保護水面の指定及び管理に関する事務取扱要領の制定について
12水推第446号
平成12年4月1日
都道府県知事あて
水産庁長官
保護水面の指定及び管理の事務取扱については、「保護水面の指定及び管理に関する事務取扱要領」(平成元年12月1日付け元水振第2908号水産庁長官通達)及び「保護水面管理計画の見直しについて」(平成7年10月17日付け7水振第1753号水産庁長官通達)により行ってきたが、今般、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)が、平成12年4月1日から施行されることに伴い、同通達を廃止し、新たに技術的助言として、「保護水面の指定及び管理に関する事務取扱要領」を別紙のとおり定めたので、御了知願いたい。
別紙
保護水面の指定及び管理に関する事務取扱要領
(趣旨)
第1 水産資源保護法(昭和26年法律第313号。以下「法」という。)に基づく保護水面の指定及び管理については、法及び保護水面の指定基準(昭和28年3月2日農林省告示第94号。)に定められているが、本要領はさらに具体的な取扱方について参考となるよう定めたものである。
(保護水面の規模)
第2 保護水面の規模は、各水域の特性及び増殖対象水産動植物(法第17条第2項第1号に規定する水産動植物をいう。以下同じ。)の種類に応じて、過大にならない範囲で保護水面としての効果を発揮するために必要なものとする必要がある。
なお、従来からの経緯及び現在の実態等を踏まえた海面における保護水面の規模の目安としては、増殖対象水産動植物の種類に応じて、概ね次に掲げる規模となるので参考にされたい。
区分 | 保護水面の規模 |
定着性の水産動植物 | 100、000m2以上 |
上記以外の水産動植物 | 200、000m |
(保護水面の指定等)
第3 法第15条第2項の指定の協議書の様式及び添付書類については、別記様式第1号を参考にされたい。
2 保護水面の指定を変更し、又は解除する場合の法第15条の2第2項に係る協議書の様式については、別記様式第2号又は第3号を参考にされたい。
なお、これらの添付書類については、1の添付書類を参考にされたい。
3 保護水面の指定に当たっては、以下のことに留意する必要がある。
(1)保護水面予定区域内に漁業を営む者がいる場合には、当該漁業を営む者の意見を聴取する。
(2)保護水面の区域が特定できる標柱等の標識を設置する。(記載例は別記記載例第1号を参考にされたい。)
(3)区域及び必要な事項を記載した制札を設置する。(記載例は別記記載例第2号を参考にされたい。)
(4)保護水面の区域における水産動植物の採捕の制限又は禁止については、必要と認めるときは都道府県漁業調整規則(以下「調整規則」という。)を改正し、所要の条文を規定する。
(5)保護水面の区域内における増殖対象水産動植物以外を目的とする漁業をみだりに制限することのないようにする。
(保護水面の管理)
第4 法第17条第1項に規定する保護水面の管理計画(以下「管理計画」という。)の様式については、別記様式第4号を参考にされたい。
2 保護水面の管理に当たっては、以下のことに留意する必要がある。
(1)現状に即した効果的な保護水面の管理を図るため、10年程度を目途に管理計画の見直しを行い、必要であれば管理計画の変更を行う。
(2)保護水面の区域内において、増殖対象動植物に係る増殖事業を実施する。
3 管理計画の見直しに当たっては、以下のことに留意する必要がある。
(1)増殖対象水産動植物の種類
保護水面指定後の経年変化、現在の生息状況等を踏まえ、増殖対象種について検討する。
(2)増殖対象水産動植物の増殖方法
保護水面指定後に種苗生産技術が確立された種については、増殖方法として種苗放流を追加する。
また、経年変化を踏まえて、記載内容について検討する。
(3)増殖施設の概要
増殖技術の革新、施設整備の進展等を踏まえ、記載内容について検討する。
(4)制限又は禁止の内容、調整規則との整合性
ア 採捕を制限し、又は禁止する水産動植物の種類及び当該制限又は禁止(以下「採捕制限等」という。)の内容については、その妥当性及び実効性の観点から必要性について検討するとともに、採捕制限等の内容と調整規則との関係について整合性をとる。
イ 制限し若しくは禁止する漁具・漁法又は漁船の種類及び当該制限又は禁止の内容についても、上記と同様の検討を行う。
ウ その他水産資源の保護培養のために必要な事項について、当該保護水面の実態にあわせ、適切に記載する。
4 法第17条第3項に係る保護水面の管理計画を変更する場合の協議書の様式については、別記様式第5号を参考にされたい。
(報告)
第5 都道府県知事は、管理計画の軽微な変更を行ったときは、水産庁長官に報告することとされたい。
2 都道府県知事は、法第18条第1項による許可をしたとき、同条第2項による回復命令を出したとき、同条第3項、第4項及び第5項による協議を受けたとき並びに同条第6項による勧告を行ったときは、水産庁長官に報告することとされたい。
(文書の提出)
第6 この要領に基づく協議書等の文書の提出は、九州漁業調整事務所又は瀬戸内海漁業調整事務所の管轄に属する地先海面を所管する府県にあっては当該地先海面を管轄する漁業調整事務所を、沖縄県にあっては沖縄総合事務局を経由して行われたい。

添付書類
1 保護水面の指定及び保護水面の指定に係る調整規則の改正に関する漁業調整委員会等に関する諮問文の写し
2 1に対する答申文の写し
3 調整規則改正案
4 保護水面予定区域内において漁業権漁業等の漁業を営む者の同意書又はこれらの者の同意が得られない場合は、同意が得られない理由を記した書面
5 保護水面予定区域における環境、資源量及び水産動植物の採捕の現状に関する調査報告書
6 図面及び写真
(1)保護水面予定区域に係る国土地理院作成の縮尺5万分の1の地図(区域を赤の実線で示し、基点を点で明確に表示したもの。)
(2)保護水面予定区域の拡大図(区域を赤の実線、基点を明確に表示したもの。港湾区域、漁港区域及び航路等船舶の停泊及び航行に関するものを、保護水面と明確に区別できるよう赤以外の適当な色の実線で示したもの。)
(3)付近関係漁場図
(4)基点を設置する土地の登記簿謄本及び地番の写し
(5)基点周辺の地図




別記記載例第1号

別記記載例第2号
