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農林水産省

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水産物供給基盤整備事業等実施要領の運用について

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12水港第4541号
平成13年3月30日
最終改正:平成21年3月27日 20水港第2607号

都道府県知事あて

水産庁長官


第1 実施基準及び事業内容

 事業の対象となる内容は、水産物供給基盤整備事業等実施要領(平成13年3月30日付け12水港第4457号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要領」という。)第2に定めるほか、次のとおりとする。

1 特定漁港漁場整備事業

(1)事業内容
 この事業の内容は、漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第4条の規定のとおりとし、その詳細は、次のア~キに掲げる漁港施設、ク~コに掲げる漁場の施設又はサの事業に規定するとおりとする。

ア 外郭施設

(ア)漁港漁場整備法第3条第1号のイに掲げる防波堤、防砂堤、防潮堤、導流堤、水門、閘門、護岸、堤防、突堤及び胸壁並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものとする。

(イ)外郭施設には当該施設の機能上、利用上又は管理上必要と認められる場合に限り、附属施設として係船柱、係船環、防衝設備、階段、はしご、防護柵、車止め、照明設備、灯標又は防風設備等、また自然調和・活用型漁港漁場づくり推進事業実施要領(平成6年6月23日付け6水港第1775号農林事務次官依命通知)第2の2の規定を満たす場合に限り砂輸送施設を設置することができる。また、災害に強い漁業地域づくり事業実施要領(平成7年4月1日付け7水港1070号)に基づく事業で、災害に強い漁業地域づくり事業の事業基本計画を策定した地区に限り、当該施設の附帯事業として、漂流防止施設を設置することができる(以下イの(イ)、ウの(イ)、エの(エ)及びオの(カ)において同じ。)。

イ 水域施設

(ア)漁港漁場整備法第3条第1号のハに掲げる航路及び泊地並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものとする。

(イ)水域施設には、当該施設の機能上、利用上又は管理上必要と認められる場合に限り、附属施設として床止め、潜堤、サンドポケット又は浮標灯等を設置することができる。

ウ 係留施設

(ア)漁港漁場整備法第3条第1号のロに掲げる岸壁、物揚場、係船浮標、係船くい、桟橋、浮桟橋及び船揚場並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものとする。

(イ)岸壁、物揚場、桟橋及び浮桟橋には、当該施設の機能上又は管理上必要と認められる場合に限り、防舷材、係船柱、係船環、車止め、照明設備、灯標、防風設備、防雪設備、防暑設備、階段、はしご、防護柵、排水溝に附属する沈砂池又はスクリーン等を設置することができる。また、水産物流通機能高度化対策事業実施要領(平成20年3月31日付け19水港第2893号水産庁長官通知)に基づく事業で、原則水産物の取扱量が5,000トン以上の漁港に限り清浄海水導入施設、鳥獣等進入防止施設、汚水浄化施設及び融雪設備を設置することができる。

(ウ)船揚場には、当該施設の機能上又は管理上必要と認められる場合に限り、係船環、照明設備、車止め、防護柵、防風設備、防雪設備、防暑設備、滑り材又はレール等を設置することができる。

エ 輸送施設

(ア)漁港漁場整備法第3条第2号のイに掲げる鉄道、道路、駐車場、橋及び運河並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものとする。

(イ)道路及び橋は、車道、歩道、中央帯、路肩、停車帯等により構成されるものとする。

(ウ)道路には安全かつ円滑な交通を確保するため道路の附帯施設として自動車駐車場を設置することができる。

(エ)道路、駐車場及び橋には、当該施設の機能上、安全上又は管理上必要と認められる場合に限り、防護柵、車止め、照明設備、街路樹又は植栽、道路標識、橋梁桁下の標識、防雪設備又は除雪、融雪設備等を設置することができる。

オ 漁港施設用地

(ア)漁港漁場整備法第3条第2号のハに掲げる漁港施設用地及び敷地に附属する施設で当該施設を構成するのに必要なものとする。

(イ)漁港漁場整備法第3条第2号のヘに掲げる「水産種苗生産施設」及び同号トに掲げる「蓄養施設」を漁港施設用地に代えて水面に設置する必要がある場合には、水面を確保するための設備を設置することができる。

(ウ)漁港施設用地(前号の水面を含む。以下本項において同じ。)の補助の範囲は、漁港施設用地等利用計画の策定について(平成2年3月15日付け2水港第40号水産庁長官通知)第3の規定により協議の整った漁港施設用地等利用計画に基づく公共施設用地とする。

(エ)漁港施設用地の附属設備は排水設備、境界標識及び法面保護のための設備等とし、用地の保全上又は管理上必要な設備を設置することができる。また、利用上必要と認められる場合に限り、防風設備を設置することができる。

(エ)漁港漁場整備法第3条第2号のニに掲げる「漁船漁具保全施設」及び同号に掲げる「増殖及び養殖用施設」の漁港施設用地については、漁具並びに増殖及び養殖用資材の運搬のための昇降用斜路及びこれに附属する設備を設置することができる。

(カ)漁港施設用地について、砂塵による隣接地区への悪影響等特別の事由がある場合においては、覆土、砕石敷設、植栽、乳剤散布又は簡易舗装により用地の表面処理を行うことができる。

(キ)用地の地盤改良については、原則として補助対象外とする。

(ク)人工地盤による漁港施設用地の造成については、以下の場合を補助対象とする。

a 背後地に利用できる用地が少ないなど用地の利用目的を達成する箇所に用地の確保が困難な場合

b 津波・高潮等が発生し迅速に避難できる避難用地として災害時の防災機能の確保を図る場合

カ 漁獲物の処理、保蔵及び加工施設
 漁港漁場整備法第3条第2項のトに掲げる荷さばき所で、 水産物流通機能高度化対策事業実施要領(平成20年3月31日付け19水港第2893号水産庁長官通知)に基づく事業により整備される水産物の衛生管理に対応した荷さばき所(これに附帯する施設を含む。)とする。ただし、水産物の取扱量が年間8,000トン以上(市場の統合により水産物の取扱量が年間8,000トン以上確実に見込まれるものを含む。)、かつ、水産物の取扱金額が14億円以上の漁港に限り設置することができる。なお、水産物の衛生管理に対応した荷さばき所に附帯する施設とは、外壁(シャッター 等)、仕切り壁、取水・排水設備、鳥獣等侵入防止施設、トイレ等のうち荷さばき所本体と一体的に整備するものとし、かつ、荷さばき所の機能を補完する施設とする。

キ 漁港浄化施設

(ア)漁港漁場整備法第3条第2号のルに掲げる公害防止のための導水施設その他の浄化施設並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものとし、水産物流通機能高度化対策事業実施要領(平成20年3月31日付け19水港第2893号水産庁長官通知)に基づく事業で、原則水産物の取扱量が1,000トン以上の漁港に限り設置することができることとする。ただし、門、柵、塀は補助対象としない。

(イ)導水施設は、漁港の泊地内における汚濁水を排除するために必要な揚水設備、送水設備及び建物とし、当該施設の機能上又は管理上必要と認められる場合に限り、照明設備、又は職員詰所等を設置することができる。

(ウ)その他の漁港浄化施設は、排水管路及び汚水処理設備並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものとする。

(エ)汚泥その他公害の原因となる物質がたい積し又は水質が汚濁している漁港の水域における汚泥浚渫事業とする。

ク 魚礁

(ア)主として魚類の蝟集、発生及び成育が効率的に行われ生産性が高い魚礁漁場を造成するために行う耐久性構造物(コンクリートブロック等)の設置により整備される漁場の施設とし、次に掲げる規模以上のものを補助対象とする。

a 漁業法(昭和24年法律第267号)第6条に規定する共同漁業権(以下「共同漁業権」という。)の設定されている区域及びこれに隣接する水域に設置するもの5,000空m3以上

b 共同漁業権の設定されている区域外に設置するもの30,000空m3以上

(イ)浮魚礁システム(浮魚礁、位置センサー、漁場環境調査システム及び送受信装置)及びこれに関連する施設の設置により整備される漁場の施設とし、計画事業規模が5千万円以上(事業主体が市町村、漁業協同組合等の場合は1千万円以上)のものを補助対象とする。

ケ 増殖場

(ア)海域及びこれに連接する陸地において有用水産生物の発生及び成育に適した環境を整備するために行う着定基質の設置(投石、コンクリートブロック等の設置及び干潟(干潟及び区画施設)の造成)、消波施設等(消波堤、潜堤、離岸堤及び防氷堤)の設置、海水交流施設(導流堤、水路等)の設置、中間育成施設の設置及び用地(中間育成施設設置用、作業路等)の造成並びにこれらに関連する施設(ポンプ小屋等簡易な付随施設)の設置により整備される漁場の施設とし、計画事業規模が5千万円以上(市町村に係るものは3千万円以上)のものを補助対象とする。
なお、中間育成施設については、資源管理推進増養殖場整備事業等実施要領(平成13年3月30日付け12水港第4764号水産庁長官通知。以下「資源管理等実施要領」という。)に基づく資源回復支援基盤整備事業で以下の要件を満たした場合に限り、防風・防雪等のための施設を補助対象とすることができる。

a 中間育成施設の計画事業規模が5,000万円以上

b 資源回復計画の対象魚種等を中間育成すること

c 防風・防雪等施設が無い場合対象生物の適正な育成環境が確保されないことが明らかであること

 また、磯焼けの発生等に対応して藻場又は干潟等の生産力を回復させる対策(以下「磯焼け対策」という。)を行う場合については、以下のaの(a)又は(b)の要件を満たすもの、また、資源管理等実施要領に基づく資源回復支援基盤整備事業により実施する場合については、以下のbの要件を満たすものに限り、計画対象地区において、着定基質の設置と併せて食害生物の駆除・廃棄処分・有効活用、食害防止に必要な構造物の設置、海藻類等の播種・移植、施工後3年以内のモニタリングの実施及びその他磯焼け対策として効果が実証された取組を補助対象とすることができる。

a 磯焼け対策の場合

(a) 藻場の場合
藻場が分布する海岸線延長又は海域面積の3割以上で磯焼けが発生していること及び1計画当たりの事業規模が1ha以上であること

(b) 干潟等の場合
現状の有用水産生物の漁獲量が過去最大漁獲量の1/3以下に減少していること及び1計画当たりの事業規模が10ha以上であること

b 資源回復支援基盤整備事業の場合
資源回復計画を実施中の魚種又は漁獲努力量の削減に関して公的な担保を伴う資源回復計画と同等の取組を実施中の魚種を対象とした藻場、干潟等の整備を行うこと

(イ)人工海底山脈の造成及び湧昇流発生装置の設置により整備される漁場の施設とする。

コ 養殖場
 海域及びこれに連接する陸地のうち、未利用の状態にある養殖適地に生産性の高い養殖漁場を造成するために行う消波施設等(消波堤、潜堤、浮消波堤及び防氷堤)の設置、区画施設の設置、海水交流施設(導流堤、水門、水路、導水トンネル等)の設置、底質改善(作れい、しゅんせつ、客土、耕うん等)及び用地(養殖施設用)の造成並びにこれらに関連する施設の設置により整備される漁場の施設とし、計画事業規模が1億円以上(富裕団体(財政力指数が当該年度前3か年の平均が1.0以上の地方公共団体をいう。以下同じ。)に係るものは1億5千万円以上)のものを補助対象とする。

サ 漁場の保全のための事業

(ア)効用の低下している漁場の生産力の回復や水産資源の生息場の環境改善を図るために行うたい積物の除去、放置座礁船の処理、底質改善(しゅんせつ、作れい、耕うん、客土、覆土等)、海水交流施設(水路等)の設置、着定基質の設置(投石、コンクリートブロック等の設置及び干潟の造成(干潟及び区画施設))並びにこれらに関連する事業(しゅんせつ残土処理のための埋立等)とする。
 また、磯焼け対策を行う場合については、以下のaの(a)又は(b)の要件を満たすもの、また、資源管理等実施要領に基づく資源回復支援基盤整備事業により実施する場合については、以下のbの要件を満たすものに限り、計画対象地区において、たい積物の除去、底質改善又は着定基質の設置と併せて食害生物の駆除・廃棄処分・有効活用、食害防止に必要な構造物の設置、海藻類等の播種・移植、施工後3年以内のモニタリングの実施及びその他磯焼け対策として効果が実証された取組を補助対象とすることができる。

a 磯焼け対策の場合

(a) 藻場の場合
藻場が分布する海岸線延長又は海域面積の3割以上で磯焼けが発生していること及び1計画当たりの事業規模が1ha以上であること

(b) 干潟等の場合
現状の有用水産生物の漁獲量が過去最大漁獲量の1/3以下に減少していること及び1計画当たりの事業規模が10ha以上であること

b 資源回復支援基盤整備事業の場合
資源回復計画を実施中の魚種又は漁獲努力量の削減に関して公的な担保を伴う資源回復計画と同等の取組を実施中の魚種を対象とした藻場、干潟等の整備を行うこと

(イ)しゅんせつについては、以下の要件を満たす場合に限り、養殖場の汚泥を対象とすることができる。

a 当該水域に流入する河川等からの負荷が認められること。

b 持続的養殖生産確保法に基づく漁場改善計画が認定され、当該計画に基づいた取組みを確実に実施していること。

c たい積物の影響により、当該養殖場以外の漁場にも赤潮等の悪影響が出ていること。

(2)対象地区
 2、3、6又は8の事業の対象地区のうち、漁港漁場整備法施行規則(昭和26年農林省令第47号)第1条の2に規定する要件に該当する地区とする。
 なお、平成21年度以降、1の(1)のア、ウ及びエ(道路及び橋に限る。)の施設を整備するに当たっては、水産物供給基盤機能保全事業において策定する機能保全計画と同等の機能保全計画(以下2、3において「機能保全計画」という。)が策定され、かつ、当該計画に基づき適切に日常管理が実施されていること。

2 特定漁港漁場整備事業以外の地域水産物供給基盤整備事業

(1)事業内容
漁場と漁港の一体的な整備、既に天然の漁場等が形成されており当面漁場の整備の予定がない場合の漁港の整備及び当面整備の予定がない漁港等と利用上密接に関連する漁場の整備で、1の(1)のア~キ、クの(ア)のうちaを満たすもの、ケの(ア)又はコの施設のうち、補助対象となるものの新設、改良及び補修(ア、ウ、エ(道路及び橋に限る。)及びオ(護岸に限る。)を除く。)の事業である。

(2)対象地区

ア 計画事業費が一事業につき3億円を超えるもの
このとき、複数の漁場及び漁港(原則として、同一市町村内のものに限る。)であって、当該漁場や漁港等が相互に密接に利用されているもの又は整備の結果密接な利用が見込まれるものについては、複数の漁場及び漁港を一括して一事業とすることができる。また、計画事業費について、当該事業対象地区の周辺海域で実施される6の事業(当該事業と一体として取り扱うことが適当と認められるものに限る。)の計画事業費を加えた合計の計画事業費が3億円を超えるものも、本事業の対象とする。

イ 漁港施設と漁場の施設を一体的に整備する場合又は漁港施設を単独で整備する場合においては、次の要件を満たすもの

(ア)第1種漁港又は広域漁港整備事業を実施する漁港以外の第2種漁港であって、1漁港あたりの漁港施設に係る計画事業費が3億円を超えるもの

(イ)次のいずれかの要件を満たすもの

a 1漁港あたりの利用漁船の実隻数による総数が50隻程度以上若しくは登録漁船隻数が50隻程度以上の港勢を有するもの、又は整備の結果、同程度の港勢への推移が確実に見込まれるもの

b 1漁港あたりの陸揚金額が1億円程度以上の港勢を有するもの、又は整備の結果、同程度の港勢への推移が確実に見込まれるもの

c 水産業の振興を図る上で、水産基盤の整備を行うことが特に必要と認められるもの

(ウ)平成21年度以降、1の(1)のア、ウ及びエ(道路及び橋に限る。)の施設を整備するに当たっては、機能保全計画が策定され、かつ、当該計画に基づき適切に日常管理が実施されていること

ウ 漁場の施設を単独で整備する場合においては、次の要件を満たすもの

(ア)共同漁業権の設定されている区域内の原則として同一市町村内の漁港等の登録漁船隻数の総数が100隻程度以上のもの

3 特定漁港漁場整備事業以外の広域水産物供給基盤整備事業

(1)広域漁港整備事業

ア 事業内容
 漁港の単独の整備並びに漁港と当該漁港を本拠地とする漁船が利用する共同漁業権の設定されている区域及びこれに隣接する水域における漁場との一体的な整備で、1の(1)のア~キ、クの(ア)のうちaを満たすもの、ケの(ア)又はコの施設のうち、補助対象となるものの新設、改良及び補修(ア、ウ、エ(道路及び橋に限る。)及びオ(護岸に限る。)を除く。)の事業である。

イ 対象地区

(ア)計画事業費が一事業につき3億円を超えるもの
このとき、計画事業費について、当該事業対象地区の周辺海域で実施される6の事業(当該事業と一体として取り扱うことが適当と認められるものに限る。)の計画事業費を加えた合計の計画事業費が3億円を超えるものも、本事業の対象とする。

(イ)漁港施設については、次の要件を満たすもの

a 1漁港あたり計画事業費が3億円を超えるもの

b 第2種漁港、第3種漁港又は第4種漁港であること。ただし、第2種漁港にあっては、利用漁船の実隻数による総数が200隻程度以上若しくは属地陸揚量が5千トン程度以上の港勢を有するもの、又は整備の結果、同程度の港勢への推移が確実に見込まれるもの

(ウ)平成21年度以降、1の(1)の ア、ウ及びエ(道路及び橋に限る。)の施設 を整備するに当たっては、機能保全計画が策定され 、かつ、当該計画に基づき適切に日常管理が実施されていること

(2)広域漁場整備事業

ア 事業内容
共同漁業権の設定されている区域外において行う利用が広範囲にわたる規模の大きい漁場の整備及び共同漁業権の設定されている区域外の漁場と機能上密接に関連する漁場や資源の増大の効果が共同漁業権の設定されている区域外の広範囲に及ぶ漁場の整備で、1のクの(ア)のうちbを満たすもの、ケ又はコの施設のうち、補助対象となるものの新設、改良及び補修の事業である。

イ 対象地区

(ア)計画事業費が一事業につき3億円を超えるもの
このとき、複数の漁場の施設について、相互に関連し各施設を連携して整備することにより全体として効果があがる等一体的に整備する必要があるものについては、これら複数の施設の整備を一括して一事業とすることができる。また、計画事業費について、当該事業対象地区の周辺海域で実施される6の事業(当該事業と一体として取り扱うことが適当と認められるものに限る。)の計画事業費を加えた合計の計画事業費が3億円を超えるものも、本事業の対象とする。

(イ)受益戸数が200戸以上であるもの。ただし、沖縄県においては受益者数が1,000人以上のものとする。

(ウ)(ア)及び(イ)にかかわらず、沖合における大規模な漁場の整備については、次の要件を満たすもの

a 計画事業費が一事業につき10億円を超えるもの

b 海域の基礎生産力の増大等、我が国の資源、生産増大に大きな効果を有するもの

c 受益者が1,000人以上又は受益者を特定の県に限定することが困難なもので、受益が広域に及ぶもの

4 水産物供給基盤機能保全事業

(1)事業内容
本事業は、漁港施設の長寿命化を図りつつ更新コストを平準化するため、1の(1)のア、ウ、エ(道路及び橋に限る。)及びオ(護岸に限る。)の施設の老朽化状況を調べる機能診断の実施及び機能診断に基づき、施設の機能を保全するために必要な日常管理や保全・更新工事を盛り込んだ機能保全計画の策定、並びに機能保全計画に基づく保全工事を行う事業である。

ア 機能診断の実施及び機能保全計画の策定
次に掲げる事項について、別記様式第15号により作成するものとする。

(ア)施設現況調書

(イ)施設機能診断結果

(ウ)機能保全対策(対策工法、対策時期、対策コスト、コスト縮減効果、日常管理計画)

イ 保全工事の実施
機能保全計画(アに基づき策定する機能保全計画と同等の機能保全計画を含む。)に基づき保全工事を実施し、工事完了後に当該機能保全計画の更新を行うものとする。
なお、本工事において整備する施設の耐用期間については、1~3の事業に準ずるものとする。

(2)対象地区

ア 次の(ア)~(ウ)の要件を満たす地区とする。

(ア)計画事業費が漁港毎に20億円未満のもの

(イ)第1種又は第2種漁港にあっては、1漁港あたりの港勢が次のいずれの要件を満たすもの

a 利用漁船の実隻数が50隻程度以上

b 登録漁船隻数が50隻程度以上

c 陸揚金額が1億円程度以上

d 水産業の振興を図る上で、水産基盤の機能保全を行うことが特に必要と認められるもの

(ウ)第3種又は第4種漁港であること

イ 管理している漁港を複数まとめて1地区として事業を実施することができる。

ウ (1)のアの機能保全計画の策定に係る期間については、第2次漁港漁場整備長期計画(平成19年度~平成23年度)の重点課題に対応した漁港は平成20年度~平成24年度の5ヶ年以内、その他の漁港は平成20年度~平成29年度の10ヶ年以内としたものに限り対象とする。

エ 保全工事については、(1)のイの機能保全計画が策定され、かつ、当該計画に基づき適切に日常管理が実施されている漁港を対象とする。

5 漁港施設機能強化事業

(1)事業内容
 大型低気圧や大型台風等による、高潮や波高の増大等により被害が発生している漁港において、現行の海象条件に対して十分な安全が確保されていない、1の(1)のア~キの施設について、必要最低限の機能強化を図る事業である。なお、水産関係施設の被害防止等の観点から、必要と認められる場合に限り、附帯施設として浸水防止施設、排水施設、漁船漂流防止施設等を設置することができる。

(2)対象地区

ア 次の(ア)、(イ)の要件を満たす地区とする。

(ア)1地区あたりの計画事業費が5千万円以上、20億円未満であること

(イ)事業計画期間開始年の4月1日を起点とし、過去5年間において、高潮 、波高の増大等により被害が生じた漁港であること。なお、ここでいう被害が生じた漁港とは、次の要件のいずれかに該当するものとする。

a 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)又は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)に基づく災害復旧事業として採択された漁港

b 当該漁港内において漁船に被害が発生し、漁船損害等補償法(昭和27年法律第28号)に基づく保険金の支払いが行われたこと又は漁具の流出等による被害の発生の事実が漁業協同組合等により確認されたこと

c 当該漁港の漁港施設の機能低下が要因となって、背後の集落において浸水等の被害が発生したこと(地方公共団体により被害の事実確認が可能な場合に限る。)

イ 管理している漁港を複数まとめて1地区として事業を実施することができる。

6 浮魚礁漁場整備事業

(1)事業内容
共同漁業権の設定されている区域の内外における魚礁の整備で、1の クの(イ)の施設のうち補助対象となるものの新設、改良及び補修の事業である。

(2)対象地区
計画事業費が一事業につき、5千万円以上(事業主体が市町村、漁業協同組合等の場合は1千万円以上)

7 漁港関連道整備事業

(1)事業内容
本事業の内容は、実施要領第2の(5)の規定によるほか、次のア~サに規定するとおりとする。

ア 実施要領第2の(5)のアに掲げる 「主要漁港と主要漁港と密接な関連を有する漁場とを結ぶための道」は、当該漁港と当該漁場間の漁獲物又は漁業用資材等の運搬の用に供することを目的として設置するものに限るものとする。

イ 実施要領第2の(5)のウに掲げる「一般漁港と一般漁港と密接な関連を有する漁場とを結ぶ道」は、当該漁港と当該漁場間の漁獲物又は漁業用資材等の運搬の用に供することを目的として設置するものに限るものとする。

ウ 主要漁港関連道及び一般漁港関連道として整備される道路は、漁業上必要な自動車の交通が可能な一車線又は二車線となるものであること。なお、ここでいう漁業上必要な自動車とは、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)に定める自動車で漁業上必要な交通に供せられるものとする。

エ 改良とは、現に交通の用に供されている道路の機能を増大させるための行為とし、次に掲げる維持管理相当の行為は含まないものとする。

a 散水、除草、除雪、砂利の補充等反復して行われる軽度の道路の保全行為

b 損傷された既存の道路の構造を保持回復する行為

オ 漁港関連道の全部又は大部分が当該漁港の区域外になるもの(当該事業の効果を確保するため当該漁港の区域外から区域内の一部にわたるもので漁港整備事業として行われるもの以外のものを含む。)であること。だたし、主要道路が当該漁港の区域内にあるか又は区域に接している場合にあっては、当該漁港の区域内で行われているものを含む。

カ 新設の場合にあっては、これに代わる漁業上必要な自動車の利用しうる道路がないか又は既存の道路では漁獲物の輸送上支障があり、かつ、地形の状況等により既存の道路を改良することが困難であること。

キ 改良の場合にあっては、既存の道路では漁業上必要な自動車の交通ができないか、又は漁獲物等の輸送上著しく支障があること。

ク 道路の有効幅員が3メートル以上のものであること。

ケ この事業の実施に際しては、道路法第24条による承認を受けるほか、道路整備5箇年計画との調整等道路に関する施策との調整をはかるとともに、構造等につき当該道路の道路管理者との協議を行う等道路担当部局とも緊密な連絡をとるものとする。

コ 漁港関連道の構造は、道路構造令(昭和33年政令第244号)第2章に定める基準に準拠するものとする。

サ 漁港関連道の整備後の管理については、以下の通りとする。

a この事業の施行者が道路法による都道府県道又は市町村道を改良しようとするときは、あらかじめ当該道路管理者たる地方公共団体と協議をし、道路法による所定の手続を経て事業を行い事業完了後は、すみやかに当該道路管理者に管理を引継ぐとともにその旨水産庁長官に報告するものとする。

b この事業により施行者が漁港関連道を新設しようとするときは、あらかじめ道路法による路線の認定を受けて事業を実施するようにするものとし、路線の認定について地方公共団体の議会の議決が得られない等の理由により、あらかじめ路線の認定を受けることができないときは、できうる限り早い機会に事後処理を行い、この事業によって生ずる漁港関連道の管理主体を明らかにしておくようにするものとする。

(2)対象地区

ア 主要漁港関連道の新設、改良に要する計画事業費については、1億円以上6億円未満のものであること。ただし、特別の事情があるときは、6億円以上のものも認めることとする。

イ 附帯関連道の改良に要する事業費は主要漁港関連道に関する事業費の2分の1以内であって、5千万円以上のものとする。

ウ 一般漁港関連道の新設、改良に要する計画事業費については、5千万円以上6億円未満のものとする。ただし、特別の事情があるときは、12億円未満のものも認めることとする。

8 特定漁港漁場整備事業以外の水域環境保全創造事業

(1)事業内容

ア 漁場公害防止対策事業
汚泥その他公害の原因となる物質がたい積し、又は水質が汚濁している漁場において実施されるしゅんせつ事業、導水事業、覆土事業及び耕うん事業

イ 漁港公害防止対策事業
漁港区域内の水域における汚泥その他公害の原因となるたい積物の除去、又は水質改善を図るための導水施設の整備のうち、公害防止計画(環境基本法第17条第3項の規定により作成したもの)に基づいて実施するもの

ウ 水域環境保全
1の(1)のサの事業及び 漁港区域内における水質の保全等水域の環境保全のために実施する次に掲げるもの(公害防止計画に基づいて実施するものを除く。)

(ア)水質底質改善施設整備

a 汚泥等による水質汚濁や悪臭が漁業活動上悪影響をもたらしている漁港の漁港区域内水域における汚泥、ヘドロのしゅんせつ、運搬及び処理

b 水質及び底質の改善を図る必要が認められる漁港において、覆砂及び藻場、干潟等の整備を行うために必要な土砂等の運搬及び整地等並びに突堤、離岸堤等の設置

c 水質及び底質の改善を図る必要が認められる漁港において、自然の浄化能力を活用して水域環境を改善するために必要な循環ポンプ、清浄海水導入装置、ろ過・排水装置等の水質浄化施設並びにこれらに附属する設備で当該施設を構成するのに必要なものの設置。なお、風力、太陽光等の自然エネルギーを活用した発電設備を一体的に整備することができる。

(イ)漁港浄化施設整備
水質及び底質の改善を図る必要が認められる漁港において、1の(1)のキの(ア)~(ウ)の施設を整備することができる。

(ウ)廃油処理施設整備
漁港漁場整備法第3条第2号のヲに掲げる廃油処理施設であって「廃油処理施設整備事業実施要領」(昭和52年6月20日付け52水港第612号農林事務次官依命通知)第2に掲げる集油設備、処理設備及び附帯設備とする。

(エ)清掃船建造
漁港の泊地等における浮遊物、ゴミ等を集積し廃棄するために必要な清掃船の建造、購入又は補修の事業とする。

(オ)廃船処理
「漁港区域内における廃船処理事業の取扱いについて」(昭和51年9月29日付け51水港第4117号水産庁長官通知)に基づく廃船処理事業とする。
また、所有者等に代わり漁港管理者がやむを得ず放置座礁船を処理する場合においても、これを適用する。

(2)対象地区

ア 漁場公害防止対策事業
汚泥その他公害の原因となる物質がたい積し、又は水質が汚濁している漁場において実施されるしゅんせつ事業、導水事業、覆土事業及び耕うん事業のうち、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律第3条第4項の規定に基づいて実施する地区

イ 漁港公害防止対策事業
漁港区域内の水域における汚泥その他公害の原因となるたい積物の除去、又は水質改善を図るための導水施設の整備について、公害防止計画(環境基本法第17条第3項の規定により作成したもの)に基づいて実施する地区

ウ 水域環境保全

(ア)計画事業費が一事業につき5千万円以上(市町村、漁業協同組合等が行う事業は、1千万円以上)のもの

(イ)(1)のウの(ア)については、全体計画面積が2,500m2以上(第一種漁港及び第二種漁港については1,200m2以上)のもの

(ウ)放置座礁船の処理を行うにあたっては、船舶所有者等に代わり、都道府県または市町村がやむを得ず放置座礁船を処理する場合に必要な経費とし、全体事業規模が5千万円以上の場合に限る。なお、都道府県または市町村は、船舶所有者等より、当該処理に要した費用の全部又は一部の納付を受けた場合には、その費用の納付の内容に関する証拠書類を添えて速やかに水産庁長官に報告するとともに、船舶所有者等から納付を受けた額に補助率を乗じて得た額を国に納付しなければならない。
また、平成16年3月31日までに発生した放置座礁船については、全体事業規模が1千万円以上のものを対象とする。ただし、合理的な理由が認められる期間内に申請があった場合に限る。

9 共通事項

(1)補償は、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年6月29日閣議決定)及び「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年2月21日閣議決定)に基づくものとする。ただし漁業補償については補助対象外とする。

(2)工事の施行に伴う騒音、地盤の沈下等近隣の住民に与える影響については、事前に十分な検討を加え、対策を講じていたにもかかわらず、予測できなかった不可抗力により損失を与えた場合で補助事業者等及び工事請負人がそれぞれ善良な管理を行っていたと認められる場合に限り補償費を計上することができる。

(3)漁港施設を周辺の環境と調和させる必要がある場合は、景観、生物の生態系等に配慮した構造とすることができる。

(4)外郭施設の護岸等、係留施設の岸壁等、漁港施設用地、輸送施設の道路等、漁港関連道又は公有地造成護岸等整備施設の護岸等に、当該施設の機能上必要な排水設備が設置されている場合において、排水を浄化して放水するための簡易な沈澱槽、スクリーン等は、排水中にごみ等の固型物の混入することがあらかじめ予想される場合で、かつ当該施設と一体として築造されるものに限るものとする。

(5)係留施設、輸送施設、漁港浄化施設の機能向上を図るための風力、太陽光等の自然エネルギーを活用した発電設備を当該施設と一体的に整備することができる。

(6)漁港施設及び漁場の施設の整備に当たっては、漁港漁場整備法第6条の2に規定する漁港漁場整備基本方針(以下「基本方針」という。)を遵守するものとする。

(7)漁港機能の維持・保全上特に必要と認められる場合に限り、外郭施設、係留施設、輸送施設、漁港施設用地に附属する保安設備を設置することができる。

(8)地域水産物供給基盤整備事業及び広域水産物供給基盤整備事業において、1の(1)のア、ウ、エ(道路及び橋に限る。)及びオ(護岸に限る)の施設を整備する場合は、機能保全計画を策定するものとする。なお、機能保全計画の様式は、別紙様式第15号のとおりとする。

第2 事業基本計画等の申請及び変更

1 事業基本計画の様式等

(1)実施要領第4の1の(1)の事業基本計画の様式は、別記様式第1号のとおりとする。

(2)実施要領第4の1の(2)のうち、水産物供給基盤機能保全事業の事業基本計画の様式は、別記様式第2号のとおりとする。

(3)実施要領第4の1の(2)のうち、漁港施設機能強化事業の事業基本計画の様式は別記様式第3号のとおりとする。

(4)実施要領第4の1の(3)の事業基本計画の様式は、別記様式第4号のとおりとする。

(5)実施要領第4の3の(1)及び(2)の承認申請書の様式は、別記様式第5号のとおりとし、原則として事業実施希望年度の前年度の3月末日までに提出するものとする。

(6)実施要領第4の4の事業基本計画変更承認申請書の様式は、別記様式第6号のとおりとする。

(7)(5)の承認申請書の提出にあたっては、事前に別記様式第7号の当該事業の事前の評価に関する調書をもって協議するものとする(第1の4の(1)のアを除く。)。
なお、当該事業が他の事業と一体的効果又は相乗効果を発揮する場合で、それぞれの効果を分離することが妥当性を欠くと認められる場合は、当該他の事業と一体的な評価を行い調書を作成する。

(8)他の事業と一体的な評価を行うため、既に協議済みの事前の評価に関する調書を変更する場合には、(7)の前段の規定を準用する。

2 事業基本計画の承認等における要件

(1)都道府県知事は、管轄する区域内において、実施要領第2の1の(1)若しくは(2)の事業、実施要領第2の1の(4)の事業又は実施要領第2の2のの事業(漁港区域内に関連する事業を除く。)が実施される場合には、基本方針の規定を踏まえ、水産物の生産、流通に一体性を有する範囲について圏域を設定し、その圏域における整備の方向性を定める圏域総合水産基盤整備事業計画(別記様式14号)を事業主体と調整して作成し、水産庁長官に届け出るものとする。

(2)実施要領第4の3の(3)のアの要件において、基本方針IIの1及び2の規定については、(1)の届出をもって適合しているものとする。

3 事業基本計画の変更

(1)実施要領第4の4の事業基本計画(漁港関連道整備事業を除く。)の変更で承認を必要とするものは、次に掲げる場合とする。

ア 計画工事種目の新設又は廃止

イ 計画工事種目ごとの計画数量の変更であって20%以上の増減

ウ 計画位置等の大幅な変更

(2)漁港関連道整備事業の事業基本計画の変更で承認を必要とするものは、次に掲げる場合とする。

ア 漁港関連道延長の10%以上の増減

イ 総事業費の変更であって20%以上の増減

ウ その他主要な工事の著しい変更

第3 事業の実施

1 分(負)担金の徴収等
事業主体の長は、事業に要する経費にあてるため、本事業によって利益を受ける者から、その受益の限度において分(負)担金を徴収し、又は寄付金を受けることができるものとする。ただし、特定漁港漁場整備事業、特定漁港漁場整備事業以外の地域水産物供給基盤整備事業又は広域水産物供給基盤整備事業において養殖場を整備する場合並びに特定漁港漁場整備事業又は水域環境保全創造事業において、養殖場のしゅんせつを実施する場合にあっては、分(負)担金を徴収し、又は寄付金を受けるものとする。

2 古品、古材の使用
工事の場合にあっては、古品、古材の使用は原則として認めない。
ただし、施設の通常の耐用年数及び効果に影響がなく、事業の経済性において優れている場合又は水産庁長官が特に必要と認めて別に定める場合には認めることができるものとする。

3 水域環境保全創造事業の実施に必要な経費
水域環境保全創造事業の実施に必要な経費については、公害防止事業費事業者負担法(昭和45年法律第133号)の規定により事業者負担金を負担させるべき事業者がいる場合には、当該事業者負担金を除いたものとする。

第4 施設の管理及び処分等

漁港施設の管理については、漁港漁場整備法に定めるところによるもののほか、第1の4の(1)のアの機能保全計画に基づく日常管理を実施するものとし、漁場施設等(漁場の施設及び漁場の保全のための事業により整備された施設をいう。以下同じ。)の管理については、次に定めるところによる。

1 管理の方針
漁場施設等は、その設置目的に応じて最も効率的に運用するため、必要に応じて修繕、改築、改良、追加工事等を行い常に良好な状態において管理運営するものとする。

2 管理の主体

(1)漁場施設等の管理は、原則として、実施要領第4の1の規定に基づき作成する事業基本計画によって確定した事業主体がこれを行うものとする。

(2)事業主体は、実施要領第4の1の規定に基づき作成する事業基本計画に漁場施設等の整備が含まれる場合には、当該漁場施設等に係る管理運営計画(以下「漁場施設等管理運営計画」という。)を別記様式第8号に従い作成するものとする。この場合において、事業主体が市町村又は漁業協同組合等の場合にあっては、当該漁場施設等管理運営計画を都道府県知事に提出するものとする。

(3)都道府県知事は、実施要領第4の3の規定に基づき承認申請を行う場合には、(2)の規定により作成し又は提出された漁場施設等管理運営計画を水産庁長官に提出するものとする。

(4)事業主体が直接管理を行い難いとき、又は事業主体が漁場施設等の効率的運用の観点から適当と認める場合には、その管理を事業主体以外の地方公共団体(海岸管理者及び漁港管理者を含む。)又は当該施設により直接受益する漁業協同組合等若しくはこれが組織する団体に対し委託により行うことができるものとする。
この場合、事業主体の長は、所定の手続きにより定めた管理規程に基づき、あらかじめ管理の委託を受ける者と、管理を委託する施設の種類、所在、委託管理の期間、管理方法及び管理の委託を受ける者の権利、義務等必要な事項について協議し、委託契約を結ぶものとする。なお、再委託は禁止するものとする。

3 管理の方法

(1)事業主体の長は、その管理する漁場施設等について、所定の手続きにより管理規程を定め適正な管理を行うものとする。

(2)管理規程には次に掲げる事項のうち、漁場施設等の実情に応じて必要事項を明記するものとする。

ア 目的

イ 漁場施設等の種類、構造、規模及び型式

ウ 漁場施設等の設置個所

エ 管理責任者

オ 漁場施設等の管理に関する事項

カ 設置後の漁場利用に関する事項

キ 利用が複数の漁業協同組合にわたるときは漁場管理に係る協議会に関する事項

ク その他必要な事項

(3)事業主体の長は、漁場施設等の管理の状況を明らかにし、その効率的な運用を図るため、事業実施個所ごとに、漁場施設等財産台帳を整備し、必要に応じ漁場施設等運営日誌を整備するものとする。

(4)2の(4)の規定により漁場施設等の管理を委託されている者は、事業実施個所ごとに、漁場施設等管理台帳を整備するものとし、必要に応じ漁場施設等運営日誌を整備するものとする。

(5)都道府県知事は、毎年度の施設の管理及び漁場の利用状況等を把握して、翌年度の7月末日までに別記様式第9号の漁場施設等管理・運営状況報告書を水産庁長官に提出するものとする。

4 管理運営の変更
事業主体の長は、その管理する漁場施設等について、自然的・社会経済的な諸条件の変化等のため著しく低利用になっているもの、未利用に至っているもの等やむを得ない場合にあっては、漁場施設等の効率的利用を図るため、漁場施設等管理運営計画の見直しを行い、別に定めるところにより管理運営改善計画を作成し、水産庁長官(沖縄県にあっては、沖縄総合事務局長)に協議するものとする。この場合において、事業主体が市町村又は漁業協同組合等の場合にあっては、都道府県を経由して行わなければならない。

5 漁場施設等の処分等

(1)補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律179号)第22条の規定に基づき、都道府県知事がその管理する漁場施設等を譲渡し、交換し、又は貸し付けようとする相手方は、その漁場施設等の所在を管轄する地方公共団体又はその漁場施設等により直接受益する漁業協同組合等に限るものとする。

(2)事業主体の長は、天災その他の事故により、その漁場施設等に損害を生じたときは、直ちに漁場施設等被害報告書(別記様式第10号)を水産庁長官(沖縄県にあっては、沖縄総合事務局長)に提出するとともに、その後の措置について打ち合わせるものとする。この場合において、事業主体が市町村又は漁業協同組合等の場合にあっては、都道府県を経由して提出しなければならない。
 ただし、漁業用施設災害復旧事業事務取扱要領(昭和59年9月28日付け59水振第2339号農林水産事務次官依命通知)第7の規定に基づく災害報告書を提出した場合はこの限りでない。

(3)事業主体の長は、その漁場施設等をその設置目的に応じて最も効果的に運用するため、増築、改築、移築、移転又は改良(ただし、改良にあっては第1の1から3までの事業で行う場合を除く。)しようとするときは、漁場施設等増築(又は改築、移築、移転、改良)届(別記様式第11号)を水産庁長官(沖縄県にあっては、沖縄総合事務局長)に提出するものとする。この場合において、事業主体が市町村又は漁業協同組合等の場合にあっては、都道府県を経由して提出しなければならない。

第5 漁場施設等の運営管理上の指導監督

1 都道府県は、事業主体の長(都道府県知事を除く。)が定める管理規程の作成及び漁場施設等管理運営計画の樹立に当たり、適正な助言指導を行うものとする。

2 都道府県は、漁場施設等の運営管理の状況を把握し、漁場施設等が補助の目的に従って適正かつ効率的に運営されるよう、適時に実地検査を行い適切な指導監督を行うものとする。

3 都道府県は、事業主体の長(都道府県知事を除く。)が、関連書類の整備、漁場施設等の管理、漁場施設等の処分等に関し、この運用に従って適切に措置するよう十分指導監督するものとする。

第6 事業の効果等に関する報告

 事業主体は、実施要領第8に規定する事業の効果等に関する報告は次の1から5までのいずれかに掲げる場合は水産庁長官に提出するものとする。また、次の1から3の再評価及び水産庁が行う事業評価の結果を踏まえ、事業の全部を、廃止し又はその施行を停止した場合は、水産庁長官に届け出ることとする。なお、事業主体が複数の事業の場合は、事業主体が共同して行うことができる。ただし、事業主体が市町村又は漁業協同組合等のみの事業の場合にあっては、都道府県を経由して行うものとする。

1 事業採択後10年を経過した時点で継続中となる事業実施地区については、10年を経過した時点及び当該年度から起算して5年ごとに再評価の検討に関する報告を別記様式第10号により行うものとする。当該事業実施地区が10年を超えて継続する場合は、直近に報告を行った年度から起算して5年ごとに同様の報告を行うものとする。

2 事業採択後、5年を経過した時点で未着工の事業があった場合、再評価の検討に関する報告を別記様式第10号により行うものとする。

3 1及び2に掲げる他、漁業情勢の急激な変化等により事業基本計画等の見直しの必要性が生じた場合であって次の(1)から(3)までのいずれかに掲げる場合には、適宜、再評価の検討に関する報告を別記様式第12号により行うものとする。

(1)計画策定時に基礎とした漁業情勢、漁港施設の利用状況、漁業集落の概況と生活環境施設の現状等の指標について、著しい変化が見られる場合であって、次のアからウまでのいずれかに掲げる場合。

ア 地震や台風等の災害等予期せぬ事態が発生した等、全面的な計画の見直しが必要となった場合。

イ 計画の途中で、漁業情勢の大きな変化等により、その漁港の整備の必要性及び有効性に問題が生じ、全面的な見直しが必要となった場合。

ウ 事業の是非を問う住民投票の実施、周辺環境に対する新たな影響の懸念が生じた等、現計画のままでの事業実施に問題が生じ、全面的な計画の見直しが必要となった場合。

(2)予期しなかった設計条件等の変化により、現計画の全体事業費が著しく増減する場合。

(3)その他、事業実施の妥当性の検討を行うべきと認められる場合。

4 総事業費10億円以上の事業実施地区については、事業完了後、一定期間(おおむね5年)経過後、事後評価に関する報告を別記様式第13号により行うことに努めるものとする。

5 その他国が必要と認めた場合、当該事業の効果等に関する報告を行うものとする。

第7 その他

1 第3の1のただし書きについては、昭和62年度以降新たに着手する事業から適用するものとする。

2 水産基盤整備事業により設置された魚礁については、漁業調整その他公益上支障がなく、漁業生産力の発展に資すると認められる場合には、つきいそ漁業権を設定しても差し支えない。
 なお、設定位置については、原則として既存の漁業権漁場内に限る等の配慮を行うものとし、設定に当たっては遊漁との調整にも十分配慮するものとする。

3 第1の1の(1)のコにおける富裕団体に係る規定は、平成元年度以降新たに着手する事業から適用(離島地域を除く。)するものとする。

 

附則

1 平成13年度において、実施要領第2の1の(1)又は(2)のアの規定に基づき実施する特定漁港漁場整備事業以外の事業は、第9次漁港整備長期計画の策定等について(平成6年4月1日付け6水港第799号農林水産事務次官依命通知。以下「漁港整備長期計画」という。)第1の5の(1)の①のイの事業を実施するものとみなす。

2 実施要領の施行の際現に実施している廃止前の沿岸漁場整備開発事業実施要領(昭和51年9月6日付け51水漁第4384号農林事務次官依命通知。以下「旧要領」という。)別表の事業、漁港整備長期計画第1の5の(1)の①に掲げる事業及び漁港環境整備事業実施要領(昭和55年5月12日付け55水港第439号農林水産事務次官依命通知)第3の2に規定する事業は、実施要領に基づき実施している事業とみなす。

3 沿岸漁場整備開発事業の運用について(昭和51年9月6日付け51水漁第4460号水産庁長官通知。以下「旧通知」という。)は廃止する。ただし、この通知の施行前に旧通知の規定により行うこととされている報告等については、なお、従前の例による。

4 旧要領の規定に基づく魚礁設置事業又は海域礁設置事業により設置した施設、増殖場造成事業、磯根漁場造成事業又は海域高度利用システム導入事業により設置した施設、養殖場造成事業又は沖合養殖施設設置事業により設置した施設及び沿岸漁場保全事業により設置した施設は、それぞれ実施要領の規定に基づく水産基盤整備事業で設置した魚礁、増殖場、養殖場及び漁場の保全のための事業により整備された施設とみなす。

5 旧通知に基づき定め又は作成した管理規程、沿岸漁場整備開発事業施設財産台帳、沿岸漁場整備開発事業施設管理台帳、沿岸漁場整備開発事業施設運営日誌及び管理運営改善計画は、それぞれこの通知に基づき作成した管理規程、漁場施設等財産台帳、漁場施設等管理台帳、漁場施設等運営日誌及び管理運営改善計画とみなす。

6 漁港利用調整事業実施要領の運用(昭和62年8月31日62水港第2615号水産庁長官通知。以下「旧利用調整通知」という。)及び漁港利用調整事業の取扱いについて(昭和62年8月31日62水港第2617号水産庁長官通知)は、廃止する。ただし、この通知の施行前に旧利用調整通知の規定により行うこととされている報告等については、なお、従前の例による。

7 平成18年度に実施要領に基づいて現に実施されている事業の事業基本計画については、第2の2の(2)の規定にかかわらず、平成21年度末までに圏域計画の届出があった場合は、適合した事業基本計画と見なす。

8 農林漁業用揮発油税財源身替漁港関連道整備事業の取扱いについて(昭和40年8月19日付け40水港第3059号水産庁長官通知。以下「取扱い」という。)は廃止する。ただし、この通知の施行の際、現に実施している取扱いの規定により行うこととされている報告等については、なお従前の通りとする。

 

附則(平成16年3月30日15水港第3292号)

 この通知の施行前に旧通知又は旧利用調整通知の様式により作成した事業基本計画、全体事業計画は、この通知に基づき作成した事業基本計画、全体事業計画とみなす。

 

附則(平成20年3月31日19水港第2892号)

 この通知の施行前に作成した事業基本計画は、なお従前の例による。

附則(平成21年3月27日20水港第2607号)

 この通知の施行前に旧通知により作成した事業基本計画は、この通知に基づき作成した事業基本計画とみなす。

 第1の1の(2)のなお書きの規定、並びに第1の2の(2)のイの(ウ)及び第1の3の(1)のイの(ウ)の規定は、この通知の施行前に漁港漁場整備法に基づき施行された特定漁港漁場整備事業及び実施要領に基づき策定された事業基本計画(この通知の施行後に変更されたものは除く。)による整備については適用しない。


〔別記様式〕(PDF:203KB)

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