このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

土地改良法の一部を改正する法律の運用について

  • 印刷

本通知には機種依存文字が含まれているため、当該文字は変換して表示しています。
変換前の文字をご確認される場合はこちらをご覧下さい。(PDF:131KB)

59構改B第1902号
昭和59年12月22日

地方農政局長あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて

構造改善局長


土地改良法の一部を改正する法律(昭和59年法律第56号)及びその関係法令の施行に伴う土地改良事業制度の運用については、「土地改良法の一部を改正する法律の施行について(昭和59年12月22日付け59構改B第1901号農林水産事務次官依命通達。以下「施行通達」という。月に定めるもののほか、下記によることとしたので、御了知の上、その取扱いに万全を期されたい。

第1 市町村等協議制度への知事裁定制の導入
1 知事裁定の申請に係る留意点
  近年においては、特に市街化の進展に伴う生活雑排水の流入増が問題発生の大きな要因となつていることから、開発行為に際しての事前調整を十分に図ることが重要であり、その調整方向等についての運用指針を示したところである(昭和58年7月1日付け58構改B第947号、農林水産省構造改善局長通達)。
このような調整措置として、宅地開発等の開発行為の実施に当たり、土地改良区と開発行為者との間で排水等について合理的な協議等が了されている事項については、法第56条第2項の規定による協議及びこれに係る同条第3項の規定による裁定申請の対象とすることは適当でない。
2 知事裁定に係る調整手続、裁定基準等
   施行通達第2の3の(1)のウにいう知事裁定に係る調整手続、裁定基準等の細目は、次のとおりである。
(1) 改正後の土地改良法(以下「法」という。)第56条第2項の規定による協議に係る同条第3項の裁定の申請を受ける都道府県知事は、法に定められた地方公共団体としての事務を執行する立場から、農業用用排水施設の適正な管理が実現されるよう、円滑な問題処理を進めることが期待される。
この場合、裁定の申請が市町村の管理する普通河川に係るものであるときは、その市町村管理の普通河川に係る主務大臣である建設大臣の権限の委任を受けた知事としての性格を併有していることにも留意されたい。
(2) また、裁定を行うに当たり、その事案が地域の開発行為に関連するものであるときは、それぞれの施策方針との調和を確保する観点から、都道府県の農林担当部局は、開発許可担当部局と連絡調整を行うこととされたい。
(3) 裁定に際しての判断基準は、事案の内容に応じて様々なものがありうるが、管理方法や費用分担の具体的内容を定めるに当たつては、次のような事項を勘案することが適切である。
[1]  「下水道等の用に兼ねて供すること」の認定は、いわゆる兼用工作物という形で法定管理権の移転を伴う場合のみに限られるものではなく、むしろ事実上の共用として把える場合が多いと考えられるので、個々の農業用用排水施設の利用実態の変化に即して実質的に判断すること。
[2]  公平分担を図るための調整手法としては、管理の方法(管理対象施設の移管、管理行為の分担等)と管理費用の分担とがあり、いずれの手法を採るかは具体的事案に応じて適切なものに決定すべきであるが、両者の効果に特に差異がない場合には、協議の相手方である市町村等の意向を尊重することが妥当であること。
[3]  分担割合を定めるに当たつては、農業部門と非農業部門との利用割合を地積、排水量等の客観的指標を基準として算定すること。
[4]  分担の対象は、農業外利用の増大に伴う管理費増嵩分が基本となることから、市街地の進展後における土地改良区の施設管理内容、経費等の推移を的確に把握すること。
第2 農業集落排水施設整備事業の実施手続の法定化
1 農業振興地域との関係

  施行通達第3の3の(2)の[2]のアの「農業振興地域と一体的に集排事業を実施することを相当とする同地域以外の区域」とは農業振興地域を受益の対象として事業を実施するに当たり、農業振興地域以外の一部区域を含めて当該事業を行わざるを得ない場合における当該一部の区域とする。

2 事業規模に係る認定
  施行通達第3の3の(2)の[2]のイにいう構造改善局長の認定は、土地改良区から、関係市町村及び関係都道府県の農林担当部局と下水道担当部局との間で協議調整が了した旨の申出があつた場合にこれを行うものとする。
3 その他
(1) 土地改良区が行う農業集落排水施設整備事業の事業計画の変更の必要が生じた場合には、改めて知事認可を受けることが必要であり、また、この認可の際にも上述の認可要件が適用される(法第57条の8)。
  なお、極めて軽微な変更であつて、認可要件の判断要素に影響を及ぼすものでないと認められるものについては、この認可制度の趣旨からみて、改めて認可を受けることを要しない。
(2) 上記のほか、土地改良区が行う農業集落排水施設整備事業の実施に当たり必要とされる他事業との調整に関する留意事項については、別途通達するものとする。
第3 換地制度における非農用地の生み出し方法の改善
1 施設利用分量割合方式による共同減歩
   施行通達第4の2の(1)のイにいう共同減歩対象施設の利用分量に算定等については、次の考え方により適切な運用を図ることとされたい。
[1]  利用分量の算定の方法は、それぞれの施設の利用態様等により異なりうるが、基本的には当該施設についての利用見込戸数、受益予定面積、使用見込水量等の客観的指標に基づくものであることが必要である。
[2]  利用割合の程度については、「主として利用」とは利用割合が過半であることをいい、「大部分が利用」とは利用割合がおおむね7割以上であることをいうものである。
2 共同減歩対象施設用地の拡大
(1) 施行通達第4の2の(2)の[1]のアの施設に係る共同減歩の運用に当たつては、次の点に留意することとされたい。
[1]  地方公共団体の計画に当該施設の位置、規模ができるだけ明確に定められていることが適切であるので、位置については、例えば25,000分の1の図面上に点で表示する等により明らかにされていること、規模については、施設用地の面積等が定められていることを要するものとする。
[2]  施行通達第4の2の(2)の[2]のアにいう「利害関係人の意向を反映させるために必要な措置」とは、例えば公聴会やアンケート調査、集落説明会等による利害関係人の意向を反映させる手続を踏んでいることを指すものである。
(2) 改正後の土地改良法施行規則第43条の9第3号に規定する「その他これらに類する農畜産物の生産、集荷、貯蔵、出荷等の用に供する施設」の中にはいわゆる営農飲雑用水施設を含みうるものであるが、今回の改正による施設利用分量割合方式の導入や農業集落排水施設の追加の趣旨を踏まえて、適正・円滑な運用を図ることとされたい。
3 特別減歩制度の導入
   施行通達第4の3の(2)の[1]にいう特別減歩の対象となる土地の事前指定に伴う仮清算金の支払については、当該土地につき先取特権、質権、抵当権等の担保権が設定されているときは、その担保権者の権利保護に問題があるので、その支払の対象としないようにされたい。
第4 土地改良事業の実施手続の改善
1 施設更新事業に係る同意徴集手続の簡素化
  施行通達第5の2の(1)の[5]の施設更新事業に係る同意徴集手続の簡素化に関し留意すべき細目は、次のとおりである。
(1) 施行通達第5の2の(1)の[1]のアにいうように、事業参加資格者のすべてに係る同意徴集手続を要しないものとされる施設更新事業の施行地域は、「当該施設の現行の管理事業に係る区域(現行管理区域)内に含まれている」ことが必要であるが、この意味は、当該施行地域と現行管理区域が一致する場合のほか、当該施行地域が現行管理区域内の一部の区域である場合をも含んでいるものである。また、施行通達第5の2の(1)の[1]のイにいうように、現行管理区域以外の地域に係る事業参加資格者の同意でもつて足りるものとされる施設更新事業の施行地域にあつても、同様の意味で、現行管理区域内の地域についてその一部のみを対象とする場合をも含んでいる。
(2) 施設更新事業の施行に際し、当該施設更新事業の対象とする施設に係る現行の管理事業の受益地の一部を当該施設更新事業の施行地域に含めないこととする場合において、それが次に掲げる事由によるものでないときは、施行通達第5の2の(1)の[2]のアの(ア)の事業目的要件に反することとなるので、同意徴集手続を省略することはできないものである。
[1]  法第66条の規定に基づく地区除外
[2]  他の土地改良施設による受益地への転換
(3) 施行通達第5の2の(1)の[2]のイにいう「施設の本来の機能」については、農地転用等により既に相当規模の地区除外が行われ、土地改良施設により受益する面積が減少している場合にあつては、更新後の土地改良施設の機能を現在必要とされている受益の程度において見直すことは差し支えない。ただし、この場合の施設の機能の変更は、これによつて管理事業計画の重要な部分につき変更を要することとならない範囲内のものであることが必要である。
(4) 施設更新事業の施行に伴い管理事業計画の変更が必要となる場合には、所定の手続に基づき適切に措置することとされたい。
  なお、同意徴集手続を要しないものとされる施設更新事業の施行の場合には、管理事業計画の変更の内容が法第48条第3項の重要変更に該当しないことからその変更の同意徴集手続を要せず、また、現行管理区域以外の地域に係る事業参加資格者の同意でもつて足りるものとされる施設更新事業の施行の場合には、その変更につき法第48条第4項の規定に基づく簡略な同意徴集手続によることができるものである。
(5) 同意徴集手続を要せず、又は簡略な同意徴集手続により開始した施設更新事業について、中途で事業計画の必要が生じた場合には、一般の計画変更手続によつてこれを行うものであり、法第48条第3項の重要変更に該当するときは、その変更の同意徴集を要することとなる。けだし、重要変更に該当する事業計画の変更により、施設更新事業の同意徴集手続の簡素化に係る要件が満たされないものとなるからである。
2 国・県営施設更新事業の土地改良区申請方式の創設
   施行通達第5の2の(2)の[5]のイの土地改良区申請に係る国・県営施設更新事業の運用上留意すべき細目は、次のとおりである。
(1) 二以上の施設更新事業を併せて行うことを申請する場合において、その事業がダムその他のえん堤に係る工事を含むものであるときは、事業計画の概要等を公告するに当たり、法第5条第2項の規定に準じて全体構成を併せ公告するものとする。
(2) 施設更新事業に係る土地改良施設及び関連施行事業によって生ずる土地改良施設については、事業の実施後において、申請に係る土地改良区が管理を行うことを原則とする。したがつて、ダムその他のえん堤及び揚水施設にあつては予定管理方法等において当該土地改良区を管理者として定めることが必要である。また、ダムその他のえん堤及び揚水施設以外の土地改良施設がある場合には、それを申請に係る土地改良区が管理する予定である旨を記載した書面を申請書に添付するものとする。
(3) 令第49条第1項に規定する一体事業に該当する事業については、施設更新事業同士の一体事業又は関連施行事業同士の一体事業のみを申請することが認められているので留意されたい。
(4) 関連施行事業の施行申請は、施設更新事業の施行申請と併せて行うべきものであり、同一の申請主体が同一の事業主体に対し、原則として同時に申請するものとする。
第5 土地改良区の総代の選挙手続の簡素合理化
   施行通達第8の2の(2)にいう土地改良区の総代選挙手続の改善に伴い留意すべき点は、次のとおりである。
(1) 総代選挙は、選挙管理委員会の管轄とされているので、その運営に当たつては、土地改良区が関係選挙管理委員会との緊密な連絡調整を行うよう十分指導されたい。
(2) 総代選挙手続の改善に伴い、選挙人名簿の調製手続に関し土地改良区の定款変更が必要となるので、可及的速やかにその処理がなされるよう土地改良区を指導されたい。
なお模範定款例の改正については、別途通達することとしている。
(3) その他、改正後の総代選挙手続の適用等に関し留意すべき細目についても別途通達するので、これに従い適切な選挙執行を確保することとされたい。
第6 その他
上記のほか、今回の法改正に伴い、土地改良事業制度についての関係諸通達につき所要の整備を行う必要があり、別途改正の上通達することとしているので了知されたい

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader