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農林水産省

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水産物供給基盤整備事業等実施要領の制定について

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12水港第4457号
平成13年3月30日

都道府県知事あて

農林水産事務次官


  平成13年度予算が平成13年3月26日成立したことに伴い、水産物供給基盤整備事業等実施要領が別紙のとおり制定され、平成13年度予算から適用することとされたので、御了知の上、本事業の円滑かつ適切な実施に御配慮願いたい。
  なお、沿岸漁場整備開発事業実施要領(昭和51年9月6日付け51水漁第4384号農林事務次官依命通知)は廃止されたので、併せて通知する。
  また、貴管下関係市町村長への通知については、貴職からお願いする。
  以上、命により通知する。

水産物供給基盤整備事業等実施要領
平成13年3月30日 12水港第4457号
知事あて 農林水産事務次官依命通知
平成13年11月9日 13水港第2847号
最終改正 平成14年3月29日 13水港第3846号
第1 趣旨
本格的な200海里時代を迎える中、水産基盤の整備に関しては、
(1)我が国200海里水域内水産資源の持続的利用と安全で効率的な水産物供給体制の整備
(2)資源の回復を図るための水産資源の生息環境となる漁場等の積極的な保全・創造
(3)水産業の振興を核とし良好な生活環境の形成を目指した漁村の総合的な振興
  といった基本方向に則し、水産資源の増殖から生産、流通まで一貫した横断的な事業展開を図るとともに、より効率的及び効果的に行うことが必要となっている。
このため、漁港及び漁場の計画的な整備による水産物の生産及び流通の基盤づくりを総合的に行う事業を実施し、水産資源の持続的利用と国民のニーズに的確に対応した水産物の安定的な供給及び水産資源の生息環境の保全・創造に資するものとする。
第2 事業の区分及び内容
事業の区分及び内容は、次のとおりとする。
1 水産物供給基盤整備事業
(1)地域水産物供給基盤整備事業
ア 地域水産物供給基盤整備事業は、漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第4条に定める漁港漁場整備事業のうち、地域における水産資源の維持及び増大並びに水産物の生産及び流通機能の強化を図るため、第1種漁港又は(2)の事業を実施しない第2種漁港の整備等を行う事業並びに漁業法(昭和24年法律第267号)第6条に規定する共同漁業権(以下「共同漁業権」という。)の設定されている区域及びこれに隣接する水域における漁場の施設(水産動植物の増殖又は養殖を推進するために設置又は造成する魚礁及び増養殖場をいう。以下同じ。)の整備を行う事業とし、このうち漁港漁場整備法施行規則(昭和26年農林省令第47号)第1条の2に規定する要件(以下「特定事業の要件」という。)に該当する事業を特定漁港漁場整備事業とする。
イ 特定事業の要件のうち、漁港を利用する漁船の隻数等が相当程度見込まれるものとは、地域水産物供給基盤整備事業においては、1漁港あたりの利用漁船の実隻数による総数が100隻程度以上若しくは属地陸揚金額が2億円程度以上の港勢を有するもの、又は整備の結果、同程度の港勢への推移が確実に見込まれるものとする。
ウ 特定漁港漁場整備事業以外の地域水産物供給基盤整備事業において、漁港の整備等を行う事業は、漁港の基本施設等(漁港漁場整備法第3条に規定する漁港施設のうち基本施設、輸送施設及び漁港施設用地(公共施設用地に限る。)をいう。以下同じ。)の整備を行う事業に限るものとする。
(2)広域水産物供給基盤整備事業
次に掲げる事業のいずれかを行う事業
ア 広域漁港整備事業
(ア)広域漁港整備事業は、水産物の生産及び流通の拠点整備を図るため、第2種漁港、第3種漁港又は第4種漁港の整備等を行う事業並びに共同漁業権の設定されている区域及びこれに隣接する水域における漁場の施設(当該漁港と利用上密接に関連するものに限る。)の整備を行う事業とし、このうち特定事業の要件に該当する事業を特定漁港漁場整備事業とする。
(イ)特定事業の要件のうち、漁港を利用する漁船の隻数等が相当程度見込まれるものとは、広域漁港整備事業においては、第2種漁港(1漁港あたりの利用漁船の実隻数による総数が400隻程度以上若しくは属地陸揚量が5,000トン程度以上の港勢を有するもの、又は整備の結果、同程度の港勢への推移が確実に見込まれるものに限る。)、第3種漁港又は第4種漁港であるものとする。
(ウ)特定漁港漁場整備事業以外の広域漁港整備事業において、漁港の整備等を行う事業は、漁港の基本施設等の整備を行う事業に限るものとする。
イ 広域漁場整備事業
広域漁場整備事業は、水産資源の持続的利用と水産物の安定的な供給を図るため、主として共同漁業権の設定されている区域外において、利用が広範囲にわたる漁場の施設を大規模に整備する事業とし、このうち特定事業の要件に該当する事業を特定漁港漁場整備事業とする。
(3)漁港漁場機能高度化事業
漁港及び漁場の利用の増進並びに漁港及び漁場の施設の機能の増大を図るため、漁港の基本施設等若しくは漁場の施設の整備又は漁港の保全上重要な漁港施設の新設を行う事業
2 水産資源環境整備事業
(1)漁場環境保全創造事業
次に掲げる事業のいずれかを行う事業
ア 漁場において行われる公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和46年法律第70号)第2条第3項第5号に掲げる事業のうち同法第3条第3項の規定に基づいて実施する事業
イ 効用の低下している漁場の生産力の回復や水産資源の生息場の環境改善を行う事業(このうち、特定事業の要件に該当するものを特定漁港漁場整備事業とする。)
(2)漁港水域環境保全対策事業
次に掲げる事業のいずれかを行う事業
ア 漁港区域内で行われる公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和46年法律第70号)第2条第3項第5号に掲げる事業
イ 漁港区域内における環境保全のため、水質底質改善施設、漁港浄化施設及び廃油処理施設の整備、清掃船(附属機械を含む。)の建造、購入又は補修並びに廃船の処理を行う事業
3 作業船整備事業
1又は2の事業の事業用作業船(附属機械を含む。)の建造、購入又は補修の事業
第3 事業主体
1 特定漁港漁場整備事業の事業主体は、漁港漁場整備法第4条に定めるとおりとする。
2 第2の1及び2の事業で特定漁港漁場整備事業以外の事業の事業主体は、都道府県又は市町村とする。ただし、第2の1の事業のうち、共同漁業権の設定されている区域及びこれに隣接する水域における魚礁の設置については、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会(以下「漁業協同組合等」という。)が事業主体となることができる。
3 第2の3の事業の事業主体は、都道府県とする。
第4 事業基本計画等
1 事業基本計画等の作成
(1)第2の1の(1)から(3)までの事業、第2の2の(1)若しくは(2)の事業又は第2の3の事業で特定漁港漁場整備事業以外の事業を実施しようとする場合には、次の区分により、当該事業に係る事業基本計画を作成するものとする。
ア 事業主体が複数の場合
都道府県知事は、事業主体たる市町村長又は漁業協同組合等の長の意見を聴取し事業基本計画を作成するものとする。
イ 事業主体が都道府県のみの場合
都道府県知事が事業基本計画を作成するものとする。
ウ 事業主体が市町村又は漁業協同組合等のみの場合
市町村長又は漁業協同組合等の長は、関係都道府県知事と協議し、事業基本計画を作成して都道府県知事に提出するものとする。
(2)第2の1の(3)の事業のうち、一の地区についての事業主体が市町村又は漁業協同組合等のみの場合にあっては、(1)の規定にかかわらず、都道府県知事は、当該市町村長又は漁業協同組合等の長の意見を聴取し、全体事業計画を作成するものとする。
(3)(1)の規定により作成する事業基本計画又は(2)の規定により作成する全体事業計画について、漁港施設の整備に係る事業主体と漁港管理者が異なる場合にあっては、漁港施設の整備に係る事業主体は、あらかじめ漁港管理者に協議するものとする。
2 事業基本計画等の内容
事業基本計画及び全体事業計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)地区名
(2)地区の概要
(3)計画の基本方針
(4)計画内容
(5)その他事業の実施に当たって参考となる事項
3 事業基本計画の承認等
(1)都道府県知事は、1の(1)の規定による事業基本計画に係る事業の実施について、国の助成を受けようとする場合は、水産庁長官に対し、その承認申請を行うものとする。
(2)都道府県知事は、1の(2)の規定による全体事業計画に係る事業の実施について、国の助成を受けようとする場合は、当該全体事業計画について水産庁長官と協議するものとする。
(3)水産庁長官は、(1)の承認申請又は(2)の協議があった場合において、当該事業基本計画又は全体事業計画が次の要件に該当し、事業を実施することが適当であると認めるときは、当該事業基本計画を承認し、又は当該全体事業計画に同意するものとする。
ア 漁港漁場整備法第6条の2に規定する漁港漁場整備基本方針に適合しているものであること。
イ 事業の実施体制及び費用の負担能力からみて、事業が確実に遂行できる十分な見通しがあるものであること。
ウ 事業実施後、施設の適正な管理及び運営が図られる見通しがあるものであること。
4 事業基本計画等の変更
承認された事業基本計画又は同意を得た全体事業計画を変更しようとする場合には、1及び3の手続に準じて行うものとする。
第5 事業の実施
1 都道府県知事は、第4の3の(3)の規定により承認された事業基本計画又は同意を得た全体事業計画に基づき、関係市町村長又は漁業協同組合等の長の意見を徴して、各年度ごとの事業計画を定めるものとする。この場合においては、都道府県知事は、水産庁長官(沖縄県にあっては、沖縄総合事務局長)と協議しなければならない。
2 事業主体は、当該事業計画に基づき事業を実施するものとする。
第6 国の助成
1 国は、漁港漁場整備法第6条の3に規定する漁港漁場整備長期計画に定める漁港漁場整備事業の実施の目標を達成する上で重要と認められる特定漁港漁場整備事業について、助成するものとする。
2 国は、第5の事業計画に基づく事業に要する経費について、別に定めるところにより、予算の範囲内で都道府県又は市町村に対し補助するものとする。
第7 施設の管理、運営
事業主体は、関係法令の定めるところに従い、当該施設が十分にその機能を発揮するよう適正な管理、運営に努めるものとする。
第8 指導、推進等
1 国は、都道府県に対し、事業基本計画又は全体事業計画の作成若しくは事業の実施について必要な助言及び指導を行うほか、適正かつ円滑な事業の遂行を図るため、必要と認めた場合は所要の報告書等の提出を求めることがある。
2 都道府県知事は、事業基本計画の作成及び第2の1又は2の事業の実施の適正かつ円滑な推進のため、市町村長又は漁業協同組合等の長に対し助言及び指導を行うものとする。
第9 報告
事業主体は、水産庁長官が別に定めるところにより、事業実施のもたらす効果等に関する報告を水産庁長官に行うものとする。
第10 その他
この要領に定めるもののほか、この事業の実施について必要な事項は、水産庁長官が別に定めるものとする。
附則
沿岸漁場整備開発事業実施要領(昭和51年9月6日付け51水漁第4384号農林事務次官依命通知。以下「旧要領」という。)は、廃止する。ただし、平成12年度以前の予算に係る旧要領に基づく事業については、なお従前の例による。