このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

離島漁業再生支援交付金実施要領

  • 印刷

 

本通知の第6の4には機種依存文字が含まれているため、当該文字は変換して表示しています。
変換前の文字をご確認される場合はこちらをご覧下さい。(PDF:142KB)

16水漁第2356号
平成17年4月1日

関係都道県知事あて
沖縄総合事務局長あて

農林水産事務次官


第1 趣旨
離島は、一般に輸送、生産資材の取得など、販売・生産の面で不利な条件にあり、近年、消費者の鮮度志向が強まる中で、特に、販売面での不利が決定的なものとなりつつある。
また、漁業が基幹産業である離島においても、漁業者の減少や高齢化が進んでいるが、これまで、離島の漁業者が海域環境を適切に管理・保全することにより、周辺水域の有効利用を図ってきており、このまま放置すれば、漁場の活用が十分に行われないだけでなく、本土の漁業者にとっての前進基地としての機能も失われていく懸念がある。
こうした厳しい状況にある離島漁業の再生を図るためには、本土に比べ比較的優位にあり、離島にとって大切な地域資源である漁場の生産力の向上を図りつつ、各島の特色を生かした地域の創意工夫により、その最大限の活用を行う必要がある。
このため、漁業の基盤となる漁場の生産力の向上や利用に関する話し合いを通じて、必要な場合には、既存の慣行を見直し、漁場の合理的な利用や新たな取組を行うための環境を整えるとともに、漁場の生産力の向上や集落の創意工夫を活かした新たな取組を促進する必要があることから、その取組を下支えするために、以下に定めるところにより、離島漁業再生支援交付金を実施するものとする。
平成16年8月には、水産業・漁村の多面的機能に関し、内容及び評価について日本学術会議の答申が得られたところであるが、湧昇流に恵まれ、自然海岸や藻場が残る離島周辺の海域は、我が国にとって貴重な漁場であるとともに、良好な自然環境を有しており、本事業の実施による離島漁業の再生を通じて、離島の水産業・漁村において、特に高い機能を発揮している良好な海域環境の保全や国境監視といった多面的機能の維持増進が図られることになる。
第2 離島漁業再生支援の基本的考え方
1 基本的考え方
(1) 販売・生産の面で不利な条件にある離島地域の漁業集落において、漁業の再生を図る観点から、既存施策との整合性を図りつつ、対象地域、対象漁業集落、対象行為等を定める。
(2) 交付金の交付は、生産性の向上、付加価値の向上等による漁業収益の向上等により、条件が不利な離島における漁業再生活動(漁場の生産力の向上と利用に関する話合い、漁場の生産力の向上に関する取組(種苗放流、藻場・干潟の管理・改善、産卵場・育成場の整備、水質維持改善、植樹・魚つき林の整備、海岸清掃、海底清掃、漁場監視等)であって、集落の創意工夫を活かした新たな取組を含むものをいう。以下同じ。)の自律的かつ継続的な実施が可能となるまで実施する。
2 推進上の留意点
漁業再生活動の継続を実効性のあるものにしていくためには、地方公共団体の役割が重要であり、国と地方公共団体が密接な連携の下に実施していくことが必要である。
第3 交付金の仕組み
国は、第4の対象地域のうち第6の3の集落協定に基づき協定期間内を通じて漁業再生活動を行う第6の1の対象漁業集落に対し、市町村を通じ交付金を交付するのに必要な経費につき、都道府県が当該市町村に対し当該経費の額を支払うためあらかじめ資金を積み立てるのに必要な経費を支出するものとする。
第4 対象地域
交付金の交付対象となる地域(以下「対象地域」という。)は次の1又は2に掲げる地域とする。
1 次の(1)から(4)までのいずれかに該当する地域であって、本土から一定距離以上(航路時間でおおむね30分以上(平水区域(船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)第1条第6項に定められた平水区域のうち本土と接しているものをいう。2において同じ。)内は本土から航路距離が15km以上、その他の区域は本土から航路距離が10km以上))離れている離島の地域(以下「一般離島」という。)。
(1) 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定に基づき指定された離島振興対策実施地域(本土と架橋により結ばれている離島及びそれに準ずる離島(本土から航路距離が原則として1km未満)は除く。)
(2) 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第1号に規定する沖縄
(3) 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島
(4) 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第2条第1項に規定する小笠原諸島
2 1の(1)から(4)までのいずれかに該当する地域であって、本土から一定距離未満(航路時間でおおむね30分未満(平水区域内は本土から航路距離が15km未満、その他の区域は本土から航路距離が10km未満))の離島の地域について、地理的・経済的・社会的な不利性等が高いとして、都道府県知事が客観的なデータに基づき特に認めた離島の地域(以下「特認離島」という。)。
第5 市町村離島漁業集落活動促進計画
市町村長は、交付金の交付を円滑に実施するため、地域の実情に即し、市町村離島漁業集落活動促進計画(以下「促進計画」という。)を次に掲げるところにより策定する。
1 促進計画は次に掲げる事項を内容とする。
(1) 趣旨
(2) 対象区域、漁業集落及び地域の漁業の現状
(3) 漁業の振興方向に関する目標
(4) 集落協定の共通事項
(5) 集落相互間の連携
(6) 関係機関との連携
(7) 交付金の使用方法
(8) 交付金の返還等
(9) 集落協定等の公表
(10) 取組状況等の評価
(11) その他必要な事項
2 促進計画は、原則として平成21年度までの計画とする。
3 市町村長は、促進計画を策定し、又は変更しようとするときは、水産庁長官が別に定めるところにより都道府県知事にその認定を受けるものとする。
第6 支援の実施
1 対象漁業集落
交付金の交付対象となる集落(以下「対象漁業集落」という。)は、集落協定に基づき、計画期間を通じて漁業再生活動を行う(1)から(5)までのすべてを満たす集落をいう。
(1) 水産庁長官が別に定めるところに従い、代表者、組織、地区及び運営についての規約を定めたものであること。
(2) 地区の全部が対象地域に含まれるものであること。
(3) 地区が、漁業センサスの漁業集落の定義に該当するものであること。
(4) 主業的漁業世帯(専業又は第1種兼業漁業世帯のうち、基幹的漁業従事者(経営体のなかで、海上作業従事日数が最も多いもの)が65才未満の漁業世帯)を含む地区内に居住する3以上の漁業経営体からなる組織(漁業生産・加工・流通のいずれかで、漁業経営に必要な共同作業(共同作業については、水産庁長官が別に定めるところによる。)を一つ以上行うものに限る。以下「中核的グループ」という。)であって、当該漁業集落において中核となりうるものを含むものであること
(5) 10の(1)のアからウまでに該当するものでないこと。
2 対象行為
交付金の交付の対象となる行為(以下「対象行為」という。)は、集落協定に基づき、計画期間を通じて行われる漁業再生活動とする。
3 集落協定
対象漁業集落は、促進計画に即し、集落協定を次により策定する。
(1) 集落協定は次に掲げる事項を内容とする。
ア 目的
イ 代表者、構成員の氏名及び住所、協定対象漁業世帯数(当該事業年度の4月1日現在の対象漁業集落における漁業世帯数として市町村が認めたものをいう。)並びに集落協定の管理体制及び中核的グループ
ウ 計画期間
エ 対象漁業集落の地区及び対象とする海域
オ 対象漁業集落の目標
カ 対象漁業集落の漁業の現状と今後の方向
キ 漁場の生産力の向上に係る取組に関する事項
ク 創意工夫を活かした新たな取組に関する事項
ケ 交付金の使用方法
コ 連絡体制
サ その他必要な事項
(2) 集落協定は、原則として5年間の計画とする。
(3) 対象漁業集落は、集落協定を策定し、又は変更しようとするときは、水産庁長官が別に定めるところに従い市町村長にその認定を受けるものとする。
4 交付額
(1) 一対象漁業集落あたりの交付額は、(2)に定める交付額(以下「交付基本額」という。)に協定対象漁業世帯数を乗じ25で除して得た額とする。
(2) 国の交付金による交付基本額は、表中の(ア)とする。
なお、地方公共団体において、国の交付金と連携して一体的に交付金の交付を行うことを前提に、所要の地方財政措置が講じられている。
また、地方公共団体が、国の交付金と連携して一体的に交付金の交付を行う場合の交付基本額は、表中の(イ)とする。

区分 (ア)国の交付金による交付基本額 (イ)国の交付金と連携して一体的に地方公共団体が行う場合の交付基本額
第4の1の一般離島 170万円 340万円
第4の2の特認離島 113.3万円 340万円


注1)交付基本額は、離島における漁業集落の平均漁業世帯数25世帯を標準として定めたものである。
注2)特認離島については、国費は一般離島分に2/3を乗じた額を交付するものとする。
5 事務の委託
対象漁業集落は、交付金に係る事務の一部又は全部を漁業協同組合その他の者に委託することができることとする。
6 実施状況の報告
対象漁業集落は、毎年度、集落協定に定められている事項の実施状況について水産庁長官が別に定めるところにより市町村長に報告するものとする。
7 実施状況の確認
(1) 市町村長は、集落協定に定められている事項の実施状況について確認する。
(2) 確認事務の実施体制等については水産庁長官が別に定めるところによる。
8 交付金の返還等
(1) 対象漁業集落において集落協定で定められている事項が遵守されていない場合には、市町村長は、水産庁長官が別に定める基準により交付金の返還等の措置を講ずることとする。
(2) 都道府県知事及び市町村長は、対象漁業集落が交付金を返還するような事態を防止するため、集落協定で定められた事項が遵守されるよう指導することとする。
9 証拠書類の保管
(1) 市町村長は、交付金の交付申請の基礎となった証拠書類及び交付に関する証拠書類を交付金の交付を完了した日から起算して5年間保管しなければならない。
(2) 交付金の交付を受けた対象漁業集落は、会計経理を適正に行うとともに、交付を受けた日から起算して5年間経理書類を保管しなければならない。
10 交付金の交付の終了
(1) 交付対象となった対象漁業集落が、次のいずれかの状況に至ったと判断される場合には、交付金の交付を終了する。
ア 対象漁業集落の中で、担い手、高齢者、兼業者等の役割分担が定着し、本交付金の交付がなくても、漁業再生活動の継続が可能となると判断される場合
イ 対象漁業集落において、漁業就業者一人当たりの平均漁業所得が同一都道府県内の都市部の勤労者世帯の有業者一人当たりの平均勤め先収入を上回る状態となった場合
ウ 漁業生産が活性化することにより、対象漁業集落の地区内の漁業就業者人口が一時的ではなく、継続的に一定程度の増加が見られるようになった場合(集団移転等特別な場合を除く。)
(2) 交付対象となった対象地域(離島又は市町村ごとに判断する。)が、次のいずれかの状況に至ったと判断される場合には、交付金の交付を終了する。
ア 対象地域内のほとんどの対象漁業集落で市町村が定めた目標を達成し、対象地域内のほとんどの対象漁業集落で(1)のような状態となると認められる場合
イ 本土との架橋の完成等により、離島振興法の指定が解除される等、本土との条件不利性がなくなったと認められる場合
第7 関係機関との連携
国、都道府県、市町村及び対象漁業集落は、本事業を海上保安部、漁業協同組合連合会、漁業協同組合その他の関係機関と連携しつつ行うものとする。
第8 実施期間
実施期間は平成17年度から平成21年度までの5年間とする。
第9 助成措置
国は毎年度、予算の範囲内において、市町村を通じ交付金を交付するのに必要な経費のうち、都道府県が当該市町村に対し当該経費の額を支払うためあらかじめ資金を積み立てるための経費(第6の4により算定された額に相当する額)を支出するものとする。
第10 交付金の交付実績の報告
市町村長は、毎年度、4月末日までに前年度の交付金の交付実績を都道府県知事に報告し、都道府県知事は報告をとりまとめの上、5月末日までに水産庁長官(沖縄県にあっては沖縄総合事務局長)に提出しなければならない。
第11 実施状況の公表
市町村長は、集落協定を認定した場合には、その概要を公表する。また、国、都道府県及び市町村は毎年集落協定の締結状況、各漁業集落に対する交付金の交付状況、集落協定による漁業再生活動等の実施状況等を当該実施年度の翌年度の6月末日までに公表する。
第12 交付金交付の評価
1 市町村長は集落協定の取組状況等を評価し、その結果を都道府県知事に報告することとする。
2 都道府県知事は市町村長からの報告内容を、評価するとともに、その結果を水産庁長官に(沖縄県にあっては沖縄総合事務局長を経由して)報告することとする。
3 水産庁長官は都道府県知事の報告を受け、評価し、これを公表する。
第13 委任
交付金の実施に関し必要な事項は、この要領に定めるもののほか、水産庁長官が別に定める。

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader