EPAを利用するための原産地証明書が取得しやすくなりました!
1.発給手続(青果物)
EPA特恵税率を利用して日本産品を輸出するためには、輸出業者は、日本商工会議所から、輸出産品が日本原産であるとの原産品判定を受けて、原産地証明書の発給を受ける必要があります。この原産地証明書の発給手続が、青果物輸出について簡素化されました。
2.簡素化後の手続
これまでは、日本原産であるとの原産品判定に当たって、輸出業者は、署名入りの生産証明書又は輸出業者が青果物の購入先から入手した仕入書等を日本商工会議所に提出することが求められ、仕入書等の場合も生産者の氏名や住所などの生産者情報を併せて提出することが必要でした。今後は、仕入書等を活用する場合、これまで必要とされていた生産者情報の提出が不要となり、県名等の原産地情報の記載があれば、日本原産であるとの原産品判定が可能であるとされました。
なお、2回目以降の輸出において、一度、日本原産であると判断された産品と同一の原産地の産品であれば、再度の原産品判定を行うことなく、過去の判定結果を利用して原産地証明書の発給申請が可能です。
*対象品目は、HSコードの7類(野菜)、8類(果実)、9類(茶等)、10類(コメ等穀物)及び11類(米粉等)。

3.よくある問い合わせ
(1)全体に関するもの
Q.どのような産品が対象となりますか。
A.協定に基づく原産品の要件として、日本国内において栽培され、かつ、収穫されること等が要件とされている産品のうち、例えばリンゴや柿のように栽培地と収穫地が同一である産品で、仕入書、納品書、分荷表等で食品表示法に基づく原産地の表記により収穫地が確認できる生鮮野菜や果実です。具体的にはHSコードの7類(野菜)、8類(果実)、9類(茶等)、10類(米等)、11類(米粉等)です。
Q.どの協定が対象となりますか。
A.対象となる協定は以下の通りです。
日マレーシア、日チリ、日タイ、日インドネシア、日ブルネイ、日フィリピン、日スイス、日ベトナム、日インド、日オーストラリア、日モンゴル、日アセアン、RCEP
Q.生産証明書を利用して原産品判定を行った場合と何が違いますか。
A.生産証明書を利用して取得した原産品判定は、生産証明書に基づき原産品判定が行われていますので、基本的に生産者を特定した原産品判定となります。このため、生産者の異なる産品については、新たに原産品判定が必要です。
仕入書等を利用して取得した原産品判定は、仕入書等に基づき原産品判定が行われていますので、基本的に仕入書等に記載のある都道府県を特定した原産品判定となります。このため、仕入書等を利用して原産品判定を取得した産品と輸出産品の原産地が同一都道府県の場合、生産者が異なっていても、輸出産品について原産品判定を行う必要はありません。同じ輸出産品で生産者が異なることが想定されるのであれば、仕入書や納品書等を用いて原産品判定されることをお勧めします。
Q.輸入国から輸出産品の原産性の確認があった場合はどうすればいいですか。
A.輸出産品を国内で調達した際の取引に関する仕入書等が必要となります。具体的には、当該輸出産品の名称と原産地が表示された仕入書等です。これらの書類は、協定ごとに定められた期間保存する義務があります。原産品判定の際に使用したものではありません。
(2)原産品判定に関するもの
Q.原産品判定依頼を行う際、産品の生産者が不明でも問題ありませんか。
A.日メキシコ、日ペルー協定を除き、生産者が不明でも問題ありません。
Q.原産品判定依頼を行う際、日本商工会議所の発給システム内の「生産者欄」はどのように記載しますか。
A.企業登録番号は「999999999」、和文所在地と英文所在地は都道府県名を記載し、それ以外は空欄で構いません。
Q.原産品判定依頼を行う際、「原産品判定対象の輸出産品名」はどのように記載しますか。
A.輸出産品名と原産地を記載してください。例)Apple(Nagano)
Q.過去の取引の仕入書等を利用して、事前に原産品判定依頼できますか。
A.原産品判定依頼を行うことができます。
Q.過去に取得した原産品判定の扱いはどうなりますか。
A.これまでと同様に使用できます。生産証明書を利用して取得した原産品判定で第一種特定原産地証明書を発給申請する際は、原産品判定を取得した産品と輸出産品の生産者が同一である必要があります。
Q.仕入書に原産品判定を依頼しない品目が含まれても問題ありませんか。
A.問題ありません。その場合は、仕入書等に記載された産品のうち、原産品判定を依頼する品目に印をつけるなど、原産品判定を依頼する品目が特定できるようにしてください。
Q.複数の原産地をまとめて原産品判定できますか。
A.可能です。その場合は、原産品判定を依頼したい原産地すべてが仕入書等で確認できる必要があります。仕入書等が複数にわたっても問題ありません。また、仕入書等に原産品判定を依頼しない品目が記載されている場合は、原産品判定を依頼する品目に印をつけるなど、原産品判定を依頼する品目が特定できるようにしてください。
例)判定申請時の産品名称:Apple(Nagano、Aomori、Akita)
Q.取得した原産品判定に期限はありますか。
A.期限はありません。
Q.緑茶や米粉などの加工品も対象ですか。
A.緑茶や米粉の場合は、原料となる生葉や米の収穫地を明らかにする書類として仕入書等を利用できます。緑茶や米粉などの加工品の場合は、日本国内で原料から輸出産品を生産したことを確認するための農林産加工品に係る製造証明書も必要です。
(3)発給申請に関するもの
Q.発給申請を行う際、輸出産品の生産者が不明でも問題ありませんか。
A.日メキシコ、日ペルー協定以外は、発給申請の際に輸出産品の生産者が不明でも問題ありません。ただし、輸入国が輸出産品の原産性を確認する際、生産者情報を要求される可能性がありますので、日頃の取引において生産者情報を確認しておくなど、要求があった場合に生産者の情報を回答できるようにしておくことが重要です。
Q.原産地の都道府県が異なる場合はどうしたらいいですか。
A.仕入書等で原産品判定を取得した産品の都道府県と異なる都道府県の産品についてEPAを利用して輸出する場合は、新たに輸出産品の原産品判定依頼を行う必要があります。例えば、仕入書等で長野県産りんごの原産品判定を取得している場合に、青森県産りんごをEPAを利用して輸出する場合は、青森県産りんごの原産品判定を取得する必要があります。
Q.原産地の都道府県が同じで仕入先が異なる場合はどうしたらいいですか。
A.仕入書等で原産品判定を取得した産品の仕入先(A社)と異なる仕入先(B社)の産品をEPAを利用して輸出する場合でも、産品の都道府県が同じであれば、原産品判定を省略できます。
Q.輸出した産品の仕入書等を保存する必要はありますか。
A.一定期間、保存する義務があります。保存期間は利用するEPAにより異なります。
4.EPA利用相談窓口について
原産地規則をはじめEPAが多様化するなかで、EPA利用に際して生じる様々な疑問、質問、御意見を受け付けるために、EPAの利用を専門とする相談窓口を設置しております。農林水産物・食品の輸出におけるEPAの利用に当たって、わからないことや困っていることがありましたら、お気軽にご相談ください。EPA利用相談窓口 URL:https://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/epa_n.html
EPA利用相談窓口メールアドレス:epariyousoudan(a)maff.go.jp ※(a)を@に変えてください。
お問合せ先
輸出・国際局EPA利用促進チーム
担当者:村瀬、中杉、藤井、松井
代表:03-3502-8111(内線3462)
ダイヤルイン:03-3502-5904