G20農業大臣会合の結果概要(令和6年9月/ブラジル)
1. 概要
令和6年9月12日(木曜日)から13日(金曜日)にかけて、G20農業大臣会合が開催され、農業・食料システムの持続可能性や食料安全保障への国際貿易の貢献、小規模家族農業支援、漁業の意義等について議論が行われました。我が国からは坂本農林水産大臣が出席し、昨年のG7宮崎農業大臣会合での議論を踏まえつつ、農業の生産性向上と持続可能性の両立を実現すべきことを各国に呼び掛けました。
なお、会合の成果として、G20農業大臣宣言が採択されました。
<G20農業大臣会合>
2. 開催日時
令和6年9月12日(木曜日)から13日(金曜日)まで
3. 出席国・国際機関
G20:日本、ブラジル(議長国)、アルゼンチン、豪州、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)
招待国:シンガポール、スペイン、アゼルバイジャン、チリ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、ベトナム
国際機関:国際農業研究協議グループ(CGIAR)、国連食糧農業機関(FAO)、米州開発銀行(IDB)、国際農業開発基金(IFAD)、米州農業協力機構(IICA)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行(WB)、国連世界食糧計画(WFP)
4. 坂本農林水産大臣の発言ポイント
- 新型コロナウイルス感染症やロシアによる不当なウクライナ侵攻による食料や資材価格への影響が深刻な中、持続可能な生産を続けるためには多角的観点が必要。
- 我が国では、本年改正された食料・農業・農村基本法において、国内農業生産を増大しつつ、国内生産で国内需要を満たせない品目については、輸入の安定確保に努め安定した食料供給を目指す。
- 危機時においても強じん性を確保するため、農業・食料サプライチェーンの多様化が必要不可欠であり、不当な輸出規制を回避することに加え、貿易の透明性と予見性を確保する必要。
- 持続可能な農業の達成に向けて、イノベーションの成果を土地に合った手法で実践する必要があり、我が国では、2021年にとりまとめた「みどりの食料システム戦略」をもとに、昨年「日ASEANみどり協力プラン」を立ち上げており、アジア以外の地域にも協力の輪を広げる。
- 持続可能な農業の達成のための有用なスマート農業技術の導入については、我が国ではスマート農業技術活用促進法も踏まえ、研究開発や現場普及、人材育成など様々な関係者が協働できる環境を整備し、生産性の向上を目指す。
- 水産資源を持続的に利用するためには、科学的知見に基づく資源評価と資源管理が重要であり、我が国では、漁獲データのデジタル収集を進め、資源管理の基礎となるデータの蓄積と正確性向上に努める。
5. G20農業大臣宣言のポイント
- 世界の農業・食料生産の状況は多様で複雑であるため、課題解決のためには「万能の解決策はない」ことを認識しつつ、的を絞った政策を支持する。(パラ9)
- 技術協力や優良事例の共有、イノベーションの促進を通じて、農業・食料システムをより持続可能なものにすることにコミットする。(パラ16)
- 国内生産の重要性を認識する一方で、国際的、地域的、国内的な供給ルートを多様化することは、外的ショックに対する食料サプライチェーンの強じん性を強化する重要な方法である。(パラ25)
- 天然資源を保護しつつ生産性を上げ、付加価値をつけるにあたり、小規模家族経営農家の機械化や近代化等、的を絞った持続可能な農業イノベーションが持つ可能性を強調する。(パラ28)
- 長期的に持続可能な資源管理や水産資源へのアクセスを確保するために、漁業の包摂的なガバナンスと管理を促進することが不可欠である。(パラ33)
添付資料
「G20農業大臣宣言」(原文(PDF : 434KB) / 仮訳(PDF : 620KB))
「議長声明」(原文(PDF : 99KB) / 仮訳(PDF : 389KB))
お問合せ先
輸出・国際局国際戦略グループ
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