土地改良法施行令の一部改正について
45農地B第2563号
昭和45年9月30日
地方農政局長あて
北海道開発局長あて
都道府県知事あて
農林事務次官
土地改良法施行令の一部を改正する政令(昭和45年政令第221号。以下「改正政令」という。)が、昭和45年7月14日公布され、同日から施行されたが、今回の改正の趣旨は、下記のとおりであるので、御了知のうえ、その運用に遺憾のないようにされたい。
以上、命により通達する。
記
第1 都道府県営畑地帯総合土地改良事業のための申請要件の改正
最近における米殻の需給事情および野菜、果樹、飼料作物等の需要の増大の情勢にかんがみ、総合農政の一環として、畑作経営の生産性の向上および経営構造の近代化が強く要請されている。その一環として畑地帯において必要な各種の土地改良事業を同一主体のもとに総合的計画的に実施することにより、畑地帯における土地基盤の整備を強力に推進する必要がある。
このため、北海道については、昭和43年度から道営畑地帯総合土地改良事業が創設されたところであるが、今回その事業内容を拡充(基幹事業として農業用道路の新設または変更の事業を追加する等)するとともに、同様の事業を都府県においても実施することができるようにするため、都道府県営土地改良事業の申請要件の改正を行なつた(土地改良法施行令(昭和24年政令第295号。以下「令」という。)第50条第8号の3)。
なお、令第50条第8号の3の運用にあたつては、次に掲げる諸点のほか、国の助成を受けて行なう場合には、土地改良事業関係補助金交付要綱(昭和31年8月13日付け31農地第3966号農林事務次官依命通達。以下「交付要綱」という。)第2の表の(1の2)の都道府県営畑地帯総合土地改良事業の部の規定に留意されたい。
1 都道府県営畑地帯総合土地改良事業(交付要綱第2の表の(1の2)都道府県営畑地帯総合土地改良事業をいう。以下同じ。)を構成する土地改良事業は、基幹事業としてかんがい排水施設の新設もしくは変更、農業用道路の新設もしくは変更、または客土(北海道の区域内で行なわれるものに限る。)、あわせ行なう事業として、かんがい排水施設の新設もしくは変更、農業用道路の新設もしくは変更、客土、暗きよ排水、 農用地の造成、区画整理または農地保全であるが、令第50条第8号の3は、都道府県営畑地帯総合土地改良事業を構成する各土地改良事業のうちあわせ行なう農業用道路の新設または変更および農地保全以外の事業について規定しているものであること。
2 都道府県営畑地帯総合土地改良事業は、令第50条第8号の3に一括して規定されているものであってもそれ自体が1つの土地改良事業として取り扱われるものではなく、都道府県営畑地帯総合土地改良事業を構成する各土地改良事業のそれぞれについて、土地改良法(昭和24年法律第195号。以下「法」という。)第85条第2項の規定に基づく土地改良事業の計画の概要の公告および法第3条に規定する土地改良事業に参加する資格を有する者の同意の徴集手続を行なわなければならないものであること。
3 令第50条第8号の3に規定する土地改良事業は、都道府県が事業主体となつて、基幹事業とあわせ行なう事業とを総合的かつ計画的に施行することにより事業の効率を相乗的に高め、農業経営の合理化に寄与することを目的として実施されるものであるから、上記手続を行なうに当たつても、各個別事業の事業全体との関連性を明確にする等基幹事業およびあわせ行なう事業の総合性がそこなわれることのないようにするとともに、基幹事業とあわせ行なう事業の両事業を行なうことにより、事業費の軽減その他いずれか一方のみの事業を行なう場合に比し両事業の効果があがるものでなければならないこと。
4 令第50条第8号の3に規定するあわせ行なう事業は、畑の改良、開発または集団化を目的として行なうものであるから、受益地域の全部が畑であることを必ずしも要しないが、その受益地域の大半が畑であるか、または畑となるべき土地であること。
第2 北海道の負担率の特例の改定
国営土地改良事業の費用負担割合(令第52条第1項)についての北海道の特例(令附則第3項)中、かんがい排水事業について(令附則第3項中令第52条第1項第1号、第 1号の3および第2号に係る部分)、田に係る工事費相当分につき原則として従来の国の費用負担割合100分の80を100分の70に改める等の改正を行なうこととした(令附則第3項)。
なお、この改正政令の施行の際すでに着工している事業については、従来どおりの費用負担割合によることとされている(改正政令附則第2項)。(以下、北海道開発局および北海道知事宛のみ)具体的内容は、次のとおりである。
1 かんがい排水事業のうち田の工事に係る費用に相当する部分について、従来の100分の80を100分の70に(ため池の工事に係る費用の額については、従来の100分の90を100分の80に)改めることとした。ただし、「指定排水事業等」については、従来どおりとし、「指定変更事業」については、ため池の工事、ため池以外の工事を問わず田の工事に係る費用に相当する部分については100分の55、田以外の農用地の工事に係る費用に相当する部分については100分の65とすることとした。
2 (1)「指定排水事業等」は、次に掲げる事業とすることとしている。
ア 直轄明きよ排水事業
地表水および地下水の排除を目的とする明きよ排水路および排水機場(これらの附帯構造物を含む。)の新設、改修等であつて、受益面積がおおむね300ha以上、末端支配面積が100ha以上であり、かつ、田以外の農用地の受益地の面積に占 める割合が1/2以上であるもの
イ 内水排除事業
河川改修事業に関連して洪水時における農用地の自然排水が不能になつて石狩川下流左岸地域において行なうたん水の排除を主な目的とする排水機場(集水路等の附帯構造物を含む。)の新設、改修等であつて、受益面積がおおむね1,000ha 以上であり、かつ、受益面積に対する集水面積の割合が1.5未満であるもの
(2) 「指定変更事業」とは、次に掲げる事業とすることとしている。
維持補修事業
土地改良法に基づき国営事業により造成された土地改良施設につき、寒冷な気象、特殊土じよう等の自然的原因により、部分的に損壊を生じ、施設の機能を著しくそこなうかまたは災害を誘発するおそれがある場合で、地元における維持管理が困難であり、かつ、修復に機械力と高度の技術を要するときに、その損壊箇所を修復し、従前の機能を回復するための事業