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農林水産省

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農林水産大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関する規則等の施行及び農林水産大臣の所管に属する公益信託の取扱方針の制定について

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54総第184号
昭和54年3月20日
最終改正:平成19年9月30日19文第97号

省内関係部局庁の長

農林水産事務次官


 民間における農林水産省所管の公益事業の一層の推進に資するため、民法に基づく公益法人制度に加えて、新たに信託法(大正11年法律第62号)に基づく公益信託制度の有効な活用を図るとの見地から、この度「農林水産省関係許可認可等臨時措置令施行規則の一部を改正する省令」(昭和54年農林水産省令第8号)及び「農林水産大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関する規則(昭和54年農林水産省令第9号)がそれぞれ別添1及び別添2のとおり公布、施行されるとともに、その適切な運用を確保するため、「農林水産大臣の所管に属する公益信託の取扱方針」が別添3のとおり定められたので、了知の上、公益信託に係る事務処理に遺憾のないようにされたい。
 以上、命により通達する。
 なお、農林水産省関係許可認可等臨時措置令施行規則の一部を改正する省令及び農林水産大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関する規則の主な内容は、下記のとおりである。

第1 公益信託引受許可審査基準

公益信託の引受けの審査に当たっては、少なくとも次の各項に従ってこれを行うものとする。

1 目的について

(1)当該公益信託の目的とする事項は、農林水産省設置法(平成11年法律第96号)に規定する農林水産省の所掌事務の範囲に属するものでなければならない。

(2)公益信託は、公益信託ニ関スル法律(大正11年法律第62号。以下「法」という。)に規定する公益を目的とする信託であるので、当該公益信託は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならない。したがって、次のようなものは引受けを許可しないものとする。

ア 委託者と特定の関連を有する者の相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの。

イ 特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの(目的とする事項の効果が国の政策が目標とする社会経済活動の向上に寄与するものを除く。)。

ウ 特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの。

2 事業について

公益信託の事業は、次の要件のすべてに適合していなければならない。

ア 事業内容が、当該公益信託の目的に照らし、適切なものであること。

イ 事業内容が、信託行為上明確にされていること。

ウ 営利事業として行うことが適当と認められる性格又は内容のものでないこと(目的とする事項の効果が国の政策が目標とする社会経済活動の向上に寄与するものを除く。)。

エ 事業内容が、原則として、助成金、奨励金、寄付金等の支給又は物品の配布のような資金又は物品の給付であること。

3 名称について

公益信託の名称は、その目的及び実態を適切に表現した社会通念上妥当なものでなければならない。したがって、次のような名称は、認めないものとする。

ア 国又は地方公共団体の機関等と誤認させるおそれのある名称

イ 既存の公益法人又は公益信託と誤認させるおそれのある名称

ウ 当該公益信託の事業の範囲とかけはなれた名称

4 信託財産について

公益信託は、その目的を達成するため、健全な事業活動を継続するのに必要な確固とした財政的基礎を有していなければならない。したがって、当該公益信託の信託財産については、少なくとも次の要件のすべてに適合していなければならない。

ア 引受け当初の信託財産の運用によって生ずる収入により、その目的の達成に必要な事業が遂行できる見込みがあること。ただし、信託財産の取崩し(特別な事情により止むを得ず行う取崩しを除く。)によって事業を遂行することを内容とする公益信託にあっては、引受け当初の信託財産及びその運用によって生ずる収入により、その目的の達成に必要な事業が存続期間を通じて遂行できる見込みがあること。

イ 価値の不安定な財産又は過大な負担付財産が、信託財産の相当部分を占めていないこと。

5 機関について

(1)受託者は、当該公益信託の健全かつ継続的な管理運営をなしうる十分な能力を有し、かつ、社会的信用を有する者でなければならない。

(2)当該公益信託には、その適正な運営を確保するため、信託管理人及び「農林水産大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関する規則」(昭和54年農林水産省令第9号。以下「規則」という。)第2条第7号の運営委員会等(以下「運営委員会等」という。)が設置されなければならない。

(3)信託管理人及び運営委員会等は、次の要件に適合するものでなければならない。

ア 信託管理人

(ア)当該公益信託の目的に照らして、これにふさわしい学識経験及び信用を有する者であること。

(イ)委託者又は受託者と親族、使用人等特別の関係を有するものでないこと。

イ 運営委員会等

(ア)構成員は、当該公益信託の目的とする事項について十分な学識経験を有する個人であること。

(イ)構成員の総数の過半数が同一親族で占められていないこと等その適切な運営が確保されると認められる構成であること。

(ウ)構成員の多数の意思が適切に反映されるよう会議の成立要件及び議決案件が定められていること。

(エ)構成員の任期は、余り長期でないこと。

6 信託報酬について

公益信託の受託者への報酬については、信託行為に明確に定められていなければならず、その額は、信託事務の処理に要する人件費その他必要最小限度の費用を超えないものでなければならない。

7 残余財産の帰属について

当該公益信託の終了の際の残余財産の帰属権利者は、特定個人又は営利法人であってはならず、当該公益信託と類似の目的を持つ公益信託又は公益法人でなければならない。

第2 信託の変更許可審査基準

信託の変更の許可は、次の要件のすべてに適合する場合に行うものとする。

(1)当該信託の変更が、当該公益信託の本旨に反しないものであること。

(2)当該変更後の信託が法令又は第1の各項の規定に反することとならないこと。

第3 信託の併合許可審査基準

信託の併合の許可は、次の要件のすべてに適合する場合に行うものとする。

(1)当該信託の併合が、当該公益信託の本旨に反しないものであること。

(2)信託法(平成18年法律第108号)第152条第2項の規定による公告及び催告又は同条第3項の公告をしたことその他同法の定める信託の併合の手続を経ていること。

(3)当該併合後の信託が法令又は第1の各項の規定に反することとならないこと。

第4 信託の分割許可審査基準

1 吸収信託分割

吸収信託分割の許可は、次の要件のすべてに適合する場合に行うものとする。

(1)当該吸収信託分割が、当該公益信託の本旨に反しないものであること。

(2)信託法第156条第2項の規定による公告及び催告又は同条第3項の公告をしたことその他同法の定める吸収信託分割の手続を経ていること。

(3)当該吸収信託分割後の信託が法令又は第1の各項の規定に反することとならないこと。

2 新規信託分割

新規信託分割の許可は、次の要件のすべてに適合する場合に行うものとする。

(1)当該新規信託分割が、当該公益信託の本旨に反しないものであること。

(2)信託法第160条第2項の規定による公告及び催告又は同条第3項の公告をしたことその他同法の定める新規信託分割の手続を経ていること。

(3)当該新規信託分割後の信託が法令又は第1の各項の規定に反することとならないこと。

第5 監督要領

1 届出等について

規則第4条から第6条まで、第8条、第27条及び第30条の規定による報告、書類の提出及び届出については、これを励行させるものとし、万一励行しない場合には、公文書等により督促するものとする。

2 検査について

規則第29条第1項の規定による信託事務の処理状況又は財産の状況に関する検査は、次の要領により行うものとする。

(1)検査の目的

受託者が、法令及び信託行為の定めるところにより、適正に信託財産の管理処分をし、公益信託の事業を行っているかどうか等を確認するとともに、必要に応じて行政指導を行う。

(2)検査項目

ア 事業の運営状況

イ 財産の管理状況

ウ 会計経理の状況

エ 庶務の処理状況

オ その他必要な事項

(3)検査の実施権者及びその対象公益信託

検査の実施権者は、大臣官房長(統計部にあっては、大臣官房統計部長)、内局の長及び外局の長とし、それぞれの所掌する公益信託について検査を実施するものとする。

(4)検査の時期

ア 各公益信託につき、原則として3年に1回実施するものとする。ただし、信託財産の取崩し(特別の事情により止むを得ず行う取崩しを除く。)によって事業を遂行することを内容とする公益信託にあっては、原則として毎年1回実施するものとする。

イ 新たに引受けを許可された公益信託については、許可の後1年以内に実施するものとする。

ウ 信託の併合又は新規信託分割を許可された公益信託については、許可の後1年以内に実施するものとする。

エ 他省庁と共管の公益信託については、関係省庁と協議の上、できる限り同時に実施するよう配慮するものとする。

(5)検査の通知等

ア 検査は、特別な場合を除き、あらかじめ受託者に対し、検査月日、検査職員、検査事項等を通知して行うものとする。

イ 検査職員は、検査に際しては、規則第29条第2項の規定により身分証明書を携帯し、関係人に提示するものとする。

ウ 検査には、原則として受託者(法人である場合には、当該公益信託事務の責任者)を立ち会わせるものとする。

エ 検査に当たっては、公務員としての品位を保持し、公正に行うものとする。

(6)検査報告書の提出及び改善措置命令

ア 検査職員は、検査後その検査結果の概要及びこれに基づく意見をとりまとめ、参考となる資料とともに、これを検査実施権者に提出するものとする。

イ 検査実施権者は、検査結果に基づき、必要に応じて受託者に対し、文書による改善措置を命ずる等、適切な指導を行うものとする。

3 受託者の解任について

(1)受託者に信託法第58条第4項に規定する解任の事由に該当する事実があると認められるときは、まずその改善について行政指導を行い、なお改善されないときは、解任期日を予告した上、同項及び法第8条の規定により解任するものとする。

(2)(1)の場合において、必要があると認めるときは、信託法第63条第1項及び法第8条の規定により、新たな受託者選任までの間、信託財産管理者による管理を命ずる処分を行い、信託財産管理者に信託財産の保管及び信託事務の引継ぎに必要な行為を行わせるものとする。

4 書類等の備付けについて

受託者は、規則第28条の規定に基づき、信託事務を行う事務所に、次の書類及び帳簿を備え付けておかなければならない。

ア 当該信託に関する許可、認可、届出等に関する書類

イ 信託行為及びその附属書類

ウ 受託者、寄託者又はその相続人、信託管理人及び運営委員会等の構成員の名簿及び略歴(これらの者が法人である場合には、その定款又は寄附行為)

エ 運営委員会等の議事に関する書類

オ 年度毎の事業計画書及び収支予算書並びに事業概況報告書及び収支予算書

カ 収入支出に関する帳簿及び証拠書類

キ 財産目録

5 管理台帳の整備について

所管公益信託の概況等を常時は握しておくため、別添様式による「公益信託管理台帳」を大臣官房文書課にあっては全所管公益信託につき、各局(庁)の庶務課にあっては当該局庁所管の全公益信託につき、各課にあっては当該課の所管公益信託につき、それぞれ所要事項を記載の上整備しておくものとする。

6 実態調査の実施

所管公益信託の実態をは握するため、原則として毎年10月1日現在で実態調査を実施するものとする。