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農林水産省

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アイヌ農林漁業対策事業実施要領の制定について

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51構改B第1339号
昭和51年6月12日
最終改正:平成18年3月31日 17経営第7265号

北海道知事あて

農林事務次官依命通知



(別紙) アイヌ農林漁業対策事業実施要領
第1 方針
1.事業の目標
北海道において、生活環境、就業条件等の安定向上を図ることが必要なアイヌ系住民の居住地区(以下「アイヌ系住民居住地区」という。)における農林漁業は、他の地区に比し、経営規模が零細で生産性が低く農林漁家の所得及び生活水準は低位にある。
このためアイヌ系住民居住地区において農林業生産基盤の整備及び農林漁業経営の近代化のための施設の整備を行い、もって当該地区におけるアイヌ系農林漁家の経営の改善と経済的地位の向上に資するものとする。
2.他の施策との関連
本事業は、農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)等による関連諸制度との調和を図るとともに、農林漁業の振興、就業機会の増大等に関する各種の施策との関連又はその活用に配慮して推進するものとする。
第2 措置
1.アイヌ農林漁業対策基本方針
(1) 北海道知事(以下「知事」という。)は、本事業の目標を達成するための指針としてアイヌ農林漁業対策基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
(2) 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
ア.農林業生産基盤の整備及び農林漁業経営の近代化のための施設の整備の方向に関する事項
イ.農林漁業経営の改善に関する事項
ウ.その他農林漁業等の振興に関する重要な事項
(3) 基本方針の作成に当っては、他の農林漁業の振興が促進されるよう配慮するものとする。
(4) 知事は、基本方針を定めようとするときは、関係農林漁業団体等の意見を聴くとともに、あらかじめ農林水産省経営局長(以下「経営局長」という。)に協議するものとする。
(5) 知事は、経済事情等の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、(4)に準じて基本方針を変更するものとする。
(6) 知事は、基本方針を定め、又は変更したときは、これを関係市町村長に通知するものとする。
2.事業の対象地区等
(1) 事業実施対象地区
本事業は、アイヌ系住民居住地区のうちアイヌ系農林漁家の戸数が原則として10戸以上ある地区(以下「事業対象地区」という。)を対象として実施するものとする。
(2) 事業計画の樹立
ア.市町村長は、基本方針に基づき、事業対象地区内の農林漁家の自主的な意向を尊重して、アイヌ農林漁業対策事業実施計画(以下「事業計画」という。)を樹立するものとする。
イ.事業計画は、次に掲げる事項を定めるものとする。
(ア) 事業対象地区の農林漁業の振興のための基本構想
(イ) 本事業により整備される農林業生産基盤等の受益農林漁家(以下「受益農林漁家」という。)の経営改善目標(以下「目標」という。)に関する事項
(ウ) 農林業生産基盤の整備に関する事項
(エ) 農林漁業経営近代化施設の整備に関する事項
(オ) その他農林漁業の振興に関する必要な事項
ウ.イの(イ)の目標については、(3)のイの事業計画の承認のあった年度から5年度目を目標年度とする。
(3) 事業計画の承認
ア.市町村長は、事業計画を樹立したときは知事に提出して承認を受けるものとする。
イ.知事は、アの申請に係る事業計画が次の要件を満たしていると認めたときは、関係農林漁業団体等の意見を聴くとともに、あらかじめ経営局長に協議して、当該事業計画の承認をするものとする。
(ア) 基本方針に即し、事業対象地区における農林漁業経営の健全な育成及びアイヌ系農林漁家経済の安定的向上を図るものであること。
(イ) 事業対象地区内の農林漁家の総意に基づくものであり、かつ、本事業の内容が技術的、資金的その他の見地から実施可能なものであること。
3.事業の実施
本事業は、市町村、土地改良区、農業協同組合、森林組合、生産森林組合、漁業協同組合、農林漁業者の組織する団体等(以下「事業主体」という。)が所要の手続を経て、事業計画に基づいて実施するものとする。
なお、本事業については、統合補助事業として実施するものとする。
4.助成等
(1) 国は、毎年度予算の範囲内において、2の(3)のアの承認を受けた事業計画に基づく次に掲げる事業を実施するに必要な経費につき、その3分の2以内を補助するものとする。
ア.農林業生産基盤整備事業
イ.農林漁業近代化施設整備事業
ウ.特認事業
(2) 国は、毎年度予算の範囲内において、(1)に係る事業計画の樹立の指導及び事業の実施の指導等に要する経費につき、その2分の1以内を補助するものとする。
(3) 事業主体(市町村を除く。)は、補助残額について、農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)、農業近代化資金融通法(昭和36年法律第202号)、又は漁業近代化資金融通法(昭和44年法律第52号)の定めるところにより、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金又は漁業近代化資金の融通を受けることができるものとする。
(4) 統合補助事業の実施に当たっては、知事は、農林水産省経営局長と協議の整った事業計画に基づき配分された予算の枠内において、自らの裁量により地区別配分及び地区間の経費の流用ができるものとする。
5.事業の実施後の措置
(1) 施設等の管理
事業主体は、本事業により整備した農用地、農林漁業近代化施設等の管理が当該事業の趣旨に即して適正に行われるよう努めるものとする。
(2) 目標の到達状況報告
ア.2の(3)のイにより、事業計画の承認を受けた市町村長(以下「計画主体」という。)は、事業実施年度の翌年度から目標年度までの間、各年度ごとに目標の到達状況を調査し、知事に報告するものとする。
イ.知事は、アの計画主体からの報告を受けた場合には、その内容を点検し、目標の到達状況が立ち後れていると判断した場合等は、当該計画主体等に対して適切な措置を講じるものとする。
ウ.知事は、アの計画主体からの報告を取りまとめ、経営局長に提出するものとする。
エ.アの提出期限は、調査年度の翌年度の4月末日までとし、ウの提出期限は、同年度の5月末日までとする。
(3) 事業の評価
ア.計画主体は、目標年度までの各年度における目標の到達状況に基づき事業評価を行い、その結果を知事に報告するものとする。
イ.知事は、アの計画主体からの報告を受けた場合には、その内容を点検評価し、その結果を経営局長に提出するとともに、必要に応じ当該評価結果を踏まえ、計画主体等を指導するものとする。
ウ.アの提出期限は、調査年度の翌年度の5月末日までとし、イの提出期限は、同年度の7月末日までとする。
(4)環境と調和のとれた農業生産活動の促進
事業主体は、「環境と調和のとれた農業生産活動規範について」(平成17年3月31日付け16生産第8377号農林水産省生産局通知)に基づき、原則として、目標の到達状況報告の報告期間中に1回以上、整備した施設等を利用する農家から、点検シートの提出を受け、点検を実施した旨を確認するものとする。
ただし、施設等を利用する農家が不特定多数である等、点検シートの提出を受ける農家の特定が困難な場合は、この限りではない。
6.指導推進等
(1) 市町村長は、事業計画を樹立する場合及び当該事業主体が本事業を実施する場合は、事業対象地区内の農林漁家の意向を十分に徴するとともに関係農林漁業団体との密接な連携を保つものとする。
(2) 知事は、本事業の実施が適正かつ円滑に行われるよう助言指導を行うものとする。
7.その他
この要領に定めるもののほか、本事業の実施に関し必要な事項は、別に定める。
附則 この改正された要領は、平成18年3月31日から施行する。ただし、平成18年4月1日から適用する。