農林物資規格調査会議事録(平成27年9月8日開催)
更新日:平成27年10月15日
担当:食料産業局食品製造課
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1.日時及び場所
日時:平成27年9月8日(火曜日)15時00分~17時28分
場所:農林水産省第2特別会議室
2.議題
(1)日本農林規格の見直しについて
しょうゆの日本農林規格
有機農産物の日本農林規格
(2)食品表示基準の施行に伴う日本農林規格の見直しについて
食用植物油脂の日本農林規格等32規格
(3)その他
3.議事内容
高崎上席表示・規格専門官
それでは定刻となりましたので、ただいまから農林物質規格調査会を開催させていただきます。
私、事務局を務めさせていただきます高崎と申します。よろしくお願いいたします。
本日は委員の皆様方お忙しい中、また、雨という足元の悪い中ご参集いただきまして、ありがとうございます。本日の調査会でございますけれども、8月17日に委員が改選されてから初めての調査会となります。会長が選任されるまでの間、私のほうでこの会を進行させていただきたいと思います。
初めに、事務局から委員の皆様方のご紹介だけさせていただきたいと思います。お手元の資料を1枚めくっていただきますと、委員名簿がございます。五十音順で記載しておりますので、この順番でご紹介させていただきたいと思います。
まず、秋山委員でございます。
秋山委員
よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
阿久澤委員でございます。
阿久澤委員
阿久澤でございます。よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
井上委員でございます。
井上委員
井上でございます。よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
上田委員でございます。
上田委員
上田です。よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
小倉委員でございます。
小倉委員
小倉です。よろしくお願いします。
高崎上席表示・規格専門官
岸委員でございます。
岸委員
岸でございます。よろしくお願いします。
高崎上席表示・規格専門官
清水委員でございます。
清水委員
どうぞよろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
清野委員でございます。
清野委員
清野です。よろしくお願いします。
高崎上席表示・規格専門官
大道委員でございます。
大道委員
よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
高増委員でございます。
高増委員
よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
夏目委員でございます。
夏目委員
よろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
丸山委員でございます。
丸山委員
よろしくお願いします。
高崎上席表示・規格専門官
村瀬委員でございます。
村瀬委員
村瀬です。よろしくお願いします。
高崎上席表示・規格専門官
森光委員でございます。
森光委員
森光です。どうぞよろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
山根委員でございます。
山根委員
どうぞよろしくお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
本日は15名の委員の方、全てご出席いただいておりますので、農林物資規格調査会令第6条第1項の規定に基づきまして、この調査会は成立しております。
なお、本調査会でございますけれども、農林物資規格調査会運営規程第6条第1項の規定に基づきまして、公開となってございます。事前に本日の傍聴を希望される方を公募で募ったところ、19名の応募がございまして、本日傍聴されているところでございます。
それと、本日出席予定でございました当省の永山審議官でございますが、急遽欠席ということになっております。申しわけございませんが、よろしくお願いします。
それでは、初めに農林物資規格調査会令第4条第1項の規定に基づきまして、本調査会の会長を委員の皆様方の互選により決めさせていただきたいと思います。どなたかご推薦ありますでしょうか。
夏目委員、よろしくお願いします。
夏目委員
阿久澤委員を会長に推薦させていただきたいと考えます。その理由でございますけれども、JAS規格に幅広い知見をお持ちの専門家でいらっしゃいますことと、これまでJAS調査会の会長としてこの会の運営に意欲的に取り組まれ、この調査会をまとめられる力量をお持ちであるというふうに考えております。
以上の理由から、阿久澤委員を会長に推薦させていただきます。よろしくお願いします。
高崎上席表示・規格専門官
ありがとうございます。ただいま夏目委員から阿久澤委員を会長にというご推薦がありました。皆様方、よろしいでございましょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
高崎上席表示・規格専門官
ありがとうございます。それでは、異議なしということで阿久澤委員が会長に選出されました。
恐縮でございます。阿久澤先生、こちらの会長席にご移動いただきたいと思います。
それと、本日の審議の中で原案作成委員会の議論の概要についても報告させていただくことから、原案作成委員会の事務局を務めました独立行政法人農林水産消費安全技術センターの出島商品調査課長が出席されておりますことを報告させていただきます。
それでは、調査会運営規程に基づきまして、以後の議事進行につきましては、阿久澤会長にお願いしたいと思います。阿久澤会長、よろしくお願いいたします。
阿久澤会長
阿久澤でございます。ただいま推薦いただきましたが、微力ではございますけれども、精いっぱい務めさせていただきますので、皆様方におかれましては、円滑な議事進行にご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、議事次第に基づきまして、永山審議官にご挨拶というところですけれども、本日ご欠席ということで、相本表示・規格課長からご挨拶をお願いいたします。
相本表示・規格課長
消費・安全局表示・規格課長の相本でございます。
このたびは農林物資規格調査会の委員をお引き受けいただくととともに、ご多用の中ご出席いただきまして、まことに厚く御礼を申し上げます。
この日本農林規格、いわゆるJAS規格でございますけれども、本日これからご審議いただくしょうゆなど、生活に身近な多くの飲食料品に加えまして、製材、合板などの木質建材等について制定されているところでございます。これらのJAS規格に関しましては、社会的なニーズなどの変化に対応するため、5年ごとにその見直しを行うというルールで運用しているところでございます。
また、皆様方にご就任いただきました農林物資規格調査会におきましては、このJAS規格の見直しに加えまして、新たな消費者ニーズに基づきました規格の制定についても今後ご審議をいただくということになっております。それから、この農林物資規格調査会でございますけれども、従来の委員は12名でございましたが、今回からは3名増えまして15名ということになっております。これは新たな消費者のニーズなどを踏まえたJAS規格の検討に対応していくということで、学識経験者、事業者、消費者の各代表の委員の人数を増員しているところでございます。今後、皆様方の学識、ご経験を踏まえまして、より幅広い観点からのご審議がいただけるようよろしくお願い申し上げます。
また、先ほど会長に選出されました阿久澤委員におかれましては、引き続き会長の任をお願いすることとなります。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、本日のご審議いただく内容でございますけれども、日本農林規格の見直しといたしまして、しょうゆ及び有機農産物の2規格、それから、本年の4月に施行されました食品表示基準の施行に伴います日本農林規格の見直しとして、食用植物油脂等32規格でございます。委員の皆様方におかれましては、ご審議に当たりまして、それぞれのお立場から忌憚のないご意見を賜れればというお願いを申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。
なお、最後に農林水産省の組織の見直しに伴いまして、本年10月1日付でこの農林物資規格調査会の事務局担当がこれまでの消費・安全局から食料産業局に移管されるということになっております。担当部局は変更になるということでございますけれども、JAS規格の役割あるいは当調査会におきますご審議の進め方などについては、従来どおり変わることなくしっかりやらせていただくということでございますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
阿久澤会長
どうもありがとうございました。
それでは、議題に入る前に農林物資規格調査会令第4条第3項に基づきまして、会長代理を指名したいと思います。会長代理は会長が指名するということになっておりますので、私から森光委員に会長代理をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、本日の調査会の議事録署名人の指名を行います。
農林物資規格調査会運営規程第7条第1項により会長が指名することになっておりますので、今回は秋山委員と小倉委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、事務局から資料の確認及び議事内容の公表について説明をお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
それでは、座って説明させていただきたいと思います。
配付資料について確認させていただきたいと思います。本日お配りしている資料でございますけれども、一番上に議事次第、次に委員名簿、それから、資料1といたしまして、日本農林規格の改正についてしょうゆ、それから、資料2ということで、日本農林規格の改正について有機農産物、資料3といたしまして、食品表示基準の施行に伴う日本農林規格の改正ということで、食用植物油脂等32規格でございます。
それから、あわせて机上配付として3種類の資料を用意させていただいております。まず、机上配付資料1ということでA4横紙の農林物資規格調査会参考資料がございます。それとしょうゆの原案作成関係の資料と有機農産物の原案作成関係の資料、この3種類を机上配付ということで用意させていただきました。資料に過不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
それから、本日の議事内容でございますが、ご発言いただいた方々のお名前を明記の上、後日、農林水産省のホームページで公表したいと思います。あらかじめご承知おきをいただければと思います。
以上でございます。
阿久澤会長
ありがとうございました。JAS調査会では、これまでも資料4のJAS規格の制定・見直しの基準を踏まえて審議いただいているところです。本日は委員改選後初めての調査会ということから、事務局からこのJAS規格の制定・見直しの基準について説明をお願いしたいと思います。
高崎上席表示・規格専門官
すみません。ちょっと順番が逆になるんですけれども、資料4、一番最後のもの、1枚紙でございます。ごらんいただければと思います。
資料4につきましては、平成24年2月24日の農林物資規格調査会の決定事項ということでございまして、JAS規格の制定とか見直しの審議に当たってのガイドラインとしての決定事項です。これまでもこの基準を踏まえてご審議いただいておりまして、今後もこの基準を踏まえてと考えているところでございます。
簡単に内容を説明いたしますと、まず、A.の1の規格の性格の明確化というところがございます。これは生産状況とか規格の利用実態、JASの格付率とか事業者の間の取引関係で使われているとか、メーカーの中で社内の基準として使われているとか、そういった利用実態も含めて、それから、国際的な動向等を勘案した上でJAS規格の性格をまず位置づけましょう、明確化しましょうということで2つございます。1つは特色規格。これは標準的なものに比べて相当程度明確化された特色があるもの。それから標準規格。これは生産、取引、使用、こういった際に一定のスタンダードとして機能しているといったようなもの。こういった2つの性格について明確化するということでございます。
その上で、この資料4の2ページ目、裏側でございますけれども、改正に当たっての基準ということでございます。改正に当たっての基準ということで、見直しに当たっての検討につきましては、消費者向けの規格、これについては良質な製品を提供する観点あるいは消費者ニーズに対応した製品を提供する観点、こういった観点からご検討いただくと。実需者向けの規格につきましては、性能規格化あるいは等級化、こういった取引の合理化を図る観点、また、実需者に対して良質な製品を提供する観点、こういった観点からご検討いただくといったようなことを内容にしているところでございます。
以上でございます。
阿久澤会長
ありがとうございました。
それでは、調査会に当たっては、このJAS規格の制定・見直しの基準に基づいて審議いただくということでよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
それでは、これから議題の(1)日本農林規格の見直しについて審議を始めます。
しょうゆの日本農林規格の改正について、事務局から資料の説明をお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
それでは、しょうゆの見直しについてご説明をさせていただきます。
このしょうゆの日本農林規格、JAS規格の改正につきましては、お配りしました資料1、これとA4横紙の机上配付資料1をもってご説明したいと思います。また、しょうゆを担当しております当課の課長補佐でございます牟田についても、今後質疑に対応させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず資料1の1ページ、2ページをごらんいただければと思います。
これは今回の議題になっております日本農林規格の改正についての諮問文でございます。該当部分を読ませていただきますと、日本農林規格の改正について(諮問)でございます。下記1から33までに掲げる日本農林規格の改正を行う必要があるので、農林物資の規格化等に関する法律第9条において準用する第7条第5項の規定に基づき、貴調査会の議決を求めるということで、記としてずらっと1から33までございます。この時間にご審議いただくものは、この資料1の2ページ目の25番に丸、下線を引いてございます、しょうゆの日本農林規格でございます。
具体的な今回の改正内容でございますが、この資料1の3ページ目に概要を書いてございます。改正を行おうとしている内容につきましては、この2の内容に書いてございますけれども、現在の製造実態等々を踏まえまして、こいくちしょうゆの特級及び上級、この色度の基準を改正するというものです。具体的には、火入れによる殺菌処理と同等の処理をしたしょうゆ、いわゆる生しょうゆというものでございます。これの色度の基準について追加規定するといったようなことを内容としています。
それでは、今度は資料1から離れまして、机上配付させていただきましたA4横紙の机上配布資料1をご覧いただければと思います。
1枚めくっていただいて、1ページ目でございます。
しょうゆ全体のお話ということで、書いてあるとおり、しょうゆは大豆、小麦、それと食塩、これを主な原料といたしまして麹菌等々で発酵、熟成させた液体調味料ということで、原料の配合割合とか醸造工程、この違いによっていろいろなしょうゆがあるということでございます。JASの規格の中では、こいくちしょうゆ、うすくちしょうゆ、たまりしょうゆ、さいしこみしょうゆ、しろしょうゆ、この5つについて規格が定められているということです。この中で生産割合を見ていただくと、こいくちしょうゆが約84.1%、85%ぐらいということで大半のシェアを占めている一番多いしょうゆです。こいくちしょうゆにつきましては、全国的に生産されているのですが、それでもやっぱりそれぞれ地域差があって、例えば九州地方のしょうゆは通常甘い傾向にあるとか、そういった地域性があると言われております。うすくち等につきましても、それぞれ特徴があったり地域性があったりというところでございます。
2ページ目をごらんいただきますと、これはしょうゆの主な製造工程ということでございます。この図、フローに書いてございますとおり、蒸煮した大豆と焙煎した小麦を混ぜて、それに麹菌、種麹を加えしょうゆ麹をつくった上で、食塩水で仕込みます。仕込んだもの、これをもろみと言いますが、このもろみを一定期間発酵、熟成させて醸造する。醸造が終わった段階で絞ります。そこで出てきた絞った液、これを生揚げと申します。この生揚げにつきましては、まだ発酵過程の中で酵母とか乳酸菌とかいろいろな発酵微生物がまだ生きている。また、発酵過程で出てきた酵素、こういったものもまだ活動しているということでして、そういった働きをとめるということで、通常はここに書いてございます火入れを行います。要は加熱でございます。熱を加えて、こういった微生物等の働きをとめて、発酵、熟成を終わらせるということでございます。その上で製品化する、これが通常のしょうゆでございまして、火入れしょうゆということです。
これに対しまして、加熱するかわりに、火入れするかわりに膜で発酵微生物を除去する、そうした上で製品化する、これがいわゆる生しょうゆというものでございます。この生しょうゆにつきましては、加熱されない、熱が加わらないということから、一般的に申し上げますと、通常のしょうゆに比べて色は薄くなる傾向があります。また、火入れしょうゆとはまた違った鮮やかな色あるいは穏やかな風味、こういったものを有しているという特徴を持っていると言われています。
こういった生しょうゆは、最近、生産数量が増えているということもあり、次の3ページ目をごらんいただければと思います。
これが今回の改正内容とその理由でございます。改正理由に書いてございますけれども、先ほど申し上げたとおり、生しょうゆというのは最近、生産が増えてきていると。開封後も空気が入らないような気密性の高い容器が開発されて品質が維持されやすい、保持されやすいといったようなことで、特に近年広く販売されてきているという状況がございます。
しかしながら、先ほど申し上げたとおり、生しょうゆは通常のしょうゆに比べると色がつきにくいといった傾向がございまして、こいくちしょうゆにつきましては、一定程度よりも色が濃くなければいけないというJASの規格があるのですが、生しょうゆにつきましては、こいくちしょうゆの色度の基準をクリアできないものが多くなってきていると。ほかの色度以外の品質については全然問題ない、クリアしているといったような状況でございまして、今回色がネックになってJAS格付が進まないといったようなものにつきましても、JASの規格、格付が可能となるように色度についての基準を見直して、JAS製品の品揃えを豊富にする。JAS品の品揃えが豊富になれば消費者の方もJAS品を選ぶ選択肢が増えるということで消費者の利益につながる、こういったことが期待できるのではないかということです。改正点は上に書いてございますけれども、こいくちしょうゆの特級と上級、これについて生しょうゆ、生しょうゆというのは火入れを行わず、火入れの殺菌処理と同等な処理を行ったものですが、これの色度の基準について22番未満というものを追加する。現行では18番未満という基準でございます。
4ページ目をごらんいただくと、これはしょうゆのJAS規格でございます。
しょうゆのJAS規格の中のこいくちしょうゆでございますけれども、左側に書いてございますとおり、等級としては特級、上級、標準、3つの等級区分があります。成分値として、色度という基準がございます。この4ページの左側の表を見ていただくと、色度につきましては、等級にかかわらず18番未満となっています。この18番というのは、この4ページの右側のしょうゆの色がついている絵がございますけれども、これで18と書いてあるところ、この色よりも濃いという内容です。こいくちしょうゆにつきましては、この18番の色よりも濃いのが規格基準になっているところです。先ほど来、申し上げておりますとおり、生しょうゆについては色がなかなか出にくいものがある、そういった傾向があるということで、今回の改正案は、こいくちしょうゆの生で特級と上級に限ってということなんですけれども、現行の18番未満という基準に22番未満という基準を追加する、例外的に追加するという内容でございます。
以上が今回の改正の概要でございまして、ちょっとここで、こいくちしょうゆにつきまして火入れのしょうゆと生しょうゆの実際を比較をしていただければと思いまして用意していますので、皆さんちょっと申しわけございません。お立ちになって、そちらのテーブルのほうに生と火入れしょうゆ、見比べていただければと思います。
牟田表示・規格課課長補佐
大変お手数ではございますが、せっかく1種類ずつ通常のもの、要は火入れしょうゆしたものと火入れしていない生しょうゆをご用意しましたので、比較して見ていただければというふうに考えております。
高崎上席表示・規格専門官
どうもありがとうございました。いかがだったでしょうか。生と火入れ、通常のしょうゆの比較ということでございます。
それでは、すみません。また今度は資料1に戻っていただきまして、資料1の4ページ目以降をごらんいただければと思います。
この4ページ目からこいくちしょうゆのJAS規格、規格調査結果の概要ということで、今回のターゲットとしております、こいくち生を中心にということで書いてございます。
ここの1の品質の現況の(2)の生しょうゆを見ていただくと、生しょうゆについて、これは最近出てきたものというわけではございませんで、昭和50年代から生産は開始されていると言われているところです。先ほど容器の開発と申し上げましたけれども、生しょうゆに限らず、しょうゆにつきましては、空気と触れますと、どうしても酸化して色が濃くなったり風味が落ちたり、そういった品質が劣化していくといったようなことがございます。最近、開封した後も空気に触れないといったような容器が開発され、品質の劣化が防げるというか、鮮度が保てるというか、そういったようなこともあり、特に生しょうゆについては生産が広がってきているという状況でございます。
それと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、生しょうゆにつきましては、熱が加わらないということで、一般のしょうゆに比べて色的にも鮮やかな色になっているといったようなこと、また、風味的にも穏やかな風味を有しているという特徴があると言われております。特に色につきましては、しょうゆの色、これはしょうゆ成分中のたんぱく質とでん粉、糖質が反応して色がついていくということなんですが、熱が加わるとそれが促進されることもありまして、通常火入れしょうゆに比べると、生の場合は色が進みにくい、色がつきにくいといったような傾向があるようです。
では火入れしょうゆ、通常のしょうゆですが、火入れ自体は最初申し上げたとおり、発酵微生物あるいは酵素、こういったものの活動をとめるといったようなことを申し上げましたけれども、それ以外にも例えば醸造過程で生成した微量成分に熱が加わることによって成分がちょっと変化いたしまして、いわゆる火入れ香と言われるような独特の香味といったようなものに変化したりするとも言われております。また、加熱することで色の調整が生のしょうゆに比べるとしやすくなるといったようなこと、あともう一つ、加熱してしばらくの間置いておくと、しょうゆのおりと言われるものが下に沈殿していきます。これはタンパク質などが変性して沈殿するものが多いようなんですけれども、そのおりを除去することによって清澄度が高くなる、向上するといったような、そういった目的もあるようです。
そういったことで、生しょうゆと火入れしょうゆは品質的にどちらが高いのか、優劣があるのかといったようなことになりますと、生しょうゆには生しょうゆの特徴、火入れしょうゆには火入れしょうゆの特徴ということで、どちらを好むのかという嗜好的な部分が強いのではないのかと言えるようです。
それから、この資料1の次、6ページをちょっとごらんいただければと思います。
この6ページの表1にしょうゆの主な品質項目ということで、うすくち、たまり、さいしこみ、しろも含めた規格基準が書いてございます。この中で色度については、こいくちは18番未満、同じくたまりしょうゆ、さいしこみしょうゆ、こういったものも18番未満になっております。一方、うすくちしょうゆにつきましては、これは等級によって違っておりまして、うすくちしょうゆの特級と上級、これについては22番以上、22番という色よりも薄いということです。それから、同じうすくちしょうゆの標準につきましては、18番以上となっております。一番下のしろしょうゆを見ていただくと、それよりももっと薄い46番以上ということで、これはふだん見ているしょうゆの色とはまた違う琥珀色みたいな、そういった色調を帯びているということでございます。
今回の改正案ですが、こいくちの特級と上級、この2つについて生しょうゆの場合、色度の基準を見直そうということで、こいくちの標準については、見直しは行わないということとしております。これにつきましては、こいくちの標準についても同じく22番未満とした場合、うすくちしょうゆの標準の規格値を比べていただくと、生の場合、うすくちの標準とこいくちの標準の基準値がバッティングすると。うすくちの方がこいくちよりも色が濃い基準になってしまうといったようなこともありまして、今回見直しを行わないということです。
それから、続きまして、7ページをごらんいただければと思います。
これは今回の見直しに当たりまして、こいくちの生しょうゆの品質が実際どうなっているのかといったことを調べた結果でございます。今回、JASマークのついたこいくちの生しょうゆについては8件、特級品なんですけれども、それとJASマークがついていないもの、非JAS品として46件を調査いたしました。
その結果ですが、JASマークがついた8件につきましては、いずれも当然といえば当然なんですけれども、特級の基準値をクリアしているということでございます。一方、非JAS品、JASマークがついていない46件につきましては、全窒素分、無塩可溶性固形分につきましては、いずれも特級もしくは上級の基準値を全てクリアしておりましたが、色度につきましては46件中13件が基準をクリアしていなかったと、要は18番よりも薄い色だったということでございます。
ちなみにこの46件中、全窒素分については42件が特級の基準値を、4件が上級の基準値をクリアしており、無塩可溶性固形分につきましては、46件全てが特級の基準値をクリアしていました。端的に言えば、今回調査したこいくちの生しょうゆでは、色度以外はJASの基準値をクリアしているという状況であったということです。
それともう一つ、色度について今回調査した生しょうゆ、JAS品も含めて56件と通常のこいくちの火入れしょうゆの色度の比較ということで、図3に書いてあるものでございます。色のついているものが通常品で、火入れしょうゆの色度の分布でございます。色のついていないほうがこいくちの生しょうゆでございまして、通常品は以前に規格調査の中で行った結果をもってきております。この分布を見ていただくと、こいくち生しょうゆは先ほど、18番より薄いものが13件あったと申しましたけれども、全体的に通常品よりも色が薄い方向に広く分布しているのではないかといったようなところが見受けられました。
なお、色度以外の全窒素分とか無塩可溶性固形分、この数値につきましては、火入れしょうゆと今回の生しょうゆ、この数値の間に特段の差というのは認められなかったということです。これが今回の品質実態の調査結果の概要です。
それから、8ページをごらんいただければと思います。
これは生産の現況ということでございますけれども、表2はしょうゆ全体の出荷数量の推移なんですが、生しょうゆにつきましては統計データがございません。正確な数字は不明ということになるんですけれども、業界団体の推計によると、平成26年のこいくちの生しょうゆの出荷数量が1万1,664キロリットルということです。これは表2に書いてございますけれども、平成25年の出荷数量ですが、こいくちしょうゆの66万7,000キロリットルと比較しますと、生は2%弱ということで、シェア自体はまだまだ小さいという状況があるようでございます。
それから、格付の状況なんですけれども、同じ8ページの(2)の格付状況の中に書いてございます。平成25年度のこいくちの生しょうゆの格付数量は292キロリットルでございます。先ほどのこいくち生しょうゆの出荷推定数量を分母といたしまして格付率を出すと約3%ということです。
ちょっと次の9ページ目の表3あるいは表4を見ていただくと、こいくちの格付率を見ていただくと、大体60%ぐらいで推移していると。この60%と比べると、生のしょうゆの場合の3%というのは差が歴然でございまして、やっぱりこれは、色度の基準のハードルがなかなか高いというのが要因の一つではないかと考えられます。
なお、こいくちの生しょうゆを製造したメーカーは37社ということなんですが、そのうち31社がJASの認定をとっている認定事業者であったということです。
それと、将来の見通しでございます。10ページ目の5に書いてございますが、そもそも今回の改正につきましては、業界団体から改正の要望があったということがございます。ちょっと繰り返しになりますけれども、生しょうゆの生産が増加している中で、色がネックになって格付ができないものが多いという状況にあるということ、事業者としても消費者の多様なニーズに応えられるように、生しょうゆにつきましても、JASの格付をしてJAS品の品揃えを豊富にしたいという意向があるということ、消費者にとってもJAS品のラインナップが増えれば商品の選択の幅が広がる、ひいては消費者利益にもつながるのではないかといったようなこと、そういったことを背景といたしまして要望があったということでございます。
したがいまして、今回の改正を踏まえれば、今後の見通しといたしましては、生しょうゆの格付は多分大きく増えるだろうと思われます。しかしながら、生しょうゆ自体を見た場合、しょうゆ全体に占めるこいくち生の比率というのはまだまだ小さいということですので、しょうゆ全体の格付率に与える影響というのは、当面はさほど大きくはないんじゃないかと思われます。
続きまして、資料1の11ページ目をごらんいただければと思います。
これはしょうゆのJAS規格の改正案の概要ということで、1で規格の位置づけがございます。しょうゆの規格の位置づけにつきましては、従前からそうであったんですが、今回も標準規格として位置づけられるのではないかということでございます。
それから、改正案の概要は、繰り返しになりますけれども、色度についてこいくちしょうゆの特級と上級の場合は、生しょうゆの色度について新たに追加する、具体的には18番未満から22番未満にするというものです。あわせて、しょうゆの色度の標準色について、引用しているJISの規格の番号が変更したこともあり、今回それもあわせて修正するということでございまして、具体的には12ページ目以降の新旧対照表で見ていただければと思います。
この新旧対照表、左側が改正案、右側が現行の規定ということになっております。13ページを見ていただくと、第3条のこいくちしょうゆの規格の色度について、右側の現行の規格基準は、しょうゆの標準色が18番未満であることとなっております。これの左側を見ていただきますと、特級の色度は同じ18番未満であることとなっているんですが、その下にただし書きで、火入れを行わず、火入れの殺菌処理と同等な処理を行ったものにあっては、22番未満とするということです。上級の場合も同左、特級と同じです。標準については、従前どおり18番未満ということでございます。
以上が今回のしょうゆの改正でございまして、今後法令的な観点からこの改正案につきまして字句の修正があり得るということをこの場であらかじめご承知おきをいただければと思います。
最後にパブリックコメントの状況でございますが、24ページ目に書いてございますとおり、今回のこのしょうゆの見直しに関しましてパブリックコメントと事前意図公告によるコメント、いずれも意見等はございませんでした。
以上でございます。
阿久澤会長
ありがとうございました。現物のしょうゆの色度を見たり、あるいは食味をしたりということで実際がよくわかった説明だったかと思います。
次に、原案作成委員会での議論の概要につきまして、原案作成委員会事務局から説明をお願いいたします。
原案作成委員会事務局(出島)
原案作成委員会の事務局を務めました、農林水産消費安全技術センター規格検査部の出島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私から原案作成委員会での議論の概要についてご説明をさせていただきます。
しょうゆの日本農林規格の確認等の原案作成委員会は、田所忠弘東京聖栄大学健康栄養学部長を委員長として、消費者、製造業者、使用者、中立者等の各分野の代表13名の委員からなる合議体で、その事務局を独立行政法人農林水産消費安全技術センター、FAMICが務めました。委員会は平成27年5月8日に開催し、規格の位置づけの明確化と具体的な改正内容の審議を行いました。
その結果、まず規格の位置づけについてでございますが、しょうゆにつきましては、平成25年に開催されたしょうゆの日本農林規格の原案作成委員会において当該規格の利用状況を踏まえ、生産、取引または使用の際に一定のスタンダードとして機能しており、標準規格として位置づけることが適当と議決されました。今回の原案作成委員会においても、規格の位置づけの議論を行った結果、しょうゆの品質、生産、取引、使用または消費の現況について、2年弱の期間しか経過していないこともあり、特段大きな変化は認められないことから、引き続き標準規格として位置づけられました。
次に、規格の改正の内容についてでございますが、まず1点目としまして、こいくちしょうゆの一部について火入れ工程を経ずにそれと同等の処理を行ったもの、通称こいくち生しょうゆと呼ばれている製品が流通しております。このしょうゆの特徴として、火入れによる加熱処理がなされていないことから、通常のこいくちしょうゆより色が薄くなる傾向があるところです。一方、現行のJAS規格では、こいくち生しょうゆはあくまでこいくちしょうゆであり、現行のこいくちしょうゆの色度の基準が適用され、その基準を満たすことが困難な場合があり、JAS格付できないケースが存在します。この状況に対応するため、現行のJAS規格のこいくちしょうゆのうち、火入れ工程を経ないこいくち生しょうゆについて新たな色度の基準を追加することの検討を行いました。
改正に当たっての考え方でございますけれども、現行の製品について色度の基準でこいくちしょうゆのJAS格付ができなかったものについて格付が可能となり格付率が向上する、JASマークの付された通常のこいくちしょうゆと同じく、マークの付されたこいくち生しょうゆの2種類の製品が流通することによりJAS格付品の商品バリエーションがふえることから、「消費者の商品の選択に資することができる」の観点から議論を行いました。
議論の結果、こいくちしょうゆのうち特級及び上級のものについては、生しょうゆとして色度の基準、22番未満を追加する。その場合、標準については色度の基準の追加は行わない。さらに、しょうゆの標準色を規定するJISコードが8729から8781-4に変更されたことに対応した改正をすることが適当と議決されました。
以上です。
阿久澤会長
ありがとうございました。
それでは、しょうゆの日本農林規格の改正案について、どなたかご質問やご意見等ございましたらお願いいたします。
どうぞ、丸山委員。
丸山委員
丸山です。私はJASの専門ではないので、ちょっと質問になります。既に原案作成委員会で専門家の方が議論なさっていますので、解決済みのことかと思いますけれども、ちょっとわからないことが1点あるのがしょうゆの格付の検査の頻度とタイミングなんです。先ほどデモンストレーションでしょうゆの色はばらつきますという話があって、ちょっと私も遠目から見ていたので詳しいところを見ていないんですけれども、色がばらつくのは、事業者に特有のばらつきなのか、それともロットごとにばらつくのかというのがわからないんですね。
なぜそういう質問をするかというと、私も古い時代の、格付検査機関があったころの時代の話しか知らないんですけれども、そのころはロットごとに格付検査をしないで、ある一定期間で格付検査をするということだったと思っておりまして、今は自己格付なさっているので、どういう格付検査をなさっているかわからないんですが、つまりロットごとに色がばらつくと、ロットごとに検査しないと格付の適合、不適合が判定できないというふうに思うわけなんですけれども、その辺は今回の改正で、事業者の方々は特に問題ないよというようなことで話が済んでいるのかどうかというのを知りたくて質問いたします。
阿久澤会長
よろしいでしょうか。お願いいたします。
原案作成委員会事務局(出島)
原案作成委員会での議論について、その点についてご説明をさせていただきますが、格付のタイミングですとかロットの部分について原案作成委員会で具体的に議論したという内容はございません。原案作成委員会では、今回のこいくち生しょうゆについて加熱をしないということから、色度の調整が大変難しいと。製造工程、醸造の工程から管理をかなりきっちりやったとしても、やはり色というのがどうしてもばらついてしまうと。その中で色の薄いものができてしまったときに、JAS規格を満たさないものが出てきてしまうという技術的な部分も生産者委員の方からご説明をいただいて、それを踏まえて審議を行ったということでございます。
阿久澤会長
よろしいでしょうか。今ご質問に対する内容での検討はされていなかったということですけれども。
原案作成委員会事務局(出島)
そうですね。技術的な製造工程での課題等をご説明いただいて、審議をしたということです。
阿久澤会長
そうしますと、実際の格付のタイミング、そこはどうなるんでしょう。そこがご質問の趣旨かと思いますけれども。
牟田表示・規格課課長補佐
しょうゆの検査ロットは30日間ですけれども、今回の生しょうゆ、色度については主にもろみの工程があるわけですが、そこの発酵、熟成の温度管理、これによってコントロールしています。もろみの色自体ばらつきというのが出てしまうということで、ばらつきはある程度一定のところの範囲におさめるためには、ある程度の経験というのが必要というところでございますが、大体今回の改正による22番未満というところであれば、今回のFAMICの行った品質実態調査にもありますとおり、大体8割方これが入っていますので、22番未満の範囲で管理できると聞いている次第でございます。
阿久澤会長
どうぞ、お願いします。
丸山委員
今、30日ごとの検査ということで、それで生しょうゆのロットが1ロットずつ確認できるならいいと思うんですが、8割入っているというのがもしかしたら2割は不適合品が入るのかということになりますので、その格付のやり方は少し検討したほうがいいかなというふうにちょっと感じました次第です。すみません。
牟田表示・規格課課長補佐
登録認定機関といった検査機関だけではなく、製造工場のほうでも色度の検査は必ずチェックいたしますので、そこはしっかりとやっていきたいと思います。
阿久澤会長
よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。そのほかございますでしょうか。
はい、山根委員、どうぞ。
山根委員
すみません。火入れをしない分、やはり劣化は早いのかなと思われるわけで、特に空気に触れるとよくないだろうということで、適切な使用、扱いをしなければならないのではないかと思うわけです。そういう意味で、品質を保つための何か別な規格みたいなルールづくりは必要ないのかなという質問と、あと、消費者には別の容器には移しかえないことみたいな注意事項が要らないのかなと。これは表示の問題だと思うので、ここでは違うというふうなことかもしれませんけれども、そのあたり何か教えていただければと思います。
阿久澤会長
いかがでしょうか。ただいまのご質問に対しまして、よろしくお願いいたします。
原案作成委員会事務局(出島)
火入れをしない生しょうゆについての品質についてでございますが、原案作成委員会の学識経験者委員の方からご意見がございまして、先ほどもありましたが、火入れのかわりにフィルターろ過をするということで除菌処理ができるということから、火入れによる加熱殺菌等を行わないしょうゆについても品質的には問題がないというふうにご意見をいただいたところでございます。
阿久澤会長
はい、どうぞ。
山根委員
そうしますと、ああいう小さなペットボトルで、密封式で、入り口もかなりきつくパチンと締まるようなものでなくても、普通の1リットルサイズのものでも問題なくて、そういう商品も出てくる可能性もあるということですね。
牟田表示・規格課課長補佐
繰り返しになるかもしれませんが、FAMICのほうからありましたとおり、各認定事業者はサンプルにつきまして、保存試験や細菌検査を行いまして、火入れの殺菌処理と同等な処理という効果を確認しているところでございます。また、認定事業者につきましては、このいわゆる生しょうゆのJAS品を製造する場合、これに加えまして登録認定機関が認定事業者の製造日報とかの記録類をチェックしまして、適切に管理されていることを確認するという次第でございます。
阿久澤会長
ありがとうございました。そのほかございますか。
はい、どうぞ、清水委員。
清水委員
清水でございます。事業者枠ということで今回から参加させていただいておりますが、企業の消費者対応部門、お客様関連部門等の人たちの団体におりますので、両方の観点から質問などさせていただきます。
先ほど説明いただいた資料1の図3に関してです。図3の通常品との色度の比較をしたものを拝見しますと、こいくちの生しょうゆは23ですとか27もございますよね。1~15に収まっている通常品よりも、色度のばらつきが大きいと思います。。22番未満に決めなくても、24でも28でもいいとということではないのでしょうか。
牟田表示・規格課課長補佐
この22番というところは、一部説明があったかと思うんですけれども、いわゆる現行のJAS規格のうすくちしょうゆの規格の特級と上級の色度の基準が22番以上と、22番よりも薄いところを規格で規定しているというところでございます。今回の改正により、こいくちしょうゆとうすくちしょうゆの基準値の重複が生じてしまうということを避けるため、業界の意向も踏まえまして、22番というところにしたというところでございます。
清水委員
重複するとのことですが、つくり方や原材料の特徴などが違うものですので、別に重複しても構わないという考え方はないんでしょうか。
それから、最近の生しょうゆは密閉容器になっていますので、買うときに色はわからないですよね。22なのか26か、微妙な色度の差によって消費者は濃いからこれは嫌だとか、薄いから嫌だというものではないので、商品に問題がないのであれば、番号の整合性にこだわる必要はないのではと思います。
高崎上席表示・規格専門官
これは検討の中でも業界サイドの意向というのが結構ありまして、先ほど申し上げたとおり、色がこいくちとうすくちとバッティングするというのは、ちょっと業界の中でもわかりづらいんじゃないかというようなこともありまして、今回の基準値としてはバッティングしないところで整理したということです。
それとしょうゆもいろんなしょうゆが販売されておりまして、密封タイプ、生しょうゆでもそうなんですけれども、密封タイプでなかなか色がわからないものもあれば、通常よく見る瓶に入った生しょうゆで色もよくわかるといったようなもの、いろいろあるようです。それぞれしょうゆメーカーの数も多いですし、同じ生しょうゆといっても特徴というのはそれぞれあるというのが実態としてあるのかなと思っております。
阿久澤会長
よろしいですか。
清水委員
もう一点お伺いしたいのは、濃いくちしょうゆ以外の件です。WEBで検索すると、うすくちですとかお刺身しょうゆのようなものでも生のしょうゆを売っています。そちらのほうの基準は今回よろしいのかなと感じました。
阿久澤会長
お願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
これも今、実際こいくちしょうゆ自体がほかのしょうゆに比べて一番多いという実情がある中で、まずこいくちのほうからというところの要望があったということです。今後、例えばうすくちとかそういったものが出た場合、それに合わせた形で規格の見直しが必要になれば、またそのとき考える必要があるのかもわかりません。ただ、うすくちしょうゆの場合、色度ということでいえば、22番以上ということですから、より薄くなると。生で色がつきにくいからといって、うすくちの場合、何か問題があるかというと、そういったことはないということでございます。
阿久澤会長
清水委員の発想というか視点は、色度はそれほど基準に重要ではないのではないかというような内容かと思います。その辺も含めて今後検討していく一つの要素にもなり得るのではないかと言うことかと思います。
どうぞ、村瀬委員。
村瀬委員
私から事業者の立場で補足しますと、必ずしもこれはお客様、直接の消費者だけの標準規格ではなく、業務用としての用途もあります。そうすると、業務用としての標準規格で考えたときに、実際JAS規格品のしょうゆを使って何かつくろうといったときに、ある程度の色という部分は加工食品をつくるための大事な要素の一つです。その意味でも標準規格の色というのは大事な要素であるということは補足したいと思います。
阿久澤会長
ありがとうございました。これについてはこれでよろしいですか。そのほか何かございますか。
どうぞ、夏目委員。
夏目委員
改正そのものに反対ということではございませんけれども、1月10日で将来の見通しのところで出荷量が近年減少傾向にあって、今後もこの傾向は継続、つまり減少傾向がずっと続くだろうというふうな表現がされていますけれども、今回改正は生しょうゆの色度でございますけれども、しょうゆというのはユネスコの文化遺産になりました和食において非常に重要な調味料だというふうに思います。そういうときに、この将来の見通しのところが国内だけの見通しというのはちょっと足りないんじゃないかなと。つまり海外展開するときにしょうゆのやはり拡大とかそういうことも事業者さんは視野に入れながら例えば色度の調整等もお考えなのかなというふうに少し考えましたものですから、もう少し幅広い視野で将来の見通しをしょうゆ全体を見ていただいたほうがよろしいのではないかなと感想でございます。
阿久澤会長
ありがとうございました。ご意見として。
どうぞ。
原案作成委員会事務局(出島)
原案作成委員会の中にも海外の状況はどうなのかというご質問がありまして、その辺については生産者委員の方から海外では非常に受け入れられて伸びているというようなご説明をいただいております。
阿久澤会長
ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。
それでは、ご意見等出尽くしたようですので、原案どおりしょうゆの日本農林規格を改正するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
阿久澤会長
異議はないようですので、その旨報告させていただきます。
それでは、次に有機農産物の日本農林規格の見直しについて審議を行います。事務局から説明をお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
今度は有機農産物ということでございまして、資料2と先ほどの参考資料の5ページ目以降ということでございます。
今回は有機スプラウトについての規格を追加するということでございます。質疑応答につきましては、品目を担当しております長谷課長補佐も同席させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、資料2の1ページ目、2ページ目、これは先ほどの諮問でございまして、資料2の2ページ目の27番に有機農産物ということで、これをこの場でご検討いただくということです。
資料2の3ページ、これは今回の見直しの概要ですが、具体的な内容についてはまた後ほどご説明いたします。今現在、有機農産物につきましては、土で栽培するというのが原則になっております。そういった中でスプラウト類、これは通常は土でつくらない、水で栽培して発芽させるということでございます。こういったスプラウト類についても今回、有機農産物のJASの格付の対象としようというのが内容でございます。
それでは、机上配付のA4横の参考資料をご覧いただければと思います。
まず、5ページ目をご覧いただきまして、これは有機農産物のJASの規格の概要です。生産の原則と書いてございますけれども、そもそも有機農産物はほ場で生産すること、これが前提となっております。栽培に当たっては化学合成肥料とか農薬とかそういったものは基本的に使わない、極力回避するといった栽培方法で農地の生産力を発揮させ、環境への負荷を低減させていくこと、これが生産の原則でございます。そういったものを担保するために具体的な生産の基準ということで、まずほ場の条件、通常のほ場じゃなくて有機のほ場でないといけないということ、それから、そのほ場に蒔く種、苗ついても原則有機のものを使う。ただ、なかなか有機の種だけを入手するというのは困難な場合もありますので、そういった場合も想定して段階的な制限の緩和措置が規格の中に設けられております。
実際の栽培管理の中では、肥料とか土壌改良材あるいは農薬、こういったものは極力使わない。使う場合は別に定められている、別表で規定されている資材に限って使えるようにするということです。収穫した生産物、収穫物を出荷するまでの間、例えば保管したり選別したり調製したりする場合も有機的な管理をすると。要は化学的な物質等々で汚染されないといったような管理をしていくということで、その場合の使える資材も限定的になっていると。これが有機農産物のJAS規格の全体の内容です。
次の6ページ目を開いていただきますと、そういった中で、今回は土を使わないで水だけで栽培するスプラウト、これも対象といたしましょうという内容です。土が原則の中で今回の改正点、整理をどうするのかというところがこの6ページの改正理由の1ポツに書いてある内容でございます。今回の対象とするスプラウトは種子自体は有機の種を使うというのが前提です。なおかつ栽培するに当たって、水だけで栽培すると。ほかの資材は使わないということ、これを条件としておりまして、そうした場合、その有機の種で、スプラウトですから水で発芽させて出てきた食用の新芽ということなんですけれども、水だけで栽培したスプラウトであれば、そのでき上がったものというのは当該種子、その種子に内在する生産力だけで栽培されるだろうということです。その種子に内在する生産力というのは、そもそもその種ができた土壌、土の性質に由来するものということでございまして、これが有機の種で水だけで栽培したということであれば、土壌に由来する農地の生産力を発揮したものと同等ではないかと、こういう評価ができるということでございます。
もう一つ、2ポツ目、3ポツ目なんですけれども、今回この有機農産物の規格改正でございますが、本来、来年度に全体的な見直しを行うということになっておりまして、今回前倒しでこのスプラウトの部分をご審議いただくということです。その前倒しをする理由を2番、3番で書いてございます。後でちょっと詳しく申し上げたいと思いますが、2ポツ目に書いてあるものは、これはナムルといったもやしの加工品を考えた場合、有機大豆を原料として一貫生産でつくる場合はJASの格付対象になります。でも、原料であるもやしを仕入れてもやし加工品をつくる場合、もやし自体が通常土で栽培するものはほとんどありませんから、有機の格付にならないとなると、そのもやし加工品は格付対象にならないということ、そういった矛盾があるという点を解消する必要があるのではないかということです。
3番目は有機の同等性に関連してですが、カナダとかEUといった国では水だけで栽培したスプラウトについても有機の対象としているということで、そういった国から同等性で入ってきた場合、日本の国内事業者は不利な状況といいますか不均衡な状況にあるということでございまして、こういった状況を速やかに解消すべきではないかという判断で、今回前倒しで改正するということでございます。
続きまして、7ページ目でございますけれども、これはスプラウト類の一般的な生産方法です。有機とかは関係なく、一般的な生産方法ということなんですが、まず、種を通常消毒します。消毒は薬剤を使うんですが、一般的に多いのはやっぱり次亜塩素酸ナトリウム、こういった薬剤を使って種を消毒するというのが多いようです。その上で水につけて発芽させる。もやしの場合は、発芽させたものを暗室で継続的に水散布するということでございます。その際にエチレンで処理してもやし自体を太くしたり、あるいは液肥を使ったりする場合もあるということです。もやし以外のカイワレといったようなスプラウト類につきましては、発芽させた後、光に当てて緑化させる、緑色にさせるということでございまして、ハウス等で栽培することが多いと。その際に液肥なんかを使うというのが一般的で、また、人工照明を当てて緑化させる場合もあるというようなことでございます。いずれにしても、そういった状況で、ものによっても違うんでしょうけれども、7日から10日程度栽培して、その上で袋詰めして製品となるということでございます。これが一般的な生産方法ということです。
次に、8ページ目でございます。
今回の改正の概要ということで、JASの規格の対象、現行から改正案ということで、これは先ほど申し上げました土で生産する、そこの整合性について書いてあるところで、ちょっと省略いたしますけれども、その下のスプラウト類の有機JASの取得要件ということで、これも繰り返しになりますけれども、まず種は、これは有機の種に限定するということです。有機以外の種は使えないということ、それと栽培方法についても、水だけを与えて栽培するということです。したがいまして、液肥を使うような水耕栽培とかあるいはそれに光を当ててコントロールするような植物工場といったものは今回この対象とはならないということでございます。
こういった要件からすると、先ほどの一般的なスプラウトの生産方法と比較した場合、かなりハードルが高い要件ではないかと思われます。
続きまして、9ページ目が今回前倒しを行う理由の一つです。、繰り返しになりますけれども、有機加工食品は、95%以上有機原料を使って、有機的な製造管理をする、これが大体の内容になっています。下の図の場合、ナムルをつくります。原料としてもやしを入手してナムルをつくると。土を使わないもやしの場合は、これはJASの格付対象となりませんから、当然このナムルについても格付はできないということです。
上の図は、原料として有機の大豆を使います。有機の大豆を使って製造工程の一環で水を与え発芽させてもやしにして、それにほかの有機原料を加えて有機的につくりますと。、これはどうかというと、このナムルは有機の対象となります。もやしに着目してみると、同じ有機大豆で同じように水だけで有機的に管理して栽培したもの、上のもやしは有機の対象といいますか、有機相当品とみなされているのに対して、下では有機にはならないという矛盾があるということです。
それから、次の10ページでございます。
これは有機食品の同等性ということです。有機食品には有機についての名称規制があります。日本ではJAS法で製品に有機という表示をして流通させる場合、有機JASマークが必要です。これは有機農産物と有機農産物加工食品に限ってなんですけれども必要になります。外国でも同じような名称規制をしている場合があります。例えば外国からその国で有機認定を受けたものが日本に入ってきます。日本で有機と表示する場合には、改めて日本で有機のJASの認定をとらないといけない。逆も同じです。日本で有機の認定をとりました。それを外国に出します。その国で有機と表示するためには、また外国で、その国で有機認証をとらないといけない。これ大変な手間とコストもかかるということで、それぞれの国同士で有機の認証制度、これが同じだと認め合えば、片一方の国で有機となった場合、もう一つの国でも有機とみなす、これが有機の同等性です。
こういった形で有機の同等国となっている国が今現在、アメリカとかEU諸国、カナダ等々がございます。そういった中で、例えばカナダで考えた場合、カナダは水だけで生産するスプラウト、これについては有機の対象となっています。例えばカナダで、水で生産したスプラウトが日本に同等性で入ってきましたと。その場合、一定の手続を経れば、そのスプラウトは有機のJASマークをつけて有機で販売できる。でも、国内で同じように水だけでつくったスプラウト、これは国内の事業者は有機のJASマークをつけられないといった状況でございまして、不利といいますか不均衡といいますか、そういった状況にあるということで、これを解消するため今回前倒しを行うということでございます。
続きまして、また資料2に戻っていただければと思います。
資料2の4ページ目以降でございますが、規格調査の概要です。4ページ目あたりは先ほど説明した内容と重複いたしますので割愛いたしまして、次の5ページ目の表1、これはスプラウトということで、もやしとかいわれ大根の国内の生産数量の推移ということです。こういう状況で推移しているということなんですが、一部土で栽培しているもやしもごくわずかあるようなんですけれども、これもごくわずかということでございまして、そういったもやしを格付の対象にしているかというと、そうではないということで、(2)に書いてございますとおり、スプラウト類の有機格付というのは、今はないと推定されているところでございます。
参考までに表2で国内の農産物の生産数量の推移と、それに対しての格付数量の推移ということで載せてございます。格付数量につきましては、わずかながら増えていると、増加傾向にあるということでございます。
次が6ページ目の3に生産者等の意向ということで、今回の改正を踏まえて、かいわれ等のスプラウト関係の生産関係の方にヒアリングをした結果が書いてございます。今回改正して土を使わないスプラウトも有機の対象となった場合であっても、スプラウト類の生産実態からすると、なかなかハードルが高いということでございます。一部のもやしを除いて、有機適用するというのは、実際は困難な状況ではないかということでございまして、直ちに有機格付を開始する生産者というのは、少なくとも現時点ではちょっとなかなか想定しにくいということでございました。
しかしながら、今回の改正で、入り口でだめだといったものが、例えば有機もやしというのが可能になるということで、生産者もそうですけれども、消費者としても今後商品の選択の幅が広がるのではないかという意見もあったところでございます。
それから、4番目、諸外国の規格ということでスプラウト関係と書いてございますけれども、有機制度自体は非常にグローバルなものでして、多くの国で日本と同じような、あるいは類似した有機制度というのが確立されているということです。コーデックスの有機ガイドラインが設定されており、JASもそうなんですが、それぞれの国がこれに準拠してそれぞれの規格基準をつくっているということでございます。農産物ですので、それぞれ気候風土とか生産実態、これは違うところもございますので、このコーデックスのガイドラインを一つ指標として、それぞれの国でカスタマイズして基準をつくっているということでございます。
それから、改正の概要ということで、資料2の7ページ目をごらんいただければと思います。
まず、規格の位置づけということで、有機は特色ある生産方法ということもあり、今回も特色規格として位置づけられるということでございます。
2の改正案の概要につきましては、次の8ページ目以降の新旧対照表で簡単にご説明いたしたいと思います。
まず、現行の第2条、有機農産物の生産の原則とあります。ここに改正案は、「スプラウト類の生産にあっては種子に由来する生産力を含む」というものを追加いたしまして、土でなくても読めるというふうになっているところでございます。もともと現行でも「きのこ類の生産にあっては」ということで、きのこ類については土以外の栽培でも対象となっているということでございます。
それから、第3条の定義の中の栽培場、現行ではきのこの栽培場だけが規定されておりましたが、今回それにスプラウト類の栽培施設を追加してございます。括弧書きでほ場を除くと書いてあります。これはほ場で栽培するスプラウトが仮にあるとすれば、それは現行の規格でありますほ場での栽培管理、こちらの方で読んでいくということでございます。
それから、ページをめくっていただいて、9ページ目、栽培場の生産の方法についての規定ということなんですけれども、栽培場自体は周辺から使用禁止資材が飛んでこないといった管理が必要ですと。それと、今現在は、きのこの栽培場を想定しておりますので、栽培開始前2年間以上、過去に遡って使っていないということを要件としております。今回の改正案につきましては、1の部分はきのこと同じなんですけれども、2の部分、過去に遡っての部分は、スプラウトの栽培施設ですので土を使わないということから、過去に遡って使用禁止資材が残留するということは想定しにくいということで、この栽培場の2の部分の規定につきましては、きのこ類に限定した書きぶりになっております。
それから、10ページ目、スプラウト類の栽培施設に使用する種子でございます。真ん中あたりに新設ということで書いておりますが、まず1つ目が有機の種に限定しますということです。今現在の有機農産物の種については、もし入手困難な場合は緩和措置が設けられておりますが、スプラウトにつきましては、緩和措置は認めないと、有機の種だけに限定するということです。
2つ目は、組み換え体はだめですということで、3つ目が種子消毒は次亜塩素酸水で、括弧書きで「食塩水を電気分解したものに限る」と書いてございます。食塩水を電気分解して得られた次亜塩素酸水だけは認めましょうということでして、これはちょっとすみません、飛んで申しわけございませんけれども、18ページの表に次亜塩素酸水と書いてございます。今現在、別表5で調製用等資材として使用が認められている資材です。これについては、スプラウト類の種子消毒用に使用を今回は認めましょうという内容です。
あと、栽培管理ということで、すみません、11ページ目に戻っていただきまして、2つ目、11ページの改正案の2の部分に今回の栽培の要件といいますか資材関係が書いてあります。スプラウト類については次の(1)から(4)までに掲げる基準ということで、(1)で使える資材として、アが水です。イが培地です。ですから、養液とかほかの資材を使えないということです。培地につきましては、例えば、かいわれ等根から水を吸収したりするために使うものですが、これにつきましても、天然物質由来ということに限定してございます。
(2)で人工照明は用いないと。化させるために人工照明を当てるということは認めていないということです。(3)、(4)につきましては、栽培工程中、ほかの化学物質等々で汚染されないあるいは通常のスプラウト類と交差汚染しないといった管理が必要ですということが書かれています。これが今回の改正の概要でございます。
この改正案につきましては、今後法令的な観点から字句等の修正があり得るということをあらかじめご承知おきいただければと思います。
最後にパブリックコメントの結果でございます。
19ページ目を見ていただくと、これは今回のパブリックコメントということで8件の受付がございました。1つの受付で複数の意見をいただいた場合もありますので、延べの意見件数としては多くなりますけれども、そのご意見の概要とそれに対する考え方ということで20ページ目から23ページ目までに整理してございます。
20ページ目の一番上、これはそもそも土の原則を外すのはいかがなものかということでございます。これは先ほどから説明したとおり、有機の種で水だけで栽培したものというのは、その農地の生産力と同等と評価できるのではないかということでございます。
それから、2つ目の、今回の改正理由は、韓国との同等性のためと理解しているということでございますが、先ほど改正の理由、背景をご説明したとおりでございまして、韓国との有機認証制度の同等性の協議のためだけに行ったものではないということでございます。
あわせて今回、十分な議論をしたのかというご指摘もございますけれども、今回につきましても、原案作成委員会で議論いただいた原案に基づきまして改正案を整理しているというところでございます。
それから、21ページ目の次のご意見は、植物工場、こういったものはどうなんだと、認めるべきではないといったご意見。それと人工照明を使う、使わないで植物工場であるかどうかを判断するというふうに理解しているが、人工照明かどうか判断するのは、実際その認定をする登録認定機関だと。そうすると、登録認定機関の裁量の余地があり過ぎるのではないかというご意見でございます。これもご説明したとおり、今回植物工場というのは当然対象にはならないということでございます。また、人工照明につきましては、Q&Aで人工照明に当たるかどうかということについてはお示ししたいと思っているところでございます。
次のご意見でございますけれども、スプラウトの有機格付の前に、まず種の有機性を確認できるように種自体を格付対象とする、これが先決ではないかというご意見でございます。有機のスプラウトの種につきましては、今回の改正でも有機のものに限定し、緩和措置は設けておりませんので、有機性というのは担保されているのではないかと思っております。
なお、この種自体を有機格付にするというところでございますけれども、今現在、JAS法で飲食料品でない種につきましては、JAS規格の対象となる農林物資には該当しないという整理になっております。それは、ここで書いてございますようにJAS法の施行令で飲食料品以外の農林物資を指定しておりますが、種は指定されていないというところでございます。今後仮に種につきましても有機対象とするのであれば、必要に応じて十分な検討をした上で、JAS法の施行令の改正が必要となってくるというところでございます。
続きまして、22ページ目の一番上、そもそもスプラウト類の範囲を示してほしいということでございまして、これについては別途Q&Aでお示ししたいと考えております。
その下の培地の関係なんですけれども、培地の要件として古紙由来を規定していると書いてございます。そもそも古紙にはインク等の化学物質が含まれているのではないかというご意見でございます。これはパブリックコメントをかけた際に、培地に古紙由来と書いてございまして、今回のご指摘を踏まえまして、関係団体にも確認した上で、この古紙由来というのを改正案から外しています。
それから、その下が土を使ったもやし、これは対象から外れるのではないかというご意見、ご指摘でございますが、土壌で栽培したもやしは従前どおり今後も有機の対象と当然なるということでございます。
それから、栽培施設の基準の中で使用禁止資材の過去に遡った制限、これはスプラウトについても必要じゃないかということでございますけれども、これも先ほどご説明したとおり、スプラウトでそういったものが残留することはちょっと想定されないということから、規定する必要はないのではないかということです。
それから、次が種子消毒、次亜塩素酸水なんですけれども、これは次亜塩素酸水を発生させる装置が必要になってくるということでございまして、これを導入できない場合というのは、衛生管理といいますか、そういった部分で大丈夫なのかといったご指摘、ご意見でございます。今回は種子消毒の薬剤として使用できるものは、現行のJASの規格で規定されている食塩水を電気分解した次亜塩素酸水に限定しています。一般的には次亜塩素酸ナトリウムというのがスプラウトの種子の消毒で使う薬剤なんですけれども、この薬剤を使うのであれば、有機の格付を受けないということになるのではないのかなと。それは事業者の責任といいますかご判断で、有機でスプラウトをつくって、安全性確保のために種子を消毒するのであれば、この発生装置を導入した上でつくっていただくということになるのではないかと思います。
なお、もやしにつきましては、一部で薬剤を使わずにお湯で消毒しているものもあると聞いています。
23ページの最後でございます。このホタテ貝殻焼成カルシウム、これも資材として追加したらどうかということですが、使える資材としては水ということで規定しているところでございます。
以上が今回の有機の関係の内容でございます。
阿久澤会長
ありがとうございました。
それでは、続いて原案作成委員会での議論の概要につきまして、原案作成委員会事務局から説明をお願いいたします。
原案作成委員会事務局(出島)
それでは、説明をさせていただきます。
有機農産物の日本農林規格及び有機加工食品の日本農林規格の確認等の原案作成委員会は、田所忠弘東京聖栄大学健康栄養学部管理栄養学科教授を委員長として、消費者、生産者、使用者、流通業者、中立者等の各分野の代表16名の委員からなる合議体で、その事務局を独立行政法人農林水産消費安全技術センター、FAMICが務めました。
委員会は平成26年11月18日に開催された第1回の委員会において、規格の位置づけの明確化、つまり、特色規格としての位置づけ及びもやしの基準を明確化することについて議決されたことを受け、もやしの基準を先行して検討するため平成27年2月26日に第2回を開催し、具体的な改正内容の審議を行いました。
まず、基準の明確化に当たっての考え方でございますが、現行有機JAS規格は土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させることを生産の原則としていることから、水耕栽培において生産された農産物は有機JASの対象外となっているところでございます。よって、もやし等のスプラウト類の生産実態、現行でも有機農産物の格付対象となっている発芽玄米との比較等を踏まえて、その基準の検討を行うとともに、水だけで生産するスプラウト類の諸外国における生産の状況も踏まえ、スプラウト類のJAS規格の格付対象としての可否について検討を行いました。
議論の結果としまして、まず1点目でございますが、ほ場で栽培せず水だけで生産するもやし等のスプラウト類の農産物について有機JAS規格の対象とするため新たに基準を追加すること、2点目、JAS規格第3条の栽培場の定義にほ場で栽培しないスプラウト類の栽培施設を追加すること、3点目、JAS規格第4条、栽培場の項の基準の一部の規定はスプラウト類には適用しないこと、4点目、スプラウト類の栽培においては、その原料種子はJAS規格第4条、ほ場に使用する種子または苗等の項1に該当する有機種子であること、5点目、栽培期間中、水及び古紙に由来し製造工程で化学的に合成された物質が添加されていない培地以外の資材は使用しないこと、6点目、人工照明は使用しないこと、7点目、収穫後の管理を含め、その他の生産の方法についての基準は現行JAS規格と同様とすること、これらのことを内容とする基準を追加する改正をすることが適当と議決されました。
以上でございます。
阿久澤会長
どうもありがとうございました。
それでは、有機農産物の日本農林規格の改正案についてご質問やご意見等ございましたらお願いいたします。
はい、どうぞ、大道委員。
大道委員
大道です。
もやしのことなんですけれども、このスプラウトとしてのもやし、大豆もやしのこの規格に対してというのは非常にわかりやすくて、なるほどという思いがあるんですけれども、もやしの場合には、大豆だけではなくて、ほかに何種類かあると思うんですね。それも輸入などの種子が入ってきているんだと思うんですけれども、実際にそういう大豆以外の有機のものでもやしがつくられている、そういうものに対してこういうスプラウト類としての大きな枠の中にそれも入ってくるんだと思うんですけれども、実際に実効性というのかな、できるのかなということがちょっと危惧されます。
それと、カナダでスプラウトなどが実際に有機の格付をされているということなんですけれども、その場合に日本で今言われている内容とほぼ同等の生産方法、同等の品質のもの、そういうふうに理解してもよろしいんでしょうか。
阿久澤会長
よろしいでしょうか。お願いいたします。
長谷表示・規格課課長補佐
表示・規格課の長谷でございます。
大道委員の1点目の、今、大豆もやし以外にもいっぱいあるんじゃないかとか、実行可能性のお話がありましたけれども、確かに大豆以外にもよく普通に見る緑豆もやしとか、ブラックマッペと言われるもうちょっと細い小さい長いものというのが大豆以外に見るところです。これらも当然もやしとして、このスプラウトの中の一つとして対象になります。
実行可能性なんですけれども、業界、生産者団体が意見とか考えているところは、2つ大きなところがあって、1つは種子消毒のところで一般的には次亜塩素酸ナトリウムを使っていますというのが1つ。2点目として成長させるというか、栽培のところでエチレンガスを使うというこの2つが大きなネックかなと。ただ、有機として考えるのであれば、できる限り化学物質を避けようとか、自然に栽培というのがあるので、エチレンの使用制限であったり次亜塩素酸ソーダというのを使えないというのも、そういう考えもわかるということがありました。
2点目なんですが、カナダとか有機のスプラウトの基準なんですが、やはり種子はカナダの有機の基準を満たしたもので、栽培に当たっては、液肥の使用は認めない。やっぱり水だけで栽培しますよ、そのような同じような条件になっています。EUもやっぱり同じような水だけというような形です。有機の種で水だけというのが基本にあります。
以上です。
阿久澤会長
ありがとうございました。そのほかございますか。
はい、どうぞ、清水委員。
清水委員
関連して質問です。日本の生産者は、もやし以外は難しいのではないかということでしたが、カナダやEUなど外国のスプラウトは水だけでできるとなら、日本も水だけでもできると思いますがどう違うのでしょうか。
長谷表示・規格課課長補佐
外国の実態を詳しくはあれなんですけれども、もやしというのは種を発芽させて暗室で育てるんですが、かいわれとか緑化させるスプラウトについては、種の持っている栄養素だけでは十分に育たたないというのがあるんですね。かいわれ大根も必ず液肥を加えないとあの大きさまでならないというのが実態です。だから、液肥を使わないとかいわれはできないよというのが1つ。液肥を使わなくてできるものというのは、今皆様が市場でスーパーなんかで商品で売っているものとすると、エンドウ豆を使った豆苗、あれは大豆もやしと同じような感じで、種に十分栄養があるので、それだけで育ちますということがあります。水だけでもできるんだけれども、色をよくするためにあえて液肥を加えるとか、そういったメーカーもあるということです。
清水委員
外国はもやしやかいわれではなく、アルファルファとかブロッコリーなどのスプラウトだから水だけでも育つということなのでしょうか。
長谷表示・規格課課長補佐
はっきり断定はできないんですけれども、いわゆるこういうかいわれみたいなものじゃない芽もやしというんですかね、アルファルファみたいな先ほど清水委員がおっしゃったようなああいった商品だと思います。もう一つは、韓国はやはり豆もやし、あれを対象にしているということです。
清水委員
そうしますと、もやしのことを念頭に水だけでもいいですよと規格をつくった場合に、今まで液肥を使っていたものを有機JASにしたいからということで水だけでつくるようになり、安全性などの懸念はないのでしょうか。
長谷表示・規格課課長補佐
JAS規格は使う資材、使う工程を定めているので、安全性に関してこうしなさい、ああしなさいというのは、特にこの規格の中でも定めていません。水だけでというのも、スプラウトでも豆苗は、水だけでも栽培できるので、まずそこは対象になりますよねと。かいわれとか現状では液肥を使わないとできないので、対象にならないということです。液肥を使うものは認めるのかというところが議論になるかと思うんですけれども、そこはやはり有機ということから、種の力だけということから考えると、液肥まではやはり認めてはだめということです。
清水委員
そういう意味ではなくて、今までは液肥を使っていたかもしれないけれども、液肥を使わないで水だけで有機JASのスプラウトをつくりましたという事業者さんがいたときに、本当は液肥を使って育てるべき製品を水だけで作ったことによって何か不具合があったりはしないのかなと思うわけです。
阿久澤会長
有機種子以外は水だけでは製品とはなり得ないと、そういう前提があるわけですよね。
長谷表示・規格課課長補佐
有機JASのものはそうです。
高崎上席表示・規格専門官
結局、例えば今まで液肥を使って栽培していた事業者が有機に転換して水だけでやりますとした場合、でき上がる製品はやっぱり品質といいますか、ものが違ってくることはあるんだと思うんです。自分がどういうことをコンセプトにして消費者の方にその製品を提供するのかと、そういったことに関係するのかなと思うんですけれども、結局水だけでつくることによって、これで有機という価値は当然出ます。でも、今まであった商品とは違う商品といいますか、ものになるということもそれはあり得ます。つくる側はどちらを選択するのか、買う側もどちらを選択するのかというようなことだと思います。
清水委員
いま日本では余り売れていないかもしれませんが、外国でつくっているのと同じような種を使ったものであれば、できるようになると思えばよろしいのですか。もやしとかじゃない違う種類の何か。
高崎上席表示・規格専門官
おっしゃられるようなことというのはあるんだと思います。ただ、それを国内の方、消費者の方が積極的に選ぶかどうかというのは、それは実際この場では何ともわからないという部分もあるのかもしれませんが。
阿久澤会長
はい、どうぞ、森光委員。
森光委員
お茶大の森光です。
たまたま私自身も研究ではこういうスプラウトをよく育てているので、種の大きさが小さいものは、基本的に光を当てても本当に大きくならないので、多分日本人の方は「これがかいわれ?」というような出来映えになると思います。冒頭で上席が言われたように、制定とかこういう見直しの基準の中でいう今回の規定改正というのは、国際的な動向に合わせて変えるべきだと思いますので、個人的には賛成しております。
ただ、こういう話を聞いてもやっぱりちょっと内容が混沌とし、これだけパブリックコメントがふだんに比べると結構多い方だと思うんですけれども、やはり有機栽培に関連するJAS規格が一番、消費者の方に認識されているJASマークであると考えられます。それ故、個人的な意見といいますか要望といいますか、まずはもやしの加工品などに合わせて有機JASマークをつけていただき、ぜひ日本というのはこれだけのスプラウト文化もありますし、かつ植物工場もうまくいっているところといかないところはあるようですが、これから伸ばそうと考え、かつ世界に打って出ようという産業分野であるとするならば、現有の有機JASマーク自体のデザインをマイナーチェンジするとか名前も類推可能なものに変更するなどして、ぜひ消費者の方がわかりやすく、かつ健全なものが出てくるような方向へ持っていって欲しいと願っています。ここまで懸念されてきたような水のみと有機の種子でつくりましたというだけで、こんなペロンペロンの何かまずそうなものが「健康によいです」というイメージになってしまうと大変な気がます。ちょっと調べさせていただいたところ、海外とくにアメリカなんかだと、有機ほ場でつくられたようなスプラウトがオーガニックの名称で売られているものがあるみたいですけれども、水耕系では豆類の「豆もやし」みたいなものが「種の力だけ」でオーガニック製品をつくり出すことはできません。
こういったことを総合的に考えますと、将来的にはJASマークの中で特に有機JASマークを一歩進歩させて、打って出るようなマークを変えるといった方向性なんかも、ぜひこの委員会を通して考えていくというチャンスがあればと個人的には思いました。
以上です。
阿久澤会長
ありがとうございます。そのほかございますか。
はい、どうぞ、夏目委員。
夏目委員
要望なんですけれども、パブリックコメントの中にも出てきましたけれども、種子の有機性について確認できるようにしたほうがよろしいのではないかということで、これはJAS法の施行令の改正が必要だということになっていますので、これから先の話かと思いますけれども、ただ、今回のこの有機農産物のJAS規格の改正点は、やはり種子に非常に大きな要因があるわけですよね。確かに有機の種子でありますけれども、その有機の種子そのものがJAS製品ではないわけですので、そこのところの整合性といいますか、そういうものを懸念する意見があっても当然かなと私自身も感じた次第です。
私はスプラウト類というのが非常に食生活を豊かにしているという点では評価をしますけれども、一方でスプラウト類が招く食中毒が発生していると、これも事実であるわけです。したがいまして、無条件でスプラウトを取り入れるということについては非常に懸念を持っているということを申し上げておきたいというふうに思いますので、そういう意味では種子をきちんとやはり有機であることは担保していただくということ、それから、水が大きな栽培要因でありますけれども、水についてはどこにも規定されておりません。恐らくガイドラインか何かに入っているんだと思いますけれども、この水というのもとても大事な、どういう水を使うのかということもはっきりさせていただいたほうがよろしいのかなと思っておりまして、その辺のところが気にかかりましたので、要望ということで発言させていただきました。
阿久澤会長
要望ということでございましたので、それに対して何かございますか。
高崎上席表示・規格専門官
水につきましては、JASの規格の中ではなくて、別途Q&Aの中で整理したいと思っています。基本的に食品衛生法で規定している飲用適、飲める水、これを使うということを考えております。
阿久澤会長
そのほかよろしいでしょうか。
それでは、そのほかございませんようですので、有機農産物の日本農林規格について原案どおり改正するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
阿久澤会長
異議はないようですので、その旨報告させていただきます。
続きまして、食品表示基準の施行に伴う日本農林規格の見直しについて審議を行います。事務局から資料説明をお願いいたします。
高崎上席表示・規格専門官
すみません、ちょっと時間が押していまして、資料3でご説明いたします。
資料3の1ページ、2ページ、これが諮問でございまして、今回、32の規格を一括して見直すということでございます。
資料3の3ページ目に書いてございますが、食品表示基準が施行されて、それに整合性等々をとるためということでございます。ただ、この改正で現行のJAS規格の内容に変更はない、変わってはいないということでございます。
5ページ目を開いていただくと、改正の概要ということで、改正点としてはJAS規格の中の定義の部分で文言を変えたというのが1つあります。
それから、(2)が表示事項の改正ということで、これはJASの規格の中で表示事項について規定している規格がございます。一方で、JASで書いている表示事項につきましては、食品表示基準と重複したものについては、今回からもう外しましょうと。食品表示基準で書かれている内容については、JASの規格から外して、JAS規格に残すのは食品表示基準の上乗せの部分、この部分だけを残しましょうという内容でございます。これが(2)の(ア)でございます。
(2)の(イ)は、これも整合性を合わせるということでございまして、JAS規格の中で別記様式というものを定めているものがございますが、それにつきましても、食品表示基準の中の別記様式と平仄を合わせていこうといった内容です。
(3)は文言の修正ということで、今までJAS規格、原材料の中には食品添加物も含んでいました。これを食品表示基準と整合性をとるために、原材料と添加物に分けると。食品添加物という文言も今回は添加物にするという内容でございます。
そういう視点でこの32の規格につきまして、6ページ目からずっと90何ページ目まで一括して直していると。新旧対照という形でなっているところでございます。全てちょっとご説明するのは省略させていただきまして、1点だけご説明したいと思います。
例えば9ページをご覧いただければと思います。
9ページは食用パームステアリンという食用植物油脂の一つですが、この規格でございます。これは業務用ということで、JAS規格の中でも表示についての基準が定まっています。この9ページ目、表示の関係で、表示事項とあります。事項名として現行、右側の(1)の名称からずっと書いてあります。左側を見ていただくと、表示事項についてほとんど削るになっています。表示すべき事項として食品表示基準で決められているその事項については削っているということです。
この改正案の表示事項の横、赤字でアンダーラインを引いてあるこの文章の中で「食品表示基準に従うほか、内容量は表示してあること」と書いてございます。食品表示基準はきちんと守りなさいというのは当然のことでございます。プラスして内容量を表示する。現在も右側を見ていただきますと、(3)で内容量はあります。内容量については、食品表示基準で表示事項として定めていませんので、そのまま残すと、そういう整理でございます。そういう整理を全体的に行っているということでございます。
もう一つご説明しますと、12ページ目の別記様式を見ていただきますと、この中で一部追加になっているものがあります。12ページ目、13ページ目の中を見ていただくと、13ページ目の新設、新たにつくるということで8番目、9番目が追加になっています。これは食品表示基準の中で、別記様式の備考に書かれている事柄でございまして、内容的には新たな部分ということではないんですけれども、JAS規格の中で整合性をとって追加しているというものでございます。
すみません、ちょっと簡単でございますけれども、こういった視点で32の規格全て見直していくということでございます。内容的には、変更はないということです。
それから、パブリックコメントでございますが、99ページ目にコメント結果ということで、今回6件の受付がございました。これにつきましても、1件の受付で複数の意見をいただいたというところもございます。その概要が100ページから102ページでございますけれども、一番上の内容につきましては、食品添加物から添加物、これについては今回JASの規格の中で統一的にやったのかということで、一律的にこの文言の修正はしているというのが考え方の案でございます。
それから、2つ目のご意見は、そもそも食品表示基準と全部平仄を合わせる必要がないのではないかというご意見です。それに対してでございますけれども、右側に書いていますとおり、これまでもJASの規格制度の運用に当たっては、例えば食品表示基準の前身であります品質表示基準というのがございまして、これとかあるいは食品衛生法、JAS規格に関連するそういったものと可能な限り平仄、整合性をとってきているというところでございまして、今回も食品表示基準と整合性をとるのが適切ではないかという判断をしたということでございます。
それから、次のものは、その下の100ページの下の部分で、別記様式等々については、規格の中に定めるのではなくてQ&Aで整理すればいいんじゃないかということでございますけれども、食品表示基準では、業務用の食品について別記様式というのは特に定めていません。一方、JAS規格では業務用の食品について別記様式を含めて表示基準を定めているということもございまして、今回従前どおりこの別記様式については変更せずに規格の中に残しているということでございます。
次のパームステアリンの関係は、ちょっとこれはなかなか複雑といいますか、ご専門でないとわかりにくいということもあり、私もうまく説明できるのかなと非常に不安なんですけれども、JASの規格の中でパームステアリン、先ほど申し上げましたけれども、表示の方法として、原材料名につきましては、食用パーム油と記載すると規定しています。これは従前から変わっていません。
一方、今回のご意見は、この食用パーム油という記載ではなくて、食用パームステアリンという記載にすべきではないかというご意見です。なぜかと申しますと、この食用パームステアリンにつきましては、もともと食用のパーム油、これを分別してできたものです。もう一つ、分別して同じようにできるものとして食用パームオレインというものがあります。固体状なのか液体状なのかで分かれているということなんですけれども、食用パームオレインにつきましては、食品表示基準の中で表示事項として原材料名の表示は食用パームオレインと書きなさいと書いてあります。もともと同じ食用パーム油から派生したものですから、食品表示基準の記載の方法と整合性をJAS規格でもとったほうがいいんじゃないかというご意見です。
ちょっとややこしいんですけれども、食用パームオレインについては食品表示基準で基準が書かれています。でも、JAS規格では書かれていません。これは一般消費者向けの商品があるということが理由です。逆に食品パームステアリンにつきましては業務用ということで、JAS規格で具体的な個別品目ごとの表示基準というのは書かれていますが、食品表示基準の中では個別品目的なものは書かれていません。したがいまして、食用パームステアリンについての名称の表示の仕方や原材料名の表示の仕方は食品表示基準の中に特段の規定はありません。
それに対しての考え方なんですけれども、いろいろ書いてございますけれども、そもそも食用パームステアリンというのは業務用ということでございまして、名称については、これはJAS規格の中で食用パームステアリンと書きなさいとなっている。そういったことから、原材料名について、これを食用パーム油と書いたとしても、何か取引上特段の支障があるのかというと、それはないだろうと。それともう一つ、今回の改正につきましては、食品表示基準に伴うJAS規格の改正ということで、JASの規格自体の変更はしないということが前提で整理しているということでございます。仮にここを変えるとなると、当然その関係する業者の方等々のご意見もきちんと聞かないといけないというようなこともあり、今回につきましては、このままにするということでございまして、こういったご意見があったということにつきましては、今後の食用植物油脂の規格見直しの中で、必要に応じてどうするのかをご検討いただくということなのかということでございます。
それから、その下、異性化液糖の関係で、添加物の関係なんですけれども、異性化液糖はでん粉を原料として加工助剤、酵素とかそういった加工助剤を使って分解して異性化するということでございます。今のJAS規格の中でも使用原材料としては食品添加物を含めてでん粉以外はだめということを書いています。加工助剤、これはどうなんだ、どうするんだというご意見なんですけれども、そもそも飲食料品のJASの規格では、従前から加工助剤というのは食品添加物に含めていないということでございまして、実質的な変更はないということでございます。
それから、102ページの一番上の部分は、これは保存の方法と保存方法という文言なんですが、これは食品表示基準でも別記様式の中では保存方法と言う文言を使っておりますので、問題はないということでございます。
それから、下の3つでございます。これは全て同じ意見でございます。パブリックコメントで申し上げますと、34ページを開いていただけますか。
今回ご意見をいただきまして該当部分はもう直しているため、別記様式の中で新旧ともに変わっていないんですけれども、パブリックコメントで出した案は、この原材料名という項目の下に添加物という項目名を入れていました。そもそも添加物は含んでいないんだろうというご指摘でございまして、今回の案の中では添加物という事項は様式から外して、改正案としているというところでございます。
以上でございます。
本件につきましては、事前意図公告の対象外ということになっております。
それと、すみません。有機農産物の関係の事前意図公告につきましては、意見、コメントはございませんでした。遅れましたけれども、ご紹介いたします。
以上でご説明のほうは終わらせていただきたいと思います。
阿久澤会長
ありがとうございました。
それでは、食品表示基準の施行に伴う日本農林規格の改正案についてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。
はい、どうぞ、村瀬委員。
村瀬委員
お願いというか意見なんですけれども、一部パブリックコメントで言っていた食用パームオレインの話に絡みますが、そもそも食品表示基準はJASで以前に定められていた品質表示基準は一元化されていますが、JASで品質表示基準が定められていないものの表示については、今回の食品表示基準にある意味反映されていないということだと思いますので、例えば今回の改正案の中で熟成ハム類などがありますが、ハム類に関しての品質表示基準はあったので、食品表示基準の中に反映はされていますが、熟成ハム類に関しては過去から品質表示基準がなかったので、食品表示基準には反映されず、今回の改正の中でわざわざ表示について食品表示基準の規定に従うほか、名称にあっては熟成ボンレスハムだとか云々という形で定めるという形になっています。今後このような表示に関して消費者、事業者にとってもわかりやすい食品表示の法律にしていくという観点で、今後こういった部分についても見直しをしていただけるとありがたいと思います。
阿久澤会長
ありがとうございます。ただいまの村瀬委員のご意見にどうぞ。
高崎上席表示・規格専門官
JAS規格の中での表示基準の書きぶりにつきましては、今いただいたご意見を踏まえまして、わかりやすく、なおかつ他との整合性をとる書きぶりはどうなのかといった観点も含めて検討していく必要があるのかなと考えております。ありがとうございました。
阿久澤会長
どうもありがとうございました。そのほかございますか。よろしいでしょうか。
それでは、食品表示基準の施行に伴う日本農林規格について原案どおり改正するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
阿久澤会長
異議ないようですので、その旨報告させていただきます。
ここで、議題(1)、(2)の審議結果について確認させていただきます。報告案の配付をお願いいたします。
(調査会の報告書案を配付)
阿久澤会長
ごらんいただけていますでしょうか。お配りした報告案は、いずれも原案のとおりということになっておりますが、よろしいでしょうか。
それでは、報告案の一番上にあります「(案)」、これを削除して報告することといたします。
続きまして、議題(3)のその他になりますが、事務局から何かございますでしょうか。
高崎上席表示・規格専門官
特にございません。
阿久澤会長
それでは、以上で本日の全ての議題が終了いたしました。円滑な議事進行にご協力いただきまして、ありがとうございました。議事進行を事務局にお返しいたします。
高崎上席表示・規格専門官
本日は長時間ご審議いただきまして、ありがとうございました。ご審議いただいた日本農林規格につきましては、速やかに告示ができるよう所要の手続を行っていきたいと思います。
以上をもちまして、本日の農林物資規格調査会を閉会いたします。
どうもありがとうございました。
午後5時28分閉会
お問合せ先
食料産業局食品製造課食品規格室
担当者:規格専門官
代表:03-3502-8111(内線4357)
ダイヤルイン:03-6744-7182
FAX:03-6744-0569