農薬取締法の14年改正の概要
第155回臨時国会(平成14年10月~12月)における農薬取締法の一部改正について
1. 改正の背景
平成14年7月末以降、一部の業者が、登録のない農薬を輸入、販売していた事態が発覚、同年末まで44都道府県で約270の業者が約4,000戸の農家に10種類の無登録農薬を販売したことが判明している。この結果、消費者の国産農産物への信頼を著しく損なっただけでなく、農作物の出荷自粛等の事態を招いた。
このような事態を踏まえ、
[1]無登録農薬が輸入されないよう水際での監視を強化するとともに、
[2]無登録農薬の使用を法的に禁止し、
[3]さらに違法な販売等が行われないよう罰則を強化する
等の措置を講ずることが必要となった。
2. 改正内容
(1)無登録農薬の製造及び輸入の禁止
無登録農薬の製造及び輸入を禁止することとし、個人輸入を含めて、水際の監視の徹底を図った。
(改正前)
無登録農薬の販売を禁止
(2)輸入代行業者による広告の制限
輸入代行業者が、インターネット等を通じて、無登録農薬の個人輸入を勧誘している状況にかんがみ、これらの者による広告を制限した。
(改正前)
製造業者、輸入業者及び販売業者の虚偽宣伝を禁止
(3)無登録農薬の使用規制の創設
一部農家が無登録農薬と知りながら、これを使用していた実態を踏まえ、無登録農薬を農作物等の防除に用いることを法的に禁止した。
(改正前)
作物残留性農薬等の使用規制、防除業者の届出、防除方法の変更命令
(4)農薬の使用基準の設定
農薬の使用に伴って、作物への残留等の問題が発生することを防止するため、農林水産大臣及び環境大臣は、使用者が遵守すべき基準を定めることとし、この基準に違反して農薬を使用してはならないこととした。
(改正前)
作物残留性農薬等の使用規制、防除業者の届出、防除方法の変更命令
(5)法律違反の罰則の強化
同じ生産資材である飼料等に比べ、農薬に係る法律違反の罰則が低いこと、罰則があるにもかかわらず無登録農薬の違法販売が行われていたことを踏まえ、農薬取締法の罰則を飼料安全法と同等のレベルまで引き上げた。
特に、法人の販売等に係る義務違反については最高刑を1億円とした。
(改正前) | (改正後) | |
販売に係る義務違反 | 1年以下の懲役 5万円以下の罰金 |
3年以下(自然人) 100万円以下(自然人)1億円以下(法人) |
使用に係る義務違反 | 3万円以下の罰金 (指定農薬のみ) |
3年以下の懲役 100万円以下の罰金 |
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課農薬対策室
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