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漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律の施行について

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5水漁第1774号
平成5年4月23日

都道府県知事あて

農林水産事務次官


 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律(平成5年法律第24号)が平成5年4月23日に公布され、同日から施行された。
 これにより、漁業協同組合の合併を促進するため、漁業協同組合合併助成法(昭和42年法律第78号)第3条第3項の規定による合併及び事業経営計画の都道府県知事への提出期間が平成5年4月23日から平成10年3月31日まで設定され、当該計画の認定を受けた合併に対する税法上の特例措置及び漁業権行使規則の変更又は廃止についての特例措置が延長されるとともに、漁業権の放棄又は変更の手続に関する特例措置が新たに講じられることとなった。
 ついては、組合合併の推進により適正かつ能率的な事業運営を行うことができる組合を育成して、漁業者の協同組織の健全な発展に資するよう、下記事項に御留意の上、適切な御指導をお願いする。
 以上、命により通達する。

第1 法改正の趣旨
(1)漁業協同組合合併助成法(以下「法」という。)は、適正な事業経営を行うことができる漁業協同組合(以下「組合」という。)を広範に育成して漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、組合の合併の促進を図ることを目的として、昭和42年に制定されて以来、4次にわたり延長措置が講じられ、今日に至っているところであり、この間、188件、参加536漁協の合併が行われるなど、組合の事業規模の拡大が図られてきた。しかしながら、組合の現状をみると、全国的には市町村区域未満の組合が約8割を占めるなどいまだ経営基盤の脆弱な小規模組合が多数存在しているという状況にある。
近年の我が国漁業及び漁村をめぐる状況の変化の中で、組合は、組合員ニーズの多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、漁業の振興及び漁村の活性化に積極的に取り組んでいくことが従来にも増して強く要請されているところであるが、現在のままの組合の経営基盤では、このような要請に対処することができないばかりでなく、今後の事業運営の維持・継続も困難なものとなっている。
(2)組合の経営基盤の強化を図るためには、漁協系統が自らその問題を十分自覚した上で、組織を挙げて自主性と創意にあふれた幅広い活動を積極的に展開していくことが不可欠であり、とりわけ、組合の基礎的な体力を高める合併を喫緊の課題として最優先の取組を行っていくことが肝要である。
このような状況から、漁協系統では全国漁業協同組合連合会に「漁協系統事業・組織検討委員会」を設け、組織強化のための合併及び合併の前段階としての事業統合の取組方向等、漁協系統の組織及び事業運営の在り方について検討を行い、その答申を受けて昨年11月の「第4回全国漁業協同組合大会」において、組織の存亡をかけ合併・事業統合の推進に取り組むことが決議されたところである。
(3)政府としても、組合の合併は水産施策の極めて緊急の課題として認識し、従来、  議員提出法案で行ってきた法改正を今回は政府提出法案で行ったところである。
また、法改正に先駆けて平成4年度から合併の計画的な推進を図るための「漁協事業基盤強化総合対策」を実施してきたほか、水産関連諸施策についても合併に配慮して実施するよう指導する等、漁協系統の取組を最大限に支援していくこととしている。
(4)今回の改正は、このような実情にかんがみ、組合の合併促進を図るため、法の規定による合併及び事業経営計画の認定期限を5年間延長するとともに、この認定を受けて合併した組合に対する法人税、登録免許税等の税制上の特例措置及び共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止についての特例措置を延長するとともに、共同漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項の追加等を行ったものである。
第2 改正の内容
法第3条第3項の規定による合併及び事業経営計画の提出期限が、新たに平成5年4月23日から平成10年3月31日まで設定された。(法第3条第3項)
これに伴い、次の措置を講じ、組合の合併の円滑化を図ることとされた。
1 第1種共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止についての特例措置
(1)法第4条第2項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い平成11年3月31日までに合併した組合については、法第6条第1項に規定する漁業権行使規則の変更等についての特例措置を適用することとされた。(法第6条第1項)
(2)法附則第3項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い昭和55年4月1日から昭和61年3月31日までに合併した組合が同項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い昭和63年4月1日から平成6年3月31日までに更に他の組合と合併した場合における合併後の組合が、法第4条第2項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い平成11年3月31日までに更に他の組合と合併した場合、当該合併後の組合については、法附則第4項に規定する漁業権行使規則の変更等についての特例措置を適用することとされた。(法附則第11項)
(3)法附則第3項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い昭和55年4月1日から昭和61年3月31日まで又は昭和63年4月1日から平成6年3月31日までの間に合併した組合が、法第4条第2項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い平成11年3月31日までに更に他の組合と合併した場合、当該合併後の組合については、法附則第4項に規定する漁業権行使規則の変更等についての特例措置を適用することとされた。(法附則第12項)
2 第1種共同漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項の追加
(1)第1種共同漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項の合併及び事業経営計画への記載
[1] 趣旨
漁協合併の阻害要因の最も大きなものの一つとして、漁業権問題が取り上げられてきているが、その内容としては、漁業権そのものの放棄・変更をめぐる問題と漁業権の行使をめぐる問題とに大別される。
従来は、漁業権の行使をめぐる問題が大きかったことから、本法において、漁業権行使規則の変更又は廃止に関する特例を定めていた。しかしながら、最近では都市化の進展等に伴い漁業権の放棄・変更をめぐる問題も大きくなってきたことから、今回の法改正に当たっては、新たに、第1種共同漁業権を有している組合が合併する場合には、合併及び事業経営計画の記載事項として、合併後の組合がその全部若しくは一部を放棄し、又は変更する場合にとるべき当該共同漁業権を有していた合併前の組合の組合員の同意を求める手続に関する事項を追加し、漁業権の問題が合併の阻害要因とならないよう措置したものである。
[2] 内容
第1種共同漁業権を有する組合が合併をするため、合併及び事業経営計画の認定を受ける場合には、当該合併及び事業経営計画に、合併後の組合が当該漁業権の全部若しくは一部を放棄し、又は変更する場合にとるべき当該漁業権を有していた合併前の組合の組合員の同意を求める手続に関する事項を記載することとされた。
漁業権の得喪変更については、合併後の組合における水産業協同組合法第50条第4号の規定による総会の特別議決を要することは当然であるが、総会では合併前に漁業権を有していた組合以外の組合の組合員も議決権を有するため、合併及び事業経営計画には、これ以外の手続を定めることとされている。(法第3条第1項第6号)
(2)第一種共同漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項の定款への記載
[1] 趣旨
(1)で合併及び事業経営計画に定めた事項を合併後の組合においても担保し、合併前の組合の組合員の不安を除去するため、合併後の組合の定款に当該事項を記載しなければならないよう措置したものである。
[2] 内容
組合が、法第4条第2項の規定により認定を受けた合併及び事業経営計画に従い合併をするために定款の作成を行う際に、又は吸収合併の場合にあっては定款の変更を行う際に、当該定款に当該合併及び事業経営計画に記載した第1種共同漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項を記載しなければならないこととされた。(法第4条の2第1項)
(3)定款に記載した第1種共同漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項の変更の制限
[1] 趣旨
(2)により合併及び事業経営計画で定めた漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項を定款に記載しなければならないように措置した場合であっても、当該事項に係る定款の変更について合併後の組合の特別決議で定款を変更することができることとすると、(1)で定めた事項が担保できないため、漁業権存続期間中は当該定款に記載した当該事項を変更してはならないよう措置したものである。
[2] 内容
合併後の組合が、第1種共同漁業権の放棄の手続に関する事項を定款に記載したときは、当該漁業権の存続期間内は、当該定款の記載を変更することができないこととされた。(法第4条の2第2項)
3 税制上の特例措置
法第4条の規定により合併した組合については、法人税、登録免許税等の税制上の特例措置が講じられることとされた。
なお、平成4年から地価税の特例措置が講じられているが、これも引き続き適用される。
第3 合併推進に関する指導についての留意事項
組合の合併は、合併に参加する組合及び組合員の自主的な意思により実現されるものであるが、合併の円滑な推進のためには都道府県漁業協同組合連合会を始めとする漁業協同組合系統組織(以下「系統組織」という。)及び都道府県、市町村等の積極的な協力と援助が極めて重要である。
ついては、今後の合併の推進に当たっては、次の事項に留意するとともに、これ以外の事項については、「漁業協同組合合併助成法の施行について」(昭和42年7月27日付け42水漁第5486号農林事務次官依命通達。以下「通達」という。)の記の第2及び「漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律の施行について」昭和63年5月13日付け63水漁第1871号農林水産事務次官依命通達)の記の第3に準じて積極的な御指導をお願いする。
1 都道府県は、系統組織が自主的に設置している合併推進協議会等に積極的に参加し、その活動が活発に行われるよう指導するとともに、系統組織と一体となって常時継続的に合併についての啓発・指導を行い得るようその体制の強化を図ること。
2 都道府県は、漁協事業基盤強化総合対策要綱(平成4年7月10日付け4水漁第1882号農林水産事務次官依命通達。以下「対策要綱」という。)に基づき策定された都道府県漁協事業基盤強化総合対策基本方針に基づく合併計画が円滑に推進されるよう、地区合併推進研究会・協議会の設置等により組合間の合併に関する協議が促進されるよう指導するとともに、地区内の関係市町村の理解と積極的な協力が得られるよう指導すること。
また、合併の推進に当たっては、地域の実情を反映させるとともに、組合員の意思に基づきその理解と納得の下に行われるよう指導すること。
3 都道府県は、漁村社会の変化、地域漁業の動向、金融自由化の進展等組合の経営を取り巻く環境の変化が組合の経営に与える影響等の分析に努め、合併についての啓発・指導が体系的かつ計画的に行われるように措置すること。
4 合併しようとする組合に多額の欠損金や固定化債権を保有する組合が含まれている場合は、合併前に欠損金の補填等に努めるよう系統組織と一体となって指導するとともに、これらの存在が合併推進の阻害要因となっている場合については、対策要綱に基づく利子補給事業の有効な活用を図るよう指導すること。
5 組合の職員の労働条件や給与等の条件の改善については、本来労使間で自主的に解決されるべき問題であると考えられるが、漁協の健全な発展のためには、直接組合の運営に携わっている漁協の職員が適正な労働条件の下に意欲をもって働くことができるようにすることが必要であり、合併により組合の経営基盤の強化充実に努め、職員の労働条件の改善が図られるよう指導すること。
また、合併により漁協運営の効率化、合理化を急ぐ余り、職員の合理化が行われるのではないかという職員の不安につながることのないよう安易な職員の合理化ではなく、むしろ組合の事業・経営に知見の深いこれら職員の活用が図られるよう指導すること。
6 合併後の組合を健全に育成していくためには、地域の漁業振興による組合の基盤強化が必要不可欠であることから、水産関連諸施策の計画及び実施に当たっては、合併実施組合に係るものを優先的に採択する等合併の促進に資するよう配慮すること。
第4 合併及び事業経営計画の樹立等に関する指導についての留意事項
合併及び事業経営計画については通達の記の第3によることとするが、今後の合併の指導に当たっては、特に次の事項に留意されたい。
1 合併及び事業経営計画の記載事項
第1種共同漁業権の放棄又は変更の場合にとるべき当該共同漁業権を有していた合併前の組合の組合員の同意を求める手続に関する事項の内容としては、合併前の組合が有していた漁業権の放棄又は変更について、合併前の組合の組合員の意向に反して意思決定が行われることに対する不安を除去するために必要な手続を記載するよう指導されたい。
また、認定に当たっては、漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項については、合併後の組合の漁業権管理に係る事業に関する計画の一部と考えられるので、法第4条第2項第2号に掲げる基準に基づいて判断することが適当である。
すなわち、漁業権の放棄又は変更の手続に関する事項の内容が、組合員の不安を解消するとともに、合併後の組合の事業経営が計画に基づき適切に実施し得るかどうかを判断して認定することとされたい。
具体的には、合併前に漁業権を有していた組合の組合員であった者(以下「旧組合員」という。)の意向反映を図ることは、通常は当該地域の水面利用の調整を図る上で適切であると考えられるが、例えば、旧組合員の全員の同意を要する等の著しく実行困難な手続は、組合の適切な運営を図るという観点からは適切でない。
このような観点から、例えば合併がなかった場合には合併前の組合の総会の特別議決で漁業権の放棄又は変更を決定できることからみて、これに準ずる手続(旧組合員の3分の2以上の同意)をとるとすることが適切と考えられる。
2 合併及び事業経営計画の認定要件
組合の運営は、自然的、社会的、経済的条件や漁場の範囲等に左右されることから、合併後の組合の規模の標準を画一的に定めることは困難である。
しかし、法の趣旨に即して合併の効果が適正に発揮される必要がある。
このため、合併及び事業経営計画の適否については、通達の記の第3の3の(2)にかかわらず、[1]離島、半島等地理的条件により隔離された地域、漁業の種類・形態が著しく異なる地域、組合員の漁業を営む海域が著しく異なる地域であって、早急に市町村単位の合併が困難と認められる場合又は[2]不振漁協の救済を目的とする場合を除き、次の要件のいずれかに該当する以外は、原則として認定を行わないこととする。
ア 合併後の組合の地区が市町村の区域以上であること。
イ 合併後の組合の組織及び事業の規模が、原則として常勤役職員数及び出資金については次に掲げる規模以上であり、かつ、販売事業取扱高及び貯金残高についてはそのいずれかが次に掲げる規模以上であること。
常勤役職員数  20人
出 資金  1.5億円
販売事業取扱高  15億円
貯金残高  20億円

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