山地災害危険地対策の推進について(都道府県治山担当)
58林野治第256号
昭和58年2月8日
都道府県治山担当部長あて
林野庁指導部長
このことについては、昭和57年8月28日付57林野野治第3314号「山地災害危険地対策の推進について」(以下「通達」という。)をもって林野庁長官から通達されたところであるが、なお下記事項に留意しその実施に遺憾なきを期されたい。
記
1 通達における山地災害危険地等の定義について
(1) 「山地災害危険地」とは、「山地災害危険地区調査について」(昭和53年7月17日付け53林野治第1817号林野庁長官通達)による山地災害危険地区調査の結果に基づく山腹崩壊危険地区、崩壊土砂流出危険地区及び地すべり発生危険地区並びに営林(支)局又は都道府県が山地災害危険地区調査以降の調査によって山地災害危険地と判定した地区をいう。
(2) 「崩壊土砂流出危険地」とは、崩壊土砂流出危険地区及びその他の山地災害危険地に係る渓流をいう。
(3) 「土石流」とは、土石流のほか、泥流及び異常な掃流を含めたものをいう。
2 山地災害危険地における土石流対策の推進について
(1) 山地災害危険地に対する治山事業については、第六次治山事業五箇年計画において重点事項としてとりあげられているので積極的に推進するものとし、特に山地災害危険地区調査において危険度ランクAと判定された地区については、重点的に事業を実施するよう努めるものとする。
治山事業の実施に当たっては、昭和57年度から実施している「重点保全地区総合治山事業」及び昭和58年度から実施を予定している「土砂崩壊流出防止総合治山事業」を積極的に導入することとし、山地災害危険地の安全水準の向上を図るものとする。
(2) 山地災害危険地については、昭和58年度から実施を予定している「山地災害危険地区保安林指定調査事業」等を活用し、保安林の指定の促進を図るものとする。
また、集落等に近接する山腹斜面及び集落等に流入する渓流沿いに位置する森林は、山地災害の防止、軽減にとって極めて重要であるので、複層林への誘導等積極的な整備を図り、保全機能の強化、拡充に努めるものとする。
3 山地災害危険地の周知等について
(1) 関係市町村に提供する山地災害危険地に関する資料は、別紙1を標準として作成するものとする。
(2) 関係市町村が住民に提供する山地災害危険地に関する資料は、別紙2を標準として作成するよう指導するものとする。
(3) 関係市町村が山地災害危険地である旨を現地に表示する場合は、道府県は別紙3「表示の実施に関する方針」により市町村を指導するものとする。
4 警戒避難体制の確立について
山地災害危険地周辺における警戒避難体制の整備を図るために、水防、消防、警察等関係部局及び関係機関と緊密な連絡調整を図り、次の措置をとるよう関係市町村を指導 するものとする。
(1) 山地災害危険地ごとに、過去の山地災害発生時の降雨量、近隣の道路の降雨による通行規制基準等を参考にして、降雨量によって地域住民が警戒又は避難を行うべき基準を設定する。
(2) 予報、警報、避難命令等を迅速かつ正確に地域住民に伝達できる体制を確立する。
(3) 豪雨時において、地域住民自らが山腹面の湧水の変化、石礫等の動き、渓流における水位、音の異常な変化、流出物等の状況によって、山腹面や渓流の異常を的確に判断し、行動できるよう指導する。
5 情報の収集・伝達、防災意識の普及について
山地災害に関する情報、日常の防災活動、降雨時等の対応について、パンフレット、広報誌、有線放送、講演会等を積極的に活用し、地域住民に周知徹底を図るよう指導するものとする。
6 関係機関及び関係部局との連絡・調整について
(1) 山地災害危険地の周知、警戒避難体制の確立、情報の収集・伝達、防災意識の普及等を効率的、総合的に実施するため、都道府県の関係部局その他関係機関からなる山地災害対策推進連絡会を設置するものとする。
(2) 山地災害対策推進連絡会の運営は、別紙4の運営要領を標準として行うものとする。
(3) 崩壊土砂流出危険地と「総合的な土石流対策の推進について」(昭和57年9月1日付け建設省河砂発第50号建設省河川局砂防部長通達)における土石流危険渓流が重複する場合は、別紙5により十分調整を図り、混乱の生じないよう措置するものとする。
別紙1以下 (省略)