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農林水産省

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土地改良法第3章の解釈と運用について

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25地局第1076号
昭和25年5月11日

都道府県知事あて

農地局長


    土地改良法の運用及び農地等の交換分合の指導については、昭和24年10月5日附24農地第926号及び同年11月25日附24地局第1246号をもって通達されたところであるが、同法第3章関係の運用及び、これが解釈については、なお疑義ある向もあるようであるから左記の通り処理せられたい。
1.第97条関係について
(1)第1項の「一定の農地」と、第2項の「交換分合すべき農地」及び「交換分合を行うべき農地」とは、いずれも実質的に同一の意義であって、これらの「農地」は、交換分合を行おうとする一定地域の農地を指す。したがって交換分合によって権利の変動を生ずべき個々の農地のみを意味するものではない。
(2)第3項の「交換分合計画により交換分合すべき農地」とは、いうまでもなく交換分合計画によって具体的に権利の得喪変更を生ずべき個々の農地を指すのであって、これは第98条第2項、第99条第6項及び第100条第1項の場合も同様である。
(3)第1項の指示は、当該請求のあった農地の一部に関し交換分合計画を定めることを不相当と認めるときは、その一部を除いた残部の農地についてすることとされたい。
2.第98条関係について
(1)第2項の関係市町村農業委員会に対する異議の申立は、当該申立に係る農地の所在土地の如何にかかわらず、これらの関係市町村農業委員会の連名を宛名として、いずれか一の農業委員会を行うものとする。
(2)第9項の規定による関係市町村農業委員会による公告縦覧については、公告は関係市町村農業委員会の連名をもって各市町村の事務所において行うことを要するが、縦覧は当該計画の内容適当数の適当な場所を選定してすればよい。但し、第99条第5項の規定による縦覧の場所は、当該申請に係る地域内にある土地の属する市町村の事務所であることはいうまでもない。この場合、縦覧の場合が二以上あるときは縦覧すべき書類の内容は、もちろん同一でなければならず、またその時期も一致するようにすべきである。同項の通知は関係市町村農業委員会が連名をもってすることを要し事実上は一の農業委員会から発送して差支えない。
なお、同項の協議は関係市町村農業委員会の全部の意思の合致を要する。
3.第99条関係について
第6項の規定による通知は、当該都道府県知事がするものとする。
4.第102条関係について
第3項の「その地積及び価格において」とは、その地積と価格のいずれにおいても2割以上の増減があってはならないということである。
5.第103条関係について
第4項の「現在の権利の条件によらなければならない。」とは、現在の条件に依拠するという意味であって、全く合致することを必要とするものではなく、総合的にみて当該担保権者の不利とならないように定めればよい。
6.第104条関係について
(1)第1項の規定により権利を設定すべき農地は、交換分合によって所有者が取得すべき農地又は所有者が他に所有する農地のいずれかでなければならない。
(2)第1項にいう「対価」とは、具体的には地上権における地代、永小作権における小作料又は貸借権における借賃である。
(3)第1項の規定により定むべき「存続期間」は現存の権利の残存期間を原則とし、「対価その他の条件」は現存の条件を勘案して定めなければならないものとする。
(4)第2項にいう「前条の規定」は、第1項の規定により設定すべき権利の上に更に担保物権のある場合に準用されるものである。
7.第108条関係について
第3項の規定により市町村農業委員会が市町村又は農業共同組合に対して清算金の支払及び徴収を委任する場合には施行令第56条において同令第48条の規定が準用されることになっているが、この場合には、支払いを委任するときも徴収を委任するときと同様に、支払金額の100分の4を市町村又は農業共同組合に交付しなければならない趣旨である。
8.土地改良法による農地の交換分合と農地調整法(以下農調法という。)との関係について
(1)農調法第4条関係について
農地等の交換分合による権利の設定又は移転は、市町村農業委員会の計画又は同意を経、都道府県農業委員会又は都道府県知事の認可の公示によって当然生ずるものであり、私人間における契約関係によるものとは全く異なるから、農調法第4条の規定の適用はない。
(2)農調法第9条(同法第14条の2において準用する場合を含む。)関係について
農地等の交換分合による権利の消滅の性質は前項に述べた通りであるから、この場合には私人間の契約の解除若しくは解約又は期間満了の場合の更新の拒絶について規定した農調法第9条の規定はない。
    然し、交換分合がいわゆる小作地の引上を実質的にもたらすように悪用されることについては厳に注意を必要とするということはいうまでもない。
(3)農調法第9条の3(同法第9条の7において準用する場合を含む。)関係について
農地等の交換分合によって永小作権又は賃借権が新たに設定される場合においては、その存続期間、対価その他の条件を当該交換分合計画によって定めることとなるが、この場合に小作料については、私人間の契約関係を規定した農調法第9条の3の規定の適用は直接には受けないが、当該条件に基いて現実に支払又は受領をする場合に適用されることとなる。
    なお、小作地の交換分合に際しても小作料の額、その他小作条件の改定を要する場合も生ずるから、これらの場合には同法第9条の4(同法第9条の7において準用する場合を含む。)の規定によって処理するものとする。