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漁業経営改善制度の運用について

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14水漁第739号
平成14年7月1日

都道府県知事あて

水産庁長官


 漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法に基づく漁業経営改善制度の運用について別紙のとおり定めたので、貴都道府県における運用に当たって参考とされたい。
 なお、「中小漁業構造改善計画の作成について」(昭和51年9月24日付け51水漁第4905号水産庁長官通知)は廃止する。

(別紙)
漁業経営改善制度の運用について
 漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法(昭和51年法律第43号。以下「法」という。)に基づく漁業経営改善制度の運用については、法、漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法施行令(昭和51年政令第132号)、漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法施行規則(昭和51年農林省令第24号。以下「規則」という。)、漁業経営の改善に関する指針(平成14年6月26日農林水産省告示第1205号。以下「改善指針」という。)及び漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法の運用について(平成14年水漁第741号農林水産事務次官依命通知。以下「次官通知」という。)によるほか、下記によるものとする。
第1 改善計画の作成・申請
1 法第4条第1項の漁業者又は漁業協同組合等は、同項の規定に基づき漁業経営の改善に関する計画(以下「改善計画」という。)を作成しようとするときは、規則別記様式第1号によるほか、別記の記載上の留意事項に従って必要事項を記載するものとする。
2 法第4条第1項の漁業協同組合等(以下「漁業協同組合等」という。)は、直接又は間接の構成員(以下単に「構成員」という。)である漁業者が改善計画を作成するに当たっては、適切な指導を行うよう努めるものとする。
3 漁業協同組合等の構成員である漁業者は、改善計画の認定の申請を行おうとするときは、構成員となっている漁業協同組合等の意見書を添付し、かつ、当該漁業協同組合等を経由して、その申請を行うものとする。
ただし、申請者が複数の漁業協同組合等の構成員となっている場合にあっては、改善計画の主たる内容である漁業種類、改善計画の作成指導を受ける際の利便性等を勘案し、所属する漁業協同組合等とも相談の上、いずれか1つの団体を選択するものとする。
また、漁業者は、以下に掲げる場合にあっては、直接、都道府県知事又は農林水産大臣(以下「認定行政庁」という。)に申請書を提出するものとする。
[1] 改善計画の主たる内容が複数の漁業種類にわたり、かつ、関係する漁業協同組合等も複数にわたる場合であって、いずれか1つの団体を選択することが困難な場合
[2] 複数の漁業者が共同で改善計画を作成し、その代表者が構成員となっている漁業協同組合等が複数にわたる場合であって、いずれか1つの団体を選択することが困難な場合
[3] 漁業者が漁業協同組合等と共同で改善計画を作成した場合であって、その代表者に漁業協同組合等が含まれているとき
[4] 漁業者が、認定行政庁に直接提出することを希望する場合
なお、漁業協同組合等が単独で又は共同して改善計画を作成した場合にあっては、漁業協同組合等による意見書の添付等は要しない。
第2 改善計画の認定基準
改善計画の認定基準は、法第4条第3項に規定されているが、その判断に当たっては、申請に係る漁業をめぐる経営環境の推移、申請者の資産及び負債の状況、申請者の経営実績等を総合的に勘案するとともに(次官通知第三の1の(2)の[7])、以下の要件等を検討するものとする。
(1)漁業経営の改善の目標、漁業経営の改善による経営の向上の程度を示す指標、漁業経営の改善の内容及び実施時期の各事項が改善指針に照らして適切なものであること(法第4条第3項第1号)について
[1] 経営の向上の程度を示す指標について
ア 漁業者についての判断基準
改善計画の申請者のうち漁業者について、「付加生産額」又は「従業員一人当たり付加生産額」の5年間の伸び率が15%以上であること(改善指針第三)。
なお、複数の漁業者が共同して改善計画を作成する場合にあっては、全体としての指標と、参加者個々の指標のいずれでも用いることができる(改善指針第三)。
イ 漁業協同組合等についての判断基準
漁業協同組合等が漁業者と共同で改善計画を作成した場合にあっては、当該漁業協同組合等による改善計画の実施により、共同で改善計画を作成した漁業者の経営の相当程度の向上(「付加生産額」又は「従業員一人当たり付加生産額」の5年間で15%以上の向上)に資すると認められること。
また、漁業協同組合等が単独で又は他の漁業協同組合等と共同で改善計画を作成した場合にあっては、当該漁業協同組合等による改善計画の実施により、その構成員である漁業者のうち別途改善計画の認定を受けた者の当該改善計画の達成に資すると認められること(改善指針第一)。
[2] 漁業経営の改善の内容について
ア 自らの経営環境、新規投資に当たっての費用対効果について十分に考慮しており、設備投資の過剰にはつながらないと認められること(改善指針第二)。
イ 資源状況に照らして過大な設備投資や、地域で定められた資源管理に関する取り決めに反するような取組等の水産資源の持続的利用の確保に反する取組ではないと認められること(改善指針第二)。
(2)漁業経営の改善の内容及び実施時期及び漁業経営の改善を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法の各事項が漁業経営の改善を確実に遂行するため適切なものであること(法第4条第3項第2号)について
[1] 漁業経営の改善の内容について
ア 漁業経営の改善の内容が具体的であり、かつ、「付加生産額」又は「従業員一人当たり付加生産額」の向上に確実につながると認められるものであること。
イ 漁業経営の改善の内容が、公の秩序を害することとなるおそれがあるなど、公的な支援の対象として適当ではないと考えられるものではないこと。
[2] 必要な資金の額及びその調達方法について
資金計画について実現が見込まれるものであり、改善計画に掲げる措置を行う上で適切かつ有効なものであること。
第3 改善計画の認定手続等
1 認定行政庁は、改善計画の認定申請を受けたときは、速やかにその内容を審査し、認定基準に適合すると認めるときは、様式第1号の認定通知書を申請者に交付するものとする。
また、認定しないこととしたときは、様式第2号の不認定通知書に理由を付して、申請者に交付するものとする。
2 認定行政庁は、改善計画の認定に当たっては、委員会の設置等により、学識経験者、会計士、経営コンサルタント等の外部専門家及び第6の関係機関の者の意見を聴取するよう努めることとする。
第4 改善計画の変更に関する認定手続等
1 規則別記様式第1号別紙3に記載した実施時期の同一年度内における変更等認定を受けた改善計画の趣旨を変えない範囲内での軽微な変更は、変更の認定を要しない。
2 認定行政庁は、改善計画の変更の申請を受けたときは、速やかにその内容を審査し、当該変更が認定基準に適合すると認めるときは、様式第3号の変更認定通知書を申請者に交付するものとする。
また、認定しないこととしたときは、様式第4号の変更不認定通知書に理由を付して、申請者に交付するものとする。
第5 改善計画の認定取消手続等
1 認定行政庁は、改善計画の遂行に著しい支障が生じており改善計画に基づく漁業経営の改善のための措置が実施されていないなど、漁業者又は漁業協同組合等が改善計画に従って漁業経営の改善のための措置を行っていないと認めるときは認定を取り消すことができる(令第3条第3項)。
ただし、認定を受けた漁業者又は漁業協同組合等が相応の努力をした場合でも、資源量の変動等のやむを得ない事由により目標が達成できない場合もあることから、計画どおりに「付加生産額」又は「従業員一人当たりの付加生産額」が増加していないことのみを理由として、計画認定の取消しを行うことはしない(改善指針第四のロ)。
2 認定行政庁は、改善計画の認定を取り消すときは、様式第5号の認定取消通知書に理由を付して、認定を受けている漁業者等に交付するものとする。
3 改善計画の認定を取り消された漁業者又は漁業協同組合等は、漁業経営改善支援資金(経営改善)及び漁業経営改善促進資金の融資対象者としての資格を失うことから、新たな貸付けを受けることができなくなるとともに、既に貸付けを受けているこれらの資金の全額を繰り上げ償還する必要がある。
また、割増償却の特例についても、対象者としての資格を失うことから、認定の取消しを受けた年又は事業年度以降については、その適用を受けることはできなくなる(租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第13条の4及び第46条の4)。
第6 関係機関との連携等
認定行政庁は、漁業経営改善制度の適切かつ円滑な実施を確保するため、漁業協同組合連合会、農林漁業金融公庫(沖縄県にあっては沖縄振興開発金融公庫)、農林中央金庫、信用漁業協同組合連合会、漁業調整委員会等の関係機関との連携を緊密にするものとする。
第7 指導及び助言
認定行政庁は、漁業者及び漁業協同組合等に対して、改善計画に係る認定手続及び支援策を周知し、また、漁業者又は漁業協同組合等からの相談に対し、適切な指導・援助を行うよう努めるものとする。
なお、融資希望又は信用保証についての付保希望を有する漁業者又は漁業協同組合等から改善計画の認定の申請について相談があった場合には、当該漁業者等に対し、改善計画の認定は融資等の申請の前提であり、融資機関等の審査が行われる旨説明すること。
また、認定希望者が債務超過である場合等については、例えば法第5条の再建計画制度の利用の検討を促すなど、希望者の経営状況を踏まえてよりふさわしい制度の紹介に努めること。
第8 実施状況の報告等
1 認定行政庁は、改善指針第四のロに基づき、改善計画の認定を受けた漁業者又は漁業協同組合等に対し、改善計画の認定を受けてから2度目の事業年度終了日及び計画の最終事業年度終了日から起算して3か月以内に、様式第6号により改善計画の実施状況に関する報告を提出するよう求めるものとする。
2 1による報告の提出を受けた認定行政庁は、必要に応じて第6の関係機関や外部専門家の知見も活用しつつ、漁業者又は漁業協同組合等に対し、経営改善の実施方法や、場合によっては改善計画の変更について助言・指導を行うものとする。
3 認定行政庁は、改善計画の認定及び取消しに係る実績を、様式第7号により、毎年度、4月から9月分及び10月から翌年3月分に分けて取りまとめ、前者については10月15日までに、後者については4月15日までに、水産庁(漁政部水産経営課企画調整班)まで報告するものとする。
また、当該報告を受けた水産庁は、これらの情報を取りまとめ、認定行政庁に対し提供するものとする。

(様式第1号)(PDF:36KB)

(別紙2)(PDF:17KB)

別記
記載上の留意事項
申請者は、規則別記様式第1号の記載要領によるほか、以下の記載上の留意事項に従って、改善計画の必要事項を記載すること。
1 記載すべき別紙の種類
記載すべき別紙の種類については、参考1を参照のこと。
2 別紙1及び別紙2について
・ 別紙1の「営む漁業の概要」の欄については、申請者の営む漁業種類、対象とする魚種、漁業種類ごとの漁船総トン数(兼業の場合その旨記載)等を記載する。なお、共同で改善計画を作成する場合は、個別経営体ごとに記載した書面を添付すること。
・ 別紙2の「構成員の営む漁業の概要」の欄については、業種の名称及び漁業の概要を記載すること。漁業の概要については、[1]構成員の経営の現状、[2]経営体数、[3]従業員数、[4]漁獲量及び漁獲金額、[5]資源の状況、[6]資源利用の適正化への取組状況、[7]国際規制等、[8]労働力事情(労働環境等の状況を含む)、[9]魚価及び取引・流通形態、[10]経営体の規模別分布、[12]他業種漁船導入状況、[13]漁船の兼業化状況、[14]その他についてできるだけ記載した書面を添付すること。
・ 別紙1又は別紙2の「漁業経営の改善の目標」の欄については、計数を盛り込むなどの工夫をして具体的に記載すること。
・ 別紙2の「構成員の漁業経営の改善を推進する必要性」の欄については、[1]漁業協同組合等がその構成員のために漁業経営の改善を推進するための措置を実施する必要性、[2]漁業協同組合等が事業実施主体となって施設整備等を行う必要性等について記載すること。
・ 漁業協同組合等が漁業者と共同で改善計画を作成する場合は、別紙2の「構成員の漁業経営の改善に与える効果」の欄に、漁業協同組合等が改善計画を実施することによる漁業者の経営向上への効果の見通しを記載するとともに、「経営の向上の程度を示す指標」の欄に共同で改善計画を作成する漁業者についての数値を記載すること。
・ 漁業協同組合等が単独で改善計画を作成する場合は、別紙2の「構成員の漁業経営の改善に与える効果」の欄に、漁業協同組合等が改善計画を実施することによる構成員の漁業経営の向上への効果の見通しを記載し、「経営の向上の程度を示す指標」の欄には記載しない。
・ 別紙1又は2の「経営の向上の程度を示す指標」の「現状」の欄については、別紙4の「直近期末」の欄の数値を記載すること。
ただし、年による変動が著しく大きいと認められる漁業者にあっては、認定行政庁とも相談の上、用いようとする指標の過去5か年の実績から、最大の年と最小の年の実績を除いた3か年の平均値を算出して、「現状」の値として用いることができる。この場合、別紙4の「2年前」の欄の左側に「4年前」及び「3年前」の欄を設け、それぞれの年の実績を記載するとともに、「直近期末」の欄の右側に「現状」の欄を設け、用いようとする3か年の平均値を記載するものとする。
3 別紙3について
・ 別紙3の記載方法は次のとおりとする。なお、自己評価は、認定を受けた漁業者又は漁業協同組合等が自ら改善計画の進捗状況、効果を定期的に点検するために行うものである。
[1] 「番号」の欄については、1、2、1-1、1-2、1-1-1、1-1-2のように実施項目を関連づけて記載すること。
[2] 「実施項目」の欄については、具体的な実施内容を記載すること。
[3] 「実施時期」の欄については、実施項目を開始する時期を4半期単位で記載すること。この場合、1-1は初年の最初の四半期に開始することを、3-4は3年目の第4四半期に開始することを意味する。
[4] 「自己評価基準」の欄については、できるかぎり定量化した基準を設定することとするが、取締役会や監査役会の評価など定性的な基準でも可とする。
[5] 「自己評価頻度」の欄については、改善計画の進捗状況を評価する頻度又は時期を毎月、隔月、四半期、半年、1年、半年後、1年後などと記載すること。
4 別紙4について
・ 別紙4の記載に当たっては、直近3か年の決算書をもとに記入すること。なお、創業3年未満の場合は、記入できる範囲を記載すること。
・ 「付加生産額」の算出に当たっては、以下の点に留意すること。
[1] 漁業を含めた経営体全体の数値を用いること
[2] 人件費は、以下の全項目を含む総額とすること
ア 売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含む)
イ 一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入、福利厚生費、退職金、退職給与引当金繰入
ウ 短時間労働者の給与を外注費等で処理した場合の当該費用(派遣労働者を除く)
[3] 減価償却費は、以下の全項目を含む総額とすること
ア 減価償却費(繰延資産の償却額を含む)
イ リース、レンタル費用(損金算入されるもの)
・ 「従業員一人当たりの付加生産額」の算出に当たっては、以下の点に留意すること。
[1] 短時間労働者については、1日に4時間勤務をする者を0.5人と計算するなど勤務時間によって従業員数を調整すること
[2] 「付加生産額」の算出に当たっての人件費の取扱いと整合性を図るため、派遣労働者は従業員数に含めないものとすること
・ 以下の科目の関係は次のとおりとすること
[6]営業外損益=損益計算書の営業外収益+損益計算書の営業外費用
[13]設備投資額の合計と、別紙8の設備投資額の合計は一致する
[14]償却前利益=損益計算書の税引後当期利益+[9]減価償却費(リース・レンタル費用を除く)
5 別紙5について
・ 過去3か年の貸借対照表をもとに記載すること。
なお、漁業権を貸借対照表に計上している場合は、無形固定資産に含めること。
6 別紙6について
・ 別紙6の記載に当たっては、直近3ヶ年の決算書をもとに記載すること。なお、創業3年未満の場合は、記入できる範囲を記載すること。
7 別紙7について
・ 農林漁業金融公庫(沖縄県にあっては、沖縄振興開発金融公庫)、民間金融機関の別に借入を希望する金額を資金ごと・年度ごとに記入すること。
また、民間金融機関から借入を希望する場合については、借入予定金融機関名を記載すること。
・ 借入を希望する資金については、漁業経営改善支援資金(経営改善)、漁業近代化資金、漁業経営改善促進資金等の経営改善に必要な資金を記載し、法第8条に基づく漁業経営維持安定資金等のいわゆる負債整理資金等については記載しないこと。
・ 借入期間1年以内の運転資金については、年度内の借入残高の最高額(極度貸付による場合は極度額)を記載すること。
・ なお、漁業経営改善促進資金の利用は、中小漁業融資保証法第2条第1項の中小漁業者等に限られるので注意すること(同法第4条第2号)。
8 その他
(1)改善計画の計画期間
改善計画の計画期間は、原則として5年間とする。なお、計画期間を5年間としない特段の理由がある場合には、事前に認定行政庁と相談すること。
(2)申請書の提出部数及び添付資料
・ 改善計画の認定申請に当たっては、規則別記様式第1号で定める認定申請書の正本1通を提出すること。
・ 漁業協同組合等が単独で又は共同で改善計画を作成する場合にあっては、当該漁業協同組合等に係る直近3期分の営業報告書又は事業報告書、貸借対照表及び損益計算書を添付すること。
(3)申請書提出先
・ 申請書提出先については、参考2を参照のこと。

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