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農林水産省

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中小漁業融資保証法の一部を改正する法律の施行について

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35水漁第3094号
昭和35年7月7日

都道府県知事あて

農林事務次官


中小漁業融資保証法の一部を改正する法律が、去る4月27日公布施行されたので、今後は下記事項を充分御了知のうえ、漁業信用基金協会の業務指導に遺憾のないようにされたい。
以上、命により通達する。


第1      法改正の趣旨
昭和27年12月中小漁業融資保証法(以下「法」という。)が公布施行されて以来、現在39の漁業信用基金協会(以下「協会」という。)が設立されて中小漁業者のために保証業務を行なっており、その保証累計額は、昭和34年度末現在で380億円を上廻り、漁業金融の円滑化のため大きな役割を果している。しかしながら、保証額が増大するにつれて被保証人に対する求償権も次第に累増するにいたり、これが回収の円滑化を図ることは、中小漁業融資保証制度の健全な発展のために極めて必要なことになってきた。ここにおいて以下のような制度の改正を行ない、もって本制度の一層の発展に資せんとするものである。

第2      求償権の管理について
今回の改正法により、政府は保険金の全額を支払った場合においても協会が被保証人に対して有していた求償権ついて協会に代位することなく、協会は保険金の受領後もその求償権を自己の求償権として行使し、現実に回収があった場合には、その回収金額のうち従前と同様の方法で計算された金額を政府に納入することとなった。この結果、協会は求償権の全額を自己の債権として管理行使することがてきることとなり、従前のように求償権を政府と協会とに二分し、更に政府がその代位求償権の行使を協会に委託するということ等に伴う業務運営上の繁雑さはなくなることとなった。しかしながら、政府は協会が求償権を行使して回収した金額がある場合には、協会に対しその回収金のうちの一定割合を納付すべきことを請求する権利を有することとなっているので、この面は従来とは変りはない。政府のこの権利は、一種の停止条件付債権であり、期待権としてその侵害に対して法律上の保護を受けることができるものであり、この権利に対する債務者としての協会が、この権利の対象たる求償権(担保権を含む。以下同じ。)の全部又は一部を政府の承認なく免除したり、またこの効力の変更をすることによって、政府の権利を侵害することになれば、政府に対し損害賠償の責任を負うこととなる。従って、協会が求償権に対し何らかの処分、例えば違約金の免除等を行なう場合には、期待権者としての政府の同意を要することとなるので注意されたい。

第3      保険金の請求について
今回の改正法により、保険事故発生後、保険金請求までの期間が3月から1月に短縮されたが、これは資金力の乏しい協会の負担軽減及び中小企業金融における信用保証協会との均衡を考えたのであって、これにより保険事故発生後の回収努力を怠ることのないように注意されたい。

第4      政府が取得した権利の譲渡しについて
第2の措置に伴い、政府が既に協会に代位して取得している権利についてもこれを同様に扱うことが必要となるため、政府が既に取得している権利については、これを協会に譲渡することとなった。
政府がこれまでに協会に代位して取得した権利の協会に対する譲渡しについては、民法に定める指名債権の譲渡契約を締結して行ないこととなるが、譲渡契約及び譲渡しの手続については、保険約款の変更とともに別途水産庁長官より通達するところによられたい。譲渡しを受けた後の求償権の管理については、政府から譲渡しを受けた権利と当該権利が政府に代位取得されたときに分割されて協会に残った権利とを別々に取り扱うことなく、これら二つの権利をあわせて一つの求償権として、換言すれば、政府の代位により二つの権利に分割されるということがなかったものとしてその管理にあたるものとし、その管理の基準は第2によられたい。