土地改良法の一部改正について
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5構改B第842号
平成5年8月2日
地方農政局長あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて
全国土地改良事業団体連合会会長あて
農林水産事務次官
農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律(平成5年法律第70号)が第126回国会において成立し、平成5年8月2日付けで施行された。また、土地改良法施行規則の一部を改正する省令(平成5年農林水産省令第45号)が同日付けで施行された。
これにより、土地改良法(昭和24年法律第195号)及び土地改良法施行規則(昭和24年農林省令第75号)の一部がそれぞれ改正されたので、下記事項に御留意の上、土地改良事業制度の適切な運営に御配慮をお願いする。
また、関係事項の整備を行うため、「土地改良区の設立手続及び審査等の要領について」(昭和49年7月17日付け49構改B第308号農林事務次官依命通達)が別紙新旧対照表のとおり改正されたので、併せて通知する。
以上、命により通達する。
なお、下記事項中、「法」とあるのは改正後の土地改良法を、「規則」とあるのは改正後の土地改良法施行規則を、「関係整備法」とあるのは農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律をそれぞれいうものとする。
記
第1 土地改良法改正の趣旨
1 法第3条に規定する土地改良事業に参加する資格を有する者(以下「3条資格者」 という。)が土地改良事業を行う場合には、従来は、2人以上の数人が共同して行うこととされていたところであるが、今後、効率的かつ安定的な農業を営む者(以下「農業経営体」という。)として、大規模農家、農業生産法人等が増加することが見込まれる中で、従来であれば3条資格者数人が共同して土地改良事業を行っていたような規模の農用地を、単独の農業経営体が権原に基づいて耕作する場合が増加することが予想される。
このため、今回、土地改良法の一部が改正され、3条資格者たる農業経営体(具体的には、大規模農家、農業生産法人等)が、単独で土地改良事業を実施する途を開くこととされたものである(法第95条等)。
これにより、1人の3条資格者が土地改良事業を行う場合にも、当該事業が農用地の区画形質の変更を伴う場合には、法の規定に基づいて、換地の手法を活用し、分筆及び合筆、所有権の移転等の個別の手続を要することなく、円滑かつ迅速に権利関係を確定することが可能となった。
2 このほか、関係整備法において農地法(昭和27年法律第229号)の一部が改正されたことに伴い、農地保有合理化法人が権原を有する農用地に係る法第3条に規定する資格の取扱いについての規定が整備された(法第3条第4項)。
第2 土地改良法の一部改正の内容
1 3条資格者が1人で行う土地改良事業の導入について(法第95条、第111条の2、第118条、第132条及び第134条関係)
(1) 3条資格者が1人で土地改良事業を行おうとする場合における事業開始に当たっての同意の徴集、都道府県知事への認可申請その他の手続については、従来の3条資格者数人が共同して土地改良事業を行う場合の規定が基本的に適用される(法第95条第1項)。
(2) ただし、3条資格者数人が共同して土地改良事業を行うことにつき都道府県知事に認可を申請しようとする場合には、あらかじめ、規約及び当該土地改良事業の計画の概要を公告して、当該事業の施行地域内にある土地につき所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有するすべての者の同意を得なければならないこととされているが、3条資格者が1人で土地改良事業を行おうとする場合には、規約に代えて規準を公告することとされた(法第95条第2項)。
この規準においては、規約において定めるべきものとされた事項のうち、以下の事項を除く事項を定めることが必要である(規則第72条第1項)。
[1] 代表者を定めるべき旨並びにその任期及び選任に関する事項
[2] 会議に関する事項
[3] 経費の分担に関する事項
[4] 土地改良事業を行おうとする3条資格者の名簿を調製すべき旨及び当該名簿に関する事項
(3) また、土地改良事業計画を変更し、又は土地改良事業を廃止しようとする場合であって、当該計画の変更又は事業の廃止(以下「変更等」という。)に伴って規約又は規準を変更する必要があるときには、変更後の規約又は規準を変更等の認可申請書に添付して都道府県知事に対して申請しなければならない(規則第69条第1号及び第75条の2の2第2号)。
この場合、変更等により、土地改良事業の施行に係る地域内の3条資格者の数が数人から1人に減少する場合には従来の規約を規準に、また、1人から数人に増加する場合には従来の規準を規約にそれぞれ変更することが必要である。特に、規準を規約に改めるに当たっては、(2)の[1]から[4]までに掲げる事項を新たに定めることが必要である(規則第72条第1項)。
なお、土地改良事業計画の変更を伴わず、当該事業の施行に係る地域内の農用地についての権利の設定移転等により3条資格者の数が数人から1人に減少する場合、 又は1人から数人に増加する場合であっても、土地改良事業の健全な推進を図る観点から、規約を規準に、又は規準を規約に改正するために必要な措置をとることが必要であるので、関係者への周知を図るものとする。
(4) 1人で土地改良事業を行う3条資格者に関する取扱いであって、土地改良事業団体連合会の構成員となる資格を持たないこと(法第111条の2)、土地等の調査をするため必要がある場合には、必要の限度内において他人の土地に入って測量し、検査できること(法第118条第1項)、当該測量等を行った場合に通常生ずべき損失を補償しなければならないこと(法第118条第2項)、農林水産大臣又は都道府県知事は、法令等を遵守させるために必要があるときは、当該3条資格者からその事業に関し報告を徴し、又は業務等の状況を検査することができること(法第132条第1項)及び当該報告徴収又は検査の結果、当該3条資格者の業務又は会計が法令等に違反すると認めるときには必要措置命令を発することができること(法第134条第1項)については、3条資格者数人が共同して土地改良事業を行う場合と同様である。
2 農地保有合理化法人が所有する農用地に係る3条資格者の取扱いについて(法第3条第4項関係)
農地保有合理化法人が所有し、かつ、従来の農地保有合理化促進事業の実施により、売り渡し又は交換するまでの間一時的に貸付けを行う農用地で、関係整備法による改正前の農地法(昭和27年法律第229号)第7条第1項第13号の規定により都道府県知事の指定を受けているものについては、当該農地保有合理化法人を権原に基づき耕作を営む者とみなすこととし、土地改良法第3条第1項第1号の規定により、当該農地保有合理化法人が3条資格者となることとされてきたところである。
今回、関係整備法により農地法第7条第1項第13号が改正されたことを受けて、土地改良法第3条第4項に規定されていた特例が廃止されたことから、今後は、当該農用地に係る3条資格者を所有者たる農地保有合理化法人と一時貸付を含む農用地売買等事業により貸付けを受けている者のいずれにするかについては、法第3条第1項第 2号の規定に従うこととなった。
なお、関係整備法の施行の際現に農地保有合理化法人が参加している土地改良事業につき当該農地保有合理化法人が参加する資格については、なお従前の例によることとされたので念のため申し添える(関係整備法附則第4条)。
別 紙(略)