漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律の施行について
63水漁第1871号
昭和63年5月13日
都道府県知事あて
農林水産事務次官
漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律(昭和63年法律第15号。以下「改正法」という。)が別紙のとおり昭和63年3月31日に公布され、昭和63年4月1日から施行された。
これにより、漁業協同組合(以下「組合」という。)の合併を促進するため、漁業協同組合合併助成法(昭和42年法律第78号。以下「法」という。)附則第2項の規定による合併及び事業経営計画の都道府県知事への認定申請の期間が昭和63年4月1日から昭和68年3月31日まで設定され、この認定を受けた組合の合併に対し、税法上の特例措置及び漁業権行使規則の変更又は廃止についての特例措置が一定期間講じられることとなった。
ついては、組合合併の推進により適正かつ能率的な事業運営を行うことができる組合を育成して、漁業者の協同組織の健全な発展に資するよう、下記事項を御了知の上、適切な御指導をお願いする。
以上、命により通達する。
記
第1 法改正の趣旨
昭和42年に法律が制定されて以来、3次にわたり延長措置が講じられ、組合の合併が推進されてきたが、いまだ経営基盤がぜい弱なため、組合としての活動を十分期待できないものがなお広範に存在している実情にある。
また、最近における組合の経営不振とこれを取り巻く経済情勢の急速な変化等に対処しつつ、漁業者の協同組織及び地域社会における中核的組織としての積極的な事業活動を展開することが、組合に対し従来にも増して強く要請されている。
このような情勢に対処して、組合の経営基盤を強化し、適正かつ能率的な事業運営を行うことができる組合を早急かつ広範に育成するため、その合併を推進する必要性が一段と高まっている。
以上のような実情にかんがみ、組合の合併の促進を図るため、法の規定による計画の認定に関する措置の適用期間を新たに5年間設定するとともに、この認定を受けて合併した組合に対し、法人税、登録免許税等の特例措置及び第一種共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止についての特例措置を講ずることとし、今般法改正がなされたものである。
第2 改正の内容
法附則第2項の規定による計画の都道府県知事への認定申請期限が、新たに昭和63年4月1日から昭和68年3月31日まで設定された(法附則第2項)。
これに伴い、従前と同様、次の特例措置を講じ、合併の円滑化を図ることとされた。
1 第一種共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止についての特例措置
(1)法附則第3項の規定により昭和63年4月1日から昭和69年3月31日までに合併した組合については、法附則第4項に規定する漁業権行使規則の変更等についての特例措置を適用することとされた(法附則第4項)。
(2)法附則第3項の規定により昭和61年3月31日までに合併した組合が、更に同項の規定により昭和69年3月31日までに合併した場合にも、当該合併後の組合については、法附則第4項に規定する特例措置を適用することとされた(法附則第10項)。
2 税法上の特例措置
法附則第3項の規定により合併した組合については、法人税、登録免許税等の特例措置が講じられることとされた。
第3 合併に当たっての留意事項
今回の法改正に際して、漁協系統組織においては、現在のままの組合の経営基盤では今後の経営環境の変化に対応できないという認識の下に、これまでの合併への取組みを反省しつつ、合併推進体制の整備強化を図り、合併目標の達成に向けて意欲的に取り組んでいることから、都道府県等行政機関においても、漁協系統組織の自主的運動を尊重しつつ、これに対する積極的な支援、協力を行っていくことが肝要である。
ついては、今後の合併の推進に当たっては、次の事項に留意するとともに、これ以外の事項については、「漁業協同組合合併助成法の施行について」(昭和42年7月27日付け42水漁第5486号農林事務次官依命通達。以下「通達」という。)の記の第2に準じて指導するものとする。
1 組合の合併は、合併しようとする組合の役職員及び組合員の総意が基本として不可欠であるので、組合員等に合併の必要性等を十分に啓蒙・指導し、その理解を得て合併を推進するよう関係機関を指導すること。
2 第1の法改正の趣旨にかんがみ、小規模の組合の合併に重点を置くとともに、合併後の組合が地域の実情に応じた一定の事業規模を確保し得るよう指導すること。
3 都道府県等関係行政機関の指導と都道府県漁業協同組合連合会を中心とする漁協系統組織内の合併推進が協調して行われる必要があるので、この点に十分配慮して指導等を行うこと。
4 組合が事業実施主体となる等組合と密接な関連を有する水産関係諸施策の計画又は実施に当たっては、第1の法改正の趣旨及びこれら諸施策の目的に即しつつ、組合の合併による経営基盤の強化とこれら諸施策の効果との関連に配慮すること。
第4 合併及び事業経営計画
合併及び事業経営計画については通達の記の第3によることとするが、計画の適否の認定については同第3の3の(2)にかかわらず、次の要件のいずれかに該当する場合に限り認定することとされたい。ただし、離島、半島等地理的条件により隔絶された地域における合併又は不振漁協の救済を目的とする合併に係る計画については、この限りではない。
(1)合併後の組合の地区が市町村の区域以上であること。
(2)合併後の組合の組織及び事業の規模が、次に掲げる各項目の規模以上(貯金残高と販売事業取扱高の合計額が20億円以上である場合を含む。)であること。
常勤役職員数 15人
貯金残高 10億円
販売取扱高 10億円
出資金 8千万円