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農林水産省

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農林物資規格調査会議事録(平成28年6月29日開催)

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平成28年9月8日更新

担当:食料産業局食品製造課

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1.日時及び場所

日時:平成28年6月29日(水曜日)14時00分~16時32分

場所:農林水産省第2特別会議室

2.議題

(1)日本農林規格の制定について

    そしゃく配慮食品の日本農林規格

(2)日本農林規格の見直しについて

    合板の日本農林規格
    集成材の日本農林規格
    単板積層材の日本農林規格
    直交集成板の日本農林規格
    素材の日本農林規格

(3)その他

3.議事内容

髙崎規格専門官
皆さんおそろいになりましたので、ただいまから農林物資規格調査会を開催させていただきたいと思います。本日は、委員の皆様方には、お忙しい中ご参集いただきましてありがとうございます。初めに、事務局のほうから、本日ご出席の委員の皆様方のご紹介をさせていただきます。お手元の資料を1枚めくっていただきまして、資料1、委員名簿がございます。五十音順で紹介させていただきたいと思います。

まず、秋山委員でございます。
それから、阿久澤委員でございます。
井上委員でございます。
小倉委員でございます。
岸委員でございます。
清水委員でございます。
清野委員でございます。
大道委員でございます。
夏目委員でございます。
村瀬委員でございます。
森光委員でございます。
山根委員でございます。

本日は、上田委員、高増委員、丸山委員の3名の方につきましては、所用によりご欠席ということになっております。15名の委員のうち12名のご出席をいただいているということでございまして、委員の過半数を超えており、農林物資規格調査会令第6条第1項の規定に基づきまして、この調査会は成立しております。
なお、本調査会でございますが、農林物資規格調査会運営規程第6条第1項の規定に基づきまして公開となっております。本日の議事内容につきましても、ご発言いただいた方のお名前を明記の上、後日、農林水産省のホームページで公表いたします。その点、ご了承をお願いいたします。また、事前に本日の傍聴を希望される方を公募いたしましたところ、21名の応募がございまして、本日傍聴されているというところでございます。
それでは、調査会の運営規程に基づきまして、阿久澤会長に議事進行をお願いしたいと思います。阿久澤会長、よろしくお願いいたします。

阿久澤会長
阿久澤でございます。本日も円滑な議事進行にご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。それでは、議事次第に基づきまして、井上食料産業局長からご挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

井上食料産業局長
食料産業局長の井上でございます。本日は、委員の皆様方には、大変お忙しい中お集まりをいただきましてありがとうございます。また、日ごろからJAS制度に関しましてご理解、ご協力を賜りまして、改めて御礼を申し上げさせていただきます。
この調査会でございますけれども、実は農林水産省の中で昨年の10月に組織改革を行う中で、JASの担当が私どもの食料産業局に移管をされまして最初の総会でございます。この趣旨でございますけれども、食品産業、農林水産業の成長産業化に政府を挙げて取り組んでいる中で、JASにつきましても、消費者の皆様の商品選択に寄与するだけではなく、産業政策としても、このJASを戦略的に活用していこうという趣旨で、私どもの局が担当することになったわけでございます。
今後、経済・社会のニーズを的確に捉えまして消費者の皆さんの選択に資するとともに、産業についても効率化、競争力の強化に寄与するような標準化政策ということを積極的に展開をしてまいりたいというふうに考えてございますので、ご理解、ご支援を賜ればと存じます。
きょうの議題に関してでございますけれども、まず1点目は、先般、閣議決定をされました日本再興戦略等におきまして明記をされておりますように、農林水産品の輸出力の強化に向けてJASの仕組みを活用して日本産品の品質や特色を担保する制度を検討するということになってございまして、これに即して海外市場に日本産品を効果的にアピールし得るようなJASのあり方というのはどういうあり方かということで、日本産品の強みが発揮されるようなJASの規格の制定でありますとか、あるいは、その表示が一見してわかりやすいようなものにどうすればいいのだろうかといったような点を中心に、これから検討してまいりたいと考えてございます。この点につきまして、後ほどご報告をさせていただきます。
それから2点目でございますけれども、いわゆるスマイルケア食についての規格でございます。これにつきましては、この調査会の部会におきまして2月から議論をいただきまして取りまとめをいただいたということでございまして、かむことに問題がある方向けの食品の規格について、本日この総会でご審議をいただいて議決をお願いしたいということでございます。
このほか、林産物5品目の見直し案についても本日ご審議をいただければと存じます。ぜひ委員の皆様方からのご忌憚のない活発なご意見を賜われれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。

阿久澤会長
ありがとうございました。なお、井上局長におかれましては、この後所用がございますことから、ここでご退席されます。
議題に入る前に、本日の調査会の議事録署名人の指名を行います。農林物資調査会運営規程第7条第1項により、会長が指名することとなっておりますので、今回は井上委員と清水委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。次に、事務局から資料の確認及び議事内容の公表についての説明をお願いいたします。

髙崎規格専門官
では、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日お配りしている資料でございますけれども、議事次第、それから資料1が農林物資規格調査会委員名簿、それから資料の2が諮問、資料の3が日本農林規格の制定について「そしゃく配慮食品」、資料の4が林産物4品目の改正概要について、資料の5から資料の9までが本農林規格の改正についてということで、それぞれ合板、集成材、単板積層材、直交集成板、それから資料の9が日本農林規格の確認について「素材」、それから資料の10がJASの仕組みを活用した日本産品の品質・特色を担保する制度の検討について、それから、資料11がJAS規格の制定見直しの基準となっております。
それと、机上に配付させていただきましたそしゃく配慮食品の認定の技術的基準案というものがあると思います。あわせまして、本日ご欠席の丸山委員からそしゃく配慮食品についての意見書も配付してございます。
それとまた、合板と素材につきましては、規格調査の結果及び原案作成の会議の報告書ということで、ファイルで机の上に置かせていただいております。資料に過不足等がございましたら、事務局までお教えいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

阿久澤会長
それでは、議題(1)のそしゃく配慮食品の日本農林物資規格の制定について審議を始めます。本件につきましては、農林水産大臣からの諮問を受け設置した部会において、本年2月及び4月に審議されております。それでは、部会長を務められました森光委員から報告をお願いいたします。

森光委員
どうも、森光です。本件は、介護食品、特に介護加工食品について、特に民間等で規格基準が多様に存在しているということからスタートしております。公的な規格基準が必要であること、また、特に食機能に問題のある人を対象としているため、製造者に一定以上の能力が求められることから、ここのまさに第三者認証でありますJAS制度の活用が有効ですという意味で、本年の2月18日、農林水産大臣より農林物資規格調査会会長に対し、これに関する制定の諮問がありました。これに対しまして、審査のために審査会長より資料3-2の委員から成る部会が設置されまして、2月29日と4月6日の2度にわたりまして、提案された制定案について専門的な見地から議論を重ねてまいりました。特に本規格の中で中核と思われる固さに対してどのように規格をするべきか、規定に対するところに対して介護食品メーカー間のばらつきをどのように抑えるかといった点について集中的に検討をし、部会として議論をいただいたことをこの場で報告いたします。
規格内容及び議論の内容等に関しまして、詳細については事務局より説明いたします。

牟田食品製造課課長補佐
それでは、資料3と机上配付資料の認定の技術的基準によりご説明します。
資料3の前段のほうは、第1回の部会で使用した資料と同じでございます。
それでは、まず3-1ページ、下のほうにページ番号というか、打っているかと思うんですけれども、それでご説明していきたいと思います。
まず趣旨のところでございますが、本規格、そしゃくに配慮した食品の標準的な規格ということを定めるものでございますので、JAS規格の制定見直しの基準における標準規格に該当するというところでございます。
それから、資料の3-4ページをお開きください。これは介護食品の潜在的なニーズですが、現在、試算すると大体2.9兆円になってございます。これは要介護・要支援の人数と、介護サービスを受けるに当たって一日の食費の基準費用額から算出したものになります。今後も高齢者の人口も増えまして、要介護・要支援の認定者数も増加する中で、介護食品の供給拡大というのは重要な政策課題になっていると考えております。
それから、3-5ページでございます。介護食品の規模になります。これは民間の調査会社の調査結果ということになりますけれども、実際に販売されている介護食品の販売額となります。全体で既に1000億円を超えているというところでございまして、2020年の予測ではかなり伸びるんじゃないかという予測でございます。特に食機能に問題のある嚥下・そしゃく困難者用食品の伸び、これについては非常に顕著になっているという次第でございます。
3-6ページをお開きください。介護食品について、民間の規格基準というのを整理したものでございます。主な基準としまして4つ、固さに着目して、固さの区分ごとに整理いたしますと、学会分類、嚥下食ピラミッド、高齢者ソフト食、UDF区分はこのような関係になるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
3-7ページでございます。このような状況を踏まえまして、農林水産省のほうでは有識者会議の中で介護食品の供給拡大に向けて議論・検討をしてきたところでございます。平成25年2月から開始いたしまして、介護食品のあり方に関する検討会、現在はスマイルケア食普及推進会議で検討しているというところでございます。
そこの緑の枠のところに新しい介護食品の考え方というのがありますが、その下のところで整理しているんですけれども、いわゆる介護食品の範囲というのをそこで整理しまして、1つ目は、1というところですけれども、飲み込む機能に問題がある人、2つ目は、かむ機能に問題がある人、3つ目は、このような食機能に問題はありませんが、健康な体を維持して活動するための栄養補給の食品と、このように3つに区分いたしまして、実際に利用する方が店舗で購入する際、購入しやすいよう早見表を整備したというところでございます。早見表の中で区分ごとに、その右のところですけれども、黄色、赤、青とわかりやすいマークをつくったというところでございます。
平成27年4月以降、スマイルケア食普及推進会議は、スマイルケア食自体の普及推進を一層進めるため、赤、黄色の食品について規格基準をどうするか、また、マークの利用のルール、これをどうするかというのを検討してきたところでございます。昨年12月、スマイルケア食普及推進会議の中で一定の方向性が合意されたというところでございます。それが3-8ページのところになります。
こちらのほうは、昨年12月に全体的な方向性について合意されたものを整理したというところでございまして、早見表というのはここに記載されたものとなります。利用される方の状態に応じまして、どれが適当かわかるようにする。統一番号にて、色、番号の区分に応じて商品を選択できるようにすることとなります。この統一番号につきましては、別途農林水産省で利用許諾要領というルールを策定しまして、青については既に運用のほうが開始されているというところなんでございますが、黄色についてはJAS制度の基準に合致したもの、赤については特別用途食品表示許可制度で許可を受けたものに統一マークをつけてはどうかという整理がされたというところでございます。
それから次、JAS規格の制定についてというところの3-10ページをお開きください。
これは、スマイルケア食普及推進会議のほうで整理された介護食品の統一分類につきまして、固さに応じた民間の規格がどのように位置づけられるか、統一分類、黄色と赤を関連づけたというところの表でございます。黄色はかむことに問題がある人向けの食品、赤色については飲み込むことに問題がある人向けの食品ということになります。黄色は4区分、赤は3区分となりまして、番号が大きくなるほど固くなっていくというところでございます。
次の3-11ページでございます。介護食品の統一分類を整理した上でJAS規格の制定の必要性というふうになります。初めに、介護食品の伸びは非常に大きいということで、供給をしっかりする必要があるというところでございますが、介護食品というのは草創期にありまして、民間基準が複数存在する中で、特に黄色のかむこと、赤の飲み込むことということの食機能に問題がある人向けの食品のため、一定の公的な基準が必要ではないか。さらに、事業者についても一定能力以上を担保する必要があるんじゃないかというところでございます。この場合、JAS制度が活用できるのではないかということでございます。
JAS制度につきましては、JAS規格で製品の規格基準を定めて、さらに第三者認証という認証のスキームがございます。登録認定機関が事業者を認定するという第三者認証のスキーム、これがございますので、JAS制度の活用が考えられるのではないかというところでございます。
3-12ページでございます。こちら、黄色とか赤の、両方ともJAS規格で対応しようとした場合、現在、健康増進法に基づく特別用途食品許可制度というのがございます。これは嚥下困難者用食品、つまり飲み込むことに問題がある人向けの食品でございまして、この場合、消費者庁の許可を得なければならないということになっております。非常に厳格な制度ということになっておりまして、この制度が存在する中、飲み込みに問題がある部分をJAS制度で対応しようとしますと、仮にJAS格付を受けて格付、JASマークをつけても、改めて特別用途食品の許可を得なければならないということになります。
それでは、許可制度を任意制度でありますJAS制度で置きかえた場合、食品の事故の発生リスクを高めるというおそれがあるということになりまして、そこはちょっと難しいんじゃないかというふうに考えております。逆に許可制度を介護食品全体に拡大しますと、そもそも規制の必要がない黄色の部分、ここまで規制がかかるということになりますので、今後の介護食品の供給拡大というものの足かせにもなりかねないものというふうに考える次第でございます。
このようなことから、介護食品のうち、かむことに問題がある人向けの食品についてはJAS制度、飲み込みに問題がある人向けの食品は特別用途表示許可制度との対応の方向が、スマイルケア食普及推進会議で合意されたというところでございます。
次に、JAS規格の論点というところになります。
3-14ページをお開きください。スマイル食普及推進会議の議論を踏まえて、JAS規格を制定するに当たりまして3つの論点というふうに整理いたしました。1つ目ですが、JAS規格で定める項目と区分、それから2つ目が、物性基準の数値をどうするか、それから3つ目が、物性基準を定めない場合、品質格差の抑制をどうするかというところでございます。
その下の3-15ページになります。JAS規格で定める規格基準の項目・区分となります。策定するに当たりまして民間の基準がありますが、これと全く異なる基準というのをJASで策定いたしますと、現在、民間の基準を活用している、その利用者ですとか製造メーカーさんですとか、非常に混乱するんじゃないかということが考えられます。このため、JAS規格の制定に当たりましては、現在存在する基準というのをベースに考える必要があるんじゃないかというところでございます。
そこで実際の民間基準のほうですが、この3-15ページの表1、これは固さ、離水、粘度を整理したというところでございます。
次のページの3-16ページにつきましては、表の2が凝集性、付着性ということについて、民間基準ごとに整理したというところでございます。黄色、つまりかむことに問題がある人向けということでございますので、固さがメインになるんじゃないかと。固さの基準につきましては、4つの民間基準全てで規定されているというところでございます。一方、離水につきましてはUDFと学会分類には規定がございますが、そのほかでは規定されていないというところでございます。よって、全ての民間基準で固さは規定されているので、JAS規格においても規格項目として固さがメインになるというふうに考えられます。固さ以外につきましても、複数の民間基準で規定されている項目ではJASでも規定したらどうかということで、基準項目としまして凝集性、付着性、離水の程度を設けたらどうか。区分については、固さに応じて現在4区分ありますので、JASでも4区分としたらどうかというところでございます。
3-17ページになります。これは、農林水産省の補助事業で行った介護食品のウェブアンケートの結果でございますが、このうち一番右下の図4におきまして、介護食品への要望というところで最も多いのが、見た目のよさと味のおいしさというふうになってございます。介護食品でありましても、通常の食品同様、食べる楽しみに配慮する必要があるんじゃないかと、このような項目も規定してはどうかというところでございます。以上が論点1となります。
次のページが論点2ということで、物性の取り扱いというところで、3-18ページから21ページというところで記載してございます。先ほどの民間の基準でも、定性的な規定と数値の基準のあるもの、様々あったというところでございますが、3-18ページは、介護食品を製造しているメーカーにアンケート調査を行いまして、物性では固さ、付着性、凝集性について、どのような検査を実施しているかというのをまとめたところでございます。33社の結果というところでございますが、官能評価は全てのメーカーで実施しているというところでございます。固さについては基準値を設定しまして、外部検査も含みますが、測定しているところが大半でありました。一方、付着性、凝集性では、基準値を設定したり、あるいは測定しているメーカーというのが少なくなりました。
官能評価と測定値との関係でございますが、固さについては官能評価と測定値は一致する方向、傾向にありましたけれども、付着性と凝集性につきましては官能評価と一致しない傾向になったという次第でございます。
その下の3-19ページでございます。左のグラフのほうなんでございますが、これは介護食品のメーカーから固さのデータを提供いただきまして整理したものでございます。官能評価と一致する傾向にある固さにつきまして、バラツキはあるんですが、一定の範囲に収れんしているんじゃないかというふうに思われます。右のほうが民間のUDFの基準値を参考として記載してございます。
それから、3-20ページでございます。
こちらは、スマイルケア食普及推進会議、これは物性の専門家の方々にご議論いただいた内容を整理したものでございます。結論としましては、物性値をJAS規格の基準と規定するのはなかなか難しいんじゃないかと認識がされたところでございます。一番上に記載しておりますが、物性値は測定しても、測定機器の一部でありますプランジャーといいまして、押すようなところの部分なんですけれども、その大きさですとか材質、あるいは圧縮するときの速度とか測定条件によって測定値は変わってきます。ですので、絶対的な基準値を設けるのは難しいんじゃないかというようなところでございます。介護食品のメーカーにつきましても、固さを測定して基準値を設定しておりますけれども、これは品質管理の一環でやっておりまして、実際の固さの評価というところは官能評価で判断しているというようなところでございます。
その下でございますが、通常、食品というのは複数の素材で構成されておりますので、例えば肉じゃがであれば、肉かジャガイモかニンジンのうち何を測定したらいいのか。それによって固さというのが異なってくるんじゃないかということで、食品全体で判断するんじゃなくて、最も固いものの固さで判断することが適当ではないかというところでございます。
その下の最後のところなんですけれども、凝集性につきましては正しい指標にならない、測定結果と官能評価に相関関係が見られないというところから、困難ではないかということでございました。
それから、その下の3-21ページでございます。物性基準の取り扱いというところで、1つは定量基準の統一化は困難というところで、その要因としまして、測定部位とか測定条件、測定機器の種類によってバラツキが大きいというところでございます。2つ目は、測定方法の標準化は困難というところで、同じ試料を使って同じ測定方法で、幾つかの試験機関で一斉に試験を行って、一定の幅に測定値がおさまれば、測定方法を採用するということが妥当性確認をするということになるところではございますが、そもそも同じ試料を作成するというのがなかなか難しいというところでございますので、妥当性確認のための手法確立というのは困難ではないかというところでございます。3つ目が製造メーカーの状況というところでございまして、官能評価を重視しているということから、JAS規格で規定する物性基準、これは定性基準にしたらどうか。また、固さの物性値につきましては、多くの事業者が基準値を設定しまして、各々の測定方法で測定しておりますので、一定の範囲に収れんしていることから、バラツキの抑制に活用できるんじゃないかというところでございます。
それから、3-22ページでございます。
こちら、JAS認証のスキームということになります。JASは、JAS規格に合致している商品にJASマークがつけられるというところでございますが、登録認定機関で認定された事業者に限られるというところでございます。つまり、品質管理を実施しまして、安定した商品を製造できる能力を有している事業者のみが認定を受けられるというものでございます。
認定を受ける要件としまして、下のほうに点線の中で書いているわけですけれども、認定の技術的基準というのが定められております。具体的には、施設の要件ですとか品質管理の方法、品質管理の体制などを定めているものでございます。この基準を満たしているかについて、登録認定機関が事業者を審査して認定する。つまり、品質管理をしっかりできる事業者に限ることができるというところでございますので、品質格差、バラツキの抑制に活用できるというものでございます。
それから、次に3-23ページでございます。
JAS規格では、固さについて定性的な基準を規定しまして、認定の技術的基準の品質管理で担保するというようなところでございます。認定の技術的基準では、そこの紫色に書いてありますとおり、品質管理として官能評価とともに固さの基準値を設定して、そして測定する。そして、その記録を保存する。実際、各メーカーさんというのはそのようにやっているというところでございますので実行可能でありますし、また、これらの措置によって品質ですとか事業者間のバラツキというのを抑えられるというふうに考えております。
それから、3-24ページでございます。これまでの論点というのをまとめたというところになります。論点の1、JAS規格において定める規格基準の項目・区分というふうなところでございますが、基準項目としては固さ、凝集性、付着性などを規定、それから論点2としまして、物性基準の取り扱いは4区分ごとに定性基準を規定するというところでございます。論点3のところにつきましては、物性基準を設けない場合における品質格差の抑制措置、こちらにつきましては、認定の技術的基準におきまして固さの基準値を設定すること、官能評価の実施、これは経験を有する者によって実施するというところでございます。固さの測定と官能評価の実施に必要な体制、固さの測定と官能評価とを組み合わせて品質管理を実施しまして、その記録を作成・保有していることを規定しているというところではございます。そのほか、認定の技術的基準では、品質管理の責任者が受講する講習会が義務づけられているわけですけれども、その中で官能評価に関する研修を行ったり、格付検査担当者、JASの格付を担当する者ですが、技能研修というのを定期的に受講することが定められておりますので、そういった中でも官能評価とかを実地的に研修するということとなります。
また、そのJAS規格のほうで規定しているというところになりますが、事業者、これは固さの下のほうの3-25ページ、後に出てきますけれども、今、実際パブコメで出しているものでは、事業者は固さの根拠に関する情報というのを消費者に伝達することとしてございます。
それから、さらに行政のほうから各区分に対して絹ごし豆腐ですとか木綿豆腐とか焼き豆腐とか、固さの目安となるような食品群、こういったものを例示するような通知、これらの取組により、事業者間のバラツキを抑えられると考えております。
それから、3-25ページになります。JAS規格及び認定の技術的基準の概要ということになります。こちらのほうは第1回目の部会案というふうになりますので、今現在のものと若干変わってございます。固さに応じて区分は4区分となっておりまして、固さ、付着性、凝集性、離水、見た目のよさ、おいしさをあらわすものについて品質の基準としてございます。表示の基準につきましては、やわらかさの程度をあらわす用語、調理方法となります。
認定の技術的基準は一番下に記載しておりますが、品質管理として製品の固さの基準ですとか官能評価に関する事項を規定すること、固さの測定装置を備えていること、官能評価担当者を2名以上配置すること、それから品質管理の記録を作成・保存することとなります。
次に農林物資規格調査会部会での議論の概要になります。
なお、この部会の中では、JAS規格に定量基準が定められていないので、固さのバラツキを抑制することがなかなか難しいんじゃないかというようなことが部会でも論点となったところでございますが、議論の中で整理されましたので、そのほかについて記載しているという次第でございます。
3-26ページでございますが、そしゃく配慮食品の定義について、当初「そしゃく機能の問題に対応し、容易にそしゃくが出来るよう固さを調整した加工食品をいう」としておりましたが、1回目の部会後、用途や範囲、対象者を明確にするため、「高齢者、障がい者等のうち、そしゃく力の弱いものが摂取し易い性状、固さその他の品質を備えた加工食品をいう」に変更いたしました。
しかし、2回目の部会で、そしゃく力の用語が何をあらわすのか明確でないというようなご指摘がありましたので、そしゃく力の用語を用いない「通常の食品に比して、そしゃくに要する負担が小さい性状、固さその他の品質を備えた加工食品(乳児用のものを除く。)という」が部会案となったところでございます。
それから、3-27ページでございます。固さに関する用語につきまして、歯ぐきでつぶせる食品の固さの基準である「歯ぐきでつぶせる程度であること」につきまして、官能評価担当者に歯がない者がいないため、評価ができないんじゃないかというようなご指摘がありました。これに対しまして、まず弱い力でかめるというのを具体化しまして、区分名を「容易にかめる食品」としまして、「そしゃく配慮食品のうち、その固さが、容易にかみ切り、かみ砕き又はすりつぶせる程度のもの(適度なかみごたえを有するものに限る。)」と修正いたしました。それを踏まえまして、「歯ぐきでつぶせる食品」の定義につきましては、「歯ぐきでつぶせる制度」であることとしていたのを、容易にかめる食品と舌でつぶせる食品の中間程度であることと変更いたしまして、これを部会案といたしました。
3-28ページでございます。「歯ぐきでつぶせる」の用語は見直すべきではないかというご意見でございました。考え方としまして、「歯ぐきでつぶせる」あるいは「かまなくてよい」などは、固さの段階というのを表現しているものでありまして、それぞれの固さの程度を代表する用語として規定していることとし、そのままといたしました。また、歯ぐきでつぶせる程度等の固さの基準は、固さがどの程度であるのか、消費者の方にわかりにくいんじゃないかというようなご意見がありまして、摂食時の内容物の固さの基準の項目、JAS規格のところに、事業者が各区分の固さに該当する根拠等の情報を消費者の方に伝達できるような体制を整備するということをJAS規格に規定したというところでございます。
それから、3-29ページ、摂食時の内容物の性状につきまして、食品としての形状が何を指すのかわかりにくいというご意見と、それから、「異味異臭がないこと」の文言、これはかみやすさの基準、こういった規格に不要ではないかというようなご意見がありました。ご意見を踏まえまして、「異味異臭」については削除するということといたしまして、「食品としての形状を有している」ことにつきましては、食欲をかき立てるような見た目のよさというのがやはり重要じゃないかと考えましたので、「一般に飲食に供される食品としての外観及び食味を有していること」ということといたしました。
次に、3-30ページでございます。これはパブリックコメントとなります。11件あったという次第でございます。事前意図公告はございませんでした。時間の都合上、主なものと思われるものを4点ご紹介したいと思います。
次のページの3-31ページでございます。本規格は不要ではないか。健康増進法のもとで行うべきではないかというご意見でございます。考え方としまして右のほうに書いてあるわけですけれども、平成21年3月まで、健康増進法における特別用途食品許可制度におきまして、そしゃく困難者用食品というのが規定されておりました。「規制改革推進のための3か年計画」に基づいて設置されました「特別用途食品制度のあり方検討会」におきまして規制の必要性はないと整理されまして、健康増進法の対象外とされたところでございます。
一方、現在多様な民間の規格基準が存在しているということから、介護食品の需要拡大のためには利用者の選択に資するよう、かむことに問題がある人向けの食品についても、任意の統一的な公的規格の制定が必要と考える次第でございます。このような観点を踏まえまして、スマイルケア食普及推進会議での専門家の方々のご検討を経て、介護食品のうち、かむことに問題がある人向けの食品についてはJAS制度で対応するとしたところでございます。
本規格についてですけれども、事業者への認定要件であります認定の技術的基準におきまして、認定事業者が製品の固さの基準値に関する事項、官能評価に関する事項等について、品質管理の実施方法を定めた内部規定を整備するということとしまして、その品質管理の実施状況、これは第三者であります登録認定機関が監査するとしてございます。これによって、各製品の分類への適合性が確保されまして、制度の適切な運用が可能になると考える次第でございます。
それから、3-33ページをお開きください。下から2個目の欄でございます。ご意見は、「容易にかめる」等、本規格において定義された用語は、JAS規格が独占すべきではないかというご意見でございます。考え方としまして、先ほどの説明と重複になりますので割愛しますけれども、いわゆるそしゃく困難者用食品というのは規制の必要性はないと整理されまして、健康増進法の対象外というふうにされたというところでございます。その趣旨に鑑みまして、JAS制度により新たに名称の規制を課すというところにつきましては考えていないというようなことでございます。
それから、3-35ページでございます。上から2個目の欄でございます。ゲル状のものでなくても著しい離水はあるべきではないというご意見でございます。こちらにつきましては、ご意見のとおり、ゲル以外のものにつきましても、多量の離水が生じないよう「著しい離水がないこと」に修正するというようなところでございます。その下でございます。下の欄でございます。固さの客観的な数値での基準、それから測定方法を設定すべきではないかとのご意見でございます。これは4件と関連するということで、もう1件あった次第でありまして、考え方につきましては、事業者への認定要件である認定の技術的基準におきまして、認定事業者が、製品の固さの基準値に関する事項ですとか官能評価に関する事項について、品質管理の実施方法を定めた内部規程を整備することとしまして、品質管理の実施状況を第三者機関である登録認定機関が監査するということで、信頼性を担保してまいりたいと考えております。
それから、3-38ページでございます。この部会での専門的な見地からのご意見ですとか、今ありましたパブリックコメントを踏まえまして、案としてご提示したものが、このJAS規格及び認定の技術的基準の概要となります。区分は4区分ありまして、固さの程度、離水等を規定してございます。
認定の技術的基準につきましては下のほうに記載しておりますが、このほか、品質管理の責任者が受講する講習会において官能評価を含んだ研修を行うとか、格付検査担当者が技能研修を定期的に受講することとなります。さらに、その区分に応じて例示となるような食品群というのを通知等により示したいというふうに考えておりまして、こういったことによって、事業者間のバラツキを抑えられると考える次第でございます。
次のページ、3-39ページでございます。具体的なJAS規格となります。ほかのJAS規格同様の構成となっておりまして、適用の範囲、定義、第3条以降が4区分ごとの規定となってございます。
それから、最後に机上配付の資料を見ていただきたいと思うわけですけれども、これは認定の技術的基準でございます。ポイントとなるところを下線部で書いております。
1ページ目のところの机上資料の1というところ、第一の一の4、必要な機器としまして、(1)物質の圧縮応力を測定することが可能な装置ということで、レオメーターのような固さを測定する機器を持っておくこと。それから、第一の二の3の内部規程を整備していることというところでございますが、これは2ページをめくっていただきまして、(9)の製品の固さの基準値に関する事項、それから、(10)官能評価に関する事項、(18)製品の固さに係る情報の伝達に関する事項というのがありまして、事業者は基準を定めて、その規程に従って品質管理を実施する必要があります。
次に、三の1の品質管理担当者、それから官能評価担当者というところにおきまして、官能評価の経験を有する者を2名以上配置することとなります。そのほか、下線はしていないところなんでございますが、2の品質管理責任者というのがそこの2ページのところに書いてあると思いますけれども、こちらでは講習会を受講することとなっております。
また、あわせて3ページのところの五の1、格付検査担当者というところがあるわけですけれども、こちらのほうでも格付検査担当者、技能研修というのを定期的に受講しまして、こういった研修の中で官能評価に関する研修がなされるということになるかと思います。登録認定機関は、これらの品質管理ですとか管理体制、こういった状況を確認しまして、認定の技術的基準を満たしているか判断して認定をしていくということとなります。長くなりましたけれども、資料の説明は以上でございます。

阿久澤会長
どうもありがとうございました。それでは、そしゃく配慮食品日本農林規格の制定案について、ご質問やご意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。どなたかございますか。

山根委員
ご説明ありがとうございました。まずは、今、民間でさまざまなルールがあるところ、統一されてこういう方向でまとめていくということにはとても意義があるというふうには思っています。あとは統一に向けた後押しというか、適切な商品がわかりやすく表示をされていくというようなことになるように積極的に進めていただければと思います。
それで、全く初めてのJAS化ということで、いろいろ出てくるかもしれませんけれども、適宜何か課題が見つかれば見直していくということで、まずは始めていくということになろうかと思いますので、よろしくお願いします。民間でいろいろと既存のものがあって、そこの区分のルールというか、区分の数字や何かがまた新たに変わる。割と認知されている商品も多く出ているUDFの区分と比べると数字の並びも逆になるというようなこともあるので、そのあたりの混乱もないように進めていただければというふうに思っているところです。
表示のことについてちょっと質問なんですが、消費者にわかりやすく、商品に言葉で説明もされるということなんですが、この統一される数字やマークや何かも一緒に表示をされるのかどうなのかということも、ちょっと教えていただければと思いました。
それと、丸山委員からいろいろとご意見、質問が出ていると思いますので、これについても議論というか、回答もいただければというふうに思います。

阿久澤会長
ありがとうございました。では、要望、そして質問としては表示の内容、それと丸山委員の意見に対するコメントについて事務局よりお願いしたいと思います。

牟田食品製造課課長補佐
統一番号のところでございます。基本的に、このスマイルケア食で定められる統一番号につきましては、説明の中でもあったんですけれども、農林水産省の利用許諾要領の中で、こういった黄色の2から5までつけられるものはJASの認定をとったものというような形で整理していく方向となっておりますので、JASマークがつけば、そういったものをつけられるような形になるんではないかと思っております。
それから、丸山委員からのご意見というところでございますが、2ポツ目の認定の技術的基準のところでございます。これは、JAS規格には定量基準が定められていない。そのため、固さのばらつきをどう抑制するか、これについては先ほど部会長のほうからご説明もありましたけれども、部会においてもこれは論点となったところでございます。部会のご議論を踏まえまして考えているところですが、官能評価によって品質を確認する品目というのは、JASの規格では従来からあったところでございますが、今回は、認定の技術的基準に官能評価に1年以上従事した経験を持つ者を官能評価担当者としまして2名以上配置するということを明記した次第でございます。これによって、1つは事業者が一定水準の能力を有しているということが担保されるんじゃないか。また、認定の技術的基準の客観性というのが高まるのではないかということで、事業者の一定以上の能力を有するということが認定によって担保されると思います。
さらに、認定の技術的基準におきまして、説明の中でも重複になりますけれども、固さについて自主基準値を設定する、それから格付検査担当者が技能研修を定期的に受講するというようなことを規定する、各区分に対して固さの目安となる食品群とかを例示するような通知というのを出したり、品質管理責任者の受講する講習会においても官能評価に関する研修を行ったり、それから、事業者は、固さの根拠に関する情報というのを消費者に伝達するということがJAS規格で規定しているということで、こういったことによって事業者間のバラツキというのを抑制できると考えております。
それから、登録認定機関のほうのご懸念というところなんですけれども、事業者の能力というのを管理能力のみで確認する有機の部分とちょっと比較しまして、丸山委員は有機のほうの非常にご専門でございますが、飲食料ですけれども、実際の製品の品質、それからマニュアルですとか、それから設備とか、そういった外形的なところから能力を相当程度正確に判断できるのではないかということで、ISO17065を満たす審査能力を持った登録認定機関であれば適切に登録を行えるのではないかと考える次第でございます。
それから、意見書のほうの3番のJAS規格についての検査方法等、それから5番のパブリックコメントの意見と回答についてという箇所でございます。これ、まとめてご説明申し上げたいんですけれども、食品において製品の品質が完全に一致するということは、これは当然ないということはご理解いただけるのではないかと思うんですけれども、認定の技術的基準を満たすことで一定水準以上のものを安定的に供給する能力というのが担保できるということで、食料缶詰とか、もう既に官能評価を必要とするものも含めましてサンプリング検査としているところでございます。そしゃく配慮食品につきましても同様に、基準を満たす事業者であれば、安定的な供給能力を有していると判断できますので、食料缶詰と同様の検査方法というので問題ないんじゃないかと考える次第でございます。
今回のJAS制度の対象としたのは、まさに事業者が一定以上の能力ということを持っているということを担保するというためのものでございますので、弁当とか惣菜とか、そういった製造者に限らず、安定的な供給能力のない者は、そもそもこのJASの認定を受けられないということになるかと考えております。
それから、この意見書のほうの4番というところでございます。JAS規格についての個別項目ということで、これは既に説明の中で、あるいはパブコメの中であったわけですけれども、性状につきましては、一般に飲食に供される食品としての外観を有しているというところなんでございますが、内容物が商品名等から期待される外観をしているということ、例えば野菜のムースという食品としての外観を有しているものを「野菜」と表示すれば本基準に合致しないというようなことになるかと思うんですけれども、「ムース」と表示すれば、この基準に合致するということで、消費者が商品を見て期待されるものということが認識できれば、それで問題ないんじゃないかと考えております。
「かまなくてよい」という区分の食品に該当するものにつきましては、その特性というのを考えれば、外観を有しないというのが通常というか、標準というか、通常考えられますので、この基準については規定していないという次第でございます。
食味についてもご意見を頂戴しているというところなんですけれども、通常の食品としての食味があればいい、つまり良好であれば問題ないと考えている次第でございます。
あとは、(2)のかたさについてというところで、固さについて消費者に伝達される情報というのは、格付品の固さというのが、この区分に該当する根拠に関する情報というのを想定してございます。具体的には、固さの基準への適合性を官能評価とか物性値で事業者さんは確認していると説明していくと考えられる次第でございます。
それから、(2)の最後に、「第4条に『~中間程度であること。』の具体的な評価基準はあるのか」というところなんですけれども、これは先ほどの部会の中での説明で既にしておりますので、その説明のとおりというところでございます。以上でございます。

阿久澤会長
ありがとうございました。よろしいですか。

山根委員
ありがとうございました。

阿久澤会長
ただいまのところでの関連ですが、認定の技術的基準について、今ご説明いただいた中で、事業者の一定能力を担保するということについて、担保するためには定期的にチェックをしていくのか、あるいは更新制をとるのですか。もしとるのであれば、何年ぐらいが適当であるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

牟田食品製造課課長補佐
それは登録認定機関が認定事業者を認定するというところだと思うんですけれども、JAS制度の中で、これは定期的に監査をすることとISO17065のほうでなっておりますので、通常、年に1回、認定事業者に対して登録認定機関が監査すると、品質管理の状態をしっかりチェックするということになるかと思います。

阿久澤会長
更新制ですか。更新申請とかが必要になりますか。

牟田食品製造課課長補佐
一応毎年監査というのをやっておりますので、更新制というふうにはならないかと、登録認定機関自体は4年に1度の更新ということになろうかと思います。

村瀬委員
今の認定の技術的基準について、机上配付資料ということで、まだ素案段階だと思いますが、ちょっと気になるポイントがありましたので、少し意見させていただきたいと思います。三項にあります品質管理及び官能評価を担当する者の資格及び人数というところで、通常は品質管理担当者を規定しているだけですが、今回改めて官能評価担当者を入れ込んだという形だとは思います。通常、官能評価も、格付検査で行うような理化学試験と基本的には同じ位置づけということになりますと、格付検査担当者の資格要件に官能評価も入れるべきではないと思います。どちらかというと品質管理担当、あるいは責任者の責務というところにはもちろん総括的にはかかわりますが、日ごろの格付の検査という中での位置づけということで考えますと、格付検査担当者の中に官能評価担当者をきちんと置くというような位置づけのほうが、日ごろの業務の遂行の実態と合うのではないかと思います。今後詰めていく中でご検討いただければありがたいなと思います。

阿久澤会長
ありがとうございました。

牟田食品製造課課長補佐
すみません。こちらのほうで下線部を引いていないので、ちょっとわかりにくかったんじゃないかと思うんですけれども、机上資料の3のところで格付検査担当者のところのものがあるわけですけれども、格付検査担当者については、次のいずれかに該当する者であって、そしゃく配慮食品の官能評価に1年以上従事した経験を有しということで、必ず官能評価を経験した者がいるということで、しっかりそこは格付するにしても、ちゃんとそういった担当、わかる人が格付をしていくというふうに規定している次第でございます。ちょっと下線を引くのを失念しましてすみません。

村瀬委員
それは理解していますが、わざわざこの「担当者」という位置づけを記載するのであれば、格付検査担当者及び官能評価担当者としたほうが適切じゃないかなと思います。逆に品質管理担当者に追加することが本当に必要なのかなと思った次第です。

牟田食品製造課課長補佐
官能評価は、やはりこの規格のというか、この認定の技術的基準というか、肝だと思いますので、日々の品質管理、これは行われるというところなので、やはり日々の品質管理のところに品質管理の担当者とともに官能評価の担当者、これを置いていたほうが適当ではないかと、また、格付する際も、そういった経験を有した者というのが、やはり格付の担当者として適当ではないかということで、一応このように規定している次第でございます。

大道委員
この制度自体は、事業者さんに対してこういう規格でという、新しいスマイルケア食品をこれからつくっていくというときの目安になるものだとは思うんですね。それを購入する側の立場ということから考えたときに、表示基準というところに見やすい箇所に記載するということで、固さの順番に、弱い力でかめるとか、歯ぐきでつぶせる、舌でつぶせる、かまなくてよいという4つの種類が書かれていると思うんですね。それを、例えば実際にJASのマークがついて、そのJASマークの近くにそういう言葉が入るのかどうか。
もし入るとしたら、その言葉の中でちょっと気になるのは、「かまなくてよい」という言葉をそこに書かれると、ちょっとそれだけでは誤解があるのかなと。その前の品質基準のほうで「かまずに飲み込める程度」というふうに書かれていますので、かまずに飲み込める程度という、それは理解できるんですけれども、JASマークの下に「かまなくてよい」というふうに書かれていると、いろいろな行動をする人が出てくるかなと。そのまま飲んじゃうとか、そういうことはないのかもしれませんけれども、買う側にきちんと伝わるような言葉というのをちょっと考えていただいたほうがいいのかなという気がしました。
これ、商品を買うのはもちろん本人じゃないかもしれないけれども、必要としている本人が買う場合もあります。そのそれぞれの立場で選ばれると思うんですけれども、この言葉の使い方、ここに書かれている言葉がそのまま表示としてそこに出ていくのかどうか、そのあたりを教えてください。

阿久澤会長
ただいまの大道委員のご指摘、ちょっとお待ちいただきまして、先ほどの村瀬委員からの格付検査担当、あるいは官能評価の担当者という、文書内での語句の使い方のところなんですが、それについてはもうよろしいでしょうか。いかがでしょう。品質管理担当者と官能評価担当者を並列にするのもちょっとおかしいと、そういうことですよね。含まれるんではないかというような……。

村瀬委員
ある意味含まれるという、もともとそういうものではないでしょうか。

牟田食品製造課課長補佐
すみません。村瀬委員のおっしゃりたいのは、つまり品質管理担当者は官能評価もやるし、あえてそこにという意味合いだとは思うんです。資料の説明の中でもしたかと思うんですけれども、官能評価というのはやはり肝だと思います。そこに今までは官能評価担当者というふうに特段明記はしていなかったんですけれども、やはりそこは、しっかりここに出すことによって、客観性とかそういったところも生まれてきますので、ここでしっかりやるんですよと、毎日の日々の品質管理の中でやるんですよといった意味合いも含めて、品質管理担当者は、今まで官能評価を確かにやっておりました。ただ、今回、明記することでそういったところを担保していきたいというふうな次第でございます。

阿久澤会長
この件に関して、他に何かご意見ございますか。よろしいでしょうか。では、よろしいですか。それでは、先ほどの大道委員からの、「かまなくてよい」という表現がJASマークの横にあるのは誤解を生じるのではないかというご指摘なんですが、それに関してはいかがでしょうか。

牟田食品製造課課長補佐
これは、関連というか、近いようなご意見というのがパブコメのほうにありまして、資料3-33ページですかね。「『かまなくてよい食品』について」というところで、一番下の欄なんでございますが、そこの中のお答えと回答する部分というのは似ているんじゃないかなと思いますので、右のところに考え方が書いてありますとおり、「かまなくてよい食品」は、そしゃくを要しないほどに、そしゃくに要する負担が小さい品質の食品であることから、そしゃく配慮食品の範囲に含まれるというふうに整理してございます。そしゃくに要する負担が小さい加工食品であっても、口の体操のために、よくそしゃくするということが重要でありまして、これはそしゃくすることで味とか感覚をつかんで食べられるということで、部会のほうで専門的な委員の方からご意見も頂戴しているというところでございます。なので、「かまなくてよい食品」についても、そしゃくというのが期待されるというところでございます。これは、スマイルケア食とか、これからいろいろと農林水産省の中で普及してまいりたいと思いますので、その中でもしっかりお伝えしたいと思います。また、かまなくてよい用語というのは、先ほど部会の資料の概要の中でもご説明申し上げたんですけれども、「歯ぐきでつぶせる」とか「かまなくてよい」というところで固さの段階というのを表現しているものでございまして、それぞれの固さの程度を代表する用語として、そのまま規定したいと思っております。
ただ、各区分に該当するところの根拠につきましては、消費者の方がわかるように、事業者が消費者からの問い合わせに対応できるというような体制を整備するということで、JAS規格に盛り込んだという次第でございます。

夏目委員
ご説明ありがとうございます。2回の部会を経てさまざまな論点がありました中から、資料の26ページから29ページに収れんをしていって、その結果、100%ではないにしろ、100%にできるだけ近づけていただいて、今回のそしゃく配慮食品のJAS規格案が出てきましたことは大変ありがたいというふうに思いまして、私自身はこの案について賛成をいたします。消費者にとりまして、商品選択の上でやはり手助けになるだろうというふうには思います。その意味では大変ありがたいというふうに思う反面、もう少しお伺いしたいのは、消費者にとってはプラスになる、これは明らかだと思うのですけれども、事業者のほうが新しいJAS規格の格付をどの程度とっていくかということはとても大きな問題で、現状でも格付品はどちらかというと低下している。JAS規格の格付品をとる事業者が低下しているという傾向の中で、新しいJAS規格を設けていくわけですから、そこでもって新しい認定事業者をふやしていくための努力というのが非常に求められるだろうというふうに思います。
今回初めて認定の技術的基準案というのが出されてきましたけれども、結構厳しいなというふうに消費者から見ても思いますし、そういう中で事業者がどれだけこれをとってくれるのかなと期待しつつも、実際にこのJAS規格を考えていくときには、当然事業者とのやりとりをなさったと思いますので、消費者側ではなくて製造業者、事業者側の意向のようなものを少し教えていただければ、心配もなくなるのかなというふうに思います。JAS規格、格付は利用されてこそ意味があるというふうに思いますので、ぜひお聞かせください。

阿久澤会長
ありがとうございます。それでは、事業者の意向というか、感想というか、そういったものはどんなことがあったか、お聞かせください。

牟田食品製造課課長補佐
事業者でいえば、主にUDFさんの団体になるんじゃないかと思うんですけれども、現在70社ぐらい会員としておられるようですけれども、そういった方々がJASマークをまさしく活用して、つけて、それで統一番号をつけていただきたいなと、つけていっていただけるだろうなというふうに期待しているところでございます。もちろん活用されないと、やはりJASとしても意味がないので、そこは事業者さんによく説明していきたいと思っております。
また、この認定の技術的基準は、確かに官能評価担当者を2名以上置くというような新たな、今までだったら品質管理担当者がそのままやっていたというようなところをしっかりと明記したというようなところで、若干厳し目のところもあるんですけれども、そこはこういった品目特性というか、官能評価というところが肝になりますので、それは規定しているという次第で、ただ、認定事業者さんの対象となるそういった業界の方からも、大体こういった内容であれば対応できるんじゃないかと聞いているというところでございます。

夏目委員
ありがとうございました。

清水委員
企業の消費者対応部門の責任者などからなる事業者団体でございますので、私もそしゃく配慮食品に関しヒアリングをしてみました。規格案にも、問い合わせを消費者ができるように窓口を明記することとか、書いてございますので、UDFの食品をつくっている企業さんも含めまして聞いてみました。現時点においては、病院や介護関係者からの問い合わせのほうが多く、消費者の方からは、病院などで食べて家でも食べたいからどこで売っているのかとか、この柔らかさのものはどのカテゴリーに入るのかとか、そういった問い合わせは来ていると伺っています。企業の中では、消費者部門がフロントラインといいますか、消費者からのお問い合わせなどに直接対応することになりますので、新たな規格についてもわかりにくいのはとても困る、わかりやすくしてほしいということを希望として言われました。
今もいろいろな既存の民間規格などがあるので統一してわかりやすくする、というお話がありましたが、JASで一本化されたことでわかりやすくなって説明が簡単になり、マークも消費者にわかりやすいものをつくってほしいと思います。そういう意味で言いますと、先ほど統一分類で番号をつけるというお話がありましたが、資料の3-10です。統一分類の黄色の2、3、4、5とありますが、番号による分け方については、規格に何も言及がありません。きょう一緒にもらった林産物の規格では、JASのマークでここに何を書くとか、これを書くのを追加しましょうとありますが、番号を入れますというのはどこにも書いていないので、どうやってわかるのかなと。表示の小さい文字でいっぱい書いてある中で、かめるとかつぶせるとか、自分で読み取るのか、マークはJASのマークだけがぽんとついているのか。JASマークと番号と両方セットで使いなさいというなら、規格に盛り込むほうがわかりやすいと思います。
それから、番号のつけ方で赤の番号は消費者庁で決めているということですが、柔らかいから固いまでの番号付けが、0、0、1、2、2、3、4、5で、0が2個あって、2が2個。赤の2と黄色の2があるのでとてもわかりにくいです。0、1、2、3までが赤で、4、5、6、7が黄色という段階的になるか、または赤なら赤で0、1、2、3、黄色なら黄色で0、1、2、3というふうに段階的に進むというふうにわかりやすくしてほしい。同じ2番なのに、書き方も、UDFの分類では、どちらも「かまなくてよい」ですが色が違います。先ほどのご質問も、「かまなくてよい」というんだったら、嚥下食品のほうじゃないかというのに似通ってくると思うんですけれども、例えば学会分類でいきますと、黄色の2番のものは2-2で「不均質なものを含む」と書いてあるので、かまなくてもよいが不均質なものは含んでいるとか、赤のはかまなくてもよくて不均質なものはないとか、わかりやすくつけていただかないと、事業者の消費者対応窓口でも説明できませんし、ただでさえ場所がなくて、表示するものがたくさんある中で、どのように表示していくか困るのではと思います。
UDFさんも、マークを10年以上やっていらっしゃいますので、ぱっと切りかえられるのか、十分な説明が必要になります。
それから、消費者から問い合わせがあった場合に、品質の固さについては事業者において説明してくださいとありますが、説明の仕方が決まりがないというか、数値的な基準がない。官能評価だけで普通のほうのものはできるということですけれども、UDFさんは数字で決めていらっしゃいます。そういうものをつくらないと、事業者ごとに言い方が異なりわかりにくくなる恐れがあります。消費者が買うときには、「容易にかめる」とか「歯ぐきでつぶせる」というのはわかると思いますが、黄色の「かまなくてよい」というのと、赤の「かまなくてよい」は何が違うんですか、「舌でつぶせる」と「かまなくてよい」は何が違うんですか、と問い合わせがあった場合に、どういうふうに答えるのか。数値的な基準とか説明する基準を、ある程度統一しておいたほうがわかりやすいのではないかと思います。

阿久澤会長
どうもありがとうございました。事務局のほうから、事業者の意向についてご説明をいただきましたが、さらに事業者としてわかりにくい点を何点か、清水委員のほうから今ご指摘がありましたけれども、その辺につきましてはいかがでしょうか。

神井食品製造課長
ご質問いただきましてありがとうございます。先ほどのご質問にもあったんですけれども、今回のこの規格案の整理というのは、大きな流れとしては、民間の中でいろいろな規格基準で出回っているものを統一してわかりやすくしていこうということ。それと、現在出回っている商品のビジネスに混乱を来さないということ、これをわかりやすくということと両立しようということで、25年2月以来、ずっと関係者の方にお集まりいただいて議論しておるんですけれども、その関係者の皆さんの意図を酌み取って設計してご提案させていただいているつもりでございます。
今のお尋ねの点で1つ分けてお話ししておいたほうがいいなと思っていますのは、黄色、赤、青の番号の部分は、実はJAS規格の外の話でございまして、既存の許可制度があるものなども含め、スマイルケア食として皆さんが一覧性を持ってごらんいただきやすいように、お話もありましたけれども、施設から在宅、在宅から施設へ動かれる際にも、そこの継ぎ目が途切れなく皆さんがお選びいただけるように、番号を選んでいただけるようにということで、スマイルケア食の普及推進の中でご議論いただいてきたものでございます。黄色の役割は必要だと、それについては第三者認証で任意のものがいいねというときに、じゃ、それはJAS規格で受けさせていただくのが一番よろしいんじゃないかということで、本日ご提案したような規格案になっております。規格案の中には、JAS規格の中にも「かまなくてもよい」とか、シンプルな、どういった柔らかさであるか、固さであるかということについてのメッセージは必ず伝わるようになっておりまして、JAS規格をとっていらっしゃる方が私どもにご要望いただいたときに、黄色のナンバーを振っていただけるという仕組みになっています。
私どもでは、売り場で皆さんがごらんいただくときは黄色、赤、青が一覧性を持ってごらんいただいて、その中で飲み込みにくいということに問題を感じていらっしゃる方は赤の色をお選びいただき、かむのが困る、固いのが困るという方は黄色のものを選んでいただいて、そういう困ったことはないんだけれども栄養が足りなくなるんじゃないかなというご不安を感じていらっしゃる方が青を選んでいただくというような、全体を一覧性を持って選んでいただくようなマークというのを展開したいと考えております。黄色と赤との番号を振っていただく際に、特別用途許可をとっていらっしゃる方が私どもに申請していただくと赤を使っていただいていいですよとする一方で、黄色については固さが関係するので、しっかりした第三者認証という制度を設けましょうということを整理させていただいたのが本日の提案でございます。
ご質問のあった黄色の2と赤の2のような話ですけれども、これも従来から柔らかさではほとんど同じなんですけれども、飲み込みやすさをお客様に訴求して売られる場合には、やっぱり許可をとっていただかないと事故の可能性があるからということで、かなり厳しい制度が置かれている。飲み込みにくい方向けに大丈夫ですよということは訴求しない、柔らかさだけを訴求するという場合に、柔らかさはほぼ近しいんですけれども、それはJAS規格で柔らかさだけを訴求していただく商品として販売していただくということで使い分けていただく。今、事業者さんのフロントラインとおっしゃいましたけれども、説明を求められる方々がご説明いただくときには、赤ですから、飲み込みにくい、嚥下が困難な方は赤を選んでくださいよとお答えいただく。飲み込みにくいということをお感じでない方は黄色を選んでくださいよということをお答えいただくというような形になろうかと思います。
それと、お問い合わせいただいたときの根拠をどう示すかということなんですけれども、これは官能検査だけというわけじゃございませんで、各社さんが各社さん独自の自社基準をちゃんと持ってくださいということを規格の中でお願いしておりますので、そうすると、我が社はこういう考え方で、こういうはかり方で、この固さを確保していますということをご説明いただくのは、各社の相談窓口の方はかなり効率的にやっていただけるようになるんじゃないかなというふうに期待しているところでございます。

清水委員
先ほど、JASをとった人はこの黄色のマークをつけていただきますというご説明でしたが、とっていない商品は、黄色いマークはつけられないことになるのでしょうか。

神井食品製造課長
そうです。

清水委員
そうすると、お店で選ぶときに赤、黄、青で選びやすくなるということでしたが、例えばUDFの商品を今までどおりつくっていて、でもJASはとらなくてもいいかなといった事業者は、同じような商品でも黄色のマークはつけられない。

神井食品製造課長
つけられない。ばらばらにあるものを統一感を持って皆さんにご覧いただく。一定のスマイルケア食という食品群のボリュームがある。それをお客様に見ていただいて、選んでいただきやすいようにしようというのが今回のこの赤、青、黄色の仕組みでございます。特定の事業者さんを固定してお答えするのが適当かどうか、ちょっと逡巡するところではありますけれども、今、既存の制度を持っていらっしゃる事業者さん、あるいは学会分類の既存のものを使っていらっしゃる事業者さんも、この際大同団結して一緒にこの制度に乗りましょうということを、ここ数年間かかって議論してきて、そこで皆さん、ここだったら何とか大丈夫というふうにおっしゃっていただけたところをご提案しているというのがこの制度でございます。

清水委員
そうであれば、やはり規格の第3条のところに、表示の仕方は黄色の2番ですというふうに書いたら何がいけないのかわからないのですけれども。

神井食品製造課長
この点については、制度的にどう扱うかという論点かもしれないんですけれども、私どもの現状の判断では、JASの制度の外の特別用途食品という消費者庁所管の許可制度というものと、JASの第三者認証ほどの厳重な任意の制度は必要ないけれども、皆さんにわかっていただきたい青の制度というもの、これを一覧性を持ってごらんいただくために、一気通貫で赤、青、黄色のルールは一回つくったほうがいいと、これは私どもの通知の利用許諾要領というものを整理させていただきます。それと慎重に扱わなければいけない既存の制度とくっつけさせていただいているということなので、JAS規格はJAS規格、特別用途食品は特別用途食品の許可制度ということをきちんと各省庁が責任を持って運用する、あるいは告示を出していくというのと、私どものほうは、それを持っていらっしゃる方は黄色を使っていただいていい、赤を使っていただきたいというマークで一覧性を持っていこうということを連動させるのが適切であるというふうに現時点では考えて、こういうご検討をさせていただいています。

阿久澤会長
よろしいでしょうか。どうぞ、秋山委員。

秋山委員
今までの質問とかぶってしまうと思うんですけれども、調査会で何度か説明を受けていても、これだけ質問が出るということは、一般消費者からすると、ぱっと見てもなかなかわかりにくいものだと思うんですね。しかもこれは省庁をまたがっているものが出されているわけなので、全体像を含め、誰がどういうふうにマーケティングをしていくのか、そのあたりを具体的に教えてください。これが明確でないと、実施されたときに、「いや、これはメーカーさんが説明してくれることだから」と言ってメーカーに丸投げになってしまうような形になっていくのは容易に想像ができます。もちろん、メーカーさんは、自分が出しているということで、これはかむことに問題がある人向けで2番なんですよとか、自社の商品を売っていく上でやっていくと思うんですけれども、それをもっと促進させるために、農水省としてできることというのはあると思うので、そのあたりを伺いたいなと思います。

神井食品製造課長
ありがとうございます。事業者の皆さん方ですとか、これは歯科医師の方、管理栄養士の方々、こういう介護食品に関するステークホルダーの方々に幅広くお集まりいただいて、ご議論いただいてご提案しているのが本日の制度ですので、普及について、そういうステークホルダーの方々のご協力をいただいて進めていきたいと考えております。これは必ずやってまいりますし、そのための普及の事業費も一定の額を確保して、一緒に制度を普及していこうと考えているところでございます。
ともすると、私の説明がかなり長い文章でしゃべってしまいましたのでわかりにくいというイメージを、私の説明が与えてしまったんじゃないかなということを懸念するんですが、お客様が手にとっていただくときは、黄色の2番、3番というものがシンプルにシールや、パッケージに表示されている。そこにはJAS規格、例えば黄色の3に該当するので、JASマークの下にそれに該当する柔らかさに対する表示がついたものが載って、それをシンプルに選んでいただく手がかりにしていただくための制度でございますし、そこの用語もなるべく混乱が出ないように、既存制度との連続性というのを重視して議論させていただいていますので、その点については、しっかり普及を取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

秋山委員
最終的にお店に陳列されるときに、よく離乳食で12カ月からとか書いてあるんですが、そういう形でメーカーをまたがって実施していくと思うんですけれども、そして、それは実際の末端のところとメーカーさんでやっていくことであるんですが、農水省としてもぜひ何らかの形できちんと周知徹底していただくことと、あと消費者庁とのまたがりとかもありますので、そういったところでもぜひリーダーシップをとってやっていただきたいと思います。

神井食品製造課長
はい。そうさせていただきます。ありがとうございます。

小倉委員
私も秋山さんと一緒に調査会のほうに出させていただいたんですけれども、本当に介護食品のことはまだまだ認知されているとは言えないと思います。縁がない人にとっては、本当にイメージすることが大変で、しかし、日々利用している人にとってはとても重要なことであると思います。これまでの商品を利用していて、区分1、2、3、4というような形で自分の頭の中にイメージしていたんだけれども、今度はどうも数字が反対になっているらしいというようなことも起こってくると思います。事業者の人たちにも本当に協力を仰いで、統一していく方向に持っていくというようなことも大事だと思いますし、先ほどのお話はとてもわかりやすかったので、そういったわかりやすい説明を丁寧にされていくということがとても大事だと思いました。以上です。

神井食品製造課長
ありがとうございます。

阿久澤会長
ありがとうございました。そのほか、ございますか。よろしいでしょうか。では、ご意見も出尽くしたようですので、制定案どおり、特に変更なく、そしゃく配慮食品の日本農林規格を制定するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長
異議はないようですので、その旨報告させていただきます。それでは、まだこの後続きますので、この辺で一旦休憩をとりたいと思いますが、10分ちょっと、45分からの開始ということでよろしいですか、事務局。それでは、45分から再開ということで、一時休憩とさせていただきます。

午後3時35分休憩

午後3時45分再開

阿久澤会長
それでは、再開させていただきます。次に、合板、集成材、単板積層材、直交集成板、素材の日本農林規格の見直しについて、一括して審議を行います。事務局から説明をお願いいたします。

中熊食品製造課課長補佐
それでは、資料の4から9になりますが、資料を使いまして林産物の5品目の日本農林規格の見直しについてご説明をさせていただきます。
林産物5品目の規格見直しにつきましては、資料2-2ページのとおり、本年6月28日に合板、集成材、単板積層材、直交集成板の4品目につきましては改正、もう一つの素材につきましては確認ということで農林水産大臣の諮問を受けておりまして、本日ご審議をしていただく次第でございます。それでは、まず最初の4品目につきまして、資料の4を使いまして説明をさせていただきたいと思います。資料の4をごらんください。
まず、資料の4-1でございます。最初に改正をいたします4品目、木質材料と一般に言われておるものでございます。これは、木材を一旦細分化をした後に接着剤などを用いて再成形したものでございまして、製造の方法により主に4種類に区分をされております。
1を見ていただきたいと思いますが、まず原料の製造の方法。主にスライスしたひき板を用いるか、又はかつらむきにしたものを一定の長さに切りそろえた単板を用いるか、これで分かれます。さらに、その原料を平行に張り合わせて柱のようにして使うもの、これは集成材。あと、LVL─アルファベットにつきましては、一般的に流通している名称でございます。このLVLといいますのはラミネーテッド・ベニア・ランバーの略でございまして、規格名は単板積層材になります。もう一つは、それを直交に張り合わせて板状にして使うものでございます。上の段、ひき板を板状にして使いますものはCLT、クロス・ラミネーテッド・ティンバーの略でございますが、規格名は直交集成板となっております。単板を直交させて板状にしたものが合板でありまして、主にこの4つがございます。
このCLTでございますが、これが最も新しくJAS化をされた材料でございます。CLTの構成について模式的にあらわしておりますが、このように、ひき板と細い小角材、あと短いものにつきましてはたて継ぎを行って使う。このような様々な材料を使いまして、これを縦横に交互に張り合わせるという形で使うものでございます。CLTはパネル状にするのですが、一般的なサイズとしては、大体3メートル掛ける6メートルといった大きなサイズでつくりますのが通常でございます。しかもこのようなさまざまな材料をいろいろまぜて張り合わせても一定の性能が出るということで、国産材の利用拡大への期待が非常に大きい材料でございます。ただ、一方で、これまではこのCLTをどのように使ったら良いのかという建築基準法関連の告示などが未整備であったため、実際にはまだ普及は進んでいないというのが現状でございます。
めくっていただきまして、資料の4-3から説明をさせていただきたいと思います。
ただいまCLTについては普及が進んでいないと申し上げたところでございますが、昨年度末でございますが、CLTについての告示がようやく整備をされまして、それによって今後、CLTは利用の拡大が期待されておるところでございます。そのため、JAS規格といたしましても早急な対応が必要であろうと判断いたしまして、今般、やや変則的ではございましたが、若干見直しを行わせていただくこととしたものであります。
4-3につきましてですが、これは建築基準法の耐火性能に関する告示の話でございます。耐火性能につきましては、CLTだけではございませんで、集成材やLVLにつきましても告示に中身が盛り込まれたものですから、これを同時に見直すこととしたところであります。建築基準法関連告示において、壁、床、屋根に使用する集成材、LVL、CLT─これは面材として使用する場合のみでございますけれども─につきましては、接着剤の性能に応じて一定幅の「もえしろ」が必要との基準が新設されたところでございます。燃えしろといいますのは、一定時間に材料が燃える大きさのことでございまして、燃えしろが小さいほど耐火性能か高い材料で、燃えしろが小さいほど耐火性能は低い材料であるというものでございます。
どのように基準が設けられたかといいますのが1の部分でございます。接着剤の種類が告示上は大きく2つに分類をされております。一つはレゾルシノール・フェノール樹脂など3種類の接着剤がございますが、これは火災時において接着性能が非常に高い接着剤でございます。ということになりますと、当然燃えにくいということでございますので、耐火性能の基準となる燃えしろの基準上は有利に分類するということであります。一方、その他の接着剤、火災時の接着性能が上の接着剤に比べれば低い。もちろん耐火性能が全くないわけではございませんが、上の接着剤よりも性能が低いものについては、基準としては不利に燃えしろが大きいものとして扱うということにしたところでございます。
ということでございますので、接着剤の種類がわからないと施工段階において非常に混乱するという心配もございましたので、今回、この表示事項の見直しの例に書いておりますように、接着剤の種類を追加して表示をすることにさせていただいたところでございます。
従来の表示事項は、ここに書いてあります使用環境のBというように、この使用環境といいますのは、このような使用環境を想定した接着剤を使っているんですよという意味でございますが、使用環境についての記載のみでよかったところを、接着剤の名称、または略号を追加して記載をしてくださいというように変えたということでございます。
なお、点線で囲った下の部分、集成材とLVLについてでございますが、基本的には柱として使うものでございまして、壁として使うことはほとんどないものでございますので、これについては、あくまでも面材として壁や床として使う場合においては表示をしてくださいというように規定をしたところでございます。この部分につきましては、集成材のパブリックコメント、資料の6-4になりますけれども、ここで全部の場合に表示が必要なわけではないだろうという意見がたくさん出ておりましたので、そのような意見を反映させていただきまして、必要な場合のみ記載をしてくださいというように規定をしたところでございます。
資料の4-4をごらんください。こちらはCLTのみの告示の内容に合わせて見直しを行うものでございますが、こちらのほうはCLTの強度性能に関する告示でございます。建築基準法関連告示において、建築物の構造計算等に必要となるCLTの基準強度がCLTを構成するラミナの等級によって定められた数字を用いて計算することとされたということでございます
例を見ていただければと思いますが、例えば、これはMx60-5-5という構成の場合、ラミナの等級は外装にM60Aで、内装にM30Aという、このようなラミナを使いなさいということがJASの基準上定められております。そのM60A、M30Aというラミナの等級に従って、決められた数値を用いて、これをまた決められた計算式に代入してCLTの基準強度を計算するようにというのが建築基準法関連告示の内容になっております。詳しい計算式は載せませんでしたけれども、そういうことでございまして、要するに外装にM60A、内装にM30Aというものをちゃんと使っていますということがわかれば、基準強度を計算することができる。逆に言うと、それがわからないと、建築業者の方などが施工段階においてラミナの基準強度がどのぐらいかというのを判別できないということになってしまいますので、それでは困るねということで、今回2に例としてお示ししておりますように、外装にこのようなラミナを使っています、内装にはこのようなラミナを使っておりますということを追加して表示することにしたものでございます。
資料の4-2にお戻りいただけますでしょうか。4-2につきましては、合板の退色試験の廃止にかかわるものでございます。これは特に先ほどの建築基準法の関連とは全く関係はございません。
最初にも説明しましたように、合板といいますのは単板、これは3枚以上ということになっておりますが、その繊維方向を互いにほぼ直角にして接着したもの。互い違いに接着してパネル状にして使うものでございます。今回見直しの対象になっておりますのは、合板の種類、主に5つございますが、この5番の部分、特殊加工化粧合板についてでございます。これは、普通合板の表面に美観や耐久性を目的として天然木以外のものを張る、もしくは木目模様などを印刷加工したりして張りつける、もしくは木目模様などを表面に印刷する、このような形でつくられている合板のことでございます。主に住宅の内装用や家具用に使われているものでございますが、これに課せられております退色試験を今回廃止したいというのが内容でございます。
退色試験といいますのは、強力な紫外線を48時間にわたって照射をして、色の変色があるかどうかというのを確認するという試験でございますが、規格が創設されました昭和30年代の後半ぐらいの話ですけれども、この当時はインクの品質などが悪く、変色による問題というのが数多く発生していたというように聞いております。一方で、ここにも書いてありますように、近年では技術の進歩によりまして変色が問題になることはほとんどない状況である。また、健康被害に直結しますホルムアルデヒドの試験のように、他の重要な試験と比較しますと市場評価に与える影響は少ないと言われております。これらを総合的に判断して、今回廃止をさせていただこうということで提案をさせていただいているところでございます。
ちなみに、この退色試験ですが、これは登録認定機関が行った試験の結果を例として出させていただいておりますが、合格率が99.8%。合格の基準は基本的に90%以上あればオーケーということですので、非常に高い合格率となっております。先ほど例で紹介しましたホルムアルデヒドの放散量試験と比べても非常に高いということでございます。もちろん、このホルムアルデヒドの放散量試験の合格率が低いというわけではございません。このような結果になっておりますので、必要性としては非常に低いということを勘案して廃止をさせていただきたいということでございます。
ちなみに、この改正案の作成に当たりましては規格調査を行っておりまして、これ自体は冊子として机上配付資料に用意していただいたとおりでございますが、合板に関しましては退色試験以外の項目についても同時に検討しておりますので、資料が非常に分厚くなっております。退色試験にかかわる部分はほんの一部分だけでございますので、余り詳しくご説明していくのは難しいと思っておるところでございますが、議論の内容自体は、ただいま説明した内容とほぼ同じ内容になっております。
なお、原案作成の会議は平成28年4月19日に行っておりまして、ただいま説明したような議論を行った結果、廃止が相当であろうという結論に至ったというものでございます。後で時間があればごらんいただければと思います。見直しに関しては以上でございまして、最後に資料の9になりますが、素材についてでございます。
素材といいますのは、伐採した木を3メートルから4メートルぐらいに、玉切りというんですけれども、カットをしまして丸太状になっている、そのような状態を素材と申します。素材自体がそのまま建築材料にできるというわけではございませんで、あくまで建築材料の原材料となるものでございます。これをさらに四角にカットしたり、平たくカットしたりしまして使うということになりますので、素材のままJAS品としての格付を受ける数量自体はごくわずかでございます。
ただ、一方で、材積の計算方法が我が国の標準的な計算方法として広く引用されているなど、業者間での取引の基準として生産の合理化や取引の単純構成化には、この規格自体が寄与していると考えられるところであります。
以上のことから、規格としては存続させるのが適当であろうと考えておるところであります。また、規格調査及び原案作成の会議の結果、改正が必要な部分というのは特にないと判断をされましたことから、現行のままの規格として存続をさせるという結論に至ったところでございます。それも冊子の中に含まれてございますが、これについては、規格作成の会議は平成271126日に開催して、ただいま説明したような結論に至ったということでございます。私からの説明は以上でございます。

阿久澤会長
ありがとうございました。それでは、林産物の5品目の改正、確認について、ご質問やご意見等がございましたらお願いしたいと思います。

夏目委員
ご説明ありがとうございます。合板の退色試験の廃止について少し確認させていただきたいと思います。
技術の進歩によって変色が問題なく、合格率も99.8%という高い数字を誇っていらっしゃって、廃止も妥当かなと思いつつ、パブコメでは廃止してもいいというご意見と、逆に廃止することには反対だという両方の意見が出されているというふうに思います。それで、この退色試験の廃止については技術が進歩したのでというご説明だったのですけれども、もう一つは、検査に使うランプの水銀がやっぱり廃止されたということに伴うというご説明は、ちょっとなかったかなというふうに思います。いただきました原案作成委員会の資料のほうには載っていますので、そういったところもあろうかと思います。
事業者のほうが廃止した場合には、メーカーによる任意の取引基準等をやっぱりつくるというような動きがあるようですけれども、そういうときに、例えば水銀が使われなくなったときに代替の試験は何でやるのかというところ、多分お考えだと思いますけれども、どういう方向にあるかということを1つお聞かせいただきたいというふうに思います。
もう一点は、やはり原案作成委員会の中でも出されたご意見かと思うのですけれども、この99.8%という、試験体数が1,836件ありますけれども、これは輸入品も含めてということでしょうか。輸入品の中には結構表面にプリントをした合板が使われているというようなこともありましたので、輸入品が即悪いというふうには思いませんけれども、この退色試験を廃止してしまって大丈夫でしょうかというところを確認させてください。以上です。

阿久澤会長
ありがとうございます。それでは、2点ありましたが、お願いいたします。

中熊食品製造課課長補佐
ありがとうございます。水銀ランプが、このたび水銀禁止条約の影響などで製造中止になるというのが今回の見直しの契機でもあったわけでございますが、ちょっとそこの部分は説明を端折ってしまいました。申しわけございません。
まずご指摘の1点目、代替ランプについてでございますが、基本的にはランプはほとんど今LEDにかわりつつあるという状況でございますので、LEDランプの中から紫外線を強力に出せるものをチョイスして退色性を確認するというのが妥当ではないかと考えております。ちなみに、業界の方からご指摘もありましたけれども、これにつきましては、JAS規格としてつくる製品ごとにずっと試験をするというわけではなくて、原材料とかが変わるとか、新しい材料を導入したときに業界のほうでチェックをしていただくというほうが、恐らく一回一回見るよりもむしろ妥当な品質確認の方法ではないかなというふうに考えております。この辺は業界の団体の方も皆さんご承知はしておりまして、パブコメの中にも、書き方はあのような書き方になっておりますが、試験の廃止自体に反対するわけではないということで、その意見の真意自体は確認をさせていただいているところでございます。もう一点のほうでございますね。少々お待ちください。

阿久澤会長
試験体数のほうですね。試験体数、輸入も含めて。

中熊食品製造課課長補佐
そうですね。申しわけございません。ここで紹介していただきました結果は、名前は伏せておりますけれども、日本の登録認定機関が行った調査の結果でございます。海外の登録認定機関、東南アジアの登録認定機関がございまして、そちらにも聞き取りは行っているのですが、そちらのほうでは不合格になった例はなかったというふうに聞いております。どのぐらいの精度でやるのかというところは認定機関ごとにも、また、退色試験の判定の結果は目で見て、変色しているね、していないねというのを人間の目で確認するという内容ですので、これは検査員の感覚によってもやや異なる部分もあろうかとは思っているんですが、そういうことで、一応海外のほうはゼロというふうに聞いているところでございます。以上でございます。

阿久澤会長
ありがとうございました。ほか、ございますか。

清野委員
CLTの表示の変更のことについて、参考意見を言わせていただきます。
説明がありましたように、3月末から4月初めにかけてCLTに関する、いろいろな建築技術基準が決められたわけなんですが、実は昨日から、この基準の説明会が始まりまして、私も出てまいりました。新しい工法だということもあって、説明の内容が非常に複雑であって難しかったんですけれども、その中で、この燃えしろ設計の説明がありまして、例えば一般的な準耐火建築物ですと、レゾルシノール・フェノール系ですと3.5センチ、その他の接着剤ですと4.5センチの燃えしろが必要であるとの説明がありましたので、設計する立場として、どちらを採用したかということを現場で確認できるようにという意味では、この表示はやっぱり必要だなというふうに感じましたので、その点を申し添えておきたいと思います。

阿久澤会長
どうもありがとうございました。そのほか、ございますか。よろしいでしょうか。そのほか、特段ご意見がないようですので、この合板、集成材、そして単板積層材、直交集成板、これにつきましては原案どおり改正し、素材については確認ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長
異議がないようですので、その旨報告させていただきます。それでは、ここで議題の(1)とただいまの(2)、この審議結果について確認させていただきます。報告案の配付をお願いできますでしょうか。お願いいたします。

(調査会の報告書案を配付)

阿久澤会長
お配りした報告案は、いずれも原案のとおりとなっておりますが、これでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長
それでは、報告案の「(案)」を削除して報告することといたします。なお、今後、告示の手続を行うに当たり、内容変更を伴わない字句の修正等が必要な場合にあっては、事務局と調整することといたします。会長一任とさせていただきたいと考えますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

阿久澤会長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
では、続きまして議題(3)のその他について、事務局からご説明をお願いいたします。

松本食品規格室長
それでは、資料10と書かれている2枚紙をごらんいただきたいと思います。
きょうの冒頭、食料産業局長からお話がございましたけれども、JASの仕組みを活用した日本産品の品質・特色を担保する制度の検討についてということで、一時期報道もされておりますこともありますので、本日は検討を進めていきますということのご報告をさせていただきたいというふうに思っております。まず、1枚おめくりいただきまして、JASの仕組を活用した日本産品の品質・特色を担保する制度の検討という紙でございます。
この春の5月、6月にかけて、いろいろと政府、あるいは与党において農林水産業、食品産業の輸出力強化ということについて議論をしてまいりました。その中で、JASの仕組みを活用した日本産品の品質や特色を担保する制度の創設を検討するというような方針がるる示されております。
一番下のところにございますけれども、「日本産品の品質・特色の担保」といいますのは、JASの仕組み自体が、農林物資の品質や特色の規格を定めて当該規格への適合性というのを認証するというのがJASの仕組みですから、ここに書かれていること自体がJASの機能、本来そのものであるということだというふうに考えておりますけれども、それをどのような形で具体化をしていくのかということにつきまして、1枚おめくりいただいて資料10-2でございます。
青い箱のところがございますけれども、まず、JASの仕組みを活用して、我が国の食品、それから農林水産物、こういったものを効率的にアピールしていけるようにするために、2つのことがまず考えられるというふうに考えております。1つ目ですけれども、日本産品の強みがアピールできるような規格をつくっていくということで、それから、そのアピールできるような規格をつくっても、それがJASマークが何をあらわしているのかがわからないと意味がありませんので、担保されている内容がわかるようなマークへと見直していくというふうに考えております。他方で、JASマークについては、国内においても高い認知度を有しております。下にございますとおり、98.5%の方が「よく知っている」、ないしは「見たことがある」というふうに回答いただいているということでございます。
他方で、横のグラフがありますけれども、この20年間の推移を見てみますと、8割の高い格付率を誇っているものがだんだんと減ってきていて、逆に格付率4割未満という、こちらのウエートが高まってきているというような傾向が見てとれるわけでございます。
この要因としては、こちらに2つ挙げさせていただいておりますけれども、JASマークが担保している価値であるとか基準といったものが、市場のニーズ、あるいは消費者のニーズ、事業者のニーズ、そういったものとミスマッチが出てきているのではないかということ、それからあとは、上とも同様ですけれども、マークによって担保されている内容がマークを見ただけでは必ずしもわからないといったようなことに原因があるのかなというふうに考えておりまして、こういったことを踏まえて、どのような規格を定めていくのかとか、あるいはマークの様式とか表示のあり方をどうするのかといったようなことを中心に、海外の取引も念頭に置きながら、JASが十分に活用されるように、そのあり方について検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。私からは以上です。

阿久澤会長
どうもありがとうございました。ただいまご説明いただきました、JASの仕組みを活用した日本産品の輸出力強化に向けた検討について、ご意見、ご質問があればお願いしたいと思います。

山根委員
この方向についてはわかったんですけれども、今あるJAS、○○JASというのがいろいろあると思うんですが、そういったものの確認というか、見直しとあわせて進めていく必要もあるかなと思うんですが、そのあたりどうなんでしょうか。

松本食品規格室長
既存のJAS規格の中身の見直しということも当然あり得る話だとは思っております。ただ、具体的なあり方というのは、まさにこれから検討していくということだというふうに考えています。

秋山委員
具体的には、どのようなアプローチでこの答えを出そうとされているんですか。どのようなやり方で方向性を出そうとされているんですか。

松本食品規格室長
閣議決定であるとか、あるいは与党から求められているのは、まずは日本産品を海外に対して効果的にアピールしていけるようなものというようなことですので、まずは我々のほうで素案をつくって、いろいろな人のお知恵も拝借しながらつくっていって、そのあり方も確認をしていくというようなことかなというふうに思っておりますが、具体的なフレーミングとか、そういったこともこれから検討していきたいというふうに思っています。

秋山委員
期間的には、どのぐらいの期間でつくられようとしているんですか。

松本食品規格室長
物にもよると思っているんですが、一応の方向感というのは年内には出すのかなというふうに思っています。ただ、それを具体的に形にしていくのは、物によってスピードは変わってくるというふうに思います。

阿久澤会長
ありがとうございました。

小倉委員
地理的表示というのが始まって、GIマークが始まったと思うんですけれども、地理的な表示に対して独立した保護を与えている国が100カ国以上あったというようなご報告もされていたと思うんです。例えばJASをつくっていくというようなことで、そういったことに類する表示をされているとか、そういったものに対して優位性を与えている国がどのぐらいあるとか、例えばどのようなものがあるとか、有機JASがオーガニックで対応しているというようなことはあると思うんですけれども、そういったものがあったら教えていただきたいなというふうに思います。

阿久澤会長
いかがでしょう。海外でということですね。

松本食品規格室長
すみません。今、直ちにお答えできるだけの材料がございません。

大道委員
今後の検討方向というところの中に書かれているように、JASマークに対する認知度というのは非常に高いのに、実際に格付の割合が減っている。そこの部分を何とかすり合わせをしないと、海外に伝えていくのに、国が伝えるだけじゃなくて、本当は例えば旅行者が日本に来てJASということを改めて認知してもらったり、いろいろと知ってもらうためのツールはたくさんあると思うんですね。そのためには、やはり認知されている割には内容がよくわかっていないという国民に対して、それからなかなか格付がふえていかないという事業者さんに対して、もっともっとその辺も再度内容をさらに、どうしたらみんなにそれを認知してもらえるか、あるいは取り入れてもらえるか、格付をしてもらえるか、そういうところを事業者さんのほうにも話をしながら、まず国内の認知度を高めて、さらに格付を高めて、それを強みにいろいろな観光客も、それからいろいろな海外のほうにも売り込んでいくという、そういう全体的な流れがないと、形だけ何かマークをつくったりアピールしようといっても、やっぱり国民から離れていく、消費者から離れていく、事業者から離れていくようなものでは余り意味がないと思うので、ちょっと根本的なところも大きく影響してくるのではないかと思うので、そのあたりも検討されればよろしいんではないかと思います。

阿久澤会長
ただいまのご意見、何かコメントはございますか。

松本食品規格室長
ありがとうございます。まさに我々も問題意識は同じでして、当然このあり方の検討においては、まさにどうやって認知度を高めていくのかとか、あるいは海外ということであれば、そもそもマークをどうやって保護していくのかとか、そういったことも、大きなパッケージで考えていくべき話だというふうに思っております。ご指摘は受けとめて検討していきたいというふうに思います。

阿久澤会長
ありがとうございました。

清水委員
ファッションの世界だと、ジェイクオリティーといって、材料から縫製まで全部日本でつくられた商品が最近出始めていますけれども、同じように、日本の材料で日本の工場で加工し、全部日本製ということで輸出するJASという新しいものをつくりたいということなんでしょうか。まずは質問させてください。

松本食品規格室長
まず、JAS制度は国家規格ですので、国際協定等々との整合性などもありますので、今のご指摘のような、日本産品ないし日本の事業者のみしか適用可能性がないようなものをつくるというのは、やや難しいのかなと。実質的に我が国の事業者が99.9%を占めるというものはあり得ると思いますけれども、そういう意味から申し上げれば、国産品であることを認証するとか、直接認証するような仕組みとは違うものだというふうに思っています。

清水委員
一番上の青色の枠のところに「日本産品の品質や特色を担保する」と書いてあるので、日本産品というところが、今私が申し上げたようなものかと思いましたが、そうでもないということでしょうか。

松本食品規格室長
ですので、何ができるのか、いろいろと知恵を絞っていきたいというふうに思っています。繰り返しになってしまいますけれども、制度の範囲内でできることとできないことが当然ありますので、ただ、この枠組みも活用できることは間違いがないわけですから、この枠組みを最大限使えるだけ使いたいというようなことで検討していきたいというふうに思っています。

清水委員
既にあるJASの製品のもので、日本の中だけでできましたよというのを、J-JASというか、取り出してつけるのもいけないという、そこも含めて検討するのでしょうか。

神井食品製造課長
松本が申し上げたことの繰り返しにはなってしまうんですけれども、例えば生産地の情報でどういうつくり方をしたかというのをオープンにするような規格は、今、ご存じのとおり、生産情報公表JASというような形でもございます。それが国内でつくられた、あるいは国内の農産物を使ったということは情報の中にインプットされて、相手に確かに伝わるように、それを国として認めていますよという形の仕立ては可能だろうと思いますけれども、それも含めて、これからどういった形で規格というものを考えていけば日本産品の魅力が皆様方に伝わりやすくなるかということを、先ほどご指摘にございましたように、総合的なパッケージで考えていきたいというふうに思っているところでございます。

阿久澤会長
どうもありがとうございます。

森光委員
極めて簡単に。私がこの委員に就任した頃、まさに昔からの丸JAS(私はクラシックJASと勝手に思っていますけれども)は、赤文字で白抜きのものと認識されて50年経っていて、そろそろ要らないんじゃないかという意見も出ていたと聞きました。今回の骨太などにて、ぜひこれを輸出JASという形ということで再考しようという動きは、局長、課長、室長を初め、皆さんの努力でJASをまだ使えると。本検討会の事前打ち合わせをしているときに、室長と課長補佐の方からの説明で一番身を乗り出して話を伺った部分でした。もう頭の中に勝手に赤白逆転した「日の丸JAS」を想像してしまい、日本の国旗と間違えるような─今、大道委員が言われたのと意見は逆になりますが、むしろ国内ではなくて、まさに狙い目としては、これが特にアジア圏でとても日本の産品がよいという中で認知利用されることは賛成です。国際規格として、ISOやいろいろなものがすでに決まっている。そういったものに対して、まさに今回のそしゃく配慮食品のような、ちょっと難しい規格基準がいい例です。例えば、おいしいと一言で言ったときに分析で出るような糖度だけではなく、もう一歩踏み込んだような日本独自の、何でおいしいんだろうというところを出すこと。それで農作物や加工品の輸出を後押しするような規格として「日の丸JAS」が世の中に出ていけば、またこれから50年先の新たなJASとなる。言い方は変ですけれども、これが逆輸入型で海外から日本に入ってくることがあるかもしれない。
おもしろいことに、有機JASについてお話を伺ったら、かえって海外の有機農産物が日本のJASをわざわざ認証を受けてから、日本に入り込んでくると。そういった面から考えると、我々はむしろ打って出たほうがよいという意味で、この輸出JASはいい方策です。それが50年続くような新しいJASへ向かっていただければと本当に期待している次第です。以上です。

阿久澤会長
どうもありがとうございます。

村瀬委員
少し参考になる意見をしたいと思います。ある意味、これはJASマークの認定事業者、我々食品事業をやっている者からするとブランドマーケティングに近いものだと思います。なぜ格付率がこれだけ下がってきているかと申し上げますと、大手企業に代表されるように、各企業はコーポレートブランドを自分たちの企業の名前によって付加価値を上げようと、そのブランドによっておいしさ、あるいは安心・安全を担保しようというためのブランドマーケティングをずっとしてきていました。それは、自分たちのマーケティングでブランドの価値を高めてきましたから、ある意味JASマークは必要なくなってきたと思います。
逆に、そういうことができないような中小零細企業にとっては、JASマークは、国がお金を出して、逆に言うとJASマークのブランドマーケティングをしていただけるということによって、自分たちの商品・産品がおいしさだとか、安心・安全だとか、そういった部分に付加価値がついてくるという形になれば、また違った見え方になると思いますので、余りこう言っては何ですけれども、大手企業というよりは、そういう中小零細、農産物も含めて、マーケティング投資のできないところに対して、いかにそういう付加価値を上げるようなことをしていけるかという視点を持つのも一つかなと思いますので、ご参考までに。

阿久澤会長
ありがとうございました。

神井食品製造課長
ありがとうございます。ご指摘も参考に進めていきたいと思います。もちろん幅広く検討いたしますので、大手企業の方がお使いになるメリットがある可能性もあわせて模索していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

阿久澤会長
どうもありがとうございます。ほかに何かございますか。

清水委員
プロモーションのほうで言えば、考えていらっしゃるとは思いますけれども、2020年の東京オリンピックに向けて、調達コードや基本原則もでき始めていますので、日本産品、このマークのものが使ってもらえるようすると広がりますので、ご検討いただければと思います。

阿久澤会長
どうもありがとうございます。ほか、ございますか。よろしいですか。皆さんから多くのご意見をいただきました。それでは、当調査会としても、この農林水産省における今後の検討を見守りたいと思います。JAS規格、JASマークが十分にうまく活用されるよう、しっかり検討されるよう、よろしくお願いいたします。
以上で本日の全ての議題が終了いたしました。円滑な議事進行にご協力いただきましてありがとうございました。
議事進行を事務局にお返しいたします。

髙崎規格専門官
本日は、長時間にわたりご議論いただきましてありがとうございました。本日ご審議いただきました日本農林規格、JAS規格につきましては、速やかに公示できるように所要の手続きを行ってまいりたいと思います。
また、次回の調査会の開催時期でございますが、現時点では未定でございます。今後、先ほどお話がありました輸出強化に向けての検討というのを行うこともあり、恐らく年明け以降になるのかなというところも想定しているところでございます。いずれにいたしましても、委員の皆様方にはおおむねの予定が立った時点でまたご連絡差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ということでございまして、以上をもちまして本日の農林物資規格調査会を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
 

午後4時32分閉会

お問合せ先

食料産業局食品製造課食品規格室
担当:規格専門官
代表:03-3502-8111(内線4357)
ダイヤルイン:03-6744-7182

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