林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の施行について
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54林野企第82号
昭和54年8月23日
最終改正 令和6年3月29日付け5林政企第91号
都道府県知事あて
沖縄総合事務局長あて
農林水産事務次官
第1 趣旨
最近における我が国林業をめぐる諸情勢は極めて厳しいものがあり、木材需要の伸び悩み、経営コストの増大等により、林業の採算性は著しく悪化している。このため、森林所有者等の林業経営意欲は低下し、これが伐採量の減少、造林の不振及び保育・間伐の遅れをもたらし、さらに、製材品輸入の増加、非木質系建築用資材の増加とも相まって、木材の生産・流通を担う事業体の弱体化を招くという悪循環を生んでいる。
林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和54年法律第51号。以下「法」という。)は、このような状況に対処して、当分の間、金融上の特例措置を通じて育成すべき林業経営の経営基盤の強化を図るとともに、林業経営から木材の生産及び流通に至る各部門の体質改善と経営合理化を総合的に推進し、これにより林業及び木材関連産業の健全な発展を図ろうとするものである。
第2 基本方針
効率的かつ安定的な林業経営を営み、地域の林業を担うべき林業経営体及び林業事業体を育成することが急務になっていること並びに林業の発展と木材関連産業の発展とが相互に密接に関連し、影響しあっていることに鑑み、農林水産大臣は、造林から木材の生産及び流通に至る各段階の合理化を一体的に推進することを旨として、「林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本方針」(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこととされた。(法第2条)
基本方針は、法第2条の2の基本構想、法第3条の林業経営改善計画及び法第4条の合理化計画の作成に当たり、そのよるべき指針となるものであり、林政審議会の意見を聴いた上、これを定め、公表することとしている。
第2の2 基本構想
1 基本構想の策定
(1) 都道府県知事は、基本方針に即し、「林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本構想」(以下「基本構想」という。)を定めることができることとされた。(法第2条の2)
これは、林木の生育や生産条件は、地域の自然的条件(気候、傾斜度、土壌等)や社会的条件(木材に対する嗜好、労賃、林道等路網の整備度等)により規定されること、植栽する樹種、森林の仕立て方(育成方法)や生産される木材の特徴及び利用方法によって地域の施業方法が異なること、地域によって家族労働及び雇用労働等の林業労働の在り方や森林の所有構造等も異なること等から、都道府県ごとの林業経営をめぐる状況に応じたきめ細かな経営基盤の強化を図り、地域の林業を担うべき林業経営体及び林業事業体を育成しようとするものである。
(2) 基本構想の記載事項は、法第2条の2第2項に規定されているが、その内容は、次のとおりとする。
ア 林業経営基盤の強化に関する目標
イ 林業経営の規模、生産方式等に関する林業経営の類型ごとの指標
(ア) 林業経営の指標の考え方
(イ) 林業経営の類型ごとの指標
a 林業経営の規模の拡大等
b 生産方式の合理化
c 経営管理の合理化
d 事業実行方式の改善
(ウ) (イ)を実現するためとるべき措置
a 経営方針の明確化
b 林業経営基盤の強化
ウ 木材の生産及び流通の合理化に関する目標
(ア) 木材の生産及び流通の合理化についての考え方
(イ) 事業の経営改善に関する措置についての具体的な事項
a 生産行程の改善
b 経営管理の合理化
c その他の事業の経営改善に関する事項
(ウ) 木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置についての具体的な事項
a 事業の協業化
b 安定的な取引関係の確立による事業規模の拡大
c その他の木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する事項
(エ) 主産地の育成
(3) 基本構想の変更については、原則として、地域の林業経営をめぐる諸情勢の変化や国の基本方針の変更があった場合に随時行うものとする。
2 基本構想に関する報告等
(1) 都道府県知事は、基本構想を策定し、又は変更したときは、これを公表するとともに、農林水産大臣に報告することとされた。(法第2条の2第3項)
(2) 基本構想の策定等に当たっては、地域森林計画その他森林の整備に関する計画との調和に留意するものとする。また、基本構想は、法第3条の林業経営改善計画及び法第4条の合理化計画の認定に際しての基準となるものであることから、その策定等に際し、連絡会議を開催するなどして林業者等関係者の意見を聴くものとする。
第3 林業経営改善計画
1 林業経営改善計画の認定制度の趣旨
(1) 林業経営改善計画の認定制度は、基本構想で示された林業経営の目標に向けて、自らの創意工夫に基づき林業経営の改善を計画的に進めようとする者を、都道府県が地域の林業の担い手として認定し、これらの認定者に対して支援措置を重点的に講じていくものである。
(2) 都道府県は、本制度の趣旨の普及を図るとともに、市町村、森林組合等地域の関係者の理解と協力の下に、地域の林業を担うべき林業経営体及び林業事業体の育成が図られるよう努めるものとする。
2 林業経営改善計画の作成
(1) 林業を営む者は、林業経営改善計画を作成し、これを当該林業経営改善計画の対象とする森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出して、当該林業経営改善計画が適当である旨の認定を受けることができることとされた。(法第3条第1項)
(2) 林業経営改善計画の作成については、次によるものとする。
ア 林業を営む者が林業経営体である場合
(ア) 林業経営体の経営に係る森林の全てについて作成する。
ただし、[1]一定規模以上のまとまりをもった一団地の森林であり、かつ、[2]地形その他の自然的条件及び林道の開設その他の林業生産基盤の整備の状況からみて森林の施業を一体として効率的に行うことができると認められる森林につき、数人共同して林業経営改善計画を作成する場合には、この限りでない。
(イ) (ア)にかかわらず、林業経営体の経営に係る森林が2都道府県以上にまたがって所在する場合には、次によるものとする。
a 各都道府県に所在する森林がそれぞれ別個の団地である場合には、各都道府県ごとに林業経営改善計画を作成し、それぞれの都道府県知事の認定を受けるものとする。
b 一団地の森林が2都道府県以上にまたがって所在する場合には、当該森林について一の林業経営改善計画を作成し、これを当該森林の所在地を管轄する都道府県知事の全てに提出するものとする。この場合には、当該提出を受けた都道府県知事は、相互に協議の上、認定の可否を決するものとする。
イ 林業を営む者が林業事業体である場合
(ア) 森林の施業や経営を受託すること等により行う林業経営について作成する。
(イ) 森林の施業や経営を受託すること等により林業を営む区域が2都道府県以上にまたがって所在する場合には、一の林業経営改善計画を作成し、これを当該区域を管轄する都道府県知事の全てに提出するものとする。この場合には、当該提出を受けた都道府県知事は、相互に協議の上、認定の可否を決するものとする。
(3) 林業経営改善計画の期間は、その者の経営の状況に応じ5年ないし10年とする。
(4) 林業経営改善計画の記載事項は、法第3条第2項に規定されているが、その内容は次のとおりとする。
ア 林業経営の現状
(ア) 林業経営改善計画の対象とする森林の区域
(イ) 林業経営の概要等
a 経営の概要
b 経営森林の現況
イ 林業経営の規模の拡大、生産方式の合理化等の林業経営の改善に関する目標
(ア) 林業経営の改善の方向の概要
(イ) 林業経営の規模の拡大等に関する目標
(ウ) 生産方式の合理化に関する目標
(エ) 経営管理の合理化に関する目標
(オ) 事業実行方式の改善に関する目標
ウ イの目標を達成するためとるべき措置
(ア) 経営の目標ごとの措置
(イ) 目標を達成するため必要な事項
a 伐採、造林及び特用林産物の生産等
b 林道・作業道開設、改良
c 森林(森林とする土地を含む。)の取得
d その他
e 公益的機能別森林施業(公益的機能別施業森林区域(森林法(昭和26年法律第 249号)第5条第2項第4の3号に規定する公益的機能別施業森林区域をいう。以下同じ。)内に存する人工植栽に係る森林であって、森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号)第13条第1項第1号ロに規定する複層林施業森林又は同項第2号に規定する長伐期施業森林(以下「複層林施業森林等」という。)に該当するものにおける施業に限る。)の状況
エ ウの措置を実施するのに必要な資金の額及び調達方法
(ア) ウの(イ)a及びbの伐採事業、造林事業、林道事業及び特用林産物生産等の実施に必要な資金
(イ) ウの(イ)cの森林取得の実施に必要な資金
3 林業経営改善計画の認定
林業経営改善計画の認定基準は、法第3条第3項に規定されているが、都道府県知事は、認定に際しては、特に次の事項に留意するとともに、認定の迅速化(1か月以内)に努めるものとする。
(1) 林業経営改善計画に記載された2の(4)のイの(イ)から(オ)までの目標が、いずれをとっても都道府県の基本構想で定める「林業経営の類型ごとの指標」と同水準以上であることが望ましい。
(2) 林業経営の改善に関する目標の達成が、林業経営の現状、経営規模、生産方式等の計画に掲げられた各事項間との整合性、林業労働力の調達の実現性等からみて確実であると見込まれること。
(3) 森林法(昭和26年法律第249号)第5条の地域森林計画に即したものであること。
(4) 伐採、造林等の林業生産活動及び林道、作業道等の生産基盤の整備が適正かつ合理的に計画されていること。
(5) 所要資金の額及び調達方法が林業経営の改善を確実に遂行するために適切なものであること。
4 林業経営改善計画の変更及び取消し
(1) 3の認定に係る林業経営改善計画を変更しようとするときは、軽微な変更を除き、都道府県知事の認定を受けることとされた。(林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法施行令(昭和54年政令第205号。以下「令」という。)第1条第1項)
令第1条第1項の農林水産大臣の定める軽微な変更は、次に掲げる変更以外の変更とする。
ア 林業経営の改善に関する目標の変更
イ 第5の1に規定する林業基盤整備資金(造林)若しくは林業基盤整備資金(林道)、第6の2の(1)に規定する森林整備活性化資金又は第7の3に規定する木材産業等高度化推進資金を利用して行う事業に係る事業費総額の3割以上の変更
ウ 第5の1に規定する林業経営育成資金(森林取得)によって取得する森林の変更(第5の3に規定する林業経営育成資金(森林取得)の特例を受けようとする場合に限る。)
(2) 都道府県知事は、林業経営改善計画の変更の認定の申請を受けた場合には、当該変更に係る事項が法第3条第3項各号の要件を満たしているかどうかを審査するほか、3の(1)から(5)までに掲げる事項に留意して、認定するものとする。
(3) 都道府県知事は、林業経営改善計画の認定を受けた者が当該認定に係る林業経営改善計画に従ってその林業経営を改善するためにとるべき措置を講じていないと認めるときは、その認定を取り消すことができることとされた。(令第1条第3項)
5 指導等
都道府県知事は、林業経営改善計画の作成及びその実施につき、林業普及指導組織等を通じ、森林組合その他の関係団体との緊密な協力のもとに、経営的技術的見地からの必要な指導助言を行うほか、本制度の円滑な実施が図られるよう配慮するものとする。
第4 合理化計画
1 合理化計画の作成
(1) 事業経営改善計画 都道府県知事は、その管轄する都道府県の区域内に住所を有する林野庁長官の定める者の申請に基づき、その者の作成する木材の生産又は流通の合理化を図るための計画(以下「合理化計画」という。)であって生産行程の改善、経営管理の合理化その他の事業の経営改善に関する措置を内容とするものが適当である旨の認定をすることができることとされた。(法第4条第1項)
(2) 構造改善計画 都道府県知事は、その管轄する都道府県の区域内に住所を有する林野庁長官の定める者の申請に基づき、これらの者の作成する合理化計画であって事業の協業化、安定的な取引関係の確立による事業規模の拡大その他の木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置を内容とするものが適当である旨の認定をすることができることとされた。(法第4条第2項)
2 合理化計画の認定
合理化計画の認定基準は、法第4条第4項に規定されているが、都道府県知事は、認定に際しては、別途林野庁長官の定める事項に留意するとともに、認定の迅速化に努めるものとする。
3 合理化計画の変更及び取消し
(1) 認定に係る合理化計画を変更しようとするときは、軽微な変更を除き、都道府県知事の認定を受けることとされた。(令第4条第1項)
令第4条第1項の農林水産大臣の定める軽微な変更は、次に掲げる変更以外の変更とする。
ア 事業の経営改善又は木材の生産部門若しくは流通部門の構造改善の基本的方向の変更
イ 木材産業等高度化推進資金(第7の3に規定する木材産業等高度化推進資金をいう。)を利用して行う事業費総額の3割以上の変更
(2) 都道府県知事は、合理化計画の変更の認定の申請を受けた場合には、当該変更に係る事項が法第4条第4項各号の要件を満たしているかどうかを審査して、認定するものとする。(令第4条第2項)
(3) 都道府県知事は、合理化計画の認定を受けた者が当該認定に係る合理化計画に従って木材の生産又は流通の合理化を図るためにとるべき措置を講じていないと認めるときは、その認定を取り消すことができることとされた。(令第4条第3項)
第5 株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫からの資金の貸付け
1 趣旨
造林、保育から伐採に至る林業生産活動全般の活発化を助成するため、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し、株式会社日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。沖縄県にあって
は、沖縄振興開発金融公庫。以下「公庫」と総称する。)が貸し付ける林業基盤整備資金(造林)(株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号。以下「公庫法」という。)別表第4第1号の4に掲げる資金又は沖縄振興開発金融公庫法施行令(昭和47 年政令第186 号。以下「沖縄政令」という。)第2条第1号のリに掲げる資金をいう。以下同じ。)、林業基盤整備資金(林道)(公庫法別表第4第1号の6に掲げる資金又は沖縄政令第2条第1号のルに掲げる資金をいう。以下同じ。)及び林業経営育成資金(森林取得)(公庫法別表第5第3号の1に掲げる資金(平成20年9月30日財務省・農林水産省告示第36号(株式会社日本政策金融公庫法別表第1第8号の下欄に掲げる資金を指定する等の件。以下「告示」という。)第6号の1から3までに掲げるものに限る。)又は沖縄政令第2条第1号のワに掲げる資金(昭和47 年8月1日総理府・大蔵省告示第4号(沖縄振興開発金融公庫法施行令第2条第1号の規定に基づき主務大臣の指定するものを定める件。以下「沖縄告示」という。)第6号の1から3までに掲げるものに限る。)をいう。以下同じ。)について、その償還期限(据置期間を含む。以下同じ。)及び据置期間を特例的に延長する措置を講ずるとともに、林業経営育成資金(生産方式合理化)(法第5条第4項に規定する資金をいう。以下同じ。)を貸し付ける措置等を講じ、もって林業の健全な発展に資するものとする。
2 公庫が貸し付ける林業基盤整備資金の融資条件の特例
日本公庫が第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し当該認定に係る林業経営改善計画に従ってその林業経営を改善するために必要な林業基盤整備資金(造林)又は林業基盤整備資金(林道)を貸し付ける場合における貸付金の償還期限及び据置期間は、造林に係るものにあってはそれぞれ55年以内及び35年以内において、林道に係るものにあってはそれぞれ25年以内及び7年以内において日本公庫が定めることとされた。(法第5条第1項)ただし、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号。以下「財特法」という。)第116条第1項の規定に基づき、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の農林水産省関係規定の施行等に関する政令(平成23年政令第132号。以下「財特法政令」という。)第8条第1項に定める者にあっては、償還期限及び据置期間は、造林に係るものにあってはそれぞれ58年以内及び38年以内において、林道に係るものにあってはそれぞれ28年以内及び10年以内において日本公庫が定めることとされた。(ただし、令和7年3月31 日までの間に貸し付けられるものに限る。)
3 公庫が貸し付ける林業経営育成資金(森林取得)の融資条件の特例
(1) 日本公庫が第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し当該認定に係る林業経営改善計画に基づいて行う森林(森林とする土地を含む。)の取得についての措置であって林地保有の合理化に寄与するものを実施するのに必要な林業経営育成資金(森林取得)を貸し付ける場合における貸付金の償還期限及び据置期間は、それぞれ35年以内及び25年以内において日本公庫が定めることとされた。(法第5条第3項) ただし、財特法第116条第3項の規定に基づき、財特法政令第8条第1項に定める者にあっては、その償還期限及び据置期間は、それぞれ38年以内及び28年以内において日本公庫が定めることとされた。(ただし、令和7年3月31日までの間に貸し付けられるものに限る。)
(2) (1)の「森林の取得についての措置であって林地保有の合理化に寄与するもの」とは、林業上の利用の増進を図る必要があり、かつ、地形その他の自然的条件及び林道の開設その他の林業生産の基盤の整備の状況からみて法第5条第3項に規定する資金の貸付けを受けようとする者が森林所有者である森林と一体として効率的に施業を行うことが可能である森林(森林とする土地を含む。)の取得についての措置であることとされた。(林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法施行規則(平成5年農林水産省令第35号。以下「規則」という。)第2条) これは、不在村森林所有者の増加等により適切な施業がなされないまま放置されている森林等を、林業経営に意欲的に取り組んでいく者に集積することによって、林業上の利用の増進とともに森林の有する公益的機能の発揮を図るため定められたものである。
4 公庫が行う林業経営育成資金(生産方式合理化)の貸付け
(1) 日本公庫は、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し当該認定に係る林業経営改善計画に従って生産方式の合理化に寄与する措置を実施するのに必要な林業経営育成資金(生産方式合理化)の貸付けを行うことができることとされた。(法第5条第4項)
また、この資金を貸し付ける場合における貸付金の利率、償還期限及び据置期間は、それぞれ、年7分以内、10年以内及び2年以内において日本公庫が定めることとされた。(令第4条の3)
ただし、東日本大震災に対処するための農林水産省関係政令の特例に関する政令(平成23年政令第136号)第6条に定める者にあっては、その償還期限及び据置期間は、それぞれ13年以内及び5年以内において日本公庫が定めることとされた。(ただし、令和7年3月31日までの間に貸し付けられるものに限る。)
(2) (1)の「生産方式の合理化に寄与する措置」とは、次の各号のいずれかに該当する措置であることとされた。(規則第3条)
ア 効率的な施業を行うのに必要な林業機械について賃借権を取得する場合において、当該賃借権の存続期間に対する借賃の全額を一時に支払うこと。
イ 能率的な林業の技術又は経営方法を習得するための研修を受けること。
ウ 林業経営に関し専門的知識を有する者の助言又は指導を受けること。
アについては、施業の実施能力を高めるためには、機動的な作業が可能な高性能林業機械等を導入し、効率的に施業を実施することが求められることから定められたものである。
イについては、アで導入された高性能林業機械等を効率的に運用するための技術等の習得が求められることから定められたものである。
ウについては、施業が適切に実施されていないような森林において収益性の高い経営を行うために林業経営コンサルタント等を利用することが必要とされることから定められたものである。
5 公庫が貸し付ける農林漁業施設資金の融資条件の特例
公庫が第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し林業経営を改善するために必要な農林漁業施設資金(公庫法別表第1第8号の下欄のネに掲げる資金(林業者の共同利用に供するものに限る。)若しくは同号の下欄のナに掲げる資金(告示第10 号の1又は2に掲げるものであって、同号の(3)に掲げる施設に係るものに限る。)又は沖縄政令第2条第1号ツに掲げる資金(林業者の共同利用に供するものに限る。)若しくは同号ネに掲げる資金(沖縄告示第10 号の1又は2に掲げるものであって、同号のハに掲げる施設に係るものに限る。)をいう。)を貸し付ける場合においては、貸付金の限度額の引上げ等の特例措置を講ずるものとし、具体的な融資条件は公庫の定めるところによるものとする。
6 公庫からの資金の貸付けの特例措置の停止
公庫は、第3の4の(3)により林業経営改善計画の認定が取り消された場合には2から5までの特例措置を停止するとともに公庫の定めるところにより、必要な措置を講ずるものとする。
第6 森林整備活性化資金の融通
1 趣旨
森林施業の合理化を助成するため、独立行政法人農林漁業信用基金(以下「信用基金」という。)が、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し長期かつ無利子の資金を融通する措置を講じ、もって林業の健全な発展に資するものとする。
2 信用基金の行う資金の融通
(1) 信用基金は、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し当該認定に係る林業経営改善計画に従って林業経営を改善するためにとるべき造林についての措置であって森林施業の合理化に寄与するものに必要な長期かつ無利子の資金(以下「森林整備活性化資金」という。)の融通を行うことができることとされた。(法第6条第1項第1号)
(2) (1) の「造林についての措置であって森林施業の合理化に寄与するもの」とは、次のいずれかに該当する措置であることとされた。(規則第4条)
ア おおむね500ヘクタール以上の面積を有し、かつ、集団的に存在する森林について施業を行うと見込まれる者に委託して行う当該森林の一部に係る造林(地方公共団体が行う造林にあっては、当該地方公共団体が所有する土地に係るものを除く。)についての措置
イ 単層林を複層林に転換するために行う造林についての措置
アについては、我が国林家の9割近くが5ヘクタール未満の森林を所有する零細な森林所有者であるという状況に鑑み、森林施業規模の拡大のためには施業委託を推進する必要があり、また、コストの低減に不可欠な高性能林業機械を効率的に稼働させるには、地形等の自然的条件、林道等の整備状況、森林施業を受託する者の事業の実施状況等からみて一体的かつ計画的に施業を行い得るおおむね500ヘクタール以上の森林が必要であることから定められたものである。
イについては、森林に対する国民の要請が、木材生産からその有する多面的機能の発揮へと多様化しており、多様な森林整備の推進が求められていることから、一定の林齢に達した集団的に存する人工林において、皆伐して造林を行うという画一的な施業に代えて、択伐を繰り返しつつ徐々に造林を行い、森林を複層林に誘導する施業を推進する必要があることから定められたものである。
3 信用基金と公庫との業務の協定
森林整備活性化資金の融通については、信用基金が公庫に対し森林整備活性化資金の融通に必要な資金を無利子で寄託すること、公庫が信用基金の推薦する第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対し森林整備活性化資金の貸付けを行うこと等を内容に含む協定を信用基金と公庫との間で締結して行うこととされた。(法第6条第2項及び規則第5条)
これは、信用基金が森林整備活性化資金の融通を行うが、林業者への貸付けについては、公庫の方が債権管理等貸付業務に精通していること等から、信用基金と協定を締結の上公庫が行うこととされたものである。
4 信用基金の推薦
(1) 森林整備活性化資金は、信用基金が推薦した第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対して公庫が貸し付けることとなる(法第6条第2項第2号)ことから、森林整備活性化資金を借り受けようとする者は、信用基金へ推薦の申込みを行うものとする。
(2) 信用基金は第3の4の(3)により林業経営改善計画の認定が取り消された場合には、(1)の推薦を取り消すものとする。
5 森林整備活性化資金の貸付けについては、この通知に定めるもののほか、「森林整備の合理化のための金融措置要綱」(平成6年8月15日付け6林野企第125号農林水産事務次官依命通知)に定めるところによるものとする。
第7 木材産業等高度化推進資金制度
1 趣旨
木材の生産及び流通の合理化の促進による木材供給の円滑化並びに効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、木材の生産又は流通を担う事業者がその行う事業の合理化を推進するのに必要な資金及び林業者が行う林業経営の改善を推進するのに必要な資金(林業経営の規模の拡大、生産方式の合理化等の林業経営の改善に伴い必要なものに限る。)を低利で融通する措置を講じ、もって木材関連産業及び林業の健全な発展に資するものとする。
2 信用基金の行う資金の貸付け
信用基金は、法第3条第1項又は第4条第1項若しくは第2項の認定を受けた者が当該認定に係る措置を実施する場合にこれを円滑にするために必要な資金の供給の事業を行う都道府県に対し、当該事業に必要な資金の2分の1の範囲内においてその資金を貸し付けることができることとされた。(法第6条及び令第6条)
3 資金の融通
令第5条の規定により都道府県から資金の供給を受けて金融機関が貸し付ける資金(以下「木材産業等高度化推進資金」という。)の資金種類、資金内容及び貸付条件は、別途林野庁長官が定めるものとする。
第8 信用基金の債務保証の特例
1 趣旨
木材の生産及び流通の合理化を促進し、木材供給の円滑化を図るため、木材産業等高度化推進資金制度の創設と併せ信用基金の債務保証機能を充実強化する措置を講じ、もって木材関連産業の健全な発展に資するものとする。
2 債務保証の特例
信用基金は、次に掲げる者で合理化計画の認定を受けたものが、当該認定に係る合理化の措置を実施するのに必要な資金を独立行政法人農林漁業信用基金法(平成14年法律第128号)第13条第1項の融資機関から借り入れること(当該資金に充てるため手形の割引を受けることを含む。)により当該融資機関に対して負担する債務を保証することができることとされた。(法第6条) なお、これらの者が信用基金による債務保証を受けようとする場合には、あらかじめ信用基金に対し出資を行うことが必要である。 ただし、イに掲げる者の直接の構成員となっているウに掲げる者については、イに掲げる者の出資を利用して信用基金の保証を受けることが可能である。
ア 森林組合又は森林組合連合会であって、木材卸売業を営む者又は市場開設者であるもの。
イ 木材卸売業を営む者又は市場開設者(資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業者の数が 100人以下の会社及び個人に限る。以下「木材卸売業者等」という。)が直接又は間接の構成員となっている中小企業等協同組合
ウ 木材卸売業者等 3 債務保証の範囲、保証料等 信用基金が2の規定により債務保証をする場合の債務保証の範囲、保証料等については、信用基金が定める業務方法書によるものとする。
第9 林業・木材産業改善資金助成法の特例
1 趣旨
林業・木材産業改善資金助成法(昭和51年法律第42号)第2条第1項の林業・木材産業改善資金のうち、農林水産大臣が定める基準に基づき、新たな林業部門の経営を開始する場合(森林施業の方法の導入にあっては、その導入する森林施業の方法が森林法第10条の5第2項第2号の標準伐期齢に15年を加えた林齢を超える林齢において主伐を行う森林施業に該当する場合に限る。)又は林産物の新たな生産の方式(一体として整備することを相当とする森林において森林施業を効率的に行うものに限る。)を導入する場合において、当該経営又は当該方式の導入に必要な調査を行い、作業路を開設し、若しくは改良し、又は機械、施設若しくは資材を購入し、若しくは設置するのに必要な資金であって林業経営改善計画の認定を受けた者が当該認定に係る林業経営の改善に関する目標を達成するためとるべき措置を実施するのに必要なものの償還期間の延長の措置を講ずることとされた。(法第9条及び令第7条)
これは、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者については、都道府県の基本構想で明確にされた林業経営基盤の強化に関する目標を目指して計画的に経営改善を図っていく者として、一般の林業者に比してより大きな規模で新たな林業部門の経営を開始すること又は林産物の新たな生産の方式を導入することが見込まれるため定められたものである。
2 農林水産大臣が定める基準
(1) 令第7条第1項の新たな林業部門の経営を開始する場合に係る農林水産大臣が定める基準は、次に掲げるとおりとされた。
ア その借受者が伐採までの期間を長期化する森林施業と特用林産物の生産を組み合わせた新たな林業部門の経営を開始する意欲と能力を有し、それによって当該借受者の林業経営の改善が見込まれるものであること。
イ その平均的な林齢がおおむね標準伐期齢を超える森林において、アの森林施業を導入するものであること。
ウ その行うアの森林施業は、標準伐期齢に15年を加えた林齢を超える林齢であって地域の実情に応じて高付加価値材の生産が可能な林齢において主伐を行うものであること。
エ アの森林施業の導入の対象となる森林の面積がおおむね5ヘクタール以上であること。
オ 借受者が新たに開始する特用林産物の生産から得られる毎年の所得は、その導入しようとする機械の能力、施設の規模、資材の量に照らして、標準伐期齢を15年以上超えた林齢となった林齢において主伐を行うこととしたことにより生じる収入の年平均減収額と同水準となると認められること。
カ その新たに開始する特用林産物の生産方式は、地域において普及を促進する必要のある技術を用いて行われる生産方式であること。
キ その林業経営の方式の地域への普及が期待でき、当該地域における高付加価値材の生産による高収益の林業経営の確立に寄与するものであること。
(2) 令第7条第1項の林産物の新たな生産の方式を導入する場合に係る農林水産大臣が定める基準は、次に掲げるとおりとされた。
ア その借受者が一定規模以上の森林において森林施業を効率的に行う林産物の新たな生産の方式を導入する意欲と能力を有しており、それによって当該借受者の林業経営の改善が見込まれるものであること。
イ その借受者が継続的に森林施業を行うために必要な労働力の調達が可能であり、かつ、林業生産工程を改善するための高性能林業機械の導入、高密度な作業路網の開設等によりコスト低減に努めるものであること。
ウ アの森林施業の対象となる森林は、既に森林法第11条第5項の森林経営計画の認定を受けているか、又はその認定を受けることが確実であると見込まれること。
エ 借受者が行う森林施業のうち、受委託契約その他の契約を締結して行う場合にあっては、当該受委託契約その他の契約の期間が5年以上であること。
オ その林産物の生産方式の地域への普及が期待でき、当該地域における林業経営の確立に寄与するものであること。
第10 森林所有権の移転等のあっせん
1 あっせんの趣旨
(1) 都道府県知事によるあっせん制度は、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者の林業経営の規模の拡大を図るとともに、これらの者に林業経営意欲の低下した森林所有者等の森林の施業や経営の集約化を推進することとして、都道府県知事が森林(森林とする土地を含む。)についての所有権の移転、使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転又は森林施業の委託(以下「森林所有権の移転等」という。)のあっせんを行うものである。
(2) 都道府県は、本制度の趣旨の普及を図るとともに、市町村、森林組合等と協力しつつ、林業経営意欲が低下した森林所有者等に対し、あっせんを申し出るよう積極的に働きかけをしていくよう努めるものとする。
2 あっせんの要件
(1) 都道府県知事は、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者から森林所有権の移転等のあっせんを受けたい旨の申出又は森林所有者から当該認定を受けた者に対する森林所有権の移転等のあっせんを受けたい旨の申出があった場合において、当該認定を受けた者に対して森林所有権の移転等が行われることが、当該認定に係る林業経営改善計画の達成に資するものであり、かつ、林地保有又は森林施業の合理化に寄与するものとして農林水産省令で定める要件に該当するものであると認めるときは、当該認定を受けた者及び森林所有者に対し、森林所有権の移転等のあっせんを行うことができることとされた。(法第10条)
(2) (1) において「第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対して森林所有権の移転等が行われることが、当該認定に係る林業経営改善計画の達成に資するもの」としたのは、第3の2の林業経営改善計画の記載事項である「林業経営の規模の拡大等に関する目標」において、森林(森林とする土地を含む。)の取得、施業の受託等による経営規模の拡大に関する目標が記載されることから、あっせんによる森林所有権の移転等が当該林業経営改善計画に記載されている森林(森林とする土地を含む。)の取得、施業の受託等による経営規模の拡大等に関する目標の達成に資するものでなければならないとの趣旨である。
(3) 「林地保有又は森林施業の合理化に寄与するものとして農林水産省令で定める要件」は、森林所有権の移転等が、市町村森林整備計画に定める森林法第10条の5第2項第4号の基準に従って間伐若しくは保育が適切に実施されていない森林若しくは伐採後一定期間造林が行われていない森林又はこれらのおそれがある森林であって地形その他の自然的条件及び林道の開設その他の林業生産の基盤の整備の状況からみて第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者が所有し、使用及び収益を目的とする権利を有し、又は委託を受けて施業を行っている森林と一体として効率的に施業を行うことが可能であると認められるものについての森林所有権の移転等であって、当該森林における市町村森林整備計画に従った施業の実施に寄与することが確実であると見込まれるものであることとされた。(規則第6条) これは、近年の木材価格の低迷等により林業の採算性が悪化し、間伐や伐採後の植栽等の必要な施業が適切に行われていない森林が増加している状況に対処するため、都道府県知事のあっせんによりこれら適切に施業が行われていない森林を第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に集約化して当該認定を受けた者が所有する森林と一体として効率的に施業を行うことことによって、地域における森林の適切な整備に資するよう定められたものである。
3 あっせんの具体的方法
(1) 具体的なあっせんの手続については、以下の(2)及び(3)の指針を参考に適切な実施に努めるものとする。
(2) あっせんの申出
ア 第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者が森林所有権の移転等のあっせんを受けようとする場合には、次の事項を記載したあっせん申出書を、森林所有権の移転等のあっせんを受けることを希望する森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
(ア) あっせんの申出の年月日
(イ) 申出者の氏名及び住所
(ウ) 第3の2の認定を受けた林業経営改善計画の内容
(エ) あっせんを受けることを希望する森林所有権の移転等の種類
(オ) あっせんにより森林所有権の移転等を希望する森林の所在地、面積等の現況
(カ) あっせんによる森林所有権の移転等を受けた後の森林の取扱い(森林についての所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転を希望する場合に限る。)
(キ) あっせんの登録期間
イ 森林所有者が第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者に対する森林所有権の移転等のあっせんを受けようとする場合には、次の事項を記載したあっせん申出書を、森林所有権の移転等のあっせんを受けることを希望する森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
(ア) あっせんの申出の年月日
(イ) 申出者の氏名及び住所
(ウ) あっせんを受けることを希望する森林所有権の移転等の種類
(エ) あっせんにより森林所有権の移転等を希望する森林の所在地、面積等の現況
(オ) あっせんによる森林所有権の移転等を行った後の森林の取扱い(森林施業の委託を希望する場合に限る。)
(カ) あっせんの登録期間
ウ 都道府県知事は、あっせんの申出があった場合、その内容を記載したあっせん申出者名簿を作成するものとする。 また、あっせんが完了した者、あっせんを行わないこととした者及びあっせんを打ち切った者については、あっせん申出者名簿から削除するものとする。
(3) あっせんの実施
ア 都道府県知事は、(2)のあっせんの申出があった場合に、あっせん申出者名簿に登載されている者の中から、当該あっせんの申出をした者のあっせんの申出の内容(第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者にあっては(2)のアの(ウ)から(カ)までとし、森林所有者にあっては(2)のイの(ウ)から(オ)までとする。)に照らして、当該あっせんの申出をした者との間で森林所有権の移転等が2の要件に該当すると認められる者(以下「あっせんの相手方」という。)を選定し、あっせんを行うことができるものとする。
イ 都道府県知事は、(2)のあっせんの申出があった場合において、あっせんの申出者名簿の中に、あっせんの相手方となるべき者が登載されていないときには、2の要件に適合すると認められる場合に限り、あっせん申出者名簿に登載されている者以外の者からあっせんの相手方を選定し、あっせんすることができるものとする。
ウ あっせんの相手方となるべき者が二人以上いる場合は、第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者の当該林業経営改善計画の達成に資する程度及び林地の保有又は森林施業の合理化に寄与する程度を考慮して、あっせんの優先順位を決定するものとする。
エ 都道府県知事は、あっせんの相手方となるべき者を選定しあっせんを実施する場合には、あっせんの当事者となるべき双方の者にあっせんを行う旨を通知するものとする。
オ 都道府県知事は、ア及びイの規定にかかわらず、不動産業者等が介入していると認められる場合等の不適正な事実が認められる場合には、あっせんを行わないものとする。この場合、あっせんの申出者にあっせんを行わない旨通知し、この旨をあっせん申出者名簿に記載するものとする。
カ 都道府県知事は、ア及びイの規定にかかわらず、次に掲げる場合には、当該あっせんを打ち切るものとする。この場合、あっせんの当事者となるべき双方の者に理由を付してあっせんを打ち切る旨を通知するものとする。
(ア) あっせんにより森林所有権の移転等が成立する見込みがないと認められる場合
(イ) あっせんの過程でオに規定する不適正な事実があると認められる場合
キ 都道府県知事は、森林所有権の移転等のあっせんの経緯及び結果を記載したあっせん調書を作成するとともに、これをつづったあっせん台帳を都道府県庁等に備え置くものとする。 なお、あっせんを行わないこととした場合及びあっせんを打ち切った場合についても、その旨を記載したあっせん調書を作成し、あっせん台帳につづり、備え置くものとする。
第11 森林組合の事業の利用の特例
(1) 第10のあっせんに係る第3の2の林業経営改善計画の認定を受けた者が森林組合である場合には、当該森林組合は、森林組合法(昭和53年法律第36号)第9条第8項ただし書の規定にかかわらず、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、定款で定めるところにより、第10のあっせんを受けた森林所有者に、当該森林組合に対し森林の施業又は経営の委託をさせることができることとされた。(法第11条)
(2) これは、第10のあっせんにより、森林組合が組合員等(森林組合法第9条第8項ただし書に規定する組合員等をいう。以下同じ。)以外の森林所有者から森林の施業又は経営の委託を受けることが多くなると考えられることから、その委託が組合員等以外の森林所有者からのものである場合には、当該森林組合は、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、当該あっせんを受けた森林所有者に、員外利用の制限を超えて委託を受けて行う森林の施業又は経営に係る事業を利用させることができるものとしたところである。
(3) 森林組合が法第11条の規定により組合員等以外の森林所有者に森林の施業又は経営に係る事業を利用させる場合には、事業を利用させる対象者等の要件について、当該組合の施設等の実情に応じて定款で定めることとされたい。
附則
この通知は、令和6年4月1日から施行する。