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農林水産省

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農林水産航空事業実施ガイドライン(平成16年4月20日付け)


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平成16年4月20日付け 16消安第484号
最終改正:令和5年3月30日付け4消安第7027号

消費・安全局長通知

1 趣旨

農林水産航空事業(以下「事業」という。)は、有人ヘリコプターの病害虫防除や水稲直播への利用により、病害虫防除コストの低減、労働力の軽減、いもち病等地域全体で発生する病害虫の効率的かつ確実な防除等を推進し、農産物の安定供給に寄与する重要な役割を果たしている。
また、食の安全に対する国民の関心が一層高まる中で、安全な食料を安定的に供給していくため、農薬についても安全かつ適正な使用の確保を図ることが一層重要となっている。
こうしたことから、「農林水産航空事業の実施について」(平成13年10月25日付け13生産第4543号農林水産事務次官依命通知。以下「次官通知」という。)により農林水産航空事業を実施するに当たっては、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(平成15年農林水産省令・環境省令第5号)を踏まえつつ、関係者一同の連携強化の下に、特に、次の事項に留意し、実施現場へ周知徹底を図ることにより、農薬の空中散布をはじめとする事業の円滑かつ適切な実施を図る。 

2 「次官通知」の2に定める県対策協議会及び地区対策協議会の機能の充実

(1)県対策協議会においては、事業の円滑かつ適切な実施を図るため、以下の点に留意するよう努める。

  • [1] 協議会構成員には、都道府県の農林水産関係部局等のほか、環境(河川関係を含 む。)、衛生(水道関係を含む。)、教育、警察等の関係部局の関係者を含め、体制の充実及び相互の連携強化を図ること。
  • [2] 適切な事業計画の検討を行うこと。
  • [3] 危害防止対策として、設定された散布区域、選定された農薬等の点検・確認の徹底を図ること。

 (2)地区対策協議会においては、事業の円滑かつ適切な実施を図るため、以下の点に留意するよう努める。

  • [1] 協議会構成員には、その実施区域に係る畜産、水産、養蜂、養蚕、葉たばこ産業等団体の関係者に加え、保健所、市町村、学校(教育委員会)、警察、病院、水道、地元自治会等の関係者を広く含めるとともに、相互の連携強化を図ること。
  • [2] 航空防除実施区域周辺を含む地理的状況、農業地域における住宅地の混在、転作田の混在等の作業環境に係る変化に十分対応できるよう、散布区域及び散布除外区域、散布薬剤の種類及び剤型等についての十分な検討を行うこと。また、事業計画の立案に際しては、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(昭和25年法律第175号)に基づき有機農産物に関する認証制度が創設され、平成13年4月から有機表示の規制が開始されたことを踏まえ、有機農産物の生産を希望する農家(以下「有機栽培農家」という。)の意向を的確に把握し、その立場に十分に配慮しつつ、散布区域、散布除外区域、散布方法等についての検討を行うこと。
  • [3] 水質保全の観点から、浄水場、取水口等の周辺地域に設定した散布除外区域の点検を徹底すること。
  • [4] 関係者の地域住民等に対する協力依頼を徹底するとともに、水質評価指針(平成6 年4月15日付け環境庁水質保全局長通知)、気中濃度評価値(平成9年12月22 日環境庁水質保全局公表)等を活用し、航空防除の安全性についての啓発を行うこと。
  • [5] 万一の事故に備え、あらかじめ保健所、病院等の医療機関と十分な連絡をとるとともに、緊急時に直ちに対応できるよう体制の整備を図ること。

3 事業に関する計画の取りまとめ及び公表について

「次官通知」の2の(1)に定める事業に関する計画の取りまとめ及び公表については、以下のとおりとする。

(1)事業計画の提出

  • [1] 農薬、肥料、種子等の空中散布及び農林水産業における物資の輸送(以下「空中散布等」という。)の実施主体(以下単に「実施主体」という。)は、事業の実施に当たって、毎年度事業計画(別記様式1)を作成し、県対策協議会に提出すること。
  • [2] 県対策協議会は、都道府県内の実施主体が作成した事業計画を取りまとめ、事業年度の開始前までに都道府県知事及び地方農政局長(内閣府沖縄総合事務局長を含む。以下「農政局長」という。)を経由して農林水産省消費・安全局長(以下「消費・安全局長」という。)に提出するほか、一般社団法人農林水産航空協会(以下「農水協」という。)に情報共有すること。

(2)事業計画の取りまとめ、公表等

  • [1] 消費・安全局長は、(1)により提出された事業計画を取りまとめ、その概要を公表すること。
  • [2] 消費・安全局長及び農政局長は、都道府県別の事業計画を備置すること。
  • [3] 消費・安全局長は、(1)により提出された事業計画を農林水産省内の関係局庁の長に情報提供すること。
  • [4] 県対策協議会は、事業の実施による蜜蜂被害の発生を防止するため、事業計画を都道府県の農薬指導担当部局に情報提供すること。
  • [5] [4]により情報提供を受けた都道府県の農薬指導担当部局は、実施主体と養蜂家との間における情報共有の徹底を図るため、当該情報を都道府県の畜産担当部局と共有すること。
  • [6] [5]により情報提供を受けた都道府県の畜産担当は、養蜂組合等の協力を得て、当該情報のうち必要な情報(農薬散布の実施予定日、作物名、実施市町村名、散布資材名等)を整理し、個々の養蜂家に対し、情報提供すること。

(3)事業計画の変更

事業計画に変更が生じた場合は、(1)及び(2)に準じて、速やかに変更事業計画の提出及び取りまとめ、公表等を行うこと。

(4)事業実施状況報告の提出

  • [1] 実施主体は、事業年度の終了後、毎年度事業実施状況報告(別記様式2)を作成し、県対策協議会に提出すること。
  • [2] 県対策協議会は、都道府県内の実施主体が作成した実績を取りまとめ、事業年度の終了後1か月以内に都道府県知事及び農政局長を経由して消費・安全局長に提出するほか、農水協に情報共有すること。

(5)事業実施状況報告の取りまとめ、公表等

  • [1] 消費・安全局長は、(4)により提出された事業実施状況報告を取りまとめ、その概要を公表すること。
  • [2] 消費・安全局長は、(4)により提出された事業実施状況報告を農林水産省内の関係局庁の長に情報提供すること。

(6)情報管理

このガイドラインに基づく情報提供に当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)、各都道府県が定める個人情報保護条例等に留意するものとする。

4 事業実施に当たっての留意事項

(1)都道府県、実施主体等をはじめとする関係者は、適期防除を推進するため、作物の生育状況や病害虫の発生状況に応じた航空防除を適正に実施するよう県対策協議会及び地区対策協議会の整備等、実施体制の強化に努める。

(2)航空事故及び農薬による危害の防止のため、実施主体及び地区対策協議会は、架線等の危険個所及び散布除外区域を示す正確な散布地図の作成(より現場の状況を正確に反映した新しい地図の使用)並びに危険個所及び散布除外区域を示す標識旗の適切な設置(設置本数及び設置場所)に努める。

(3)航空事故及び農薬による危害の防止のため、航空会社及び実施主体は、作業実施に関する十分な事前打合せ及びパイロット引継事項の確認並びに航空防除実施区域の地上及び空中からの事前の調査・確認の徹底に努める。
また、散布実施後においても、実施主体及び航空会社の間で意見交換等による意思の疎通及び散布に係る情報の共有を図り、次回散布の適正実施に努める。

(4)航空会社及び実施主体は、安全運航及び作業員の事故防止のため、適正なヘリポートの設置、テールローターへの接触防止等の安全対策の徹底に努める。

(5)防除効果の向上及び農薬による危害の防止のため、航空会社は、散布飛行基準の遵守に努める。

(6)農薬の飛散を防止するため、航空会社及び実施主体は、風向及び風速を計測し、次官通知別紙9の(1)に定める風速を超える場合は、散布の中止を徹底する。また、当該風速を超えない場合であっても、散布除外区域へ農薬が飛散することを防止するため、風向を考慮した散布を行う等必要な措置を講じるよう努める。
さらに、散布区域の周縁部から農薬を散布するとともに、散布除外区域への飛散低減効果が確認された片側散布飛行やDG(ドリフトガード)ノズルの使用等を積極的に行い、散布除外区域への農薬の飛散を一層防止するよう努める。

(7)農薬による危害防止のため、実施主体、地区対策協議会をはじめとする関係者は、引き続き以下の対策を確実に実施するよう努める。

  • [1] 航空防除実施区域周辺の住民、学校・病院等の公共施設等に対する、実施予定日時、区域その他散布内容に関する広報を徹底すること。
  • [2] 通勤・通学路における誘導員・監視員の適正な配置による防除実施時の実施区域内への人の立入防止を徹底すること。
  • [3] 基幹道路等の周辺から散布を行う等適切な散布順序を徹底すること。
  • [4]航空防除実施区域周辺において、飛来する農薬が原因となって有機農産物に関する認証が受けられなくなる等の防除対象以外の農作物への損害が生じないために必要な措置を徹底すること。
    特に、有機農産物に関する認証に支障を来すおそれがある場合には、適切な間隔をとる等必要な措置を徹底すること。
  • [5] 天候等により実施時間を変更する場合や補正散布を行う場合は、その旨を直ちに関係者へ連絡するとともに、地域住民、公共施設等に対し周知し、誘導員・監視員の適正な配置の一層の徹底を図ること。

(8)航空会社、実施主体等をはじめとする関係者は、環境保全に十分配慮した航空防除を実施するため、相互の連携の強化に努める。特に、水質保全の観点から、農薬の取扱いに十分留意し、薬剤の空容器、残液等の適切な処理に努める。

(9)実施主体及び地区対策協議会は、事業を実施する際には、有機栽培農家等の関係者からの要望があった場合に提供できるよう、従前と同様、散布地図、作業記録等の関係資料の整備に努める。

(10)実施主体は、農薬散布の効率化等の有人ヘリコプターの利点を発揮させ、かつ、安全に事業を進めるため、農薬散布区域の設定等の点検・見直しに努める。

5 その他

都道府県、実施主体等は、生産コストの低減及び農作業の効率化を図る観点から、水稲の直播等においても、有人ヘリコプターの有効利用に努める。

    お問合せ先

    消費・安全局 植物防疫課防疫対策室

    国内防除第2班
    代表:03-3502-8111(内線4562)
     

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