持続的な養殖生産を図るための基本方針(第4の3)にかかる運用について
15水推第981号
平成15年12月8日
都道府県知事あて
漁業調整事務所長あて
独立行政法人水産総合研究センター理事長あて
独立行政法人さけ・ます資源管理センター理事長あて
独立行政法人水産大学校理事長あて
内閣府沖縄総合事務局長あて
漁業関係団体の長あて
水産庁長官
平成11年8月に、「持続的な養殖生産の確保を図るための基本方針にかかる運用通達について」(平成11年8月30日付け11水推第1444号 以下「運用通達」という。)を発出し、その適切な運用に努めてきたところである。今般、養殖用資材のうちノリ養殖に使用される酸処理剤及び魚類養殖に使用される漁網防汚剤に関する使用実態調査を実施したところであるが、この結果に基づき、持続的な養殖生産の確保を図るための基本方針(以下「基本方針」という。)第4の3における漁網防汚剤等の養殖用資材の取扱いについては、従前の運用通達に加え、下記の通り運用することとしたので通知する。
ついては、基本方針の運用に際しては、適切な運用に努めていただきたい。
記
第1 基本的考え方
近年、食の安全牲について社会的関心が高まっているところであるが、養殖水産物についても養殖漁場環境等に配慮した適正な養殖を行うことが、安全で高品質な養殖水産物の生産のために不可欠な条件の一つとして認識されている。
国民に安心される養殖水産物を安定的に供給するためには、養殖用資材を適正に使用することにより漁場環境を健全に保つとともに、養殖生産全般に関する透明性を高め、養殖業に対する消費者の信頼を醸成することが極めて重要である。
ついては、第2に掲げる事項について、養殖業者、漁業関係団体、地方公共団体及び国等関係者が協力・連携して対応するよう努めるとともに、持続的養殖生産確保法(平成11年法律第51号)第4条第1項に規定する漁場改善計画に明記するなどその実効性の確保に十分留意するものとする。
第2 養殖用資材の選定・使用に際しての環境保全等への配慮に関する事項
1 酸処理剤及び漁網防汚剤等養殖用資材の使用に当たっては、漁場環境、飼育生物等への影響程度、使用によって得られる効果等を勘案して選択するとともに、適正かつ効果的な使用を確保する体制を強化し、環境への負荷を可能な限り減少させるよう努めること。
2 全国団体は、酸処理剤及び養殖用漁網防汚剤の審査・認定・登録を引き続き実施するとともに、必要な場合、その他の養殖用資材についても実施し、適切な養殖用資材の選定等を行うこと。また、全国団体は、必要に応じて、現場で販売されている資材の成分調査等を行うこと。
3 漁業協同組合及び漁業協同組合連合会は、海域特性に適した養殖用資材が選択され養殖現場で適正に使用され、また、成分や効果等が不詳な資材が使用されないよう、その流通を含め使用状況の監視等指導体制の整備・強化等に努めること。なお、その際、養殖管理との組合せ等による使用量の削減、再使用の推進及び残液等廃棄物の適切な処理を含め、養殖技術全般の見直し、講習会等による技術指導・普及等についても留意すること。
養殖用資材の購入量・使用状況の記帳の励行により、養殖用資材の種類、使用量、使用状況等の把握に努め、環境等への影響の客観的評価に資するデータを集積するとともに、関係者からの照会等については可能な限り応じ、養殖生産の透明性を高めるように努めること。
4 養殖業者及び漁業関係団体は、養殖用資材の選択・使用について、必要に応じ、都道府県の水産試験場等に相談すること。
添付資料
- 酸処理剤等使用実態調査報告
- 養殖用漁網防汚剤実態調査報告