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農林水産省

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土地改良法施行令の一部改正について

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54構改B第1681号
昭和54年8月25日
改正:平成6年7月8日  6構改B第594号

地方農政局長あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて

農林水産事務次官


土地改良法施行令の一部を改正する政令(昭和54年政令第212号)が昭和54年7月10日に公布、施行され、これに伴い関係告示が同年8月25日に公布施行された。これらの改正の概要は下記のとおりであるので、了知の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、この改正等に伴い、「土地改良法の一部改正等について(昭和52年12月28日付け52構改B第2844号農林事務次官依命通達)」が別紙のとおり改正されたので、申し添える。
以上、命により通達する。

第1  国営かんがい排水事業と併せ行う農地防災排水事業の新設
1  近年における水田の汎用化、畑地化の進展等により、農地及び農業用施設を洪水時の災害から未然に防止し、その機能の保全を図る必要性が従来に増して一段と高まつてきている。すなわちたん水能力の大きい水田の減少に伴い洪水時において流量が短期間に著しく増加する状況となつており、また、畑作の振興に伴い従来問題とならなかつた冠水被害が顕在化してきている。
  このような状況にかんがみ、このような地域のうち特に低平な地域については、地域全体における体系的な排水機能の強化により農地及び農業用施設の保全を図るため、国営かんがい排水事業と併せ行う農地防災排水事業を新設することとした。
2  この事業について、申請要件に係る受益面積は、おおむね500ヘクタール以上であり(土地改良法施行令(昭和24年政令第295号。以下「令」という。)第49条第1項第2号)、都道府県の負担金の額は、一般会計及び特別会計とも当該事業に要する費用の額の100分の35に相当する額である(令第52条第1項第2号の3及び第2項第3号)。
  なお、この事業を特別会計で実施することについての申請要件は防災ダム事業と同じである(令第50条の4)ほか、この事業は土地改良法(昭和24年法律第195号)第87条の2第1項の規定により同項第3号の非申請事業として実施することができることとされているので留意されたい。
第2  都道府県営土地改良事業の申請要件の整備
1  都道府県営排水対策特別事業の新設
(1)  米の生産が過剰基調にある現下において、その生産の転換を図るため、水田利用再編対策を実施しているところであるが、農業生産基盤については、水田の畑利用の基礎条件であるほ場の排水条件の整備改良の強力な推進が要請されている。このため、緊急にその整備を必要とする地域における基幹的な排水施設を整備する都道府県営排水対策特別事業を都道府県営かんがい排水事業の一環として実施することとした。
(2)  この事業の申請については、昭和56年度まで、その実施については昭和58年度までとされている。また、その申請要件に係る受益面積については、事業の目的にかんがみ、地域の実情に応じてきめ細かく実施するため、おおむね20ヘクタール以上と一般の農業用用排水施設の新設等の事業に比べ特例的に小さく定められている (令附則第2項)。
2  都道府県営土地改良総合整備事業の新設
(1)  土地改良総合整備事業は昭和52年度から団体営事業として発足したが、水田利用の再編成が進められている状況下にあつて耕地の汎用化、農地利用の高度化を一層促進するため、新たに都道府県営事業としても実施することとした。
(2)  この事業の基幹となる事業は客土及び暗きよ排水であり、その申請要件に係る受益面積はおおむね60ヘクタール以上である。また、基幹事業と併せて行われる事業は、農業用用排水施設の新設等の事業、農道事業、区画整理事業、農用地造成事業、客土及び暗きよ排水事業と各種の事業にわたっているが、これらについては受益面積の要件を問わないこととした(令第50条第2項)。
  なお、土地改良総合整備事業の中心をなす計画である総合土地改良計画に従つて2以上の事業を実施する必要があること等は団体営事業と同様である。
3  都道府県営農林地一体開発事業の新設
(1)  中山間地帯等における農業基盤整備は、農業のみならず林業との調和のとれた形で実施することが地域の発展に最も有効で適切なものである。このため、農林業の一体的な開発整備を図るため樹立する農林地一体開発整備計画に従い、農用地造成事業等を林野庁所管の造林又は林道の事業等と密接な連携をとりつつ、事業を実施する制度を新設し、昭和54年度から農林地一体開発整備バイロット事業を行うこととした。
(2)  この事業の基幹となる事業は、農用地造成事業であり、その申請要件に係る受益面積は一般の場合と同様、おおむね40ヘクタール以上である。また、基幹事業を併せて行われる事業は、農業用用排水施設の新設等の事業、農道事業、農地保全事業及び区画整理事業であるが、これらについては、受益面積の要件は問わないこととした(令第50条第3項)。
  なお、この事業は運用上、農林地一体農道(造成される農地の基幹農道であつて、かつ、森林の開発整備にも資する農道)の開設を伴うことが必要とされているので留意されたい。
4  奄美群島における特例
  奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)の期限延長を契機に、同地域における県営畑地帯総合土地改良事業を一層促進することとし、その特殊性にかんがみ農林水産大臣が申請要件に係る受益面積の特例を定めることができることとされた(令第50条第5項)。
  この特例は、昭和54年8月25日農林水産省告示第1201号により次のように定められた。
ア  基幹となる事業のうちa業用用排水施設の新設等の事業については、その受益面積の下限(一般の場合、おおむね100ヘクタール)をおおむね50ヘクタールに引き下げる。
イ  基幹事業と併せて行われる事業については、その受益面積の下限(一般の場合、おおむね50ヘクタール(農用地造成にあっては、おおむね30ヘクタール))をおおむね20ヘクタールに引き下げる。
5  地震対策地域の特例
  農村の混住社会化が進行する状況にあつて、地震が発生した場合に、老朽化したため池の決壊により甚大な被害を生ずるおそれが高まつている。このため、特に農林水産大臣が定める地域において、都道府県営老朽用排水施設等整備事業(ダム又はため池の補強の事業に限る。)を一層促進することとし、農林水産大臣が申請要件に係る受益面積の特例を定めることができることとされた(令第50条第5項)。
  この特例は、前記告示により、その受益面積の下限(一般の場合、おおむね5ヘクタール)をおおむね2ヘクタールに引き下げることが定められた。
6  なお、この改正後の令第50条各項中の農林水産大臣の定める基準等については、別表の第1欄の規定中の同表の第2欄の事項は、同表の第3欄に掲げるとおりである。
第3  都道府県営及び団体営土地改良事業に係る国の補助割合の整備
1  次に掲げる事業について新たに国の補助及び間接補助の対象とすることとし、これらに要する事業費についての国の補助に関する規定を整備した(令第78条第2項第2号、第4号及び第10号並びに附則第9項、第11項及び第12項)。
(ア)  都道府県営土地改良総合整備事業
補助率  45パーセント
ただし、特別豪雪地帯及び特別排水不良地域にあっては50パーセント
(イ) 都道府県営農林地一体開発整備パイロット事業
(補助率 65パーセント)
(ウ) 都道府県営排水対策特別事業
補助率 50パーセント
ただし、北海道にあっては55パーセント
(エ)  団体営農林地一体開発整備パイロット事業
(間接補助率 55バーセント)
  なお、これらの事業に要する事務費についての規定も併せて整備した(令第78条第3項)。
2  奄美群島振興開発特別措置法の期限延長を契機に、奄美群島における農業基盤整備を一層強力に推進するため、団体営農地侵食防止事業を新たに国の間接補助の対象とするとともに、県営及び団体営の各種土地改良事業に関する補助率の改訂を行うため国の補助割合に関する規定を整備した(令別表第12、第13及び第16関係)。
3  水田の汎用化を一層促進するため、特別排水不良地域において行われる都道府県営及び団体営土地改良総合整備事業(令第78条第2項第2号及び第8号に掲げる事業) について、補助率及び間接補助率の特例が定められた。また、排水不良地域において行われる団体営事業(同項第7号に掲げる事業)のうち土地改良総合整備事業実施要綱(昭和52年4月16日付け52構改D第217号農林事務次官依命通達)に従って行うものについても新たに国の間接補助の対象とするとともに、特別排水不良地域において行われるものについては、団体営土地改良総合整備事業と同様間接補助率の特例が定められた(令附則第12項)。
  なお、上記特別排水不良地域及び排水不良地域については、この通達による改正後の「土地改良法の一部改正等について」(昭和52年12月28日付け52構改B第2844号農林事務次官依命通達)の別表第3の附則第12項の項を参照されたい。
4  その他国の補助に関する規定について、所要の整備を行つた(令附則第10項並びに別表第1、第5、第8、第14及び第15)。

別表

第1欄 第2欄 第3欄
第50条第1項第4号の2 農林水産大臣がその施行後に導入される作物等を勘案して定める基準 農地防災事業実施要綱(昭和40年12月24日付け40農地D第1829号農林事務次官依命通達)別表第1の農地保全整備事業の項事業内容の欄の2の(2)に定める農地保全地域高付加価値農業推進計画に従って行う事業であること。
第50条第1項第5号の2 農用地の効率的な利用を促進する見地から農林水産大臣が定める基準 干拓地等農地整備事業実施要綱(昭和52年4月16日付け52構改d第283号農林水産事務次官依命通達)第3の(3)のイに定める要件。
第50条第1項第5号の2 農用地として利用されるべき土地の効率的な利用を確保する見地から農林水産大臣が定める基準 ほ場整備事業実施要綱(昭和41年7月26日付け41農地D第1241号農林事務次官依命通達)第2に定めるほ場整備事業(地域開発関連型)のうち土地利用秩序形成型事業若しくは緑農住区開発型事業、農村活性化住環境整備事業実施要綱(平成3年4月12日付け3構改D第217号農林水産事務次官依命通達)第2事業の内容等に定める事業又は集落地域整備事業実施要綱(平成7年4月1日付け7構改D第285号農林水産事務次官依命通達)第2に定める事業であること。
第50条第1項第7号の9 畑作物の生産の振興を図る見地から農林水産大臣が定める基準 畑地帯総合整備事業実施要綱(平成9年10月8日付け9構改D第238号農林水産事務次官依命通達)第4の2の(2)のアの(ウ)に定める地域において行う事業であること。
第50条第1項第9号 農林水産大臣が石れきの混入の程度等を勘案して定める基準 れき含量がおおむね5%以上の地域であること。
第50条第1項第11号 効率的かつ安定的な農業経営を営み、又は営むと見込まれる者の農業経営の改善を図る見地から農林水産大臣が定める基準 畑地帯総合整備事業実施要綱第5の2の(2)のイに定める要件
第50条第1項第11号の2 農林水産大臣が作目の構成等を勘案して定める基準 土地改良総合整備事業実施要綱(昭和52年4月16日付け52構改D第217号農林事務次官依命通達)第3の3の(2)又は(3)に定める要件
第50条第1項第14号 農林水産大臣が定める基準 地域整備関連総合整備事業実施要綱(平成8年7月31日付け8構改D第537号農林水産事務次官依命通達)別記1に掲げる計画(当該計画において農業生産基盤の整備が位置づけられているものに限る。)に従って設置される就業機会の増大に寄与する事業所等の施設等を整備する事業であること。
第50条第2項 農林水産大臣が定める基準 土地改良総合整備事業実施要綱第4の2,3,6及び7に定める要件
第50条第3項 農林水産大臣が定める基準 ほ場整備事業実施要綱(昭和41年7月26日付け41農地D第1241号農林水産事務次官依命通達)第4の2に定める基準
第50条第4項 農林水産大臣が定める基準 畑地帯総合整備事業実施要綱第5の1の(2)のイに定める基準
第50条第5項各号列記以外の部分 農林水産大臣が定める基準 中山間地域総合整備事業実施要綱(平成2年8月1日付け2構改D第475号農林水産事務次官依命通達)第3に定める要件
第50条第5項第1号 農林水産大臣が地勢等の地理的条件を勘案して定める基準 中山間地域総合整備事業実施要綱第4の3の(1)のアの(ア)ただし書に定める要件
第50条第6項 農林水産大臣が定める基準 農林業地域等総合開発整備実施計画樹立要綱(昭和61年8月19日付け61構改C第707号農林水産事務次官依命通達)第3の1に定める要件
第50条第8項 農林水産大臣が地震により防災ダム又はため池が決壊することによる災害の防止を図る必要がある地域として定める地域 農地防災事業実施要綱別表第4に定める地域
第50条第8項 農林水産大臣が過去一定年間における災害の発生の状況を勘案して定める基準 農地防災事業実施要綱別表第1の防災ダム事業の項事業内容の欄の2の(1)のただし書に定める要件
第50条第8項 農林水産大臣が土地の傾斜度を勘案して定める基準 旧急傾斜地帯農業振興臨時措置法(昭和27年法律第135号)第3条の規定に基づき指定された地域又は受益地域内の平均傾斜度が15度以上の地域(水田地帯を除く。)であること。
第50条第9項 農林水産大臣が定める基準 農村活性化住環境整備事業実施要綱(平成3年4月12日付け3構改D第217号農林水産事務次官依命通達)別表の2の項若しくは3の項、農村総合整備事業実施要綱(平成7年4月1日付け7構改D第281号農林水産事務次官依命通達)別表の2の項若しくは3の項、集落地域整備事業実施要綱(平成7年4月1日付け7構改D第285号農林水産事務次官依命通達)別表1の2の項若しくは別表2の2の項又は農村自然環境整備事業(総合型)実施要綱(平成7年4月1日付け7構改D第287号農林水産事務次官依命通達)別表の1の項の(2)若しくは(3)、2の項の(2)若しくは(3)若しくは3の項に定める事業であること。