漁村再生交付金実施要領の運用等の制定について
16水港第3061号
平成17年3月25日
都道府県知事あて
水産庁長官
平成17年度予算が平成17年3月23日に成立したことに伴い、漁村再生交付金実施要領の運用(平成17年3月25日付け16水港第3061号水産庁長官通知)及び循環型社会に対応した漁村づくり事業実施要領の運用(平成17年3月25日付け16水港第3061号水産庁長官通知)を別紙のとおり制定し、平成17年度予算から適用することとしたので、御了知の上、本事業の円滑かつ適切な実施に御配慮願いたい。
また、貴管下関係市町村長への通知については、貴職からお願いする。
漁村再生交付金実施要領の運用について
第1 漁村再生計画
1 実施要領第4の1に定める「漁村再生計画」は、事業主体が地域の特性と自らの創造力を活かし、地域が主体となった個性ある漁村の再生を実現するために、本事業を活用して達成すべき目標とその達成状況を客観的に評価できる指標とそれを実現するために必要となる内容をとりまとめた事業計画とする。
2 漁村再生計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 漁村再生の目標・指標
(2) 事業の目的
(3) 事業計画区域の範囲
(4) 既存ストックの有効活用の考え方
(5) 費用の総額及びその内容
(6) 事業計画概要
(7) 工事の着手及び完了予定時期
(8) 事業主体
(9) 施設の予定管理者及び予定管理方法
(10)効用
3 目標及び指標については、以下の観点を考慮して、適切に設定するものとする。
(1) 目標:
ア 地域が抱える課題等に対して、本事業の活用によって、目指すべき将来像が明確かつ具体的であること。
イ 目標の実現と事業計画の内容が合致していること。
(2) 指標:
ア 目標の達成状況を適切に反映できること。
イ 指標の設定と事業計画の内容が合致していること。
ウ 客観的なデータ等に基づき測定可能であること。
エ アウトカム指標であること。
オ 事業実施前と事業完了後の時点の比較が可能であること。
第2 事業の内容等
1 実施要領の別表1に掲げる工種のうち、留意すべき工種の細目等は次のとおりとする。
(1) 外郭施設整備
外郭施設には、当該施設の機能上、利用上又は管理上必要と認められる場合に限り、附属施設として係船柱、係船環、防衝設備、階段、はしご、防護柵、車止め、照明設備、灯標又は防風設備等を設置することができるものとする。
(2) 水域施設整備
水域施設には、当該施設の機能上、利用上又は管理上必要と認められる場合に限り、附属施設として床止め、潜堤、サンドポケット又は浮標灯等を設置することができる。
(3) 係留施設整備
ア 岸壁、物揚場、桟橋及び浮桟橋には、当該施設の機能上又は管理上必要と認められる場合に限り、防舷材、係船柱、係船環、車止め、照明設備、灯標又は防風設備、防雪設備、防暑設備、階段、はしご、防護柵又は排水溝に附属する沈砂池、スクリーン等を設置することができる。
イ 船揚場には、当該施設の機能上又は管理上必要と認められる場合に限り、係船環、照明設備、車止め、防護柵、防風設備、防雪設備、防暑設備、滑り材又はレール等を設置することができる。
(4) 輸送施設整備
ア 道路及び橋は、車道、歩道、中央帯、路肩、停車帯等により構成されるものとする。
イ 道路には安全かつ円滑な交通を確保するため道路の付帯施設として自動車駐車場を設置することができる。
ウ 道路、駐車場及び橋には、当該施設の機能上、安全上又は管理上必要と認められる場合に限り、防護柵、車止め、照明設備、街路樹又は植栽、道路標識、橋梁桁下の標識、防雪設備又は除雪、融雪設備等を設置することができる。
(5) 漁港施設用地整備
ア 漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第3条第2号ヘに掲げる「水産種苗生産施設」及び同号トに掲げる「蓄養施設」を漁港施設用地に代えて水面に設置する必要がある場合には、水面を確保するための設備を設置することができる。
イ 漁港施設用地(前号の水面を含む。以下本項において同じ。)の補助の範囲は、漁港施設用地等利用計画の策定について(平成2年3月15日付け2水港第40号水産庁長官通知)第3の規定により協議の整った漁港施設用地等利用計画に基づく公共施設用地とする。
ウ 漁港施設用地の附属設備は排水設備、境界標識及び法面保護のための設備等とし、用地の保全上又は管理上必要な設備を設置することができる。また、利用上必要と認められる場合に限り、防風設備を設置することができる。
エ 漁港漁場整備法第3条第2号のニに掲げる「漁船漁具保全施設」及び同号ヘに掲げる「増殖及び養殖用施設」の漁港施設用地については、漁具並びに増殖及び養殖用資材の運搬のための昇降用斜路及びこれに附属する設備を設置することができる。
オ 漁港施設用地について、砂塵による隣接地区への悪影響等特別の事由がある場合においては、覆土、砕石敷設、植栽、乳剤散布又は簡易舗装により用地の表面処理を行うことができる。
カ 用地の地盤改良については、原則として補助対象外とする。
(6) 増殖場整備
中間育成施設については、資源管理推進増養殖場整備事業等実施要領(平成13年3月30日付け12水港第4764号水産庁長官通知)に基づく資源回復支援基盤整備事業で以下の要件を満たした場合に限り、防風・防雪等のための施設を補助対象とすることができる。
a 資源回復計画の対象魚種等を中間育成すること。
b 防風・防雪等施設が無い場合、対象生物の適正な育成環境が確保されないことが明らかであること。
(7) 漁場公害防止対策
事業対象地区は、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和46年法律第70号)第3条第3項の規定に基づいて実施する地区とする。
(8) 環境保全創造
放置座礁船の処理を行うにあたっては、船舶所有者等に代わり、市町村がやむを得ず放置座礁船を処理する場合に必要な経費とする。なお、市町村は、船舶所有者等より、当該処理に要した費用の全部又は一部の納付を受けた場合には、その費用の納付の内容に関する証拠書類を添えて速やかに水産庁長官に報告するとともに、船舶所有者等から納付を受けた額に補助率を乗じて得た額を国に納付しなければならない。
(9) 水域環境保全
ア 水質底質改善施設整備
(ア) 汚泥等による水質汚濁や悪臭が漁業活動上悪影響をもたらしている漁港の漁港区域内水域における汚泥、ヘドロの浚渫、運搬及び処理
(イ) 水質及び底質の改善を図る必要が認められる漁港において、覆砂及び藻場、干潟等の整備を行うために必要な土砂等の運搬及び整地等並びに突堤、離岸堤等の設置
(ウ) 水質及び底質の改善を図る必要が認められる漁港において、自然の浄化能力を活用して水域環境を改善するために必要な循環ポンプ、空気式揚水装置、清浄海水導入装置、ろ過・排水装置等の水質浄化施設並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものの設置。なお、風力、太陽光等の自然エネルギーを活用した発電設備を一体的に整備することができる。
イ 漁港浄化施設整備
(ア) 当該施設を構成するのに必要なもののうち門、柵及び塀は補助対象としない。
(イ) 導水施設は、漁港の泊地内における汚濁水を排除するために必要な揚水設備、送水設備及び建物とし、当該施設の機能上又は管理上必要と認められる場合に限り、照明設備、又は職員詰所等を設置することができる。
(ウ) その他の漁港浄化施設は、排水管路及び汚水処理設備並びにこれらに附属する設備当該施設を構成するのに必要なものとする。
(エ) 汚泥その他公害の原因となる物質がたい積し又は水質が汚濁している漁港の水域における汚泥浚渫事業とする。
ウ 廃油処理施設整備
漁港漁場整備法第3条第2号のヲに掲げる廃油処理施設であって「廃油処理施設整備事業実施要領」(昭和52年6月20日付け52水港第612号農林事務次官依命通知)第2に掲げる集油設備、処理設備及び附帯設備とする。
エ 清掃船建造
漁港の泊地等における浮遊物、ゴミ等を集積し廃棄するために必要な清掃船の建造、購入又は補修の事業とする。
オ 廃船処理
「漁港区域内における廃船処理事業の取扱いについて」(昭和51年9月29日付け51水港第4117号水産庁長官通知)に基づく廃船処理事業とする。また、所有者等に代わり漁港管理者がやむを得ず放置座礁船を処理する場合においても、これを適用する。なお、放置座礁船の処理を行うに当たっては、船舶所有者等に代わり、漁港管理者がやむを得ず放置座礁船を処理する場合に必要な経費とする。なお、漁港管理者は、船舶所有者等より、当該処理に要した費用の全部又は一部の納付を受けた場合には、その費用の納付の内容に関する証拠書類を添えて速やかに水産庁長官に報告するとともに、船舶所有者等から納付を受けた額に補助率を乗じて得た額を国に納付しなければならない。
(10)漁港環境施設整備
漁港の環境向上に必要な施設の整備とは、次に掲げる施設の整備とする。
ア 植栽(樹木、芝生、生垣、花壇、防潮柵、防砂柵等の施設)
イ 休憩所(休憩所、水飲場、便所等の施設)
ウ 運動施設(排球場、グラウンド等の運動施設及び簡易な遊具)
エ 親水施設(海浜、遊歩道、釣場等及びこれらを構成するのに必要な突堤、離岸堤等の施設)
オ 安全情報伝達施設(屋外拡声装置、警報装置、安全情報掲示板等の施設)
カ その他(上記施設の附属施設として、門、さく、通路、照明、水道、排水、駐車場等の施設)
(11)漁業集落道整備
ア 対象となる道路は、漁業者が漁獲物又は資材の運搬等に必要なものであり、かつ、多くの漁業者が利用できる公共性の高いものとする。
イ 構造は、道路構造令(昭和45年政令第320号)に定める基準に準拠するものとする。
ウ 道路法(昭和27年法律第180号)第3条第1号から第3号までに掲げる道路及び同条第4号の市町村道のうち幹線市町村道は対象としないものとする。
エ 漁業集落道の事業基本計画の作成に際しては、あらかじめ関係道路管理者及び関係都道府県の道路担当部局と協議し調整を図るよう努めるものとする。
(12)水産飲雑用水施設整備
ア 対象とする施設は取水、導水、浄水、送水又は配水等取水から配水までの施設とするが、配水管については幹線及び主要な支線とし、個別給水管等は含まないものとする。
イ 水産飲雑用水施設の整備に当たっては、その用水の用途に従って適切な水質を確保するよう留意するものとする。
ウ 改築の場合は、維持管理が適切に行われており、原則として供用開始後10年以上経過し、老朽化その他やむを得ない事由により損傷し又はその機能が低下した機械及び設備等であること。
エ 風力発電、太陽光等の自然エネルギーを活用した発電設備を一体的に整備することができる。
(13)漁業集落排水施設整備
ア 漁業集落排水施設整備は、補助分及び単独分で構成する。
イ 補助分は、排水路及び排水管並びに付帯する処理施設を対象とするが、末端の排水路及び排水管等は受益個数2戸未満の部分は含まないものとする。
また、処理施設の門、柵及び塀並びに個人の宅地内配管等は対象としない。
ウ 単独分は、受益個数2戸未満の末端の排水路及び排水管等並びに処理施設の門、柵及び塀を対象とし、個人の宅地内配管等は含まないものとする。
エ 漁業集落排水施設整備に当たっては、排水の水質等について適切な処理がなされるよう留意するものとする。
オ 改築の場合は、維持管理が適切に行われており、原則として供用開始後7年以上経過し、老朽化その他やむを得ない事由により損傷し又はその機能が低下した機械及び設備等であること。なお、事業期間は、おおむね3年間とする。
カ 風力発電、太陽光等の自然エネルギーを活用した発電設備を一体的に整備することができる。
(14)防災安全施設整備
ア 対象とする施設は、漁村及び漁港施設の保全と防災安全のために必要な土砂崩壊防止施設、防風・防雪施設、水路防護施設、照明施設、防火施設等とする。
イ 砂防法(明治30年法律第29号)に規定する砂防指定地、地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)に規定する地すべり防止区域及びぼた山崩壊防止区域並びに急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)に規定する急傾斜地崩壊危険区域に係る本事業による防災安全施設を計画する際は、土砂流出防止、地すべり防止、ぼた山崩壊防止及び土砂崩壊防止のための施設は対象としないものとする。
(15)緑地・広場施設整備
対象とする施設は、快適にして潤いのある漁業集落の形成及びその住民の健康増進を図るために必要な植栽、休憩所、運動施設、安全情報伝達施設及びこれらに附帯する施設の整備とする。ただし、安全情報伝達施設は、災害時において避難地となる緑地・広場施設(災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条第10号に規定する地域防災計画その他これに準ずる防災に関する計画において定められたもの。)に限り設置できるものとする。
(16)土地利用高度化再編整備
対象とする土地の再編整理及び施設整備は、次に掲げるものとする。
ア 集落の一定規模の区画において生活環境の改善、生活利便の向上及び防災安全の確保に必要な用地の確保のための土地の再編整理
イ 集落の円滑な交通及び景観の改善を図るため、電線、電話線、水道管等を地下に収容するための施設の整備
ウ 津波、高潮等の常襲地帯において集落の安全性を確保するための移転等及びその跡地に水産関係の施設整備を行うための用地整備
(17)地域資源利活用基盤施設整備
対象とする施設は、漁村地域に存在する地域資源(海水・温水等の自然資源や水産物等の生産資源)を漁業集落道や漁業集落排水施設等の生活環境施設に供給又は利活用することにより、漁村の生活環境の効率的な改善を図るために必要な次の施設とする。
ア 海水、温水等を活用した漁業集落道や防火用水等の公共施設の消雪施設
イ 漁業集落排水処理施設から発生する汚泥と水産副産物を一体的に処理する堆肥化施設
(18)用地整備
漁村環境の改善に必要な施設用地とは、漁業集落住民の生活改善のための共同利用施設、廃棄物処理施設、排水処理施設等を設置するための用地及び本事業の実施に伴い必要となる住宅等の代替用地とする。
(19)市町村創造型整備
整備の対象は以下のとおりとする。また、補助の範囲は、総事業費の10%以内とする。
ア 漁村再生計画に定める目標及び指標の達成に必要であり、かつ、水産業の振興、地域の活性化など漁村の再生に資するための施設(魚つき保安林等の植栽工を含む)の整備
イ 漁村再生計画に定める目標及び指標の達成に必要であり、かつ、水産業の振興、地域の活性化など漁村の再生に資するためのソフト経費
2 共通事項
(1) 補償は、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年6月29日閣議決定)及び「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年2月21日閣議決定)に基づくものとする。ただし漁業補償については補助対象外とする。
(2) 工事の施行に伴う騒音、地盤の沈下等近隣の住民に与える影響については、事前に十分な検討を加え、対策を講じていたにもかかわらず、予測できなかった不可抗力により損失を与えた場合で補助事業者等及び工事請負人がそれぞれ善良な管理を行っていたと認められる場合に限り補償費を計上することができる。
(3) 漁港施設を周辺の環境と調和させる必要がある場合は、景観、生物の生態系等に配慮した構造とすることができる。
(4) 外郭施設の護岸等、係留施設の岸壁等、漁港施設用地、輸送施設の道路等、漁港関連道又は公有地造成護岸等整備施設の護岸等に、当該施設の機能上必要な排水設備が設置されている場合において、排水を浄化して放水するための簡易な沈澱槽、スクリーン等は、排水中にごみ等の固型物の混入することがあらかじめ予想される場合で、かつ当該施設と一体として築造されるものに限るものとする。
(5) 係留施設、輸送施設、漁港浄化施設の機能向上を図るための風力、太陽光等の自然エネルギーを活用した発電設備を当該施設と一体的に整備することができる。
(6) 漁港施設及び漁場の施設の整備に当たっては、漁港漁場整備法第6条の2に規定する漁港漁場整備基本方針を遵守するものとする。
(7) 漁港機能の維持・保全上特に必要と認められる場合に限り、外郭施設、係留施設、輸送施設、漁港施設用地に附属する保安設備を設置することができる。
第3 事業の申請・採択等
1 実施要領第4の1及び第5の1から5までに定める申請、通知又は報告等の様式は次のとおりとする。
(1) 実施要領第4の1に定める漁村再生計画は、別記様式第1号及び第2号によるものとする。
(2) 実施要領第5の1に定める事業主体が都道府県知事に提出する漁村再生計画承認申請書は別記様式第3号、事業主体が都道府県知事に提出する事業実施採択申請書及び都道府県知事が水産庁長官に提出する申請書は、別記様式第4号によるものとする。
(3) 実施要領第5の1に定める都道府県知事が事業主体に対して行う漁村再生計画の承認は、別記様式第5号によるものとする。
(4) 実施要領第5の2に定める水産庁長官が都道県知事に対して行う採択の決定通知及び都道府県知事が事業主体に対して行う採択の決定通知は、別記様式第6号とする
(5) 実施要領第5の3に定める事業主体が都道府県知事に提出する施設処分計画の承認申請書及び都道府県知事から農林水産大臣に提出する申請書は別記様式第7号によるものとする。
(6) 実施要領第5の4に定める農林水産大臣が都道県知事に対して行う施設処分計画の承認通知及び都道府県知事から事業主体に対する承認の通知は別記様式第8号によるものとする。
(7) 実施要領第5の5に定める事業主体が都道府県知事に提出する漁村再生計画変更承認申請書は別記様式第9号、都道府県知事から事業主体に対する承認の通知は別記様式第10号によるものとする。
(8) 実施要領第5の5に定める都道府県知事が漁村再生計画の重要な部分の変更の承認を行ったときの国への報告は、別記様式第11号によるものとする。
3 実施要領第5の2に定める審査は、(1)から(5)に掲げる基準により行うものとする。
(1) 事業計画区域において、既存ストックの有効活用が適正に行われていること。
(2) 漁村再生計画に定める目標及び指標が適切に設定されていること。
(3) 漁村再生計画に定める目標及び指標を達成する上で必要な工種及び内容が設定されていること。
(4) 本事業により整備される施設の維持管理が適正に行われると認められること。
(5) 総事業費は50百万円以上2,000百万円以下であること。
4 実施要領第5の5の漁村再生計画の重要な部分の変更は、次に掲げる場合とする。
(1) 目標、指標の変更
5 実施要領第11の2に定める事業主体が都道府県知事及び都道県知事が水産庁長官に申請する場合の移行申請書は別記様式第12号、水産庁長官が都道府県知事及び都道府県知事が事業主体へ通知する移行の承認は、別記様式第13号によるものとする。
6 事業主体は、都道府県知事が定める期限までに、前年度に実施した事業内容について、別記様式第14号により都道府県知事に報告するものとする。
第4 検証、公表
1 要綱第8の2の規定に基づき、事業完了後、事業主体が漁村再生計画に定めた目標及び指標の達成状況を検証するものとする。なお、事業主体が都道府県知事に対して行う検証結果の報告の様式及び都道府県知事が水産庁長官に対して行う検証結果の報告の様式は、別記様式第15号及び別記様式第16号とする。
2 要綱第8の3の規定に基づき、水産庁長官は、1により報告のあった検証結果を審査の上、その結果を公表するものとする。なお、目標及び指標の審査は、以下の観点を考慮して、適切に評価するものとする。
(1) 目標の達成状況及びその評価手法の妥当性
(2) 漁村再生計画と事業内容の妥当性
(3) 事前審査項目の確認
第5 指導助言及び改善措置
実施要領第8の4に定める水産庁長官が事業主体に対して改善措置等を求める通知の様式は、別記様式第17号とし、水産庁長官は、都道府県知事(北海道にあっては、北海道開発局長を経由して北海道知事)にその旨を通知するものとし、通知を受けた都道府県知事は、本事業を実施した事業主体に通知するものとする。
第6 事業の実施
1 分(負)担金の徴収等
事業主体の長は、事業に要する経費にあてるため、本事業によって利益を受ける者から、その受益の限度において分(負)担金を徴収し、又は寄付金を受けることができるものとする。ただし、養殖場を整備する場合及び地域水産総合衛生管理対策推進事業実施要領(平成15年3月28日付け14水港第3424号水産庁長官通知)に基づく事業で、養殖場のしゅんせつを実施する場合にあっては、分(負)担金を徴収し、又は寄付金を受けるものとする。
2 古品、古材の使用
工事の場合にあっては、古品、古材の使用は原則として認めない。
ただし、施設の通常の耐用年数及び効果に影響がなく、事業の経済性において優れている場合又は水産庁長官が特に必要と認めて別に定める場合には認めることができるものとする。
3 漁場環境保全創造事業の実施に必要な経費
水産物供給基盤整備事業等実施要領(平成13年3月30日付け12水港第4457号農林水産事務次官依命通知)第2の2の(1)に規定する漁場環境保全創造事業の実施に必要な経費については、公害防止事業費事業者負担法(昭和45年法律第133号)の規定により事業者負担金を負担させるべき事業者がいる場合には、当該事業者負担金を除いたものとする。
第7 施設の管理及び処分等
漁港施設の管理については、漁港漁場整備法に定めるところによるものとし、漁場施設等(漁場の施設及び漁場の保全のための事業により整備された施設をいう。以下同じ。)の管理については、次に定めるところによる。
1 管理の方針
漁場施設等は、その設置目的に応じて最も効率的に運用するため、必要に応じて修繕、改築、改良、追加工事等を行い、常に良好な状態において管理運営するものとする。
2 管理の主体
(1) 漁場施設等の管理は、原則として、実施要領第4の1の規定に基づき作成する漁村再生計画によって確定した事業主体がこれを行うものとする。
(2) 事業主体は、実施要領第4の1の規定に基づき作成する漁村再生計画に漁場施設等の整備が含まれる場合には、当該漁場施設等に係る管理運営計画(以下「漁場施設等管理運営計画」という。)を別記様式第18号に従い作成し、都道府県知事に提出するものとする。
(3) 都道府県知事は、実施要領第5の1の規定に基づき承認申請を行う場合には、(2)の規定により提出された漁場施設等管理運営計画を水産庁長官に提出するものとする。
(4) 事業主体が直接管理を行い難いとき、又は事業主体が漁場施設等の効率的運用の観点から適当と認める場合には、その管理を事業主体以外の地方公共団体(海岸管理者及び漁港管理者を含む。)又は当該施設により直接受益する漁業協同組合等若しくはこれが組織する団体に対し委託により行うことができるものとする。
この場合、事業主体の長は、所定の手続きにより定めた管理規程に基づき、あらかじめ管理の委託を受ける者と、管理を委託する施設の種類、所在、委託管理の期間、管理方法及び管理の委託を受ける者の権利、義務等必要な事項について協議し、委託契約を結ぶものとする。なお、再委託は禁止するものとする。
3 管理の方法
(1) 事業主体の長は、その管理する漁場施設等について、所定の手続きにより管理規程を定め適正な管理を行うものとする。
(2) 管理規程には次に掲げる事項のうち、漁場施設等の実情に応じて必要事項を明記するものとする。
ア 目的
イ 漁場施設等の種類、構造、規模及び型式
ウ 漁場施設等の設置個所
エ 管理責任者
オ 漁場施設等の管理に関する事項
カ 設置後の漁場利用に関する事項
キ 利用が複数の漁業協同組合にわたるときは、漁場管理に係る協議会に関する事項
ク その他必要な事項
(3) 事業主体の長は、漁場施設等の管理の状況を明らかにし、その効率的な運用を図るため、事業実施個所ごとに、漁場施設等財産台帳を整備し、必要に応じ漁場施設等運営日誌を整備するものとする。
(4) 2の(4)の規定により漁場施設等の管理を委託されている者は、事業実施個所ごとに、漁場施設等管理台帳を整備するものとし、必要に応じ漁場施設等運営日誌を整備するものとする。
(5) 都道府県知事は、毎年度の施設の管理及び漁場の利用状況等を把握して、翌年度の7月末日までに別記様式第19号の漁場施設等管理・運営状況報告書を水産庁長官に提出するものとする。
4 管理運営の変更
事業主体の長は、その管理する漁場施設等について、自然的・社会経済的な諸条件の変化等のため著しく低利用になっているもの、未利用に至っているもの等やむを得ない場合にあっては、漁場施設等の効率的利用を図るため、漁場施設等管理運営計画の見直しを行い、別に定めるところにより管理運営改善計画を作成し、水産庁長官に協議するものとする。この場合において、事業主体は都道府県を経由して行わなければならない。
5 漁場施設等の処分等
(1) 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律179号)第22条の規定に基づき、都道府県知事がその管理する漁場施設等を譲渡し、交換し、又は貸し付けようとする相手方は、その漁場施設等の所在を管轄する地方公共団体又はその漁場施設等により直接受益する漁業協同組合等に限るものとする。
(2) 事業主体の長は、天災その他の事故により、その漁場施設等に損害を生じたときは、直ちに別記様式第20号の漁場施設等被害報告書を水産庁長官に提出するとともに、その後の措置について打ち合わせるものとする。この場合において、事業主体は都道府県を経由して提出しなければならない。
ただし、漁業用施設災害復旧事業事務取扱要領(昭和59年9月28日付け59水振第2339号農林水産事務次官依命通知)第7の規定に基づく災害報告書を提出した場合はこの限りでない。
(3) 事業主体の長は、その漁場施設等をその設置目的に応じて最も効果的に運用するため、増築、改築、移築、移転又は改良しようとするときは、漁場施設等増築(又は改築、移築、移転、改良)届(別記様式第21号)を水産庁長官に提出するものとする。この場合において、事業主体は都道府県を経由して提出しなければならない。
第8 漁場施設等の運営管理上の指導監督
1 都道府県は、事業主体の長が定める管理規程の作成及び漁場施設等管理運営計画の樹立に当たり、適正な助言指導を行うものとする。
2 都道府県は、漁場施設等の運営管理の状況を把握し、漁場施設等が補助の目的に従って適正かつ効率的に運営されるよう、適時に実地検査を行い適切な指導監督を行うものとする。
3 都道府県は、事業主体の長が、関連書類の整備、漁場施設等の管理、漁場施設等の処分等に関し、この運用に従って適切に措置するよう十分指導監督するものとする。
第9 事業の効果等に関する報告
事業主体は、実施要領第9に規定する事業の効果等に関する報告は次の1から5までのいずれかに掲げる場合は、都道府県を経由して水産庁長官に提出するものとする。なお、事業主体が複数の事業の場合は、事業主体が共同して、行うことができる。
1 事業採択後、5年を経過した時点で、継続中となる事業実施地区については、5年目ごとに再評価の検討に関する報告を別記様式第22号により行うものとする。
2 事業採択後、5年以上を経過した時点で未着工の事業があった場合、再評価の検討に関する報告を別記様式第22号により行うものとする。
3 1及び2に掲げる他、漁業情勢の急激な変化等により漁村再生計画の見直しの必要性が生じた場合であって次の(1)から(3)までのいずれかに掲げる場合には、適宜、再評価の検討に関する報告を別記様式第22号により行うものとする。
(1)計画策定時に基礎とした漁業情勢、漁港施設の利用状況、漁業集落の概況と生活環境施設の現状等の指標について、以下のような著しい変化が見られる場合であって、次のアからウまでのいずれかに掲げる場合。
ア 地震や台風等の災害等予期せぬ事態が発生した等、全面的な計画の見直しが必要となった場合。
イ 計画の途中で、漁業情勢の大きな変化等により、その漁港の整備の必要性及び有効性に問題が生じ、全面的な見直しが必要となった場合。
ウ 事業の是非を問う住民投票の実施、周辺環境に対する新たな環境の懸念が生じた等、現計画のままでの事業実施に問題が生じ、全面的な計画の見直しが必要となった場合。
(2) 予期しなかった設計条件等の変化により、現計画の全体事業費が著しく増減する場合。
(3) その他、事業実施の妥当性の検討を行うべきと認める場合。
4 事業完了後、一定期間(おおむね5年)経過後、事後評価に関する報告を別記様式第23号により行うものとする。
5 その他国が必要と認めた場合、当該事業の効果等に関する報告を行うものとする。
第10 その他
1 水産基盤整備事業により設置された魚礁については、漁業調整その他公益上支障がなく、漁業生産力の発展に資すると認められる場合には、つきいそ漁業権を設定しても差し支えない。なお、設定位置については、原則として既存の漁業権漁場内に限る等の配慮を行うものとし、設定に当たっては遊漁との調整にも十分配慮するものとする。