漁業系廃棄物対策の進め方について
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3水研第288号
平成3年5月10日
都道府県知事あて
水産庁長官
近年、各種の廃棄物の排出量の増大及び質の多様化により、その適切な処理がますます困難となっている。
漁業界においても、FRP廃船、貝殻、廃漁網等漁業生産に伴って生じる廃棄物の問題が深刻化しており、このような漁業系廃棄物の適正かつ効率的な処理を強力に推進していく必要がある。
このため、漁業系廃棄物対策の進め方について別添のとおり取りまとめたので、御了知の上、貴管下市町村、関係機関、関係団体等に対し適切な指導をお願いする。
(別添)
漁業系廃棄物対策の進め方について
1.漁業系廃棄物対策の基本的な考え方
(1)近年、各種の廃棄物の排出量の増大及び質の多様化により、その適正な処理がますます困難となっている。このような状況の中で、廃棄物の処理に関する諸施策につき、様々な検討がなされている。
(2)漁業界においても
[1]今後大量の廃船が見込まれるFRP漁船の放置が懸念されること
[2]養殖業の発展や埋立地不足に伴い貝殻が放置され、漁村環境保全上問題となっていること。
[3]海中に放置された廃網等が漂流物となって船舶航行や海洋生物に悪影響を与え、国際的な問題となっていること
等、漁業生産に伴って生じる廃棄物の処理問題が深刻化しており、このような漁業系廃棄物の適正かつ効率的な処理を強力に推進していく必要が生じている。
(3)漁業系廃棄物は事業系の廃棄物であり、事業者たる漁業者が自らの責任において処理すべきものである。しかしながら、その処理を漁業者のみで行うことには技術面、資金面等における各種の問題があり、また、廃棄物及びその処理には地域的にその実態が異なっていることから、地域毎に廃棄物処理のための体制を整備する必要がある。このため、その処理に当たっては漁業者とその組織が中心となり、地方自治体、メ-カ-、廃棄物処理業者等の協力を得て、各々の地域で漁業系廃棄物問題の解決に取り組み、漁場、漁村の環境改善を図ることが重要である。
(4)このため水産庁では、平成2年度において「漁業系廃棄物処理計画策定指針作成委員会」を全国漁業協同組合連合会(以下「全漁連」という。)に設置し、厚生省等関係機関の協力を得て、各地域において漁業者を中心として漁業系廃棄物を処理するための体制作りを行う際の指針となる「漁業系廃棄物処理計画策定指針」を作成した。今後は同指針に基づき各地域において漁業系廃棄物の適正処理体制作りを行うことが必要である。
2.漁業系廃棄物処理計画策定指針の概要
(1)都道府県段階において、都道府県漁業協同組合連合会を中心として地方自治体、メ-カ-、産業廃棄物処理業者等を構成員とする都道府県漁業系廃棄物対策協議会(以下「県協議会」という。)を設置する。
(2)県協議会の中に、漁業系廃棄物処理計画策定検討委員会を設置し地域毎、廃棄物の種類毎の廃棄量の予測、集積方法、処理方法、各段階毎の実施主体処理費用、将来の施設整備計画等を内容とする漁業系廃棄物処理計画(以下「処理計画」という。)を策定する。
(3)処理計画策定後、県協議会がそれぞれの地域実態に応じ処理計画実施の推進、指導を行う。
3.水産庁の支援施策
水産庁では、各都道府県において処理計画の策定及びその実施を推進し、漁業系廃棄物の適正処理対策作りを行うために下記の支援施策を講じる。
(1)平成3年度から「FRP漁船等漁業系廃棄物処理計画策定事業」を実施する。同事業においては県協議会が行う処理計画策定のほか、全漁連を中心として関係団体の参加を得て組織される全国漁業系廃棄物対策協議会が行う各地の処理計画作りへの指導についても助成する。
(2)処理計画により必要とされた廃棄物処理施設及びその用地の整備については、沿岸漁業構造改善事業、漁港整備事業等により助成する。
(3)その他、漁業系廃棄物の処理体制作りの進捗状況を見つつ、特にFRP漁船の処理の円滑化の方策につき検討するとともに、漁船、漁網の製造、販売業者等に対する協力を求めていく。