森林病害虫等防除事業補助金の代理申請等に対する事務取扱要領について(昭和38年5月30日)
38林野造第348号
昭和38年5月30日
都道府県知事あて
林野庁長官
このことについて、森林病害虫等防除(補助)事業を実施する際森林組合等が駆除事業を行う者もしくは駆除事業を行行なった者(以下「駆除者」という。)から委任を受けて補助金の交付申請の事務または補助金の一括受領等に関する事務等を行なう場合(以下「代理申請等」という。)が相当数に及んでおり、これにより補助金等の事務処理の能率化または事業の効率的実施に役立っている点が少なくない。しかしながら、このような場合には、補助事業の性格等にかんがみ、委任者と受任者の相互の関係を明確にし、一層その適正な実施について配慮する必要がある。
また、森林組合等が駆除者のために補助金の代理申請等の事務を行なう場合において、駆除者(被代理人)から申請事務取扱手数料を徴収しなければならない場合の基準としては昭和32年8月24日付け32林野第11642号通達(会計実施検査の結果について)により「実費の範囲内でかつ、補助金額に対する最高料率3パーセント以内」と定められてきたところであるが、最近の代理申請等の場合における事務または処理費等の漸増の傾向とも関連して、上記基準では必ずしも実情にそわないという点が見受けられ、また、このことが遠因ともなって防除事業に対する森林組合等の円滑かつ、積極的な推進活動が期されない等の事例が散見されるに至っている。
よって、改めて、これらの取り扱いについて別紙のとおり定め、実施の適正を期することとしたから、了知のうえ遺憾のないようご指導願いたい。
なお、上記通達(会計実施検査の結果について」)に基づく手数料の料率等については廃止する。
別紙
森林病害虫等防除事業補助金の代理申請等の場合における事務取扱要領
1 防除計画の作成および提出について
森林組合等は、駆除事業を行う者(以下「駆除者」という。)の委任または承諾に基づき、駆除者に代って防除計画書(駆除者別内訳書を添付する。)を作成し都道府県(以下「県」という。)に提出するためのものとする。
森林組合等は、防除計画の作成にあたっては、森林病害虫等の被害状況を正確に把握し、適正な計画を策定するよう配慮しなければならない。
2 補助金交付申請書の作成および提出について
森林組合等は、森林病害虫等防除事業補助金(以下「補助金」という。)の交付の対象(県が採択した事業)に係る駆除事業が終了したときは、駆除者をしてすみやかに事業内容について届出せしめ、これに基づき駆除者に代って補助金交付申請書(添付書類とも)を次により作成のうえ、県に提出するものとする。
(1) 補助金交付申請書は、森林組合技術員等をして必ず駆除現地の調査を行わせしめ、実行状況について念査したうえ作成するものとする。
(2) 森林組合等は、補助金交付申請書を作成したときは、これを駆除者に提出し、確認または承諾せしめたうえ、県に提出するものとする。
3 補助金の一括代理受理について
(1) 森林組合等は、駆除者の委任を受けて補助金の一括代理受領を行なうことができるものとする。この場合、都道府県に補助金交付申請書を提出する際駆除者の委任状を添付するものとする。
(2) 代理受領に係る補助金は、すみやかに駆除者(被代理人)に交付し、いたずらに支払を遅延したり、他に流用することなどあってはならない。
(3) 代理受領した補助金は、直接駆除事業に関係ある経費(補助金申請事務取扱手数料および駆除に使用した薬剤代、燃料代、運賃等の立替代金または売払代金等とする。)のほか、これを差引いて支払ってはならない。
(4) 代理受領した補助金の中から(3)に定めた経費を差引いて支払おうとする場合にはあらかじめ、これを駆除者に承認せしめ、その承諾書を徴しておかなければならない。
(5) 森林組合等は、補助金の関係書類ならびに証拠書類等を委任者に示して了知せしめるとともに、整理保管しておかなければならない。
4 森林病害虫等防除事業補助金申請事務取扱手数料について
(1) 森林組合等が駆除者のために補助金の交付申請事務または補助金の一括受領等の事務を行なう場合、やむを得ず、申請事務取扱手数料を徴収しなければならない場合は、原則として実費の範囲内において徴収することができるものとする。
(2) 上記の場合における補助金の申請事務取扱手数料は、その事務に要する実費額(補助金の申請および受領等の事務処理に必要な用紙類、事業記録写真もしくは図面等の消耗品代、印紙代、郵送代(通信費)筆耕代ならびに事業実施上の調査測量または防除指導費をこの因子とするが、実費算定の基礎は明確にしておくこと。)を基準として定めた一定の料率を補助金に乗じて算定するものとするが、この料率については最高の場合といえども補助金額の10パーセントを超えてはならないものとする。
(3) 森林組合等が、この補助金の申請事務取扱手数料について料率を定めようとする場合には、総会等の決議を経たうえ、都道府県知事の承認を受けるものとする。
都道府県知事は、この料率について承認を与えようとする場合には、森林組合等の行ない実務の実態を調査し、過大に失することのないよう留意するものとする。
5 都道府県の監督について
都道府県は、この要領によって代理申請等を行なっている森林組合等に対し、適切な指導を行なうとともに、補助金の代理受理を行なった森林組合等に対し、補助金の経理について監督を厳にし、委任者にすみやかに補助金の交付を行なうようつとめるものとし、森林組合等が長期にわたり、代理受領した補助金を保有することのないよう留意するものとする。
お問合せ先
林野庁 森林整備部研究指導課森林保護対策室
担当:保護指導班
代表:03-3502-8111(内線6214)
ダイヤルイン:03-3502-1063