に行うという前提ではございますけれども、採血、投薬、マイクロチップの装着、カテーテルによる採尿、こういったことができるようにしていきたいというところでございます。そのほかにもここにいろいろと書いてございますけれども、このように愛玩動物看護師のみが実施可能な部分、それから愛玩動物看護師以外も実施可能な部分という業務の範囲を分けた形でお示ししてございます。これはまだまだ検討する必要がございます。諸外国においては、動物看護師のやれる業務範囲というのは、これよりもっともっと広いわけでございまして、そのあたりも今後の検討課題になっていくのではないかなと思います。

続きまして、「One Health」の考え方に基づく獣医療の提供というところでございます。これについては、今後行政と獣医師会とかということだけではなくて、いわゆる民間の企業等も巻き込んで、もちろん大学とか研究機関は今までも連携してきたわけでございますけれども、民間の企業、そういった部分との連携も今後は必要になってくるのではないかなと強く思うところでございます。その課題と対応方向ということで、人の感染症の約6割は動物由来だと言われているわけでございまして、にもかかわらず、ペットや野生動物に対する検査や研究などの国の所管は不明確になっているわけでございます。今問題になっているSFTSなんかもそうですが、行政側としてもそういった調査を実施したい、例えば野生の動物、特に鹿とかですか。行政としてはやってはいるのでしょう。それから、地域猫とかがやっぱり問題になるのかな。猫はSFTSの媒体として、もう数多くの症例が上がってきているわけでございまして、では地域猫のSFTSの罹患率という話をすると、行政は非常に敬遠するわけです。それは、それが発覚したときの体制がまだ構築されていないというのが根底にあるのだろうとは思いますけれども、ただ、寿命を優先するのであれば、もう早急にそのあたりのところも英断が必要なのかなとは思いますけれども、今後そういったような、特に共通感染症についてはいろいろな事情はあろうかと思いますけれども、やはり我々自然科学者としての立場からすれば、行政もそれなりの覚悟と協力をしていただきたいなというのは思うところでございます。「One Health」については、今後も医師会との連携はさらに進んでいくということになりますので、恐らくどこの地方自治体も医師と獣医師、これは人獣共通感染症という点においては同じ所管になると思いますから、そこをさらに強力に進めていきたいなと思ってございます。

それから次のところですけれども、女性獣医師です。もう先程来、示しておりましたけれども、女性獣医師が今後は増えていくわけでございます。さらに増えるわけです。ただ、女性の場合は出産という大きな、非常に重要な仕事がございまして、出産、子育てということで一時期現場を離れてしまう。でも、復職するというところにおいて障害がたくさんございまして、ご本人のメンタルな面だとか、いろいろなのがあるのでしょうけれども、そういった復帰をしやすい社会環境をシステムとして整備しなければいけないと思います。それは復帰のための研修であるとかということも当然ですけれども、働く場所の環境とかということも重要になろうかと思いますので、そういった全ての面において女性獣医師がさらに復職しやすいという環境をつくっていかなければいけないと。今獣医師の免許を持っているけれども無職の獣医師というのは6%もいて、ほかのいわゆる士業と言われている医師とか歯科医師は1%程度なので、せっかく国家資格をもらったのに、それを社会に還元─還元という言葉が妥当かどうかはわかりませんが、ちゃんと提供できていないというのが現状でございます。それは先ほど来言いましたように、そういった復職のための障害がほかの業界と比べて高いのではないかなと。それを自らいろいろ検討しながら下げていくということが今後のこの業界において必要なことだろうと思ってございます。そういったことは、ここの「対応」というところに書いてございます。27でございますけれども、さらに退職獣医師の再雇用ということでございますけれども、人生100歳時代ということを言われていて、今後元気な人は70になっても80になっても働いていかなきゃいけないと。また、そのことが少子高齢化という日本を支えていく非常に重要なファクターかなと思ってございまして、当然のことながら、獣医師も退職した後もそういった社会の現場で役に立つ仕事ができるという、そういったような環境の整備をしていく必要があるだろうということが、ここの提言です。

それから、最後のスライドになりますけれども、今後、今まで以上にすごいスピードで世の中が変わっていくという時代になろうかと思います。シンギュラリティーという言葉もございますけれども、AI、人工知能というのは今後かなり台頭してくるわけでございまして、人のほうの医療においても今前立腺の摘出の手術なんかも、もうほとんどいわゆるロボットがやるような時代になっているわけでございます。ほかの部分においても、人工知能と人が連携してやっていく、医療を提供すると。今後はもっともっと速いスピードでそういったことが進行していく中においても、獣医療も人工知能というのが当然のことながら発展、活躍する時代になろうかと思います。そういったような中において、いわゆる人材ということでは社会のニーズが少なくなるというのは非常に悲しいことではありますけれども、そういったことも将来の構想の中できちんと考えて、獣医師として社会で活躍できる場というのを考えていかなきゃいけないのではないかなと思っております。それと、現在、人ほどではありませんけれども、小動物の診療分野でも電子カルテというのは普及してきているわけです。そういったような中で、これはビッグデータということになりますし、いろいろな意味で、公衆衛生という面においても人への有用性も当然のことながらありますし、動物の病気そのものを治していくということにも非常に役立つわけでございますが、こういったようなことも今後は進める。ただ、いろいろな情報に対してセキュリティというのは必要になりますので、そういったこともどういうふうな規制指針を出していくかということも喫緊の課題なのかなと思っています。それから、獣医療のレベルも高位平準化とまでは言いませんけれども、全体的なレベルは大分上がってきているというのは事実でございます。でもさらに、いわゆる人のほうでは診療ガイドラインとかちゃんと出しているわけでございまして、ここにEBVMのことが書いてございますが、いわゆる診療に関するスタンダードというものも現在ないわけでございまして、そういったものも日本の、国がちゃんと認める、そういった診療スタンダードというのを確立していかなければいけないなというふうに思ってございます。

ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。ただいま村中委員からご説明がございました内容につきまして、何かご意見、ご質問等がございましたら受けたいと思いますが、何かございますでしょうか。

(柴内委員)村中先生、ありがとうございます。動物と暮らす家庭がどんどん減っていっているということに対して、何か方策というのは。

(砂原部会長)お願いします。

(村中委員)今柴内先生がおっしゃったことは、もうここ10年、いろいろな努力はしています。といいますのは、どういった方法をとっているかということでございますけれども、やはり最終的に訴えかけられるものは、動物と一緒に暮らすことがどれだけすばらしいかという、そういうことでしかないわけです。人と一緒に暮らすことで心身ともに健康状態が保っていけるということを、客観的なデータを示すということも当然ではございますけれども、そういったようなことを地道にやっていくしかないのかなと思ってございます。しかしながら、AIBOという、AIBOもすごく優秀になっていて、実際見て本当にかわいいなと思うわけでございまして、特に子供たちの世代はそういったIT世代で来ていますので、恐らく生の犬や猫よりもAIBOと接する機会のほうが多くなるのではないかなというふうに思っていて、そうするとAIBOのほうがいいのではないかなと、そういうふうになっちゃうかもしれませんし、あるデータによると、小さいころからペットを飼っていない人は大人になってからもペットを飼わないという、こういったデータもあるわけです、日本で。そういったようなこともあるので、獣医師会では学校飼育動物の推進事業というのをやっていますが、これは小さいころからペット、動物と触れてほしいというのがあって、動物を飼うことのすばらしさを知ってほしいというのもあるわけです。いろいろな方法は今までもやってきましたが、決定的な効果が出たというのはどれもありません。相当このことについては、獣医師会はかなり真面目に取り組んできたつもりではありますけれども。ほかのペットサミットですとか、今日はお休みですけれども西村先生が代表でやっていらっしゃる─皆さん、少しずつ切り口は違いますが、ベースの数が減らない─減らないといいますか、ペットと一緒に暮らすことがいかにいいかということを社会に対して普及啓発はしていますけれども、ペットの数が減少することに歯止めはかかっていないようです。

(砂原部会長)よろしいですか。

(柴内委員)ありがとうございます。学校飼育動物に関しては、うちも今息子がチャボの世話をしに朝、とてもうれしく行っておりますけれども、やはり過去の学校飼育動物の状態を見ていると、私が小さいときもちょっと記憶がありますが、あまりきれいにキープされていないことが多くて、正直、そういった小動物と暮らすのはいいことであるということを啓発したいけれども、幼いときに学校等であまり大切にされていない動物と触れてしまうと、逆につらい思い出になることもあると思うんです。なので、学校飼育動物を推進するのであれば、本当に抱っこしてかわいらしいと、いい香りがするぐらいのメンテナンスをし続ける状況が必要なのかなというのがあります。それから、学校でいい状況でずっと暮らしていくことが難しい場合であれば、授業の中に、いわゆる命の教育のようなものを組み入れていっていただくことなどがすごく大切なのではないかと思います。村中先生もおっしゃっていたように、小さいときに動物と暮らしていないお子さんというのは、長じても動物を欲しない可能性があるというデータがあるのと同時に、幼いときに動物と暮らしている、触れたことのある方は情緒が安定していて、非常に非言語的な洞察力にすぐれて、前頭前野が発達するというデータもあるので、ぜひともそういったことは国を挙げて検討していただきたいことだなとすごく思います。高齢者に関しても、ご存じだと思うんですけれども、ヨーロッパ諸国では動物と暮らしている方は通院の回数が2割減ずるということもあって、今日本の医療費が年間に43兆円かかるとしたら─単純計算なので、それはもちろん言えないとは思いますが、もし2割減ったらどれだけ違うのかというようなこともシンプルに考えると思ってしまうのが伴侶動物の医療に携わる者としては思ってしまう部分だと思います。ありがとうございます。

(砂原部会長)ご意見ということでよろしいかと。村中委員から何かあれば。

(村中委員)今柴内先生がおっしゃったように、そのあたりのエビデンスを持って厚労省に行ったこともあります。担当の方にお会いして、厚労省でしたから、医療費の削減という切り口だけで言いました。それから、東京選出の国会議員を20名ほど集めて、そのあたりの医療費削減、これから超高齢化社会に向けた医療費削減の切り口ということでペット飼育がいかに効果的であるかということを説明しましたが、皆さん、話せば理解はするんですが、なかなか実行に移そうとはしてくれていません。そのあたり、今柴内先生がおっしゃったように、もうちょっと国のほうも理解をし、諸外国の例も参考にしながら、そういった取り組みも精力的にやっていっていただきたいなと思います。

(柴内委員)ありがとうございます。あともう一つだけ。私も割と知らずに過ごしてきたんですけれども、「One Health」の考えの中で、伴侶動物の診療を行っている病院における感染症診療の基礎的な部分というのを大急ぎで教育をする何かの形というのをつくらないといけないかなというのはすごく思っていまして、小動物の分野が多く使っているわけではないかもしれませんが、産業動物とあわせて抗菌薬の使い方に関しての目が厳しい部分を感じるんですけれども、先生のお話を聞きながら、そういったところも大事なのかなと思ったことですけれども。

(村中委員)薬剤耐性の件については、これから日本獣医師会でも大々的な調査をやる準備をしていて、それは国と連携してやります。動物医療に関して、産業動物については既に、出荷前何日は駄目だとか、いろいろな管理がきちんとされているので、耐性、どのぐらいの抗生物質を使っているかというのもわかっているわけです。でも、小動物の領域では抗生物質をどれだけ使っているか全く把握していないわけで、ですから、それを今国を挙げてやっているところです。それは、いずれ明確になると思います。それから、我々動物病院での感染症対策自体も、あれはポスターをつくったのは、たしか厚労省からですよね。

(丹菊課長補佐)動物病院スタッフのポスターは厚労省です。

(村中委員)厚労省がつくりましたよね。つくって、こんな格好で診療しますけれども、あまり変に思わないでくださいね、みたいな。ゴーグルして帽子と手袋もするし、防護衣も着てというので、外来の患者さんが違和感を覚えるかもしれないので、厚労省がそういった、特にSFTSへの感染用の防護ということを念頭につくって、そういうのを貼るように、獣医師会からも全会員病院には配ってあります。

(砂原部会長)ちょっと時間が過ぎておりますので、もしご意見等がございましたら、終わりましてから、全体の中から再度質問を受けたいと思います。それでは、続きまして水谷委員からご説明をいただきたいと思います。

(水谷委員)東京農工大学の水谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私がいただきましたお題は、「獣医師の職業意識の醸成に関する大学の取り組みについて」ということです。非常に難しい漢字が入っていて、「醸成」というのは酒づくりみたいなイメージですね。これをそのまま職業意識の醸成─まあ、酒はつくらないですけれども、大学がそういう機会を学生にどういうふうに与えているかということを今日ご紹介させていただきます。

2枚目のスライドですが、先ほどの村中先生のスライドにもございましたように、獣医大学卒業生の就職先は約半数が小動物、20%程度が公務員、10%程度が産業動物、その他という感じに分かれています。いつも50、20、10%ぐらいかなと思っております。3枚目をご覧ください。獣医学生がいつ職業意識を持つのかというようなタイトルだと思ってください。そうすると、入学時に小動物臨床をやりたい人は研究室配属の時期に小動物臨床をやりたいといって来る、大動物臨床をやりたい人は将来牛とか豚にかかわりたいといって来ます。将来安定した公務員になりたいという学生も同様です。大体この3つぐらいです。最近は、さらにエキゾチックアニマルの臨床をやりたいという学生が我々の大学だと何名か入ってきます。我々は1年生のときに─ほかの大学がやっているかどうかわからないですけれども、1年生の学生さんと軽くお話しする機会が何回かあります。そうすると、将来何になりたいかと聞くと、先ほどの50%が小動物、20%が公務員、10%が産業動物みたいな感じで大体合っていて、それがそのまま行くような雰囲気はあります。ですから、ざっくり申し上げますと大体最初から決まっているなという感じです。大学のカリキュラムで変化していくということもあります。それは、もちろん小動物と触れ合うことによって小動物臨床に行ったり、見たこともなかった牛を解剖していくことによって大動物臨床に行きたいと思うとか、後から申し上げるように、実習で大動物と触れ合うことによって気持ちが変わる学生もいます。最近の学生さんはやはり安定して生きたいという、これは社会情勢に鑑みてかもですが、公務員になっていくという人は比較的多いと思います。研究室に配属されて研究職を志す学生さんもいます。まさしくこれは私自身でございまして、最初は小動物臨床に行きたかったのですけれども、研究室に配属されたときに研究のおもしろさを知って、そのままずるずると免許を持ったまま研究にもいるというような感じです。そのほか、国立・私立ともに6年間の教育なので結構お金がかかりますので、途中で奨学金・修学金などをいろいろな団体からいただきまして、それでそこに、悪い言い方をすると、縛られながら就職していくと、そういうパターンもございます。この計画部会は大動物や公務員というところにフォーカスが当たっていると思います。今村中先生のお話を聞いて、小動物も危機なんだなということがある程度わかってきたのですけれども、同様に私たち研究の分野も本当に1割も大学博士課程に上がらないので、実は研究分野も非常に危機なのです。それで、外国人の博士課程の学生が多くなります。このように日本の学生は、学士から博士課程にあまり上がらないというようなことがあって危機感があります。ここは私自分の専門なのでちょっとお話しさせていただくと、私は前職が国立感染症研究所ですけれども、獣医大学を出て獣医師を持った研究者が非常に多く働いています。これは非常にアドバンテージがあって、人獣共通感染症を研究できるということ、それから他の学科では勉強しないような非常に多角的な、人も動物も全てにおいてわかっているので、他学科を卒業するよりも研究的に非常に有利です。in vitroからin vivoまで全部できるのです。だから医学もそうですし、獣医学って非常に有利なので、そういう意味では国立感染症研究所とか、農水省の旧動物衛生研究所、そういうところは獣医師が非常に多く研究をしているという現実がございます。しかし、どの職業分野も恐らく人材不足であろうということは何となくいろいろな人と話していてわかりました。4枚目は、大学において職業別の職業意識の醸成がどうやってされているかということです。小動物臨床はやはり講義が、どの大学でもそうでしょうけれども、講義実習が臨床系だと小動物がどうしても多くなりますので、そういう実習を通じて醸成されていくということです。これは分類がいいのかどうかわからないですが、公務員獣医師と家畜衛生獣医師と行政獣医師と産業動物獣医師、ちょっと定義が入り組んでいるところもあると思います。後で各大学においてどのように職業意識を醸成しているかということをお話しさせていただきたいと思います。企業ですけれども、これは大塚委員の方がご存じだと思うのですけれども、個別の企業説明会などを大学で一生懸命されていて、そこからなるべくいい人材を発掘していこうとされていると思います。各研究室の卒論研究などを通じて進学することもあります。次の5枚目はいろいろ書いてありますが、ご参考までに、公衆衛生獣医師の仕事、それから家畜衛生獣医師の仕事はこういうものだということ、かなり広範囲にわたっているということをご紹介させていただき、そして行政分野の獣医師、つまりこれは国家公務員と言っていいと思いますが、農水省だけしか書いていないのですけれども、そのほかの省庁も、例えば環境省なども獣医師を積極的に募集しています。野生動物関係だと思います。

では、ここからそれぞれの団体、大学がどういうように職業意識の醸成を行っているかということですが、6枚目は、ここ農林水産省の補助事業で獣医療提供体制整備推進総合対策事業というものが行われています。この募集要項を拝見させていただきますと、かなり多岐にわたっています。例えば、獣医学生を対象として獣医大学と連携して産業動物に関する臨床実習などを行うこととか、産業獣医師への就業を志す高校生を対象として修学資金を貸与したりとか、そういうさまざまな取り組みを行っていらっしゃいます。そして、先ほど知った、農水省のサマープログラム2019という、これは文系・理系共通で、必ずしも大学生だということではないのですけれども、大学生も対象として、公務員獣医師はどのようなことをしているかということをいろいろなコースに分かれて見学をすると・・・・・・それで合っていますか。

(丹菊課長補佐)獣医師だけではないですね。

(水谷委員)獣医師だけじゃないですね。農水省のそういうような取り組みもあるということです。ですから、農水省もいろいろやられているということです。そして、7枚目ですが、大学は文部科学省のもとにございますので、文部科学省も獣医学教育関連のプログラムをいろいろ行っております。7枚目は下から見ていただいたほうが、下から古く、上が新しいです。いろいろな取り組みをされていますが、一番新しいところをご紹介しますと、獣医学アドバンスト教育プログラム構築推進委託事業というのが平成29年から31年にかけて行われております。これは2つの分野がありまして、分野1は東京大学が中心になって行っている家畜衛生・公衆衛生獣医師インターンシップ、分野2は岐阜大学が中心になって行われている産業動物臨床分野におけるアドバンスト教育プログラムの構築ということで、こういうような委託事業を文科省が行っています。そのほかのところは、もう既に終了しているプログラムなので、ご参考までに見ていただければと思います。

今回は、その2つのプログラムをご紹介させていただきます。8枚目ですけれども、まず東京大学の、これはいわゆるVPcampというものです。このVPcampは、字がちょっと小さいですけれども、「獣医学アドバンスト教育プログラム構築推進委託事業」の愛称で行っています。家畜衛生・公衆衛生の行政分野で活躍する獣医師を育成するために、獣医学生を対象として47都道府県自治体、政令指定都市・中核都市・特例市等々に実習をお願いしているということで、全国の家畜衛生・公衆衛生にかかわるような団体様に向けて大学生を派遣していると、そういうプログラムであります。9枚目をお願いします。どういうふうな仕組みで行われているかというと、代表校は東京大学で、協力校は14校のコーディネーターがいまして、それに各大学が応募していくというような仕組みになっております。10枚目は、これはホームページから切り抜いただけですが、こういうふうに愛媛県では5日間の実習を行っています。我々の研究センターも1回、2回行ったことがあります。それで、11枚目に行ってください。これは各大学の参加人数を示しております。我田引水ですけれども、意外と東京農工大学が割とよく参加しているかなという感じはございます。というのがこのVPcampと呼ばれているものです。その次12枚目、岐阜大学です。岐阜大学は産業動物臨床分野におけるアドバンスト教育プログラムの構築ということで、この試みは―さきほどの東京大学の取り組みは、東京大学と、それからコーディネーター大学が全国の都道府県の団体に、学生が実習に行ってもらうという取り組みなのに対して―もし間違っていたら申しわけありませんが、この岐阜大学の試みは、NOSAIさんを実習受け入れ機関に限って、実習を大動物・産業動物臨床獣医師を養成することを目的として学生さんを派遣しているという仕組みになっております。派遣先が大きく異なるということが特徴であろうというふうに思われます。13枚目をご覧ください。VPcampと同じように運営されていますが、いずれの場合も全国の獣医大学の学生が参加できるということになっております。14枚目には、夏期の臨床実習のスタンダード編とステップアップ編について、ホームページではこうやって申し込みができますよということが書かれています。15枚目に行ってください。それぞれの大学の参加者が書かれています。大学によってちょっとばらつきがあります。

ここまで省庁、農水省、それから文部科学省が音頭を取って、各大学が実習の取り組みを通じて職業意識の醸成を行っていると、そういうようなことをご紹介してきました。次の16枚目からは、私が各大学の友達とか、それから知り合いに向けて少しアンケートをとらせていただきました。これは農水省がアンケートをとったわけではなくて、私の知り合いということですので、かなりバイアスはかかっております。ご承知ください。それでもアンケートなので、どういう聞き方をしたかというのは一応書いておきました。今獣医系大学は17ありますけれども、その中の8つの大学の大動物関連の友達に産業動物に限って聞きました。産業動物獣医師育成のための教育、どういうことを行っていますかということを聞きました。東京大学と岐阜大学は既にご紹介済みですので、あえて聞きませんでした。今回は、概要をご紹介することを目的としましたので、ホームページなどで公開しているもの、もしくは公開してもいいよというものを資料としてくださいというふうに言いました。それで、私のアンケートのとり方で、これは見ていただければわかりますが、非常に熱い大学と、あまり熱くない大学がありますが、これは大学を比較するものではございませんし、その大学を全て反映するものではありませんので、ざっくり捉えていただければというふうに思います。適当な順番になっております。

それでは、酪農学園大学からまず紹介していきます。ホームページで産業動物獣医師を養成する大学として設立された経緯ということを示しています。3年生を対象に理解醸成セミナーを実施しています。産業動物分野で活躍している獣医師や教員を招いてセミナーを実施することによって産業分野への職業意識の醸成を図っているということです。
次は日本獣医生命科学大学です。産業動物臨床の専門教員の充実化を進めているということです。毎年5月か6月にNOSAI主催の採用説明会を実施しているということで、この左の、ちょっと図が小さいですけれども、「産業動物の現場に誇りとやりがい」という説明会を実施されているということです。そのほか共済や個人の産業動物診療施設における実習を行っていて、5年生後期に1週間必須で、6年生にも1~2週間選択で行っていかれているということです。
続いて、20枚目の北海道大学に行きます。獣医の国際認証を目指して、北海道大学と帯広畜産大学は共同獣医学課程というものをつくっております。同時に、山口大学と鹿児島大学も同様に共同獣医学部をつくって国際認証を目指していると、そういう状況にあります。今回は北海道大学と、次に帯広畜産大学もご紹介させていただきます。北大、帯広大の共同獣医学課程は、豊かな人間性、高い生命倫理観及び国際的視野を備えた獣医師を養成するプログラムを行っています。北大は主に伴侶動物医療に、帯畜大は産業動物医療に重点をおいた教育を行っています。2019年度の新カリキュラムでは産業動物臨床学や馬臨床学が新たに追加され産業動物獣医師の養成をより視野に入れた教育を実施するということです。
21枚目ですが、帯広畜産大学は、北海道大学で書かれていなかったこととして、産業動物獣医師の学び直しの取り組みというのを行っています。
次、22枚目と23枚目は私の東京農工大学ですが、非常に教育に熱い大学です。公衆衛生実践科目においては、家畜保健衛生所とか食肉衛生検査所との先生方をお招きして講義していただいたり、こちらから出向いて体験型の教育を行っているというようなことをしております。
24枚目に行きまして、宮崎大学です。宮崎大学は口蹄疫が発生した地域にあるので、非常に家畜防疫というところに焦点を置いて専門家育成教育プログラムというのをされています。ですから、ほかの大学と違うのは、臨床は臨床ですけれども、宮崎大学はやはり防疫ですね。そこに特徴を出しているということです。
もう少しです。25枚目は麻布大学。先ほど落合先生のほうから日獣大とNOSAIさんが麻布大学でも行われているということで、麻布大学もこれをホームページ上にちゃんと出しておりまして、NOSAIさんが説明会を行われています。
最後の大学のご紹介は岡山理科大学ですが、ホームページからご紹介します。これはホームページからとったものですが、先ほど村中先生からもご紹介ありました「チーム獣医療」とか、そういうことを中心にうたっています。それから、「動物から人へ」というコミュニケーションも書かれていますし、人獣共通感染症のことも書かれています。あと「危機管理の学術支援拠点」とか「国際対応ができる大学」ということを目指しているということです。

本当の最後のスライドですが、27枚目は、少し宣伝ですが、私たちの感染症センターは2010年の宮崎の口蹄疫の発生を受けて設立されました。そういうセンターが各大学にございまして、宮崎大学が基幹となってコンソーシアムを形成しております。去年から始まったのですが、最初は4大学で始めて、今7大学になりました。北海道大学、我々東京農工大学、麻布大学、鳥取大学、岐阜大学、宮崎大学、鹿児島大学と、主に感染症のセンターが中心となってコンソーシアムを形成して、共通研究費の獲得によって防疫の研究をするとか、サイエンスキャンプという若手教員や学生が2泊3日で参加して、国内外の家畜・家きん感染の防疫を教育して、そういうような方向に将来進んでほしいというようなことを願いながら行っています。明後日東京農工大学で、27枚目の下にポスターが描いてありますけれども、7大学の防疫コンソーシアムのシンポジウムを開催するということになっています。以上、大学の取り組みとしてご紹介させていただきました。

最後28ページ、まとめですけれども、これは簡単にざっくり言いますと、文科省や農水省のプログラムは全国の獣医系大学をほぼ網羅している一方で、大学は独自にそれぞれの特性を生かした取り組みを行っているということです。そして、個々の教員はいろいろ違う思いを持っていることがわかりました。大学全体として進む方向は今お示ししたような感じですが、個々の教員の職業意識の醸成というのはやはり違っていて、それぞれの教員のところに来る学生は、そこでの教えによって、また新たに職業意識の醸成がされるのではないかなと考えております。

以上です。どうもありがとうございました。

(砂原部会長)ありがとうございました。ただいま水谷先生からご説明がありましたことに対しまして、何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。

(川手計画部会長代理)先生のほうで、初めのところでざっくりというお話でしたけれども、入学時に進路をもうある程度決めてきている人が多いということでしたですが、先ほどの村中先生のお話とあわせて、例えば今後小動物臨床を目指して来る学生さんが将来像を描くというか、就職先を選ぶときに、これから小動物臨床分野の需要が減るよといったときに、その人たちはどういうところを目指すというか、どこに流れていくのかというような見通しが何かあれば教えていただきたいと思います。

(砂原部会長)どうぞ。

(水谷委員)まず、私を含め、各教員は小動物が減っていくというのはわかっているのですけれども、今日村中先生に言われたほどの危機感はあまり描いていないかもしれない。西村先生は結構危機感を持っていらっしゃると思いますけれども。ということで、そういう小動物ももしかしたらこれから減ってくるので、獣医師も減ってくるかもしれないよということは大学で話したことがないので本当に何とも言えないですけれども、それでも私は小動物臨床に向かう人は多いと思います。というのは、学生は入学時から決まっていて、ある意味自分のうちで犬、猫を飼っていて診たいからとか、おばあちゃんのうちに犬がいて治したいからと、本当に個人的なことですけれども、そういうようなことに基づいた職業意識って非常に高いです。ですから、私、本当に聞いていなくてわからないですけれども、ざっくり言っても、小動物臨床の人気はそのまましばらくは続くのではないかなというふうには感じております。村中先生、何かありますでしょうか。

(村中委員)実は私、母校の日本獣医生命科学大学で動物病院経営学という講座を5~6年やっていました。今はちょっとやめちゃいましたけれども。そのときに小動物獣医療の現状、総務省等々のデータとかも見せながら説明した後、聴講していた学生が教務課に行って、そんなに小動物のほうが悪いなんて知らなかったと、かなり言ったらしいです。あんな先生の言っていることは本当かとか、僕まで疑われたりなんかしたこともあったんですけれども。水谷先生のおっしゃるとおり、小動物の獣医師さんになりたいって大学に入られる方が、最初からそうというのがかなり。恐らく自分の最初の、入学したときの気持ちは変わらず、そのまま何となく卒業していくのでしょうけれども、でもだんだん現実、現場で違うのかなと。実際に小動物に行ったけれども、どのぐらいの期間でやめたかとかというデータがありません。だから、本当はそのあたりのところも、今後は農水としてはそういったデータも拾っていったほうがいいと思います。恐らく昔と比べてすぐやめちゃう人が多いかなと思う。それは実際に現場に出るとわかってくる。現場に出ないとわからないこともたくさんあるので、だからそのあたりのもちょっと見ていかなきゃいけない。じゃ、今まで小動物に志向があったのをどこの部分にやるかは、それぞれの分野の先生方の、要するに誘導というか、そういうものは必要になるかもしれません。実際問題、小動物臨床獣医師のニーズは確実に減るのは、もう間違いないと思います、社会において。それはペットの数が減っていることもそうですが、先ほども言いました人工知能の発展とかということも十分に大きくかかわってくると思います。

(砂原部会長)農水省のほうで何かございますか。

(丹菊課長補佐)小動物をやめられて、それで中途で、例えば民間に行かれるとか、公務員になられる方は相当いらっしゃると。そのようなことについてご意見いただいているということもありますので、そのあたりどういうふうに、我々、もう従前から農林水産分野の公務員獣医師、あるいは産業動物分野の獣医師は、地域によってはその確保が難しいというふうに認識しておりまして、そこにそういう方々を仮に誘導するなら、どういうふうなことができるか、あるいはその前提となるデータをどういうふうに考えていくかというのは国としてきちんと考えていかなきゃいけない。まさにそれが─個人の職業の選択ですので、行政のほうでその人をそこに押し込むのは当然できませんけれども、そういう施策を打つ必要なファクトをある程度考えていかなきゃいけないのかなというのは当然認識しておりますので、これまでにいただいた先生方の意見はきちんと踏まえて、施策を考えていくという準備はしていかなきゃいけないかなと考えてございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。ほかに何かご質問等ございますでしょうか。

(安齊臨時委員)2つほどあって、1つは今のお話ですけれども、私も以前、発言したかもしれませんが、この計画部会の中での大きなテーマとして、産業動物と、それから農林水産分野の公務員獣医師の確保ですか、これがあると。一方で、今お話を聞いていると、小動物のほうは社会的なニーズが、どちらかというと減る傾向にあると。そうなると、大学教育や、あるいは就職後のいろいろな施策で、産業動物とか公務員獣医師を増やすというのもあるんですけれども、その前にまず入り口のところ、つまり大学の入る段階で産業動物を希望している人、あるいは公務員を希望しているような人が入りやすいシステムにするというのをあわせてやっていかないといけないんじゃないかなというのは思いますし、ここでも議論は何回かされていたようには思いますけれども、それはあわせてやっていかないと現実的な効果はなかなか出ないんじゃないかなという感想が1つあります。

それと全然別な話ですけれども、よろしいでしょうか。さっき村中先生が認定・専門獣医師の制度の話をされましたけれども、私は馬をずっとやってきた人間ですが、私の立場から言っても、これはぜひ進めてもらいたい制度だなという気がしています。といいますのも、ご存じのように馬というのはやっている獣医師が非常に少ないんです。しかも、例えば競馬ですとか、サラブレッドの生産地というように限られた分野で、かなりそこの地域では、あるいはその分野では非常にレベルの高い診療体制が整っているんですけれども、それ以外の例えば乗馬とか愛玩用に飼っている馬を診る獣医師は地方では非常に欠けているという状況です。では、それをどう解決したらいいのかというのが、私は馬の医療の分野については現状の最大の問題だと思っています。それを解決する、私が考える唯一の手段は、いわゆる産業動物を、つまり牛や豚や、あるいは場合によっては犬、猫を診ている先生方が馬も多少診ることができると、こういうふうにしないと、地理的になかなか、馬だけで食べていけるような獣医師を全国に配置することは無理だろうと。そのときに今の認定獣医制度というのが非常に役に立つのかなという感想をちょっと持ちました。ですので、村中先生の今日のお話は、もしかしたら小動物中心のお話かもしれませんが、ぜひこの制度を進めていただく中では、家畜別とか、あるいはもっと言えば衛生とか、そういうより幅広い分野での認定・専門ということを考えて実現させていただければ、この計画部会の本旨である適切な獣医療体制の整備につながるのかなというふうに考えております。

(砂原部会長)今のことについて、どちらか。

(水谷委員)まず1番目は、農水省の獣医療提供体制整備推進事業の中で、高校生に対して修学資金を差し上げているというのがありますよね。

(丹菊課長補佐)1つの手段としては、いわゆる地域枠、いわゆる高校生が地元に帰ることを前提にということで、先ほどの事業の中で修学資金を措置していると。多分安齊委員はそれだけではちょっと物足りないということがあって、もう少し何かということなのかもしれませんけれども、今国として、いわゆるもともと産業動物につきたい方を誘導する施策というのは、まずそれがあると。それ以上に何か考えなきゃいけないということはあるかもしれません。

それで、2つ目は専門科目の話なのですけれども、認定医とか専門医です。これは村中委員からもお話がありましたけれども、まず標榜して広告ができないといけないというところがございますので、これは例えばいろいろな専門医、今でも実際は運用されていますが、それが広告できないというのがございますので、人の医師のほうは専門医認定があり、それは標榜、広告ができるということがあって、これはいわゆる獣医療広告の取り扱いとセットで考えていくということになります。これにつきましては、人の医療広告の大幅な見直しがされたということも踏まえて、我々としても獣医療広告を見直していくという方向を打ち出していますので、今我々も人的リソースに限りがあって、この計画部会の議論がある程度見えてきた段階でその次のステップに、これは当然ながら適切な獣医療提供体制の確保という観点で、それが重要ということであれば、その基本方針の中に何らか盛り込むということになりますし、それを踏まえて獣医療広告の取り扱いについてどのような検討をしていくかという、そういうステップに移っていくと。一足飛びにできるといいのですが、なかなかそういうふうになっていないので、検討の方向としては、まず広告規制を見直していくという方向で我々は考えているところでございます。なので、その中でいただいた意見を踏まえて、どのようなものが適切かということ。これにつきましては、広告規制の見直しは免許部会のほうで議論をするということになってございますので、これも規制を直すときに審議会にかけるという手続がございますので、その中でさらに意見をいただいて、よりよいものをつくっていくというふうにさせていただければと思っています。

(砂原部会長)今の答えでよろしいでしょうか。

(安齊臨時委員)いえ、結構です。あえて今2点言ったのは、もうそろそろここの会のまとめが入るのだろうと思うので、その2点はぜひ盛り込んでいただけたらなという趣旨です。

(砂原部会長)時間も過ぎておりますけれども、もう一点だけ何か質問がございましたら受けたいと思いますが。

(水谷委員)大学の学生への職業意識の醸成というのは、先ほど丹菊さんがおっしゃったように、まず職業選択の自由というのがございまして、例えば、この計画部会でいくと、やはり公務員獣医師と産業動物獣医師ということになるのでしょうけれども、大学全体から見ると、小動物臨床は当然重要であるということもありまして、ここにだけ特化するのはなかなか難しいですね。ですから、今ご紹介したのは、特に産業動物にかかわっているような教員に、友達としてアンケートをとらせていただいたということなのでこういうふうですけれども、これが小動物臨床とか公務員というふうになると、また別の回答が得られるというふうに思っております。ですから、大学が何をしたらいいかというのは非常に難しいところです。いろいろなところの教員と話していて、少しお伝えしたいことが1つございまして、前回の計画部会のときに、多分畜産の牧場の方のところに大学生を派遣して、態度といいますか、それが非常に悪いという苦情があったと思います。それはどこの大学もそうですけれども、その苦情は直に指導教員に言ってほしいです。我々は二十歳以上の学生を派遣しておりますので、大学として外に出すときにはしっかりと教育はしています。ちゃんと礼儀正しいことはこういうことだという教育はしていて、それでもなっていない学生さんにはこちらから注意をしたいという教員の意見がありました。ですから、そういうことがございましたら、これからの関係を良好にするためにも、ご遠慮なく各大学に申し出ていただければというふうに思います。よろしくお願いします。

(丹菊課長補佐)これは、今日ご欠席の須藤委員がおっしゃっていた話でしたかね。なので、実はあの後、須藤委員にはいろいろな事情等をお話しして、それを含めて次回来られたときに、水谷先生からのそういうお話は再度お伝えをいたしますので、よろしくお願いします。

(砂原部会長)よろしいでしょうか。

(水谷委員)はい、ありがとうございます。

(砂原部会長)ほかになければ次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、本日は村中委員、水谷委員におかれましては、ご説明いただきましてありがとうございました。
次に、次回の計画部会、その他についてでございますけれども、各委員からそれぞれの分野における課題等について2回にわたり説明をいただいたところでございます。今後の進め方につきまして事務局から説明を願いたいと思います。

(末谷課長補佐)昨年度から通算しまして4回にわたって委員からご意見をいただいてまいりました。事務局において、これまでにいただいたご意見の整理と、ご意見への対応の方向性について整理をしまして、次回の計画部会では、それを用いてご審議いただきたいと考えております。

(砂原部会長)ただいま事務局から提案がございました今後の進め方につきまして何かご意見等がございましたら伺いたいと思いますが、何かございますでしょうか。ございませんか。
それでは、今までの経緯について、事務局におきまして整理をお願いしておきます。その他の事項として、事務局から何かございませんでしょうか。

(末谷課長補佐)冒頭にご説明いたしましたが、本日の議事録につきましては、前回と同様、資料とともに当省ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。
後日内容の確認をお願いいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

(砂原部会長)ありがとうございました。本日は長時間にわたり熱心にご審議、ご発言をいただきまして、ありがとうございました。
これをもちまして閉会とさせていただきます。次回の開催につきましては、別途調整させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
本日はどうもありがとうございました。

午後3時50分閉会

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