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農林水産省

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土地改良法施行令の一部改正について

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7構改B第675号
平成7年6月14日

地方農政局長あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
都道府県知事あて
全国土地改良事業団体連合会会長あて

農林水産事務次官


土地改良法施行令の一部を改正する政令(平成7年政令第241号。以下「改正令」という。)が平成7年6月14日に公布、施行され、これに伴い関係告示が同日付けで公布、施行された。この改正は、平成7年度予算に関連するものであり、その概要は下記のとおりである。
また、この改正に伴い、関係事項の整備を行うため「土地改良法の一部改正等について」(昭和52年12月28日付け52構改B第2844号農林事務次官依命通達)及び「土地改良法施行令の一部改正について」 (昭和54年8月25日付け54構改B第1681号農林水産事務次官依命通達)が別紙新旧対照表のとおり改正されたので、御了知の上、土地改良事業の適切な実施に御配慮をお願いする。
以上、命により通達する。

第1 国営農地再編整備事業の拡充
中山間地域においては、傾斜の急な農用地が多い等の地形条件から、農用地や農業用用排水路、農業用道路等の農業用施設に対する自然災害が多く発生しているところである。一方、近年の過疎化の一層の進行と相まっての農業就業者の急速な減少・高齢化等の中、中山間地域の 生産基盤の整備がなされていない農用地を中心として、耕作放棄地が増大しつつあり、早急に 農業生産基盤の整備を行う必要がある。
このため、中山間地域においては、区画整理及び開畑を併せ行う事業並びにこれと併せ行う農用地の保全のため必要な事業に係る受益面積の合計がおおむね400ヘクタール以上あれば、国営農地再編整備事業の実施を申請できることとされた(土地改良法施行令(昭和24年政令 第295号。以下「令」という。)第49条第1項第3号の2)。
第2 農村地域環境保全整備事業(関連工事)の創設
近年の農村地域の都市化の進展は、農業用用排水施設等の土地改良施設の管理の粗放化による当該土地改良施設の機能の低下や老朽化を招いており、また、平野部を中心とする流域開発の進行は、農業用水の水質の汚染につながっている。このような近年の我が国農村地域を取り巻く社会的経済的条件の変化に伴い、農用地・農業用施設に発生する被害は、単独の原因によるものだけでなく、複合的なものとなる傾向にある。このため、防災事業についても個別の目的に対応したものを単独で実施するのではなく、一定の地域において複数の防災事業を併せ行う事業が必要となっているところである。
このような場合において、事業の効率の向上と効果の早期発現を図るため、複数の防災事業と併せて簡易な生産基盤の整備を行うことが適当であると認められる場合には、農業用用排水施設若しくは農業用道路の変更(農業用道路の変更にあっては、舗装に限る。)、客土又は暗きょ排水を複数の防災事業と併せて実施することができることとされた(令第5 0条第1項第 1号の3、第7号の5、別表第1、別表第6)。
第3 農地環境整備事業の拡充
中山間地域においては耕作放棄地が増加する傾向にあり、これら耕作放棄地の介在に起因する農作物等の生育の阻害や農作業の能率の低下を防止するため、今後とも耕作の見込まれない地域と耕作を継続していく農地とを計画的に区分し、後者の区域において優良農地の確保を図るために必要な農業生産基盤の整備を総合的に行う農地環境整備事業を実施してきているところである。
本事業の対象となるような地域においては、谷地田(台地に挟まれた細長い谷に広がる水田)が含まれている場合が見受けられるが、谷地田は高い地下水位のために強度の湿田となっている場合が多く、農業機械の導入が困難であること等から、生産性が低くかつ不安定となっており、耕作放棄地の発生を防止するためにはこのような谷地田の生産性の向上が不可欠となっている。このため、このような地域において、その地理的条件に起因する地下水位の状況を改善し生産性の向上を図るため、本事業の工種として暗きょ排水を追加することとされた(令第50条第1項第7号の6)。
第4 土地改良総合整備事業の拡充
国際化をはじめとする近年の我が国農業をめぐる厳しい情勢に適確に対処していくためには、経営体質の強化が急務とされているところであるが、地形的な制約等から大規模経営の展開による経営体質強化を図ることが困難である地域では、地域の特性を活かしつつ効率的な稲作と収益性の高い畑作とを組み合わせた複合経営の確立を図ることが必要であり、このような経営が可能となるような汎用田の整備を緊急に推進することが必要となっている。
このため、水田の汎用化に必要となる生産基盤の整備を地域の実情に応じて機動的に実施し、 効率的な複合経営の展開を図ることができるよう、土地改良総合整備事業の都道府県営事業に係る申請面積要件が引き下げられた。
具体的には、農業用用排水施設若しくは農業用道路の新設若しくは変更、客土若しくは暗きょ排水又はこれらのうち2以上を併せ行う事業を基幹事業、区画整理又は農用地の造成を併せ事業とし、申請要件として基幹事業に係る受益面積の合計がおおむね60ヘクタール以上であることとされた(令第50条第2項)。
なお、従来、特別豪雪地帯、振興山村、過疎地域又は急傾斜地帯において申請要件の特例が定められていたが、今回の改正により申請要件が緩和されることから、当該特例は廃止された (令第50条第8項)。
第5 担い手育成基盤整備事業の拡充
担い手育成基盤整備事業は、将来の農業生産を担う担い手の育成を図るため、農用地利用集積促進土地改良整備計画に基づき、区画整理又はこれに附帯する農業用用排水施設等の生産基盤の整備を行うものであり、区画整理を契機とした担い手への農用地の利用の集積に資してきたところである。
しかしながら、過去にその区域内の区画整理がおおむね終了している地域においても、当時の整備水準が低位であったこと等の理由により、地域内のほ場の生産条件が均一でなく、このため担い手への農用地の利用の集積を進めるのに支障を来たしている場合が見受けられる。
このため、区画整理済みではあるがほ場の生産条件の均一化がなされていない地域を対象として、農業用用排水施設若しくは農業用道路の新設若しくは変更、客土又は暗きょ排水のうち 2以上の工種を総合的かつ集中的に実施する型を本事業に追加し、都道府県営事業に係る申請 要件はこれらの受益面積の合計がおおむね20ヘクタール以上であることとされた(令第5 0 条第3項)。
なお、この度、沖縄県及び離島において本事業が実施されることとなり、本事業に係る国の補助率は、沖縄県にあっては100分の75、離島にあっては100分の55と定められた(令第78条第4項)。
また、本政令の施行日前に申請がなされた土地改良総合整備事業についても、農林水産大臣が定める基準に該当する場合には、農用地利用集積促進総合土地改良整備計画を作成し、これに従って事業を実施することができることとされ、補助率は100分の50とされた(改正令附則第2条第2項)。
第6 中山間地域総合整備事業の創設
中山間地域農村活性化総合整備事業は、農業の生産条件が不利な中山間地域を対象として、 特定地域土地改良総合整備計画に基づき立ち後れた生産基盤の総合的な整備を推進することにより、中山間地域の農村の活性化を図ることを目的とするものであるが、当該地域においては、地形条件等の制約のため、生産基盤の整備が十分でないものが多くみられるところである。
このため、最も基本的かつ重要な生産基盤の整備である区画整理を緊急に推進し、中山間地域の活性化を図る必要があることから、本事業の名称を中山間地域総合整備事業に変更するとともに、区画整理を基本的な工種とし、その他の生産基盤の整備については必要に応じて行うことができる型を追加し、この場合における都道府県営事業に係るその申請要件は区画整理に係る受益面積がおおむね20ヘクタール以上であることとされた(令第50条第5項)。
第7 かんがい排水事業(省力化対策特別型)の創設
ガット・ウルグアイ・ラウンド合意を受けて今後一層の進展が予想される国際化に対応し得るよう我が国農業の体質強化を図っていくためには、農業経営の低コスト化を緊急に促進することが必要であり、水田農業については、農業用水の利用及び管理に要する経営コストを削減するこが可能となるような農業用の用水路の整備を緊急に実施する必要がある。
このため、農作業の省力化を行うために必要な農業用の用水施設の新設若しくは変更又はこれと併せ行う農業用の排水施設若しくは農業用道路の変更、客土若しくは暗きょ排水を行うかんがい排水事業(省力化対策特別型)を創設することとし、平成13年3月31日までの間は、通常の都道府県営事業の申請面積要件を満たさないものについても、都道府県営事業として申請することができることとされ、申請要件は基幹事業に係る受益面積がおおむね20ヘクタール以上、補助率は100分の50とされた(附則第3項及び第10項)。