このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

令和3年度に収集した技術的課題(現場ニーズ)

トップ


令和3年度に開催された地域研究・普及連絡会議等を通じて、国及び都道府県の行政、研究、普及の関係者から519件の現場ニーズを収集しました。

本概要のPDFファイルはこちら(PDF : 158KB)


技術的課題リストはこちら(EXCEL : 544KB)


令和2年度以前に収集した技術的課題はこちら

1.集約・整理した技術的課題の概要

(1)作目別の分類

  • 野菜、果樹、米、畜産、花きに関する現場ニーズが多く(図1)、これら上位5つの作目で全体の78%を占める

図1

図1  技術的課題の分類(作目別)

(「その他」は、特産作物、作目全般、水産品等を含む)

表1

1つのニーズが複数の作目に分類されている場合があり、各作目の計は課題件数と一致しない。

(2)技術別の分類

  • 防除、栽培、スマート農業、環境対策に関する現場ニーズが多い(図2)
  • 特に防除や栽培といった基本技術に関するもので全体の47%を占めており、こうした現場ニーズへの対策が重要
  • 近年、増加傾向にあったスマート農業に関連するニーズは昨年度と同程度(昨年度107件、今年度102件、ともに全体の14%)
  • 環境対策に関連するニーズが昨年度69件(9%)から今年度90件(12%)に増加しており、対策の必要性が高まっている

図2

図2  技術的課題の分類(技術別)

表2

1つのニーズが複数の技術に分類されている場合があり、各技術の計は課題件数と一致しない。

2.スマート農業に関する主なニーズ

(1)スマート農業技術の活用

  • (ドローン)
  • 露地野菜のドローン等を活用した生育診断と可変施肥による高精度栽培技術の開発【野菜】
  • 果樹におけるドローンを用いた農薬散布の省力化技術の開発【果樹】
  • (センシング)
  • 圃場センシングを活用した土壌病害対策支援システムの構築【野菜】
  • 水稲のリモートセンシングによる良食味米生産技術の開発【米】
  • (AI、IoT、ICT)
  • AI等を活用した要素障害の画像診断システムの開発【その他】
  • 新規栽培者の定着促進に向けたIoT技術の活用【花き】
  • ICTを活用した病害虫発生予察技術の開発【その他】

(2)システム、農機等の開発

  • 葉物野菜用収穫機の開発とスマート農機向け栽培方式の確立【野菜】
  • スポット防除ロボットの開発【野菜】
  • データ駆動型農業に適合するスマート労務管理システムの開発と実証【野菜】
  • 子牛疾病早期発見のための異常自動検知・通知システム【畜産】

3.環境対策に関する主なニーズ

(1)栽培技術や品種開発による温暖化への適応

  • 気候変動に伴い多発化する病害の抵抗性品種育成【米】
  • 気象変動に対応した麦作の生産安定化技術の開発【麦】
  • 夏季の高温干ばつに強い大豆品種の育成と生育特性の解明【豆類】
  • 気象災害を軽減する露地野菜生産技術の確立【野菜】
  • 温暖化などに対応した高品質果実安定生産技術の開発【果樹】
  • 気象変動の影響を受けにくい栽培方法の開発及び品種の育成【花き】

(2)温暖化を抑止する技術

  • 温暖化抑止のための炭素貯留型肥料の開発と利用技術の確立【米】
  • 施設園芸における再生可能エネルギーの活用技術の開発【野菜】
  • 果樹剪定枝等を原料としたバイオ炭の施用による効果的な土壌炭素貯留手法の確立【果樹】

(3)農業資材の改良による環境負荷の低減

  • プラスチック殻を使用しない緩効性肥料の肥効評価に基づく省力的施肥体系の確立【米】
  • 生分解性資材による野菜生産におけるプラスチック代替利用生産技術の開発【野菜】

(4)畜産分野における環境負荷低減技術

  • IoT技術を活用した効率的な豚舎汚水処理システムの確立と見える化
  • 中小規模畜糞燃焼工程の開発及び畜糞燃焼灰の地域資源としてのリサイクル
  • 舎廃水・脱臭排水からの窒素除去技術の開発

4.主な作目ごとの技術別分類

(1)米

  • 防除、スマート農業、栽培に関するニーズが多い(図3)
  • 防除技術に関する主なニーズは、ばか苗病、もみ枯細菌病、稲こうじ病、カメムシ、トビイロウンカ、スクミリンゴガイ等の病虫害や畦畔の雑草の防除技術の開発
  • スマート農業に関する主なニーズは、リモートセンシングによる良食味米生産技術の開発、大規模化及び大区画ほ場に対応したスマート有機農業技術の確立等
  • 栽培技術に関する主なニーズは、種子の前処理による直播栽培の苗立向上技術の確立、田畑輪換体系における省力低コスト地力維持、胴割米の早期予測・対策技術の開発等

図3

図3  米の技術別分類

表3

1つのニーズが複数の技術に分類されている場合があり、各技術の計は課題件数と一致しない。(以下、同様)

(2)麦

  • 栽培、育種に関するニーズが多い(図4)
  • 栽培技術に関する主なニーズは、実需者ニーズに対応した高品質多収栽培技術の確立、気象変動に対応した生産安定化技術の開発等
  • 育種に関する主なニーズは、栽培特性の優れる高品質食用二条大麦品種、高品質安定生産が可能な硬質小麦品種、土壌伝染性ウイルス病抵抗性や穂発芽耐性を強化した品種等の開発

図4

図4  麦の技術別分類

表4

(3)豆類

  • 防除、育種に関するニーズが多い(図5)
  • 防除技術に関する主なニーズは、薬剤耐性ダイズ紫斑病に対する防除技術の開発、顕在化害虫の発生・被害実態の解明と防除体系の構築等
  • 育種に関する主なニーズは、ダイズシストセンチュウ抵抗性やダイズ黒根腐病抵抗性を強化した品種、極小粒納豆用品種、大豆ミート向け品種等の開発

図5

図5  豆類の技術別分類

表5

(4)野菜

  • 防除や栽培に関するニーズが多い(図6)
  • 防除技術に関する主なニーズは、トマトフザリウム株腐病、ネギの黄色斑紋病斑、イチゴの白ろう果、ネギハモグリバエ等の病虫害防除技術の開発
  • 栽培技術に関する主なニーズは、タマネギの長期安定出荷体系の確立、水田露地野菜の高収益栽培技術の確立、有機栽培に適する野菜品種の探索と栽培・利用技術の実証等

図6

図6  野菜の技術別分類

表6

(5)果樹

  • 防除や栽培に関するニーズが多い(図7)
  • 防除技術に関する主なニーズは、凍霜害、ブドウ(シャインマスカット)の開花異常等の障害対策や、モモの急性枯死症、リンゴのサビ果、醸造用ブドウのカスミカメムシ類、クリのシロスジカミキリ等の病虫害防除に関する技術の開発
  • 栽培技術に関する主なニーズは、気候変動に適応した安定生産技術の開発、受粉・剪定作業の省力化、大規模経営に向けた省力化技術・樹形の開発等

図7

図7  果樹の技術別分類

表7

(6)花き

  • 栽培や防除に関するニーズが多い(図8)
  • 栽培技術に関する主なニーズは、省力化および安定生産技術の開発、多収性や均一性を向上させる技術の確立、露地栽培における気象変動に対応した栽培技術の開発等
  • 防除技術に関する主なニーズは、ユリのスミ症や葉先枯れ症などの障害対策や、キク白さび病、トルコギキョウ斑点病、アザミウマ、センチュウ等の病虫害防除に関する技術の開発

図8

図8  花きの技術別分類

表8

(7)茶

  • 防除や栽培に関するニーズが多い(図9)
  • 防除技術に関する主なニーズは、てん茶の輸出拡大に向けた害虫防除技術の開発、有機栽培に活用可能な病害虫防除技術の開発等
  • 栽培技術に関する主なニーズは、有機栽培における栽培管理・除草技術の確立、低コスト有機栽培茶生産技術の体系化等

図9

図9  茶の技術別分類

表9

(8)畜産

  • 飼養管理や防除、環境対策に関するニーズが多い(図10)
  • 飼養管理技術に関する主なニーズは、生乳の脂肪酸データを活用した飼養管理の向上、ブタのストレス評価技術の開発とアニマルウェルフェアへの対応による新たな高付加価値型養豚の確立等
  • 防除に関する主なニーズは、めん羊における永続的な線虫対策技術、牧草地におけるワルナスビの防除方法の確立、バイオテクノロジーの家畜疾病検査への応用等
  • 環境対策に関する主なニーズは、畜産汚水における窒素低減対策、養豚における密閉縦型堆肥化処理施設の高度利用技術の開発、家畜由来の温室効果ガス排出量の簡易評価法の開発等

図10

図10  畜産の技術別分類

表10

お問合せ先

大臣官房政策課技術政策室

担当者:推進班
代表:03-3502-8111(内線3128)
ダイヤルイン:03-6744-0415
FAX番号:03-6744-0204

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader