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農林水産省

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農地法および農業協同組合法等の一部改正に伴う土地改良法等の改正について

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37農地B第3489号
昭和37年9月15日

農地事務局長あて
北海道開発局長あて
都道府県知事あて

農地局長


農地法の一部を改正する法律(昭和37年法律第126号)および農業協同組合法の一部を改正する法律(昭和37年法律第127号)が第40回国会において成立し、これらの法律および関係政省令が去る7月1日に施行になり、これらの法令に基づく制度の運用については「農地法の一部を改正する法律の施行について」(37農地B第2518号農林事務次官通達)および「農業協同組合法の一部を改正する法律について」(37農経C第1571号農林事務次官通達)において示されたところである。
これらの法令により、土地改良法(昭和24年法律第195号以下「法」という。)、土地改良法施行令(昭和24年政令第295号。以下「令」という。)および土地改良法施行規則(昭和24年農林省令第75号。以下「規則」という。)の一部が改正されたが、その要点は下記の通りであるので御了知のうえ、その運用に遺憾なきを期せられたい。

1 従来、法第18条第4項により、土地改良区の理事及び監事の定数の一定割合以上は組合員でなければならず、土地改良区の組合員たる法人の役員がいわゆる員内役員となる途が開かれていなかった。
しかるに、農業経営の協業化を助長するため、このたび農地法および農業協同組合法の一部改正が行なわれ、これにより、土地改良区においても法人が組合員となる事例が少くないと思われるので、今回土地改良区の組合員たる法人の業務を執行する役員が員内役員となりうることとしたいのである。(法第18条第4項の改正)
なお、「業務を執行する役員」とは、合名会社にあつては、社員、合資会社にあつては無限責任社員、有限会社にあっては取締役、農事組合法人にあつては理事がこれに該当することとなる。
法人の業務を執行する役員たる者が土地改良区の役員となっている場合において、その者がその法人の役員たる地位を失うかまたはその法人が組合員たる地位を失うことによつて法第18条第4項に違反することとなる場合には、当該役員が辞任する等の方法をとることにより、これに違反しないようにする必要がある。
2 法人たる組合貝に土地改良区の総代となる資格を附与した。従来は、「組合員で年令25年以上のもの」とされていたことから、法人たる組合員は総代となることができなかつたが、1と同様な趣旨で、今回法人が総代となることができることとしたのである。
なお、総代たる法人が、総代会においてその権利を行使するのは、その法人の業務を執行する役員によつてである。
(法第23条第3項、令第7条第3項、第8条第1項、第3項および第5項、第12条第1 項および第6項、第17条第1項および第3項、第21条第1項および第2項、第22条第2 項、第40条ならびに第42条ならびに規則第21条の2の改正)
3 法人が土地改良区連合の議員となっている場合、その法人の業務を執行する役員に、土地改良区連合の役員となる資格を附与した。(法第82条第2項の改正)
1と同様、従来から法人は土地改良区連合の議員となる資格は附与されていたが、その法人の業務を執行する役員は土地改良区通合の役員となりえなかったことを、1と同趣旨で今回改めたものである。
4 2および3に伴い、法人が総代または議員である場合の法第140条の規定による罰則の 適用については、総代または議員たる法人の業務を執行する役員をその対象とするようにした。(法第140条第1項の改正)
5 交換分合により、農地法の創設地に代るべき土地について、農地法第15条の2(新設)を適用することとした。(法第110条第2項の改正)
法第110条第1項および第2項によれば農地法第3条第2項第6号に規定する土地(以下「創設地」という。)について、交換分合が行なわれる場合において、創設地に代るべき土地として交換分合計画で定められたもの(以下「代替地」という。)が、その交換分合の後において耕作目的の権利移動の制限、国の買収等に関しては、創設地とみなして取扱われることとされている。
今回農地法第15条の2が新設されたことに伴い、同条の適用においても、代替地を創設地とみなして取り扱うこととした。すなわち、同条の規定するところによれば、例えば農業生産法人の常時従事者たる構成員が常時従事者でなくなつた場合において、その者が所有し、かつ、その法人に貸し付けていた創設地については、3箇月以内に、貸付けの解除またはその法人への所有権の譲渡(同条第3項および第7項)をしない限り、国がこれを買収する(同条第2項)こととしている。この場含においても、交換分合をした後では、代替地が創設地とみなされて取り扱われるわけである。
6 国営埋立干拓事業により造成された埋立干拓地の配分の相手方として、農事組合法人を加えた。(法第94条の8第3項および令第70条第1項第4号の改正)
法第94条の8第3項において、国営埋立干拓事業により造成されるべき埋立地または干拓地の配分を受けることができる者として、農業協同組合法の一部を改正する法律により、農事組合法人の制度が設けられたことに伴い、これをもこれらの埋立地または干拓地の配分を受けることができる者とした。
7 法附則第15項により、農地法による買収地を売りもどす相手方として、旧所有者のほかその一般承継人を加えた。(土地改良法の一部を改正する法律(昭和32年法律第69号。以下「32年改正法」という。)附則第15項および土地改良法施行令の一部を改正する政令 (昭和32年政令第194号)附則第6項の改正)
国営埋立干拓事業を行なうために、農地法第44条第1項の規定により買収した土地等については、土地改良財産とみなされて、農林大臣が管理することとされていたが、このうち法第94条の8第1項の規定により、農林大臣が土地配分計画をたてないことが相当と認めるものは、32年改正法附則第15項により買収前の所有者に売り払わなければならないこととされている。今回農地法の一部改正により、開拓財産たる土地について、自作農創設または農地の増進という買収目的を喪失したものの買収前の所有者への売払いは、所有者一代限りであつたのを、その一般承継人に対しても、売払いを行うこととしたので、これに合わせて、さきに述べた土地改良財産についても、同様に買収前の所有者のみならずその一般承継人をも売払いの相手方としたのである。