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漁業近代化資金の円滑な融通のためのガイドライン

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16水漁第2708号
平成17年4月1日

都道府県知事あて
関係団体あて

水産庁長官


第1 漁業近代化資金制度の運用方針
1 この制度は、漁業者等の資本装備の高度化を図り、その経営の近代化に資することを目的とするものである。したがって、漁業近代化資金の貸付けは、この制度の目的に照らし、当該貸付対象事業によって漁業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化が促進されるものにつき行う必要がある。
また、この貸付けに当たっては、水産に関する基本指針である水産基本法(平成13年法律第89号)及び同法に基づき策定された水産基本計画(平成14年3月26日閣議決定)の趣旨に合致するよう適切に対応する必要がある。
特に、今後は、地域の特性、個々の漁業者等の経営実態その他現場のニーズを踏まえ、資源管理の推進、担い手の育成等の方向に沿って対応することが重要と考えるので、その趣旨に沿うよう以下の点について十分配慮願いたい。
(1)我が国水産物の安定供給を確保するため、水産資源の持続的利用が図られるよう水産資源の適切な保存及び管理、水産動植物の増養殖の推進、水産動植物の生育環境の保全及び改善に資するものであること。
(2)水産業の健全な発展を図るため、効率的かつ安定的な漁業経営の育成のための漁業経営基盤の強化、人材の育成及び確保の推進、水産加工業の健全な発展、水産業の基盤の整備等に資するものであること。
(3)漁業経営基盤の強化に当たっては、経営意欲のある漁業者が創意工夫を生かした漁業経営を展開できるよう配慮する必要があるが、特に生産コストの削減、付加価値の向上等について漁業者に対する経営指導強化を図り、漁業経営が短期的に収益を高めるだけでなく、将来にわたって収益が安定するとともに、継続的に漁業活動を担い得るような効率的かつ安定的な経営体の育成を図るものであること。
(4)人材の育成及び確保の推進に当たっては、担い手たる漁業者の漁業技術及び経営管理能力の向上に資するものであること。
(5)漁船については、過剰設備投資を抑制しつつ、漁船の省エネ化及び省力化の推進や漁労の安全の確保、船内居住環境の改善、安全衛生管理体制の整備に資するものであること。また、漁船漁業は、資源回復を図ることが必要な魚種を対象とするものについては、漁獲努力量の削減、漁場環境の保全等に寄与するものであること。
(6)養殖については、持続的養殖生産の確保に関する基本方針に従い漁場の改善の促進及び疾病防除に寄与するものであること。また、水産物の安全性の確保及び品質の改善に資するものであること。
(7)水産加工業の健全な発展については、水産加工原材料の安定供給、地域水産物の利用促進の観点から地域における漁業者等の連携の推進、衛生・品質管理体制の強化や水産物の高付加価値化、加工残さの効率的回収システムの確立、高度なリサイクル技術の開発等の環境負荷の低減及び資源の有効利用に資するものであること。
(8)共同利用施設の整備等については、事業の共同化の推進等に資するものであること。
(9)水産業の振興及び水産業の社会的基盤である漁村の総合的な振興に資するものであること。
2 この制度は、その運用を通じての漁協等の育成に資することも期しているので、合併等による漁協等の経営基盤強化及び再編整備の推進を図ることにより、信用事業の整備強化及び経営の改善による資金コストの引下げが今後とも積極的に推進されるよう特段の指導を行われたい。
3 漁業近代化資金の融通に当たっては、漁協等の組合系統機関の自主的運営が基本となることはもちろんであるが、市町村、漁業関係諸団体との連携を図り、その協力及び援助を得るようにするとともに、水産業改良普及職員を活用する等により、指導金融としての実をあげるようにされたい。
第2 漁業近代化資金の内容
漁業近代化資金(以下「近代化資金」という。)の内容については、漁業近代化資金融通法(昭和44年法律第44法律第52号。以下「法」という。)第2条、漁業近代化資金融通法施行令(昭和44年政令第209号。以下「令」という。)第1条から第6条まで、漁業近代化資金融通要綱(平成17年4月1日付け16水漁第2705号。農林水産事務次官通知。以下「融通要綱」という。)及び漁業近代化資金融通制度の運用について(平成17年4月1日付け16水漁第2706号。水産庁長官通知。以下「水産庁長官通知」という。)に定めるところであるが、具体的には次のとおりであり、別表の貸付条件一覧表と併せ、参考にされたい。
1 借受資格者(法第2条第1項、令第1条、融通要綱第1)
近代化資金を借り入れることができる者は、次に掲げる者(以下「漁業者等」という。)である。
ア 漁業を営む個人
イ 漁業生産組合
ウ 漁業を営む法人(水産業協同組合を除く。)であって、その常時使用する従業者の数が300人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項に規定する漁船をいう。以下同じ。)の合計総トン数が3,000トン以下であるもの
エ 水産加工業を営む個人
オ 水産加工業を営む法人(水産業協同組合を除く。)であって、その常時使用する従業者の数が300人以下であるもの又はその資本の額若しくは出資の総額が1億円以下であるもの
カ 漁業協同組合
キ 漁業協同組合連合会
ク 水産加工業協同組合
ケ 水産加工業協同組合連合会
コ アからケまでに掲げる者又は地方公共団体が主たる構成員若しくは出資者となっている団体又は基本財産の額の過半を拠出している法人で、政令で定めるもの(イ、ウ及びオからケまでに掲げる者を除く。)
この「政令で定めるもの」は、次のとおりである。(令第1条)
(ア)水産業の振興を目的とする民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人であって、アからケまでに掲げる者又は地方公共団体が、社団法人にあっては総社員の表決権の過半数を有し、財団法人にあっては基本財産の額の過半を拠出しているもの(漁業又は水産加工業を行うものを除く。)
(イ)水産物の保蔵、運搬又は販売の事業その他の水産業の振興に資する事業を主たる事業として営む会社であって、アからケまでに掲げる者が、合名会社及び合資会社にあってはその社員(業務執行権を有しないものを除く。)の過半を占め、株式会社及び有限会社にあってはその総株主又は総社員の議決権(地方公共団体が有するもの及び商法(明治32年法律第48号)第211条ノ2第4項に規定する種類の株式又は持分に係るものを除き、同条第5項の規定により議決権を有するものとみなされる株式又は持分に係るものを含む。)の過半数を有しているもの(漁業又は水産加工業を営むものを除く。)
(ウ)法人でない団体(漁業又は水産加工業を営むものにあっては、その事業に常時従事する者の数が300人以下であるものに限る。)であって、ア又はウからオまでに掲げる者がその主たる構成員となっており、かつ、代表者、代表権の範囲その他農林水産大臣の定める事項について農林水産大臣の定める基準に従った規約を有しているもの
この場合における、「農林水産大臣が定める事項」及び「農林水産大臣が定める基準」は、次のとおりである。
a 農林水産大臣の定める事項
(a) 団体の目的
(b) 団体の意思決定の機関及びその決定の方法
(c) 構成員たる資格並びに構成員の加入及び脱退に関する事項
(d) 会費又は近代化資金の融資の対象となる施設の利用料の徴収が必要である場合には、その徴収方法
なお、規約において定める事項は、これら農林水産大臣の定める事項のほか、当然令第1条第3号に規定する代表者及び代表権の範囲が含まれる。
b 農林水産大臣の定める基準
(a) 水産業の経営の近代化に資する旨をその目的に含んでいること。
(b) 代表者の選任の手続を明らかにしていること。
(c) 当該団体の意思決定に対する構成員の参加を不当に差別していないこと。
(d) 会費又は近代化資金の融資の対象となる施設の利用料の徴収が必要である場合には、その徴収方法が衡平を欠くものでないこと。
2 融資機関(法第2条第2項)
近代化資金の融資機関は、法第2条第2項に列記する融資機関である。
ア 法第2条第2項第1号及び第3号の融資機関は、貸付けの事業を行う漁業協同組合(以下「漁協」という。)及び水産加工業協同組合(以下「加工協」という。)であるから、貯金受入の事業を行わない漁協及び加工協であっても、貸付けの事業を行う場合にはこれに該当し、近代化資金の融資機関たりうるので、組合系統上部機関に対しても、これらの組合の資金手当等につき十分配慮するよう指導されたい。
イ 法第2条第2項第2号、第4号及び第5号の融資機関は、信用事業を行う漁業協同組合連合会及び水産加工業協同組合連合会(以下「信連」という。)並びに農林中央金庫であり、これらの融資機関については、おおむね次のような取扱いによられたい。
(ア)信連は、当分の間、漁協又は加工協の債権管理能力が乏しい場合その他貸付けの相手方、融資規模等からみて漁協又は加工協の融資により難い場合に限り、融資機関になるものとする。
(イ)農林中央金庫は、当分の間、貸付けの相手方、融資規模等からみて信連の融資により難い場合に限り、漁協又は加工協に対する直接の原資供給機関となり、又は自ら融資機関になるものとする。
3 近代化資金の種類(法第2条第3項、令第2条及び融通要綱第5)
(1)近代化資金の種類については、令第2条の表及び融通要綱第5のとおりであるが、これらの資金について主な内容を例示すると次のとおりである。
なお、施設の性質、規模等からみて個人施設として不適当なものについては、共同利用施設として造成、取得等を行うよう指導されたい。

第1号資金    
  漁船…… 漁船(農林水産大臣の指定を受けた場合を除き、130トン未満に限る。)
  漁船の改造に必要な資金であって船体以外の部分に係るもの…………… 推進機関、補機関、プロペラ装置、発電機、無線機、魚群探知機、方向探知機、ロラン、レーダー、ジャイロコンパス、気象図摸写受信施設、造水装置、油圧装置等
第2号資金    
  漁船漁具保管修理施設…… 漁船修理施設、漁船機関修理施設、染網施設、漁具倉庫、船揚施設等
  漁業用資材保管施設…… 給油タンク、資材えさ倉庫等
  漁船用油水供給施設…… 給油船、給水施設等
  養殖池…… 養殖池
  蓄養池…… 蓄養池
  水産種苗生産施設…… 採苗施設、飼育池等
  養殖用作業舎…… 養殖用作業舎
  水産物処理施設…… 荷さばき販売所建物(卸売場建物、仲買売場建物、買荷保管積込所建物及び場内事務所を含む。)、水揚機械施設、海水浄化施設、給排水施設、衛生施設、消火施設、構内舗装、計算センター、トラックスケール、せり機械施設等
  水産物保蔵施設…… 水産物倉庫、冷蔵施設等
  水産物加工施設…… 水産物加工施設
  製氷冷凍施設…… 製氷施設、冷凍施設
  水産物等運搬施設…… 運搬船等
  水産物販売施設…… 活魚等販売施設
  漁業用通信施設…… 漁業用無線陸上施設、テレタイプ、テレックス等
第3号資金    
  漁場改良造成用機具…… ブルトーザー、パワーショベル等
  漁船用油水供給用機具…… 給油車、給水車等
  水産種苗生産用機具…… ヒーター、培養器等
  養殖用えさ調製供給用機具…… 給餌器、ミンチ、チョッパー、擂潰器等
  養殖用肥料薬剤施用機具…… 浮タンク、散布機械等
  養殖水産物収穫用機具…… のりつみ機等
  水産物等運搬用機具…… 運搬車、場内運搬機械等
  生産・経営管理  
  情報処理用機具…… 電子計算機等
第4号資金    
  漁具…… 漁網綱、浮子、沈子、ラジオブイ、集魚灯、潜水用具、えり、やな、かご、つりざお等
  養殖いかだ…… 養殖いかだ(つりかご、母貝及び核の単独取得を含む。)
  その他農林水産大臣が定める養殖施設…………… はえなわ式養殖施設(つりかご、母貝及び核の単独取得を含む。)、仕切網養殖施設、ひび建養殖施設、浮流し式のり養殖施設、小割り式養殖施設
第5号資金    
  ぶり、うなぎその他の成育期間が通常1年以上である水産動植物であって農林水産大臣が定めるもの(以下「指定水産動植物」という。)…… ぶり、うなぎ、たい、いしだい、あじ、さけ、こい、テラピア、ふぐ、ひらめ、すずき、かさご、めばる、にべ、はた、とうごろいわし、どじょう、さば、すぎ、わたりがに、くるまえび、いわがに、真珠、真珠貝、かき、ほたてがい、ひおうぎがい、あわび、とこぶし、あかがい、あさり、はまぐり、すっぽん、ほや、うに及びこんぶ
  農林水産大臣が指定するもの  
  ア 養殖に係るもの…… 指定水産動植物(わたりがに、はまぐり及びとこぶしを除く。)の種苗の購入又は育成に必要な資金
  イ 増殖に係るもの…… たい、ひらめ、わたりがに、くるまえび、いわがに、ほたてがい、あわび、とこぶし、あかがい、あさり、はまぐり及びうにの種苗の購入又は育成に必要な資金
第6号資金    
  有線放送施設その他の漁村における環境の整備のために必要な施設であって農林水産大臣の定めるもの……………… 漁村情報処理・通信施設(有線放送施設及び有線放送電話施設を含む。)、漁船船員臨時宿泊施設、漁業者研修施設、集会施設、託児施設、診療施設、水道施設、ガス供給施設、下水道施設、地域休養施設、漁村広場施設、漁村センター、生活安全保護施設、連絡道及び廃棄物処理施設
第7号資金    
  漁場改良造成施設…… 開発機械施設、のり防波導流施設、たこ産卵施設等
  漁協等が共同利用に供する船舶…………………… 監視船、指導船等
  水産物の処理加工に伴って生ずる公害の防止のために必要な施設  
  海浜等環境活用施設…… 釣り場、潮干狩り場、管理施設、保安施設、休養施設、蓄養殖施設、水産物直販施設、特産民芸品加工施設、水産資料展示研修施設、自然生態観察施設、漁家民宿施設、遊漁船、屋内外調理施設、施設連絡道路、駐車場及び便所
  漁村給排水施設…… 給排水施設、浄化槽等
  特定の漁家住宅…… 特定の漁家住宅
  初度的経営資金…… 初度的経営資金
  漁協基盤強化機器整備資金…… 現金自動支払機、現金自動預入払出機、オンライン端末機及び電子計算機(ソフトウェア及び周辺機器を含む。)
  密漁監視施設…… 密漁監視施設
  水産業労働力確保施設資金…… 宿泊施設及び休憩施設(食堂、浴室等)


(2)漁船等施設の修繕の取扱い
漁船等施設の現状回復に要する費用は、修繕費であり、近代化資金の対象としない。
ただし、修繕、改良等のうち、次のア又はイのいずれかに該当する場合にはア又はイに要する費用を改造費として本制度の対象とすることができる。
この場合において、ア及びイのいずれにも該当する場合にはア又はイに要する費用のいずれか多い額を改造費とする。
ア 仕様可能期間を延長させる修繕、改良等
イ 固定資産の価格を増加させる修繕、改良等
(3)第2号資金、第6号資金及び第7号資金には建築物及び構築物が掲げられているが、これらの施設に係る事業費の範囲の取扱いについては、次のとおりとする。
ア 付帯施設の範囲
電気施設、用排水施設、上下水道等施設の機能が十分発揮されるために必要な施設は、付帯施設として事業費に含めることができる。
イ 敷地の取得費
施設に必要な最小限度において事業費に含めることができるが、土地代のみの資金は、それが後年度に施設を設置する目的のものであっても、対象としない。
(4)第5号資金に係る事業費の範囲の取扱い等については、次のとおりとする。ア 種苗費の範囲
種苗費の範囲は、種苗の購入費のほか種苗の輸送に要する経費とする。
イ 育成費の範囲
育成費の範囲は、育成期間中のえさ代、薬品代、雇用労賃等の直接的現金経費とする。
ウ 貸付方法等
種苗費及び育成費の貸付けは、全育成期間を通ずる事業計画を明らかにさせた上、おおむね半年ごとの必要額を単位として貸し付ける方法をとることができる。
また、貸付時は、貸付額の一部又は全部が実際に必要である時点とし、この資金が他の用途に使用されることのないよう、事業費の請求書又は領収書の確保等の方法により処理する。
(5)第7号資金の特定の漁家住宅資金の運用に当たっては、漁業後継者の婚姻のために漁家住宅を取得又は造成する場合の借受資格者は、現に漁業に従事している漁業後継者を原則とするが、当該後継者に貸し付けることが困難な場合には、該後継者の直系尊属を借受資格者とすることもできる。
なお、利子補給承認は、婚姻の相手方が定まった時から婚姻関係の成立後5年以内の間に申請のあったものに限る。
ただし、貸付けを受けようとする漁業後継者が満25歳以上の場合にあっては、婚姻の相手方が定まっていなくても申請することができる。
(6)第7号資金の初度的経営資金に係る事業費の範囲は、漁業転換等に伴って必要となる初期投資費用であって、償還に1年以上を要する次に掲げるものとする。
ア 燃油、えさ、薬品等の購入費、原魚買付費、光熱水料、雇用労賃等の直接的現金経費
イ 小漁具の購入費
ウ 漁業用施設、漁業用機具及び漁具の修繕費
エ 水産加工用施設及び水産加工用機具の修繕費
オ 漁業経営及び水産加工業経営の近代化に必要な技術習得費
(7)融通要綱第5の6の(4)のイの「水産庁長官が別に定めるもの」は、水産庁長官通知の第5により、宿泊する場所を多人数で共用する構造及び設備を主とする施設(スポーツ施設等の付帯施設を含む。)であって、次の要件を満たすものとして都道府県知事が認めたものとしている。
ア 次のいずれにも該当する漁業者が設置するものであること。
(ア)漁業経営の縮小等を余儀無くされている者で、当該地域に引き続き定住して漁業経営の継続に意欲を有する者であること。
(イ)経済的条件等からみて、定住を図るためには、漁家民宿施設による収入の確保が適していると認められる者であること。
(ウ)自ら保有する家屋等を利活用して漁家民宿施設の造成等を行う者であること。
イ 付帯施設については、当該施設の機能を発揮する上で必要不可欠であり、利用者数等に照らし過大な規模でないと認められるものであること。
(8)融通要綱第5の6の(4)のウの「水産庁長官が別に定めるもの」は、水産庁長官通知の第5により、遊漁船業の適正化に関する法律(昭和63年法律第99号)第3条第1項の規定に基づき遊漁船業者の登録を受けている者(登録を受けることが確実であると見込まれる者を含む。)が改造、建造又は取得する総トン数20トン未満の遊漁船としている。
(9)融通要綱第5の6の(4)のエの「水産庁長官が別に定めるもの」は、水産庁長官通知の第6により、漁協、漁業協同組合連合会又は離島振興地域、振興山村地域、過疎地域、奄美群島振興開発地域、小笠原諸島振興開発計画地域、沖縄振興計画地域及び構造改善計画の計画地域に引き続き定住して漁業経営の継続に意欲を有する漁業者であって経済的条件等からみて漁業経営の安定を図るためには、屋内外調理施設による収入の確保が適していると認められるものが設置するものとしている。
(10)融通要綱第第5の6の(8)の「水産庁長官が別に定めるもの」は、漁協等経営基盤強化対策事業実施要領(平成17年4月1日付け16水漁第2664号水産庁長官通知)第2の1により策定された漁協組織・事業基盤の強化に関する基本方針に即して漁協の指導事業、経済事業、経済事業及び信用事業の強化を図るために、事務の合理化を行うのに必要な電子計算機(ソフトウェア及び周辺機器を含む。)のオンライン端末、現金自動支払機若しくは現金自動預入払出機を購入し、又は設置するのに必要な資金であって、平成18年3月31日までに行うものとしている。
4 近代化資金の貸付利率
近代化資金の貸付利率については、法第2条第3項第4号及び融通要綱第2の1により定められている利率以下に設定する。
5 近代化資金の償還期限及び据置期間
(1)近代化資金の償還期限及び据置期間は、それぞれ20年及び3年の範囲内で令第2条に定めるところである。このうち、漁船については15年以内とされているが、木船についてはこれを9年以内(うち据置期間2年以内)とされたい。また、貸付利率が同率の2以上の種類の資金を同時に貸し付ける場合における償還期限及び据置期間は、その貸付資金の種類のうちそれぞれの最も長いものに係る当該期間以内とされているが、それぞれを加重平均して算出される数値の端数を切り上げた期間とされたい。
なお、据置期間は償還期限に含まれるものとされたい。
(2)償還方法は、原則として元本均等償還とし、この場合における契約上の分割償還期日は、借受者の便宜を図り、漁獲物等生産物の販売代金の受領期を選ぶことが望ましい。
(3)令第2条の表第5号の農林水産大臣の指定する据置期間を3年とする資金は、ぶり、ほたてがい及び真珠(施術の年の翌々年に浜揚されるものに限る。)の養殖又は増殖に係るものとされている。
(4)令第2条の表第6号の農林水産大臣の指定する償還期限は、20年とされている。
(5)令第2条の表第7号の農林水産大臣の指定する資金に係る農林水産大臣の指定する償還期限及び据置期間は、次のとおりとされている。

大臣特認資金の種類 償還期限 据置期間
[1] 漁村給排水施設資金、特定の漁家住宅資金、水産業労働力確保施設資金 15年 3年
[2] 初度的経営資金 5年 2年
[3] 漁協基盤強化機器整備資金 10年 2年
[4] [1]から[3]までに掲げる資金以外の資金 12年 2年
  (漁業協同組合等(施行令第2条の表第2号に規定する漁業協同組合等をいう。以下この表において同じ。)にあっては、15年) (漁業協同組合等にあっては、3年)


(6)近代化資金の償還期日については、貸付事務の簡素化のため特定の期日を定める取扱いとすることが適当であるので、漁獲物等生産物の販売代金の収入時期等借受者便宜も考慮した上、各都道府県の実情に即し融資機関に対し、適切な指導をされたい。
なお、前段の「特定の期日」は、年1回に限定するという意味ではなく、たとえば、毎月償還が行われる場合にあっても、月のうち一定の日を決めるという意味であるので、留意されたい。
6 近代化資金の貸付限度額
近代化資金の貸付限度額(1漁業者等当たりの貸付金の残高の合計額をいう。以下同じ。)については、法第2条第3項第1号、令第3条から第6条まで及び融通要綱第6のとおりであるが、具体的には次のとおりである。
ただし、対象となる施設が漁業者等の協業化の推進等その経営の高度の構造改善に極めて緊要であり、かつ、経営規模からみても妥当なものであって、その資本装備の高度化及び生産性の向上に資する程度が著しく高く、さらに資金の必要性がやむを得ず次に掲げる額を上回るものについては、農林水産大臣が承認したときは、その承認した額を貸付限度額とする。
(1)漁業者の貸付限度額
ア 20トン以上の漁船の建造等に係る資金の借受者・・・3億6千万円
イ 水産養殖業を営む法人 ・・・1億8千万円
ウ 二以上の複合経営を行う者 ・・・1億5千万円
エ アからウまでの生産組合、漁業を営む法人及び水産加工業者並びに個人のうち20トン未満漁船の建造等に係る資金の借受者、漁船漁業用施設資金借受者及び水産養殖業者を営む法人以外のもの ・・・9千万円
オ アからウまで以外の個人 ・・・1千8百万円
(2)漁協等の貸付限度額 ・・・12億円
(3)第7号資金における貸付限度額
ア 漁村給排水施設資金 ・・・1千2百万円
イ 特定の漁家住宅資金 ・・・1千8百万円
ウ 初度的経営資金 ・・・1千5百万円
エ 漁家民宿施設資金 ・・・4千万円
(4)貸付限度額は貸付金の残高の合計額であるため、既貸付金について既に償還が行われている場合は、貸付限度額から既貸付金の残高を控除した額が新規に貸し付けることができる限度額となる。
(5)貸付限度額について、既に総トン数20トン以上の漁船資金を借り受けている者が後日さらに他種類の資金を借り受ける場合には、その者に係る貸付金の合計額の限度が9,000万円であること以外には別段の制限はないが、借受者間の均衡を図る見地から、他種類の資金限度額と同様の取扱いとすることが望ましい。
7 近代化資金の融資率
近代化資金の融資率については、法令上定められていないが、資金の適正かつ効率的な運用を図る見地から、都道府県知事が特に必要と認めた場合のほかは当該資金に係る施設の改良、造成又は取得等に要する経費の額の100分の80以内とすることが望ましい。ただし、実際の運用に際しては、資金を借り入れようとする者の自己資金調達能力等を勘案の上、真にその者が必要とする資金の貸付けが行われるように実情に即した貸付けを行い、多額の自己資金が預貯金等に運用されているにもかかわらず所要資金の相当額を近代化資金の貸付けに依存することのないように指導されたい。
なお、都道府県知事が特に必要と認めて融資率を100分の80を超える率とする場合は、当該融資に係る事業が漁業者等の協業化の推進等その経営の高度の構造改善に極めて緊要であり、かつ、融資率が100分の80以内では自己資金が若干不足することとなるため、事業の一部を割愛し、又は事業規模を適当規模よりも縮小することを余儀なくされ、この結果、事業全体の効率が著しく低下するおそれがある等の真にやむを得ない場合に限るものとすることが望ましい。
第3 近代化資金の借入手続
借入手続については、別紙例示1を参照の上、各都道府県の実情に即して煩雑な手続を避け、最も適切な融資が行われることが望ましい。なお、貸付実行日及び貸付留保金については、1及び2により取り扱う。
1 貸付実行日の指定する取扱い
利子補給承認書の交付に当たって、都道府県の予算の実行上の理由等から貸付実行日を指定することは差し支えない。
2 貸付留保金の取扱い
近代化資金の一部を借受者の実情、融資対象事業の内容を勘案の上、融資機関が貸付留保金として留保することはやむを得ないが、留保期間は最長1年程度の範囲を限度とし、それ以後の利子補給金は打ち切るものとされたい。
第4 利子補給の承認等
1 近代化資金の借入申込に当たっては、別紙例示2から別紙例示5までの借入申込書及び利子補給承認申請書を参照の上、各都道府県の実情に即して適切な様式を定められたい。
また、都道府県が、融資機関に対して、近代化資金の利子補給をする場合の利子補給規程については、別紙例示6(漁業近代化資金利子補給規程例)及び別紙例示7(利子補給契約書例)を参照の上、各都道府県の実情に即して適切な様式を定められたい。
2 融資機関に対する利子補給率については、近代化資金が漁業者等に円滑に融通されるよう国が別途連絡する基準金利を参考として適切な水準を設定する。
第5 モニタリングの実施
今後、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項及び第245条の5第1項に基づき、モニタリング及びこれに関連する措置を実施する。
1 農林水産省は、税源移譲後における都道府県の近代化資金に係る利子補給事業の実施状況、予算措置状況、貸付実績等を把握するため、都道府県に対して定期的に報告を求めるものとする。
2 農林水産省は、近代化資金を貸し付ける融資機関に対し、都道府県の利子補給の実施状況に関する意見等を求めるものとする。
3 農林水産省は、1及び2により求めた資料を基に、都道府県及び融資機関との近代化資金制度の運営についての意見交換及び必要に応じ、都道府県に対して漁業者等の資金需要に的確に応じた事業の実施のための要請を行うものとする。
4 モニタリングの具体的な実施方法は、別途定めて通知するものとする。
第6 その他
1 農林漁業金融公庫資金との関係
近代化資金と農林漁業金融公庫資金との融資分野は、次によるものとする。
(1)近代化資金は組合系統資金によって融資することが適当な分野を担当するものとする。
(2)農林漁業金融公庫資金は、漁業基盤整備資金、漁業経営改善整備資金のような生産基盤の整備、経営改善等政策的必要度の高い分野及び130トン以上の漁船に係る一般漁船資金のような組合系統資金の現状では融資し難い分野を担当するものとする。
(3)上記のほか、農林漁業金融公庫は、水産関係の農林漁業施設資金及び130トン未満の漁船に係る一般漁船資金について、組合系統に属さないものその他系統の融資により難いものに対して融資を行うものとする。
なお、同一融資対象につき近代化資金と農林漁業金融公庫資金を併せて貸し付けること(いわゆる協調融資)は、行わないものとする。
2 補助金との関係
国又は地方公共団体の補助金等の交付決定を受けた事業に係る補助残事業費部分については、組合系統の資金事情等を勘案して近代化資金を融通することはさしつかえない。また、近代化資金の借入れにより行った事業につき、国又は地方公共団体の補助金等の交付決定を受けたときは、当該資金の償還期限にかかわらず、当該補助金をその交付後遅滞なく、借入金債務の弁済に充てる必要がある。
3 納付金
法第5条の規定による政府の補助を受けて都道府県が出資した漁業信用基金協会が解散した場合又は当該基金協会が近代化資金に係る債務の保証の業務を廃止した場合は、法第6条の定めるところにより一定の金額を政府に納付することとなるが、その際の手続等については、将来具体的な必要を生じた際所要の法令上の措置を講ずることとしている。
4 地方税法の特例
(1)不動産取得税
漁協、水産業協同組合等が近代化資金の貸付けを受けて保管、生産又は加工の用に供する家屋を取得した場合における当該施設の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、価格に当該施設の取得価額に対する当該貸付けを受けた額の割合を乗じて得た額(地方税法(昭和25年法律第226号)附則第11条第2項の規定に該当する場合は、価格に当該施設の取得価額に対する当該貸付けを受けた額の割合を乗じて得た額の5分の4に相当する額)を価格から控除することとされている。(地方税法附則第11条第2項、地方税法令(昭和25年政令第245号)第37条の19の2)
(2)固定資産税
漁協、水産協同組合等が近代化資金の貸付けを受けて共同利用に供する機械及び装置(1台又は1基の取得価額(総務省令で定めるところにより計算した取得価額をいう。以下同じ。)が330万円以上のものに限り、農山漁村環境整備のための機械及び施設に係るものであって総務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を取得した場合の当該機械及び装置に対して課する固定資産税の課税標準は当該機械及び装置に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から3年間に限り当該機械及び装置の価格の2分の1の額とすることとされている。(地方税法349条の3、地方税法令第52条の2の2)
(3)事業所税
漁協、水産協同組合等が共同利用に供する施設のうち、生産の用に供するもの又は近代化資金の貸付けを受けて設置されるもので保管、加工若しくは流通の用に供するもの、農林水産業者の研修のための施設及び農林水産業に関する試験研究のための施設に係る事業所床面積及び従業者給与総額に対しては、事業所税を指定都市等は課すことができないこととされている。(地方税法第701条の34の3、地方税法令第56条の28、地方税法施行規則第24条の3)

(別表)(PDF:76KB)

漁業経営維持安定資金の円滑な融通のためのガイドライン
第1 ガイドラインの趣旨
本ガイドラインは、民間資金を原資として都道府県が利子補給措置を講じる、都道府県知事の認定を受けた漁業経営再建計画(以下「再建計画」という。)に従い漁業経営の再建を図ろうとする中小漁業者に対して、緊急に必要な固定化債務の整理等に必要な資金(以下「漁業経営維持安定資金」という。)について、都道府県の自主的な判断の下での漁業経営維持安定資金制度の適正かつ円滑な運営のために、また、効率的かつ安定的な漁業経営の育成を図る観点から、貸付条件等制度の運営に関する基準を明らかにするものである。
第2 貸付条件等について
漁業経営が困難となっている中小漁業者の自主性と創意工夫を活かした経営再建が着実に行われることを目指して、漁業経営維持安定資金の貸付条件は以下を基準とする。
1 借受資格者
漁業経営維持安定資金を借り入れることができる者は、漁業を営む個人又は会社であって、その常時使用する従業者の数が300人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項に規定する漁船をいう。以下同じ。)の合計総トン数が3,000トン以下であるもの、漁業を営む漁業協同組合(水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第11条第1項第3号又は第4号の事業を行う漁業協同組合を除く。)又は漁業生産組合(以下「中小漁業者」という。)のうち次の(1)又は(2)の要件に該当するものであって、第4に規定する再建計画につき都道府県知事の認定を受けた者とする。
(1)漁家経営(原則として使用する漁船の合計総トン数が30トン未満の漁船漁業、養殖業又は小型定置網漁業を主として営む個人をいう。)にあっては、3に掲げる債務を有し、漁業経営維持安定資金の融通によってその整理を行うことが必要であると認められる者
(2)企業経営(漁家経営以外の中小漁業者をいう。)にあっては、直近の事業年度を含め原則として3か年(漁業経営の急激な悪化に伴い、直近の事業年度の漁業収支が損失であり、かつ、現事業年度においても水揚金額、漁業支出の動向等からみて損失が見込まれる者であって、その再建を図るためにはその債務を緊急に整理することが特に必要と認められるものにあっては2か年)の漁業収支が通算して損失となっている者若しくは直近の事業年度の末日(再建計画を作成するため特定の日に仮決算したときはその日)現在において、固定資産の額から自己資本の額と固定負債の額との合計額を控除して得た額を固定資産の額で除して得た数値が0.1以上である者
2 融資機関
融資機関は、水産業協同組合法第11条第1項第3号の事業を行う漁業協同組合、同法第87条第1項第3号及び第4号の事業を事業を行う漁業協同組合連合会、農林中央金庫、銀行及び信用金庫とする。
3 整理対象債務
(1)漁業経営維持安定資金により整理することができる債務(以下「整理対象債務」という。)は次に掲げるものとする。
ア 返済期到来後未返済となっている債務
イ 返済期未到来の債務のうち、期限延長、借換え等により実質的に延滞又は固定化しているとみなされる債務
ウ その他の債務で、次に掲げるもの
(ア) 賃金、退職金の未払債務
(イ) 金融機関以外の者からの借入金
(ウ) 漁業(漁業関連事業を含む。)に関する債務について引き受けた保証債務又は連帯債務であって、主たる債務者又は他の連帯債務者の倒産等により履行を必要とされているもの
(エ) 都道府県単独の制度資金等で漁業経営の維持安定を図るための緊急融資に係る借入金
(オ) その他都道府県知事が漁業経営の再建を図るために整理することが特に必要であると認めた債務
(2)個々の債務ごとに、(1)のアからウまでに掲げる債務に該当するかどうかを判定することに代えて、固定資産の額から自己資本の額と固定負債の額との合計額を控除して得た額の範囲内の額に相当する債務を整理対象債務とすることができる。ただし、(1)のウの(ウ)に掲げる連帯債務又は保証債務については、個別に判定する。
(3)国の制度資金(政府関係金融機関の融資金、国の利子補給又は利子補給補助に係る融資金及び国からのガイドラインに沿って各都道府県が行う融資金をいう。)については、(1)のアに該当する場合を除き、整理対象債務の対象としない。
(4)整理対象債務は、原則として漁業に関する債務とするが、冷凍冷蔵、水産物加工等の漁業関連事業の債務、漁家の生活に係る債務については、これらの債務を併せて整理しなければ対象漁業者の漁業経営の再建を図ることが特に困難と認められるときは、整理対象債務とすることができる。
(5)(1)及び(3)の規定にかかわらず、中小漁業経営支援事業の運用について(平成17年4月1日付け16水漁第2720号水産庁長官通知)第4の2の(1)に規定する中小漁業支援協議会の指導を受けて策定した再建計画に基づくものであって、当該漁業者が再建計画認定後も継続的に当該中小漁業経営支援協議会の経営指導を受ける場合に限り、次の算式により算出される額を上限として(1)に掲げる債務以外の債務を漁業経営維持安定資金により整理することができる。
A×(x+y-x'-y')÷(x'+y'+1)
A 当該漁業者の有する整理対象債務の額、x 償還期限の年数(据置期間を含み、整理対象債務のみを借り換えた場合に策定可能な再建計画の最短償還期限年数をいう。)、y 据置期間の年数、x' 変更後の償還期限の年数、y' 変更後の据置期間の年数
4 貸付限度額
(1)1漁業者に対する漁業経営維持安定資金の貸付限度額は、次に掲げる漁業者の区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとする。

漁船漁業を主として営む者  
  使用する漁船の合計総トン数が 30トン未満のもの 40,000千円
  使用する漁船の合計総トン数が 30トン以上 50トン未満のもの 70,000千円
  使用する漁船の合計総トン数が 50トン以上100トン未満のもの 120,000千円
  使用する漁船の合計総トン数が100トン以上200トン未満のもの 150,000千円
  使用する漁船の合計総トン数が200トン以上500トン未満のもの 240,000千円
  使用する漁船の合計総トン数が500トン以上のもの 400,000千円
養殖業を主として営む者 40,000千円
定置漁業を主として営む者  
  大型定置漁業(定置漁業権の免許対象となっているもの)を主として営む者 80,000千円
  小型定置漁業を主として営む者 40,000千円


(2)漁業経営の再建を図るためには(1)の限度額を超えた額の漁業経営維持安定資金の融通が特に必要であり、かつ、その者の漁業経営の状況からみてその償還が可能であると見込まれる場合において、都道府県知事が特に認めたときは、その認めた額を限度額とする。
5 償還期限及び据置期間
償還期限は10年以内(当該漁業者の財務状況等からみて漁業経営の再建を図るためには10年を超える償還期限が特に必要と認められる場合にあっては15年以内)とする。また、据置期間は3年以内で償還期限に含まれものとし、償還方法は、原則として元本均等償還とする。
6 漁業経営維持安定資金の貸付利率及び基準金利に関する事項
漁業経営維持安定資金の貸付利率は、以西底びき網漁業(漁業法第五十二条第一項の指定漁業を定める政令(昭和38年政令第6号)第1項第2号に掲げる漁業をいう。)又は近海かつお・まぐろ漁業(指定漁業を定める政令第1項第9号に掲げる漁業のうち総トン数10トン以上20トン未満の動力漁船によるもの以外のものをいう。)を主として営む中小漁業者に貸し付ける場合は年6.5%以内、その他の中小漁業者に貸し付ける場合は年5%以内とし、実質金利については、別途通知する。
第3 再建計画について
1 漁業経営維持安定資金の融通を受けようとする者は、再建計画を作成し、当該中小漁業者が構成員となっている漁業協同組合の意見書を添付して、その住所地を管轄する都道府県知事に提出して、その再建計画が適当である旨の認定を受けることができる。当該認定に係る再建計画を変更しようとするときも同様とする。
2 再建計画には、次に掲げる事項を記載する。
(1) 漁業経営の状況
(2) 資産及び負債の状況
(3) 収入及び支出の状況
(4) 収入及び支出の改善措置その他の漁業経営の再建を図るために必要な措置の概要
(5) (4)の措置に必要な資金の調達及び償還に関する事項
3 都道府県知事は、1の認定の申請があった場合において、その再建計画が、申請者の漁業経営の再建を図るために適切なものであり、申請者が再建計画を達成する見込が確実であると認めるときは、認定をする。
4 都道府県知事は、1の認定を受けた者が当該認定に係る再建計画(1の規定により当該再建計画の変更の認定を受けた場合には、その変更後の再建計画)に従ってその漁業経営の再建を図るために必要な措置を講じていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
5 再建計画の様式については、別記様式例第1号及び第2号を参考にされたい。
第4 利子補給の措置等について
1 利子補給契約の締結等
融資機関等との利子補給契約の締結等に当たっては、別紙例示1及び別紙例示2に掲げる利子補給規程例及び利子補給契約書例を参考としつつ以下に留意されたい。
(1)漁業経営維持安定資金に係る利子補給補助事業を行おうとする場合には、あらかじめ本資金の融通に必要な事項を定めた実施要綱や、利子補給規程等を定めること。
(2)都道府県が当該規程等に基づき融資機関との契約を締結するときは、それぞれの実情に応じた内容の契約を締結すること。
2 利子補給率
(1)融資機関に対する利子補給率については、漁業経営維持安定資金が中小漁業者に円滑に融通されるよう、(2)により国が通知する基準金利を参考として適正な水準を設定する必要がある。
(2)基準金利については、水産庁が、毎月、第2の6の貸付利率の見直しに合わせて見直し、都道府県に対して通知するので、その具体的な水準の設定の参考にされたい。
第5 その他
1 借入手続については、別紙例示3を参考にして行われたい。
2 保証保険のてん補率の特例
漁業経営維持安定資金の貸付けについて、漁業信用基金協会が債務保証を行い、その保証債務について、独立行政法人農林漁業信用基金が保険する場合の保険割合(てん補率)の特例については、第2の貸付条件等に則して貸付される場合について適用されるものである。
第6 モニタリングの実施について
1 水産庁は、税源移譲後における都道府県の漁業経営維持安定資金に係る利子補給事業の実施状況、予算措置状況、貸付実績等を把握するため、都道府県に対して定期的に報告を求めるものとする。
2 水産庁は、漁業経営維持安定資金を貸し付ける融資機関に対し、都道府県の利子補給の実施状況に関する意見等を求めるものとする。
3 水産庁は、1及び2により求めた資料を元に、都道府県及び融資機関との漁業経営維持安定資金制度の運営についての意見交換及び必要に応じ都道府県に対して中小漁業者の資金需要に的確に応じた事業の実施のための要請を行うものとする。
4 モニタリングの具体的な実施方法は、別途定めて通知するものとする。

別記(PDF:75KB)

別紙例示1
○○県(都道府)漁業経営維持安定資金利子補給規程(例)
(利子補給)
第1条 県(都道府)は○○県(都道府)漁業経営維持安定資金実施要領(以下「実施要領」という。)第○条に規定する資金(以下「漁業経営維持安定資金」という。)を貸し付ける実施要領第○条に規定する融資機関(以下「融資機関」という。)に対し、この規定に定めるところにより、当該漁業経営維持安定資金に係る利子補給を交付する。
(利子補給の対象となる漁業経営維持安定資金の補給率)
第2条 前条の利子補給の対象となる漁業経営維持安定資金の利子補給率は、次のとおりとする。

区分 利子補給率
1 実施要領第○条の中小漁業者に貸し付けられた資金 年0.8パーセント
2 実施要領第○条の中小漁業者に貸し付けられた資金 年1.25パーセント


(ただし、県(都道府)が利子補給の上乗せを行う場合は、上乗せ後の補給率とする。)
(利子補給契約書)
第3条 第1条の利子補給についての契約は、知事が当該融資機関との間に締結する利子補給契約書により行うものとする。
(利子補給金の額)
第4条 第1条の規定により交付する利子補給金の額は、毎年1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までの各期間における漁業経営維持安定資金につき、第2条に規定する利子補給率ごとに算出した融資平均残高(計算期間中の毎日の最高残高(延滞額を除く。)の総和をその期間中の日数で除して得た額とする。)に、それぞれ当該利子補給率を乗じて得た金額の合計額とする。
(利子補給金の支払)
第5条 県(都道府)は、融資機関から利子補給の請求があった場合において、知事が適当であると認めたときは、当該請求書を受理した日から30日以内にこれを支払うものとする。
(利子補給の打切り等)
第6条 県(都道府)は次の各号に掲げる事項に該当すると認めるときは、融資機関に対する利子補給の全部又は一部について打ち切ることができるものとする。
(1) 実施要領第○条の規定に基づき、知事が当該利子補給に係る漁業経営再建計画の認定の取消しを行ったとき
(2) 県(都道府)の利子補給に係る漁業経営維持安定資金を借り受けた者がその借入金をその目的以外の目的に使用したとき
2 県(都道府)は融資機関がこの規程又はこの規程に基づく契約の条項に違反したときは、融資機関に対する利子補給の全部若しくは一部について打ち切り、又は既に交付した利子補給金の全部若しくは一部の返還を命ずることができるものとする。
(報告の徴収等)
第7条 融資機関は、知事が当該融資機関の行った第1条の利子補給に係る漁業経営維持安定資金の融資に関し報告を求めた場合又はその職員をして当該融資に関する帳簿書類等を調査させることを必要とした場合、これに協力しなければならない。
附則
1 この規程は、平成 年月日から施行する。
2 この規程の施行の際、現に利子補給について県(都道府)知事の承認の行われている漁業経営維持安定資金については、なお従前の例による。
別紙例示2
利子補給契 約書 (例)
○○県(都道府)(以下「甲」という。)と○○(以下「乙」という。)とは、乙が貸し付ける○○県(都道府)漁業経営維持安定資金実施要領(以下「実施要領」という。)第○条に規定する資金(以下「漁業経営維持安定資金」という。)につき、甲が乙に対し利子補給金を交付することについて、次の条項を契約する。
第1条 甲は、乙の融資に係る漁業経営維持安定資金につき、○○県(都道府)漁業経営維持安定資金利子補給規程(以下「利子補給規程」という。)の定めるところにより、乙に対し利子補給金を交付する。
第2条 乙の貸付けに関し、甲の行う利子補給は、乙の利子補給承認申請書に基づき、甲が利子補給承諾書を交付することによって行うものとする。
第3条 乙の貸付けの償還期限等の変更(利子補給金の減少に係るものを除く。)に基づく甲の利子補給の変更は、乙の利子補給変更承認申請書に基づき、甲が利子補給変更承諾書を交付することによって行うものとする。
第4条 乙は、貸付けを行ったとき、又は貸付けの償還期限等を変更したときは、遅滞なくその旨を甲に対し報告するものとする。
第5条 甲が乙に対して交付する利子補給金の額は、利子補給規程第4条に規定する方式により算出した額とする。
第6条 乙は、甲に対し1月1日から6月30日までの期間及び7月1日から12月31日までの期間ごとに利子補給規程第4条の規定により算出した金額を利子補給金請求書により利子補給金を請求するものとする。
第7条 甲は、乙から前条の請求書の申請を受けたときは、その日から30日以内にこれを現金で支払うものとする。
第8条 乙は、その行った融資について経理を明らかにするものとする。
第9条 乙は、甲の利子補給に係る貸付債権の回収状況報告書を毎年1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までの各期間ごとにつき、第6条に規定する利子補給金請求書に添付して甲に対し提出するものとする。
第10条 乙は、常に甲の利子補給に係る貸付債権の保全に必要な注意を払わなければならないものとする。
第11条 甲は、次のいずれかに該当すると認める場合には、乙に対する利子補給の全部又は一部について打ち切ることができる。
(1) 実施要領第○条の規定に基づき、甲がその利子補給に係る漁業経営再建計画の認定を取り消したとき
(2) 甲の利子補給に係る漁業経営維持安定資金を借り受けた者がその借入金をその目的以外の目的に使用したとき
2 甲は、乙が利子補給規程又はこの契約の条項に違反したときは、乙に対する利子補給の全部若しくは一部について打ち切り、又は既に交付した利子補給金の全部若しくは一部の返還を命ずる(請求する)ことができる。
第12条 乙は、甲の利子補給に係る漁業経営維持安定資金の融資に関し、甲が報告を求めた場合又は甲の職員をして当該融資に関する帳簿、書類等を調査させることを必要とした場合には、これに協力しなければならない。
第13条 この契約の内容に変更を加えようとするときは、その都度甲乙両者の協議により行うものとする。
第14条 この契約に疑義を生じたとき又はこの契約に定めのない事項については、甲乙両者の協議により定めるものとする。
第15条 この契約書は、2通作成し、甲及び乙において、各1通を保有するものとする。
平成 年月日
○○県知事 氏名印
○○○○○○○ 氏名印
別紙例示3
借入等の事 務手続(例)
(1) 漁業協同組合から借り入れる場合
ア 漁業者が漁業協同組合から漁業経営維持安定資金を借りる場合には、漁業者は、再建計画書を漁業協同組合に提出する際、同時に借入申込書(別紙様式例第3号参照)正副 部(系統上部機関の転貸を受ける場合は、正副 部)を漁業協同組合に提出する。なお、債務保証を必要とする場合は、漁業信用基金協会あての債務保証委託書1通(借入申込書の写しを添付)を提出する。
イ 漁業協同組合は、再建計画書及び借入申込書の内容を審査し、必要に応じて信漁連、農林中金等の意見を聞き、再建計画書(意見書を添付)を都道府県知事に提出するとともに、同時に利子補給承認申請書(借入申込書(副)を添付)を都道府県に提出する。また、債務保証を必要とする場合は、債務保証委託書に意見を付した債務保証協議書1通を添付して漁業信用基金協会に送付する。
ウ 漁業協同組合は、自己資金で貸付けができない場合には、信漁連(又は農林中金)と協議し、信漁連(又は農林中金)転貸、信漁連(又は農林中金)直貸等の貸付方法を決定し、信漁連(又は農林中金)転貸による場合には、再建計画書を都道府県へ提出する際、同時に利子補給承認申請書(別紙様式例第4号参照)、借入申込書(副)を都道府県に提出する。
また漁業信用基金協会の保証を必要とする場合は、債務保証委託書(借入申込書の写しを添付)に意見を付した債務保証協議書を添付の上漁業信用基金協会へ提出する。
(2) 信漁連又は農林中金直貸の場合
ア 漁業者は再建計画書を漁業協同組合に提出する際、同時に借入申込書(別紙借入申込書例参照)正副 部を原則として漁業協同組合を経由して融資機関に提出する。また債務保証を必要とする場合は、債務保証委託書1通(借入申込書の写しを添付)を併せて提出する。
イ 漁業協同組合は信漁連(又は農林中金)と協議し、借入申込書正副 部に必要に応じ、漁業協同組合(又は信漁連)の承諾書を添付し、信漁連(又は農林中金)に送付する。また、再建計画書の内容を審査し、必要に応じて、信漁連(又は農林中金)と協議し、再建計画書(意見書を添付)を都道府県知事に提出する。
ウ 融資機関は、借入申込書の内容を審査し、必要に応じて、漁業協同組合等の意見を聞き、利子補給承認申請書(別紙利子補給承認申請書例参照)を作成し、これに借入申込書(副)を添付して都道府県に提出するとともに、債務保証を必要とする場合は債務保証委託書に意見を付した債務保証協議書1通を添付して漁業信用基金協会に送付する。
(3) 一般金融機関から借り入れる場合
ア 漁業者は、再建計画書を漁業協同組合に提出する際、漁業協同組合と協議の上借入申込書(別紙借入申込書例参照)正副 部を融資機関に提出する。また、債務保証を必要とする場合は、債務保証委託書1通(借入申込書の写しを添付)を併せて融資機関に提出する。
イ 融資機関は(2)のウに準じた手続をとる。
ウ 漁業協同組合は、再建計画書の内容を審査し、必要に応じて融資機関と協議し、融資機関の貸付審査の進渉状況を勘案の上、再建計画書(意見書を添付)を都道府県知事に提出する。
(4) 都道府県等の事務
ア 都道府県は、再建計画の認定と利子補給の決定を同時に行うことが望ましい。
したがって、漁業協同組合を経由して再建計画書の提出及び融資機関からの利子補給承認申請書の提出があったときは、その内容を審査し、必要がある場合には、融資機関その他の関係機関で構成する審査委員会の意見を聞くこと等により、再建計画の認定及び利子補給の諾否の決定を行い、その旨を、漁業協同組合を通じ漁業者に通知するとともに、融資機関に通知する。また債務保証を付す融資については、漁業信用基金協会に通知する。
イ 融資機関は、これらの決定に基づき貸付決定を行い、借入申込者に通知するとともに、貸付を実行するときは、遅滞なく都道府県に報告する。

様式例第3号(PDF:18KB)

○漁業経営再建資金の円滑な融通のためのガイドライン
第1 趣旨
本ガイドラインは、漁業経営が極めて困難となっている漁業者の自助努力を前提として関係機関の支援・協力の下に漁業経営の再建を図るための長期低利の負債整理資金である漁業経営再建資金(以下「再建資金」という。)に関し、都道府県が利子補給措置を講じる場合の、都道府県の自主的な判断の下での再建資金制度の適正かつ円滑な運営及び効率的かつ安定的な漁業経営の育成を図る観点から、貸付条件等制度の運営に関する基準を明らかにするものである。
第2 貸付条件等について
漁業経営が極めて困難となって漁業者が、自主努力及び関係機関等の支援・協力を得て経営再建が着実に行われることを目指して、再建資金の貸付条件は以下を基準とする。
1 借受資格者
再建資金を借り入れることができる者は、漁業を営む個人又は会社であって、その常時使用する従業者の数が300人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項に規定する漁船をいう。以下同じ。)の合計総トン数が3,000トン以下であるもの、漁業を営む漁業協同組合(水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第11条第1項第3号又は第4号の事業を行う漁業協同組合を除く。)又は漁業生産組合(以下「中小漁業者」という。)のうち次のいずれにも該当するものであって、第3の1の規定により作成した再建計画について第3の2の規定により債権者の合意の上、第3の4の都道府県知事の認定を受けたものとする。
(1)直近の事業年度の末日(再建計画を作成するため特定の日に決算したときはその日)現在において、固定資産の額から自己資本の額及び固定負債の額の合計額を控除して得た額を固定資産の額で除した得た数値が0.5(漁業法第52条第1項の指定漁業を定める政令(昭和38年政令第6号。以下「政令」という。)第1項第8号に規定する遠洋かつお・まぐろ漁業及び同項第9号に規定する近海かつお・まぐろ漁業のうち総トン数10トン以上20トン未満の動力漁船によるもの以外のものを営む者(以下「かつお・まぐろ漁業者」という。)にあっては、0.3)以上であること。
(2)直近の事業年度を含め原則として3年(直近の事業年度の債務超過額がその前の事業年度の債務超過額に比べ増加しており、現事業年度においても水揚金額、漁業支出の動向等からみてさらに債務超過額の増加が見込まれる者にあっては、2年)以上債務超過となっていること(使用する漁船の合計総トン数が30トン未満の漁船漁業、養殖業又は小型定置漁業を主として営む個人(以下「漁家」という。)にあっては、直近3年(現事業年度において水揚金額、漁業支出の動向等からみて、総支出が総収入を上回ることが見込まれる者にあっては2年)において連続して総支出が総収入を上回っている場合を含む。)。
(3)今後の漁業経営に係る漁業収入が漁業支出及び減免後の負債利息の合計額以上であると見込まれること。
(4)既に再建資金を借り受けている者でないこと。
(5)直近の事業年度における漁業収入が総収入の過半を占めていること。
2 融資機関
融資機関は、水産業協同組合法第11条第1項第3号の事業を行う漁業協同組合(以下「漁協」という。)、同法第87条第1項第3号及び第4号の事業を併せ行う漁業協同組合連合会(以下「信漁連」という。)、農林中央金庫、銀行並びに信用金庫とする。
3 整理対象債務
再建資金により整理することができる債務は、借受者の有する融資機関からの資金の借入れに係る債務(固定資産の取得又は拡充のためになした長期借入金で返済期限の到来していないもの及び政府関係金融機関から資金の貸付けを受け、その貸付けの目的に従い、かつ、その貸付けと同一の条件で中小漁業者に貸し付けられた資金の借入れに係る債務を除く。以下「金融債務」という。)であって次のいずれかに該当するものとする。
(1)冷凍冷蔵、水産物加工の漁業関連事業に係るもの
(2)漁家の金融債務であって、漁業経営に係る金融債務と併せて整理しなければ当該漁業者の漁業経営の再建を図ることが特に困難と認められるもの
(3)その他漁業経営に係るもの
4 融通の実行
再建資金の貸付けは、第3の2に規定する債権者等により構成される債権者会議における調整を経て、債権者等が合意し、かつ、都道府県知事の認定を受けた再建計画(以下「認定再建計画」という。)に基づいて行う。
5 貸付限度額
(1)再建資金の貸付限度額は、認定再建計画に定める額又は借受者の有する金融債務の8割に相当する額のいずれか低い額とし、漁船漁業を主として営む者については、8億円(大中型まき網漁業(政令第1項第4号に規定する大中型まき網漁業をいう。以下同じ。)を営む者あっては11億円)を上限とする次表に掲げる額を超えないものとする。この場合において、整理対象債務のうち再建資金により整理されない制度資金(国又は都道府県が融資機関の貸付けに対して利子補給を行う資金及び国からのガイドラインに即して都道府県が融資機関の貸付けに対して利子補給を行う資金をいう。)及び融通される再建資金の合計額は、整理対象債務の8割に相当する額を超えてはならない。
(2)再建資金の融通を行う融資機関は、当該資金の貸付けを受けようとする者に対して当該融資機関が有している金融債権(再建資金の貸付けを受けようとする者に対する資金(固定資産の取得又は拡充のためになした長期借入金で返済期限の到来していないもの及び政府関係金融機関から資金の貸付けを受け、その貸付けの目的に従い、かつ、その貸付けと同一の条件で中小漁業者に貸し付けられた資金を除く。)の貸付けによる債権をいう。以下同じ。)の総額を超えて再建資金を融通してはならない。

区分 貸付限度額
総トン数30トン未満の漁船 7,200万円
総トン数30トン以上の漁船 総トン数×240万円


6 償還期限及び据置期間
(1)償還期限は、10年以内とする。ただし、かつお・まぐろ漁業又は大中型まき網漁業を主として営む者であって、その財務状況等からみて10年を超える償還期限が特に必要であると認められる場合にあっては15年以内とする。
(2)据置期間は、かつお・まぐろ漁業又は大中型まき網漁業を営む借受者であって、その財務状況等からみて再建資金の円滑な償還を図る上で据置期間が特に必要であると認められるものに限り2年以内とし、償還期限に含まれる。
(3)貸付金の償還は、原則として年2回、元本均等償還とする。なお、漁業経営の再建が達成されたと認められる場合には、再建資金の繰上げ償還を行う。
7 貸付利率
再建資金の貸付利率は、年2.0パーセント以内とし、実質金利は、別途通知する。
第3 再建計画
1 再建計画の作成
再建資金の貸付けを受けようとする者(以下「借受希望者」という。)は、次に掲げる事項を記載した再建計画を作成し、第2の2の融資機関のうち原則として当該借受希望者の漁業経営に係る金融債権の総額の2分の1以上の金融債権を有する金融機関(この要件に該当する単一の融資機関がない場合であって、漁協、その加入する信漁連及び農林中央金庫の有する金融債権の総和が原則として当該借受希望者の漁業経営に係る金融債権の総額の2分の1以上である場合にあっては、当該漁協、信漁連又は農林中央金庫以下「幹事融資機関」という。)に提出する。
(1)漁業経営の現状及び現状に至った理由
(2)資産及び収支の状況
(3)漁業経営の再建を図るために必要な措置
(4)今後の資金計画
(5)整理対象債務の明細
2 債権者会議
再建計画の提出を受けた幹事融資機関は、次により借受希望者に係る債権者等から成る債権者会議を開催する。
(1)幹事融資機関は、次に掲げる者(以下「債権者等」と総称する。)に対し債権者会議の開催を通知する。ただし、小口の債権者の存在等によりすべての者に通知することが困難であると認めるときは、イの者に対する通知は通知を受けた者が借受希望者に対して有する債権の総額か借受希望者に対する債権の総額の4分の3に相当する額を超えていれば足りる。
ア 借受希望者
イ 借受希望者に対して債権を有する者(以下「債権者」という。)
ウ 債権者に漁協又は信漁連が含まれるときには、当該漁協又は信漁連に対して転貸資金の原資を供給している融資機関(以下「原資供給機関」という。)
エ 借受希望者の債務又は当該希望者の転貸資金の原資についての債務を保証している漁業信用基金協会(以下「協会」という。)
オ 再建計画において当該借受希望者が今後新たな借入れを予定している金融機関(以下「予定金融機関」という。)
(2)幹事融資機関は、(1)の債権者会議の議論を踏まえ、再建計画について、借受希望者、債権者、原資供給機関、協会及び予定金融機関の合意を図る。ただし、債権者にあっては、合意を得た債権者が借受希望者に対して有する債権の総額が借受希望者に対する債権の総額の4分の3に相当する額を超えていれば足りる。
(3)漁協は、再建資金の融通を行おうとするときは、総会(総代会制を採っている漁協にあっては総会又は総代会。以下同じ。)の議決を経る。その方法については、再建資金の融通枠及びこれに伴う負担額を再建資金の融通前に総会に諮りその承認を得る方法等が考えられるところであり、それぞれの漁協の実情に合わせて実施されたい。
3 再建計画の提出
借受希望者は、別記様式例第1号により債権者会議の議論を踏まえ債権者等が合意をした再建計画に別記様式例第2号により作成した債権者合意書を添付し幹事融資機関を経由して当該借受希望者の住所地又はその漁業の主たる根拠地のいずれかを管轄する都道府県知事に提出する。なお、債権者合意書は、幹事融資機関がとりまとめる。
4 都道府県知事の認定
(1)都道府県知事は、3の提出を受けたときは、借受希望者が第2の1に該当する者であるか否かを確認し、再建計画が次に定める基準に適合しているかどうかを審査の上、適合している場合には当該再建計画を認定する。
ア 過去の実績、借受者の営む業種に属する他の経営体の経営動向等からみて再建計画の達成が確実に見込まれること
イ 再建計画において、借受者の自助努力が十分行われ、かつ、債権者からの必要な支援が得られていること
ウ 再建資金の借入れが1回限りとされていること。
エ 計画終了時点において繰越欠損金が解消するような再建計画であること(当該再建計画が、次のいずれにも該当する場合を除く。)。
(ア) 再建計画開始時(変更の場合にあっては変更申請時)の繰越欠損金の額が著しく大きい場合
(イ) 再建計画において借受希望者(変更の場合にあっては借受者)の自助努力並びに債権者の支援及び協力が十分に行われていると認められる場合
(ウ) 当該再建計画期間内に繰越欠損金の9割(特殊な事情がある場合にあっては8割)以上の解消が図られる場合
オ 再建計画期間中に新たに漁業経営維持安定資金(漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法(昭和51年6月1日法律第43号)第8条第1項に規定する資金及び「漁業経営維持安定資金の円滑な融通のためのガイドライン」(平成17年4月1日付け16水漁第2708号水産庁長官通知)に則して貸し付けられる資金をいう。以下同じ。)の借入れを予定していないこと。
カ 漁業経営維持安定資金の借入れによっては再建が困難な者であること
(2)都道府県知事は、(1)の認定を行おうとする場合には、必要に応じて関係団体の役職員等からなる審査委員会等(以下「再建計画認定審査委員会」という。)の意見を聴く。再建計画認定審査委員会は、既存の類似の組織の活用によっても足りるが、必要に応じて企業会計に精通し、経営診断等を行う能力を有する者を加える。都道府県知事は、再建計画の認定(6の再建計画の変更の認定を含む。)を行ったときは、借受希望者及び幹事融資機関にその旨を通知する。
5 認定再建計画の実施
(1)再建資金の借受者及び再建計画に合意した者は、認定再建計画を誠実に実施するものとする。
(2)幹事融資機関は、6か月ごとに借受者に漁業経営の状況を報告させるとともに、借受者の事業年度終了後遅滞なく、当該報告等をもとに再建状況調書を作成し、これを債権者等及び都道府県知事に報告する。
6 認定再建計画の変更
(1)認定再建計画の変更については、1から4までの規定に準ずる。この場合において、都道府県知事は当該認定再建計画の変更が、4の(1)で定める基準に加え、次に掲げる基準に適合している場合に限りこれを認定する。
ア 変更事由が再建計画策定後に生じたものであること
イ 変更後の再建計画において借受者の一層の自助努力が行われるとともに借受者の経営の状態に応じた融資機関、債権者その他の関係機関の支援又は協力が得られること
ウ 変更後の再建計画における再建資金の毎年度末残高が、変更前の再建計画における再建資金の毎年度末残高を超えないこと
(2)認定再建計画の変更の申請は、変更の事由が生じてから6か月以内に行われなければならない。
(3)認定再建計画の変更は、1回に限り認定できるものとする。ただし、「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」(昭和30年法律第136号)の適用を受ける場合その他都道府県知事が特別に指定する事由による変更についてはこの限りでない。
7 再建計画の取消し
(1)都道府県知事は、次のいずれにも該当する場合その他再建計画の達成の努力が行われていないと認められるときは、借受者及び幹事融資機関に対し認定取消しの予告を行い、予告を行った後6か月以内に再建計画の変更申請がなされない場合又は認定再建計画の変更認定を行わない場合には、認定再建計画の認定の取消しを行う。
ア 再建資金の貸付け時点から起算して3年、5年及び7年を経過した日の属する事業年度終了時点において都道府県知事が第7の2の規定により報告を受けた再建状況調書又は決算書等の繰越欠損金が認定再建計画に記載されている予定繰越欠損金より大きい場合(当該見直し時点までにおける各年度末の繰越欠損金の残高の総和が認定再建計画における当該残高の総和におおむね等しい場合を除く。)
イ 魚価の動向、借受者の営む業種に属する他の経営体の経営動向、借受者の経営状況等からみて今後再建計画の達成が困難と認められる場合
(2)都道府県知事は、(1)の取消しを行おうとする場合には、必要に応じて再建計画認定審査委員会の意見を聴く。
(3)都道府県知事は、再建計画の取消しを行った場合には、借受希望者及び幹事融資機関にその旨を通知し、直ちに利子補給を打ち切る。
第4 利子補給契約等
1 関係機関の助成
融資機関は、再建資金の融通に当たって、再建資金の借受者の債権者その他の関係機関に対して協力を求めることができる。特に、融資機関が漁協又は信漁連である場合には、再建資金の貸付額のうち借受者が有する漁協又は信漁連に対する金融債務であってその加入する信漁連又は農林中央金庫からの転貸資金の借入れにより発生した債務の整理に係るものについては、その加入する信漁連又は農林中央金庫は応分の負担を行う。
2 利子補給契約の締結等
融資機関等との利子補給契約の締結等に当たっては、以下に留意されたい。
なお、参考までに、利子補給規定例及び利子補給契約書例を資料1、2として掲げる。
(1)再建資金に係る利子補給補助事業を行おうとする場合には、あらかじめ本資金の融通に必要な事項を定めた実施要綱や利子補給規程を定めること。
(2)都道府県が、当該規定に基づき融資機関との契約を締結するときは、それぞれの実情に応じた内容の締結をすること。
3 利子補給率
(1)融資機関に対する利子補給率については、再建資金が中小漁業者に円滑に融通されるよう(2)により国が通知する基準金利を参考として適正な水準を設定する必要がある。
(2)基準金利については、従来どおり水産庁が毎月、第2の7の貸付利率の見直しにあわせて見直し、都道府県に対して通知するので、その具体的な水準の設定に当たっては参考にされたい。
第5 その他
1 借入手続
(1)借受希望者は、再建計画書を作成し、幹事融資機関に提出する。
(2)幹事融資機関は再建計画書を審査の上、債権者会議を開催し、再建計画等について債権者の合意を図る。
(3)借受希望者は、再建計画において本資金を融通することとされた融資機関に対し、別記様式例第3号を参考にして作成した借入申込書に再建計画書を添付して提出する。
(4)融資機関は、(3)の借入申込書の内容を審査の上、利子補給承認申請書を作成し、これに借入申込書の写しを添付して事業主体に提出する。
なお、借受希望者は債権者会議の議論を踏まえ債権者との合意の上、再建計画に債権者合意書を添付し幹事融資機関を経由して、都道府県に提出する。
(5)都道府県は、再建計画書について認定審査委員会の意見を聞いて再建計画の認定を行い、認定を行った場合には速やかに利子補給承認申請書を審査の上、利子補給の諾否の決定を行い、融資機関にその旨を通知する。
(6)融資機関は、(5)の決定に基づき貸付決定を行い、これを実行したときは延滞なく都道府県にその旨を報告する。
2 漁業経営維持安定資金との関係
(1)都道府県は、再建資金の貸付けの日の前日までに当該再建資金により整理されない漁業経営維持安定資金についての利子補給を打ち切る。
(2)再建資金を借り受けた者は、再建計画の認定を取り消された場合、当該計画の計画期間中、漁業経営維持安定資金を借り受けることができない。
3 信用補完制度の活用
(1)再建資金の貸付けに係る債権保全については、通常の物的担保又は人的担保によることを原則とし、その他既存の融資保証制度の活用を図るものとする。
(2)漁業信用基金協会は、中小漁業融資保証制度の活用に関し、再建資金の円滑な融通の確保にも配慮しつつ、保証に当たっては再建計画の実行性、再建の可能性等につき十分な審査を行うものとする。
4 保証保険のてん補率の特例
漁業信用基金協会が再建資金の貸付けについて債務保証を行い、その債務保証について、独立行政法人農林漁業信用基金が保険する場合の保険割合(てん補率)の特例については、第2の貸付条件等に則して貸付される場合について適用される。
5 長期金融協会の助成
財団法人農林水産長期金融協会は、予算の範囲内において、都道府県に対し、この事業の実施に必要な経費について、農山漁村振興緊急対策利子助成金交付事業実施要綱(平成2年3月29日付け2農経A第321号)に定めるところにより補助するものとする。この助成措置は、第2の貸付条件等に則して貸付される場合について行われる。
第6 モニタリングの実施について
1 水産庁は、税源移譲後における都道府県の再建資金に係る利子補給事業の実施状況、予算措置状況、貸付実績等を把握するため、都道府県に対して定期的に報告を求めるものとする。
2 水産庁は、再建資金を貸し付ける融資機関に対し、都道府県の利子補給の実施状況に関する意見等を求めるものとする。
3 水産庁は、1及び2により求めた資料を元に、都道府県及び融資機関との再建資金制度の運営についての意見交換及び必要に応じ都道府県に対して中小漁業者の資金需要に的確に応じた事業の実施のための要請を行うものとする。
4 モニタリングの具体的な実施方法は、別途定めて通知するものとする。
〇〇県(都道府)漁業経営再建資金利子補給規程(例)
(利子補給)
第1条 県(都道府)は、○○県(都道府)漁業経営再建資金融通助成事業実施要領(以下「実施要領」という。)第○条に規定する資金(以下「漁業経営再建資金」という。)を貸し付ける実施要領第○条に規定する融資機関(以下「融資機関」という。)に対し、この規程に定めるところにより、当該漁業経営再建資金に係る利子補給金を交付する。
第2条 前条の利子補給の対象となる漁業経営再建資金の利子補給率は、年0.10パ-セントとする。(ただし、県(都道府)が末端金利の引下げを行うために利子補給の上乗せを行う場合は、上乗せ後の補給率とする。)
(利子補給契約書)
第3条 第1条の利子補給についての契約は、知事が当該融資機関との間に締結する利子補給契約書により行うものとする。
(利子補給金の額)
第4条 第1条の規定により交付する利子補給金の額は、毎年1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までの各期間における漁業経営再建資金につき、第2条に規定する利子補給率ごとに算出した融資平均残高(計算期間中の毎日の最高残高(延滞額を除く。)の総和をその期間中の日数で除して得た金額とする。)に当該利子補給率を乗じて得た金額とする。
(利子補給金の支払)
第5条 県(都道府)は、融資機関から利子補給の請求があった場合において、知事が適当であると認めたときは、当該請求書の提出を受けた日から30日以内にこれを支払うものとする。
(利子補給の打切り等)
第6条 県(都道府)は、次に掲げる事項に該当すると認めるときは、融資機関に対する利子補給の全部又は一部について打ち切ることができるものとする。
(1) 実施要領○条の規定に基づき、知事が当該利子補給に係る経営再建計画の取消しを行ったとき
(2) 県(都道府)の利子補給に係る漁業経営再建資金を借り受けた者がその借入金を目的以外の目的に使用したとき
2 県(都道府)は、融資機関がこの規程又はこの規程に基づく契約の条項に違反したときは、融資機関に対する利子補給金の全部又は一部の返還を命ずることができるものとする。
(報告の徴収等)
第7条 融資機関は、知事が当該融資機関が行った第1条の利子補給に係る漁業経営再建資金の融資に関し報告を求めた場合又はその職員をして当該融資に関する帳簿書類等を調査させることを必要とした場合、これに協力しなければならない。
附則
この規程は、平成 年月日から施行する。
漁業経営再建資金融通助成事業利子補給契約書 (例)
〇〇県(都道府)(以下「甲」という。)と〇〇漁業協同組合(以下「乙」という。)とは、○○県(都道府)漁業経営再建資金融通助成事業実施要領(以下「実施要領」という。)に基づき、甲が乙に対し、利子補給金を交付することについて、次の条項を契約する。
第1条 乙は、実施要領第○条の漁業経営再建資金の貸付けを受けることができる者に対し、実施要領第○条の漁業経営再建資金(以下「再建資金」という。)を融資する。
2 甲は、前項の融資について〇〇県(都道府)漁業経営再建資金利子補給規程(以下「利子補給規程」という。)の定めるところにより乙に対し利子補給を行う。
第2条 乙の貸付けに関し、甲の行う利子補給は、乙の利子補給申請に基づき、甲が利子補給承諾書を交付することによって行うものとする。
第3条 乙は貸付けを行ったとき又は貸付けの償還期限等を変更したときは、遅滞なくその旨を甲に対して報告するものとする。
第4条 甲が乙に対して交付する利子補給金の額は、利子補給規程第4条により算出した額とする。
第5条 乙は、甲に対し、1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までの各期間ごとに利子補給規程第4条の規定により算出した金額を利子補給金請求書により利子補給金を請求するものとする。
第6条 甲は、乙から前条の請求書の提出を受けたときは、その日から30日以内にこれを現金で支払うものとする。
第7条 乙は、その行った融資について経理を明らかにするものとする。
第8条 乙は甲の利子補給に係る貸付債権の回収状況報告書を、毎年1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までの各期間ごとにつき第6条に規定する利子補給金請求書に添付して甲に提出するものとする。
第9条 乙は、常に甲の利子補給に係る貸付債権の保全に必要な注意を払わなければならないものとする。
第10条 甲は、次に該当すると認める場合には、乙に対する利子補給の全部又は一部について打ち切ることができる。
(1) 実施要領第○条の規定に基づき、甲がその利子補給に係る再建計画の認定を取り消したとき
(2) 甲の利子補給に係る再建資金を借り受けた者が、その借入金をその目的以外の目的に使用したとき
2 甲は、乙が利子補給規程又はこの契約の条項に違反したときは、乙に対する利子補給の全部若しくは一部について打ち切り、又は既に交付した利子補給金の全部若しくは一部の返還を命ずる(請求する)ことができる。
第11条 甲が、この融資に関し報告を求めた場合又は甲の職員をして、当該融資に関する帳簿、書類等を調査させることを必要とした場合には、これに協力しなければならない。
第12条 実施要領又はこれに基づく諸手続が改正され又は廃止されたとき等この契約内容に変更を加えようとするときは、その都度甲乙両者の協議により行うものとする。
第13条 この契約に疑義を生じたとき又はこの契約に定めのない事項については、甲乙両者の協議により定めるものとする。
以上、契約の証として、本契約書2通を作成し、甲乙各1部を所持するものとする。
平成 年月日
甲 〇〇県知事 氏名
乙 〇〇漁業協同組合長理事 氏名

別記様式例第1 号(PDF:66KB)

漁業経営高度化促進支援資金の円滑な融通のためのガイドライン
第1 趣旨
本ガイドラインは、漁業者自らの資源管理型漁業や漁獲物の流通高度化等の取組を総合的に支援するための漁業経営高度化促進支援資金については、都道府県が同様の資金の創設を行い、又は積極的に継続することを促進するため、また、都道府県間での対応が不均衡とならないよう、貸付条件等の運営に関する基準を示すものである。
第2 定義
1 この通知において、「漁業経営高度化促進支援資金」(以下「促進支援資金」という。)とは、第4の規定に基づき融通される資金をいう。
2 この通知において、「中小漁業者」とは、次に掲げる者をいう。
(1) 漁業を営む個人又は会社であって、その常時使用する従業者の数が300人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項に規定する漁船をいう。以下同じ。)の合計総トン数が3,000トン以下であるもの
(2) 漁業を営む漁業協同組合
(3) 漁業生産組合
3 この通知において、「漁業者団体」とは、組合員又は所属員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売の事業を行う漁業協同組合又は漁業協同組合連合会をいう。
4 この通知において、「漁獲可能量協定又は漁獲努力量協定」とは、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成8年法律第77号。以下「TAC法」という。)第13条第1項又は第2項の協定をいう。
5 この通知において、「漁家経営」とは、使用する漁船の合計総トン数が5トン以上30トン未満の漁船漁業、養殖業及び小型定置網漁業を主として営む個人をいう。
6 この通知において、「企業経営」とは、漁家経営以外の中小漁業をいう。
第3 促進支援資金の種類
促進支援資金は、資金使途によって取組促進資金、経営指導資金及び継続支援資金の三資金に分類する。
第4 促進支援資金の融通
1 貸付対象者
(1) 取組促進資金
取組促進資金の融通を受けることができる者は、アに掲げる資源管理に参加する中小漁業者(当該中小漁業者を直接若しくは間接の構成員とする団体(以下「管理団体」という。)の直接又は間接の構成員となっている者を含む。以下同じ。)又はイに掲げる流通高度化の取組を行う中小漁業者若しくは漁業者団体であって、第4の2の規定により当該取組について都道府県知事の認定を受け、かつ、第5の1の規定により作成した経営安定改善計画について第5の2の規定により都道府県知事の認定を受けた者とする。
ア 取組促進資金の対象となる資源管理とは、次に掲げるものに基づき中小漁業者又は管理団体が参加する水産資源の自主的な管理をいう。
(ア) TAC法第13条第1項又は第2項の規定に基づく農林水産大臣又は都道府県の知事の認定を受けた漁獲可能量協定又は漁獲努力量協定
(イ) 海洋水産資源開発促進法(昭和46年法律第60号)第13条第1項の規定に基づく行政庁の認定を受けた資源管理協定
(ウ) 資源回復等推進支援事業実施要領(平成16年4月1日付け15水漁第2526号農林水産事務次官依命通知)に基づき、資源回復型として水産庁長官の承認を受けた事業計画(以下「資源回復型事業計画」という。)
(エ) 資源回復計画の作成要領の制定について(平成14年3月28日付け13水管第3882号水産庁長官通知)第1の2に規定する漁獲努力量削減実施計画に基づき資源の回復を図るために漁業者団体が作成し、水産庁長官(都道府県が作成する資源回復計画に基づく計画にあっては都道府県知事)の認定を受けた計画
(オ) (ア)に準ずる自主的な漁獲可能量協定又は漁獲努力量協定
(カ) (イ)に準ずる自主的な資源管理協定
イ 取組促進資金の対象となる流通高度化の取組とは、次に掲げるものをいう。
(ア) 中小漁業者又は漁業者団体(以下「中小漁業者等」という。)が漁獲物の市場流通量、需要の季節変動等を勘案して行う計画的な出荷・販売
(イ) 中小漁業者等が加工業者、卸売業者、仲卸業者及び小売業者と新たに実施する水産物の安定的な取引
(ウ) アに掲げる資源管理又は(ア)若しくは(イ)の取組を行う者が水産物の需要拡大のために実施する漁獲物の加工、産地直接販売による特産品化等付加価値の向上
(2) 経営指導資金
経営指導資金の貸付けを受けることができる者は、都道府県知事が定める期間当該都道府県知事が推奨する漁業経営に関する指導(以下「経営指導」という。)を受けた者であって、第5の1の規定により作成した経営安定改善計画について第5の2の規定により都道府県知事の認定を受けた中小漁業者のうち次のア又はイに該当するものである。
ア 漁家経営にあっては、次のいずれにも該当する者
(ア) 直近の事業年度における漁業収入が総収入の過半を占めている者
(イ) 4の(2)に規定する借入金等を有しており、かつ、経営指導による経営改善を図る上でその整理が必要と認められる者
(ウ) 累積損失を有する場合にあっては、経営指導と経営指導資金の融通により、おおむね5年以内に累積損失の解消の見込みがあると認められる者
(エ) 漁業経営再建資金の円滑な融通のためのガイドライン(平成17年4月1日付け16水漁第2708号水産庁長官通知)第2に規定する資金(以下「漁業経営再建資金」という。)を借り受けていない者
(オ) 経営指導資金について、3に規定する融資機関から、第7に規定する金利軽減協力が得られる者
イ 企業経営の場合にあっては、アの(ア)から(オ)までのいずれにも該当し、かつ、(ア)又は(イ)のいずれかの要件に該当する者
(ア) 直近3か年の事業年度の当期利益が通算して損失となっているが、当期利益に減価償却の額及び支払利息の額を加えた値が正の値となっている者
(イ) 直近の事業年度の末日において、固定資産の額から自己資本の額と固定負債の額との合計を控除して得た額を固定資産の額で除した数値が0.1以上0.5未満の者
(3) 継続支援資金
継続支援資金の貸付けを受けることができる者は、第5の1の規定により作成した経営安定改善計画について第5の2の規定により都道府県知事の認定を受けた者のうち直近年の水揚額が、通常年の水揚額(直近年を除いた過去5か年の水揚額のうち最高及び最低を除いた3か年の総和平均をいう。)に比し、おおむね2割以上減収した中小漁業者であって、第4の2に規定する認定を受け、又は都道府県知事が定める期間経営指導を受けたものである。
2 取組の認定
資源管理に参加する中小漁業者又は流通高度化の取組を実施する中小漁業者等は、取組促進資金又は継続支援資金の融通を受けようとする場合には、別記様式例第1号により申請書を提出し、当該資源管理又は流通高度化の取組が取組促進資金又は継続支援資金の対象として適当である旨の都道府県知事の認定を受けることが必要である。
(1) 都道府県知事は、1の(1)のアの(ア)から(エ)までに掲げるものにあっては法令又は要領に基づく認定を受けたものであるとき、1の(1)のアの(オ)に掲げるものにあって次のア、また、1の(1)のアの(カ)に掲げるものにあっては次のイからサの要件に適合すると認めたときは、認定を行う。ただし、資源管理の対象となる漁場の管轄が複数の都道府県に及ぶ場合は、関係都道府県知事と協議の上、認定を行う。
ア 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律施行令(平成8年政令第213号。以下「令」という。)附則第2条の規定により海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成8年法律第77号。以下「法」という。)第13条第1項又は第2項の規定が適用されない間は、法第13条第3項各号に掲げる事項を定め、かつ、法第14条第1項各号のすべてに該当していること。
イ 対象となる水産資源について、資源の状態が悪化しているもの(漁獲物が小型化しているものを含む。)若しくは悪化しつつあるもの(漁獲物が小型化しつつあるものを含む。)又は種苗の放流をしているものであること。
ウ 網目規制等の漁具・漁法の制限、禁漁期間の設定等操業時間又は期間の制約、禁漁区域の設定、体長制限等の方法により行うものであること。
エ 対象となる水産資源の生物学的特性を踏まえ、一定期間継続して行うこととし、その期間が5年を超える場合には、少なくとも5年ごとに、自主的な資源管理の効果等を考慮してその内容の見直しを行うものであること。
オ 資源管理の効果が見込まれること。
カ 資源管理の対象となる資源を利用する漁業種類の中小漁業者の相当部分が参加するものであること。
キ 資源管理協定に違反した場合の措置が含まれていること。
ク 資源管理協定に違反した場合の措置が資源管理協定に参加している中小漁業者又は管理団体に過重な負担を課すものでないこと。
ケ 管理の対象となる水産資源の管理開始1年目の漁獲量が、当該資源管理実施前の過去5年間の各年の漁獲量のうち最高と最低を除いた3年平均の漁獲量に比べ、原則として2割以上減少することが見込まれること。
コ 資源管理協定の内容が不当に差別的でないこと。
サ 資源管理協定の内容が関係法令に違反するものでないこと。
(2) 都道府県知事は、1の(1)のイの流通高度化の取組が次のいずれにも適合すると認めたときは、認定を行う。
ア 中小漁業者等における流通高度化の対象となる水産物の取扱量が、取扱開始後5年以内に当該中小漁業者等の水産物の取扱量全体のおおむね2割を超えることが見込まれるものであること。
イ 流通高度化の取組の対象、内容及び期間が次の要件に合致すること。
(ア) 水産物の安定的な流通又は需要の拡大に資するため、産地市場の水揚量及び出荷・販売先の市場における需給実績等を勘案し、出荷・販売等の計画を設定して、需給等に即した水産物の供給を継続して図るものであって、次のいずれかの要件に合致すること。
a 産地市場又は出荷・販売先における水産物の需給実態等から見て、出荷・販売等の時期・数量が、需給の調整に資するものであること
b 産地市場又は出荷・販売先における水産物の流通実態等から見て、出荷・販売先の多様化、流通経路の短縮等流通の改善に資するものであること
c 加工業者、小売店等との安定的な取引契約、業務提携契約等を締結していること
d 水産物の加工、直接販売等により、付加価値の向上又は需要の拡大に資するものであること
(イ) 流通高度化の取組の期間が5年を超える場合には、少なくとも5年ごとに、効果等を考慮してその内容の見直しを行うものであること。
a 流通高度化の取組の効果が見込まれること。
b 流通高度化の取組の内容が不当に差別的でないこと。
c 流通高度化の取組の内容が関係法令に違反するものでないこと。
(3) 都道府県知事は、(1)及び(2)の認定を行ったときは、その旨を認定を申請した者に通知する。
3 融資機関
促進支援資金の融資機関は、水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第11条第1項第3号の事業を行う漁業協同組合、同法第87条第1項第3号及び第4号の事業を併せ行う漁業協同組合連合会、農林中央金庫、銀行 並びに信用金庫である。
4 貸付対象資金
(1) 取組促進資金の貸付対象資金は、次に掲げるものである。
ア 資源管理の実施に伴い、次に掲げる理由により新たに必要となる資金
(ア) 使用する漁網の網目規制等による漁具の改良
(イ) 他の制度資金の対象とならない小漁具の購入
(ウ) 漁法の転換に伴う餌料の購入
イ 資源回復型事業計画に基づく不要漁船・漁具処理対策事業のために負担する拠出金
ウ 流通高度化の取組の実施に必要な毎年度の経営資金で、流通高度化の取組期間内に必要となる雇用労賃、小漁具購入・修理費、油代、えさ代、氷代、光熱費、船内食料費、保管経費、販売経費その他の漁業経営費用に相当するもの
エ 流通高度化の取組の実施に伴い、次に掲げる理由により新たに必要となる資金で、融資率が100分の80以内であるもの(都道府県知事が特に必要と認める場合を除く。)
(ア) 流通高度化の取組に必要な簡易施設及びその附帯施設の設置、改良及び修繕
(イ) 流通高度化の取組に必要な装置又は機器類の購入
(ウ) 流通高度化の取組に必要な開業費用・市場開拓費
(2) 経営指導資金の貸付対象資金は、原則として漁業経営に係るものであって、次に掲げる借入金等のうち、返済期限到来後未返済となっている借入金等及び当該年度に償還期限の到来する借入金等の借換えに要する資金である。
ア 漁業近代化資金、天災資金その他国又は地方公共団体が利子補給を行い又は融資する資金(漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法(昭和51年法律第43号)第8条第1項に規定する資金及び漁業経営維持安定資金の円滑な融通のためのガイドライン(平成17年4月1日付け16水漁第2708号水産庁長官通知)第2に規定する資金(以下「漁業経営維持安定資金」という。)を除く。)
イ 3に規定する融資機関からの借入金
ウ 釣払い契約等による債務で実質的に借入金とみなされるものであって非常な悪条件下にあるもの
(3) 継続支援資金の貸付対象資金は、資源管理型漁業への取組、魚価の低迷等による水揚額の減少によって必要となる経営資金である。
5 貸付有効期間
取組促進資金のうち流通高度化の取組に係る認定を受けた漁業者に対する貸付有効期間は、第5に規定する経営安定改善計画の認定を受けた日以降5年間である。
6 貸付条件
(1) 貸付限度額
ア 取組促進資金
(ア) 資源管理を実施する中小漁業者に対する4の(1)のアの資金に係る貸付金の合計額は、別表1の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる額以内の額である。
(イ) 資源回復型事業計画に基づく不要漁船・漁具処理対策事業のための拠出金を負担する中小漁業者に対する4の(1)のイの資金に係る貸付金の合計額は、別表2の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる額以内の額である。
(ウ) 流通高度化の取組を実施する中小漁業者等に対する4の(1)のウ及びエに係る貸付金(貸付期間内において貸し付ける額)の合計額は、別表3の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる額以内の額である。ただし、保管・販売に要する期間等からみて別表3の限度額を超える取組促進資金の融通が必要と見込まれる場合において、都道府県知事が当該借入額がその者の償還能力からみて適当であり、かつ、特に必要と認めたときは、別表3にかかわらず、その認めた額を取組促進資金の限度額とすることができる。
イ 経営指導資金
経営指導資金に係る貸付金の合計額は、別表4の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる額以内の額である。
ウ 継続支援資金
継続支援資金に係る貸付金の合計額は、水揚額の減少によって必要となる経営資金の額又は別表5の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる額のいずれか低い額以内の額である。
(2) 償還期限及び据置期間
ア 取組促進資金の償還期限は、7年以内(据置期間3年以内を含む。)である。ただし、需給変動の差がわずかであって流通高度化の取組の効果の発現までに長期間を要する場合その他特別の事情のある場合において、都道府県知事が特に認めたときは、10年以内(据置期間3年以内を含む。)とすることができる。
イ 経営指導資金の償還期限は、1年以内である。
ウ 継続支援資金の償還期限は、5年以内(据置期間1年以内を含む。)である。ただし、資源管理の取組開始年度に減収となった場合であって、都道府県知事が特に必要と認めたときは、6年以内(据置期間2年以内を含む。)とすることができる。
(3) 償還方法
ア 取組促進資金及び継続支援資金の償還は、原則として年2回元本均等償還である。ただし、漁業の操業の形態等に応じて、別の償還方法を定めることができる。
イ 経営指導資金の償還は、原則として期日一括償還である。ただし、漁業の操業の形態等に応じて、別の償還方法を定めることができる。
(4) 貸付利率
促進支援資金の貸付利率は、農林水産省が漁業者の経営基盤が弱体である実情や一般の金利動向を勘案して算出した数値を、見直しの都度、都道府県に対して通知するので、その具体的な水準の設定に当たって参考にされたい。
(5) 経営指導資金の継続等
ア 都道府県は、経営指導資金の貸付対象者が経営指導を受けている間は、必要と認められる範囲内で利子補給の継続を決定することができる。
イ 経営指導資金を借り受けている者に対しては、漁業経営維持安定資金及び漁業経営再建資金の新たな貸付けはできない。
第5 経営安定改善計画
1 経営安定改善計画の作成
促進支援資金の貸付けを受けようとする者(以下「借受希望者」という。)は、別記様式例第2号により漁業経営の状況、資金所要額、資金使途、収支計画、償還計画、経営改善に向けた取組事項等を内容とする計画(以下「経営安定改善計画」という。)を作成し、融資機関を経由して都道府県知事に提出し、認定を受ける必要がある。
2 都道府県知事の認定
都道府県知事は、1の規定による経営安定改善計画の提出を受けたときは、借受希望者が第4の1の(1)、(2)又は(3)に該当するものであるか否かを確認し、経営安定改善計画が次に定める基準に適合しているかどうかを審査の上、適合している場合には当該経営安定改善計画を認定する。
(1) 取組促進資金に係る経営安定改善計画にあっては、漁獲可能量協定、漁獲努力量協定、資源管理協定、水産物の需給動向等からみて適正であり、借受希望者がこれを達成する見込みが確実であること。
(2) 経営指導資金に係る経営改善計画にあっては、経営指導に沿って経営改善を図ることをその内容とするものであって、借受希望者がこれを達成する見込みが確実であること。
(3) 継続支援資金に係る経営安定改善計画にあっては、コストの低減や収益の向上を図ることをその内容とするものであって、借受希望者が漁業経営の改善に積極的に取り組む意思と能力を有していると判断するに足りる内容であり、かつ、これを達成する見込みが確実であること。
(4) 借受希望者が、経営安定改善計画を達成するためには、促進支援資金の貸付けを受けることが必要であると認められること。
(5) 促進支援資金の償還が確実に行われると見込まれること。
3 都道府県知事は、経営安定改善計画の認定を行ったときは、融資機関及び借受希望者にその旨を通知する。
4 経営安定改善計画の変更の認定
(1) 1により認定を受けた経営安定改善計画が変更された場合は、別記様式例第3号によりその理由と内容を記載した書面(以下「経営安定改善計画変更申請書」という。)を作成し、融資機関を経由して都道府県知事に提出し、認定を受ける必要がある。
(2) 経営安定改善計画の変更の認定については、1から3の規定に準じて行うものとする。この場合において、次に定める基準に適合している場合でなければ、都道府県知事は、変更後の経営安定改善計画の認定をしない。
ア 変更の事由が経営安定改善計画策定後に生じたものであること。
イ 促進支援資金の償還が確実に行われると見込まれること。
5 経営安定改善計画の認定の取消し
(1) 都道府県知事は、次に定める基準に該当する場合には、経営安定改善計画(変更後の経営安定改善計画を含む。)の認定の取消しを行うものとする。
ア 当該借受者が、認定した経営安定改善計画の達成のための努力を行っていないと認められること。
イ 経営安定改善計画策定後における借受者の経営状況の悪化等から見て、当該経営安定改善計画の達成が困難と認められること。
(2) 都道府県知事は、経営安定改善計画(変更後の経営安定改善計画を含む。)の認定の取消しを行った場合には、直ちに利子補給を打ち切る。
第6 利子補給率
1 促進支援資金を貸し付けた融資機関に対して行う利子補給の率は、金融市場における金利動向に応じて想定される融資機関の漁業向け一般貸出金利(以下「基準金利」という。)と第4の6の(4)の規定に基づき設定された貸付利率との差(以下「利子補給率」という。)である。ただし、経営指導資金においては、利子補給率から第7の金利軽減協力の利率を差し引いた値である。
2 基準金利は、漁業協同組合等融資機関が促進支援資金を円滑に調達し得るよう、漁業協同組合等融資機関の調達コストや一般の金利動向を勘案して設定する必要がある。
3 融資機関に対する利子補給率については、促進支援資金が漁業者に円滑に融通されるよう、4により国が連絡する基準金利を参考として適正な水準を設定する必要がある。
4 基準金利については、農林水産省が第4のの6の(4)の貸付利率の見直しに合わせて見直し、都道府県に対して通知するので、その具体的な水準の設定に当たって参考にされたい。
第7 金利軽減協力
経営指導資金を貸し付けた融資機関は、当該資金の借受者に対し、利子補給率から1パーセントを減じた利率が1パーセントを上回った場合にあっては1パーセント、1パーセントを下回った場合にあっては利子補給率の1/2に相当する利率による金利軽減協力を行う。
第8 借入手続
1 借入希望者は、別記様式例第4号により借入申込書を作成して、融資機関に提出する。
ただし、経営安定改善計画の認定を受けた中小漁業者等で当該認定年度の翌年度以降において貸付けを受けようとするものは、当該貸付けを受けようとする年度の借入申込書に第9の3に規定する当該年度の前年度の経営安定改善計画達成状況報告書(以下「達成状況報告書」という。)の写しを添付し、融資機関に提出するものとする。
2 融資機関は、借入申込書の内容を審査の上、利子補給承認申請書を作成し、これに借入申込書の写し(経営安定改善計画の認定を受けた中小漁業者等で当該認定年度の翌年度以降において貸付けを受けようとする場合にあっては、経営安定改善計画達成状況報告書の写しを含む。)を添付して、都道府県に提出する。
3 都道府県は、2の書類の内容を審査の上、利子補給の承認の諾否の決定を行い、融資機関にその旨を通知する。
4 融資機関は、3の決定に基づき貸付決定を行い、かつ、これを実施したときは、都道府県にその旨を報告する。
第9 届出等
1 経営安定改善計画の認定を受けた中小漁業者等は、資源管理を実施しなくなった場合、資源管理に参加している団体の直接若しくは間接の構成員でなくなった場合、流通高度化の取組を実施しなくなった場合又は経営指導を受けることを取り止めた場合には、遅滞なく、その旨を事業主体に届け出、事業主体は、その旨を融資機関に通知する。
2 事業主体は、1の届出が行われたときは、その者に係る利子補給承認を取り消し、その旨を融資機関に通知する。
3 経営安定改善計画の認定を受けた中小漁業者等は、経営安定改善計画の期間中、毎年、達成状況報告書(別記様式例第5号)を作成し、都道府県知事に提出する。
第10 指導等
1 都道府県知事は、促進支援資金の対象として認定した取組の実効性を確保するために、適宜実行状況を把握し、中小漁業者等に対し、その取組の確実な実行を指導する。
2 都道府県知事は、第9の3の規定により達成状況報告書の提出を受けたときは、その内容を検討し、経営安定改善計画の達成上必要があると認めたときは、申請者に対して改善措置を勧告し、経営安定改善計画の達成ができないと認めたときは、経営安定改善計画の認定を取り消す。
3 都道府県知事は、経営安定改善計画の認定の取消しを行ったときは、その旨を申請者に対して通知するとともに、その結果を融資機関に通知する。
第11 利子補給金
1 財団法人農林水産長期金融協会は、予算の範囲内において都道府県に対し、都道府県が促進支援資金を貸し付けた融資機関に対して行う利子補給事業の実施に必要な経費について、農山漁村振興緊急対策利子助成金等交付事業実施要綱(平成2年3月29日付け2農経A第321号農林水産事務次官依命通知)に定めるところにより補助するものとする。
2 都道府県は、本ガイドラインに即した利子補給事業を実施する場合は、その実施要領を定め、これに基づいて事業を実施することとされたい。また、利子補給を行う場合は、あらかじめ別紙1を参照の上、利子補給規程を定め、この規程に基づき融資機関と利子補給契約を締結されたい。この場合、別紙2を参照の上、相互の立場を尊重し、かつ、それぞれの実情に応じた内容の契約を締結されたい。
第12 モニタリング等の実施について
農林水産大臣は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項及び第245条の5第1項の規定に基づき、モニタリング及びこれに関する措置を実施する。
1 水産庁は、税源移譲後における都道府県の促進支援資金に係る利子補給事業の実施状況、予算措置状況及び貸付実績等を把握するため、都道府県に対して定期的に報告を求めるものとする。
2 水産庁は、促進支援資金を貸し付ける融資機関に対し、都道府県の利子補給の実施状況に関する意見等を求めるものとする。
3 水産庁は、1及び2により求めた資料を元に、都道府県及び融資機関との促進支援資金制度の運営についての意見交換及び必要に応じ都道府県に対して中小漁業者の資金需要に的確に応じた事業の実施のための要請を行うものとする。
4 モニタリングの具体的な実施方法については、別途定めて通知するものとする。

別表1(第5の6の(1)のアの(ア)関係)
  (単位:百万円)
区分 限度額
使用する漁船の合計総トン数が20トン未満のもの及び小型定置網漁業 3
使用する漁船の合計総トン数が20トン以上50トン未満のもの 5
使用する漁船の合計総トン数が50トン以上100トン未満のもの及び大型定置網漁業 10
使用する漁船の合計総トン数が100トン以上200トン未満のもの 15
使用する漁船の合計総トン数が200トン以上500トン未満のもの 40
使用する漁船の合計総トン数が500トン以上のもの 90



別表2(第5の6の(1)のアの(イ)関係)
  (単位:百万円)
区分 限度額
使用する漁船の合計総トン数が20トン未満のもの 15
使用する漁船の合計総トン数が20トン以上50トン未満のもの 50
使用する漁船の合計総トン数が50トン以上100トン未満のもの 60
使用する漁船の合計総トン数が100トン以上200トン未満のもの 110
使用する漁船の合計総トン数が200トン以上500トン未満のもの 260
使用する漁船の合計総トン数が500トン以上のもの 320



別表3(第5の6の(1)のアの(ウ)関係)
  (単位:百万円)
区分 限度額
使用する漁船の合計総トン数が20トン未満のもの及び小型定置網漁業 15
使用する漁船の合計総トン数が20トン以上50トン未満のもの及び養殖業 25
使用する漁船の合計総トン数が50トン以上100トン未満のもの及び大型定置網漁業 45
使用する漁船の合計総トン数が100トン以上200トン未満のもの 75
使用する漁船の合計総トン数が200トン以上500トン未満のもの 140
使用する漁船の合計総トン数が500トン以上のもの 400
漁業者団体 400



別表4(第5の6の(1)のイ関係)
  (単位:百万円)
区分 限度額
使用する漁船の合計総トン数が20トン未満のもの 2
使用する漁船の合計総トン数が20トン以上50トン未満のもの 5
使用する漁船の合計総トン数が50トン以上100トン未満のもの 10
使用する漁船の合計総トン数が100トン以上200トン未満のもの 15
使用する漁船の合計総トン数が200トン以上500トン未満のもの 40
使用する漁船の合計総トン数が500トン以上のもの 130
小型定置網漁業及び大型定置網漁業 15
養殖業 15



別表5(第5の6の(1)のウ関係)
  (単位:百万円)
区分 限度額
使用する漁船の合計総トン数が20トン未満のもの及び小型定置網漁業 10
使用する漁船の合計総トン数が20トン以上50トン未満のもの及び養殖業 15
使用する漁船の合計総トン数が50トン以上100トン未満のもの及び大型定置網漁業 25
使用する漁船の合計総トン数が100トン以上200トン未満のもの 45
使用する漁船の合計総トン数が200トン以上500トン未満のもの 85
使用する漁船の合計総トン数が500トン以上のもの 210


別紙1
漁業経営高度化促進支援資金利子補給規程(例)
(利子補給)
第1条 県(都道府)は、○○県(都道府)漁業経営高度化促進支援資金融通助成事業実施要領。以下「実施要領」という。)第○条に規定する資金(以下「促進支援資金」という。)を貸し付ける実施要領第○条に規定する融資機関(以下「融資機関」という。)に対し、この規程に定めるところにより、当該促進支援資金に係る利子補給金を交付する。
(利子補給の対象となる促進支援資金の利子補給率)
第2条 前条の利子補給の対象となる促進支援資金の利子補給率は年 パーセントとする。
(利子補給契約書)
第3条 第1条の規定による利子補給についての契約は、知事が当該融資機関との間に締結する利子補給契約書により行うものとする。
(利子補給金の額)
第4条 第1条の規定により交付する利子補給金の額は、毎年1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までの各期間における促進支援資金につき、第2条に規定する利子補給率ごとに算出した融資平均残高(計算期間中の毎日の最高残高(延滞額を除く。)の総和をその期間中の日数で除して得た額とする。)に当該利子補給率を乗じて得た金額とする。
(利子補給金の支払)
第5条 県(都道府)は、融資機関から利子補給の請求があった場合において、知事が適当であると認めたときは、当該請求書の提出をを受けた日から30日以内にこれを支払うものとする。
(利子補給の打切り等)
第6条 県(都道府)は、促進支援資金を借り受けた者がその借入金をその目的以外の目的に使用したとき又は実施要領第○条の規定に基づく経営安定改善計画の認定の取消しを受けたときは、融資機関に対する利子補給を打ち切ることができるものとする。
2 県(都道府)は、融資機関がこの規程又はこの規程に基づく契約の条項に違反したときは、融資機関に対する利子補給金の全部又は一部の返還を命ずることができるものとする。
(報告の徴収等)
第7条 融資機関は、知事が当該融資機関の行った第1条の利子補給に係る促進支援資金の融資に関し報告を求めた場合又はその職員をして当該融資に関する帳簿、書類等を調査させることを必要とした場合、これに協力しなければならない。
附則
この規程は、 年月日から施行する。
別紙2
漁業経営高度化促進支援資金融通助成事業利子補給契約書(例)
○○県(都道府)(以下「甲」という。)と融資機関(以下「乙」という。)とは、○○県(都道府)漁業経営高度化促進支援資金融通助成事業実施要領。以下「実施要領」という。)に基づき、甲が乙に対し利子補給金を交付することについて、次の条項を契約する。
第1条 乙は、実施要領第○条の漁業経営高度化促進支援資金の貸付けを受けることができる者に対し、実施要領第○条の漁業経営高度化促進支援資金(以下「促進支援資金」という。)を融資する。
2 甲は、前項の融資について○○県(都道府)漁業経営高度化促進支援資金利子補給規程(以下「利子補給規程」という。)の定めるところにより乙に対し利子補給を行う。
第2条 乙は、前条第2項の規定により甲が乙に対して行う利子補給について、毎年1月1日から6月30日までの期間及び7月1日から12月31日までの期間ごとにその期間内における融資平均残高(延滞額を除く。)に対し、年率 パーセントで計算した金額を甲に請求するものとする。
第3条 甲は、乙から前条の規定により利子補給の請求があった場合は、その日から30日以内にこれを支払うものとする。
第4条 乙は、その行った融資について経理を明らかにするものとする。
第5条 乙は、常に甲の利子補給に係る貸付債権の保全に必要な注意を払わなければならないものとする。
第6条 甲は、乙の利子補給に係る資金を借り受けた者がその借入金をその目的以外の目的に使用したとき又は実施要領第○条に規定する経営安定改善計画の認定の取消しを受けたときは、乙に対する利子補給の全部又は一部を打ち切ることができる。
2 甲は、乙が利子補給規定はこの契約の条項に違反したときは、乙に対する利子補給の全部若しくは一部について打ち切り、又は既に交付した利子補給金の全部若しくは一部の返還を請求することができる。
第7条 実施要領又はこれに基づく諸手続が改正され又は廃止されたとき等により、この契約の内容に変更を加えようとするときは、その都度甲乙両者で協議するものとする。
第8条 この契約に疑義を生じたとき、又はこの契約に定めのない事項については、甲乙両者の協議により定めるものとする。
第9条 この契約書は、2通を作成し、甲及び乙において各1通を保有するものとする。
○年○月○日
甲 ○○県(都道府)知事 印
乙 融資機関の長 印

別記様式例第1号の1(PDF:79KB)

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