このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

土地改良法等の一部を改正する法律の運用について

  • 印刷

3構改B第1139号
平成3年11月1日

地方農政局長あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて
農用地整備公団理事長あて
全国土地改良事業団連合会会長あて

構造改善局長


土地改良法等の一部を改正する法律(平成3年法律第58号)及びその関係法令の施行に伴う土地改良事業制度等の運用については、「土地改良法等の一部を改正する法律の施行について」(平成3年11月1日付け3構改B第1138号農林水産事務次官依命通達。以下「施行通達」という。)に定めるもののほか、下記によることとしたので、御了知の上、土地改良事業制度等の適切な運営に御配慮をお願いする。

第1 国営及び都道府県営土地改良事業における市町村の事業費負担の明確化
1 市町村による事業費負担
(1) 市町村の標準的な事業費負担割合
国営又は都道府県営の土地改良事業について、都道府県が改正後の土地改良法(昭和24年法律第195号。以下「法」という。)第90条第9項又は第91条第6項の規定により市町村に負担金を負担させる場合においては、事業の態様や地域の実情等に即してその負担割合を定めるに当たっての指針として、「国営及び都道府県営土地改良事業における地方公共団体の負担割合の指針について」(平成3年5月31日付け3構改D第389号構造改善局長通達)により市町村の標準的な費用負担の水準が示されているので、留意されたい。
(2) 都道府県議会の議決
ア 法第90条第10項の規定に基づく都道府県議会の議決は、新規の国営土地改良事業地区にあっては、着工後速やかに、当該事業に係る法第3条に規定する資格を有する者(以下「3条資格者」という。)の負担金徴収条例の制定と併せて行われることが適切である。
また、改正後の法第90条第9項、第10項等の規定が適用されることとなる継続中の地区(即ち、平成3年度以降に事業完了予定の継続地区)にあっては、3条資格者の負担金徴収条例について所要の改正を行うのと併せて、速やかに、市町村の事業費負担割合を定めるための都道府県議会の議決を経ることが望ましい。
一方、都道府県営土地改良事業に係る市町村の事業費負担については、事業実施期間中の毎年度に、各年度ごとの事業費に応じた負担金を負担させる方式など各都道府県ごとの負担金徴収方式をとることとなるが、その方式に応じて法第91条第6項において準用する法第90条第10項の規定に基づく都道府県議会の議決を行うことが適切である。
これらの場合において、都道府県議会の議決は、予算議決とは別の、特別の事件議決によって行われる必要がある。
イ 国営又は都道府県営土地改良事業に要する費用の一部を平成4年度に市町村に負担させるための都道府県議会の議決を、平成3年度中に行おうとする場合には、法第90条第9項及び第10項並びに第91条第6項の規定の施行日が平成4年4月1日であることから、当該議決の効力発生の日については平成4年4月1日以降とする必要があることに留意されたい。
2 市町村を通じた3条資格者等の負担金の徴収
(1) 市町村の同意
ア 都道府県が、土地改良区が存在しない等の理由により、法第90条第5項又は第91条第2項の規定により市町村に負担を求めた場合においては、当該市町村は、法90条第6項又は第91条第3項の規定により当該負担金に見合う額を3条資格者等から徴収することを前提としているので、十分に留意されたい。
このように、法第90条第5項又は第91条第2項の規定に基づく同意は、市町村が3条資格者等の負担金(分担金)の徴収主体となることについての同意であり、おって、当該市町村は、法第90条第6項又は第91条第3項の規定に基づく負担金(分担金)徴収条例を整備することが必要となるので、留意されたい。
また、この場合の市町村の同意は、負担金(分担金)の円滑な徴収を担保するため、文書によって行われることが必要である。
イ 施行通達の第2の5のウに記したとおり、都道府県営土地改良事業について、事業実施の各年度に当該年度の3条資格者の分担金を徴収する方式を採用している場合には、継続中の事業の平成4年度以後分の事業費に係る分担金について、改正後 の法第91条の規定が適用されることとなる。
このため、都道府県が、これらの継続事業について、平成4年度以降の3条資格者の分担金を市町村を通じて徴収しようとする場合には、改めて同条第2項の規定に基づく市町村の同意を得ることが必要になるので、十分に留意されたい。
なお、平成2年度以前に完了して、既に市町村を通じて3条資格者の負担金の償還が開始されている国営事業地区については、施行通達の第2の5のアに記したとおり、平成4年度以降も、引き続き従前の負担金徴収方式が適用されるので、市町村の同意を取り直すなどの必要はない。
ウ 国営又は都道府県営の新規事業地区において、改正後の法第90条第5項及び第6項又は第91条第2項及び第3項の規定により市町村を通じて3条資格者の負担金(分担金)を徴収しようとする場合には、負担金(分担金)の円滑な徴収を図るため、事業の着工(都道府県営事業にあっては、採択)後速やかに、関係市町村の同意を得ることが適切である。
平成3年度以降に完了予定の国営の継続中の事業地区において法第90条第5項及び第6項の規定による負担金徴収を行おうとする場合も、同様に、速やかに関係市町村の同意を得ることとすることが望ましいので留意されたい。
(2) 市町村による負担金(分担金)の徴収
法第90条第5項及び第91条第2項にいう3条資格者等の負担金(分担金)に「相当する部分の負担金(費用)」とは、3条資格者等がその受ける利益の限度内において負担すべき負担金(分担金)に相当する負担金(費用)の額を指す趣旨である。
したがって、市町村がこれらの規定により都道府県から、これら3条資格者等が負担すべき負担金(分担金)の総額に相当する額を一括して負担させられた場合には、当該市町村は、法第90条第6項又は第91条第3項の規定に基づいて、これらの3条資格者等から、それぞれの3条資格者等が受ける利益の限度内において、負担金(分担金)を賦課・徴収することとなるので、その運用に当たって十分に留意されたい。
第2 農用地の保有の合理化の促進等のための換地制度の改善
換地計画において法第53条の3の2第1項第1号に掲げる創設農用地の取得者として農地保有合理化法人を定める場合、あらかじめ当該土地の売渡しを受ける者から内諾を得ておくことなどにより、当該土地の売渡しが確実にできると認められる場合に限り、当該農地保有合理化法人が法第53条の3の2第2項において読み替えて準用する第53条の3第2項の規定に基づく同意を行うこととするよう、指導されたい。
第3 国又は都道府県が管理する土地改良施設の更新事業の実施手続の整備
1 施設更新事業の同意徴集手続の簡素化
土地改良区が国又は都道府県が管理する土地改良施設の更新事業を申請する場合において、施行通達第4の3のウの簡易な同意徴集手続によろうとするためには、当該国又は都道府県が管理する土地改良施設だけでなく、これと一体となって機能を発揮する土地改良施設で土地改良区が管理するものについても、その管理事業計画について重要な部分の変更をすることとならないこと、更新事業実施後の組合員の費用負担が相当と認められること等の所定の要件(土地改良法施行令(昭和24年政令第295号)第50条の2の3及び第50条の2の4)が満たされていることにより、現行受益地内の組合員の権利・利益が実質的に侵害されないことが担保されている必要があるので、適切に指導されたい。
2 その他
1のほか、土地改良区申謂による国又は都道府県が管理する土地改良施設の更新事業の運用上留意すべき細目は、「土地改良法等の一部を改正する法律の運用について」(昭和59年12月22日付け構改B第1902号構造改善局長通達)の第4の1並びに2の(1)、(3)及び(4)に記したとおりである。
第4 土地改良区及び土地改良事業団体連合会の運営等に関する規定の整備
1 土地改良区等の員外理事定数枠の拡大
(1) 施行通達第5の1について、土地改良区等が員外理事を増員する場合にあっては、総(代)会の議決(この場合は法第33条に定める特別議決)により定款を変更する必要があり、当該員外役員の選挙は定款変更手続終了後速やかに実施されることが望ましい。この場合には、定款変更に係る議決の附則として次の規定をおくものとする。「この定款変更により増加した理事の定数について新たに選挙される役員の任期は、第○条第Δ項の規定にかかわらず、現在役員の任期満了の日までとする。」
(2) (1)以外のときは、その選挙は次の選挙において行うこととなる。この場合には、定款変更に係る議決の附則とし次の規定をおくものとする。
「この定款変更は、現在役員の任期満了その他の事由による次期の総選挙の時から施行するものとし、それまではなお従前の例によるものとする。」
2 土地改良事業団体連合会の国営及び都道府県営土地改良事業に対する協カ業務の明定
今回、都道府県営土地改良事業に対する協カ業務が明定され、これに伴い、都道府県が行う農業集落排水施設整備事業その他の生活環境施設の整備に関する事業の設計、測量その他各般の事項に関する協カを行うことが連合会の業務として明確化されたところである。このことにより、これらの事業については、連合会の会員である市町村、土地改良区等を含め、すべての主体による事業の実施に対して連合会の協力業務が明確化されることとなった。
第5 市町村特別申請事業の事業費負担方式の整備
1 関連土地改良事業者又は関連管理事業者からの負担金の徴収
都道府県が、法第90条第8項又は第91条第5項の規定により市町村特別申請事業に係る関連土地改良事業者又は関連管理事業者から負担金又は分担金を徴収する場合においては、当該関連土地改良事業者又は関連管理事業者は、法第36条第1項等の規定により当該負担金又は分担金に見合う額を3条資格者から徴収することを前提としているので、十分に留意されたい。
2 関連管理事業の要件
関連管理事業として位置づけられるための前提として、施行通達第6の2の(1)のイの管理事業計画の変更を行うに当たっては、変更される管理事業計画の概要書のうちの「費用の概算」の項に当該管理事業に要する経費のほか、少なくとも市町村特別申請事業に要する事業費の総額を記載することにより、関係する3条資格者がその同意に際して、市町村特別申請事業に係る事業費の一部を負担することとなることが明確に分かるようにしておく必要があるので、適切に指導されたい。
3 その他
市町村特別申請事業については、今回の改正により関連管理事業者が費用負担者として位置づけられたものの、事業の申請のための要件として、法第85条の2第6項に掲げる要件のほか、「土地改良法の一部を改正する法律の運用について」(昭和48年2 月8日付け48構改B第193号構造改善局長通達)の第3に掲げる要件を満たす必要があることに何ら変更はないので、十分に留意されたい。
第6 農用地整備公団事業における市町村の事業費負担の明確化
都道府県が、土地改良区が存在しない等の理由により、改正後の農用地整備公団法(昭和49年法律第43号)第27条第3項の規定により市町村に負担を求めた場合においては、当該市町村は同条第4項の規定により当該負担金に見合う額を事業参加資格者から徴収することを前提としているので、十分に留意されたい。
第7 その他
上記のほか、今回の改正に伴い、土地改良事業制度等についての関係諸通達につき所要の整備を行う必要があり、別途改正の上、通達することとしているので了知されたい。