改正森林法の施行に関する件(抄)
26林野第10953号
昭和26年8月15日
都道府県知事あて
林野庁長官
去る第14国会を通過成立し、6月26日公布された改正森林法は施行令及び施行規則とともに、8月1日施行された。
新法の趣旨並びにその運用方針については、都道府県林務関係部長会議その他を通じ既に御了知のことと思うが、左記事項に特に御留意の上新法の趣旨の徹底とその運用について遺憾なきを期せられたい。
なお、森林計画、保安林及び保安施設地区については別途所要の訓令を定め、森林組合及び森林組合連合会の指導その他については、模範定款例とともに別途通達する予定である。
右命により通達する。
記
第1章 総則関係
(1)第2条第1項第2号について
本号を設けた趣旨は、1号のみの規定では現状森林でないもの-例えば伐採跡地のようなもの-が森林に含まれないので、土地の性質上森林として取扱うことを妥当とするものを補充的に規定したものである。
「木竹の集団的な生育に供される」とは、木竹の集団的な生育に供することが客観的に適当であるという意味であって、土地の所有者その他の主観的意図にはよらない。
(2)第2条第1項但書について
この但書は、本文の定義からは森林の範囲に入るべきものであっても、森林法の対象として取り扱うことが不適当とするものについての除外規定を設けたものである。
(イ)「主として農地として使用される土地とは、リンゴ畑、蜜柑畑等を意味する。なお、自作農創設特別措置法その他関係法令に基き買収された森林の取扱については開拓計画によって開墾すべきものと定められたものは本条の適用上「主として農地として使用される土地」に該当するものであるが、これについては別に改めて通達する予定である。
(ロ)「住宅地に準ずる土地として使用される土地」とは、下のものをいう。
(1)小規模の公園(2)官公庁舎、学校等の公共施設及び工場その他事業所の敷地(3)宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる神社、寺院等をめぐる一画の土地及び参道として用いられる土地(4)墓地(5)以上に類する土地
(3)森林と牧野との関係について
従来、自作農創設特別措置法の運用上森林と牧野の区別のために、うっ閉度、採草日数、採草量等の基準が設けられているのであるが、新法では、森林と牧野とは互いに相排斥する概念ではないという考え方を採り、牧野であるものであっても新法の定義の上から森林の範囲に入るべきものはやはり牧野であると同時に森林として取扱うこととしている。
(4)森林所有者の意味について
森林所有者の定義は、第2条第2項に定める通りであるが、その内容は、旧法の規定と大差はなく、森林である土地及びその上に立木を現に所有している者は、勿論、森林である土地について地上権、貸借権その他土地に関する収益権を持ち、それらの権原に基いて当該土地の上に木竹を所有し及び育成することができる者を意味している。従って、森林の土地を他人に賃貸しているような場合には、その土地の所有者は森林所有者ではなく、貸借人が森林所有者である。
なお「・・・・することができる者」とは、前記の権利のごとく、木竹を所有し及び育成することが可能であるような内容の権利を有する者を全べて含む意であるから、主観的な意図とか、具体的な可能不可能に左右されない。
第3章 保安施設関係
保安林の指定及び解除に関する農林水産大臣の権限の一部は、施行令第5条に規定する通りであるが、その他保安林及び保安施設地区の指定又は解除等に関し必要な事項は、別に訓令を定めて指示する予定である。