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農林水産省

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日本農林規格調査会議事録(令和元年12月10日開催)

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1.日時及び場所

日時:令和元年12月10日(火曜日)
場所:農林水産省第2特別会議室

2.議題

(1) 日本農林規格の制定及び改正について

【制定】
持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格の制定

【改正】
有機農産物の日本農林規格の一部改正
有機加工食品の日本農林規格の一部改正
有機飼料の日本農林規格の一部改正
有機畜産物の日本農林規の一部改正

(2)その他

3.議事内容

午後1時58分開会


◯長谷規格専門官
皆さん、こんにちは。定刻よりちょっと早いですけれども、委員の方々、皆さんおそろいでございますので、これから日本農林規格調査会を開会させていただきたいと思います。
事務局をさせていただきます長谷と申します。よろしくお願いします。
皆様には、ご多忙のところご出席いただきまして、ありがとうございます。
本日ご参集の委員、臨時委員14名のうち、大谷委員から欠席のご連絡をいただいております。13名のご出席ということで、本日の調査会が成立していることを申し上げます。
なお、今回の会議ですけれども、公開で行います。事前に本日の傍聴を希望される方を公募いたしましたところ、29名の方のご応募がございました。本日傍聴されております。
それでは、議事進行を議長の中嶋会長にお渡しいたします。

◯中嶋会長
中嶋でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、塩川局長からご挨拶をいただきたいと思います。

◯塩川局長
食料産業局長の塩川でございます。委員の皆様方には、ご多忙の中、ご参加を賜りまして、ありがとうございます。
3月にノウフクJASが制定されまして、11月に事業者が認証され、ようやくその商品が出回り始めつつあります。これもひとえに皆様方の本当にご理解とご協力をいただいた成果だと感謝を申し上げたいと思います。
本日は、2つ議題がございます。後ほど事務局から説明がございますが、1つは持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉のJAS、これの制定ということと、もう一つは有機農産物のJASなどの有機4規格につきまして、ゲノム編集技術を利用したものを使用しないという、こういう改正案につきましてご審議賜りたいと思っております。
どうぞ、委員の皆様方に忌憚のないご意見を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
続きまして、調査会の議事録署名人の指名を行います。
日本農林規格調査会運営規程第11条により、会長が指名することとなっておりますので、鈴木委員、それから岩崎委員、このお二人にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、事務局から資料の確認及び議事内容の公表についての説明をお願いいたします。

◯長谷規格専門官

それでは、資料の確認をさせていただきます。
本日の調査会は、紙の席上配付を最小限にしたいと思っておりますので、皆さんのお手元のタブレットにて資料をご覧いただく形にしております。説明に合わせてご覧いただくようお願い申し上げます。議事次第から資料1~6については、既にタブ上にございます。有機JASの参考資料などにつきましては、デスクトップ上のPDFファイルに保存しておりますので、必要に応じてご覧いただきたいと思っております。
また、パソコンがうまく動かないとか、電源が落ちたとか、そういったトラブルございましたら、事務局員がサポートいたしますので、会議の最中であっても事務局員にお知らせいただきたいと思っております。よろしいでしょうか。
次に、本日の議事内容なんですけれども、ご発言いただいた方々のお名前を明記の上、後日、農林水産省のホームページで公表いたしますので、ご了承願いたいと思っております。
事務局からは以上でございます。

◯中嶋会長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、日本農林規格の制定及び見直しについて審議を行います。
初めに、農林水産大臣から諮問をいただいておりますので、事務局より朗読いただきます。

◯西川基準認証室長
それでは、資料2を朗読させていただきます。
日本農林規格調査会長殿。
農林水産大臣、江藤拓。
日本農林規格の制定等について(諮問)。
下記1に掲げる日本農林規格については制定を行う必要があることから、日本農林規格等に関する法律第3条第4項の規定に基づき、下記2から5に掲げる日本農林規格については改正を行う必要があることから、同法第5条において準用する第3条第4項の規定に基づき、貴調査会の議決を求める。

制定
1、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格
改正
2、有機農産物の日本農林規格
3、有機加工食品の日本農林規格
4、有機飼料の日本農林規格
5、有機畜産物の日本農林規格
以上でございます。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
それでは、諮問のありました日本農林規格の制定及び見直しについて審議を行います。
まず、規格の審議のために、運営規程第10条第4項により、6名の方に出席いただきます。
まず、国産鶏普及協議会日比野義人会長。
それから、独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場山本洋一牧場長。
続きまして、農林水産省生産局畜産振興課赤松大暢課長補佐。
それから、農林水産省生産局食肉鶏卵課菅原美咲係長。
独立行政法人農林水産消費安全技術センター村田和宏課長。
独立行政法人農林水産消費安全技術センター山内孝之主任調査官でございます。
それでは、全体の説明を事務局からお願いいたします。

◯西川基準認証室長
では、資料3の全体の説明を私から説明いたします。
先ほど、私は自己紹介を忘れておりまして、今年9月から農林水産省の基準認証室長に着任いたしました西川です。よろしくお願いいたします。
それでは、資料3の全体の説明をまず私のほうからさせていただきます。
資料3の2ページ目をご覧ください。
今回の全体の説明でございますが、日本農林規格の制定・見直しについてということで、まず1つ目の丸のところにございますとおり、JASについては、「日本農林規格の制定・見直しの基準」により制定・見直し内容の妥当性を判断しております。
今回の調査会におきましては、2つ目の丸でございますけれども、上記の基準に照らして妥当と考えられます(ア)「持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格」の制定、そして、(イ)のところですが、「有機農産物の日本農林規格」等の有機関係の4規格の見直しを実施させていただきます。
もう一つ、下のところで再度詳細に説明いたします。1、新たに制定するJASということで、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格、また、最後でございますけれども、2番の見直しを行うJASとしまして、有機農産物の日本農林規格、有機加工食品の日本農林規格、そして、有機飼料の日本農林規格、最後に、有機畜産物の日本農林規格ということで、今回は新たに制定するものと見直しを行うJASという形で、2つに分けて整理させていただきたいと思っております。
以上です。

◯中嶋会長
今のご説明につきまして、何かご質問、ご意見ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、議題の1、日本農林規格の制定及び改正についての審議の1に入りたいと思います。
まず、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格案について、事務局からご説明をお願いいたします。

◯渡部課長補佐
基準認証室の渡部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格案について説明させていただきます。
本規格案につきましては、国産鶏普及協議会から規格原案の申し出があり、これを受けた規格案について、事前意図公告及びパブリックコメントの募集を経て本調査会に諮るものでございます。
本規格案の関係資料につきましては、まず資料3の5ページからです。それから、資料4、こちらが日本農林規格案となってございます。それから、資料5、これがパブリックコメントの募集結果の案でございます。それから、デスクトップ上にあるかと思いますが、机上配付資料1、こちらが規格調査の結果でございます。
では、資料3を用いて、規格案の概要を説明させていただきます。
資料3の5ページをご覧ください。
本規格案は、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の生産行程の基準について規格化するものでございます。JASマークを付す対象は、鶏卵あるいは鶏肉となるタイプのものでございます。
「現状」に背景等を記載しておりますが、詳しくは7ページの参考資料で説明させていただきます。
7ページをご覧ください。参考資料として、鶏卵・鶏肉を取り巻く状況と書いているものでございます。こちらの上の枠の上のラインを見ていただきますと、我が国の鶏卵・鶏肉の生産について記載しているのですが、海外の育種会社から供給される親鳥から生まれた素びな、これに輸入トウモロコシなどの原料を配合飼料としたものを供給するという、極めて海外依存度の高い構造のもとで維持されているということが言えるかと思っております。
鶏卵・鶏肉ですが、スーパーなどで売られているものは見ると国産のものがかなり多いと思います。特に卵は100%近くは国産でございますし、鶏肉も6割以上が国産のものでございます。実際に国内で生産されたものですので国産となりますが、その元となるひなの親鳥というのは海外から輸入されているということを上のラインで示しております。卵用鶏の場合で95%、肉用鶏の場合で98%が海外から輸入された種鶏、親鳥から生まれた素びなから生産されているという実態でございます。
一方、その下のラインでございますが、こちらは国内で育種改良し、遺伝的に固定された鶏の系統及びこれらを交配して作出された鶏、これを国産鶏種と呼びます。この国産鶏種を種鶏、親鳥とした素びなから鶏卵や鶏肉、これを生産する流れというのがその下の方のラインでございます。
そこにも記載してございますが、先ほどの海外鶏種の裏返しになるんですが、卵用鶏は5%、肉用鶏は2%が国産鶏種で賄われているというものでございます。
このような生産構造というのは、例えば外国鶏種の生産国での鳥インフルエンザなどの伝染病が発生した場合、外国鶏種の供給が途絶えるといったことが懸念されます。
また、飼料も大半を海外に頼ってございます。鶏に与える飼料というのは、14%ぐらいは国内で賄われていますが、残りの86%は海外から輸入されているという状況ですし、そのうちの半分ぐらいはトウモロコシなんですが、トウモロコシのほぼ100%は海外から入っているという状況でございます。そうなりますと、飼料の輸出国の例えば天候不良で干ばつなどが起きた場合、輸入飼料の激減であったり、価格そのものが高騰するといった不測の事態が発生する可能性がございます。
こうした場合、国内の養鶏産業の持続的な事業の継続というものが困難になるということが懸念されているところでございます。
このような海外に依存しているリスクを軽減するためには、外部環境に左右される海外の資源から国内の資源、例えば国産鶏種であったり国産飼料用米などに切り替えるということが有効であると考えているところでございます。
このことは、国内養鶏産業の維持や継続にもつながりますし、それからSDGS、こちらの目標の一つでもございますが、食料安全保障を実現して、持続可能な農業を促進するというものがございます。これにも寄与するものと考えているところでございます。
下の左側の枠をご覧ください。
こちらは、国産飼料用米について記載しているものでございます。飼料自給率については、2017年の26%を40%に引き上げることを政策目標としています。この自給率には、濃厚飼料と粗飼料、両方合わせたものですが、濃厚飼料については先ほど申し上げた14%ほどが国内で賄われるというものでございます。
本規格案では、輸入トウモロコシにかえて国産飼料用米を鶏に餌として与えることとしてございます。そもそもどうしてお米なのかということになりますと、日本人1人当たりの米の消費量というのは、今から50年ぐらい前、昭和37年をピークに年々減少してございます。現在ではピーク時の半分以下、年間で54キロぐらいまで減少しているというところでございます。
そこで、この食用のお米に替えて、鶏に与える飼料用米を生産することで、例えば使用されていない水田の利活用が進み、環境や国土を守るといった水田の機能、これが維持されるということも同時に図ることができます。
また、国産の飼料を鶏に与えることによりまして、飼料自給率も向上いたしますし、その飼料自給率を反映させた鶏卵や鶏肉の食料自給率の向上にも寄与するものではないかと考えているところでございます。
飼料3の5ページに戻っていただけますでしょうか。
5ページの「現状」の3ポツ目でございますが、他方で、東京オリンピック・パラリンピックの食料調達基準では「持続可能性に配慮した畜産物」の使用が推奨されてございます。このオリパラ後においても、このSDGSが掲げる持続可能な生産や消費というものを確保する社会、この実現に向けた取組みというものが求められていくのではないかと考えてございます。
このため、本規格案では、「規格の概要」というところに書いてございますが、国産鶏種や国産飼料用米の利用、アニマルウェルフェア・周辺環境の配慮等について規格化をするというものでございます。具体的な基準につきましては、次の6ページをご覧ください。
6ページでは、上に黄色いラインで行程を左から右へ時系列で記載してございまして、その下に対象となる事業者を記載してございます。左側が養鶏業者で、右側が鶏卵の場合は卵を選別して包装する事業者、鶏肉の場合は食鳥処理業者ということでございます。
それから、中ほどから下にかけてですが、緑色で基準を記載してございます。養鶏場では卵用鶏、肉用鶏の飼育においては国産鶏種、それから国産飼料用米、鶏ふんの利活用をするということがございますし、それからあわせまして、アニマルウェルフェア、それから周辺環境の配慮、防疫管理というのをしていただくということにしてございます。
その下の2本の帯は右側まで伸びております。鶏卵・鶏肉の選別・加工・流通の行程においても衛生管理や安全衛生・労務管理、区分管理をしていただくということとしてございます。
その下の方にイラストがございます。こちらに基準の概要を書いてございます。左上が国産飼料用米の給与です。鶏卵の場合は採卵前の10日間、鶏肉の場合は28日齢以降、国産飼料用米を給与することとしております。28日齢というのは生まれて28日たったひよこでございますが、これ以降お肉として出荷されるまで与えてくださいということになります。
左下ですが、国内で育種された鶏の素びなを利用してくださいと、国産鶏種を使ってくださいということでございます。
それから、右上のほうですね。アニマルウェルフェアですとか周辺環境への配慮、それから防疫管理と記載がございます。例えば、周辺環境への配慮というのは、騒音ですとか悪臭、それからCO2の抑制などを規定してございますし、防疫管理では鳥獣侵入の防止などを求めているものでございます。それから、衛生管理というのは、そこで働く方、あるいは訪問された方が病原菌などを持ち込まないように衛生管理をしっかりしてくださいということ。それから、安全衛生・労務管理というのは、そこで働いている方が安全に働けるように配慮したり、しっかり労務管理をしてくださいと、人権や差別がないようにしてくださいといったことを設けてございます。
最後、右下ですが、鶏ふんの処理について定めてございます。鶏を飼養した場合鶏ふんが出てまいりますが、この鶏ふんを肥料、あるいはエネルギーとして利用してくださいということを求めてございます。できるだけ、その鶏ふんを飼料用米の生産農家へ供給して、そこでつくられた飼料用米がまた再びこの養鶏場に戻ってくるというサイクルが回るということを原則といいますか、目標として定めているところでございます。
以上のような基準を満たした鶏卵・鶏肉であるということを、このJASにより認証して見える化をするということによって、エシカル消費などを望む国内外の購買層に広くアピールすることが可能となると同時に、国内の養鶏産業の競争力強化にも寄与するものと考えてございます。
規格の概要については以上でございます。次に資料5をご覧ください。
パブリックコメントの募集結果でございます。
2の事前意図公告に対するコメントはございませんでした。
1の意見・情報の募集に対しては、5つの法人・個人の方から6件のご意見をいただいたところでございます。
次のページ以降に意見と考え方をまとめてございますので、ご覧ください。
2ページ目の上の枠でございますが、総論ということで、本規格案が持続的な生産環境の整備のためとなって、食料自給率の向上、あるいは生産基盤の強化につながるというご意見でございます。賛成のご意見として承りたいと考えてございます。
その下、2ページの下の方ですが、こちらは規格案の4.2国産資源の活用について、推奨ではなく要求事項とすべきというご意見でございました。本規格案は、箇条4にまず原則というものを規定してございます。そして、この原則に則した要求事項というものを箇条5に記載するという構成でございまして、ご意見のあった事項につきましても、箇条5に要求事項として規定しているということをご回答したいと考えてございます。
それから、次の3ページ目でございますが、アニマルウェルフェアへの配慮ということでございます。卵用鶏のひなのくちばしを切るデビークは行うべきではないというご意見でございます。ひなが羽つつきといいまして、つつき合うのですが、これによって鶏の死傷事故が起きます。これを防止するという観点、また、畜産技術協会がアニマルウェルフェアの管理指針を出してございますが、その中でもやむを得ない場合の手段の一つとして許容されているということを説明するとともに、国際基準の動向を考慮して見直しを行うこととしていることを回答したいと考えてございます。
それから、3ページの下から次のページにかけてですが、家畜排せつ物の利用ということでございます。こちらは、鶏ふんの場合、焼成など堆肥化せずに農地へ還元すこともあるということで、堆肥化に限定しなくてもよいのではないかというご意見でございます。パブリックコメントを募集した段階では堆肥化だけを対象としてございましたが、ご意見を踏まえまして、堆肥以外の肥料、あるいは土壌改良資材としての利用も含めることと修正させていただきました。
それから、その下の防疫管理でございますが、ワクチンを使用しない自然農法へ進むべきというご意見でございます。本規格案では抗生物質の使用の低減などを求めております。そのための手段として、衛生管理の徹底と並列してワクチンによる疾病予防も例示していること、それからワクチンによる疾病予防は、アニマルウェルフェアの考え方とも親和性があるということを回答したいと考えてございます。
最後のその他でございますが、アニマルウェルフェアについて法整備すべきではないかというご意見でございます。現行、動物の愛護及び管理に関する法律の中で、家畜の健康及び安全を保持するように努めなければならないという規定がございます。これをご紹介した上で、ご意見として承ることと回答したいと考えてございます。
規格案の説明については以上でございますが、本日、この規格案の原案を提案されました国産鶏普及協議会の日比野会長がいらしてございますので、日比野様から補足説明をお願いしたいと思います。

◯日比野(国産鶏普及協議会)
ただいまご紹介に預かりました国産鶏普及協議会の会長をしております日比野でございます。座ったままですみません、失礼いたします。
今回提案をさせていただいた理由について、補足説明をさせていただきたいと思います。
私が所属しております国産鶏普及協議会というのは、日本の個別の国産鶏を育種、そして改良し、そして増殖し、それを普及するということを目的にしておりまして、そういう肉用鶏、卵用鶏に関係した関係者が集まった団体でございます。
私たちは、その団体で、あとは家畜改良センターさん、そして全国の都道府県の県の養鶏試験場の、畜産試験場の皆さんと提携いたしまして、そして育種改良を進めるということをやっております。当然、卵用鶏もそうですし、肉用鶏もそうですし、銘柄鶏に関しても提携して改良を進めております。そして普及をさせていただいております。
ただ、普及の仕方が悪いのかもしれませんけれども、なかなか国産鶏というものに対する普及も知名度も上がっていないというのが現状なんですね。
それで、私どもといたしましては、一昨年、JASの改正があり、生産者が自らの生産物の付加価値を高めることができるようになったということをお話を聞きし、常々そういうことを思っていたことなものですから、ちょうど挑戦をさせていただくのにいい機会なんじゃないかなということで、今回、農水省さんに提案をさせていただいたという次第でございます。
先ほどお話もありましたけれども、鶏の育種改良の世界は、世界の二大育種会社プラス1つで、3つの大きな会社が卵用鶏も肉用鶏も、その育種を全部牛耳っています。ですから、そこで育種改良されたものが、日本だけじゃなくて世界各国に輸出されているというのが現状なんですね。笑い話になりますが、この間、国産の育種改良をしているうちの会社ってほんの数%しか日本のシェアはないけれども、世界で何番目ぐらいかなと言ったら、日比野さん、あんたのところの会社は世界の十大育種会社に入りますよと言われました。7番目ぐらいに入るだと。こんな小さな会社でも7番目ぐらいに入るような、それぐらい世界の育種改良というのはM&Aがとり行われて、大きな育種会社だけに集約されているというのが現状です。
その中で、日本で育種改良を我々国産鶏普及協議会の面々がやっておりますけれども、やっぱりその重要性というか、大事さというものを我々自身も強く感じています。
それで、今回、本規格の認証が普及されれば、私たちの国産鶏普及協議会のメンバーが育種ているそういう鶏卵、鶏肉が生協さんとか、道の駅とか、直売店とか、スーパーさんですね、そういうところにで持続可能なサステナブルな商品として、差別化、できるんじゃないかなと思っています。
また、さっきも言いましたように、世界の育種会社というのは寡占化が進んでおり、大きいのが2つしかありませんので、当然そこから日本は輸入をしてこなければならないというのが現状です。もし、鳥インフルエンザ等で何かあったときにはストップしてしまいますし、それぞれの国で有事の際には輸出もできないということが起きるでしょう。また、地球の温暖化が進みまして、飼料が、穀物がだんだんとれなくなっているという現状の中で国産の飼料用米を進めることができれば、もし何かあったときのリスクヘッジになるんじゃないかなというふうに思っております。
それと、もう一つは、資源の循環と持続可能性を持つ飼料用米を国産鶏種に与えることによって、今、国も輸出ということを推奨してもいますけれども、攻めの農業というのをやるに当たって、今既に鶏肉、鶏卵も輸出している方もありますけれども、そういう方たちが海外に輸出するときに、やっぱりこれは日本で育種改良した鶏の卵だよ、肉だよと、そして日本の飼料用米を与えたものだよということが大きく前面に出すことができるならば、それはそれで輸出に対する貢献にプラスできるんじゃないかなということを思いまして、今回提案をさせていただいた次第でございます。
本日、ご検討のほうをよろしくお願いいたします。

◯中嶋会長
ご説明ありがとうございました。
それでは、ご質問、ご意見をいただきたいと思いますが。
それでは、水野委員、お願いいたします。

◯水野委員
ありがとうございます。国産飼料の活用、そして国産鶏種の育種改良の推進というのはすばらしいことだと思います。このJAS規格、私も応援しています。
この規格案、私がいただいている資料の中で表示の項がなかったんですけれども、この規格を満たした商品の名称、鶏卵と鶏肉はどういう名称になるんでしょうか。持続可能性に配慮した鶏卵とか、持続可能性に配慮した鶏肉となるとすごい長いなと思うんですが、そのことをちょっとまずご質問させてください。

◯中嶋会長
じゃこれは事務局からですか、提案者のほうから。

◯渡部課長補佐
規格の中で名称については定めてございませんので、食品表示基準に従って表示をしていただくということになります。JASマークの近くに標語を記載することができますので、統一した標語でPRをしていただければと考えてございます。

◯中嶋会長
マークそのものは、富士山のマークがついて、そのところに標語をつけることができるということなんですよね。それはほかのものについても同じように理解すればよろしいんですか。

◯渡部課長補佐
マークは、富士山マーク、新しい特色JASのマークでございます。そのマークに近接した箇所に統一した標語を記載することができるということを別途告示の中で定めることを考えてございます。これまでの規格も同様に標語が記載できると定めているところでございます。

◯中嶋会長
よろしいでしょうか。
それでは、里井委員、お願いいたします。その後、山根委員、お願いします。

◯里井委員
里井です。よろしくお願いします。
すみません、今の質問につながってで、ちょっと記憶も不確かなんですが、統一した標語というのを検討するのはまた別途の機会があることではなくて、この調査会のこの段階ではもう統一した標語を決めますよというので、私たちは送り出すという感じでしたかしら。

◯渡部課長補佐
ご指摘のとおりでございまして、この場では規格の内容をご検討いただき、マークの標語については事業者や団体、認証機関で検討してもらことを考えています。

◯里井委員
はい、わかりました。
今が先ほどのちょっと質問についてのお伺いで、簡単な意見として感想も込めてなんですが申し上げたいと思います。2点あります。
ポイントは、今回もなんですが、すばらしい案だと思っておりまして、特にこの消費者にとって鶏卵、身近にある食材がこのマークがついて持続可能なものになっていくのであれば、本当に理想的だなと感じています。そういう面でも、消費者さん、それから生産、流通、今おっしゃった統一した標語、団体の方々と長く連動をうまくしていけるようなのが理想だと感じました。非常にわかりやすく、今後このマークにしろ、消費者をいかに巻き込んでいくというか、影響を与えて、わかりやすく浸透していくかというのが非常に重要なのかなと思っておりますので、実は持続可能というのを支えているのは、このマークを使いながら使っている方、それからそれを料理してくださる方、それを食べる消費者、買う方だということを踏まえた上で、わかりやすく発信していただけたらなと思っています。
それから、1点ちょっと質問にもなるんですが、もし期待される数値的目標みたいなものがあれば、例えばですが、私は今回お話を受けて、95%、98%、このもとが実は海外だという実態を知ってかなりショックを受けました。飼料用米もそうなんですが、餌というのは全て海外を頼っているんだなということをちょっとショックを受けまして、例えばそれが何か何年後かには何%になるんだみたいな、もし何かそういう期待されるような数値的目標がもしあれば教えていただければなと思いました。
若干その飼料用米の自給率のところについては、2017年で26%が2025年で40%と、すごく8年で13%という具体的な数値をお出しになっていらっしゃいましたので、それに伴う、例えば何かご計画的なものがあるなら伺おうと思いました。
以上2点で、消費者にわかりやすく浸透していただければなというのが一言の感想でございます。よろしくお願いいたします。

◯中嶋会長
それじゃ、お答えいただけますか。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)
ご意見ありがとうございます。生産局畜産振興課の赤松と申します。
具体的な数値目標というご意見をいただきました。私ども、まさに今、食料・農業・農村基本計画とあわせて、鶏の改良増殖目標というものもいろんな委員の方々にご議論いただきながら、10年先の目標を決定するために5年に1回改正するものとして、喧々諤々検討していただいているところでございます。
その中には、これら国産鶏種をどういう方向性で改良していくべきかというのもご議論いただいていまして、今のお話にありました鶏のもとになる種鶏、原種鶏が95%、あるいは98%が海外産という実態についても、残りの国産鶏種のシェアをしっかり広げていくとともに、国産鶏種の良さをPRするという方向性で検討いただいていますが今議論している中では、なかなか具体的に何年までに何%というところまでまだ議論が熟していない部分があります。
ただ、いずれにしてもその方向性としては、この国産鶏種というものについて、しっかりその価値を増殖目標の中に明記した上でPRをしていくというところで、そこは意見としては一致しておりますので、そういう方向性で今議論が進んでいるという状況をお伝えしたいと思います。

◯里井委員
ありがとうございます。
では、飼料自給率というところの、このお米のパーセントというのは、それ以外にもいろんなものを含めてそうなっていくであろうと、鶏以外でもという、全体の数字ということですよね。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)おっしゃるとおりです。全体の数値目標ということでございます。

◯里井委員
はい、わかりました。ありがとうございます。
以上です。

◯中嶋会長
消費者、生産者、流通業者が連携していくという取り組みについては、何か計画はございますか。

◯山本(独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場)家畜改良センターの山本でございます。
計画ではないんですけれども、今の現実なんですけれども、国産鶏種につきましては、おっしゃるとおり消費者の方の理解がないと、もともと普及しない性格もので、例えば、生協関係の生活クラブ生協というところでは流通関係、消費関係の理解を得ながら一体的にやってもらっています。今後、こういった動きをどんどん広げていきたいというふうに思っております。

◯里井委員
ありがとうございます。
恐らく標語がどういうのになるかとか、マークとかといったものにかなり消費者の方とかは影響されるかと思いますので、冒頭にご質問申し上げたように、私どもはそれをお願いする側での委員の委員会ではございますが、思いを託してお願いしたいです。
あと、ちょっと蛇足的なんですが、消費者というのはどちらかというと、例えばですが飼料用米を食べた鶏はおいしいとか、体にいいとか、すごく直接的なことのほうがわかりやすかったりしますので、いろんな方とご連動されながら、過大表示にならない程度に、今申し上げたようなこととかで買いやすい、手にとって食卓にしやすい、また料理人の方が料理しやすいというようなイメージだといいのかなというのをちょっと勝手ながら思いました。
以上です。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)ありがとうございます。
すみません、先ほどの鶏の改良増殖目標の話にまた戻ってしまうんですけれども、この目標の中でも農場における鶏の能力が十分に発揮された上で、食卓の多様なニーズに応える国産畜産物の供給を通じて、消費者との信頼関係がしっかり構築されることが大事であるという文言があります。
まさに今いただいたご意見も踏まえまして、標語の部分でもしっかり検討していきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
それでは、山根委員、先に手を挙げられています。その後、水野委員。

◯山根委員
飼料なんですけれども、海外依存から脱却を図って自給率の向上ということはとても重要ですし、あと、アニマルウェルフェアの進展ということ等々も理解をできますので、このJASの意義はわかるわけなんですが、この飼料用米を5%以上給与という、この5という数字にはもう少し大きな数字が持てないのかということは考えております。
もしこれが今回スタートするのに仕方がないというか、妥当な数字だということであるならば、その理由も知りたいところですが、そして、今後、10、30、50というふうに、どういうふうに数字を上げていくかということも、先ほどのお返事にも関係するかもしれませんけれども、そのあたりもちょっと教えていただければと思います。
表示というか、情報提供として、国産の飼料を与えていますということを強く表示することで、優位性を強調するということについては、どういうふうなルールというのか、お考えであるのかということも教えていただければと思います。

◯中嶋会長
これはどちらから、ご返答いただけますか。

◯山本(独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場)
まず飼料用米の給与が、今回5%で提案という、その理由ということになるかと思いますけれども、とりあえず考え方としましては、今国内で生産されています飼料用米の量に対しまして、全畜種になるんですけれども、いろんな畜種の配合飼料の生産量、そういったもので割り算をしますと大体2%もいかないような実態になるわけですね。もちろん全部の農家が飼料用米給与を取り組むわけではないんですけれども、今とにかく絶対量的にはかなり低い数字にならざるを得ないというふうなことがありまして、そういった中で政府が目標としていますその飼料用米の生産目標数量というのが110万トンですかね、それがあるんですけれども、そうしますと、先ほど言った計算をしますと5%ぐらいに近いような数字になってきますので、とりあえずはそういった水準で目標数値をつくってはどうかというようなことでございます。
おっしゃるとおり、これからいろいろ状況が変わってきまして、もっと飼料用米がふんだんに手に入る、安く手に入るというふうなことになってくれば、また状況は変わってくるかと思いますので、そのときにはまた再検討ということもあり得るかと思いますけれども、とりあえずはやっぱり今の現状を踏まえて、5%からスタートしてはどうかというようなことでございます。

◯中嶋会長
供給可能量から計算しているということでございますね。よろしいでしょうか。

◯山根委員
あと、強調表示というか、これには国産米を与えていますというような表示が許されるのかというか、どういうふうな今後情報提供になるのかということも教えていただければと思うんですけれども。

◯渡部課長補佐
御意見ありがとうございます。
表示につきましては、JASでは特に定めてございませんので、食品表示基準に基づいて記載することとなりますが、誤認を与えない範囲での記載は可能かと思います。

◯中嶋会長
よろしいでしょうか。
そうしたら、水野委員、もう一度手を挙げられたので、その後、川上委員、お願いします。

◯水野委員
すみません、この資料3の6ページにおいて、この規格内容を簡単に説明していただくための図がありますが、右側にアニマルウェルフェアというのが上に来ているのが気になります。アニマルウェルフェアというと採卵鶏のケージ廃止、特にバタリーケージの廃止が世界で進めれています。でもこの規格ではケージの廃止やデビークの禁止というようなことは規定されていません。私も日本で鶏卵の検査をさせていただいて、現状ですぐさまケージ飼いを廃止するのは難しいことだというのも存じております。
ですけれど、ここで規格の中で5.4.1で推奨されてい「るアニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」というのが平成23年3月に出されたものであり、また、パブリックコメントの中で昭和48年に制定された「動物の愛護及び管理に関する法律」というのが参照とされているんですが、刻々とアニマルウェルフェアに関しましては情報が変わってきています。そして、このパブリックコメントの5.4のご回答でもありますように、今OIEでガイドラインを策定中であると。今後それができ上がった段階、制定された段階には、そのガイドラインを推奨すると同時に、そのガイドラインを参考に規格の内容も改善、検討されるということと理解してよろしいんでしょうか。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)
ご意見ありがとうございます。
まさに委員おっしゃられるように、パブコメの回答でも書かせていただいておりますけれども、特に採卵鶏におきましてはOIEでアニマルウェルフェアのコードが今、議論されているところでございます。来年5月のOIEの総会で採択される可能性があるという状況でございますけれども、まだ確定的なことが言えない状況でございまして、日本のアニマルウェルフェアというのは今おっしゃられましたように、畜産技術協会の飼養管理指針に基づいてやっております。今、そのOIEの基準がない中で、日本型のアニマルウェルフェアというのはこういうことであろうということで、関係者の意見をまとめてできている指針に沿ってやっているわけでございますけれども、当然ながら、そのOIEのコードが来年5月に仮に採択されましたらば、それをベースにしまして国内の関係者間で議論しながら飼養管理指針を見直して、日本型のアニマルウェルフェアを実践していくことになります。OIEのコード採択を踏まえて日本の採卵鶏のアニマルウェルフェアはこういう形でやっていきましょうというような方向性、指針ができましたらば、その際に今のJAS規格の基準と合っていなければ、見直しの必要があるというふうに考えております。

◯水野委員
ありがとうございます。
このページのきれいにパワーポイントができているんですが、アニマルウェルフェアが一番上のラインにできているので、ちょっとそれを下にずらすとかされたら、目がそこに行ってしまうんですね。それで、行を変えたらいいんじゃないかなと、ちょっとしたことですが、提案です。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)
ご意見ありがとうございます。
私が今申し上げましたのは、あくまで採卵鶏のお話でございまして、ブロイラーのほうはもうOIEの基準も定まっていまして、それを踏まえた飼養管理指針もでき上がっておりますので、それはしっかりその基準に沿った形でやっていくということになりますけれども、あくまで採卵鶏についてはそういったことで検討していきたいというふうに思っております。

◯水野委員
はい、ありがとうございます。

◯中嶋会長
よろしいでしょうか。
それでは、川上委員、それから小松委員、お願いします。その後、折戸委員。すみません、お時間の関係で3人連続してご発言いただきたいと思います。鈴木委員もですか、はい。

◯川上委員
国産鶏で飼料用米を使ったSDGSの掲げる目標に沿っていくというのは、とてもすばらしいと思うんですが、私は生産者として、この飼料用米がなかなか拡大していかないという原因の一つの中に、補助金絡みであり、それがなければつくらない、あるからつくるという問題が多分にあるんですね。そういうことを踏まえた中で、持続性がありというものが本
当にそうなのかなという、疑問が少しあります。
飼料用米のその生産方法の改善や品種改良もされていけば、生産コストも安くなり、同じ水田で飼料用米を作っていけます。かかる費用は同じで、買取価格も少ないところを補助金があってカバーできて、だからつくります。やはりこういうふうに飼料用米をつくってくれるところと耕畜連携で畜産農家がそこに堆肥を入れて、それが良質な堆肥じゃない場合も無理やり入れることも可能なんです。そういう現状も確かにあるんです。そこで堆肥が処理できるという、微妙なこの現状があるということをちょっとお伝えしておきたいと思うんです。
やはり飼料用米がどこでもできるかといったら、ある程度の面積があるところで、それが加工できる場所が近隣にあるところ、運賃、人件費、いろんなものがかかる中で飼料用米を今つくられているという現状を一般の方に知っていただきたいんですね。だから、単純に飼料用米を使っているから、これは持続可能でSDGSにぴったりというふうに単純に考えてしまうと、その中に農業者が抱える多大な問題を抱える中で、このSDGSの中に乗っかって飼料用米が今利用されているような気がして仕方ありません。
これはちょっと辛口かもしれないですけれども、こういうことを解決していかないと、畜産農家も成長していきませんし、水田をやっている農家も成長していきませんし、数が減る一方です。ここをやっぱり根本的に考えていっていただきたいなというのがありますが、今回のように国産鶏をやはり5%、1桁台のパーセンテージしかないということは、やはり守り育てていかなくてはいけないし、ただ、それに国産飼料を使ってというのが本当にマッチしているのかどうかというのが、ちょっと私的には疑問があります。
しかし、こういう輸出も念頭に置かれて見えますので、そういうJAS規格というものを持って海外へ行くほうが、やはり強い日本の農産物というイメージは十分に獲得できますので、推していきたいと思いますが、問題を抱えたままということもぜひ理解していただきたいなと思います。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
それでは、小松委員、お願いします。

◯小松委員
小松です。よろしくお願いします。
規格について1つと、あと意見を1つ述べたいと思います。
資料4のほうなんですけれども、持続可能でSDGSに沿ったということで、結構いろんな盛りだくさんな項目がある中で、最後の5.9.2のところなんですけれども、この強制労働とか児童労働のところで、被雇用者のパスポートとか身分証の原本を引き渡すようにとか、その下の給与、財産及び便益の一部を差し引くことを禁止しなければならないというのを読みますと、技能実習生の方がちょっと前提になっているのかなというふうに感じております。もしそれが前提であるのであれば、労働時間の問題とか休日の問題というのが以前ちょっとテレビなんかでも取り上げられていましたので、この項目だけでは少し足りていないのではないのかなと。今、社会でやはり問題になっていることがいろいろマスコミでも取り上げられていますので、そういう項目についても、ここでは考慮して入れるべきではないかなということが、ちょっと規格についての意見です。
あと、各委員の皆さんからたくさん意見も出ているんですけれども、この規格自体は非常にすばらしいなと思うんですが、これが本当に、最初におっしゃられていたような国内資源を活用して海外の依存から国内の生産、ひいては輸出を目標にしてやっていこうということが本当に、この規格を立てたからといって果たされるわけではなくて、この規格があって、それを実現するための施策といいますか、先ほどちょっと補助金という話もあって、補助金がいいかどうかはわからないんですけれども、やっぱりそれがないとなかなか目標は達成できないのではないのかなというふうに感じています。
我々小売業者としては、やはりこの持続可能な鶏卵や鶏肉を販売する立場ですので、これらが店頭に並んだときに、お客様にどのように受け入れられるのか。先ほどから表示のお話もありましたけれども、やはり価格であるとか、おいしさということも非常に重要で、それがどのような形で出てくるのかなと。ここにやはり努力がないとなかなか国内での普及というのは難しいんじゃないのかなというふうに感じております。
以上が意見です。

◯中嶋会長
ありがとうございます。
それでは、折戸委員、お願いします。

◯折戸委員
折戸でございます。
規格の編集上のコメントを3つほどさせていただきたいと思います。
まず、資料4の3.5と3.6のところですね、「飼料」というのが曖昧に使われていますので、3.5ですと「飼料のうち、国内で生産された飼料」とダブっているわけですね。ですから、「飼料原料のうち、国内で生産された飼料」とするか、もしくは「飼料のうち」を取るか、編集上やっぱりどちらか考えていただいたほうがよろしいんじゃないかと思います。
それから、3.6ですけれども、「飼料の重量に占める国産飼料用米」と書いてありますけれども、より定義を明確にするためには、「飼料の全重量に占める国産飼料用米」と、そういうような形に表記すると明確になるのではないかなと。
4.2の3行目のところに「国産飼料原料」という言葉がありますので、3.5のところで「国産飼料原料」というようなことも使ってもいいのかなというふうには思います。編集上の問題、ちょっと検討いただければと思います。
3番目ですけれども、タイトルの英語がこれはおかしいですね。“Sustainableeggs”って一体何ですかという。eggsも、だからchickeneggsandchickenmeatが大事なんですね。例えば“bysustainablefarming”とか、そういう形でちゃんと示さないと、“Sustainableeggs”って本当に何のことかわからないですね。ちょっとその辺の英語の表記をお考えいただければと思います。
以上です。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いいたします。

◯鈴木委員鈴木でございます。
今のご質問に若干関連するんですが、サステナブル、持続可能性という言葉は、どちらかというとグローバルな大きなものを指しているように思いまして、ここでいうのは国産鶏の持続可能性というような意味であるというふうに理解して飲み込んでおりますので、主旨としては非常にいいと思うんですね。
ですので、この持続可能性という言葉を単独でこのような用い方をすることが、例えばほかの規格とのそごはないか、そのあたりもちょっとご確認いただければいいと思います。これでよいのだというコメントをいただければ落ち着くような気がします。いかがでしょうか。

◯中嶋会長
ありがとうございます。
ほかにご意見ございますか。それでは、米岡委員。

◯米岡委員
3点ございます。
1点目は、やはり持続可能という言葉にちょっと引っかかっています。水産資源の持続可能性といえば、とり切らないというようなことが重要になっていて、資源を枯渇させないということが重要な主題になっていると思いますので、ぜひ日本の素びなを絶やさないで数をふやすというところも目標にしていただいたらいいんじゃないかなというふうに思いました。それが1点です。
それから、2点目は、マークの件ですけれども、食肉に関してなどは、やはりGAPもありますし、それからレッドミートはありますし、コーシャはあるし、ハラールもあると、いろいろなマークがわかりやすい表示として認識されている中で、やはりぜひJASの何なのか遡及できるようなわかりやすい名称を普及していってほしいなというふうに思いました。それが2点目。
それから、3点目は、生の卵だけではなくて、調理済みの卵が最近コンビニ等でよく売られています。ぜひゆで卵や温泉卵にもつけられるように工夫をしていただくと、若い方にもこのマークが普及するのではないかなというふうに、若い方だけじゃないですかね、高齢者の方もコンビニにたくさんいらっしゃいますが、普及すると思いますので、それも考えていただけると将来的にいいなというふうに思いました。3点でございます。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
あとよろしいでしょうか。それでは、木村委員、お願いいたします。

◯木村委員今の3名の先生たちと同じことをお尋ねしようとしていたんですけれども、持続可能性という概念の定義と、それを持続可能性に配慮しているということのその指標が、一応この原則の一般の4.1~4.6では書かれているんですけれども、これは米岡先生がおっしゃいましたとおり、世界全体、グローバルな中でのそういった持続可能性に配慮するということの指標というのが恐らくあるので、それとのこの整合性であるとかというのをとれているのかなということを教えていただきたいのと、あと、今日のお話を聞いていて、Sustainableeggsという言葉がおかしいというご指摘、私もさせていただこうとしていたんですけれども、どこかで持続可能性に配慮した生産の行為と、その卵自体、製品自体が持続可能な製品という、何か置きかわっているようなところで、すごくトリッキーに持続可能という言葉、用語、あるいは概念が使われているような印象を受けました。卵自体が持続可能な生産物というのもちょっとどこかで出ていたかと思うんですけれども、それとその行為、活動自体が持続可能性に配慮しているというのはまた別なはずで、持続可能な卵なんて言っちゃうと、それこそ消費者の人たちをだますといいますか、ということになってしまうので、そこをもう少し整理していただきたいと思っております。
以上です。

◯中嶋会長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、6名の方からまとめてご意見、ご質問をいただきましたので、これについて事務局のほうから、それから提案者のほうからご回答いただければと思います。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)
ありがとうございます。
川上委員から飼料用米の補助金のお話がございました。いつまで続くかわからないしというふうなお話だったかと思います。これは私ども、よく畜産農家さんと意見交換させていただく中でご意見として挙がる話でございまして、今現在は直接支払交付金制度等で飼料用米、それから麦、大豆、戦略作物の助成を実施して、作付面積も増加するように支援をさせていただいているところでございます。
予算の話なので絶対大丈夫ですというのはなかなか言いづらいんですけれども、一方で食料・農業・農村基本計画、これは農水省のマスタープランでございますが、この中で飼料用米の戦略作物において、生産努力目標として先ほど110万トンというお話がありましたけれども、そういった目標を掲げて達成に向けてやっていくこととしておりますので、引き続き予算要求を私どももしっかり汗かいてやっていきたいというふうに思ってございます。
そういった交付金以外にも、飼料用米の利用に必要な粉砕機の機械の導入ですとか、あるいは保管庫の施設整備に関する支援ですとか、さまざまございますので、それらもご活用いただきつつ、私どももしっかり予算要求しながら、継続的に安心して飼料用米を現場でつくっていただけるような環境づくりというのをやっていきたいというふうに考えてございます。

◯渡部課長補佐
小松委員からいただきました御意見の1点目が、規格案の5.9.2、パスポートなど人権について書いてあるというところでございましたが、この規格案の人権などの規定のベースとなっているのが、GAPでございまして、GAPの中に書いてあるのものを規定しています。技能実習生への配慮などが前提なのかというご指摘でございましたが、そういうことは検討の中では考えていなくて、GAPの内容を持ってきたというもです。また、パスポートの引き渡しというものが、実際に国内でどれぐらいあるのかということもあるんですが、海外に輸出するときに訴求力になるということも理由でございます。
それから、小松委員からの2点目のご意見ですが、このJASで輸出が増えるのかというご指摘で、いろいろ支援が必要ではないかということでございました。なかなか支援というのは、補助金も含めて、どんな支援があるかというのは我々も考えていかなければならないと思ってございますので、ご意見として承らせていただきたいと思います。

◯小松委員
GAP、確かに素のGAPには人権ってあまり濃くないんですけれども、今、アドオンの規格でGRASPというのが入っていまして、やっぱりGAP自体ももう少しちゃんとヒューマンライツを強化しないといけないという規格もつくっておりますので、そこもちょっとご参考になさっていただければ、非常にありがたいなと思います。

◯渡部課長補佐
来年開かれます東京オリンピック・パラリンピックの中で食材の調達基準がございます。畜産物については、GAPの取得が定まってございまして、その基準と同じ水準にしたというものです。本規格案は、さらに国産資源の利活用を上乗せする構成となっております。
規格は、一度決めてこのままというわけではございませんので、国際規格などの動向を見て、見直しをしてまいりたいと考えてございます。
折戸委員から字句の修正に関するご指摘が3点ございましたが、事務的に確認し、必要な修正を加えたいと思ってございます。
それから、英語について何人かの委員の方からご指摘がございました。英語につきましても、これでいいかというのを事務的に再度確認したいと思います。
それから、鈴木委員からございました持続可能性について、グローバル、もっと大きい話で、世界の基準との関係はどうなのかというご指摘でございました。先ほどの小松委員への回答と重複するところがございますが、今回オリパラ基準のGAPの内容にそろえたというか、そこにあわせた結果、こういう内容になっているというものでございます。それにさらに、オリパラ基準プラスして独自の国内資源の利活用という基準が上乗せになっているという構成でございます。
それから、米岡委員から3点ご意見をいただいてございます。
1点目は、国産鶏種の数、素びなが増えるということを入れてはどうかということでございます。この規格が活用されることによって、素びなの生産が増え、供給も増えていくこと期待しているところでございます。
2点目でございますが、GAPやコーシャなど、多くの規格がある中でわかりやすくアピールをしていくという、名称はどうかということでございますが、その場合、英語の名称ということでございましょうか。

◯中嶋会長
さっきの標語の部分ですか。

◯米岡委員
いや、英語と限らず、皆さんがわかりやすいほうが、コンセプトが今いろいろ盛り込まれているので、わかりやすいのがいいんじゃないかなと思いますけれども。

◯渡部課長補佐
委員ご指摘のとおり、確かにいろいろとコンセプトが入ってございますが、基本的にはオリパラ基準に合ったその持続可能性に配慮した畜産物というものに国内資源の利活用をオンしたという構成でございまして、全体として持続可能性を維持していくというふうに考えているところでございます。

◯山本(独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場)今の想定では生卵だけになっていますけれども我々のほうとすると、そういったものまで表示できるということであれば、いいことじゃないかと思いますけれども。

◯渡部課長補佐
また、ご提案者の方とも相談して、見直しの際に拡大していくという方向で検討したいと思ってございます。
木村委員からいただいたご意見につきましては、先ほどの回答と同じでよろしいでしょうか。

◯中嶋会長
今、まとめてご回答いただきましたけれども、これにつきまして、また改めてご質問やご意見ございますか。追加でございますか。はい、どうぞ。

◯赤松(農林水産省生産局畜産振興課)
先ほど水野委員からアニマルウェルフェアのご質問をいただいていたのですが、説明が漏れておりましたけれども、お話の中で、平成22年から改正されていないんじゃないかというお話があったかと思います。OIEのコードが示されたらその内容を踏まえて改正はするんですけれども、それ以外でもやはり養鶏をめぐる情勢というのはいろいろ刻々と変わっていっておりますので、畜産技術協会を中心にその都度見直しをやっておりまして、ブロイラー、採卵鶏ともに今年6月に改定を行っているところでございますので、補足させていただきます。

◯山本(独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場)
あと一つ、私のほうで補足させていただきます。先ほど価格の話が出ていたと思うんですけれども、今の実態といいますか、ちょっと参考までにご紹介させていただきます。例えば、飼料用米が非常に安く手に入れられるところもあるんですけれども、産地じゃなくて、やっぱり輸送費が結構かかったりとか、そういったところがあって、割高な飼料のため生産コストが高くなる、養鶏の場合はやっぱり飼料のコストが全体の生産コストの6割とか、高い場合は7割とか、それぐらいかかりますので、結構そういった理由で若干、価格が高くなったりとかというようなことがございます。
あと、特に肉用鶏の場合だと、今、早く大きくなる鶏が全盛なんですけれども、我々のほうで提供しています国産鶏種というのは結構長期間飼う鶏なんで大きくなるまでに日数がかかるものですから、飼料を結構食べ生産コストが高くなり価格がブロイラーの2倍ぐらいになることもあります。その分、うまみが増し、地鶏まではいかないけれども、それに準ずるような、おいしい肉にもなるのですが、これから国の施策の中でやっぱり飼料用米の生産効率を上げるだとか、あと鶏の成長性の部分だとかについても改善するとか、おいしさを保ちながら、できるだけ消費者の方が利用しやすいような値段にしていくと、そういうふうな努力も続けていく必要があるなというふうに思っております。
以上です。

◯中嶋会長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
じゃ、森光委員。

◯森光委員
質問ではなく意見です。たまたま岩手の施設を見学したことがあり、とても努力されているのを知りました。こういった形で国産の鶏の品種で、しかも鶏ふんを再利用するというのが進んでほしいと思う反面、米岡委員が言われたように、何となく消費者の方が理解しにくいかと。この会議で先行する2つの養殖の話とノウフクの話が、SDGSのそれぞれ1つの課題とリンクしていますが、この卵と鶏の肉に関しては、SDGSの2項目を挙げているためか、説明に長文が必要な気がするので、その辺はマークをつけるときの下の文章の中で、すごくインパクトが残る「国産の鶏の品種を頑張って使っていますよ」ということと、「鶏ふんや飼料を頑張って国産で」ということ、この2点をまず強調された方がよいと感じました。オリパラの基準に、プラスアルファでSDGSを考えるというよりは、そちらのほうが何か日本の消費者は受け入れやすいような気がします。このポイントから入っていただいて、また基準が変わって、どんどん皆さんの理解も進んでいけば、ああ、こういうことをやっていくとSDGSの2番と十何番が関係してくるんだという理解につながる気がします。SDGSと関連づけて進めるのは賛成である反面、農畜産物とのつながりが見えにくい物に関しては、段階を踏んで進めてほしい、そういう意見ということでよろしくお願いします。

◯中嶋会長
非常に参考になる意見をいただいたと思います。よろしいでしょうか。
それでは、大変いろいろなご意見をいただきました。その中には、文言の修正も含めて、ちょっと見直さなければいけないところがあると思っておりますけれども、一番気になるのはタイトルですね、この「持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉」という部分でありますけれども、この持続可能性をどのように理解するかということですけれども、基本、先ほどご説明ありましたが、やはりオリパラの食材調達基準で議論された持続可能性というものを一応前提にして、そのときにその開発された畜産GAP等もにらみながら、ここにJAS規格を提案していくという理解でよろしいでしょうか。
もっとグローバルな観点からの持続可能性という概念も、含め込むべきではないかとか、さまざまなご異論あると思うんですが、現時点での規格設定としては、このような合意をさせていただければと思いました。
それから、英語に関しては、これはおっしゃられるとおり再考すべきではないかなと思うんですけれども、これは今この段階でこれでいこうというのを決めかねる部分がございますので、これは事務局、それから提案者と会長のほうで確認させていただくということで、ご同意いただけますでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

◯中嶋会長
それでは、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格案については、いただいたご意見を踏まえて、修正した上で制定するということでご確認いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と呼ぶ者あり)

◯中嶋会長
ありがとうございます。
それでは、英語の部分につきましては、先ほどご承諾いただきましたように、事務局、会長のほうに預からせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の審議事項でございます。
有機農産物の日本農林規格など有機4規格の一部改正についての審議であります。
先ほど西川室長から説明がございましたが、本日は改正の方向性についてご議論いただきたいと思います。
それでは、事務局からご説明お願いいたします。

◯長谷規格専門官

それでは、有機の規格の見直しの案について、私、長谷から説明させていただきます。
資料3の11ページをご覧いただきたいと思います。
有機JASというのは、コーデックスガイドライン、有機的に生産される食品の生産等に係るガイドラインといいまして、これは世界的な国際基準でございます。これに準拠して有機農産物等の生産方法の基準を規定してございます。
そのコーデックスガイドラインでは、遺伝子操作、遺伝子組換え生物により生産された全ての原料または製品は有機生産の原則に適合しないので、有機生産への使用を認めていないというふうに規定されています。
一方、有機JASなんですけれども、これは平成12年に規格制定していますが、その当時、流通の可能性があった遺伝子組換え作物をつくる組換えDNA技術のみを使用不可と規格で規定しているところです。ゲノム編集のものについては不明確な状況になってございます。
一方、現在はゲノム編集技術を用いたものも流通し始めるような状況になってございますので、有機JASにおいてこれらはどう扱われるんだということをしっかりしておかないといけないということで、今回、有機の原材料としては使用できないということを明確にしたいということが今回の提案でございます。
見直し概要といたしましては、後ほど説明があると思いますけれども、現行のJASでは組換えDNA技術という用語を定義してございます。酵素等を用いた切断云々というのがありまして、こういったことが定義してございます。
改正後の案については、組換えDNA技術ですね。外部からDNA、遺伝子を導入したもの以外、はさみで切っただけとか、そういったゲノム編集技術により生産された原材料等についても使用できないということを明確にしたいというご提案でございます。
テクニカルなところ、12ページ以降についてはFAMICから説明したいと思っています。

◯村田(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)
それでは、着席して説明させていただきたいと思います。
それでは、ゲノム編集技術に関する有機JAS見直しの検討会の事務局を行っておりますFAMICからゲノム編集技術の概要及び見直しの検討会における検討状況についてご報告させていただきます。
私、FAMIC商品調査課で課長をしております村田と申します。よろしくお願いいたします。
今回の有機JAS見直しの検討会に関して、先ほど農林水産省のほう方から説明があったとおり、昨今、技術の進歩において、現在の有機JASにおける組換えDNA技術の定義に含まれるかどうか判断することが難しい部分も出てきたところから、見直しの検討会を開催するような形となったところです。
それでは、資料に沿って説明したいと思います。
資料3の12ページ目をお開きください。
最初に、ゲノム編集技術の概要でございますが、上段にございますとおり、ゲノム編集技術とは、細胞内にゲノム上の狙った位置を切ることができる、はさみとなる物質、具体的には部位特異性ヌクレアーゼと呼ばれるものですが、これを入れることにより、ゲノムを改変する技術となります。
その下にありますとおり、ゲノム改変方法としては3種類がございます。
1つ目として、はさみを移入し、ゲノムの特定部位を切断する技術。この場合、下の図の左側にありますとおり、切断箇所は自然に修復されるわけですが、この際に修復ミスが発生し、もともとの性質と異なる性質を持つ変異が誘発されます。
2つ目としまして、はさみと同時に、切断予定の塩基配列を一部変更したDNA断片を移入する技術。この場合、下の図の真ん中にありますとおり、切断箇所の修復において、はさみと同時に移入したDNA断片をもとに修復されることにより、もともとの性質と異なる性質を持つ変異が誘発されます。
3つ目としまして、はさみと同時に外来遺伝子を組み込んだDNA断片を移入する技術。この場合、下の図の右側にありますとおり、切断箇所の修復において、はさみと同時に移入したDNA断片をもとに修復されることにより、もともとの性質と異なる性質を持つ変異が誘発されます。
下の図にありますとおり、これら3つの技術を用いて作出された生物について、ゲノム編集生物と整理されております。さらに、右側2つの技術を用いて作出された生物については、カルタヘナ法の遺伝子組換え生物等に該当し、左側のいわゆるSDN-1と言われる技術を用いて作出された生物については、カルタヘナ法遺伝子組換え生物等に該当しないとされております。
次のページに移りまして、現行のJASでの組換えDNA技術の定義についてですが、上の赤線で囲った中にありますとおり、組換えDNA技術とは、酵素等を用いた切断及び再結合をの操作によって、DNAをつなぎ合わせた組換えDNA分子を作製し、それを生細胞に移入し、かつ、増殖させる技術をいうと定義されております。
このため、先ほどご説明した3つの技術のうち、2つ目及び3つ目の技術については、外部で作製したDNA分子を生細胞に移入しており、現行のJASにおいても組換えDNA技術の定義に合致するため、組換えDNA技術として制限されます。
また、1つ目の技術が用いられたものについても、現状では植物体をゲノム編集する場合には、植物細胞には細胞壁があるため、一度はさみの設計図となるDNAを植物に導入することが一般的であるため、この場合も現行の有機JASの組換えDNA技術に該当すると考えられます。
一方で、ゲノム編集技術には、外部からDNAを移入しない、つまり、人工制限酵素によりゲノムを切断するだけの手法も存在します。この技術に関しましては、現在、有機JASの定義の組換えDNA技術に当てはまらないおそれもあり、有機JASにおける取り扱いが明確になっておりません。
次のページに移りまして、有機JASにおいて組換えDNA技術が制限されている項目について、簡単にご説明いたします。
まず、左側から有機農産物、有機加工食品、有機飼料、有機畜産物の規格において、組換えDNA技術が禁止されている項目があります。有機農産物では種苗、農薬などの資材、有機加工食品では原料、添加物など、有機JASでは様々な工程で組換えDNAの技術の制限がございます。
次のページでは、最後のページになりますけれども、国際的な有機ガイドラインであるコーデックスの有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドラインにおける取り扱いについてご説明いたします。
下に参考として、コーデックスガイドラインを載せておりますが、コーデックスガイドラインの第1章、適用範囲において、遺伝子操作された生物、遺伝子組換え生物によって生産された全ての原料及び資材は、有機の原則に適合しないため、使用が認められないと規定されております。
また、用語の定義において、遺伝子操作された生物は、遺伝子組換え生物として自然に生じることがない方法で遺伝物質を変化させる技術を用いて生産されたものとしており、遺伝子操作技術及び遺伝子組換え技術として、組換えDNA、細胞融合などが挙げられております。
なお、日本を含め、各国の有機に関する規格に関しましては、ここのコーデックスガイドラインに基づき作成されております。
これらの内容を踏まえ、検討会を実施したところです。
ここからは特段の資料はございませんが、検討会での検討の状況についてご説明いたします。
まず、検討会は、事務局から先ほどご説明したゲノム編集技術の説明や、コーデックスガイドラインや欧米の有機規格におけるゲノム編集技術の取扱いのご説明を行った後、現状での有機JASの規定について説明後に、委員の方々にご議論をいただきました。
議題としては3点ほどございました。
1点目として、有機JASにおいて組換えDNA技術に該当しないと考えられる遺伝子編集技術を制限するかどうか。2点目として、制限すべき方向となった場合、制限する生産行程の範囲をどうするか。3点目、その他の議題として、ゲノム編集技術を制限した場合に懸念される点、規制される技術と規制対象外とする技術について、委員の皆様にご議論をいただきました。
検討会では、1点目の議題としては、有機の原則、コーデックスや他国の運用を踏まえ、有機JASでは組換えDNA技術に該当しないと考えられるゲノム編集技術をも制限するべきとの結論に至り、必要な改正を提案することとなりました。
2点目の議題として、組換えDNA技術が禁止されている項目について、同様に規制すべきとの結論となりました。
3点目の議題として、作出工程でゲノム編集技術が用いられたものはもちろんのこと、これらの品種をもとに作製されたものに関しても禁止すべきとのご意見がありました。
このほか、生産者が意図せずに、つまり証明書などを入手しており、適切に管理しているにもかかわらず、ゲノム編集技術が用いられた種苗や資材等を使用してしまった場合について、救済措置が必要とのご意見がありました。
現在の検討状況につきましては、以上となります。

◯長谷規格専門官
資料5のパブリックコメントの結果をご説明したいと思います。
タブの資料5を見ていただきたいと思います。
我々の改正方針案について、11月8日~12月7日の1カ月、30日間、募集したところです。771名の方から延べ1,022件のご意見を承っております。
主な意見、改正に賛成か反対かということなんですけれども、改正に賛成というのは527件ございました。主なものとして、ゲノム編集作物や種子を有機認定するのだけは絶対にやめてほしいとか、ゲノム編集技術を応用して生産した農畜産物や、それらを加工した食品を認証しないとする規格改正方針を支持しますとか、有機農産物に遺伝子組換えやゲノム編集技術を利用した生産物が含まれないことは賛成だというご意見等、527件でございます。
改正に反対という意見も10件ございました。この改正案については、他法令との整合性とか実効的な監視が困難であることから反対だというご意見とか、日本農林規格では、ゲノム編集技術を排除するのではなくて、環境への負荷をできる限り低減し、動物用医薬品の使用を避けるためにゲノム編集技術を活用するとか、そういった方向で改正がなされるべきだというご意見等がございました。
その他といたしましては、賛成でも反対でもないということなんですけれども、慎重な議論が必要だとかいうもの等、今回の有機JASの改正の方向性の案には直接関係しないご意見が485件ということでございます。
説明は以上でございます。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
それでは、事務局からのご提案につきまして、ご質問とご意見をいただきたいと思いますが、何人かまとめてご質問、ご意見、ご発言いただいてから事務局等から回答いただこうと思います。いかがでございましょうか。
それでは、山根委員、お願いいたします。

◯山根委員
まず、今回の件、大変関心が高くて、このパブコメの数もそうかもしれませんが、ちょっとご紹介したいのは、この有機の理念や原則を踏まえて有機JASにおいてゲノム編集などの遺伝子操作技術生物を認めないことを堅持するようという緊急署名、短期間だったんですけれども、これに賛同する旨が50団体と1,500名以上から寄せられたということがございます。全てのそういった技術を対象とする制限、禁止であることですとか、生産工程でこうした技術を使ったものは全て禁止とするべきであると、そうした内容で集まっております。
そして、それはご紹介なんですけれども、今後こうした改正に基づいて認証の方法のガイドライン、Q&Aとか、そういうものが必要となってつくられると思うんですけれども、そこにつきましては、機関によってばらつきなどが出ないように、あと信頼性が保持されるように、十分な整備等をお願いしたいというふうに思います。
以上です。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。それでは、富松委員、お願いします。

◯富松委員ご説明ありがとうございました。
私も反対するつもりではないんですが、ただ、先ほどの説明でもクロスコンタミであるとか、何か混入した場合の救済措置であるとかというお話がありましたが、ここのSDN-1やノックアウトで作られたものを、その後の検査で検出できる技術がありません。国内に関しては届け出制度を入れるということかもしれませんが、輸入の種苗については、ゲノム編集作物が混入しても絶対にわからない世界だと思います。そこに対して何かしっかりした見解を持たないと机上の空論というか、いい規格にはならないなと思うのですが、ここについていかがお考えか、質問させて頂きたいと思っております。

◯中嶋会長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。それでは、森光委員、お願いします。

◯森光委員全く今のご意見に同じです。大学で講義するときも、これが是か非かみたいな話を例えばディスカッションするときに、じゃ、どうやって検出できるのかというところが確定してなく、難しい問題です。この件に関して、EUでは1も2も3も全部だめだよというのが決まっています。日本の特に有機JASにおいて「だめです」と言った場合、その後に関して我々も手立てがないという言い方は変ですけれども、監視方法とその対応に関してガイドラインすら、実は設けられないんじゃないかという気がします。言葉では、もちろんできますが実効性がありません。それゆえ、その大元の委員会では、1については・・・ということになったんだと思います。個人的な意見ですけれども、この辺りは先行して「これはこうだ」と言い切らないで、少し猶予を見ながらEU、もちろんアメリカとかそういう国での動向を見ながら、日本も対応していかなければならないと考えます。ここ数年、まだこの課題は変動する状況にあると感じましたので、早急で厳格なルールに固執しないという意見をつけ加えておきます。

◯中嶋会長
ありがとうございます。
それでは、水野委員、お願いします。

◯水野委員
有機のJASは基本的にコーデックスのガイドラインに基づいてつくられていますし、コーデックスのガイドラインに基づいてつくられていることもあり他の国々とも同等性が認められていると思います。
ですから、これら同等国に対してもいろいろと意見交換を行い、同等国が実施している方法等を参考にして実施していただきたいと思います。

◯中嶋会長
ありがとうございます。
じゃ、ここら辺で一旦切りまして、事務局のほうからお答えいただければと思います。富松委員から特にご質問があったと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯長谷規格専門官
富松委員からのご質問なんですけれども、2つあったかと思います。その有機で検出が、どうやって有機であることがわかるのかということなんですけれども、それについては有機JASの世界というのは、一般の食品とは違って、あくまで有機JASをつけたい生産者は、有機の種子であるとか、しっかりそれを確認した上で使うと。わからないものは使わないという扱いでやっております。有機のものを使ってずっと製品まで紐付けしていくという流れがございますので、有機であるという根拠、記録を確認して有機であるということを担保していきたいと思っております。
輸入した種とか種子というのはわからないということなんですけれども、わからないものは使わないということで考えております。

◯西川基準認証室長
国際的観点、有機同等国との関係について、水野委員からお話がありました。この点については有機の各国の担当者とも綿密に情報交換をしております。ちょうど先週、アメリカ、EU、カナダ、日本、チリ、韓国の有機同等性の協議担当者が集まり、カナダで議論したところです。我が国の有機JAS規格の改正の方向性の話をした際、どの国も、有機の世界におけるゲノム編集の扱いについては同じ考え方を持ち、日本の考えをサポートするということでした。特にEUでは、2018年に欧州司法裁判所で出された「ゲノム編集もGMOとする。」という判決に沿って有機の世界でも、同じ考えであるということでした。つまり、EUにおいても有機の世界ではゲノム編集はGMOと同様禁止されていると考えるということです。水野委員がおっしゃったように、我が国は、EU、アメリカ、カナダ等と有機同等性の取り決めを結んでいますので、今回各国タッグを組んで、有機の世界におけるゲノム編集の扱いについては同じ考えで進めているということは本日、明確に申し上げたいです。ただ、まさに検証方法のところは、各国ともどういう形でしっかりやっていくかについて今後、議論していこうという話はしました。この各国との議論の中でも、ゲノム編集については新しい技術であり、今の技術解析ではわからないところもあるかもしれないけれども、今後ゲノム技術の解析が進み、新たに判明することもあるかもしれないとも一つの意見として出ました。各国しっかりと協力してやっていきたいと思っています。

◯富松委員あまり揚げ足を取るつもりはないんですが、GMOでも種苗、種の段階でクロスコンタミがかなりあると聞いております。それは検出できますので、検査すればわかる話なんですが、そういったわからずに入ってくるというのもたくさん出てくると思います。あまり初めからわからないものは使わないという話になると、使えるものがなくなるのではないかという気もいたします。否定しているわけではなくて、もっと慎重にご検討いただくべきと思っております。
以上です。

◯中嶋会長
ほかに、事務局から回答なりコメントいただくものはありますか。よろしいでしょうか。
先ほどの山根委員からお話があったのは、主婦連のほうで行った緊急署名ですか。

◯山根委員
いや、賛同した立場です。

◯中嶋会長
そうですか、そういう動きがあるということの情報提供ということでございました。ありがとうございました。

◯山根委員
きちんと証明された原材料で有機は管理されるべきという意見です。

◯中嶋会長
わかりました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、ご意見も出尽くしたようです。いろいろなご助言もいただきましたけれども、この有機農産物の日本農林規格など有機4規格の改正については、事務局提案の考え方で改正の作業を進めるということでよろしいでしょうか。
(「はい」と呼ぶ者あり)

◯中嶋会長
ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、今回提案の考え方で規格改正案の検討等を進めていただければと思います。
それでは、以上、諮問事項である議題1についてご審議をいただきました。
ここで確認をさせていただきたいと思います。持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格については、一部修正して制定すること。それから、有機農産物の日本農林規格など有機4規格については、事務局提案の考え方で改正の作業を進めることでご了解を承ったということにしたいと思います。
調査会長から農林水産大臣への議決報告は、資料2の諮問の中の1についてでございますが、1つ目のこの鶏卵・鶏肉の日本農林規格については、特に英語のタイトルについて、この会長に預かりとさせていただいた上、それを修正したものを原案として、これを制定すべきということで報告させていただきたいと思います。
これでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

◯中嶋会長
ありがとうございます。
それ以外にも、内容の変更を伴わない字句の修正等が必要があると思いますので、それについては事務局と調整するということで、会長一任とさせていただきたいと思いますが、これもよろしいでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

◯中嶋会長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、議題の2、その他ですが、これは何かございますでしょうか。

◯西川基準認証室長
では、事務局から1つお話しさせていただきます。
今回のゲノム編集のところで皆さんにいろいろとご議論いただきました有機農産物の日本農林規格など、有機4規格につきましては、次回の調査会、こちらは来年1月31日を開催予定でとしておりますけれども、そちらの調査会で改正案をご審議いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◯中嶋会長
ありがとうございました。
ほかに委員の皆様から何かご発言ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、以上で本日全ての議題が終了いたしました。円滑な議事進行にご協力いただきまして、ありがとうございました。
それでは、議事進行を事務局にお返しいたします。

◯長谷規格専門官
本日、どうもご審議いただきまして、誠にありがとうございました。
本日ご審議いただきました持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉の日本農林規格案については、一部修正をした上で、速やかに公示できるように手続をしてまいりたいと思っております。
また、有機農産物の日本農林規格等の4規格につきましては、改正案の検討等を進めてまいりたいと思います。
以上をもちまして、本日の日本農林規格調査会を閉会したいと思います。
どうもありがとうございました。

午後3時44分閉会

お問合せ先

食料産業局食品製造課基準認証室

代表:03-3502-8111(内線4482)
ダイヤルイン:03-6744-2098

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