木材の安定供給の確保に関する特別措置法の施行について(平成8年11月1日)
平成8年11月1日付け8林野流第105号
農林水産事務次官依命通知
最終改正:令和4年3月22日3林政産第158号(令和4年4月1日施行)
木材の安定供給の確保に関する特別措置法(平成8年法律第47号。以下「法」という。)は平成8年5月24日に公布され、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の施行期日を定める政令(平成8年政令第309号)により平成8年11月1日から施行されるとともに、木材の安定供給の確保に関する特別措置法施行令(平成8年政令第310号)及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法施行規則(平成8年農林水産省令第58号)が施行されたところである。
法の施行に当たっては、下記事項に留意の上、法に基づく制度の適切かつ円滑な運用に遺憾なきを期せられたい。
なお、貴管下関係機関に対してもこの旨周知方お願いする。
以上、命により通達する。
第1法の趣旨〔法第1条関係〕
我が国においては、戦後造成された人工林を中心として森林資源が本格的な利用期を迎えており、地域の森林資源の状況に応じて、一定量の木材の安定的・継続的な供給が可能な状況にある。一方で、森林所有者等による木材供給は小規模・分散的であり、森林所有者の経営意欲や森林への関心が低下している中、森林所有者等から木材利用事業者等に至る一連の流通の合理化を進めることは一般に難しいことから、規模拡大等によるコストの低減、品質管理の向上等の合理化の取組を通じて、林業及び木材関連産業の体質強化を図り、森林所有者等から木材利用事業者等に至る効率的な木材の安定供給体制を構築することが必要となっている。
このような中、林業経営の効率化及び森林の管理の適正化の一体的な促進を図るため、森林経営管理法(平成30年法律第35号)に基づいて、同法第36条第2項の規定により公表される民間事業者への森林の集積・集約化を進め、効率的かつ安定的な林業経営の確立を図るための取組が進められているところであり、これにより、木材の安定供給に取り組む森林所有者等と需要の拡大に取り組む実需者を含めた木材関連産業の連携を強化する環境を整備していくことが重要である。
また、近年は、直交集成板(CLT)や集成材等を用いた中高層建築物、非住宅建築物、木造公共建築物、地域材活用住宅、土木・建築用資材、家具等の木製品、木質バイオマスのエネルギー利用など、木材製品に対する実需者のニーズが多様化・高度化している。 このため、実需者と木材の生産者側との連携によるマーケットインの取組を推進し、木材製品利用事業者等のニーズに応じた木材製品の安定供給体制(サプライチェーン)の構築及びそれによる木材利用の促進を図ることが重要な課題となっている。
法においては、これらのことから、森林資源の状況からみて林業的利用の合理化を図ることが相当と認められる森林の存する地域の森林所有者等(法第4条第1項に規定する森林所有者等をいう。以下同じ。)、木材利用事業者等(同項に規定する木材利用事業者等をいう。以下同じ。)及び木材製品利用事業者等(同項に規定する木材製品利用事業者等をいう。以下同じ。)との間の木材の安定的取引の確立を内容とする木材安定供給確保事業の円滑な実施を図るため、都道府県知事又は農林水産大臣による木材安定供給確保事業に関する計画(以下「事業計画」という。)の認定、森林法(昭和26年法律第249号)の特例、独立行政法人農林漁業信用基金(以下「信用基金」という。)による木材安定供給確保事業の実施に必要な資金供給を円滑にすることを目的とした業務の実施等の特別の措置を講ずる制度を定めている。
第2指定地域〔法第2条及び法第3条関係〕
1指定の趣旨
我が国森林の樹種、林齢等の資源状況をみると、地域によって差異がある中で、既に森林資源が成熟している地域、すなわち木材の供給能力が高くなっている地域がみられる。
このような地域においては、森林資源の状況からみれば、一定量の木材を安定的かつ継続的に供給することが可能ではあるものの、森林所有者の側では森林所有形態が零細かつ分散的であること、林業生産活動が停滞していること等から、木材の供給についての安定的な取引関係が確立しにくく、木材の安定的かつ継続的な供給が実現されていない状況にある。
法は、このような地域を特定し、森林所有者等から木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等に対する木材の流通の円滑化及び利用の促進を図るための特別の措置を講ずることにより、木材の安定供給を確保し木材利用事業者等の体質強化と林業の活性化を図ろうとするものであり、このため指定地域の指定を行うこととしている。
2指定地域の区域
指定地域の区域については、森林法に基づく地域森林計画及び国有林の地域別の森林計画が流域を基本とする森林計画区別に定められていることを踏まえ、森林法第7条の規定に基づく森林計画区の区域を勘案して指定することとしている。
なお、森林資源の状況、木材利用事業者等への木材流通の実態を踏まえて、都道府県知事が森林計画区の区域を超えて指定する必要があると認める場合、又は森林計画区の区域を更に分割して指定する必要があると認める場合には、都道府県内の市町村の区域を勘案して指定することとされたい。
3指定地域の要件
指定地域の要件については、林齢等の森林資源の生育状況、地域森林計画及び国有林の地域別の森林計画に定める伐採立木材積と実際の伐採立木材積とのかい離等の森林資源の利用状況からみて、適切に伐採利用を進めることにより、森林の有する木材の生産力の活用と木材の合理的利用を図るべき相当規模の森林があると認められることとするよう取り扱うこととされたい。
4指定地域の公表
指定地域の公表は、都道府県の公報に掲載することにより行うとともに、都道府県の主たる事務所及び指定地域の該当市町村を所管する従たる事務所の掲示場への掲示等の方法により行うこととされたい。
5指定地域の区域の変更等
指定地域の区域の変更及びその解除は、森林の被災等による森林資源状況の変動により、変更又は解除の必要が生じた場合に行うこととされたい。
また、法第3条第2項の変更等の公表は、4の指定地域の公表と同様の方法により行うこととされたい。
第3事業計画の認定等〔法第4条及び法第5条関係〕
1認定の趣旨
法においては、事業計画の達成のために必要な林地開発の許可、保安林の伐採許可等の手続の特例、森林組合の員外利用の特例等の森林法及び森林組合法(昭和53年法律第36号)の特例措置を講ずるとともに、信用基金による資金の供給の円滑化、国及び都道府県による事業実施に必要な資金の確保等の支援措置を受けることができることとされており、その場合、事業計画が法の趣旨、目的等に照らして適切であるか確認する必要があることから、当該事業計画について、当該事業計画に係る指定地域を指定した都道府県知事(木材利用事業者等の事業所、木材生産流通改善施設又は木材製品利用事業者等の事業所若しくは木材製品利用事業を行う区域が当該都道府県以外の都道府県の区域内に所在する場合にあっては、農林水産大臣。以下「都道府県知事等」という。)の認定を受けることができることとしたものである。
2事業計画の作成者
(1)事業計画は、指定地域内の森林の森林所有者等が木材利用事業者等又は木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等と共同して計画を作成することが必要である。
(2)森林所有者等とは、森林所有者及び権原に基づき森林の立木の使用若しくは収益をする者又は権原に基づき森林の立木の使用若しくは収益をしようとする者、例えば立木を取得した素材生産業者、森林所有者からの受託や国有林野の管理経営に関する法律(昭和26年法律第246号。以下「国有林管理経営法」という。)第8条の12第1項の規定により樹木採取権の設定を受けることによって立木を取得しようとする素材生産業者等のことである。
(3)木材利用事業者等とは、森林所有者等が生産した木材を製品の原材料若しくはエネルギー源として利用する事業者又はその組織する団体、例えば、原木を購入して製材品若しくは合板等を製造する業を営む者、原木をエネルギー源として再生可能エネルギー発電事業を営む者又は熱供給業を営む者等のことである。
(4)木材製品利用事業者等とは、森林所有者等が生産した木材を原材料とする製品(以下「木材製品」という。)を利用する事業を行う者又はその組織する団体であり、例えば木材の安定供給の確保に関する特別措置法施行令(平成8年政令第310号。以下「令」という。)第1条に基づき定められている、型枠用合板や丸太杭等の木材製品を資材として利用する土木工事業を営む者、ラミナ等の半製品を含む木材製品を原材料として集成材・直交集成板(CLT)等を製造する者やこれらの製品をプレカット加工する木材製品製造業を営む者、木材製品を利用して建築物を建築する建築工事業を営む者、木材製品を主たる原材料として木質製品・家具・建具等を製造する木製品・家具・装備品製造業を営む者、チップを原材料としてパルプ又は製紙業を営む者、チップをエネルギー源として電気業又は熱供給業を営む者、木材製品を利用して建築物のリフォームを行う建築リフォーム業を営む者等のことである。
3促進措置
(1)法においては、森林所有者等は事業計画の必須の作成者であり、木材利用事業者等又は木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等と共同して事業計画を作成する必要があるが、法第4条第2項各号に掲げる促進措置を実施する者についても任意の作成者として取り扱うこととしている。また、法第4条第2項各号に掲げる者が森林所有者等、木材利用事業者等又は木材製品利用事業者等との間で安定的な取引関係に基づき行う a(※)立木の伐採及び木材の搬出の効率化、 b(※)木材の需要の開拓、 c(※)木材の仕分及び代金決裁の効率化、 d(※)木材の輸送の効率化等の木材の安定供給を確保する上で効果的な措置を、促進措置として事業計画に含め認定を受けることができることとしている。
(2)促進措置を実施する者は、森林組合及び同連合会等においては地域における素材生産から販売までの一連の林業生産の担い手として、素材生産業者等においては素材生産の効率化の担い手として、木材卸売業者、木材取引のために開設される市場を開設する者、木材輸送業者等においては木材流通の合理化の担い手として、それぞれの専門的な観点からの役割を果たす共同作成者であることに留意されたい。
4認定の申請手続
(1)事業計画の認定を申請しようとする森林所有者等及び木材利用事業者等又は森林所有者等、木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等は、事業計画認定申請書を作成して、都道府県知事等に提出することとされたい。
(2)事業計画の記載事項は、法第4条第3項において定められたところであるが、具体的な記載内容については、それぞれ次の事項に留意されたい。
a(※)「木材安定供給確保事業の目標」
森林所有者等は、伐採箇所の集団化・順序の確保や高性能林業機械の導入等による素材の効率的な供給、生産コストの低減等の木材の生産の安定に資する目標等を記載すること。
木材利用事業者等は、製造規模の拡大、高次加工、木材製品の品質向上・付加価値の付与、製造コストの低減等の木材の流通の円滑化に資する目標を記載すること。
木材製品利用事業者等は、木材製品を利用して製造等を行った製品等の品質向上・付加価値の付与、新たな需要の開拓(安定的な販路の確保を含む。)等の木材の利用の促進に資する目標を記載すること。(法第4条第3項第1号)
b(※) 「木材安定供給確保事業の内容に関する次に掲げる事項及び実施期間」
イ 「取引関係に関する事項」
森林所有者等と木材利用事業者等又は木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等との間で合意形成された引取期間、引取場所、引取量、価格の決定、見直しの方法等を記載すること。
なお、事業計画により構築される取引関係が、一方的又は不当なものとならないよう留意する必要がある。(法第4条第3項第2号イ)
ロ 「森林の区域並びに当該区域における伐採及び伐採後の造林に関する方針」
立木の伐採を行う森林の区域並びに伐採及び伐採後の造林に関する方針を記載すること。 具体的には、市町村単位で森林の区域を特定し、伐採・造林の期間、一箇所当たりの伐採面積の上限、保残帯の設定に係る留意事項、伐採と造林の一貫作業に係る取組方針等を記載すること。
なお、地域森林計画等の内容と整合が取れているものであるよう留意する必要がある。(法第4条第3項第2号ロ)
ハ 「木材利用事業者等の事業所であって森林所有者等が生産した木材の引取りを行うものの所在地」
木材利用事業者等の事業所であって森林所有者等が生産した木材の引取りを行うものの所在地を記載すること。(法第4条第3項第2号ハ)
ニ 「木材生産流通改善施設を整備しようとする場合にあっては、当該施設の所在地、種類及び規模」
安定的な取引関係の確立と併せて木材生産流通改善施設の整備を行う場合には、その施設の種類及び規模について記載すること。
なお、法第4条第1項の認定に係る事業計画(以下「認定事業計画」という。)に記載された木材生産流通改善施設については、その整備等について配慮がなされることから、当該施設が事業計画の目的に照らして適切なものであるよう留意する必要がある。(法第4条第3項第2号ニ)
ホ「促進措置に関する計画を含める場合にあっては、当該促進措置の内容」
事業計画に促進措置に関する計画を含める場合には、その内容について記載すること。
なお、当該促進措置の実施者も認定事業者となることから、当該促進措置が事業計画の目的に照らして適切であるよう留意する必要がある。(法第4条第3項第2号ホ)
ヘ「森林所有者等、木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等が共同して事業計画を作成する場合にあっては、次に掲げる事項」
(a(※))「木材の需要の開拓の内容」
木材の需要の開拓の内容を具体的かつ適切に記載すること。(法第4条第3項第2号ヘ(1))
(b(※))「木材製品利用事業者等の事業所であって木材製品の引取りを行うものの所在地又は木材製品利用事業を行う区域」
原則として、木材製品利用事業者等の事業所であって木材製品の引取りを行うものの所在地を記載すること。ただし、事業所と異なる場所で木材製品の引取りを行うことがある場合には、木材製品利用事業を行う区域を市区町村単位で記載すること。(法第4条第3項第2号ヘ(2))
c(※)「木材安定供給確保事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法」
木材安定供給確保事業を確実に実施するため、事業の実施に必要な資金について、設備資金・運転資金別に、所要見込額及びその調達方法等の見込みについて記載すること。(法第4条第3項第3号)
d(※)「森林法第5条第1項の規定によりたてられた地域森林計画の対象となっている民有林であって保安林並びに保安施設地区の区域内及び海岸保全区域内の森林以外の森林において木材生産流通改善施設を整備するために森林法第10条の2第1項に規定する開発行為をしようとする場合にあっては、当該施設の配置及び構造」
認定事業計画に従って地域森林計画の対象となっている民有林において林地開発行為を行おうとする場合には、当該施設の配置及び構造について記載すること。
なお、国有林、保安林並びに保安施設地区及び海岸保全区域内の森林における林地開発行為については、森林法の林地開発の許可制度と同様に対象から除外されている。(法第4条第3項第4号)
e(※)「保安林の区域内において作業路網等を整備するために森林法第34条第2項本文に規定する行為をしようとする場合にあっては、当該作業路網等の配置及び構造」
保安林の区域内において作業路網、作業用索道、木材集積場、歩道、作業小屋その他伐採を効率的に実施するために必要と認められる施設を整備するために、立竹の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、下草、落葉若しくは落枝の採取又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしようとする場合には、当該作業路網等の配置及び構造について記載すること。(法第4条第3項第5号)
f(※)「木材安定供給確保事業に係る立木の伐採に関し、森林の所在場所、保安林とその他の森林との区別、伐採面積、伐採方法、伐採齢、伐採後の造林の方法、期間及び樹種その他伐採及び伐採後の造林に関し農林水産省令で定める事項」
事業計画には、森林の所在場所、保安林とその他の森林との区別、伐採面積、伐採方法、伐採齢、伐採後の造林の方法、期間及び樹種、伐採樹種、伐採立木材積、伐採の期間、集材の方法、伐採又は伐採後の造林を委託する場合はその委託先、伐採後の造林の方法別及び樹種別の造林面積、伐採後に植栽する樹種別の植栽本数、伐採後の造林に係る鳥獣害の防止の方法等を任意で記載することができる。これは、事業計画の作成時には、森林の伐採箇所等に関する詳細な事項を確定することが困難である場合もあることから、事業計画の必須記載事項としては、「森林の区域並びに当該区域における伐採及び伐採後の造林に関する方針」としている一方で、事業計画の作成時において、これらの事項を確定できる場合においては、これらの事項を任意で記載することができるようにすることにより、伐採の届出の特例(法第7条)等の特例を受けられるよう措置されたものである。
このため、事業計画の達成のために必要な伐採の届出、林地開発の許可、保安林の伐採許可等の手続の特例については、これらの任意記載事項を記載した者に限って受けることができることに留意する必要がある。(法第4条第4項)
5事業計画の認定基準
事業計画についての認定基準は、法第4条第5項において定められたところであるが、具体的な運用に当たっては次の事項に留意されたい。
a(※)木材安定供給確保事業の目標は、森林所有者等から木材利用事業者等又は木材製品利用事業者等に対する木材の安定供給を確保するため、木材の取引関係に関する事項に基づき、必要な場合には木材の生産・流通改善のための施設の整備を行い、木材の生産の安定、流通の円滑化及び利用の促進を図ることであり、その趣旨に沿った有効かつ適切なものであること。(法第4条第5項第1号)
b(※)木材安定供給確保事業が、森林法に基づく地域森林計画、市町村森林整備計画等の森林の整備に関する計画に照らして適当であると認められること。(法第4条第5項第2号)
c(※)木材安定供給確保事業の内容等が当該事業の目標を確実に達成するために、次の事項に照らし適切なものであること。(法第4条第5項第3号)
なお、木材安定供給確保事業は、森林所有者等と木材利用事業者等又は木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等との間における木材の安定的な取引関係の確立を図る事業であることから、取引関係に関する事項を必ず内容とする必要がある。
このため、木材生産流通改善施設の整備のみを内容とする事業計画は認定の対象とならないことに留意すること。
イ引取期間、引取場所等の取引方法、価格の決め方、見直しの方法等の取引関係に関する事項が、一方的かつ不当な内容のものとなっていないこと。
ロ事業の効果を確保するため事業計画に係る木材の年間取引量が安定的であること。
ハ木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等が事業計画の確実な実施を確保するのにふさわしい経営を行っている者であること。
二木材生産流通改善施設が、木材生産の安定化及び流通の円滑化を図るために必要な施設の種類でありかつ適切な処理能力を持ったものであること。
ホ促進措置が安定的な取引関係に基づき行われていること。また、その内容が立木の伐採及び木材の搬出の効率化、木材需要の開拓等木材安定供給確保事業を促進するための適切な措置となっていること。
ヘ木材製品利用事業者等が事業計画の作成者に含まれる場合にあっては、木材の需要の開拓の内容が適切なものであること。
ト木材安定供給確保事業の実施に伴い必要となる資金の額が、当該事業計画の内容及び実施期間を勘案して適切に計上され、かつ、その調達方法が適切なものであること。
チ木材安定供給確保事業に係る立木の伐採に関し、森林の所在場所等を定めた場合にあっては、素材生産が効率的に行われるよう、伐採箇所のまとまりが確保され、伐採順序が適切であることなど適切な伐採計画となっていること。
d(※)保安林の区域内において立木の伐採を計画する場合にあっては、当該事業計画に係る伐採について、当該保安林に係る指定施業要件及び伐採の限度に関し令第3条で定める基準に適合すると認められること。(法第4条第5項第4号)
また、都道府県知事等が当該事業計画につき法第4条第5項の認定をしようとする際には、通常の森林法第34条第1項に基づく許可であれば同条第6項に基づく許可条件として付すべき事項を、事業計画に計画事項として具体的に記載させる必要があることに留意されたい。
なお、次の森林又は保安林の皆伐による伐採を含む事業計画の認定に当たっては、以下の森林所有者等との調整を図るよう留意されたい。
イ森林法施行令(昭和26年政令第276号)第4条の3第1項第2号に規定する伐採年度ごとに皆伐による伐採をすることができる1箇所当たりの面積の限度が定められている森林の立木について皆伐による伐採をしようとする事業計画にあっては、当該森林の区域内の森林であって当該伐採をしようとする箇所に隣接する森林の森林所有者等
ロ森林法施行令第4条の3第1項第4号に規定する風害又は霧害の防備をその指定の目的とする保安林で皆伐後の残存部分に関する定めが定められているものの立木について皆伐による伐採をしようとする事業計画にあっては、当該保安林の区域内の森林であって当該伐採後に残存部分となる森林の森林所有者等
e(※)地域森林計画の対象となっている民有林であって保安林並びに保安施設地区の区域及び海岸保全区域内の森林以外の森林において木材生産流通改善施設を整備するために森林法第10条の2第1項に規定する開発行為をしようとする場合には、「開発行為の許可制に関する事務の取扱いについて」(平成14年3月29日付け13林整治第2396号農林水産事務次官依命通知)の第2の1及び(別記)の開発行為の許可基準に適合すること。(法第4条第5項第5号)
また、都道府県知事等が当該事業計画につき法第4条第5項の認定をしようとする際には、通常の森林法第10条の2第1項に基づく許可であれば同条第4項に基づく許可条件として付すべき事項を、事業計画に計画事項として具体的に記載させる必要があることに留意されたい。
なお、法第4条第3項第2号ニで定める当該施設の所在地並びに同項第4号で定める当該施設の配置及び構造とは、森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号)第4条で定める開発行為に係る森林の位置図及び区域図並びに開発行為に関する計画書に相当するものであることに留意されたい。
f(※)保安林の区域内において作業路網等を整備するために形質変更等行為をしようとする場合にあっては、「保安林及び保安施設地区の指定、解除等の取扱いについて」(昭和45年6月2日付け45林野治第921号林野庁長官通知)の第4の4の(12)に定める不許可要件に該当しないことが必要である。(法第4条第5項第6号)
また、都道府県知事等が当該事業計画につき法第4条第5項の認定をしようとする際には、通常の森林法第34条第2項に基づく許可であれば同条第6項に基づく許可条件として付すべき事項を、事業計画に計画事項として具体的に記載させる必要があることに留意されたい。
なお、法第4条第3項第5号で定める当該作業路網等の配置及び構造とは、森林法施行規則第61条で定める図面に相当するものであることに留意されたい。
6立木伐採の意見の聴取
地域森林計画の対象となっている民有林(保安林及び保安施設地区の区域内の森林を除く。)の立木の伐採を含む事業計画の認定をしようとするときは、森林法に基づく伐採及び伐採後の造林の届出書が市町村の長に提出されるものであること等から、法第4条第4項に規定する事項について、当該伐採をすることとされている民有林の所在地の属する市町村の長の意見を聴くこととされているので、留意されたい。(法第4条第6項)
7開発行為の意見の聴取
開発行為の実施を計画事項とする事業計画の認定をしようとするときは、森林法第10条の2第6項の規定と同様の趣旨から都道府県森林審議会及び関係市町村長の意見を聴くこととされたい。(法第4条第7項)
8農林水産大臣による協議
a(※)農林水産大臣は、次に掲げるものの実施を計画事項とする事業計画の認定をしようとするときは、それぞれの森林の所在地を管轄する都道府県知事に協議を行うので、留意されたい。(法第4条第8項)
イ保安林の区域内における立木の伐採(択伐による立木の伐採及び間伐のための立木の伐採を除く。以下同じ。)
ロ地域森林経営計画の対象になっている民有林(保安林並びに保安施設地区の区域内及び海岸保全区域内の森林を除く。)における開発行為
ハ保安林の区域内における土地の形質変更等行為
b(※)都道府県知事は、aの協議があった場合において、それぞれ次の要件に該当すると認めるときは、同意をするものとされていることに留意されたい。(法第4条第10項)
イ保安林の区域内における立木の伐採について、当該保安林に係る指定施業要件及び伐採の限度に関し、令第3条で定める基準に適合していると認められること。
ロ地域森林経営計画の対象になっている民有林(保安林並びに保安施設地区の区域内及び海岸保全区域内の森林を除く。)における開発行為について、森林法第10条の2第2項各号のいずれにも該当しないと認められること。
ハ保安林の区域内における形質変更等行為について、保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼさないと認められること。
なお、都道府県知事が aロ について同意しようとするときは、7と同様に都道府県森林審議会及び関係市町村長の意見を聴くこととされたい。(法第4条第11項)
9農林水産大臣による意見聴取
農林水産大臣が、保安林の区域内における択伐による立木の伐採及び間伐のための立木の伐採を含む事業計画の認定をしようとするときは、法第4条第4項に規定する事項について、当該森林の所在地を管轄する都道府県知事に意見を聴くので、留意されたい。(法第4条第9項)
10市町村の長等への認定の通知
事業計画(法第4条第4項に規定する事項を含むものに限る。)の認定をした場合には、森林法に基づく伐採及び伐採後の造林の届出書や森林経営計画の認定請求書が市町村の長に提出されるものであることから、当該事業計画に記載された伐採箇所の所在地の属する市町村の長(農林水産大臣の認定に係る事業計画にあっては、都道府県知事及び市町村の長)にその旨を通知することとされているので、留意されたい。(法第4条第12項)
11事業計画の実施期間
事業計画の実施期間は、木材安定供給確保事業を通じて、木材生産の安定、流通の円滑化及び利用の促進を図るという法の趣旨に照らし、一定期間以上であることが望ましいことから、おおむね5か年とするよう指導されたい。
第4認定事業計画の変更等〔法第5条関係〕
(1)都道府県知事は、認定事業計画に基づく木材安定供給確保事業の実施に遅滞があると認められる場合には、当該認定事業計画に沿って木材安定供給確保事業の円滑な実施が図られるよう指導するほか、必要に応じ、認定事業計画の変更が行われるよう指導されたい。
(2)都道府県知事は、地域森林計画において定める事項の変更等により、事業計画が認定基準に適合しなくなった場合であって、指導を行ったにもかかわらず事業計画が変更されず、その変更の見込みもないと認められる場合は、当該認定事業計画を取り消すこととされたい。
(3)また、認定事業計画に基づく木材安定供給確保事業の遂行に著しい支障が生じており、当該認定事業計画に沿った事業を実施する見込みがなく、その結果、認定基準に適合しなくなると認められる場合には、当該認定事業計画を取り消すこととされたい。
(4)都道府県知事は、認定事業計画の取消しの決定をしたときは、理由を付して、その旨を認定事業者に通知するとともに、当該事業計画に記載された伐採箇所の所在地の属する市町村の長に通知されたい。なお、農林水産大臣の認定に係る事業計画にあっては、当該通知は当該事業計画に記載された伐採箇所の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村の長にその旨を通知することとなるので、留意されたい。
第5事業計画の認定の特例〔法第6条関係〕
(1)国が森林所有者として加わって事業計画を作成し、又は変更しようとするときは、国が都道府県知事等と協議し、その協議が成立することをもって認定があったものとみなすこととしている。(法第6条)
(2)この場合、事業計画は国と民有林の森林所有者等、木材利用事業者等又は森林所有者等、木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等との共同計画となることから、都道府県知事は国からの協議があった場合、民有林に係る伐採等の適否や事業計画全体の木材の安定供給の確保の観点からの適否を判断することにより円滑な協議に努められたい。
また、農林水産大臣は、国が森林所有者として加わった事業計画について国から協議があった場合、第3の8又は9のとおり都道府県知事に対して協議又は意見聴取を行うこととなるので留意されたい。
なお、国が都道府県知事に協議する場合、国有林野事業においては、関係する森林管理局長が行うこととしているので留意されたい。
第6伐採の届出の特例〔法第7条関係〕
(1)認定事業者が地域森林計画の対象となっている民有林(保安林及び保安施設地区の区域内の森林を除く。)において認定事業計画(法第4条第4項に規定する事項を含むものに限る。)に従って行う立木の伐採については、森林法第10条の8第1項の伐採及び伐採後の造林の届出の規定は適用しないこととしている。(法第7条)
(2)これは、事業計画の認定について通知を受けることにより、市町村の長は立木の伐採方法等をあらかじめ把握することができ、また、市町村森林整備計画に適合するという認定基準により森林法第10条の8第1項に基づく伐採及び伐採後の造林の届出制の趣旨に合致した伐採であることが確認されるものであることから、認定事業者が行う立木の伐採については、二重手続を排除する観点から設けられたものである。
(3)したがって、認定事業計画に従わない立木の伐採を行った場合には、法第7条の規定は適用されず、森林法第10条の8第1項の規定の違反者として、同法第208条第1号の罰則の対象となることに留意されたい。
(4)一方、森林法第10条の8第2項の伐採及び伐採後の造林に係る森林の状況についての市町村の長への報告の規定は、同項の規定を読み替えて適用することとされていることから、当該報告が必要であることに留意されたい。
(5)なお、認定事業計画に係る伐採については伐採後の届出は不要であるが、森林経営計画に係る立木の伐採又は造林をした場合については、森林法第15条による伐採等の届出が必要であることに留意されたい。
第7森林経営計画の認定の特例〔法第8条関係〕
(1)認定事業者が認定事業計画(法第4条第4項に規定する事項を含むものに限る。)の対象となっている森林であって公益的機能別施業森林区域以外の区域内に存するものにつき森林経営計画の認定を求めた場合の、当該森林経営計画の認定に係る基準については、森林法第11条第5項第2号イの規定を読み替えて、木材安定供給確保事業による指定地域における森林の林業的利用の合理化を図るために必要なものとして、農林水産省令で定める基準に適合することとされている。
(2)これは、森林経営計画の認定基準においては森林生産の保続及び森林生産力の増進を図るために必要なものとして、伐採立木材積の制限が設けられているが、森林経営計画の認定を受けた意欲のある森林所有者等が事業計画を活用して森林経営の規模拡大を図ろうとした際に、当該伐採立木材積の制限により、事業計画に基づく立木伐採量を達成できないことが懸念されるため、公益的機能別施業森林区域以外の区域内に存する森林に限り、当該伐採立木材積の制限を超える事業計画の認定を受けた森林所有者等が森林経営計画の認定も併せて受けることができるよう、特例として設けられたものである。
第8森林経営計画の変更の特例〔第9条関係〕
(1)森林経営計画の認定を受けた森林所有者又は森林所有者から森林の経営の委託を受けた者(以下「認定森林所有者等」という。)が、立木の伐採に関し、当該認定に係る森林経営計画の内容と異なる内容の事業計画(法第4条第4項に規定する事項を含むものに限る。)について認定を受けた場合には、当該認定を受けた認定森林所有者等は、当該森林経営計画を変更し、認定を求めなければならないこととしている。(法第9条第1項)
また、この場合において、市町村の長は、事業計画の認定を受けた認定森林所有者等が森林経営計画の変更の認定を請求せず、又は請求したが森林法第11条第5項第2号に定める基準に適合しない等の理由により当該認定を受けられなかった場合には、当該森林経営計画の認定を取り消すことができることとしている。(法第9条第4項)
(2)これは、同一の森林について事業計画と森林経営計画が作成される場合、両計画には共通した計画事項があるものの、それぞれが独立した計画として作成されるものであることからその計画事項に矛盾を生じることが想定されるため、両計画の実施に当たり整合性が図られるよう措置されたものである。
(3)なお、(1)による変更認定請求をした森林経営計画(公益的機能別施業森林区域以外の区域内に存する森林を対象とするものに限る。)の変更認定に係る基準については、第7の(1)と同様に特例として、森林法第11条第5項第2号イの規定を読み替えて、木材安定供給確保事業による指定地域における森林の林業的利用の合理化を図るために必要なものとして、農林水産省令で定める基準に適合することとされていることに留意されたい。(法第9条第2項)
第9保安林における伐採の許可並びに択伐及び間伐の届出の特例〔法第10条から第12条まで関係〕
(1)認定事業者が保安林の区域内において認定事業計画(法第4条第4項に規定する事項を含むものに限る。)に従って立木の伐採をする場合(森林法第34条第1項各号に掲げる場合を除く。)には、森林法第34条第1項の許可があったものとみなすこととし、改めて都道府県知事の許可は要しないこととしている。(法第10条)
(2)認定事業者が保安林の区域内において認定事業計画に従って択伐による立木の伐採をする場合には、森林法第34条の2第1項の択伐の届出の規定は適用しないこととしている。(法第11条)
(3)認定事業者が保安林の区域内において認定事業計画に従って間伐のための立木の伐採をする場合には、森林法第34条の3第1項の間伐の届出の規定は適用しないこととしている。(法第12条)
(4)(1)から(3)までの特例は、事業計画の認定の際に、保安林制度の趣旨を踏まえ保安林に係る指定施業要件に適合することの審査が行われることとなるので、二重手続を排除する観点から設けられたものである。
(5)したがって、保安林の区域内において認定事業計画に従わない立木の伐採を行った場合には、法第10条から第12条までの規定は適用されず、森林法第34条第1項、第34条の2第1項又は第34条の3第1項の規定の違反者として、同法第38条第1項又は第3項の監督処分及び同法第207条第1号又は第208条第4号若しくは第5号の罰則の対象となることに留意されたい。
(6)(1)又は(2)の特例により、保安林の区域内において認定事業計画に従って、それぞれ立木の伐採又は択伐のため立木の伐採をした認定事業者は、次の義務があることに留意されたい。
ア(1)の場合においては、森林法第34条第8項に基づき、森林法施行規則第65条で定める手続に従い、その旨を、都道府県知事に届け出るとともに、認定事業者が当該森林に係る森林所有者でないときは、当該森林所有者に通知しなければならない。
イ(2)の場合においては、森林法第34条の2第5項に基づき、森林法施行規則第71条で定める手続に従い、その旨を、認定事業者が当該森林に係る森林所有者でないときは、当該森林所有者に通知しなければならない。
第10開発行為の許可の特例〔法第13条関係〕
(1)認定事業者が地域森林計画の対象になっている民有林(保安林並びに保安施設地区の区域内及び海岸保全区域内の森林を除く。)において、認定事業計画に従って木材生産流通改善施設を整備するため開発行為をする場合には、改めて都道府県知事の許可は要しないこととし、森林法第10条の2第1項の許可があったものとみなすこととしている。(法第13条)
(2)これは、事業計画の認定の際に、林地開発許可制度の趣旨を踏まえ森林法第10条の2第2項各号のいずれにも該当しないことの審査が行われることとなるので、二重手続を排除する観点から設けられたものである。
(6)したがって、認定事業計画に従わない施設の整備に伴う開発行為が行われた場合には、法第13条の規定は適用されず、森林法第10条の2第1項の規定の違反者として、同法第10条の3の監督処分及び同法第206条第1号の罰則の対象となることに留意されたい。
第11保安林における形質変更等行為の許可の特例〔法第14条関係〕
(1)認定事業者が保安林の区域内において認定事業計画に従って作業路網等を整備するため形質変更等行為をする場合には、改めて都道府県知事の許可は要しないこととし、森林法第34条第2項の許可があったものとみなすこととしている。(法第14条)
(2)これは、事業計画の認定の際に、保安林制度の趣旨を踏まえ保安林の指定の目的の達成に影響を及ぼさないことの審査が行われることとなるので、二重手続を排除する観点から設けられたものである。
(3)したがって、認定事業計画に従わない形質変更等行為が行われた場合には、法第14条の規定は適用されず、森林法第34条第2項の規定の違反者として、森林法第38条第2項の監督処分並びに同法第206条第3号及び第4号並びに第207条第2号の罰則の対象となることに留意されたい。
第12林業・木材産業改善資金の償還期間の特例〔法第15条関係〕
(1)林業・木材産業改善資金助成法(昭和51年法律第42号。以下「助成法」という。)第2条第1項に規定する林業・木材産業改善資金であって、認定事業者が認定事業計画に従って木材生産流通改善施設を整備するのに必要なものの償還期間(据置期間を含む。)は、令第4条において12年以内とすることとしている。(法第15条)
(2)これは、戦後造林された人工林が成熟して本格的な利用期を迎える中、今後は、伐採木の大径化や流通の大ロット化に伴い、木材生産流通改善施設の高性能化・大規模化のための設備更新が必要になると考えられるが、当該設備の更新に多くの資金が必要となることから、当該施設の更新を促進するためには、林業・木材産業改善資金の償還期間を延長し、1年当たりの負担を平準化する必要があることによるものである。
第13信用基金の業務〔法第16条関係〕
(1)森林所有者等、木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等が安定的な取引関係を構築して需要に応じた木材の利用拡大を図るには、木材安定供給確保事業の実施に必要な資金が円滑に確保される必要がある。
(2)このため、信用基金は、森林所有者等、木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等が共同して作成し、都道府県知事等の認定を受けた事業計画に係る木材安定供給確保事業に必要な資金の供給を円滑にすることを目的として、必要な資金の都道府県への貸付け及び認定事業者に対する債務保証の業務を行うこととしている。
(3)信用基金は、認定事業者が木材安定供給確保事業を実施するのに必要な資金の供給の事業を行う都道府県に対し、当該事業に必要な資金の2分の1の範囲内においてその資金を貸し付けることができることとしている。(法第16条第1号)
令第5条の規定により都道府県から資金の供給を受けて金融機関が貸し付ける資金は、別途林野庁長官が定めるものとする。
(4)信用基金は、独立行政法人農林漁業信用基金法(平成14年法律第128号。以下「基金法」という。)に基づいて、次に掲げる者が林業の経営のために必要とする資金で当該経営の改善に資すると認められるもの等を融資機関から借り入れることにより当該融資機関に対して負担する債務を保証することができることとしている。(基金法第13条)
ア林業(林業種苗生産業及び木材製造業を含む。)を営む者であって、会社にあっては、資本金の額又は出資の総額が3億円以下のもの及び常時使用する従業者の数が300人以下のもの、個人にあっては、常時使用する従業者の数が300人以下のもの
イ森林組合、生産森林組合、森林組合連合会並びに林業を営む者が直接又は間接の構成員となっている中小企業等協同組合、農業協同組合及び農業協同組合連合会
(5)これに加えて、法においては、次に掲げる者で事業計画の認定を受けた者が、当該認定に係る木材安定供給確保事業を実施するのに必要な資金を基金法第13条第1項の融資機関から借り入れること(当該資金に充てるため手形の割引を受けることを含む。)により当該融資機関に対して負担する債務を保証することができることとしている。(法第16条第2号)
ア森林組合若しくは森林組合連合会で木材卸売業を営む者、市場開設者又は木材の輸送を業として行う者(イ及びウにおいて「木材卸売業者等」という。)であるもの
イ木材卸売業者等(資本金の額又は出資の総額が1000万円以下の会社並びに常時使用する従業者の数が100人以下の会社及び個人に限る。ウにおいて同じ。)又は木材製品利用事業者(資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業者の数が300人以下の会社及び個人に限る。ウにおいて同じ。)が直接又は間接の構成員となっている中小企業等協同組合
ウ木材卸売業者等又は木材製品利用事業者
これらの者が信用基金による債務保証を受けようとする場合には、あらかじめ信用基金に対し出資を行うことが必要である。
ただし、イに掲げる者の直接の構成員となっているアに掲げる者については、イに掲げる者の出資を利用して信用基金の保証を受けることが可能である。
信用基金が債務保証を行う場合の債務保証の範囲、保証料等については、信用基金が定める業務方法書等によるものとする。
第14都道府県の特別会計〔法第17条及び附則関係〕
(1)法第16条の規定により信用基金から資金の貸付けを受けて資金の供給の事業を行う都道府県は、その経理を助成法第13条第1項の規定により設置する特別会計において併せて行うことができることとしている。
(2)これは、都道府県において、当該事業を信用基金からの長期借入金等による資金造成方式により実施しようとする場合には、林業金融たる林業・木材産業改善資金のための特別会計において経理を行うことが会計処理の上から妥当と考えられることから措置したものである。また、この場合において、当該経理は他の経理と区分して行うことが必要である。
(3)ただし、都道府県において林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和54年法律第51号。以下「林業経営基盤強化法」という。)第8条に規定する経理を助成法第13条第1項の規定により設置する特別会計において行うときは、当該経理を法第17条に規定する経理と併せて行うことができることとしている。
(4)これは、本事業の信用基金における経理が林業経営基盤強化法に基づく事業と共通の経理区分において行われること、また、都道府県における本法に基づく事業が林業経営基盤強化法に基づく事業と原資や資金の流れを同じくしていることを踏まえ、都道府県における会計管理の複雑化を防ぐために措置したものである。
第15森林組合等の事業利用の特例〔法第18条及び法第19条関係〕
(1)森林組合は、森林組合法第9条及び第26条に定める事業のほか、法の事業計画作成の事業を行うことができるとともに、事業計画の認定を受けようとする組合員以外の森林所有者について、計画作成事業に関し森林組合法第9条第8項ただし書の員外利用制限の適用を除外することとしている。(法第18条)
また、事業計画の認定を受けて組合員と一体的に伐採及び木材の運搬を行う森林所有者について、木材の運搬、加工等の事業に関し森林組合法第9条第8項ただし書及び第101条第7項ただし書の森林組合及び森林組合連合会の員外利用規制の適用を除外することとしている。(法第19条)
(2)これは、木材利用事業者等に対し木材の安定供給の確保を図るためには、森林組合員の所有する森林のみならず、森林組合に加入していない不在村者等の所有する森林も含め、大ロットで木材が供給される体制づくりが必要であること、木材安定供給確保事業を円滑に機能させていくためには、森林組合及びそれを補完する森林組合連合会の有する経済的機能と社会的影響力を活用することが必要であり、かつ合理的であることによるものである。
(3)森林組合が法第18条第2項の規定により組合員以外の森林所有者に事業を利用させる場合には、利用させる対象者等を実状に応じて定款に定めることとされたい。
また、森林組合又は森林組合連合会が法第17条の規定により組合員又は所属員以外の森林所有者に事業を利用させる場合には、利用させる対象者、事業の種類等を実状に応じて定款に定めることとされたい。
なお、法第19条により利用させることのできる当該事業は、木材の運搬、加工、保管、販売の事業に限られ、当該木材を材料とする建物その他の工作物の建設又は売渡しが含まれないことに留意されたい。
第16国有林野事業における配慮〔法第20条関係〕
(1)国は、木材安定供給確保事業の円滑な推進のため、国有林野事業における木材の供給について適切な配慮をすることとしている。(法第20条)
(2)これは、国有林野事業が我が国の森林面積の約3割を占める国有林野を管理経営し、林産物の計画的・持続的な供給を使命の一つとして担っていることに鑑み、国有林野事業を運営する国は、森林所有者として木材安定供給確保事業に参加するなどにより、木材の計画的かつ安定的な供給に努める旨を定めたものである。
(3)この趣旨を踏まえて、国は、国有林野事業の適切な運営を通じて、国有林管理経営法第8条の12第1項の規定による樹木採取権の設定、木材安定供給確保事業による国有林材の安定的な販売を促進する等の適切な配慮をすることとしている。
第17資金の確保〔法第21条関係〕
(1)国及び都道府県は、認定事業計画の実施に必要な資金の確保に努めることとしている。(法第21条)
(2)これは、森林所有者等、木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等が木材安定供給確保事業を実施するためには必要な資金を確保することが極めて重要であることから、訓示的に定めたものである。
(3)この趣旨を踏まえて、都道府県は、法第16条第1号に規定する資金の供給の事業、信用基金等による債務保証、林業・木材産業改善資金等の活用により、認定事業計画に対する資金の確保に努められたい。
第18指導及び助言〔法第22条関係〕
(1)国及び都道府県は、認定事業者に対し、木材安定供給確保事業の円滑な実施に必要な指導及び助言を行うこととしている。(法第22条)
(2)これは、木材安定供給確保事業が認定事業計画に従って的確、かつ、円滑に行われるために定められたものである。
(3)この趣旨を踏まえ、都道府県は、国の機関及び民間関係団体との連絡を密にして、認定事業者に対し、木材安定供給確保事業の円滑な実施が図られるよう、技術面や資金調達その他経営全般にわたる適切な指導及び助言を行うよう努められたい。
第19報告の徴収〔法第23条関係〕
(1)都道府県知事等は、認定事業者に対し、木材安定供給確保事業の実施状況について報告を求めることができることとしている。(法第23条)
(2)これは、木材安定供給確保事業の円滑な実施が図られるよう指導及び助言等を行うためには、認定事業計画の実施状況について十分に把握しておく必要があることから、定められたものである。
(3)都道府県知事は、定期的に事業の実施について報告を徴収するとともに、必要があると認める場合には、随時報告を求め、適宜、指導及び助言を行い、認定事業計画の円滑な遂行を図るように努められたい。
第20国有林管理経営法との関係〔法第24条関係〕
(1)森林所有者等が国有林管理経営法第8条の12第1項の規定により樹木採取権の設定を受けた場合において、原則として当該設定を受けた日の翌日から起算して1年以内に当該森林所有者等並びに当該樹木採取権に係る同法第8条の8第2項の申請書に記載された木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等から申請があったときは、これらの者を認定事業者と、当該申請書を認定事業計画とみなすこととしている。(法第24条)
(2)これは、樹木採取権の設定を受けた森林所有者等並びに当該事業者と取引関係を有する木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等については、実質的に樹木採取権の設定手続を通じて法の認定基準を満たす者であることが担保されていることから措置するものである。
(3)なお、当該申請書に記載された樹木採取権者並びに木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等の全てから申請する必要があるとともに、樹木採取権に係る樹木採取区が指定地域内に存する場合に限り、認定事業者及び認定事業計画とみなすこととするので留意されたい。
(4)ただし、樹木採取権の存続期間の上限が50年という長期である中、樹木採取権者と木材利用事業者等及び木材製品利用事業者等との連携関係は、樹木採取権の存続期間の途中で変更されることもあり得ることから、樹木採取権者等を法の認定事業者と、当該樹木採取権に係る申請書を法の認定事業計画とみなすことができるのは、原則として、森林所有者等が樹木採取権の設定を受けた日の翌日から起算して1年以内に申請があったときに限っているが、地震や豪雨等の天災等のやむを得ない理由により樹木採取権者等が申請を行うことができない場合も想定されることから、そのような場合については、その理由がやんだ日の翌日から起算して1月以内に申請を行えばよいこととしている。
(※)当通知は機種依存文字を含まれているため、該当文字は代替文字へ変更しています。
原文まま通知(PDF : 208KB)
お問合せ先
林野庁 林政部木材産業課
直通:03-6744-2292




