都道府県卸売市場整備計画の作成について
13総合第851号
平成13年5月28日
地方農政局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて
総合食料局長
卸売市場法(昭和46年法律第35号。以下「法」という。)第4条第1項に定める卸売市場整備基本方針及び法第5条第1項に定める中央卸売市場整備計画が新たに策定され、公表されたところである。
ついては、法第6条第1項及び卸売市場法施行令(昭和46年政令第221号)第5条の規定に基づく新たな都道府県卸売市場整備計画(以下「都道府県計画」という。)の策定に当たっては、上記卸売市場整備基本方針及び中央卸売市場整備計画に即するとともに、下記の事項に留意されたい。
なお、都道府県計画の作成様式等は、その作成及び利用上の便宜を考慮して従来と概ね同一とした。
おって、都道府県計画の策定・公表は平成13年9月末日までに行うことが望ましい。また、中核的地方卸売市場を都道府県計画に定める場合には速やかに策定・公表を行うことが望ましいので申し添える。
記
I 地方卸売市場整備の主要留意事項
1 地方卸売市場は、昭和46年の卸売市場法施行以来第1次から第6次にわたる都道府県卸売市場整備計画に基づき中央卸売市場と連携を図りつつ、地域における生鮮食料品等の円滑かつ効率的な流通を確保する観点から、統合等による大型化と機能の拡充が進められ、このうち地域流通の拠点となる大型の市場については、実情に応じ、公設等により整備されてきた。この結果、大都市周辺における中央卸売市場の補完的な流通の場又は地方中小都市の固有の流通の中心として、全国的に配置の進展をみている。
近年、供給面では生産・出荷単位の大型化、輸入品の増大、需要面では大手スーパー、外食産業等の大口需要者の比率の増大、流通面では卸売市場を経由しない多様な流通の拡大等卸売市場をめぐる環境には大きな変化がみられる。今後とも、地方卸売市場は流通環境の変化への対応を進めて、生鮮食料品等の地域流通の拠点として期待される機能・役割を果たしていくことが重要である。特に、地方卸売市場は流通圏内の経済社会の動向と密接していることから、流通活動を通じて地域の経済社会の発展と地域住民の生活安定に寄与していくことが重要である。
2 今回、食料・農業・農村政策審議会に総合食料分科会を設置し、食品流通審議会卸売市場部会において検討してきた結果を踏まえて新たに策定された卸売市場整備基本方針において示された地方卸売市場流通の整備に当たって特に留意すべき事項は、次のとおりである。
(1) 地方卸売市場については、卸売市場の機能が十分に発揮され、生鮮食料品等の円滑かつ効率的な流通を確保し、関係事業者の経営の改善・安定を図る観点から、引き続き統合整備を図ること。
(2) 当該市場の流通圏が広域性を有し、地域流通の拠点となると見込まれるものについては、実情に応じ公設又は地方公共団体が参加した第三セクター若しくはこれに準ずる形態での整備も考慮すること。
(3) 公設卸売市場については、公営企業の経営原則を踏まえ、健全な市場会計が確保されるよう適切な規模及び内容の施設整備と管理運営事務の一層の合理化に努めること。
(4) 消費者の品揃え、品質、鮮度への要求に対応するための衛生管理施設や低温売場施設、温度帯別冷蔵庫等の保冷施設の充実、小売店等のニーズに対応するための保管、加工処理、配送施設の設置等に配慮した施設整備を行い、市場機能の高度化を図ること。
(5) 包装廃棄物等の発生の抑制と食品廃棄物、包装容器等のリサイクルを含む処理のシステムの整備、食品の安全性の確保に対応した施設整備、周辺環境と調和し、多様な機能を発揮する都市施設としての施設整備に留意する等関係事業者の環境問題への取組を推進すること。
(6) 生鮮食料品等の安定供給という卸売市場の役割にかんがみ、防災性に配慮した施設整備を行うとともに、災害時等において適切な対応が確保されるよう努めること。
(7) 卸売市場関係者について、統合大型化を通じて資力信用の拡充、生産性の向上を図る等経営基盤の強化に留意すること。
(8) 市場内におけるLAN(構内情報通信網)の整備等により、開設者と市場関係事業者間の情報基盤の確立を図るとともに、IT(情報通信技術)の進展に対応し市場機能の強化に積極的に取組み、市場運営の効率化、流通業務の迅速化等に留意すること。
(9) 卸売市場に関する情報については、取引結果及び卸売業者の財務についての公表とともに、広く消費者に対し卸売市場の役割、生鮮食料品等に対する知識等について普及するため、インターネット等を活用し、卸売市場に関する様々な情報を広く公開・提供するよう努めること。
II 都道府県計画の作成
1 都道府県計画の作成は、別紙様式を参考として行うものとする。
2 法第6条第2項第1号の「生鮮食料品等の流通事情」については、青果物、水産物、食肉及び花きの品目ごとに各市場の実態及びその果たしている機能並びに中央、地方を通ずる卸売市場流通の実情を把握し、食生活、購買行動の変化、人口の移動又は集中等都市形成の進展の方向等生鮮食料品等の需要に影響する諸要因に十分配慮するとともに、主要産品及び地域の特産品についての供給事情を列記する等、生産、流通及び消費の動向等にも留意すること。
また、供給面では、生産・出荷単位の大型化、輸入品の増大、需要面では大手スーパー、外食産業等の大口需要者の比率の増大、流通面では卸売市場を経由しない多様な流通の拡大等卸売市場をめぐる環境の変化に対応し、地域の実情に応じた流通の確保に充分留意するものとする。
3 法第6条第2項第1号の「区域」の設定は、上記2を踏まえて、道路等交通網の整備、人口集中、流通の広域化等の状況及び自然的、経済的、社会的諸要件並びにこれらの将来における変化の見通し等を勘案して、地域の実態に即した都道府県内の流通の効率化を推進する観点から、一体的に整備することが適当と認められる区域(以下「流通圏」という。)について、青果物、水産物、食肉及び花きの品目別に行うものとする。
4 法第6条第2項第1号の「卸売市場の適正な配置の方針」は、市場配置の進展、流通圏の広域化、他の流通圏との重複の度合い、都市計画や道路等の整備計画等との整合性、商業機能の調整等を勘案して、流通圏ごとに経済的合理性及び社会的要請が満たされるような地域流通の拠点となる位置に卸売市場が配置されるよう定めるものとする。
特に、地方都市における生鮮食料品等の円滑かつ効率的な流通を確保する観点から、地域の実情に応じた地方卸売市場の統合等による整備が円滑に進められるように配慮するものとする。
5 卸売市場の整備の推進を図るため、特に必要があると認められるときは、一定の地区を近代的な地方卸売市場を開設すべき地区(以下「卸売市場整備地区」という。)として指定することができるものとする。
6 大規模な地方卸売市場であって、地域における生鮮食料品等の円滑な流通のための中核的拠点となるべき地方卸売市場については、中核的地方卸売市場として都道府県計画に定めることができるものとする。
7 法第6条第2項第2号の「卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置及び構造に関する指標」については、周辺の土地利用との調整を考慮し、都市計画等との整合性を確保し、周辺環境と調和のとれた多様な機能を発揮するよう努めるものとする。また、商品の多様化、取引方法の変化、情報化の進展、物流技術の進歩、食品の安全性及び環境に対する社会的関心の増大等に対応して必要となる施設を計画的に実施するものとし、特に、場内物流システムの開発導入、衛生管理施設、低温売場施設、温度帯別冷蔵庫等の保冷施設、保管・加工処理、配送施設、情報処理センター等の整備に配慮するものとする。
8 法第6条第2項第3号の「卸売市場における取引及び物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化に関する事項」については、原産地表示の徹底等公正・公平と効率性の両面に配慮した取引ルールの確立とその遵守、適切な価格形成を図るとともに、迅速かつ確実な決済ルールの確立、産地・消費地を通ずる広域的な情報の受発信機能の強化と情報センターとしての整備、物流の効率化と場内荷役労働者の省力化等に努めるものとする。
9 法第6条第2項第4号の「その他卸売市場の整備を図るために必要な事項」としては、
(1) 卸売市場の開設者等の、自主的・自発的努力による個性と活力ある市場づくりのための卸売市場機能の高度化に関する事項
(2) 卸売業者等卸売市場関係者の経営の安定を図るための第三者による適時適切な経営評価の実施等、経営の近代化に関する事項
(3) 卸売市場に対する指導監督体制
(4) 助成措置に関する事項
等につき都道府県の実情等に応じて定めるものとする。
10 水産物産地市場については、「水産物産地市場の統合及び経営合理化に関する方針」(平成13年3月30日付け12水漁第4504号水産庁長官通知)に規定する産地市場再編整備計画との整合性を確保する。
11 都道府県計画の策定に当たっては、関係市町村、関係業者等の意向も十分反映されるよう配慮するものとする。
12 卸売市場整備基本方針及び中央卸売市場整備計画との整合性の確保又は都道府県計画相互間の調整等については、地方農政局(北海道にあっては総合食料局、沖縄県にあっては沖縄総合事務局。以下同じ。)と連携を図りつつ行うものとする。
13 都道府県計画に基づく各卸売市場別の整備計画については、それを具体化する都度、別紙様式第2により速やかに正副2部(北海道にあっては正1部)を地方農政局の長に提出するものとする。