このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

水産業改良普及事業推進要綱等の制定について

  • 印刷

16水推第1023号
平成17年3月16日

都道府県知事あて

農林水産事務次官


水産業改良普及事業は、昭和28年以来実施してきたが、その後における本事業の実績、水産業の情勢の変化等により、水産業改良普及事業の推進体制を改め、一層効率的に推進することが必要となった。また、水産基本法の制定及び水産基本計画の策定等を踏まえた事業の推進も求められている。これらを受けて新たに技術的助言として「水産業改良普及事業推進要綱」(別紙1)及び「水産業普及指導員資格試験実施要領」(別紙2)が定められ、これらに基づき水産業改良普及事業を実施することとされたので、御了知ありたい。
また、この要綱等は平成17年4月1日から適用するものとし、これに伴い従前の水産業改良普及事業推進要綱等の制定について(昭和40年4月21日付け40水調第181号農林事務次官依命通知)及び水産業改良普及事業実施要領(昭和58年10月26日付け58水研第1151号農林水産事務次官依命通知)は廃止することとされたので、併せて御了知ありたい。
以上、命により通知する。

別紙1
水産業改良普及事業推進要綱
第1 目的
水産業改良普及事業(以下「普及事業」という。)は、沿岸漁業等の生産性の向上、経営の近代化及び沿岸漁業等の技術の改良を図るため、沿岸漁業等の従事者に沿岸漁業等に関する技術及び知識の普及教育を行い、その自主的活動を促進し、もって沿岸漁業等の合理的発展を期することを目的とする。
第2 方針
普及事業の推進に当たっては、水産業をとりまく新しい情勢の変化に即応した水産行政の方向に沿って沿岸漁業等の経営の近代化を促進することに重点を置き、沿岸漁業等の従事者が科学的知識及び技術に基づいて地域の特性に適応した合理的な漁業経営を行うように、その自主的な努力の助長を図るものとする。
また、その実施に当たっては、水産行政に即応した全国的に統一ある普及活動の展開に努めつつ、地域の特性と都道府県の自主性に基づく弾力的な事業運営を前提として普及事業を展開するものとする。
このため、国は、都道府県に対して、水産業普及指導員(以下「普及指導員」という。)の設置、水産業普及指導員室(以下「普及指導員室」という。)の運営等普及事業の実施に要する基礎的な経費について水産業改良普及事業交付金(以下「交付金」という。)を交付するとともに、運営指針を示して普及事業の内容の明確化と基本的な方向付けを行い、もって都道府県の自主性の発揮の促進と普及事業の円滑かつ効率的な運営を図るものとする。
第3 普及事業の内容及び実施
1 交付金の交付
国は、都道府県に対して、予算の範囲内において、普及指導員の設置、普及指導員室の運営等普及事業を実施するために必要な基礎的な経費について、別に定めるところにより交付金を交付するものとする。
2 事業実施主体
普及事業の実施主体は、都道府県とする。
3 普及事業の内容
交付金の交付の対象となる普及事業の内容は、次のとおりとする。
(1) 普及指導員の設置
第9の任用資格を有する者を普及指導員として設置すること。
(2) 普及指導員の活動
普及指導員は、計画的に担当する区域を巡回し、適切かつ効果的な普及活動を行うこと。
(3) 普及指導員室の運営
普及活動の円滑化を図るため、普及指導員室に巡回指導用の施設、普及指導員の活動に必要な機械、機材等を整備すること。
(4) 普及指導員の研修
漁業の動向及び漁業技術の進歩に対応し、的確な普及活動を推進するため、計画的な研修を実施し、普及指導員の資質の向上を図るとともに、国が実施する研修に普及指導員を派遣すること。
4 普及事業の実施
都道府県知事は、普及事業を実施するに当たっては、3の(1)から(4)までの事業が相互に有機的な関連を持って効率的に行われるよう努めるものとする。
第4 普及事業の運営指針及び実施方針
1 運営指針の策定
水産庁長官は、普及事業の効率的な運営を図るため、都道府県の意見を聴いて、次に掲げる事項を内容とする普及事業の運営に関する指針(以下「運営指針」という。)を定めるものとする。
(1) 普及指導体制の整備に関する基本的事項
(2) 普及活動の効率化に関する基本的事項
(3) 普及指導員の資質の向上に関する基本的事項
(4) その他普及事業の運営に関する基本的事項
2 実施方針の策定
普及事業を実施する都道府県知事は、運営指針を基本として、次に掲げる事項を内容とする普及事業の実施に関する方針(以下「実施方針」という。)を定めるものとする。
(1) 普及指導体制の整備に関する基本的事項
(2) 普及活動の効率化に関する基本的事項
(3) 普及指導員の資質の向上に関する基本的事項
(4) その他普及事業の運営に関する基本的事項
3 実施方針の報告
都道府県知事は、実施方針を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、水産庁長官に報告するものとする。
第5 事業実施計画書の提出
普及事業を実施する都道府県知事は、水産庁長官が別に定めるところにより、毎年度水産業改良普及事業実施計画書を作成し、水産庁長官に提出するものとする。これを変更したときも、同様とする。
第6 普及組織の整備
1 水産業普及指導員の設置
都道府県は、普及事業を行うため、普及指導員を置くことができる。
普及指導員は、行政職の職員をもって充てる。
2 普及指導員の配置
(1) 普及指導員は、普及指導員室に配置するものとする。
(2) 配置規程等
普及指導員の配置、駐在及び服務等に関して都道府県知事は、別に規程、要領等を定めるものとする。
第7 普及指導員の職務
普及指導員は、次に掲げる業務を行う。
(1) 試験研究機関と密接な連絡を保ち専門技術等に関する事項について調査を行うこと。
(2) 漁民に接触して技術及び知識の普及指導に当たること。
第8 普及指導員の活動の円滑化
(1) 都道府県は、普及指導員の行う調査及び普及活動と試験研究機関の行う普及事業に必要な新技術等の試験研究とが密接な連絡を保ちながら行われるよう必要な措置を講ずるものとする。
(2) 都道府県は、普及指導員の任務の遂行について、他の区域の普及指導員又は自己の区域の水産分野での男女共同参画及び漁村生活等の指導を行う職員(以下「男女共同参画等を担当する職員」という。)との連けいを保ちつつ普及活動が円滑かつ効果的に遂行できるよう留意するものとする。
第9 普及指導員の任用資格
次の資格のいずれかに該当する者でなければ、普及指導員に任用されることはできない。
(1) 農林水産大臣が実施する水産業普及指導員資格試験に合格した者
(2) 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)、独立行政法人水産大学校法(平成11年法律第191号)による独立行政法人水産大学校、独立行政法人国立公文書館等の設立に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成12年政令第333号)による改正前の農林水産省組織令(平成12年政令第253号)による水産大学校又は旧農林水産省組織令(昭和27年政令第389号)による水産大学校(以下「水産大学校」と総称する。)において水産業、生物、化学、食品製造、機械、電気、機関、電気通信、経済又は経営に関する正規の課程を修めて卒業した者で、国若しくは地方公共団体の試験研究機関、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)による試験研究機関若しくは学校教育法による大学、水産大学校若しくは財団法人漁村教育会全国漁業協同組合学校において、水産業に関する試験研究若しくは教育に従事した期間若しくは普及指導員として水産業に関する技術についての普及指導に従事した期間又はこれらの期間を通算した期間が最近15年のうち12年以上に達するもの
(3) 外国において、(2)に規定する者に相当する学歴又は職歴を取得したと認められる者
第10 普及指導員等に関する経過措置
1 この要綱による廃止前の水産業改良普及事業推進要綱(以下「旧要綱」という。)第6の(1)のアの水産業専門技術員資格試験に合格した者は、第9の(1)の水産業普及指導員資格試験に合格した者(2において「合格者」という。)とみなす。
2 旧要綱第6(2)アの水産業改良普及員資格試験に合格した者は、この要綱の施行後3年間は、合格者とみなす。
3 旧要綱別記2の(2)の北海道漁業協同組合学校については、平成21年度までは、第9の(2)に掲げる教育機関に含むものとする。
4 旧要綱第3の1に規定する専門技術員及び旧要綱第3の2の(2)に規定する改良普及員であった者についての第9の(2)の規定の適用については、同号中「普及指導員」とあるのは、「普及指導員又は水産業改良普及事業推進要綱等の制定について(平成17年3月16日付け16水推第1023号農林水産事務次官依命通知)による廃止前の水産業改良普及事業推進要綱(この号において「旧要綱」という。)第3の1に規定する専門技術員若しくは旧要綱第3の2の改良普及員」とする。
第11 普及指導員の資質の向上
普及事業の主体は、普及指導員の教育的活動であり、普及指導員の能力が本事業の成否を左右するものであるから、これら職員の普及指導能力の向上を図ることが重要である。特に、最近における漁業技術の高度化、経営の近代化、漁業従事者の資質の向上等に対応できるよう普及指導能力を高めるため、国及び都道府県は、普及指導員の研修実施等により、その資質の向上に努めるものとする。
第12 関連施策との連けい
(1) 漁村生活に関する普及指導における男女共同参画等を担当する職員との連けい
普及事業の目的を達成するためには、生活技術の向上と経営の近代化を促進するとともに、併せて漁村生活の合理的改善の普及指導が推進される必要がある。この重要な側面である漁村生活に関する普及指導については、普及指導員は常に男女共同参画等を担当する職員との連けいを密にして本事業の総合的な効果が発揮されるよう努めるものとする。
(2) 水産業に係る共同利用施設整備等との連けい
水産業に係る共同利用施設整備等の推進に当たり、普及指導員は、その方針の樹立に参画し、必要な資料を提供し、特に実施過程においては技術的経営的立場からの指導又は助言をする等、共同利用施設担当職員等と緊密な連けいを図って相互に援助協力を行うものとする。
第13 漁業の担い手の育成確保
都道府県は、沿岸漁業等振興諸事業の推進と相まって、漁村における漁業の担い手を対象にそのグループ等の組織化を図るとともに、当該グループの組織的な学習及び交流活動等により漁業の担い手の育成確保に努めるものとする。
第14 普及協力体制の育成
国及び都道府県は、各種の漁村の研究グループ及び水産業改良普及協力団体等を育成強化するとともに、市町村、教育機関、漁業協同組合及び漁業士(水産庁長官が別に定める漁業士をいう。)等との連けい協力を保って、普及事業の円滑な推進と、その効果の波及促進を図るものとする。
別紙2
水産業普及指導員資格試験実施要領
水産業改良普及事業推進要綱(平成17年3月16日付け16水推第1023号)第9に定める水産業普及指導員資格試験の実施要領を次のように定める。
(試験の回数)
第1 水産業普及指導員資格試験(以下「試験」という。)は、毎年1回行う。ただし、特に必要があるときは、臨時に行うことがある。
(試験方法)
第2 試験は、書類審査、筆記試験及び口述試験とする。
2 書類審査は、第5第1項第2号に掲げる書類について行う。
3 筆記試験及び口述試験は、専門知識、常識その他水産業普及指導員として必要な能力について行う。
(受験資格)
第3 試験は、次の各号のいずれかに該当しなければ受けることができない。
(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)、独立行政法人水産大学校法(平成11年法律第191号)による独立行政法人水産大学校、独立行政法人国立公文書館等の設立に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成12年政令第333号)による改正前の農林水産省組織令(平成12年政令第253号)による水産大学校又は旧農林水産省組織令(昭和27年政令第389号)による水産大学校において水産業、生物、化学、食品製造、機械、電気、機関、電気通信、経済又は経営に関する正規の課程を修めて卒業した者で、卒業後当該試験の実施期日までに、次のイ若しくはロの職務に従事した期間又はこれらの期間を通算した期間が2年以上に達するもの
イ 国、地方公共団体その他法人格を有する団体の水産業に関する試験研究又は学校教育法による高等学校その他これらと同等以上の教育機関における水産業に関する試験研究又は教育
ロ 国、地方公共団体その他法人格を有する団体における水産業に関する普及又は指導
(2) 学校教育法による短期大学、同法による高等専門学校において前号に規定する正規の課程を修めて卒業した者で、卒業後当該試験の実施期日までに、前号イ若しくはロの職務に従事した期間又はこれらの期間を通算した期間が4年以上に達するもの
(3) 学校教育法による高等学校を卒業した者で、卒業後当該試験の実施期日までに第1号イ若しくはロの職務に従事した期間又はこれらの期間を通算した期間が6年以上に達するもの
2 外国における学校(前項の学校を除く。)を卒業した者は、当該学校の修業年限及び課程に応じて農林水産大臣がこれに相当すると認定した日本国の学校を卒業した者とみなす。
3 外国の行政機関、教育機関又は団体において、水産業に関する技術についての試験研究教育又は普及若しくは指導に従事した者は、農林水産大臣がこれに相当すると認定した日本国の行政機関又は法人格を有する団体において当該在職期間と同一期間試験研究、教育又は普及若しくは指導に従事したものとみなす。
4 前2項の農林水産大臣の認定を受けようとする者は、認定申請書(別記様式第1号)に、第2項に規定する者にあっては当該外国の教育機関を卒業し、又は終了したことを証する書類、前項に規定する者にあっては当該外国の行政機関、教育機関又は団体において水産業に関する技術についての試験研究教育又は普及若しくは指導に従事した期間についての当該外国の行政機関、教育機関の発行する証明書を添え、これを農林水産大臣に提出しなければならない。
5 農林水産大臣は、前項の書類を審査し、相当と認めるときは、認定書を交付し、不相当と認めるときは、その旨を通知する。
(試験実施の公示)
第4 農林水産大臣は、試験を行おうとするときは、試験の実施期日、場所、受験願書の受付期間、その他試験実施上必要な事項を試験期日の60日前までに公告するものとする。
(受験願書等)
第5 試験を受けようとする者は、受験願書(別記様式第2号)に次に掲げる書類を添え、これを農林水産大臣に提出しなければならない。
(1) 第3第1項第1号から第3号に規定する学歴又は資格を有することを証する書類
(2) 第3第1項第1号イ又はロの職務に従事した期間についての業務の報告書(別記様式第3号)
(3) 第3第2項又は第3項の認定を受けた者であるときは、同第5項に規定する認定書
2 農林水産大臣は、受験願書を受理したときは、受験票を交付する。
(合格の公表及び合格証書)
第6 農林水産大臣は、試験施行後1箇月以内に試験合格者の氏名を公表するとともに、合格者に合格証書(別記様式第4号)を交付する。
2 合格証書を失い、又はき損した者は、再交付申請書(別記様式第5号)を提出して、その再交付を申請することができる。
(不正行為に対する処分)
第7 試験に関し不正行為があった場合は、当該不正行為に関係のある者について、その試験を停止し、又はその合格を無効とする。
(受験手数料)
第8 受験手数料は、徴収しない。
(試験審査委員)
第9 農林水産大臣は、関係行政庁の職員又は学識経験がある者のうちから試験審査委員を委嘱する。
2 試験審査委員は、試験問題の作成及び採点を行い、その結果を農林水産大臣に答申する。
(経過措置)
第10 この通知による廃止前の水産業改良普及事業推進要綱(昭和40年4月21日付け40水調第181号農林事務次官依命通知。以下「旧要綱」という。)第6(2)アの水産業改良普及員資格試験に合格した者(6において「普及員資格試験合格者」という。)は、第3第1項の規定にかかわらず、当該試験の実施日までに、第3第1項第1号イ又はロのいずれかに掲げる職務に従事した期間を通算した期間が2年以上に達するときは、試験を受けることができる。
2 この通知の施行日前にこの通知による廃止前の水産業専門技術員資格試験実施要領第6第1項の規定に基づき交付された合格証書を滅失し、又はき損した者に係る合格証書の再交付については、なお従前の例による。
3 この通知の施行日前に行われた旧要綱第6の(1)のアの専門技術員資格試験に関して不正行為があった場合の当該不正行為に対する処分については、なお従前の例による。
4 旧要綱第6の(2)のアの水産業改良普及員資格試験に合格した者は、第2第1項の試験のうち、筆記試験を免除する。

別記様式第1号(第3関係)(PDF:17KB)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader