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農林水産省

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農林物資規格調査会議事録(平成26年8月26日開催)

更新日:2014年10月07日
担当:消費・安全局表示・規格課

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1.日時及び場所

    日時:平成26年8月26日(火曜日) 10時00分~11時53分

    場所:農林水産省 第3特別会議室

2.議題

(1)日本農林規格の見直しについて

・枠組壁工法構造用製材の日本農林規格

・枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格

・ウスターソース類の日本農林規格

・植物性たん白の日本農林規格

(2)その他

議事内容

越野上席表示・規格専門官

定刻となりましたので、農林物資規格調査会を開会させていただきます。事務局の越野でございます。よろしくお願いいたします。

本日は、委員の皆様にはご多忙のところ、ご出席いただき、まことにありがとうございます。

初めに、事務局から委員の変更についてご報告させていただきます。お手元の資料の1ページ目を1枚めくっていただきまして、委員名簿をごらんいただきたいと思います。このたび、椋田委員が退任されまして、一般社団法人日本経済団体連合会常務理事の根本勝則委員が後任になられました。委員は少しおくれておりますので、後ほどご紹介させていただきたいと思っております。

引き続きまして、本日の委員の出席状況でございますが、山根委員は欠席とのご連絡をいただいております。また、根本委員は遅れております。委員の12名のうち10名が出席されておりますので、農林物資規格調査会令第6条第1項の規定に基づき、本調査会は成立しております。 

本調査会は、農林物資規格調査会運営規定に基づき、公開となっております。傍聴を希望される方を公募したところ10名の応募があり、本日、傍聴されております。また、審議において原案作成委員会の議論の概要を報告させていただく関係から、原案作成委員会事務局、独立行政法人農林水産消費安全技術センターの高崎商品調査課長と田中分析調査課長が出席していることを報告させていただきます。

それでは、調査会運営規定に基づき、阿久澤会長に議事進行をお願いしたいと思います。 

阿久澤会長

皆さん、おはようございます。阿久澤でございます。委員の皆様には円滑な議事進行にご協力をお願いいたします。

それでは、議事次第に基づきまして、永山審議官にご挨拶をお願いいたします。

永山審議官

おはようございます。消費・安全局担当審議官、永山と申します。本日はお忙しい中、ご出席を賜りましてまことにありがとうございます。それから、日ごろはJAS規格制度の適正な運用にご尽力いただきまして、心から御礼を申し上げます。

実は私、先月7月25日に着任いたしまして、ちょうど、そのころに中国の期限切れ肉の話が大きな社会問題となっておりまして、連日、報道されておりまして、その後も木曽路の肉とか、さまざまな事件、事故、事象が後を絶っておらなくて、私どもももちろん、既存のさまざまな制度、施策を通じて食の安全あるいは消費者の信頼確保に力を尽くしてまいるつもりでございますけれども、その中でJAS規格制度の果たす役割は、大変大きいものであると改めて認識いたしております。

本日は、枠組壁工法構造用製材、ウスターソース類、植物性たん白、この3品目についての規格の見直しと、それから、枠組壁工法構造用たて継ぎ材の廃止、これが議題となっております。それぞれのお立場から忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

阿久澤会長

ありがとうございました。

続きまして、7月22日付の人事異動で表示・規格課長になられました相本課長に一言、自己紹介をお願いいたします。

相本表示・規格課長

ただいまご紹介にあずかりました、7月22日付で表示・規格課長に着任いたしました相本でございます。委員の先生方におかれましては、JAS制度の運用に関しまして常日ごろよりご指導を賜りましてまことにありがとうございます。本日も忌憚のないご意見をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、議題に入る前に本日の調査会の議事録署名人の指名を行います。調査会運営規定により会長が指名することとなっておりますので、今回は村瀬委員と森光委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

次に、事務局から資料の確認及び議事内容の公表についての説明をお願いします。

越野上席表示・規格専門官

それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、お配りしている資料は、次第、次に委員名簿、次に資料1の日本農林規格の見直しについて「枠組壁工法構造用製材」から、資料5のJAS規格の制定・見直しの基準までとなっております。あわせて参考資料を配付させていただいております。また、規格調査の結果及び原案作成の会議の報告書を委員お二人の間に1冊置かせていただいております。

資料に過不足がございましたら事務局までお伝えください。よろしいでしょうか。

次に、議事内容の公表ですが、本日、発言された方々のお名前を明記の上、後日、農林水産省のホームページで公表いたしますのでご承知ください。

以上でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、これから議題1の日本農林規格の見直しについて審議を始めます。

議題1の枠組壁工法構造用製材と枠組壁工法構造用たて継ぎ材の2規格については、2規格を統合し、所要の改正を行うものであることから、一括して審議することとしてよろしいでしょうか。異議がないようですので、事務局よりそれでは説明をお願いします。

越野上席表示・規格専門官

それでは、説明させていただきます。なお、質疑に中熊課長補佐も対応させていただきますのでよろしくお願いします。

それでは、座って説明させていただきます。クールビズでございますので上着等は脱いでいただいて聞いていただければと思います。よろしくお願いいたします。

初めに、資料1の1ページ目をごらんください。日本農林規格の改正及び廃止についての諮問でございます。該当部分を読ませていただきます。

下記1から3までに掲げる日本農林規格の改正並びに下記4に掲げる日本農林規格の廃止を行う必要があるので、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律第9条において準用する第7条第5項の規定に基づき、貴調査会の議決を求める。記として、2として枠組壁工法構造用製材の日本農林規格、4といたしまして枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格となっております。

次に、審議事項でございます。資料1の2ページ目をごらんください。趣旨はJAS法第7条第1項の規定及び見直し基準に基づき、枠組壁工法構造用製材について所要の見直しを行うことでございます。審議の内容でございますけれども、枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格を統合すること、MSRたて継ぎ材の規格を新設すること、樹種群に新たな区分を追加すること、平均年輪幅に係る規定の適用を除外する樹種群を追加することなどでございます。

次に、資料2の2ページ目をごらんください。枠組壁工法構造用たて継ぎ材の審議事項です。同規格で規定している内容は枠組壁工法構造用製材に統合することとし、同規格を廃止するということでございます。

本日、審議する他の2規格につきましても同様に審議事項が示されておりますが、内容の説明は改正案等の説明と重複する部分がございますので、以後の説明は省略させていただきます。

それでは、説明に入らせていただきます。

初めに参考資料の1ページ目をおあけください。枠組壁工法構造用製材と枠組壁工法構造用たて継ぎ材のご説明をさせていただきます。

枠組壁工法とは、ツーバイフォー工法とも呼ばれ、枠組壁工法構造用製材と構造用合板を組み合わせ、面的な壁や床板によって建物を一体化し、一種の箱を組み立てることを基本とした工法で、北米から昭和40年代に日本に導入されたものです。

右側のイラストは、従来工法といいますか、軸組工法を示したもので、柱やはりで建築物を支えるものです。左側はツーバイフォー工法で、構造用製材でつくった枠組に構造用合板を張りつけたパネルで床、壁、屋根を構成して建物を構成する工法です。左側の上の写真は、204、206、208、210の枠組壁工法構造用製材を示しています。このようにツーバイフォー工法では寸法形式が規格化された部材が使われます。

次の左側の下の写真は、枠組壁工法構造用たて継ぎ材とたて継ぎ材部のフィンガージョイントを示したものです。フィンガージョイントは、木口面をくさび状に切削し、お互いにはめ合わせて接着接合したもので、フィンガージョイントにより縦方向にたて継いだものであることから、たて継ぎ材と言っています。今回はこの製材とたて継ぎ材、この二つについてご審議をいただくということになります。

次に、2ページ目をごらんください。JAS規格の概要を説明させていただきます。

初めに、枠組壁工法構造用製材の説明でございます。この規格の中には甲種枠組材、乙種枠組材、MSR製材の3規格がございます。甲種枠組材と乙種枠組材は、木材の強度に及ぼす節とか繊維傾斜とか割れなどを目視により等級を評価するものです。そして、甲種と乙種の違いですけれども、甲種枠組材は主として高い曲げ性能を必要とする部分に使用するもの、乙種枠組材はそれ以外のものと、そのように規格の中で定義されております。実際には乙種枠組材の使用実績はほとんどなく、甲種枠組材の2級以上のもので大半がまかなわれています。次に、MSR製材ですけれども、マシンストレスレーティングと、これはMSRと呼ばれる機械によって長さ方向に木材を動かしつつ、連動的に荷重をかけてヤング係数を測定するもので、定期的な抜き取り検査によりヤング係数と強度の関係も確認するといった方法により強度の等級区分を行うものです。

次に、規格の内容ですけれども、枠組壁工法構造用製材の品質の基準は、節、割れ等の材面の品質、曲げ性能、寸法、保存処理等の基準が定められております。これに加えて枠組壁工法構造用たて継ぎ材は、これに接着性能の基準が加えられております。

次に、表示について説明させていただきます。右側の表示をごらんください。JASマークと2等級の表示、このほかに樹種群、ここにS-P-Fと書いています。寸法形式(206)、未乾燥材または乾燥材の別、ここはDと書いていますので乾燥材という意味です。次に保存処理及び薬剤、K2というのは保存処理の区分と、CUAZというのは薬剤名です。

次に、実在サンプルを用いて説明させていただきます。この説明は中熊補佐にお願いします。よろしくお願いいたします。

中熊表示・規格課課長補佐

よろしくお願いいたします。

こちらのほうに実物のサンプルと、ツーバイフォーを使って建物を建てた場合の模型を準備しておりますので、こちらのほうに足をお運びいただいて、実際にごらんいただければと思います。

これがツーバイフォーの建築で用いられます部材でございます。縦が約2インチ、横が約4インチ、これが2×4ということでツーバイフォーというものです。これが一般的にツーバイフォー建築で使われる基本的な部材、これはツーバイシックスになります、縦が約2インチ、横が約6インチ、さらにこちらの幅が大きいものになると、2インチ、8インチということでツーバイエイト、さらにツーバイテンという形で大きさが変わっておりまして、必要なところに応じて、このような部材を使い分けながら建物を建てるというのがツーバイフォーの建築物になります。

ちなみに、こちらがたて継ぎ材、サイズは製材と全く同じツーバイフォーで、使い方も全く同じなのですけれども、これについてはこのように切り口が入れてあるのがごらんになれるかと思います。これがフィンガージョイント、FJとかよく言われるものなのですが、このように切り口を入れまして接着剤でつけるのがたて継ぎ材でございます。接着剤の強度なども最近は上がっていまして、特に製材と全く遜色なく使えるということ、使い方も目的も同じということで、今回、規格を統合するということにさせていただいた次第でございます。

建物の模型のほうをごらんください。ツーバイフォーからテンぐらいの部材をいろいろ組み合わせながら骨組みをつくっていく、つくりました骨組みにパネルが横のほうに見えるかと思いますけれども、このような構造用のパネルを張ってつくるというのがツーバイフォー工法という建築の構造になります。基本的にはパネルで建物を支えるという形になっており、壁工法と言われるゆえんでございますが、そのための枠組みという形で作っていきます。

特徴としましては、壁で支えるということで非常につくり自体は強固なものになりまして耐震性が強いと言われます。逆に難点からいいますと、どうしても壁で支えるという構造上、余り窓の開口部を大きくとることができないと言われます。これは在来軸組工法と比べればという話でございますが、窓の開口部がやや狭くなっています。どうしても壁の面積をたくさんとって、建物を支える必要が出てきますので、そういう部分に設計上の制約がございます。

逆に軸組工法のほうは耐震性が弱いとは言われますけれども、最近は建築基準法等でちゃんと筋交いを入れたりして耐震性を確保するようにと言われていますので、別にツーバイフォーと軸組工法で耐震性に差があるわけではないんですけれども、基本的にそういう違いがあるというのだけご承知いただければと思います。思想やつくり方の違いです。エンドユーザーの手に入るときは、ちゃんと設計基準、建築基準法等に基づいて耐震性などは確保されておりますので、どちらがすぐれているというわけでは決してございませんが、一応、そのような違いがあるというのだけご承知おきください。よろしいでしょうか。

越野上席表示・規格専門官

ありがとうございます。

それでは、資料の説明を引き続きさせていただきます。資料1-3ページ目をおあけください。枠組壁工法構造用製材の規格調査の概要を説明させていただきます。

まず、品質の現況です。(1)の製品の流通実態ですけれども、現在、流通している主な製品は寸法形式が204、206と、樹種は北米産のSPFのもので、最近ではSPFのほかに国産材のスギとかヒノキなども流通するようになっております。

次は(3)の品質の実態です。JAS品5件、非JAS品36件の調査を行ったところ、JAS品は全て規格に合格しておりました。非JAS品では寸法、材面の品質が基準に満たないものが確認されたということです。表1はその内訳を示したものです。今回、調査した非JAS品は北米規格の格付を受けたもので、国土交通省が基準強度を指定したものとして、JAS品と同等に住宅に使用できるものです。このため、住宅に使用できないものが使われることはございません。

次に、2の生産の現況について説明させていただきます。1-4ページ目をごらんください。生産量については、枠組壁工法構造用製材は統計資料がなく、正確な生産量等は把握できておりませんが、北米や北欧からの輸入が主体で、国内生産量は少ないと推察されております。平成24年度の格付数量は、242千立方メートルとなっています。認定事業者は平成25年2月現在105事業者、このうち海外は11事業者となっています。次に(3)の規格の利用状況です。JAS規格は製造基準や取引基準にも活用されていた実態があります。

3の取引の現況です。製品は製造業者と住宅建築メーカーとの相対による相対取引、また、商社等の流通業者を通じた取引が行われているということです。ホームセンターでも売られていますが、これは日曜大工用でございまして、住宅用の建築資材とは少し異なるものでございます。住宅資材に使われるものは、JAS規格や北米規格による格付が行われて強度が明確になったものが使われています。

次に、4の使用の現況ですけれども、製品はツーバイフォー工法の建築物の建築用資材として、強度性能に応じて甲種枠組材は根太とか側根太に、乙種枠組材は壁の枠材などにも使われています。乙種枠組材は、使用の実態がほとんどありません。実際の一般住宅建築では甲種2級までのものが使われている実態があります。

5の将来の見通しです。枠組壁工法構造用製材の需給の動向は、住宅の着工戸数に大きく影響するところですが、ツーバイフォー工法による住宅の着工戸数は増加傾向にあります。昭和49年から建築が開始されて現在までに累計は200万棟と言われております。清野委員はツーバイフォー建築のご専門でございますので、後ほどツーバイフォー建築の現状と課題等について補足説明いただければと思います。

次に、平成22年度に公共建築物における木材の利用の促進に関する法律が施行されたことから、公共建築物における木材の利用は拡大すると、そのように予想しております。現在、国内の17工場が国産材を用いた生産に取り組んでいることから、生産量は今後も拡大するのではないかと見込んでいます。この部分につきましては、井上委員から国産材を含めた森林資源の活用状況について補足説明いただければと思っております。

1-5ページ目の国際的な動向ですけれども、ISO規格において、ここに示したような関連した規格が定められています。

7のその他としてアンケート調査、ヒアリング調査した段階では、国産材の利用拡大に対応した規格の見直し、枠組壁工法構造用たて継ぎ材との規格の統合などの要望がありました。また、他法令に基づく引用はここに書かれているとおりです。建築基準法の関係告示にこのように引用されています。

次に、枠組壁工法構造用たて継ぎ材の規格調査の概要ですけれども、調査の内容は製材と同じなので説明は省略させていただきます。

引き続きまして、改正案の説明をさせていただきます。1-7ページをおあけください。

1の規格の位置づけです。枠組壁工法構造用製材の日本農林規格は、建築その他一般に供される枠組壁工法構造用製材に適用され、建築基準法等に引用されているほか、業者間の取引基準として使用されている実態があることから、引き続き標準規格と位置づけることとします。

2の改正案の概要でございます。

(1)の規格の統合です。枠組壁工法構造用製材と枠組壁工法構造用たて継ぎ材はいずれも枠組壁工法に使用されるもので、用途が同一です。また、規格内容が類似しており、材面の品質などは枠組壁工法構造用たて継ぎ材の規格は枠組壁工法構造用製材を引用する規定ぶりとなっており、需要者から2規格を統合したほうがわかりやすいという意見も寄せられていたところです。さらに規格を統合することにより、規格の種類ごとに認定していたものを一つで認定できることが可能となり、手続の効率化のメリットもございます。このため、2規格を統合することとしたものです。改正方式といたしましては、枠組壁工法構造用製材の規格名を枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格に改名し、枠組壁工法構造用たて継ぎ材は廃止する改正形式にしたいと思っております。

次に、(2)MSRたて継ぎ材の新設を説明させていただきます。これまでたて継ぎ材にはMSRの規格はございませんでした。ここに書いておりますようにたて継ぎ材があるのは、たて枠用と甲種たて継ぎ材と乙種たて継ぎ材ということで、MSRに対応したたて継ぎ材の規格はございませんでした。このため、これに対応した規格をつくるということです。

次に、(3)樹種群に新たな区分の追加について説明させていただきます。資料の1-93ページ目の表を見ていただきたいと思います。この表は強度制度が類似する樹種を群にまとめて整理したものです。現在は、DFir-LとかHem-TamとかHem-FirとかS-P-Fなどの樹種群があります。また、たて継ぎ材ではこの樹種群ごとに曲げ性能の基準を定めております。

現在の樹種群は、北米産料をベースとしたものに国産材を組み入れて作成したものです。スギはW Cedarの中に、カラマツやヒノキはHem-Tamの中に入っています。その中でスギやヒノキは、現在の樹種群の強度性能と異なるのではないかという意見が、規格の利用者から寄せられ、樹種群の見直しを行ってきたところです。その結果、改正案の左側に書いているように、北米産材のSYPと書いているサザンイエローパインと、JSIの国産のヒノキ、JSIIのスギ、JSIIIのカラマツは現在と異なる強度性能であるということがわかりましたので、この4種群を独立させることが今回の改正です。

また、資料に戻っていただきまして1-8ページ目をごらんください。

(4)平均年輪幅に係る規定の見直しです。木材の強度は一般的に年輪幅と強度は相関があると言われております。JAS規格では原則として平均年輪幅が6ミリ以上のものは、3級を除いて除外しています。一方で、Hem-FirとかSpruce-Pine-Firの樹種については、強度と年輪幅の相関はないということが既に確認されておりますので、年輪幅の適用を除外しているところです。今回、追加した樹種群については平均年輪幅と強度の関係を確認したところ、サザンイエローパインとヒノキとスギ及びカラマツは森林総合研究所の試験結果により、平均年輪幅と強度に相関がないことがわかりましたので、今回は平均年輪幅の制限を適用除外とする樹種群に追加するものです。

次に(5)MSR枠組材に係る曲げ強度性能等級の追加でございます。資料の1-29ページ目を見ていただきたいと思います。MSR枠組材は1、2の曲げヤング係数と曲げ応力度の両方を満たす場合に、その等級の格付を可能となっておりますけれども、現在の等級は北米の基準をベースに規定されたもので、一部の国産材にこの強度等級に合致しないものがありました。このため、国産材の強度性能に合う等級を新たに新設するというのが改正の趣旨です。この改正で国産材の強度性能を明確にすることが可能となり、国産材の利用拡大につながるものと考えています。

次にその他です。1-8ページに戻っていただきまして、その他の中で幾つか書いております。まず、初めにたて継ぎ材の曲げ強度性能に新たな樹種区分の基準値の追加ということです。ここの部分につきましては先ほど新たに樹種群を追加いたしましたので、そこに該当する樹種群の基準値を追加するというものです。また、4樹種以外にたて継ぎ材とたて枠用たて継ぎ材と乙種たて継ぎ材の曲げ性能の基準につきましては、専門家による再検証の結果を踏まえて、基準値を若干修正させていただいております。

次に保存処理剤の追加ですけれども、これは保存処理剤としてアゾール第四級アンモニウム・ネオニコチノイド化合物のAZNAを追加する改正です。あわせて吸収量の基準、保存処理にかかわる薬剤名、薬剤の記号、測定方法について、所要の追記をしております。この薬剤の追加につきましては、製材の見直しにおいて、平成24年7月26日のJAS調査会で、既に審議いただいた内容と同じで、枠組材についても並びをとって追加するものです。

最後に保存処理剤のジプロコナゾールの測定方法の見直しを説明させていただきます。1-73ページ目をおあけいただきたいと思います。右側にb、ジプロコナゾール(HPLC法)と書いています。この測定方法について、より正確に測定できるように所要の見直しを行うものです。

以上が改正案の概要です。この改正案の内容につきましては、法令的な観点から字句の修正があることをご承知ください。

次にパブリックコメントの概要を説明させていただきます。1-94ページ目をおあけいただきたいと思います。今回、3件、パブコメをいただきました。その考え方は次ページに書かれております。内容はいずれもたて継ぎ材、第7条から第9条に関するものです。

初めの意見ですけれども、スギ、カラマツの曲げ性能が想定よりも低い値なので、再度、検討してほしいというご意見です。これにつきましては、基準の設定に当たりましては試験データと有識者等による検討を踏まえて、今回、決定しておりますので、当方としては適切な値と考えているところです。いただいたご意見は次回の見直しの参考にさせていただきたいと思います。

次に、カラマツの曲げ性能等が低い数値になっているが、主要産地のデータを収集した上で決定したのかということですけれども、これについてはサンプリングに当たっても、主要産地である北海道、岩手、長野のデータを踏まえまして決定しておりますので、原案どおりとさせていただきます。

これがパブコメに対する考え方です。そして、事前意図公告についてはコメントはございませんでした。

長くなりましたが、以上で農林水産省からの説明を終わらせていただきます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、次に原案作成委員会での議論の概要について、原案作成委員会事務局から説明をお願いします。

原案作成委員会事務局(高崎)

それでは、説明させていただきます。枠組壁工法構造用製材の日本農林規格の確認等及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格の確認等の原案作成委員会は、いずれも長尾博文独立行政法人森林総合研究所構造利用研究領域強度性能評価担当チーム長を委員長といたしまして、製造業者、利用者等の各分野の代表の方々19名の委員から成る合議体で、その事務局を独立行政法人農林水産消費安全技術センターが務めました。

まず、枠組壁工法構造用製材と枠組壁工法構造用たて継ぎ材の両委員会でございますが、これは同時に開催いたしまして、平成25年3月11日から平成26年1月27日までの間、計6回、審議を行ったところでございます。その結果、まず、規格の位置づけに関してでございますが、この両規格とも建築基準関連法令等に引用されており、建築材料の業者間取引の際の基準として、使用の合理化及び取引の単純公正化に大きく貢献しているということから、標準規格として位置づけることが適当と議決されました。その上で、枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格につきましては廃止した上で、枠組壁工法構造用製材の日本農林規格に統合して、名称を枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格と改正して、適用の範囲及び定義の用語について整理するということが適当と議決されました。

次に、個別の規格基準についてでございますが、まず、枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の両方に関連する事項といたしまして、一つ目は、ヒノキ、スギ、カラマツ、それとサザンイエローパイン、これらについて既存の樹種群から外しまして、おのおのに対応する新たな樹種群を規定すること、次に、MSR区分に係る曲げ強度性能について新たに下位の基準を規定すること、それから、甲種枠組材及び甲種たて継ぎ材の平均年輪幅による制限について見直し、平均年輪幅の基準の適用除外樹種として、スギ、カラマツ及びサザンイエローパインを追加すること。枠組壁工法構造用製材に関しては、甲種枠組材及び乙種枠組材に新たな保存処理薬剤、具体的にはアゾール第四級アンモニウム・ネオニコチノイド化合物でございますが、これを追加すること、さらに、枠組壁工法構造用たて継ぎ材に関しては、MSR区分を行った材をたて継ぎしたものをMSRたて継ぎ材として新たに規定すること、こうしたことについて検討を行い、改正の合理的根拠が確認され、全会一致で改正することが適当と議決されたところでございます。

なお、参考までに、ほかに改正要望がございました例えば枠組壁工法構造用製材と製材のJAS規格の統合とか、あるいは製材製品のサイズ、標準寸法ですが、これを導入してはどうかといったようなことにつきましては、見直しに必要なデータ等が十分ではなかったということから、今回につきましては改正はしないという結論に至ったところでございます。

以上でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、先ほど事務局から依頼がありました枠組壁工法の現状について、清野委員から補足説明をお願いします。

清野委員

清野です。枠組壁工法について先ほども説明がありましたけれども、補足して申し上げたいと思います。

ごらんのとおり、枠組壁工法というのはツーバイフォー工法とも呼ばれまして、木造の建築方法の一つでありますけれども、約200年ぐらい前、北米でできた工法だというふうに言われています。日本に入ってきましたのは明治になってからでして、有名な建物でいいますと札幌の時計台とか、こういった当時の明治時代の木造洋館の木造の多くに採用されています。

その後、北米の工法なので第2次世界大戦の関係があってしばらく途絶えたんですけれども、昭和40年代ぐらいになりまして、個別の幾つかの企業が国土交通大臣の認定という制度の枠組みの中で、ツーバイフォーを利用するようになってきました。昭和49年(1974年)になりますけれども、誰でも使えるようにしようということで、国土交通省のほうで建築基準法に技術基準を定めまして、この基準に従えば誰でも設計施工ができるという状況になりまして、これがいわゆるオープン化と呼ばれているんですが、ちょうど、ことしで40年を迎えたというところでございます。

ちなみに昨年の建設の状況でございますけれども、住宅に関しては12万戸を超えまして過去最高の着工戸数になっております。マンションを含めた全体の住宅でのシェアは12%を超えていまして、木造に限っていいますと21.9%だったと思いますので、木造住宅の約5軒に1軒はツーバイフォーということで、広く国民の皆様に使っていただけるような工法になったかなというふうに思っています。

住宅以外の用途も最近ですと高齢者施設、例えば特別養護老人ホームなんかでは最近、採用が非常にふえてきています。使った感想としては、お住まいになる方もそれまで木造の住宅に住んでいた方がまた木造の施設に入るということで違和感がないとか、それから、床が木造ですからコンクリートに比べると少しやわらかいということで、入居される方、それから、介護される方も足腰への負担が少ないとか、転んでも骨折をしにくいとか、そんなようなことで大変、高齢者施設等を含めて住宅以外の用途にも最近、採用されるようになってきたという工法でございます。

こういったことで、随分、最近はふえてきているんですけれども、北米由来の工法ということもありますし、先ほどごらんいただいたように使う材料が北米のフィート、インチという規格でつくられている製材ということもあって、長らく日本ではこれに該当する製材を国内でつくるということがなかったんです。スポットではありましたけれども、昨今になりまして着工戸数が増えてきたということもありますし、先ほどご紹介いただいたように公共建築でもふやそうという動きもあります。それから、林野庁さんのほうでは国産材の自給率を50%に上げようというようなこともありまして、ツーバイフォーでもぜひ国産材を使っていきましょうということで、官民で共同研究がなされてきました。その結果として先ほどの資料にありましたけれども、2010年ぐらいから国内でも国産製材の生産が始まりまして、今、17工場を数えるという状況でございます。

今回の改正の主なところは、先ほど説明がありましたように日本の特にスギ、これをもう少しツーバイフォーで使っていくためには、所要の改正が必要だろうということで提案されたものでありますので、我々、利用者の立場からいいますと、北米産に限らず、国産材が利用しやすくなるということは大変ありがたいことでございますので、ぜひ、この規格の改正がなされることを期待しているところでございます。

以上です。

阿久澤会長

ありがとうございました。

続きまして、国産材を含めた森林資源の活用状況につきまして、井上委員に補足説明をお願いします。

井上委員

井上でございます。清野委員のご発言と似たところもございますが、森林資源の現状の観点から今回のJAS改正についての思いを述べさせていただきます。

日本の森林資源の状況としましては、50年生以上のスギで大径材といったものが非常に増加してきておりまして、その利用拡大が必要となっているところでございます。それで、日本としましては2020年までにあと6年しかないのですが、木材需給率50%以上を達成するというところを目標にしているところでございます。昔は、スギなんかは10センチ角の柱材をとるという製材が主だったのですが、ツーバイフォー材みたいなのをとるという文化はなかったのですが、大径材化してきましたのでツーバイフォーもとれますし、先ほど見ていただいたツーバイシックスとか、ツーバイエイトといった、そういった材料も製材することが可能になってきています。

清野委員からもお話がありましたが、ツーバイフォー住宅は木造住宅の5軒のうちの一つ、20%と毎年10万戸以上建っているのですが、その製材のほとんどが外材で国産材はほとんど使われていなかったということがあります。その理由としましては、日本の木材が中小径だったのでツーバイフォーはとれないということが一つ、もう一つは今回のJAS改正にありますが、国産材の基準といったものが設定されていなかったという、その二つが理由かと思います。そういったことから今回のJAS改正につきまして、国産材の合理的な強度基準値というものが設定されることで、ツーバイフォー住宅に国産材を使っていくという環境が整備されたのかなと思っています。今後、国産材がツーバイフォー枠組材にも使われていくことを期待しているところでございます。

以上でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

続きまして、枠組壁工法構造用製材の日本農林規格の改正案及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の廃止について、ご質問やご意見等がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。森光委員、お願いいたします。

森光委員

ありがとうございます。

改正内容から少し逸れてしまいますが、質問の1件は個人的な興味で、パブリックコメントにもあったと思うんですけれども、強度に関してです。スギ材で実際に外材にも国産材にもスギがあって、表なんかを別途調べると、確かにヤング係数とか、いろんなデータを見ると数値が小さ目で、何が聞きたいかというと結果的には国産材を2020年までになるべく使ってもらおうというときに、また、家を建てるときに誰もが気になるのは耐震性の中でいうと強度であると、こういう表なんかを見るととても外材の方は何か値が高く見えてしまっていて、いいものは30なんかを超えているような係数が出ているということ、40までいっているのがあったりすると、果たして日本のスギ材がJSIIとかIIIとかというのが価格と強度の関係でいうところで妥当なのか、要はいい強度があって価格が高ければなるほど良いと思うんだけれども、日本のスギ材を使おうと思ったときに強度が低くて価格が高いという現状なのか、そういう面で現状ではどういう関係にあるのか、格付するに当たってもし情報があったら知りたいと思います。

阿久澤会長

ただいまのご質問にどうでしょうか。事務局、お願いいたします。

中熊表示・規格課課長補佐

お答えさせていただきます。

まず、価格でございますが、農林水産統計というのを私どものほうで常に出しておりまして、これの最新のデータを照会させていただきますと、ツーバイフォー材ではなく、あくまで一般的によく使われる材の話ということでございますが、まず、製品を製材する前の原料、素材価格につきましてはスギの丸太が、1立方メートル当たり1万2,700円、ヒノキの丸太が1万8,400円、これに対しまして外材の代表的なものですが、ベイツガの丸太、これが2万4,800円ということで、素材の価格としては国産材のほうがかなり安い。

さらにこれが製品になって売られる場合はどうなるかにつきましては、スギの柱が1立方メートル当たり5万8,400円、ヒノキの柱が8万500円、それに対しまして外材のベイツガが7万4,200円と、大体、このくらいのものになっております。なので、素材としては国産材は非常に安いのですが、製材になるとスギは外材より安いかな、ヒノキは外材よりちょっと高いかなというのが今の状況でございます。

それと性能とのバランスということなのでございますが、説明資料の1-38ページ目を見ていただければと思います。ここにツーバイフォー材として一番最も使うものというものの強度の数値を示してございます。一番使われるのが表14の曲げ強さの基準というところの2、1は平均値、2は下限値ということで、基本的に設計の基準などで使う値は安全を見て下限値のほうを使うというのが一般的でございますのでこの2、さらに2のうちの各樹種群の一番よく使われるのは2級です。2の2級というところの数字が、端的に性能を数値であらわすということになろうかと思います。

外材として使われるもの、先ほど言いましたベイツガなどにつきましては、大体、樹種群の三つ目、Hem-Firというところに入ります。あと、ツーバイフォーで一番よく使われているS-P-Fというのが4番目の樹種群、大体、この2級のところを見ますと、20.4、21.6という数字になります。それに対しまして先ほど申し上げた国産の樹種、この後ろの表のところにJSI、JSII、JSIIIとあります。JSIはヒノキ、JSIIがスギ、JSIIIがカラマツということになりますが、ヒノキの数字でいいますと22.2、先ほどのS-P-Fよりもちょっと強いぐらいです。JSIIのスギになりますと19.5で弱いですけれども、そんなに大きく強度が劣るというわけではないと。カラマツはやや劣りまして15.5という結果になっております。これが基準化されるということでございます。

ですので、価格的にも強度的にも若干強度がある外材のほうが少し高いかなというところになっておりまして、価格と強度のバランスがちょうどとれているぐらいではないかと考えております。今後、供給量がふえていきますと、また、価格が変わってきますので、ここについては今後、推移を見守りつつということになろうかと思いますが、このような傾向でございます。

阿久澤会長

どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

森光委員

ありがとうございます。

あわせてもう1件、よろしいでしょうか。先ほどご説明いただいた1-74ページ目で、分析方法を少し具体的にやりましょうということで、HPLC法の説明があったと思いますが、単純な分析に比べてより詳しく書かれているので、こちらのほうが断然わかりやすくてとてもよい改正になると思うんですが、分析をよくやっている者として気になるのは、これまでとは異なり、今度は固相抽出を使っているんですけれども、要は抽出してきた液をそのまま分析するのであれば問題ないんですが、こういったゾール系の化合物でシプロコナゾールなんかは、沸点が気になるところで、どういうことかというと、この方法の中でエバポレーター、要は減圧して、一旦、溶媒等を乾固したり、濃縮したりする操作が入ってくると。でも、恐らく担保されているとは思うんですが、その成分自身が正しく定量されているかどうかは我々なんかの分野でいうと、途中で減圧濃縮をかけたり、乾固すると、本来、測るべき成分が一緒に飛んでいっちゃうと、そういったことは今回の改正の中の分析方法で沸点が多分、100度を少し超えるかもしれませんけれども、減圧濃縮するとか、乾固するという操作が入ったときのとても怖いところなんですよね。実際にちゃんと測っていたつもりが、多分、大した差はないかもしれませんけれども、そういた誤差にならない程度、または量の変化がないというところの担保をとっているかどうかのご質問をさせてください。

中熊表示・規格課課長補佐

お答えさせていただきます。

検査をしている専門の機関のほうに確認をしましたところ、今のところ、現行で今回、ツーバイフォーの規格に入れ込むこの方法で問題があるということは事例としてはなかったと聞いております。とはいいましても、溶媒を置換しなくても定量が可能かどうかということに関しては、今後、また検討を進めていって、そのほうが簡便になろうかという話もありますので、必要があれば検討していくことにしたいと考えております。

越野上席表示・規格専門官

少し補足させていただきます。森光委員ご指摘のとおり、抽出したものを分取して濃縮乾固するとロスが生じるかと思います。ただ、分析操作上、従来の分析法では妨害ピークが出るので、固相抽出カラムで精製するという工程を入れました。固相抽出カラムで精製することを前提として考えたときに、メタノールで定容した方が後の操作がスムーズなので、今回、このような手順にさせて頂きました。森光委員のご指摘は重要と当方は思っておりますので、引き続き次回の検討に合わせて直していきたいと思っております。

阿久澤会長

どうもありがとうございます。

ロータリーエバポレーターでの抽出は、気泡のものでも使われておりますよね。ですから、ある意味、担保されているのではないかなというふうにも、前とこの部分については変わらないんじゃないかなというふうに感じます。

そのほか何かございますでしょうか。どうぞ、菅委員。

菅委員

ご説明をどうもありがとうございました。

原案の作成委員会のほうも、いつもですと1回から2回ということなんですけれども、この件に関しましては6回されているということで、非常に大変な作業でいらっしゃったのかなというふうに思います。そういう大変な過程で改正されるこの規格なんですけれども、昨年、直交集成板で合っていますかね、昨年の夏に改正された建築材があったかと思うんですが、そのときも同様の発言をさせていただいたんですけれども、消費者にとりましては国産材を使わなければならないということはわかるんですが、買い物に行って買えますかというと全然買えない、これがどう違うのかということもなかなかわかりづらい現状があるんですけれども、国内で国産材が使われていくというのは非常に大事なことだと思うんですが、この改正によって難しいとは思うんですけれども、どの程度、国産材の需要が上がってくるといいますか、消費される傾向にあるのかというのが何となくわかるんでしょうか、難しい質問で申しわけないんですが。

阿久澤会長

どの程度、予想しているか。

中熊表示・規格課課長補佐

すみません、正直、この改正によってどの程度、利用が進むかという試算までは至っておりません。ただ、説明でもお話ししましたように、これでようやく国産材もツーバイフォーの建築で使える土台ができたといいますか、ようやくスタートラインに立ったというのが現状でございます。これまでは使おうと思っても、強度や性能の基準がはっきりしていなかったので、メーカーさんも使いようがなかったという実態がございました。それを今回、明確にしましたので、このくらいの強度と性能があるというのがこれでメーカーさんのほうにも正しく理解をされますので、これで非常に使いやすくなると、これによって使うようやく土俵に上ったと考えております。

ここから先は国産材を供給するほうやメーカーさんの努力にもよってきますので、何とも言えないところもあるのですけれども、それを期待しております。国産は国産、外国産は外国産でよいところをうまく使って、消費者によりよいものを届けていただければと思う次第でございます。

あと、国産材の需給率50%という目標で当省は頑張っておりますので、それを目指していきたいと考えております。

阿久澤会長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。

そのほかはございますでしょうか。夏目委員。

夏目委員

恐れ入ります、2点についてお聞かせいただきたいと思います。

まず、資料1の1-4ページ目のところでございますけれども、生産量の統計資料等がなく把握できないというようなご説明があったわけですけれども、ツーバイフォー工法でもって国産材を使って、さらにふやしていこうというときに、こういうデータが出てこないというのは、今後の大きな課題ではないかなというふうに思います。その辺をどのようにお考えかということが第1点でございます。

もう1点は、1-7ページ目で改正案の概要で説明いただいておりまして、現行のところで甲種と乙種の枠組材のところでは、乙種はほとんど使用実績がないんだというお話でございました。甲種の2級くらいまでというお話でございましたけれども、たて継ぎ材のほうの甲種、乙種についてはご説明がなかったのですけれども、こちらのほうの使用実態はどうなっているのかということ、それから、MSR枠組材のほうでございますけれども、上のほうはもともと基準があって、今回、実需者のご要望があってたて継ぎ材のほうにも新設をされたということです。先ほどのモデルを使ってのご説明のところで、製材とたて継ぎ材の強度というのはほとんど差がないというようなご説明だったので、ますます、MSRたて継ぎ材のほうも基準が新設されて、使われる可能性が高まっていくのかなというふうに思うわけですけれども、その辺のところをお聞かせいただければというふうに思います。

以上でございます。

阿久澤会長

それでは、質問の2点につきましてお願いいたします。

中熊表示・規格課課長補佐

甲種・乙種の使用実績の話でございます。基本的には強度でいいますと甲種のほうがより強い強度が必要な部分に使われるものでございまして、乙種ですとか、たて継ぎ材のほうにありますたて枠材につきましては甲種よりも力が必要ないところ、強度が必要ないところに使うというものでございます。

ということで、甲種の規格のものであれば、乙種の部分やたて枠材に使わなければいけない部分にも十分使える強度が当然ありますので、基本的に甲種のほうを使って建ててしまうというのが一般的と。使い分けをすれば当然、もっと強度が低い部分には強度が低いなりのものを使えば良いだけの話なのではございますが、ほとんど甲種のもので、強度がより高いものを使って家を建てているという現状がございます。そのために乙種は余り使われていないと、そのような現状になっておるというところでございます。

あと、MSRについてですが、甲種・乙種というのは基本的に目視ではかるものでございまして、過去のデータに基づき、簡易的に目視ではかっているというものでございまして、MSRはそれを機械で客観的にはかってしまおうというものでございます。どちらが良い悪いということはないのですが、メーカーさんが使い分けていただければよろしいのかなと考えておりますし、用途によって、これからMSRは余り今は使われておりませんけれども、そういう客観的な数字が機械ではかったもののほうが良いということになりましたら、使われていくのかなと、そのように考えておるところでございます。

阿久澤会長

今のはたて継ぎ材の使用実態という理解でよろしいですか。

表示・規格課課長補佐

たて継ぎ材につきましては特に国産の場合なんですが、今のところ、ほとんど使われていないという実態がございます。実際にツーバイフォーを製材するときに半端の長さのものとかが出てくるので、たて継ぎ材がもっともっと広く使われるようになれば、製材をするほうとしては歩どまりがよくなって効率がよくなりますので、もっと普及してくれれば良いという希望は当然あるわけでございますが、今のところ、余り実態として使われてはいないという状況です。ただ、今回、たて継ぎ材につきましても規格をはっきり明確化しましたので、使うほうとしても使いやすくなるということになろうかと思いますので、今後、普及が進んでいくのかなというのを期待しております。

阿久澤会長

それと最初の把握できていないというのは。

越野上席表示・規格専門官

夏目委員の統計データについてのご指摘ですが、事務局でも真摯に受けとめて、可能な限り、データをとれるようにしたいと思っております。先ほど説明のとおり、オフィシャルな数字でないとなかなかお示しすることはできませんが、今後の課題とさせて頂きたいと思っております。

説明はしませんでしたが、資料の2-4ページ目をおあけください。たて継ぎ材の格付数量は6リッポウメートルと、ごくごく少ないものとなっています。製材の端材をたて継ぎ材にすることから、製材が少ないので、たて継ぎも少なくなると考えられます。今回の改正によって、清野委員もお話しされましたように国産材の生産量が増え、統計が取れるようになることを期待しているわけでございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。清野委員。

清野委員

今の夏目委員の発言に関連して意見を申し上げたいと思います。まず、甲種と乙種の関係ですけれども、確かに理論上は甲種と乙種が存在しますけれども、建築現場で両方の材料が入ってきますと、大工さんが乙は壁に使う、それ以外のところには使ってはいけないというのを、先ほど見ていただいたようにスタンプを1本1本見ないと判別ができないんです。大変、誤使用の心配があるということで、建築の現場サイドでは、甲種枠組材にほぼ絞って利用しているというのが一番大きな理由でございます。

次に、たて継ぎ材の件ですが、国産の製材は山から原木を切り出すときに、一般的に軸組工法用の材料では、3メートルの長さで丸太を切ってくるんだそうです。ツーバイフォーの場合は壁の一般的な高さが2.45メートルということで、製材すると余ってしまうんです。この余った材料を何とか有効利用できないかということで、製材業界の多くはたて継ぎ材を今後、利用していきたいということで、ついてはたて継ぎ材についてもう少し使いやすいように規格を改正してほしいということで、この要望が出たというふうに聞いておりますので、今後は少しずつふえてくるのかなというふうには思っております。

以上です。

阿久澤会長

ありがとうございました。

そのほかはございますでしょうか。よろしいでしょうか。

ご意見がこれで出尽くしたようですので、原案どおり、枠組壁工法構造用製材の日本農林規格を改正、それと、枠組壁工法構造用たて継ぎ材を廃止するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長

異議はないようですので、その旨、報告させていただきます。

それでは、次にウスターソース類の日本農林規格の見直しについて審議を行います。事務局から資料の説明をお願いします。 

越野上席表示・規格専門官

それでは、説明させていただきます。質疑に渡邉補佐も対応していただきますので、よろしくお願いいたします。

参考資料の3ページ目をおあけいただきたいと思います。初めに、ウスターソース類についてご説明させていただきます。ソース類は、野菜、果実等の搾汁や煮出し汁等に砂糖、食酢、食塩、香辛料を必須原料として調製した液体調味料です。

ソースの種類といたしましては、左側の表を見ていただきたいのですけれども、ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソースと、そして、特定用としてお好みソース、焼きそばソースがあります。それぞれの特徴はここに書いてあるとおりです。生産割合もここに示したとおりです。原材料といたしましては、野菜はトマト、ニンジン、タマネギ、果実はリンゴ、プルーン、デーツなどが利用されています。また、リンゴのパルプなのどの加工原料が使用されることもあります。

次に、4ページ目をごらんください。JAS規格の内容と製造方法について説明をさせていただきます。JAS規格では、ウスターソース、中濃ソース及び濃厚ソースの3規格が定められております。それぞれに特級と標準があり、その等級ごとに無塩可溶性固形分、これはエキス分でございますけれども、あと、野菜及び果実の含有率と食塩分の基準が定められています。野菜果実の含有量は特級のみに定められています。標準は業者間の取引で使われているもので、細かい規定を設けてしまいますと、取引が難しいということもありましたので、標準については野菜及び果実の含有率は規定していません。

続きまして、製造方法です。原料を水で洗って切断等の前処理を行いまして、これを蒸気等で加熱して裏ごしをし、これに砂糖、食酢、食塩、スパイス等を加えて調合し、そして、まろやかさや味を深めるために一定期間熟成、そして、ろ過をして殺菌し容器に充填する、これが製造方法です。

引き続きまして、具体的なサンプルを見ていただきたいので、渡邉補佐に説明をお願いします。

渡邉表示・規格課課長補佐

皆様、こちらのほうにご移動をお願いします。

それでは、サンプルについてご説明させていただきます。サンプルにつきましては、上段左側から中濃ソース、濃厚ソース、下段にいきまして左からウスターソースの標準、ウスターソースの特級、それと規格上はウスターソースなのですが、品質表示基準上では名称がウスターソース(濃口)とすることができるソースもご用意しました。このウスターソース(濃口)でございますけれども、これは無塩可溶性固形分が33%以上のウスターソースになります。

先ほど上席から説明がありましたけれども、ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソースの違いは粘性の違いでございます。JAS規格の定義では、粘性が0.2パスカル秒未満のものがウスターソース、非常にさらさらしているソースです。0.2から2.0のものが中濃ソース、少し粘性がございます。2.0以上のものが濃厚ソースということになっております。かなりどろどろしているという形でございます。また、特級と標準の違いにつきましては、先ほど上席が説明したとおり、野菜・果実の含有率がウスターソースですと特級は10%以上、あと、無塩可溶性固形分が特級は26%以上、標準は21%以上というような違いがございます。

また、関東地方以北では主に中濃ソースが使われる傾向がございます。近畿地方より西のほうではウスターソースと濃厚ソースの両方をお使いになられる。また、中京地区では一般的にはウスターソース(濃口)をお使いになられるというような違いがございます。よろしければ味を見ていただくことをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

越野上席表示・規格専門官

引き続きまして、規格調査の概要を説明させていただきます。ここではポイントのみ説明させていただきます。

3-4ページ目の(3)品質の実態です。JAS品28件、非JAS品32件を調査したところ、JAS品は全てJAS規格に適合していました。一方、非JAS品3件につきましては、無塩可溶性固形分がJAS規格の標準の基準を満たしていませんでした。

次に、生産の現況です。(2)生産量ですけれども、ウスターソース類の平成24年度の生産数量は約13.6万キロリットルです。

3-5ページ目をおあけください。(3)の格付の状況です。平成24年度の格付数量は約5.5万キロリットルで、格付率は約40%という状況です。

(4)の規格の利用状況ですが、3-6ページ目をごらんください。製造業者104社のうち、43社が認定を取得しています。認定を取得する理由は自社の品質管理のため、消費者に対する訴求効果等でした。また、JAS規格は一部の製造業者で社内基準や取引基準に使われている実態がありました。

その次の取引の現況ですけれども、家庭製品はほとんどが卸業者を通じて小売業者に販売されています。業務用製品は卸を通じてレストラン等の外食事業者に調味料として取引されているほか、食品事業者に加工食品の原材料として取引されてます。なお、家庭用製品と業務用製品の割合はほぼ同じです。また、標準の95%が業務用となっています。

次に、使用または消費の現況です。家庭用製品は調味料として、揚げ物やお好み焼き、焼きそばなどにも使われています。業務用製品は給食やレストラン、居酒屋等の外食事業者等で調味料として利用されている、また、加工用として他の食品の原材料や惣菜用のソースにも使用されています。

5の将来の見通しですが、ウスターソース類は、他のソース類やたれとの競合製品が多いことから生産量は減少傾向にございます。ただ、格付率は40%前後で推移していることから今後も一定の格付は見込まれるものと、考えております。

次に、改正案の概要です。3-7ページを見ていただきたいと思います。規格の位置づけですけれども、規格の利用実態を踏まえて、引き続き標準規格に位置づけるものとしております。そして、改正事項は食品添加物の改正、異物の削除、この2項目です。この食品添加物と異物の改正につきましては、見直し基準に基づき、遵守義務と規格との関係整理の観点から品目横断的に行っているもので、既に調査会でご説明させていただきご了解いただいた内容ですので、説明は省略させていただきます。

次に、パブリックコメントの概要を説明させていただきます。3-13ページ目をおあけいただきたいと思います。1件寄せられておりますが、その考え方は3-14ページ目に書かれております。

いただいたご意見は、過去の調査会でいただいた内容と同じです。

今回の改正案では、使用が禁止されている食品添加物が製造者の判断で使用される可能性があることから、現行規格で規定されているリストを残すべきというご意見ですけれども、食品添加物の使用は食品衛生法で使用が認められていることが前提であり、それ以外のものを使う余地はありません。また、今回の改正で、食品添加物の使用はコーデックス規格に規定する食品添加物の利用の妥当性に当てはまる場合に限られます。コーデックス規格の原則の中には本当に製造上、必須なものだけを使いなさいという規定がございますので、このようなことを踏まえますと、今回の改正が食品添加物の使用拡大につながるとは考えづらいと、そのように考えております。

次に、食品添加物の情報伝達の方法として、使用した食品添加物の種類と品名を容器に表示する、容器に表示できない場合は包装に表示するなどの方法を追加してほしいという意見です。情報伝達の方法として幾つか規定しており、そこに追加ということでございますけれども、使用した食品添加物については加工食品品質表示基準の規定に従って、容器包装に表示することが既に義務づけられておりますので、あわせて規定するということは必要ないと考えています。

次に、食品添加物に関する情報伝達は、業務用製品についても利用者に伝達すべきであるというご意見です。業務用製品については相対取引が行われており、仕様書等で必要な情報伝達がされている実態がございますので、あえて規定はしておりません。ただし、任意でしていただくことは問題ありません。なお、一般消費者向けに販売される可能性のある製品については、消費者向けの製品と同じように情報伝達が必要であると、あくまでもここで言っているのは明らかに業務用で、消費者に渡らないものは除くと、そういう規定です。

これがパブコメの内容です。事前意図公告に関する意見は寄せられておりませんでした。

以上が改正案の説明でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

続きまして、原案作成委員会での議論の概要について原案作成委員会事務局から説明をお願いいたします。

原案作成委員会事務局(高崎)

それでは、説明させていただきます。

ウスターソース類の日本農林規格の確認等の原案作成委員会につきましては、田所忠弘東京聖栄大学健康栄養学部教授を委員長といたしまして、消費者の方、製造業者、流通業者等の各分野の代表の方14名の委員からなる合議体で、その事務局を独立行政法人農林水産消費安全技術センターが務めました。委員会につきましては平成25年6月24日に開催いたしまして、規格の位置づけと改正内容について審議を行いました。

まず、最初に規格の位置づけについてでございますが、当該規格の利用状況を踏まえ、生産、取引、または使用の際に一定のスタンダードとして機能しているということから、標準規格として位置づけることが適当と議決されました。

次に規格の改正でございますが、品目横断的な改正といたしまして、JAS規格の制定・見直しの基準に基づき、遵守義務のある規格等との関係整理及び食品添加物の使用が必要かつ最小限であることを消費者に伝えるとの観点から、食品添加物の基準の改正について検討を行いました。それから、異物の削除についても遵守義務のある規格等との関係整理の観点から検討を行いました。

この結果、異物につきましては食品衛生法で監視指導が行われている実態を踏まえると削除が適当であること、食品添加物の基準の改正については現行のポジティブリストの規定にかえて、コーデックスの食品添加物の使用に関する一般原則に則りまして、食品添加物の使用を必要かつ最小限とし、その使用目的等について消費者に対し、情報提供を行う旨の規定に改正することが適当と議決されました。

また、食品添加物の基準につきまして製造業者の委員の方から、ウスターソース類は、業界として従来からその使用量の削減に取り組んでいることから、既に食品添加物の使用の妥当性については対応しているという状況を考慮して、コーデックスの一般規格の3の2、食品添加物の使用の妥当性の部分に限定してでございますが、一定期間、適用を猶予すべきとの要望があり、これについて必要な措置を設けることが適当と議決されたところでございます。なお、個別規格についての改正事項はございませんでした。

以上でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、ウスターソース類の日本農林規格の改正案についてご質問やご意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。村瀬委員。

村瀬委員

最後にありました経過措置についての意見です。原案作成委員では、これまでもウスターソース類は食品添加物の削減の努力をしてきたというご発言があったということですが、コーデックスの新たな横断的な規格を設ける趣旨は、食品添加物を自由に使えるという趣旨では必ずしもなく、そういう削減の取り組みも含めてきちんと情報伝達するというような趣旨も含まれているというふうに捉えて、業界団体としてそれがJASの付加価値の向上に資すると判断されるのであれば、特に経過措置をせずとも、きちんとJASの認定機関を含めて、ポジティブリストの削減等もできるのではないかということが想定されますので、そういう意味合いからも経過措置はなるべく早目に、横断的な条文にしていただく方が良いと思います。

阿久澤会長

経過措置へのご意見ということですが、それに対して何かございましたら。

越野上席表示・規格専門官

貴重なご意見として賜りたいと思います。JAS規格では食品添加物を昭和40年代からポジティブリスト化し、その後、このうち何種以下と、このように今まで添加物の削減の努力をずっと重ねてきました。これからのコーデックスの運用につきましては、今まで減らしたものをベースとして、しっかりと情報伝達していくこととしております。ですから、当方としても業界の方に今回の改正の趣旨をご理解いただいて、なるべく附則をとれるように調整していきたいと思っておりますが、業界の方々のいろんなご意見もありますので、そこはバランスをとりながら、これからさせていただきたいと思っております。

以上でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

そのほかはございますでしょうか。どうぞ、夏目委員。

夏目委員

3-12の附則のところに経過措置というのがつけられているわけですけれども、最後に当分の間、なお従前の例によるというところが今、専門家からのご説明にありましたいろんなことを考えながら進めていくという、そういうことでございますか。

越野上席表示・規格専門官

そうでございます。

夏目委員

ありがとうございます。

阿久澤会長

ほかはございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、意見も出尽くしたということで、ウスターソース類の日本農林規格について原案どおり、改正するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長

異議はないようですので、その旨、報告させていただきます。

次に、植物性たん白の日本農林規格の見直しについて審議を行います。事務局から資料の説明をお願いいたします。

越野上席表示・規格専門官

参考資料の5ページ目をおあけください。これからご審議いただきます植物性たん白についてご説明させていただきたいと思います。

植物性たん白は、植物に含まれるたん白質を分離または濃縮した食品であり、主に加工食品の原材料として使用されております。原料は大豆と小麦で、粒状、粉末状、ペースト状、繊維状の形状があります。後ほど追加の説明を渡邉補佐からさせていただきます。

次に6ページ目をごらんください。JAS規格の概要と製造方法について説明させていただきます。JAS規格では形状や物理的性質の違いにより、粒状、粉末状、ペースト状、繊維状の4規格が定められております。そして、規格の内容でございますが、植物性たん白質含有率、粘度、粘ちょう度、かみごたえ等の基準が定められています。

次に右側の製造方法です。これは大豆を原料とした場合の製造方法ですが、大豆から油を抽出した脱脂大豆を原料といたしまして、これを酸またはアルコールにより洗浄して、糖分と灰分を除去したものが左側に書いております濃縮大豆たん白となります。次にエクストルーダーで組織加工したものが繊維状大豆たん白です。次に水抽出及び酸処理によってたん白質のみを分離精製したものが分離大豆たん白です。このように製法によってたん白質の種類が異なるということです。

続きまして、サンプルを用いて説明させていただきます。説明を渡邉補佐にお願いします。

渡邉表示・規格課課長補佐

それでは、お手元にお配りしたサンプルについてご説明いたします。配付したサンプルでございますけれども、これは一般社団法人日本植物蛋白食品協会様のご協力を得てご用意させていただいたもので、粒状大豆たん白、粉末状大豆たん白、粉末状小麦たん白でございます。粒状たん白でございますけれども、これはかみごたえとか焼き縮み防止等の目的で、ハンバーグ、ぎょうざあるいはメンチカツなどに使用されるものでございます。また、粉末状たん白でございますけれども、これは脂肪分離防止、保型性向上、食感改良の目的で、ソーセージ、かまぼこ、パン、麺などに使用されるものでございます。余りご家庭ではお使いになられないと思いますが、お持ち帰りいただいて何かお使いいただければ非常にありがたいと思っております。

以上でございます。

越野上席表示・規格専門官

ありがとうございました。

引き続き、規格調査の概要を説明させていただきます。本編の資料4-4ページ目をおあけください。

(3)品質の実態でございます。JAS品20件、非JAS品18件の調査を行いました。その結果、JAS品は全てJAS規格に適合しており、非JAS品4件について植物性たん白含有率、粒度、粘ちょう度、かみごたえがJAS規格の基準に適合していなかったということです。

次に、生産状況と格付状況ですけれども、4-5ページをおあけいただきたいと思います。(2)生産数量ですが、植物性たん白質の平成24年度の生産数量は4万4,650トンとなっています。先ほど原料として大豆と小麦があると説明させていただきましたが、表2は大豆由来の製品のほうが多いことを示しています。

次に(3)格付の状況です。平成24年度の格付数量は3万970トンです。格付率は平成22年度以降、約70%と高い格付率で推移しています。4-6ページ目の表4を見ていただきたいのですけれども、格付は粒状植物性たん白が最も多くなっています。

次に4-7ページ目の(4)規格の利用状況です。製造事業者12社のうち6社が認定事業者になっており、全ての工場が格付を行っています。認定の取得は顧客からの要望があり、JAS規格は一部の製造業者で社内基準や取引基準に活用されている実態があります。

次に取引の現況ですが、植物性たん白は全て業務用として、直接または卸業者を通じて食品事業者に取引が行われています。

使用の現況です。渡邉補佐のほうから説明がございましたが、粒状植物性たん白は、ひき肉状の形状及び食感を有していることから、主にかみごたえを改良するために冷凍食品やハンバーグ等の原料に使用されています。粉末状植物性たん白は、主に栄養強化剤のプロテインパウダーとして使用されています。又、ペースト状植物性たん白は主に結着材としてハム、ソーセージ、かまぼこなどに使用されております。繊維状たん白質ですが、脂肪分離の防止という機能がありますので、ソーセージなどに使用されている実態があります。

次に5の将来の見通しです。生産数量は約4万5,000トン、格付率は70%で推移しておりますので、今後も同程度の傾向が続くと見込んでいます。

次に改正案の概要です。4-8ページ目をごらんください。規格の位置づけについては、規格が利用されている実態がございますので、引き続き標準規格として位置付けることといたします。改正案の概要ですが、食品添加物の改正、異物の削除、植物性たん白質含有率の測定方法の改正です。食品添加物と異物の改正につきましては、先ほど説明させていただいた内容と同じですので、説明は省略させていただきます。

植物性たん白質含有量の測定方法の改正ですが、4-19ページ目の新旧対照表をごらんください。ここに植物性たん白質含有率の測定方法が定められています。従来はケルダール法のみが規定されていましたが、新たに燃焼法を追加するものです。

具体的な規定の内容でございますが、4-22ページ目をごらんください。現行のケルダール法は、たん白質を硫酸で分解し、硫安にして測定するものですが、測定に約3時間かかります。

燃焼法は薬品を使用しないで、分析時間も約10分程度で済むというメリットがありますので、事業者の要望を踏まえて今回、追加をしております。この方法は既にマカロニ、乾燥スープ、ハム類、そして、風味調味料で採用されており、同様の規定ぶりとなっております。そして、妥当性については、独立行政法人農林水産消費安全技術センターが確認しています。

改正内容は以上でございます。

パブリックコメントですが、4-25ページ目をおあけください。パブリックコメント期間中に1件のご意見をいただきましたが、改正案に関するものではなく、今後の参考とさせていただきたいと思っております。なお、事前意図公告によるコメントはございませんでした。

以上で農林水産省からの説明を終わらせていただきます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、次に原案作成委員会での議論の概要について原案作成委員会事務局から説明をお願いいたします。

原案作成委員会事務局(高崎)

それでは、説明させていただきます。

植物性たん白の日本農林規格の確認等の原案作成委員会は、田所忠弘東京聖栄大学健康栄養学部管理栄養学科教授を委員長といたしまして、製造業者、使用者等の各分野の代表の方11名の委員からなる合議体で、その事務局を独立行政法人農林水産消費安全技術センターが務めました。委員会は平成25年10月21日に開催いたしまして、規格の位置づけと改正内容の審議を行いました。

その結果、規格の位置づけにつきましては、当該規格の利用状況を踏まえ、生産、取引、または使用の際に一定のスタンダードとして機能しており、標準規格として位置づけることが適当と議決されました。

次に規格の改正でございます。まず、品目横断的な改正といたしまして、JAS規格の制定・見直しの基準に基づき、遵守義務のある規格等との関係整理の観点から異物の削除、そして食品添加物の基準の改正について検討を行いました。

この結果、異物につきましては食品衛生法で監視指導が行われているという実態を踏まえると削除が適当であること、食品添加物の基準の改正につきましては現行のポジティブリストの規定にかえまして、コーデックスの食品添加物の使用に関する一般原則に則りまして、食品添加物の使用を必要かつ最小限とする改正が適当と議決されました。

個別の規格の改正でございますが、植物性たん白質含有率の測定方法につきまして、燃焼法の追加について検討を行いました。その結果、妥当性確認共同試験において十分な方法であり、現行のケルダール法との測定結果の補正に関する妥当性も確認されたということから、追加することが適当と議決されました。

以上でございます。

阿久澤会長

ありがとうございました。

それでは、植物性たん白の日本農林規格の改正案についてご質問やご意見はございますでしょうか。近崎委員、どうぞ。

近崎委員

すみません、一般主婦の近崎ですけれども、資料の4-6ページ目の繊維状植物性たん白というところで、生産量が22年度と24年度と比べると、10倍にふえている割には格付率が0ということはどうしてなのかなという、格付が全然ないということはどういうような状態になっているのかということを教えていただきたいのと、今、資料としていただいた粉末状大豆たん白の裏側の特徴のところを見ると、血中脂質の改善とか、特にコレステロール改善の作用が臨床の場でも広く認められるというふうに書いてあることを見ると、一般の小売でも健康志向の中で、特保なんかもすごく言われている中で、もっと一般市場で売られてもいいような気がするんですけれども、そのあたりは何かほとんど業者間の取引だけになっているということなんですけれども、そのあたりのことを教えていただきたいなと思います。

阿久澤会長

2点、生産量と格付率と、それと、なぜ市販されていないのかということかと思いますが、お願いいたします。

渡邉表示・規格課課長補佐

繊維状植物性たん白でございますが、生産量が非常に減ってきていて、24年だけぽんと出ている状況ですけれども、生産が減ってきている状況というのは、繊維状植たん白自体は冷凍状態で取引されるために、非常に重量が重くなって流通にコストがかかるというようなことから、取扱量が減少してきたということでございます。ただ、24年度にぽんと上がっている理由というのは、把握していないところでございます。

また、格付数量につきましては、生産量の減少から格付がされなくなったというふうに理解しておりますが、24年度の増加に伴って格付がなかった理由というのは、調べてございません。

それと、粉末状たん白について市販がないのかということでございますけれども、プロテインパウダーという形で市販されている実態はございます。ただ、大豆たん白単体で売られているというのは、業務用の取引の状況だけでございまして、いろんなものをまぜてプロテインパウダーとして売られているという状況でございます。

阿久澤会長

ありがとうございます。

お願いいたします。

原案作成委員会事務局(高崎)

若干の補足ですが、繊維状植物性たん白の生産数量ですけれども、24年度441トンに増加した状況を業界関係者に確認いたしましたところ、実需者から試作的な形でとの発注があったということで、この数字になっていると聞いているところでございます。

格付につきましても、資料4-6ページ目は22年度からの数字ですが、21年度までは格付の実績もありました。植物性たん白は、業務用の性格を持っており、実需者からの注文に応じて製造するということもあり、ここらあたりは今後も、どういうふうな形で変動といいますか、動きもあり得るのだろうとは思います。

すみません、以上です。

阿久澤会長

ありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。

そのほかにご意見等がございませんようですので、植物性たん白の日本農林規格について原案どおり、改正するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長

異議はないようですので、その旨、報告させていただきます。

それでは、ここで議題(1)の審議結果について確認させていただきます。報告案の配付をお願いします。

(調査会の報告書案を配付)

阿久澤会長

お配りした報告案はいずれも原案のとおりとなっておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長

それでは、報告案の「案」、ここを削除して報告することといたします。

続きまして、議題(2)のその他になりますが、事務局から何かございますか。

越野上席表示・規格専門官

特段ございません。

阿久澤会長

ありがとうございました。

以上で本日の全ての議題が終了いたしました。円滑な議事進行にご協力いただきまして、ありがとうございました。議事進行を事務局にお返しいたします。

越野上席表示・規格専門官

本日は長時間にわたりご審議いただき、ありがとうございました。ご審議いただきました日本農林規格につきましては、速やかに告示ができるよう、所要の手続を行ってまいります。

以上をもちまして、農林物資規格調査会を閉会いたします。

ありがとうございました。

お問合せ先

食料産業局食品製造課食品規格室

担当:規格専門官
代表:03-3502-8111(内線4357)
ダイヤルイン:03-6744-7182

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