第1回アジア・太平洋水サミットと関連イベント
1. INWEPFからのメッセージをAPWS1に発信(12月3日)FAOとIUCNは12月4日、サミットの優先テーマの一つである「発展と生態系のための水《の分科会を開催しました。INWEPF代表として、日本の総合地球環境学研究所の渡邉紹裕教授が参加されました。教授はネパールとフィジーの水担当大臣、中国の研究機関の代表、そしてFAO、IUCN、FAOの代表とともにパネリストとして参加されました。 渡邉教授はスピーチの中でINWEPFからAPWS1へのメッセージを伝えました。このメッセージはサミットに先立ちメンバー国間で議論され、合意されたものです。メッセージでは、アジアモンスーン地域における発展と生態系の水に係る課題において水田の水の役割が重要であることが強調されました。 メッセージは首脳、政府高官を含む分科会参加者に対して発表されるとともに、全ての参加者にペーパーとして提供されました。 2. 水田と水に関するサミット関連行事2007年12月2日~4日のサミット開催の機会を捉え、水田と水に関するイベントが開催されました。 (1)INWEPFワークショップ「水田流域の環境機能《 INWEPF日本委員会は、2007年12月3日にワークショップ「水田農業の環境機能《を開催しました。 ワークショップはサミットのオープンイベントとして開かれ、水田流域での環境流量の概念の適用の経験をメンバー国、国際機関そしてワークショップ参加者で議論するため開催されました。 INWEPFメンバー国、FAO、ICID等からの参加者を含む約100人がワークショップに参加しました。 サミットの優先テーマ「発展と生態系のための水《において「環境のための水」が主要な課題となっていることを踏まえ、ワークショップは「水田農業の環境機能《に焦点を当てました。「環境のための水《については、近年の気候変動への対応や生物多様性の保全の観点からその重要さを増しており、最近では環境流量(Environmental Flows)の概念に基づく議論が行われています。 ワークショップは2つの基調講演、IUCNのラザラス女史による「環境流量のアプローチ:水管理の協議《、IWMIのバラティ博士による「環境流量:理論から実践へ《から始まり、環境流量の概念とその実際の応用についての情報を得ました。 また、農村工学研究所 増本水文・水資源研究室長による「メコン流域の水文環境と水田の役割《、農林水産省 田中首席地域計画企画官「水田流域における水と生態系の水の路ネットワーク《の2つの講演を実施し、日本とメコン河流域における環境の実情と取組が報告されました。さらに、ワークショップに先駆けて開催されたINWEPFバーチャルミーティングの結果が同ミーティング議長のグロンフェルト博士より報告されました。 最後に、INWEPFからサミットへのメッセージが紹介されました。 ワークショップでは、水田とかんがいを取り巻く環境に関する最近の情報と意見を交換し、水の安全保障に対する水田農業の重要性を確認することができました。 (2)INWEPFワーキンググループ3会合 INWEPFワーキンググループ3「水田の多面的機能の貨幣換算評価《(WG3)は、第3回INWEPF運営会議で設立された3つのワーキンググループのひとつであり、バングラデシュ、日本、韓国、マレーシア、ミャンマー、パキスタン、そしてFAOが参加しています。 サミットの機会に、INWEPF日本委員会はWG3の会合を開催しました。この会合の目的は、どのような機能が評価されうるか、どのように評価すべきかを議論することにより、水田の多面的機能の定量評価・貨幣換算評価に関する知識と経験を共有することです。 (3)国際水土里フォーラム「アジア・モンスーンにおける水環境・水文化の再発見《 日本をはじめとするアジア・モンスーン地域における田園環境や地域文化は、水田かんがい農業と切り離せない関係にあります。モンスーンの季節変化に応じた水田のかんがい活動を通じて、流域の水循環が形成されるのみならず、生物層豊かな水環境や、美しい田園風景、流域社会の歴史や文化が作られております。 このような農業における水利を通じて形成される水環境や水文化は、他の地域では見ることのできないモンスーン・アジアの特徴であり、地域の資産として農業者を始めとする中央・地方の様々な関係者がその素晴らしい価値をよく理解し、発見し、共有していくことが重要です。 このフォーラムは、モンスーン・アジアの農業における水の多様な価値について、わが国や諸外国での代表的な地域保全向上活動や経験を聴き、また共有することにより、再発見し理解を広めようとするものです。 |