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農林水産省

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土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の 一部を改正する法律の施行について

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61構改B第702号
昭和61年4月1日

地方農政局長あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて

農林水産事務次官


第104回国会で成立した「土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律(昭和。、年法律第8号)」は、昭和61年3月31日に公布され、同年4月1日から施行された。
これに伴い、「土地改良法施行令の一部を改正する政令(昭和61年政令第62号)」、「特定土地改良工事特別会計法施行令の一部を改正する政令(昭和61年政令第63号)」及び「土地改良法施行規則の一部を改正する省令(昭和61年農林水産省令第14号)」並びに関係告示が、それぞれ昭和61年3月31日に公布され、同年4月1日から施行された。
これらの法令改正の趣旨及び留意事項等をよ下記のとおりであるので御了知の上、土地改良事業制度の適切な運営に遺憾なきを期せられたい。
以上、命により通達する。
なお、下記事項中「法」とあるのは土地改良法(昭和24年法律第195号)を、「特別会計法」とあるのは国営土地改良事業特別会計法(昭和32年法律第71号)を、「改正法」とあるのは土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律(昭和61年法律第8号)を、「令」とあるのは土地改良法施行令(昭和24年政令第295号)を、「特別会計令」とあるのは国営土地改良事業特別会計法施行令(昭和32年政令第196号)をいうものである。

第1 改正の趣旨
土地改良事業については、農業生産の基盤の整備及び開発を図り、農業の生産性の向上、農業構造の改善等に資することを目的に、農政の最も基礎的な施策としてその積極的な推進に努めてきたところであるが、近年、土地改良事業をめぐって、工期の延伸、完了の遅延等の事態が生じており、現下の諸情勢の下で、一層効率的な土地改良事業の推進が必要となっている。
このような状況に対処して、国の財政資金の効率的な使用により土地改良事業の推進の促進を図るため、国営土地改良事業の事業費の財源として借入金を活用する制度を拡充し、すべての国営土地改良事業の工事について借入金をもつてその事業費の財源とする途を開き、併せて、その経理を特別会計(国営土地改良事業特別会計)において行うこととしたものである。
第2 国営土地改良事業制度
1 国営土地改良事業についての借入金
(1) 改正の内容
ア 国営土地改良事業の工事については、その工事の完了を促進するため必要があるときは、その事業費のうち都道府県に負担させる費用の全部又は一部につき、借入金をもつてその財源とすることができるものとした(法第88条の2第1項)。
イ 国営土地改良事業については、従来、借入金をもつて財源とすることができる工事の範囲が改正前の法第88条の2の規定により限定されていたが、この改正により国営土地改良事業のすべての工事について借入金をもつて財源とすることができることとされた。これにより、借入金をもつて財源とする分、国費の有効利用が可能となり、この国費を土地改良事業の事業費の財源に充てることによつて事業費の拡大、工期の短縮が図られることとなる。
ウ この借入金制度の具体的な運営としては、次の二つの方式の事業のいずれかにより行われることとなる。
[1] 事業費のうち都道府県に負担させる費用の一部(都道府県が自ら負担する部分(以下「都道府県負担部分」という。)に限る。)につき借入金をもつて財源とする事業(今回の改正により新たに導入された方式の事業。以下「一般型国営土地改良事業」という。)
[2] 事業費のうち都道府県に負担させる費用の全部につき借入金をもって財源とする事業(改正前の法第88条の2の規定により実施されていた事業と同じ方式の事業。以下「特別型国営土地改良事業」という。)
(2) 運用の方針
ア 法第88条の2第1項は、国に借入金をもつて事業費の財源とし得る権能を付与する規定であるが、国営土地改良事業の工事の完了を促進する観点から現に施行中のものを含め、原則としてすべての国営土地改良事業の工事について借入金をもつてその事業費の財源とする方針で運用することとしている。ただし、直轄管理事業として行われる土地改良事業の工事については、その事業の性格にかんがみ、借入金をもつてその事業費の財源とはしないこととしている。
イ アにかかわらず、一般型国営土地改良事業について都道府県が都道府県負担部分を、工事の実施年度ごとに一括して国に支払うことを希望する場合には都道府県負担金を直接事業費に充てることができるので、当然借入金を事業費の財源とはしないこととなる。
なお、本年度の予算においては、かかる場合は想定せず、すべての事業について借入金を財源の一部として計上しているが、今後、翌年度の予算編成に当たり、負担金の当該年度一括支払いを希望する都道府県は、その旨の申出を行い、国との間で事前に十分に調整を行うよう留意されたい。
2 事業参加資格者等からの申請
(1) 改正の内容
ア 申請によつて行う国営土地改良事業等の工事に係る事業費につき借入金をもつて財源とする場合であつて、都道府県に負担させる費用のうち、事業参加資格者又は市町村が負担すべき部分(以下「受益者等負担部分」という。)につき借入金をもつてその財源とするとき、すなわち特別型国営土地改良事業の場合は、当該国営土地改良事業の施行申請をした者等の申請に基づかなければならないこととされた(法第88条の2第2項)。
イ 特別型国営土地改良事業の場合には、受益者等の負担すべき費用の額及びその支払方法は、国庫負担率、事業施行期間中の利息負担の有無及び償還期間中の利息の利率の三点において、一般型国営土地改良事業の場合と異なることとなるので、受益者等負担部分について借入金をもつて財源とする特別型国営土地改良事業として施行するには、埋立て又は干拓の事業及び法第88条の規定により行う災 害復旧事業を除き、事業参加資格者等の申請を必要とすることとされたものである。
ウ この申請をすべき者は、事業の施行申請をした者等の区分に応じて、それぞれ事業参加資格を有する15人以上の者、市町村、土地改良区等とされ、かつ、その申請に当たつては、あらかじめ施行地域内の事業参加資格者の3分の2以上の同意を徴集すべきこと等とされている(令第50条の3)。
エ 法第88条の2第2項及び令第50条の3の規定の趣旨は、改正前の法第88条の2各号の政令(改正前の令第50条の3から第50条の6まで)と同じであり、また、その内容もおおむね同一である。なお、改正前の令に基づき行つた同意徴集等の手続は、改正後の令に基づき行つたものとみなすこととされている(令附則第2 項)。
オ 昭和60年度において一の国営土地改良事業のうち特に完了の促進を図るべき工事を特定してその工事に係る事業費についてのみ借入金を財源とし、その他の工事については全額国費をもって施行するという、いわゆる「部分特別会計方式」が制度化されたが、今回の改正により、この方式は、一の国営土地改良事業のうち、特に完了の促進を図るべき工事を特定してその工事に係る事業費については、 特別型国営土地改良事業の方式で、その他の工事については一般型国営土地改良事業の方式で施行することに改められた(この方式を「複合型国営土地改良事業」 という。令第50条の3第5項)。
(2) 運用の方針
ア 特別型国営土地改良事業については、事業参加資格者等が工事の完了を特に促進させることを目的として申請を行うものであり、また、受益者等負担部分につき借入金を財源とすることに伴い施行期間中の利息の負担増をはじめ負担条件が変更されることにかんがみ、工期の遅延を防ぎ事業の進捗を図るため、特別の配慮を払うことが必要である。このため、今後は原則として特別型国営土地改良事業への移行後は、移行時点で予定される残工期内に事業を完了することを目途に予算の重点配分等を図るものとする。
既に改正前に法第88条の2の規定により借入金を財源として施行してきた国営土地改良事業についても、同様の趣旨から従来以上に予算の重点配分を行う等特別の配慮を払うものとする。
イ 法第88条の2第2項の規定による事業参加資格者等の申請は、都道府県を経由して農林水産大臣あてに行うものとする。
3 負担金及びその支払方法
(1) 一般型国営土地改良事業
ア 一般型国営土地改良事業の国庫負担率は、従来の一般会計で行う国営土地改良事業の国庫負担率と同一とされた。
イ 一般型国営土地改良事業については、都道府県負担部分について借入金をもつて財源とすることとなるため、都道府県負担金の額は事業に要する費用のうち国の負担分以外の部分に当該借入金についての負担金の支払期間の始期までの間における利息の額を加えて得た額とされた(令第52条第1項)。
ウ その支払方法は、事業実施年度の翌年度から支払期間を13年(うち据置期間3 年)、利率を借入金の利率を基礎として農林水産大臣の定める率とする元利均等年賦支払の方法とされた(令第52条の2第1項第3号)。これは、従来の一般会計で行う国営土地改良事業であつて農林水産大臣の承認を受けて延払いの方法による場合と比較して支払利率が異なるのみで、他の支払方法は同一とされている。
なお、1の(2)のイで述べたとおり、都道府県の申出があるときは、負担金を事業実施年度に支払う方法によることができ、この場合は借入金を財源としていないので、イにかかわらず、都道府県負担金の額は事業費のうち国の負担分以外の部分のみとなる。
工 受益者等負担部分の支払方法については、従来の一般会計で行う国営土地改良事業と、改正後の一般型国営土地改良事業とでは全く変化はない。すなわち、事業完了年度の翌年度から利率を年5分とする元利均等年賦支払の方法により支払うものとされている(令第52条の2第1項第1号)。
(2) 特別型国営土地改良事業
特別型国営土地改良事業の都道府県負担金及びその支払方法は改正前の法第88条の2の規定により行う国営土地改良事業と同様である。
(3) 経過措置
改正前の令第52条の2の規定により農林水産大臣の延納承認を受けた都道府県の負担金及び昭和60年度以前の事業費で昭和61年度以降の年度に繰り越されたものに係る都道府県の負担金についての支払方法は、なお従前の例によるものとされた(令附則第3項、第4項)。
第3 特別会計制度の改正
1 特別会計の名称及び経理対象
(1) 特別会計の経理対象は、従来、法第88条の2の規定により国が行う土地改良事業の工事とされていたが、今回の改正によりすべての国営土地改良事業の工事に拡大することとされた(特別会計法第1条第1項)。
これは、実体法たる土地改良法において国営土地改良事業のすべての工事に係る事業費につき借入金をもつて財源とすることができることとされ、また、この権限に基づき原則として国営土地改良事業のすべての工事につき借入金をもつて財源とする運用を行うことに対応したものである。なお、国が行う土地改良事業の工事(以下「土地改良工事」という。)の範囲には、土地改良施設の管理を含むこととされている。
(2) これにより、すべての国営土地改良事業が本特別会計において経理されることとなるため、特別会計の名称を「特定土地改良工事特別会計」から「国営土地改良事業特別会計」に改めることとされた(題名の改正)。
(3) 従来から、本特別会計においては、土地改良工事のほか、土地改良工事の施行上密接な関連のある受託工事を併せて経理することとしていたが、今回の改正により新たに土地改良事業に関する調査で国が行うもの(以下「直轄調査」という。)も経理対象として加えることとされた(特別会計法第1条第2項)。
これらは、国営土地改良事業の予算、経理、財産管理等の面で密接な関連があるので、円滑な業務運営を確保するために、同一の会計で経理することが適切であると考えられたためである。なお、全体実施設計に要する経費については、土地改良工事に要する費用の一部を構成するものであることから、本特別会計において経理することとなる。
2 経理に関する規定の整備
(1) 一般型国営土地改良事業という新しい方式が制度化され、特別会計の経理対象が拡大されたことに伴い、次のとおり特別会計の経理に関する規定の整備が行われた。
ア 一般会計から本特別会計へ繰り入れる金額は、従来、土地改良工事に要する費用で国庫が負担するものとされていたが、今回の改正により、このほか、直轄調査に要する費用及び都道府県に負担させる費用の全部又は一部(一般型国営土地改良事業の受益者負担部分等)が加えられた(特別会計法第5条第1項、特別会計令第2条第2項)。
イ アの都道府県に負担させる費用の全部又は一部で一般会計から本特別会計に繰り入れた金額に対応する負担及びその利息は、本特別会計から一般会計に繰り入れることとされた(特別会計法第6条第1項)。
ウ 本特別会計で借り入れることができる借入金の範囲は、土地改良工事に要する費用のうち都道府県に負担させる費用の全部又は一部とされた(特別会計法第14 条第1項、特別会計令第8条第1項)。
(2) 今回の改正により、北海道又は沖縄県において施行する土地改良工事及び直轄調査が本特別会計の経理対象とされることとなるが、これらの工事等に係る職員の給与に要する費用その他の事務費は、他省庁の所管であるため、他の公共事業に係る特別会計と同様、本特別会計においても経理対象から除外するものとされた(特別会計法第3条)。
3 工事別の区分整理
(1) 本特別会計においては、従来から土地改良工事の各工事の単位(負担金算定の単位)及び受託工事をそれぞれ区分して経理し、工事ごとの経理の明確性を確保することとされていたが、今回の改正後も、これを維持するとともに、経理対象として直轄調査が加えられたことに伴い、これを他と区分して経理することとされた(特別会計法第4条、特別会計令第1条)。
(2) すべての国営土地改良事業を経理対象とすることに伴い、経理に関する事務の簡素合理化を図るため、従来、歳入歳出決定計算書は、歳入歳出予定計算書と同一の区分によるほか工事別に区分して作成するものとされていたのを改め、歳入歳出予定計算書と同一の区分により作成するものとされた(特別会計法第19条第1項)。
4 経過措置
(1) 改正後の国営土地改良事業特別会計に関する規定は、昭和61年度の予算から適用され、昭和60年度の収入及び支出並びに同年度以前の年度の決算に関しては、従来どおり特定土地改良工事特別会計の制度の下で処理することとされた(改正法附則第3条第1項)。
(2) 従来、一般会計において経理されていた土地改良工事、受託工事及び直轄調査に係る経費がすべて本特別会計の経理対象となるため、これらの工事又は調査に係る国有財産等を一般会計から特別会計に移行させ、また、債権債務関係を特別会計において承継する等の必要がある。このため、改正法の施行の際、一般会計に所属する権利義務で土地改良工事、受託工事及び直轄調査に係るものは、原則として本特別会計に帰属するものとされた(改正法附則第3条第2項)。
(3) 昭和60年度の一般会計の歳出予算のうち、土地改良工事、受託工事及び直轄調査に係る経費で繰越しを必要とするものは、本特別会計に繰り越して使用することができるものとされた(改正法附則第3条第3項)。
また、この場合、繰り越して支出することとなる経費に見合う財源の手当てとして、昭和60年度の一般会計の決算上の剰余金を本特別会計の昭和61年度の歳入に繰り入れるものとされた(改正法附則第3条第4項)。
(4) 改正法の施行前に一般会計において行っていた土地改良工事に係る負担については、一般会計で施行した工事の部分に相当する金額は、本来、一般会計において収納すべき性格のものであるため、本特別会計において収納した後、本特別会計から一般会計に繰り入れるものとされた(改正法附則第3条第5項、第6項)。

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