臨床研修目標の制定について
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5畜A第191号
平成5年3月25日
都道府県知事あて
獣医科大学の診療施設開設者あて
農林水産省畜産局長
1 目的
臨床研修は、獣医師が、適切な指導体制のもとに、獣医学教育課程において修得した獣医学に関する知識、技能を臨床実務に応用できるものとして体系化し、獣医学の進歩に対応して自ら診療能力を開発しうる基礎を養うとともに、獣医療に対する社会的要請についての理解を深めること等により、臨床技術の向上を図ることを目的とする。
2 一般目標
(1)獣医学教育課程において修得した獣医学に関する知識・技能を臨床実務に応用できるものとして体系化する。
(2)科学的思考力、応用力、判断力を身につける。
(3)暖かい人間性と広い社会性を身につける。
(4)臨床経験を通じ、総合的視野、想像力を身につけ、獣医師としての社会的責務を果たす能力の向上を図る。
(5)飼育動物の飼養者の獣医療に対する要望並びに飼育動物に関する保健衛生及び公衆衛生指導の対応を学ぶ。
(6)獣医療における経済性を学ぶ。
3 研修内容
臨床研修においては、実際の臨床例の診療等を通じ、以下の項目を修得し、その体系化を行うことを目標とする。
(1)基本的診察法
[1]りん告(病歴、症状、経過等)の聴取法
[2]視診、打診、聴診等の診察法
(2)基本的検査法
次の基本的検査法について適応を決定するとともに必要に応じて自ら検査を実施し、結果を解釈できることとすること。
[1]血液検査(血液一般検査、血液生化学的検査等)
[2]理学的検査(超音波検査、エックス線検査等)
[3]その他の検査(尿検査、ふん便検査、細菌検査等)
(3)基本的治療法
薬剤の処方、化学療法、輸液療法等の基本的治療法について、適応を決定し、実施できることとすること。
(4)基本的手技
保定、注射法、滅菌消毒法、子宮洗浄、分娩介助法等の基本的手技について適応を決定し、実施できることとすること。
(5)基本的外科手術
基本的外科手術(麻酔法等を含む。)について、適応を決定し、実施できることとすること。
(6)病理解剖
必要に応じて自ら実施し、結果を解釈できることとすること。
(7)診療計画・評価
必要な獣医療情報の収集、症例の検討により、総合的に問題を分析・判断し、評価ができることとすること。
(8)文書記録
診療簿、検案簿等の文書を適切に作成し、管理できることとすること。
(9)保健衛生指導
飼料給与、消毒、ワクチンの選択、飼育に係る衛生管理の方法等について、適切な指導方法が決定できることとすること。
(10)公衆衛生指導
動物用医薬品の畜水産物への残留、人と動物の共通感染症による人の健康危害等の防止に関する公衆衛生上の指導が適切にできることとすること。
(11)飼育動物の飼養者との関係
飼育動物の飼養者との良好な人間関係のもとで問題に対処できることとすること。
(12)獣医療関係者との関係
獣医師、家畜人工授精師等の獣医療関係者と協調・協力し、的確に情報を交換し問題に対処できることとすること。
(13)獣医療の社会・経済的側面
獣医療に関する法規、制度、地域の畜産事情、動物福祉、獣医療事故に対する対応等を学び、獣医療の社会・経済的な側面に対応できることとすること。